JP4287698B2 - 酸化物半導体発光素子およびその製造方法 - Google Patents

酸化物半導体発光素子およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、酸化物半導体レーザ等の酸化物半導体発光素子および酸化物半導体発光素子の製造方法に関し、詳しくは、発振閾値電流が低く信頼性に優れた酸化物半導体レーザ等の酸化物半導体発光素子およびその酸化物半導体発光素子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
酸化物半導体を用いた半導体レーザなどの酸化物半導体発光素子では、活性層とクラッド層との間に光ガイド層を形成した分離閉じ込めヘテロ構造がよく用いられている。この分離閉じ込めヘテロ構造を適用した半導体レーザ素子は、光ガイド層によって活性層への光閉じ込め率が向上し、発振閾値電流の低減や導波モードの制御に極めて有効である。
【0003】
この分離閉じ込めヘテロ構造を適用した半導体レーザ素子としては、例えば、特許3235440号公報(特許文献1)に示されたものがある。この半導体レーザ素子は、青色〜紫外領域の波長の光を発光するIII族窒化物系半導体発光素子であり、基板の上方に、Alを含むIII族窒化物系半導体層と、GaN層と、Inを含むIII族窒化物系半導体層(n型ガイド層のみ)とを積層して、光ガイド層を形成している。
【0004】
また、他の酸化物半導体発光素子としては、酸化亜鉛(ZnO)を用いたものがある。酸化亜鉛(ZnO)は、約3.4eVのバンドギャップエネルギーを有する直接遷移型半導体で、励起子結合エネルギーが60meVと極めて高く、また原材料が安価、環境や人体に無害で成膜手法が簡便であるなどの特徴を有し、高効率・低消費電力で環境性に優れた発光デバイスを実現出来る可能性がある。
【0005】
ZnOおよびこれを母体としたMgZnOあるいはCdZnOなどで表される混晶を含めるZnO系半導体を用いた酸化物半導体発光素子としては、例えば、国際公報WO00/16411号公報(特許文献2)に示されたものがある。この酸化物半導体発光素子は、CdZnO量子井戸活性層を用いたダブルヘテロ構造を有し、ストレス緩和層とクラッド層の間に光ガイド層が設けられている。
【0006】
【特許文献1】
特許3235440号公報
【特許文献2】
国際公報WO00/16411号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ZnO系半導体の特長である大きな自由励起子結合エネルギーを利用した発振閾値電流が小さい半導体レーザ素子は、これまで存在しなかった。
【0008】
例えば、本発明者は、以前、発振閾値電流を低減するために、光学利得の大きな量子井戸活性層を作製して、この量子井戸活性層の周囲に光ガイド層を形成することによってZnO系半導体レーザ素子を作製してみたが、このようにして作製されたZnO系半導体レーザ素子は、発振閾値電流が大きく低減せず、素子寿命も極めて短かいという問題があった。
【0009】
そこで、本発明の目的は、発振閾値電流が小さく、かつ、信頼性に優れたZnO系酸化物半導体発光素子を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、この発明の酸化物半導体発光素子は、
基板の上に、少なくともZnO系半導体で構成された第1導電型クラッド層、第1導電型光ガイド層、活性層、第2導電型光ガイド層および第2導電型クラッド層が、この順に積層され、
上記第2導電型光ガイド層は、Cdを含んだZnO系半導体からなる層およびMgを含んだZnO系半導体からなる層を含み、
上記第2導電型光ガイド層のバンドギャップエネルギーは、上記活性層のバンドギャップエネルギー以上で、かつ、上記第2導電型クラッド層のバンドギャップエネルギー以下になっており、
上記第2導電型光ガイド層のバンドギャップエネルギーは、上記活性層側から上記第2導電型クラッド層側に近づくにつれて大きくなるように傾斜していることを特徴としている。
【0011】
