JP5566052B2 - トレッド用ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤ - Google Patents
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Description
前記シリカ(A)とシリカ(B)の含有量の合計の2〜20質量%含むトレッド用ゴム組成物である。
本発明の空気入りタイヤの構造は、たとえば図1のタイヤ断面の右上半分に例示されるものである。タイヤ1は、トレッド部を構成するトレッドゴム7と、その両端からタイヤ半径方向内方にのびる一対のサイドウォール部を構成するサイドウォールゴム8と、各サイドウォール部の内方端に位置するクリンチ部を構成するクリンチゴム3およびリム上部に位置するチェーファーを構成するチェーファーゴム2とを備える。またクリンチ部、チェーファー間にはカーカス5が架け渡されるとともに、このカーカス5のタイヤ半径方向外側に2枚のプライよりなるベルト層9が、またカーカス5の内側には、タイヤ内腔面をなすインナーライナーゴム10が配される。該カーカス5は、カーカスコードを配列する1枚以上のカーカスプライから形成され、このカーカスプライは、トレッド部からサイドウォール部を経て、ビードコア6と、該ビードコア6の上端からサイドウォール方向に延びるビードエーペックス4との廻りをタイヤ軸方向の内側から外側に折返され、折返し部によって係止される。
<トレッド用ゴム組成物>
本発明の一実施の形態のゴム組成物は、平均一次粒子径が20nm以上のシリカ(A)を10質量部以上および平均一次粒子径が20nm未満のシリカ(B)を5質量部以上含み、前記シリカ(A)と前記シリカ(B)の含有量の合計が15〜150質量部であり、特定のシランカップリング剤を前記シリカ(A)と前記シリカ(B)の含有量の合計の2〜20質量%含有する。
本発明の一実施の形態に使用されるゴム成分は、ジエン系合成ゴムとしては、例えば天然ゴム(NR)、ポリイソプレン合成ゴム(IR)、ポリブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)、スチレン−イソプレン−ブタジエンゴム(SIBR)、などがあげられる。これらのジエン系ゴムは単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。転がり抵抗とウェットスキッド性能のバランスから、特にSBRを用いることが好ましい。
本発明の一実施の形態に使用されるシリカは、平均一次粒子径が20nm以上のシリカ(A)および平均一次粒子径が20nm未満のシリカ(B)を含む。
本発明の一実施の形態で使用するシランカップリング剤は、下記一般式(1)で示される結合単位Aと下記一般式(2)で示される結合単位Bの合計量に対して、結合単位Bを1モル%〜70モル%の割合で共重合してなる。
結合単位Aと結合単位Bのモル比が上記条件を満たす場合、ビス−(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドなどのポリスルフィドシランに比べ、加工中の粘度上昇が抑制される。これは結合単位Aのスルフィド部分がC−S−C結合であるため、テトラスルフィドやジスルフィドに比べ熱的に安定であることから、ムーニー粘度の上昇が少ないためと考えられる。
結合単位Bの−SH基を覆うためポリマーと反応しにくくスコーチが上昇しにくいためと考えられる。
軟化剤としては、アロマチックオイル、プロセスオイル、潤滑油、パラフィン、流動パラフィン、石油アスファルト、ワセリンなどの石油系軟化剤、大豆油、パーム油、ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、ヤシ油などの脂肪油系軟化剤、トール油、サブ、蜜ロウ、カルナバロウ、ラノリンなどのワックス類、リノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ラウリン酸などの脂肪酸、などが挙げられる。軟化剤の配合量は、ゴム成分100質量部に対してたとえば100質量部以下とされることが好ましく、この場合、該トレッド用ゴム組成物がタイヤに使用された際のウェットグリップ性能を低下させる危険性が少ない。
