JP4288780B2 - 磁気記録媒体用ポリエステルフィルムの保管方法、および、磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体用ポリエステルフィルムの保管方法、および、磁気記録媒体の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気記録媒体用ポリエステルフィルムの保管方法、および、この保管方法により保管されたポリエステルフィルムの表面に強磁性金属薄膜を形成してなる磁気記録媒体の製造方法に関する。
【0002】
この磁気記録媒体用ポリエステルフィルムは、デジタルデータの記録に使用されるビデオカセットテープ、データストレージテープ等のベースフィルムとして好ましく用いられるものである。
【0003】
【従来の技術】
1995年に実用化された民生用デジタルビデオテープ(磁気記録媒体)は、厚さ6乃至7μmのベースフィルム上に、コバルト(Co)からなる強磁性金属薄膜が真空蒸着により形成され、更に、その表面に、ダイヤモンド状カーボン膜がコーティングされたものである。このデジタルビデオテープは、デジタルビデオ(DV)のミニカセットに用いられている。このカセットが装着されたカメラ一体型ビデオは、基本仕様(スタンダードデフィニション(SD)仕様)で、1時間の録画が可能である。
【0004】
このデジタルビデオカセット(DVC)は、家庭用として、世界で初のデジタルビデオカセットである。このカセットは、次の利点を有するもので、市場での評価は高い。小型ボディながら、膨大な情報が記録できる。信号の劣化がほとんど生じないため、何年たっても画質・音質の劣化がほとんど生じないと予測される。雑音の妨害を受け難いため、高画質・高音質が楽しめる。ダビングを繰り返しても映像の劣化がほとんどない。
【0005】
この磁気記録媒体のベースフィルムとして、次のフィルムが用いられている。
【0006】
(A)ポリエステルフィルムと、該フィルムの少なくとも片面に密着されたポリマーブレンド体と、その表面に形成された粒径50乃至500オングストロームの微細粒子を主体とした不連続皮膜とからなり、かつ、該不連続皮膜は、水溶性ポリエステル共重合体を含有することにより、微細粒子により不連続皮膜上に微細突起が形成されたポリエステルフィルム。このフィルムは、特公昭63−57238号公報(米国特許第4,568,600号明細書)に開示されている。
【0007】
(B)熱可塑性樹脂(例えば、ポリエステル)からなる層と、微粒子を含有した熱可塑性樹脂(例えば、ポリエステル)からなる層とが積層された複合フィルム。このフィルムは、特公平1−26338号公報(米国特許第4,550,049号明細書)に開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このようなポリエステルベースフィルムは、それが製造された後それが磁気記録媒体の製造に用いられるまでの間の保管過程において、ポリエステルフィルム内のオリゴマーがフィルム表面に析出しがちである。
【0009】
オリゴマーがフィルム表面に析出したベースフィルムが用いられて作成されたテープ(磁気記録媒体)は、これに録画された画像が再生されると、ブロック状の画像抜け部分(いわゆるドロップアウト)が画面に現れると云う問題点を有していた。
【0010】
本発明は、ドロップアウトの少ない磁気記録媒体を製造可能にするためのベースフィルムの保管方法の提供を目的とする。また、ドロップアウトの少ない磁気記録媒体の製造方法の提供を目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的を達成するための本発明に係る保管方法は、次の通りである。
【0012】
真空蒸着により強磁性金属薄膜を形成する片側表面Aの表面粗さRa値が6nm以下である磁気記録媒体用ポリエステルフィルムを、温度が10℃以上25℃以下の範囲に管理された保管雰囲気中に、実質的に保管する磁気記録媒体用ポリエステルフィルムの保管方法。
【0013】
本発明において、前記保管温度をT、保管日数をDとしたとき、保管温度Tと保管日数Dとが、
log D ≦ −0.014xT + 1.903
なる関係を満足することが好ましい。
【0014】