尚、この明細書では、上記ZnO系半導体を、ZnO結晶のみで出来た半導体、または、これを母体とするMgZnOあるいはCdZnO半導体等のZnO結晶に混晶を行った半導体として定義するものとする。
【0012】
また、この明細書では、第1導電型とは、n型またはp型のことを言う。第1導電型がn型である場合、第2導電型はp型であり、第1導電型がp型である場合、第2導電型はn型である。
【0013】
また、上記「活性層のバンドギャップエネルギー以上で」という表現には、例えば、第2導電型光ガイド層の構造を超格子構造にした場合に起こり得るように、上記第2導電型光ガイド層のバンドギャップエネルギーが、活性層の近傍で、部分的に、活性層のバンドギャップエネルギーよりも小さくなる場合も含めるものとする。
【0014】
また、上記「活性層側から上記第2導電型クラッド層側に近づくにつれて大きくなる」という表現には、活性層側から上記第2導電型クラッド層側に近づくにつれて部分的にバンドギャップエネルギーが一定になる場合や、例えば、第2導電型光ガイド層の構造を超格子構造にした場合に起こり得るように、活性層側から上記第2導電型クラッド層側に近づくにつれて局所的にバンドギャップエネルギーが減少する場合も含めるものとする。
【0015】
本発明者は、酸化物半導体発光素子の光ガイド層のバンドギャップエネルギーに傾斜を持たせると、酸化物半導体発光素子の発振閾値電流を低減できると共に、酸化物半導体発光素子の信頼性も向上させることができることを見出した。すなわち、本発明者は、ZnO系半導体はバンドギャップエネルギーが大きくなるに伴って屈折率が小さくなる性質を有することと、バンドギャップエネルギーがII族元素であるZnとCdあるいはZnとMgの組成比によって決定されることに着目することによって、ZnとCdあるいはZnとMgの組成比を適切に変化させて、光ガイド層の組成を適切に傾斜させれば、光ガイド層を一定組成で構成した場合よりも光閉じ込め効果を大きくできて、発振閾値電流を低減できることを見出した。また、特に、本発明者は、第2導電型光ガイド層側のバンドギャップエネルギーを、上記活性層側から上記第2導電型クラッド層側に近づくにつれて大きくなるように傾斜させた場合に、成長条件を急峻に変化させるより結晶欠陥を低減させることができて、低い電流で動作できて信頼性も高くできることを見出した。
【0016】
上記発明の酸化物半導体発光素子によれば、上記第2導電型光ガイド層のバンドギャップエネルギーが、上記活性層側から上記第2導電型クラッド層側に近づくにつれて大きくなるように傾斜させているので、酸化物半導体発光素子を低い電流で動作できて、酸化物半導体発光素子の信頼性を高くできる。
【0017】
また、一実施形態の酸化物半導体発光素子は、上記第1導電型光ガイド層のバンドギャップエネルギーは、上記活性層のバンドギャップエネルギー以上で、かつ、上記第1導電型クラッド層のバンドギャップエネルギー以下になっており、上記第1導電型光ガイド層のバンドギャップエネルギーは、上記活性層側から上記第1導電型クラッド層側に近づくにつれて大きくなるように傾斜していることを特徴としている。
【0018】
尚、上記「活性層のバンドギャップエネルギー以上で」という表現には、例えば、第1導電型光ガイド層の構造を超格子構造にした場合に起こり得るように、上記第1導電型光ガイド層のバンドギャップエネルギーが、活性層の近傍で、部分的に、活性層のバンドギャップエネルギーよりも小さくなる場合も含めるものとする。
【0019】
また、上記「活性層側から上記第1導電型クラッド層側に近づくにつれて大きくなる」という表現には、活性層側から上記第1導電型クラッド層側に近づくにつれてバンドギャップエネルギーが部分的に一定になる場合や、例えば、第1導電型光ガイド層の構造を超格子構造にした場合に起こり得るように、活性層側から上記第1導電型クラッド層側に近づくにつれて局所的にバンドギャップエネルギーが減少する場合も含めるものとする。
【0020】
