JP5403399B2 - ゴム組成物およびそれを用いたタイヤ - Google Patents
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Description
本発明のゴム組成物は、ゴム成分としてジエン系ゴムを用いる。さらにジエン系ゴムは天然ゴム(NR)、ポリイソプレンゴム(IR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、およびブタジエンゴム(BR)からなる群から選ばれた少なくとも1種を含む。
本発明において、バナナ繊維とは天然バナナの茎の外皮を剥離し、茎の表面付近にある長繊維を乾燥させて開繊したステープルファイバー(単繊維または短繊維の束)を意味する。バナナ繊維は吸湿性に優れているため、氷上路面で優れた吸水効果を発揮することができる。
バナナ繊維の配合量は、ジエン系ゴム100質量部に対して0.6〜7.5質量部である。バナナ繊維の配合量が0.6質量部未満では、掘り起こし摩擦の効果が小さく、氷上性能が低下する。一方、バナナ繊維の配合量が7.5質量部を超えると耐摩耗性が低下する。バナナ繊維の配合量は、下限が3質量部であることがより好ましい。
本発明のゴム組成物に配合されるバナナ繊維は、一般的には既存の素材であるコットンとかレーヨンステープルとの混用が吸水性の向上の観点から好ましい。したがって、本発明におけるバナナ繊維は、バナナ繊維を原料としたステープルファイバーと、バナナ繊維以外の繊維のステープルファイバーとからなるバナナ繊維混紡糸として配合されることが好ましい。バナナ繊維混紡糸中、バナナ繊維の含有量は5質量%以上である。
本発明のゴム組成物はシリカを含有することが好ましい。シリカとしては、BET法による窒素吸着比表面積が50m2/g〜500m2/gの従来公知のシリカを用いることができる。たとえば乾式法により得られるシリカ(無水珪酸)および/または湿式法により得られるシリカ(含水珪酸)を用いることができる。なかでも、湿式法により得られるシリカを用いることが好ましい。
本発明においては、シリカを用いる場合は、一般にシランカップリング剤として知られているものを配合するのが好ましい。シランカップリング剤の例としては、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、N−β−アミノエチル−γ−アミノプロピロトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトシメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビス−(3−トリエトキシシリルプロピル)−テトラスルフィドが挙げられる。シランカップリング剤の配合量はシリカ配合量の1〜20質量%の量である。シランカップリング剤の配合量が1質量%未満では、シランカップリング剤の効果が十分に得られず、耐摩耗性が低下する傾向がある。一方、シランカップリング剤の配合量が20質量%を超えると、コストが上がる割に効果が得られず、補強性、耐摩耗性が低下する傾向がある。分散効果、カップリング効果の観点から、シランカップリング剤の配合量は、シリカ配合量の2〜15質量%であることが好ましい。
本発明のゴム組成物は補強剤としてカーボンブラックを配合することが可能である。カーボンブラックの配合量は、ジエン系ゴム100質量部に対して、好ましくは5〜80質量部、より好ましくは30〜55質量部である。カーボンブラックの配合量が5質量部未満では十分な補強性、剛性が得られず、80質量部をこえると発熱しやすくなる。
軟化剤としては、プロセスオイル、潤滑油、パラフィン、流動パラフィン、石油アスファルト、ワセリンなどの石油系軟化剤、大豆油、パーム油、ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、ヤシ油などの脂肪油系軟化剤、トール油、サブ、蜜ロウ、カルナバロウ、ラノリンなどのワックス類、リノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ラウリン酸などの脂肪酸、などが挙げられる。軟化剤の配合量は、ジエン系ゴム100質量部に対してたとえば100質量部以下とされることが好ましく、この場合、該ゴム組成物がタイヤに使用された際のウェットグリップ性能を低下させる危険性が少ない。
老化防止剤としては、アミン系、フェノール系、イミダゾール系の各化合物や、カルバミン酸金属塩、ワックスなどを適宜選択して使用することが可能である。
加硫助剤としては、ステアリン酸、酸化亜鉛(亜鉛華)などを使用することができる。
加硫剤としては、有機過酸化物もしくは硫黄系加硫剤を使用できる。有機過酸化物としては、たとえば、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3あるいは1,3−ビス(t−ブチルパーオキシプロピル)ベンゼン等を使用することができる。また、硫黄系加硫剤としては、たとえば、硫黄、モルホリンジスルフィドなどを使用することができる。これらの中では硫黄が好ましい。
加硫促進剤としては、スルフェンアミド系、チアゾール系、チウラム系、チオウレア系、グアニジン系、ジチオカルバミン酸系、アルデヒド−アミン系またはアルデヒド−アンモニア系、イミダゾリン系、もしくは、キサンテート系加硫促進剤のうち少なくとも一つを含有するものを使用することが可能である。
本発明のタイヤ用ゴム組成物には、その他の補強剤、充填剤、可塑剤などのタイヤ用または一般のゴム組成物に配合される各種配合剤および添加剤を配合することができる。また、これらの配合剤、添加剤の含有量も一般的な量とすることができる。