本発明において、前記ポリエステルフィルムは、幅が400mm以上、長さが10,000m以上であり、ボビン上に巻き上げられてなるフィルムパッケージの状態で、前記保管雰囲気中に保管されることが好ましい。
【0015】
本発明において、前記ポリエステルフイルムは、厚さが7.0μm未満であることが好ましい。
【0016】
本発明において、前記ポリエステルフィルムは、ポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレン−2、6−ナフタレートからなることが好ましい。
【0017】
本発明において、前記保管が、定位置における保管および/または輸送中における保管であることが好ましい。
【0018】
本発明の目的を達成するための本発明に係る磁気記録媒体の製造方法は、次の通りである。
【0019】
本発明に係る磁気記録媒体用ポリエステルフィルムの保管方法によって保管されたポリエステルフィルムの前記片側表面Aに、真空蒸着により強磁性金属薄膜を形成する磁気記録媒体の製造方法。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明におけるポリエステルフィルムの片側表面Aの表面粗さRa値(測定法は後述される)は、6nm以下であることが必要である。表面粗さRa値が6nmを上まわると、表面A上に形成される強磁性金属薄膜の表面が粗面になり過ぎるため、、磁気テープの出力特性が低下する。
【0022】
この表面粗さRa値は、2nm以上5nm以下の範囲であることが好ましい。表面粗さRa値が2nm未満のフィルムでは、強磁性金属薄膜が記録・再生時に、ビデオヘッドにより磨耗される場合がある。
【0023】
本発明において、ポリエステルフィルムは、保管温度が10℃以上35℃以下の範囲の保管雰囲気に保管される必要がある。保管温度は、15℃以上30℃未満の範囲であることがより好ましい。
【0024】
保管温度が10℃未満の状態で保管されたフィルムは、その表面に水分が結露しがちである。強磁性金属をフィルム表面に真空蒸着する工程において、結露した水分は、ガス化して、蒸着膜の成長不良をもたらす。蒸着膜の成長不良は、製造された磁気テープのドロップアウトの個数(測定法は後述される)を増大せしめる。
【0025】
保管温度が35℃を超える状態で保管されたフィルムは、その表面にフィルム内のオリゴマーが析出しがちである。強磁性金属をフィルム表面に真空蒸着する工程において、析出したオリゴマーは、蒸着膜に粗大突起の形成をもたらす。粗大突起は、製造された磁気テープのドロップアウトの個数を増大せしめる。
【0026】
本発明において、保管温度が10乃至35℃の保管雰囲気中に、実質的に保管するとの説明における実質的にとは、保管形態の変更時に、一時的に、10℃以上35℃以下の温度範囲から外れた温度の雰囲気に、フィルムパッケージが置かれる場合があったとしても、その温度に晒されることにより、ドロップアウトの個数(測定法は後述される)の増大が認められないのであれば、それは看過されることを意味する。勿論、このような状態がないことが好ましい。
【0027】
本発明において、前記保管温度をT、保管日数をDとしたとき、前記保管温度の範囲の内少なくとも30℃以上35℃以下の範囲において、保管温度Tと保管日数Dとが、
log D ≦ −0.014xT + 1.903 (I)
なる関係を満足することが好ましい。
【0028】
この「少なくとも」の意味は、前記保管温度範囲である10℃以上35℃以下の範囲全体において、保管温度Tと保管日数Dとが、この関係式を満足することがより好ましいことを意味する。
【0029】
本発明における保管の代表的な形態は、定位置における保管および/または輸送中における保管である。
【0030】
保管されるフィルムの形態は、一定量のフィルムからなるフィルムパッケージであり、このフィルムパッケージの代表的な形態は、フィルムが芯体(ボビン)上に巻き上げられてなるフィルムロールである。
【0031】
フィルムパッケージは、そのまま、あるいは、包装体により包装され、その1個または複数個が、倉庫中に置かれ、あるいは、ケース中に収納されて、保管される。
【0032】