老化防止剤としては、アミン系、フェノール系、イミダゾール系の各化合物や、カルバミン酸金属塩、ワックスなどを適宜選択して使用することが可能である。
加硫助剤としては、ステアリン酸、酸化亜鉛(亜鉛華)などを使用することができる。
加硫剤としては、有機過酸化物もしくは硫黄系加硫剤を使用できる。有機過酸化物としては、たとえば、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3あるいは1,3−ビス(t−ブチルパーオキシプロピル)ベンゼン等を使用することができる。また、硫黄系加硫剤としては、たとえば、硫黄、モルホリンジスルフィドなどを使用することができる。これらの中では硫黄が好ましい。
加硫促進剤としては、スルフェンアミド系、チアゾール系、チウラム系、チオウレア系、グアニジン系、ジチオカルバミン酸系、アルデヒド−アミン系またはアルデヒド−アンモニア系、イミダゾリン系、もしくは、キサンテート系加硫促進剤のうち少なくとも一つを含有するものを使用することが可能である。
本発明に係るゴム組成物には、前記各種成分のほかにも、従来ゴム工業にて通常に使用される配合剤、たとえば、架橋剤、充填剤などを配合することができる。
本発明の一実施の形態のトレッド用ゴム組成物の製造方法は、ゴム成分、シリカ、シランカップリング剤、さらに必要に応じて他の充填剤および配合剤を、たとえばバンバリーミキサーにて混練りし、得られた混練物に対して、加硫剤および加硫促進剤を、たとえばオープンロールにて混練りし、さらに、加硫することにより得られる。
本発明の一実施の形態のトレッド用ゴム組成物をトレッド部に用いた空気入りタイヤは、トレッド用ゴム組成物の配合成分を、たとえばバンバリーミキサーやニーダー等により130℃以上160℃以下で混練して、タイヤトレッド用ゴム組成物の未加硫物を調製し、該未加硫物をシート状にしたものを所定の形状に貼り合わせる方法、または2本以上の押出し機に装入して押出し機のヘッド出口で2層に形成する方法により作製することができる。
[未加硫トレッド用ゴム組成物の調整]
下記の表1に示す配合処方に従って、SBR、シリカ(A)、シリカ(B)、テトラスルフィドシラン、シランカップリング剤A、シランカップリング剤B,シランカップリング剤C、アロマチックオイル、酸化亜鉛、ステアリン酸、老化防止剤、ワックスをバンバリー型ミキサーで3分間混練した。得られた混練物に、硫黄、加硫促進剤をロールで練り込み、未加硫トレッド用ゴム組成物を得た。該未加硫トレッド用ゴム組成物について以下の試験を行った。
JIS K 6300「未加硫ゴム−物理特性−第1部:ムーニー粘度計による粘度およびスコーチタイムの求め方」に準じて、ムーニー粘度試験機を用いて、1分間の予熱によって熱せられた130℃の温度条件にて、小ローターを回転させ、4分間経過した時点での未加硫ゴム組成物のムーニー粘度(ML1+4/130℃)を測定し、比較例1のムー
ニー粘度指数を100とし、下記計算式により、各配合のムーニー粘度をそれぞれ指数表示した。なお、ムーニー粘度指数が小さいほど、ムーニー粘度が低減され、加工性に優れることを示す。
(ムーニー粘度指数)=(各配合のムーニー粘度)÷(比較例1のムーニー粘度)×100
(加硫速度指数)
JIS K 6300「未加硫ゴム−物理特性−第1部:ムーニー粘度計による粘度およびスコーチタイムの求め方」に準じて、160℃にて95%加硫度に達する時間(T95)を測定し、比較例1の加硫速度指数を100とし、下記計算式により、各配合の加硫速度をそれぞれ指数表示した。なお、加硫速度指数が大きいほど、加工性に優れていることを示す。
(加硫速度指数)=(各配合の加硫速度)÷(比較例1の加硫速度)×100
[空気入りタイヤの製造]
前記未加硫トレッド用ゴム組成物をトレッド部形状に成形して、他のタイヤ部材(ベルト層、サイドウォール部など)と貼りあわせ、175℃および20kgfの条件にて12分間加硫することにより、図1に示す空気入りタイヤ(タイヤサイズ:195/65R15)を製造し、以下の測定を行った。