上記実施形態によれば、第2導電型光ガイド層の組成を傾斜させたことに加え、第1導電型光ガイド層の組成も傾斜させているので、光閉じ込め率を更に向上させることができる。また、第1導電型光ガイド層の組成も傾斜させることによって、光強度分布が対称になるので、単一モード発振の安定性も向上できる。また、第1導電型光ガイド層成長時の条件変化が緩和されるので、結晶欠陥を更に低減できる。このことから、酸化物半導体発光素子を、光学特性に優れ、かつ、信頼性の高いものにできる。
【0021】
【0022】
また、本発明によれば、光ガイド層を組成の異なる2層以上の積層構造としているので、組成比を傾斜させるだけでは制御することが困難な屈折率やバンドギャップエネルギーを、微細な変化に至るまで完全に制御出来る。また、バンドギャップエネルギーの大きなMgZnO混晶層を積層構造の1層に選択しているから、活性層へのキャリア閉じ込めを向上させることが出来て、酸化物半導体発光素子を、光学特性に優れたものにできる。
【0023】
また、一実施形態の酸化物半導体発光素子は、上記積層構造が、組成の異なるZnO系半導体の超格子構造を含むことを特徴としている。
【0024】
上記実施形態によれば、光ガイド層の構造を、組成の異なるZnO系半導体の超格子構造としたので、屈折率やバンドギャップエネルギーの変化を更に微細に制御出来て、キャリア移動度を向上できる。したがって、酸化物半導体発光素子を、電気特性と光学特性に優れたものにできる。
【0025】
また、一実施形態の酸化物半導体発光素子は、上記第1導電型光ガイド層および上記第2導電型光ガイド層の少なくとも一方の傾斜しているバンドギャップエネルギーが、階段状に不連続に変化することを特徴としている。
【0026】
上記実施形態によれば、上記第1導電型光ガイド層および上記第2導電型光ガイド層の少なくとも一方の成長条件を階段状に不連続に変化させて、組成比を階段状に変化させるので、連続的な条件変化が困難なレーザ分子線エピタキシー法等の結晶成長手法を用いることが可能になり、レーザ分子線エピタキシー法等を用いて容易に組成を傾斜させることが出来る。このことから、酸化物結晶に好適な成長手法を状況に応じて選別できるので、酸化物半導体発光素子の発光特性を優れたものにでき、酸化物半導体発光素子の信頼性を高くできる。
【0027】
また、一実施形態の酸化物半導体発光素子は、上記活性層側から上記第1導電型クラッド層側に近づくにつれて上記第1導電型光ガイド層のバンドギャップエネルギーが大きくなるように傾斜していない場合には、
上記第2導電型光ガイド層と、上記第2導電型クラッド層の間に、上記第2導電型光ガイド層および上記第2導電型クラッド層よりも大きなバンドギャップエネルギーを有する第2導電型キャリアオーバフロー抑制層を形成し、
上記活性層側から上記第1導電型クラッド層側に近づくにつれて上記第1導電型光ガイド層のバンドギャップエネルギー大きくなるように傾斜している場合には、
上記第2導電型光ガイド層と、上記第2導電型クラッド層の間に、上記第2導電型光ガイド層および上記第2導電型クラッド層よりも大きなバンドギャップエネルギーを有する第2導電型キャリアオーバフロー抑制層と
上記第1導電型光ガイド層と、上記第1導電型クラッド層との間に、上記第1導電型光ガイド層および上記第1導電型クラッド層よりも大きなバンドギャップエネルギーを有する第1導電型キャリアオーバフロー抑制層の内の少なくとも一方を形成したことを特徴としている。
【0028】
上記実施形態によれば、上記第2導電型光ガイド層と、上記第2導電型クラッド層の間に、上記第2導電型光ガイド層および上記第2導電型クラッド層よりも大きなバンドギャップエネルギーを有する第2導電型キャリアオーバフロー抑制層と、上記第1導電型光ガイド層と、上記第1導電型クラッド層との間に、上記第1導電型光ガイド層および上記第1導電型クラッド層よりも大きなバンドギャップエネルギーを有する第1導電型キャリアオーバフロー抑制層の少なくとも一方を形成したので、活性層からのキャリアオーバーフローを抑制できて、酸化物半導体発光素子の発光効率を向上できる。
【0029】
また、一実施形態の酸化物半導体発光素子は、上記活性層が、量子井戸構造になっていることを特徴としている。
【0030】