フィルムロールは、ロールの芯体(ボビン)の両端部が懸架されて支持される構造を有するラックに、複数本収容され、ラック全体が包装体で包装される場合もある。この包装されたラックが、倉庫あるいはケースに収められる。
【0033】
フィルムロールあるいはラックの包装に用いられる包装体の代表的なものは、柔軟性を有するシート、例えば、ポリエチレンフィルムである。
【0034】
フィルムパッケージが倉庫内に保管される場合において、倉庫内全体が保管温度に維持され得る場合は、保管雰囲気は、倉庫内である。フィルムパッケージが倉庫内のある区画内に保管される場合において、当該区画内が保管温度に維持され得る場合は、保管雰囲気は、当該区画内である。
【0035】
フィルムパッケージがケース内に保管され、ケース内が保管温度に維持され得る場合は、保管雰囲気は、当該ケース内である。
【0036】
倉庫としては、固定された建造物(仮設の建造物を含む)からなる倉庫、移動可能な自動車、列車、船舶、航空機などの輸送機関における貨物室などがある。
【0037】
ケースとしては、一定の位置におかれる、あるいは、移動可能なコンテナー、箱、袋などがある。
【0038】
保管雰囲気を保管温度に維持するには、温度調節器が用いられる。保管温度の制御は、温度調節器により、雰囲気中の気体(通常は、空気)の温度が直接的に制御される空調方式で行われても良く、また、保管雰囲気を形成する周囲の物体の温度が制御される間接方式で行われても良い。
【0039】
本発明において、ポリエステルフィルムは、幅が400mm以上、長さが10,000m以上であり、ボビン上に巻き上げられてなるフィルムロールの形態で、前記保管雰囲気中に保管されることが好ましい。幅が400mm未満、長さが10,000m未満であると、強磁性金属がポリエステルフィルムに真空蒸着されてなる磁気テープ製造工程における製品採取効率が低下する。
【0040】
本発明において、ポリエステルフイルムの厚さは、7.0μm未満であることが好ましい。厚さは、4.0μm以上6.5μm以下の範囲であることがより好ましい。
【0041】
ベースフィルムの厚さが、6.5μm、特に、7.0μmを上回ることは、これが用いられて作成された磁気テープからなる1巻のカセットテープの録画可能時間が1時間を下回るので、好ましくない。ベースフィルムの厚さが、4.0μmを下回ることは、これが用いられて作成された磁気テープの強度が弱くなり過ぎ、ビデオカメラ、ビデオテープレコーダー中で走行する際、テープが折れ曲がり、あるいは、切れたいするなど、テープの損傷が生じ易くなり、好ましくない。
【0042】
本発明において、ポリエステルフィルムを形成するポリエステルは、分子配向により高強度フィルムとなるポリエステルであればよい。
【0043】
このポリエステルは、ポリエチレンテレフタレート、または、ポリエチレン−2、6−ナフタレートからなることが好ましい。その構成成分の80%以上がエチレンテレフタレート、エチレンナフタレートであるポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートであることがより好ましい。
【0044】
エチレンテレフタレート、エチレンナフタレート以外のポリエステル共重合体成分として、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、p−キシリレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどのジオール成分、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸などのジカルボン酸成分、トリメリット酸、ピロメリット酸などの多官能ジカルボン酸成分、p−オキシエトキシ安息香酸などが用いられる。
【0045】
このポリエステルは、他に、ポリエステルと非反応性のスルホン酸のアルカリ金属塩誘導体、該ポリエステルに実質的に不溶なポリアルキレングリコールなどの少なくとも一つが、5重量%を越えない範囲で混合されたものであっても良い。
【0046】
本発明において、ポリエステルフィルムの片側表面B(片側表面Aの反対側の表面)の3次元表面粗さSRa値(測定法は後述される)は、8nm以上35nm以下の範囲であることが好ましい。10nm以上25nm以下の範囲であることがより好ましい。