本発明のゴム組成物の製造方法としては、従来から公知の方法を用いることができ、たとえば上記各材料を所定の配合割合となるように秤量した後、オープンロール、バンバリーミキサー等のゴム混練装置を用いて、100〜250℃で5〜60分間混練する方法等がある。
本発明の空気入りタイヤの構造は、たとえば図1のタイヤ断面の右上半分に例示されるものである。タイヤ1は、トレッド部7を構成するキャップトレッドゴム7aとベーストレッドゴム7b、その両端からタイヤ半径方向内方にのびる一対のサイドウォール部を構成するサイドウォールゴム8と、各サイドウォール部の内方端に位置するクリンチ部を構成するクリンチゴム3およびリム上部に位置するチェーファーを構成するチェーファーゴム2とを備える。またクリンチ部、チェーファー間にはカーカス5が架け渡されるとともに、このカーカス5のタイヤ半径方向外側にブレーカー部を構成するブレーカーゴム9が配される。該カーカス5は、カーカスコードを配列する1枚以上のカーカスプライから形成され、このカーカスプライは、トレッド部からサイドウォール部を経て、ビードコア6と、該ビードコア6の上端からサイドウォール方向に延びるビードエーペックス4との廻りをタイヤ軸方向の内側から外側に折返され、折返し部によって係止される。ブレーカー部は、ブレーカーコードを配列した2枚以上のブレーカープライからなり、各ブレーカーコードがブレーカープライ間で交差するよう向きを違えて重置している。
本発明に係るゴム組成物をキャップトレッド部に用いたタイヤは、ゴム組成物の配合成分を、たとえばバンバリーミキサーやニーダー等により130℃以上160℃以下で混練して、ゴム組成物の未架橋物を調製し、該未架橋物を空気入りタイヤのキャップトレッド部に適用して加硫成形することによって形成されることができる。
(ゴム試験片およびタイヤの作製)
ゴム試験片の作製は次の方法で行った。表1に示す配合に基づき、硫黄および加硫促進剤以外の配合成分をバンバリーミキサーを用いて、150℃で5分間混練りした。その後、得られた混練物に対して硫黄および加硫促進剤を表1に示す配合量添加し、2軸オープンロールを用いて80℃で5分間混練りし、未加硫ゴムシートを調製し、該ゴムシートを170℃で15分間プレス加硫した。得られた加硫物、すなわちゴム組成物を用いて破壊強度を測定した。なお、バナナ繊維混紡糸は日清紡製の天然バナナの茎繊維(テキスタイル)をミキサーによって平均繊維径10〜100μmまで粉砕したものを使用した。
前記ゴム試験片を用いて、JIS−K6301に準拠し、破壊強度(TB)を測定した。比較例1の破壊強度を100としてそれぞれ指数で示した。数値が大きい程破壊強度に優れることを示す。
前記タイヤを排気量2000ccの国産FR車に装着して実車走行をおこない、時速30km/時間からの氷盤上での制動停止距離を求めた。比較例1の制動停止距離の値を100としてそれぞれ指数で示した。数値が大きいほど氷上摩擦性能に優れることを示す。
前記タイヤを排気量2000ccの国産FR車に装着して実車走行をおこない、30000km走行後の摩耗量を測定した。比較例1の摩耗量を値を100として指数で示した。数値が大きいほど耐摩耗性能に優れている。
評価結果を表1に示す。
BR:宇部興産(株)製のUBEPOL−BR150B
SBR:JSR社製のSBR1502
IR:JSR社製のIR2200
シリカ:日本シリカ工業社製のNipsil AQ(N2SA:200m2/g)
カーボンブラック:キャボットジャパン製のショウブラックN220(N2SA:111m2/g)
オイル:出光興産(株)製のダイナプロセスオイルPS323
ワックス:大内新興化学工業(株)製のサンノックワックス
老化防止剤:大内新興化学工業(株)製のノクラック6C(N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン)
ステアリン酸:日本油脂(株)製のステアリン酸
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華1号
シランカップリング剤:デグサ社製のSi69
バナナ繊維混紡糸:日清紡製の天然バナナの茎繊維(テキスタイル)を平均繊維径10〜100μmまで粉砕したもの、バナナ繊維含有量30%
硫黄:鶴見化学(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤CZ:大内新興化学工業(株)製のノクセラーCZ
加硫促進剤D:大内新興化学工業(株)製のノクセラーD
(評価結果)
実施例1〜6はジエン系ゴム100質量部に対してバナナ繊維混紡糸を2〜25質量部(バナナ繊維として0.6〜7.5質量部)含むゴム組成物およびそれをキャップトレッド部に用いたタイヤである。バナナ繊維混紡糸を含まない比較例1に比べて氷上摩擦性能、耐摩耗性能、破壊強度のいずれも向上した。
Claims (3)
- 天然ゴム、ポリイソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、およびブタジエンゴムからなる群から選ばれた少なくとも1種を含むジエン系ゴム100質量部に対して、粉砕したバナナ繊維を0.6〜7.5質量部含み、
前記バナナ繊維が、バナナ繊維と、種子毛繊維、天然セルロース繊維、ビスコースレーヨン、銅アンモニア法レーヨン、再生セルロース繊維、精製セルロース繊維、動物性繊維、合繊繊維からなる群から選択された1種以上の繊維と紡糸してなるバナナ繊維混紡糸として配合され、
前記バナナ繊維混紡糸中、バナナ繊維の含有量が5質量%以上である、ゴム組成物。 - 前記バナナ繊維混紡糸が、バナナ繊維と、綿、ポリエステルまたはレーヨンから選択された1種以上の繊維とを紡糸してなる請求項1記載のゴム組成物。
- 請求項1または2に記載のゴム組成物をキャップトレッド部に用いて製造されたタイヤ。
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