転がり抵抗試験機を用い、タイヤを、リム:15×6JJ、内圧:230kPa、荷重:3.43kN、速度:80km/hの条件で走行させたときの転がり抵抗を測定し、比較例1の転がり抵抗指数を100とし、下記計算式により、各配合の転がり抵抗を指数表示した。なお、転がり抵抗指数が大きいほど、転がり抵抗が小さく低燃費性に優れることを示す。
(転がり抵抗指数)=(比較例1の転がり抵抗)÷(各配合の転がり抵抗)×100
(ウェットスキッド性能指数)
水を撒いて湿潤アスファルト路面としたテストコースにて、タイヤを排気量2000ccの国産FR車に装着し、速度100km/hで制動し、タイヤに制動をかけてから停車するまでの走行距離(制動距離)を測定し、比較例1のウェットスキッド性能指数を100として、下記計算式により、各配合のウェットスキッド性能を指数表示した。数値が大きいほどウェットスキッド性能が高いことを示す。
(ウェットスキッド性能指数)=(比較例1の制動距離)÷(各配合の制動距離)×100
(耐摩耗指数)
前記タイヤを排気量2000ccの国産FF車に装着して実車走行をおこない、30000km走行後のパターン溝深さの変化を測定した。比較例1の摩耗量を値を100とし、下記計算式により、各配合の摩耗量を指数表示した。指数が大きいほど耐摩耗性能に優れている。
(耐摩耗指数)=(比較例1の耐摩耗指数)÷(各配合の耐摩耗指数)×100
シリカ(A):デグサ製のウルトラシルU360(平均一次粒子径28nm、N2SA5
0m2/g)
シリカ(B):ローディアジャパン社製のZEOSIL 1205MP(平均一次粒子径15nm、N2SA200m2/g)
テトラスルフィドシラン:デグサ製のSi69(ビス−(3−トリエトキシシリルプロピ
ル)−テトラスルフィド)
シランカップリング剤A:結合単位Aと結合単位Bの共重合体(結合単位A:85モル%、結合単位B:15モル%)
シランカップリング剤B:モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ製のNXT−Z30(結合単位Aと結合単位Bの共重合体(結合単位A:70モル%、結合単位B:30モル%)
シランカップリング剤C:結合単位Aと結合単位Bの共重合体(結合単位A:20モル%、結合単位B:80モル%)
アロマチックオイル:出光興産(株)製のダイアナプロセスAH−24
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の酸化亜鉛
ステアリン酸:日本油脂(株)製のステアリン酸「椿」
老化防止剤:住友化学(株)製のアンチゲン6C
ワックス:大内新興化学(株)製のサンノックN
硫黄:軽井沢硫黄(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤CZ:大内新興化学(株)製のノクセラーCZ
加硫促進剤DPG:大内新興化学(株)製のノクセラーD
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
カーカス、6 ビードコア、7 トレッドゴム、8 サイドウォールゴム、9 ベルト層、10 インナーライナーゴム。
Claims (3)
- 天然ゴム、ポリイソプレン合成ゴム、ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、スチレン−イソプレン−ブタジエンゴムからなる群より選択される少なくとも1種のゴムからなるゴム成分100質量部に対して、
平均一次粒子径が20nm以上のシリカ(A)を10質量部以上および平均一次粒子径が20nm未満のシリカ(B)を5質量部以上含み、
前記シリカ(A)と前記シリカ(B)の含有量の合計が15〜150質量部であり、
下記一般式(1)で示される結合単位Aと下記一般式(2)で示される結合単位Bの合計量に対して、結合単位Bを1モル%〜70モル%の割合で共重合してなるシランカップリング剤を、
前記シリカ(A)とシリカ(B)の含有量の合計の2〜20質量%含むトレッド用ゴム組成物。 - 前記シランカップリング剤がブロック共重合体またはランダム共重合体である、請求項1記載のトレッド用ゴム組成物。
- 請求項1記載のトレッド用ゴム組成物をトレッド部に用いた空気入りタイヤ。
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