【0047】
製造された広幅のポリエステルフィルムは、スリッターにより裁断され、それぞれが所定の幅、例えば、550mm幅を有する複数本のフィルムとされる。3次元表面粗さSRa値がこのような値であることは、スリットされたフィルムが巻き取られ、フィルムロールが形成される際、フィルムの巻き形状が良好なフィルムロールの取得を容易にする。
【0048】
磁気テープの製造工程において、フィルムロールから引き出されたフィルムの片側表面A上に強磁性薄膜が形成され、その後、再度、フィルムは巻き取られ、フィルムロールが形成される。3次元表面粗さSRa値がこのような値であることは、形成されたフィルムロールにおいて、片側表面Bの粗さが転写されることにより生じる強磁性薄膜のうねり状の変形を最小限にする。
【0049】
本発明において、ポリエステルフィルムの片側表面B(片側表面Aの反対側の表面)の3次元表面粗さSRz値(測定法は後述される)は、100nm以上700nm以下の範囲であることが好ましい。140nm以上550nm以下の範囲であることがより好ましい。
【0050】
3次元表面粗さSRz値がこのような値であることは、スリット後形成されるフィルムロールの巻き姿を良好にする。また、強磁性薄膜が形成された後において形成されるフィルムロールにおける片側表面Bの粗さが転写されることにより生じる強磁性薄膜のうねり状の変形を最小限にする。
【0051】
次に、本発明の磁気記録媒体の製造方法が説明される。
【0052】
磁気記録媒体の製造は、上述の本発明の磁気記録媒体用ポリエステルフィルムの保管方法により保管されたフィルムの表面粗さRa値が6nm以下である片側表面A上に、強磁性金属薄膜を形成することにより行われる。
【0053】
強磁性金属としては、鉄、コバルト、ニッケルまたはそれらの合金が好ましく用いられる。強磁性金属薄膜の形成は、真空蒸着方式により好ましく行われる。
【0054】
形成される強磁性金属薄膜の厚さは、100乃至300nmであることが好ましい。
【0055】
この強磁性金属薄膜上に、10nm程度の厚みのダイヤモンド状カーボン膜がコーティングされ、さらにその上に、フッ素化合物等の潤滑剤が塗布されても良い。
【0056】
他の片側表面Bに、カーボンブラック等の固体微粒子、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の結合剤からなり、必要に応じてシリコーン樹脂等の各種添加剤が加えられた溶液が塗布されることにより、バックコート層を形成しても良い。バックコート層の厚さは0.3乃至1.5μm程度が好ましい。
【0057】
固体微粒子、結合剤、添加剤としては、先に引用した公知の特許に記載されているものを使用することができる。
【0058】
【実施例】
次に、本発明の実施例および比較実施例が説明される。
【0059】
本実施例において用いられる特性値の測定方法:
(イ)表面粗さRa値
表面粗さRa値は、JISB0601に規定される中心線平均粗さに相当する。測定は、触針式表面粗さ計により、フィルムの長手方向に行われる。
【0060】
触針の半径は、2乃至5μm、カットオフ値は、0.25mm、評価長さは、5mm程度である。
【0061】
(ロ)3次元表面粗さSRa値、および、3次元表面粗さSRz値
それぞれの値は、小坂研究所製の光触針式(臨界角焦点エラー検出方式)の3次元粗さ計(ET−30HK)で測定される。
【0062】
3次元表面粗さSRa値は、JISB0601に規定される表面粗さRaに相当する中心線面平均粗さである。
【0063】
3次元表面粗さSRz値は、JISB0601に規定される表面粗さRzに相当する十点平均面粗さである。この値は、粗さ曲面から基準面積分だけ抜きとられた部分の平均面が基準面とされ、最高値から5番目までの山の標高の平均値と最深値から5番目までの谷底の深さの平均値との間の距離から求められる。
【0064】
試験片は、フィルムの測定表面にAlを蒸着することにより用意された。
【0065】
測定方向は、幅方向である。カットオフ値は、0.08mm、測定長は、0.1乃至0.25mm、送りピッチは、0.2μm、測定スピードは、20μm/sec、測定本数は、100本である。測定値の単位は、nmである。