量子井戸活性層は、偏波選択性に優れるといった長所や、大きな光学利得と特性温度を有するといった長所を有し、活性層を量子井戸構造にすれば、高性能な半導体レーザ素子を作製出来る一方、活性層厚が薄いため光閉じ込め率が小さいといった短所がある。この発明では、活性層側からクラッド層側に近づくにつれて光ガイド層のバンドギャップエネルギーを大きくしているので、光ガイド層の屈折率を、活性層側で高くクラッド層側で低できて、活性層の光閉じ込めを大きくできる。したがって、活性層を量子井戸構造にすることによって、酸化物半導体発光素子の発光特性を更に優れたものにできる。
【0031】
また、本発明の酸化物半導体発光素子の製造方法は、
基板の上に、少なくともZnO系半導体で構成された第1導電型クラッド層、第1導電型光ガイド層、活性層、第2導電型光ガイド層および第2導電型クラッド層が、この順に積層されている酸化物半導体発光素子を製造する酸化物半導体発光素子の製造方法であって、
上記第2導電型光ガイド層および上記第1導電型光ガイド層の少なくとも一方における少なくとも一部分のCdを含んだZnO系半導体から成る層を、CdとZnの供給速度を一定にし、かつ、成長温度を変化させる条件で成長させることにより、上記基板に略垂直な方向で、上記少なくとも一部分のZnに対するCdの割合を変えて、上記第2導電型光ガイド層および上記第1導電型光ガイド層のうちの少なくとも一方の光ガイド層のバンドギャップエネルギーを、その少なくとも一方の光ガイド層と同じ導電型のクラッド層側に近づくにつれて大きくなるように傾斜させる工程と、
上記第2導電型光ガイド層および上記第1導電型光ガイド層の少なくとも一方における少なくとも一部分のMgを含んだZnO系半導体から成る層を、ZnとMgの供給速度を一定にし、かつ、成長温度を変化させる条件で成長させることにより、上記基板に略垂直な方向で、上記少なくとも一部分のZnに対するMgの割合を変えて、上記第2導電型光ガイド層および上記第1導電型光ガイド層のうちの少なくとも一方の光ガイド層のバンドギャップエネルギーを、その少なくとも一方の光ガイド層と同じ導電型のクラッド層側に近づくにつれて大きくなるように傾斜させる工程
の内の少なくとも一方の工程を備えることを特徴としている。
【0032】
CdはZnより蒸気圧が高いので、成長温度が上昇すると供給速度が一定であってもZnに対するCd組成比が減少する。また、MgはZnより蒸気圧が低いので、成長温度が上昇すると供給速度が一定であってもZnに対するMg組成比が増大する。したがって、成長温度のみを制御することによって、Znに対するCd組成比、または、Znに対するMg組成比を簡単に変化させることができ、バンドギャップエネルギーを傾斜させることができるので、酸化物半導体発光素子の工数を低減できて、酸化物半導体発光素子の生産性を向上できる。
【0033】
また、本発明の酸化物半導体発光素子の製造方法は、
基板の上に、少なくともZnO系半導体で構成された第1導電型クラッド層、第1導電型光ガイド層、活性層、第2導電型光ガイド層および第2導電型クラッド層が、この順に積層されている酸化物半導体発光素子を製造する酸化物半導体発光素子の製造方法であって、
上記第2導電型光ガイド層における少なくとも一部分のCdを含んだZnO系半導体から成る層を、Cdの供給速度を減少させ、かつ、成長温度を変化させる条件で成長させることにより、上記基板に略垂直な方向で、上記少なくとも一部分のZnに対するCdの割合を変えて、上記第2導電型光ガイド層のバンドギャップエネルギーを、上記第2導電側クラッド層に近づくにつれて大きくなるように傾斜させる工程と、上記第1導電型光ガイド層における少なくとも一部分のCdを含んだZnO系半導体から成る層を、Cdの供給速度を増加させ、かつ、成長温度を変化させる条件で成長させることにより、上記基板に略垂直な方向で、上記少なくとも一部分のZnに対するCdの割合を変えて、上記第1導電型光ガイド層のバンドギャップエネルギーを、上記第1導電型クラッド層側に近づくにつれて大きくなるように傾斜させる工程とのうちの少なくとも一方を含む工程と、