【0066】
(ハ)ドロップアウト(DO)個数
製造された磁気テープ(DVCテープ)の特性評価は、市販のカメラ一体型デジタルビデオテープレコーダーのLPモードが用いられ、静かな室内で録画、再生が行われ、検出されるドロップアウト(DO)個数を測定することにより行われる。
【0067】
市販のカメラ一体型デジタルビデオテープレコーダーに、製造されたDVCテープがセットされ、これに録画がなされる。この録画が再生されると、画面における再生画像中に、画像の一部が四角形状に抜ける(画像が消える)状態(ドロップアウト)が観察されることがある。この四角形の現れ方は、1個または複数個が独立して現れる場合、複数個連続して、さらに大きな四角形あるいはL字型に現れる場合などがある。
【0068】
ドロップアウト(DO)個数は、ドロップアウトの形状、数には関係なく、ドロップアウトの現象が、1分間の再生時間帯中において、現れて約1秒間それが消えない場合、それを1個と数えることにより、測定される。
【0069】
実施例1
ベースフィルムは、実質的に不活性粒子を含有しないポリエチレンテレフタレートに平均粒径60nmのシリカが0.03重量%含有せしめられた原料Aと、同一のポリエチレンテレフタレートに平均粒径300nmのケイ酸アルミニウムが0.20重量%含有せしめられた原料Bとが、厚み比5:1の割合で共押出しされ、冷却ドラムに密着せしめられシート化され、ロール延伸法で110℃で3.0倍に縦延伸され、縦延伸後、次の組成からなる固形分濃度が20mg/m2の水溶液が、片側表面Aに塗布され、次いで、横延伸され、更に、熱処理されることにより、製造された。このベースフィルムは、原料A層と原料B層とからなる複合ポリエステルフィルムである。
【0070】
水溶液の組成:
メチルセルロース 0.10重量%
水溶性ポリエステル(*) 0.30重量%
アミノエチルシランカップリング剤 0.01重量%
平均粒径16nmの極微細シリカ 0.03重量%
(*)上記水溶性ポリエステルは、テレフタル酸70モル%、5−ナトリウムスルホイソフタル酸30モル%の酸成分とエチレングリコールとの1:1の共重合体である。
【0071】
水溶液が塗布されたフィルムは、ステンターにて、横方向に102℃で4.2倍に延伸され、215℃で熱処理された後、中間スプールに巻き取られた。中間スプールに巻き取られたフィルムは、引き出され、スリッターで、550mm幅のフィルムにスリットされ、スリットされたフィルムは、円筒コアーに12,000mの長さで巻き取られ、ここにフィルムロールが形成された。フィルムの厚さは、6.3μmであった。スリットは、15℃以上25℃以下の雰囲気温度で行われた。
【0072】
製造されたフィルムロールは、ポリエチレンフィルムからなる包装体でカバーされ、ダンポール箱に収納された。このダンボール箱への梱包作業は、17℃以上25℃以下の雰囲気温度で行われた。
【0073】
フィルムロールが収納されたダンボール箱は、保管温度22℃±3℃(T=22)に温度管理された倉庫に搬入され、そこで、30日間(D=30)保管された。
【0074】
倉庫で保管された後、ダンボール箱は、蒸着機設置場所に移され、そこで開梱され、取り出されたフィルムロールは、蒸着機に仕掛けられた。フィルムロールから引き出されたポリエステルフィルムの表面Aに、真空蒸着により、コバルト−酸素薄膜が150nmの膜厚で形成された。
【0075】
次いで、形成されたコバルト−酸素薄膜上に、スパッタリング法により、ダイヤモンド状カーボン膜が10nmの厚さで形成せしめられ、その後、フッ素含有脂肪酸エステル系潤滑剤が3nmの厚さで塗布された。
【0076】
続いて、カーボンブラック、ポリウレタン、シリコーンからなるバックコート層が500nmの厚さで形成せしめられた。
【0077】
次いで、フィルムは、スリッターにより、幅6.35mmのテープにスリットされ、リールに巻き取られ、磁気テープ(DVCビデオテープ、LPモード)が製造された。
【0078】
得られたポリエステルフィルムの特性、保管温度、磁気テープの特性が、表1に示される。ポリエステルフィルムのB面のSRa値、SRz値は、それぞれ20nm、270nmであった。
【0079】
この実施例における保管温度(T)と保管日数(D)とは、前記式(I)の関係を満足するものであった。
【0080】
実施例2
実施例1において作成されたポリエステルフィルムが収容されたダンボール箱は、倉庫に保管されることなく、保管温度19℃±3℃(T=19)に管理されたリーファーコンテナー(reefer container)に搬入された。リーファーコンテナーは、35日(D=35)かけて、蒸着機設置場所に輸送された。
【0081】
その後、この輸送されたフィルムロールは、実施例1と同様にして、磁気テープ(DVCビデオテープ、LPモード)の製造に用いられた。
【0082】
得られたポリエステルフィルムの特性、輸送中の保管温度(輸送温度)、磁気テープの特性が、表1に示される。ポリエステルフィルムのB面のSRa値、SRz値は、それぞれ20nm、270nmであった。
【0083】
この実施例における保管温度(T)と保管日数(D)とは、前記式(I)の関係を満足するものであった。
【0084】
実施例3
この実施例におけるベースフィルムの製造は、実施例1のベースフィルム製造において用いられた原料Aより、平均粒径60nmのシリカを除いたものである点で異なり、他の点は実施例1と同様とされた。得られたフィルムは、実施例1と同様にして、磁気テープとされた。幅6.35mmの磁気テープが製造された。
【0085】
得られたポリエステルフィルムの特性、保管温度、磁気テープの特性が、表1に示される。ポリエステルフィルムのB面のSRa値、SRz値は、それぞれ20nm、270nmであった。
【0086】
実施例4
この実施例におけるベースフィルムの製造は、実施例1のベースフィルム製造において用いられたポリエチレンテレフタレートがポリエチレン−2,6−ナフタレートに変更され、原料B内のケイ酸アルミニウムの含有量が1.1重量%に変更され、縦延伸温度、倍率が135℃で5.0倍に変更されて行われた。さらに、縦延伸されたフィルムは、温度135℃、倍率6.5倍で横延伸され、次いで、温度200℃で熱処理された。その他は実施例1と同様とされた。厚さ4.2μm、幅550mm、長さ12,000mのフィルムが巻き取られたフィルムロールが製造された。このフィルムから、実施例1と同様にして、幅6.35mmの磁気テープが製造された。
【0087】
得られたポリエステルフィルムの特性、保管温度、磁気テープの特性が、表1に示される。ポリエステルフィルムのB面のSRa値、SRz値は、それぞれ22nm、280nmであった。
【0088】
実施例5
実施例1における倉庫に一旦保管されたポリエステルフィルムが収容されたダンボール箱が、保管温度19℃±3℃(T=19)に管理されたリーファーコンテナーに移された。リーファーコンテナーは、35日(D=35)かけて、蒸着機設置場所に輸送された。
【0089】
その後は、この輸送されたフィルムロールは、実施例1と同様にして、磁気テープ(DVCビデオテープ、LPモード)の製造に用いられた。
【0090】
得られたポリエステルフィルムの特性、保管温度、輸送中の保管温度(輸送温度)、磁気テープの特性が表1に示される。ポリエステルフィルムのB面のSRa値、SRz値は、それぞれ20nm、270nmであった。
【0091】
この実施例における倉庫中および輸送中の保管温度(T)と倉庫中および輸送中の保管日数(D)とは、それぞれ前記式(I)の関係を満足するものであった。
【0092】
比較例1
実施例1のベースフィルム製造において、塗布水溶液中の極微細シリカの濃度が0.14重量%に、水溶液塗布の固形分濃度が80mg/m2に変更された。その他は、実施例1と同様とされた。厚さ6.3μmのフィルムが巻き取られて形成されたフィルムロールが製造された。このフィルムから、幅6.35mmの磁気テープが製造された。
【0093】
得られたポリエステルフィルムの特性、保管温度、磁気テープの特性が、表1に示される。ポリエステルフィルムのB面のSRa値、SRz値は、それぞれ20nm、270nmであった。
【0094】
比較例2
実施例1において得られたベースフィルムロールが、夏場、温度管理が行われない倉庫に、保管日数(D)30日(D=30)で保管された。保管温度(T)は、平均値で38℃(T=38)であった。このフィルムロールのフィルムが用いられ、実施例1と同様にして、幅6.35mmの磁気テープが作成された。
【0095】
得られたポリエステルフィルムの特性、保管温度、磁気テープの特性が、表1に示される。ポリエステルフィルムのB面のSRa値、SRz値は、それぞれ20nm、270nmであった。
【0096】
この比較例は、式(I)の左辺(log D)の値が1.477、右辺(−0.014xT+1.903)の値が1.371であり、式(I)の関係、左辺≦右辺の関係が成り立っていない場合の例である。
【0097】
比較例3
実施例2におけるベースフィルムロールの輸送が、夏場、温度管理が施されていないコンテナーにて行われた。輸送中の保管日数(D)は、35日(D=35)であり、輸送中の保管温度(輸送温度)(T)は、平均値で43℃(T=43)であった。他は実施例2と同様にして、幅6.35mmの磁気テープが製造された。
【0098】
得られたポリエステルフィルムの特性、輸送中の保管温度(輸送温度)、磁気テープの特性が、表1に示される。ポリエステルフィルムのB面のSRa値、SRz値は、それぞれ20nm、270nmであった。
【0099】
この比較例は、式(I)の左辺(log D)の値が1.544、右辺(−0.014xT+1.903)の値が1.301であり、式(I)の関係、左辺≦右辺の関係が成り立っていない場合の例である。
【0100】
比較例4
実施例1におけるベースフィルムロールの保管が、冬場、温度管理が施されていない倉庫にて行われた。他は実施例1と同様にして、幅6.35mmの磁気テープが製造された。保管温度の平均値は、7℃であった。
【0101】
得られたポリエステルフィルムの特性、保管温度、磁気テープの特性が、表1に示される。ポリエステルフィルムのB面のSRa値、SRz値は、それぞれ20nm、270nmであった。
【0102】
比較例5
実施例2におけるベースフィルムロールの輸送が、冬場、温度管理を施されていないコンテナーにて行われた。他は実施例2と同様にして、幅6.35mmの磁気テープが製造された。輸送中の保管温度(輸送温度)の平均値は、4℃であった。
【0103】
得られたポリエステルフィルムの特性、輸送中の保管温度(輸送温度)、磁気テープの特性が、表1に示される。ポリエステルフィルムのB面のSRa値、SRz値は、それぞれ20nm、270nmであった。
【0104】
【表1】
Figure 0004288780
【0105】
【発明の効果】
本発明に係る磁気記録媒体用ポリエステルフィルムの保管方法に従って保管されたベースフィルムの片側表面Aに、強磁性金属薄膜層が設けられた磁気テープは、デジタルビデオテープにおけるドロップアウト(DO)個数が少ない。この状況は、表1のデータにより示される。この磁気テープは、デジタルビデオテープとして好ましく用いられる。

Claims (6)

  1. 真空蒸着により強磁性金属薄膜を形成する片側表面Aの表面粗さRa値が6nm以下である磁気記録媒体用ポリエステルフィルムを、温度が10℃以上25℃以下の範囲に管理された保管雰囲気中に、実質的に保管する磁気記録媒体用ポリエステルフィルムの保管方法。
  2. 前記ポリエステルフィルムは、幅が400mm以上、長さが10,000m以上であり、ボビン上に巻き上げられてなるフィルムパッケージの状態で、前記保管雰囲気中に保管される請求項に記載の磁気記録媒体用ポリエステルフィルムの保管方法。
  3. 前記ポリエステルフルムは、厚さが7.0μm未満である請求項に記載の磁気記録媒体用ポリエステルフィルムの保管方法。
  4. 前記ポリエステルフィルムは、ポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレン−2、6−ナフタレートからなる請求項に記載の磁気記録媒体用ポリエステルフィルムの保管方法。
  5. 前記保管が、定位置における保管および/または輸送中における保管である請求項1に記載の磁気記録媒体用ポリエステルフィルムの保管方法。
  6. 請求項1乃至のいずれかに記載の磁気記録媒体用ポリエステルフィルムの保管方法によって保管されたポリエステルフィルムの前記片側表面Aに、真空蒸着により強磁性金属薄膜を形成する磁気記録媒体の製造方法
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