上記第2導電型光ガイド層における少なくとも一部分のMgを含んだZnO系半導体から成る層を、Mgの供給速度を増加させ、かつ、成長温度を変化させる条件で成長させることにより、上記基板に略垂直な方向で、上記少なくとも一部分のZnに対するMgの割合を変えて、上記第2導電型光ガイド層のバンドギャップエネルギーを、上記第2導電型クラッド層側に近づくにつれて大きくなるように傾斜させる工程と、上記第1導電型光ガイド層における少なくとも一部分のMgを含んだZnO系半導体から成る層を、Mgの供給速度を減少させ、かつ、成長温度を変化させる条件で成長させることにより、上記基板に略垂直な方向で、上記少なくとも一部分のZnに対するMgの割合を変えて、上記第1導電型光ガイド層のバンドギャップエネルギーを、上記第1導電型クラッド層側に近づくにつれて大きくなるように傾斜させる工程とのうちの少なくとも一方を含む工程と
のうちの少なくとも一方の工程を備えることを特徴としている。
【0034】
尚、上記「Cdの供給速度を減少(あるいは増加)させ」、または、上記「Mgの供給速度を減少(あるいは増加)させ」の表現には、Cdの供給速度が部分的(全体的でなく)に一定になっている場合、または、Mgの供給速度が部分的(全体的でなく)に一定になっている場合を含めるものとする。
【0035】
上記発明のようにCdあるいはMgの供給速度を減少(あるいは増加)させると、バンドギャップエネルギー傾斜の制御性を更に向上させることができて、光学特性に優れた酸化物半導体発光素子を作製出来る。
【0036】
また、一実施形態の酸化物半導体発光素子の製造方法は、上記Cdを含んだZnO系半導体から成る層および上記Mgを含んだZnO系半導体から成る層の少なくとも一方を成長させるときの成長温度を、連続的に変化させることを特徴としている。
【0037】
上記実施形態のように成長条件を連続的に変化させて、組成比を連続的に傾斜させると、成長条件を急峻に変化させたときより結晶欠陥を低減することができて、酸化物半導体発光素子の信頼性を高くすることができる。
【0038】
また、一実施形態の酸化物半導体発光素子の製造方法は、上記Cdを含んだZnO系半導体から成る層および上記Mgを含んだZnO系半導体から成る層の少なくとも一方を成長させるときの成長温度を、段階的に変化させることを特徴としている。
【0039】
上記実施形態によれば、上記成長温度を段階的に変化させて成長条件を変化させるので、レーザ分子線エピタキシー法など連続的な条件変化が困難な結晶成長手法を用いて容易にバンドギャップエネルギーを傾斜させることが出来て、かつ、成長条件を急峻に変化させた場合よりも結晶欠陥を低減できる。このことから、酸化物半導体発光素子を光学特性と信頼性に優れたものにできる。
【0040】
また、一実施形態の酸化物半導体発光素子の製造方法は、上記CdとMgの少なくとも一方の供給速度を、段階的に変化させることを特徴としている。
【0041】
上記実施形態のように、CdあるいはMg供給速度の段階的に変化させると、成長条件の変化が更に緩和され、結晶欠陥が更に低減する。このことから、酸化物半導体発光素子の信頼性を更に優れたものにできる。
【0042】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0043】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態の酸化物半導体発光素子であるZnO系半導体レーザ素子の構造斜視図および活性層近傍のバンドプロファイルである。
【0044】
この半導体レーザ素子は、半導体基板の一例としての亜鉛面を主面としたn型ZnO単結晶基板101上(第1実施形態では、第1導電型をn型にし、第2導電型をp型にした)に、Gaドーピング濃度が1×1018cm- で厚さが0.1μmのn型ZnOバッファ層102、Gaドーピング濃度が3×1018cm- で厚さが1μmのn型Mg . Zn . Oクラッド層103、Gaドーピング濃度が5×1017cm- で厚さが30nmのn型Cd . 05Zn . 95O光ガイド層104、活性層の一例としてのノンドープ量子井戸活性層105、Nドーピング濃度が1×1018cm- で厚さが30nmのp型光ガイド層106、Nドーピング濃度が5×1019cm- で厚さが1.2μmのp型Mg . Zn . Oクラッド層107、Nドーピング濃度が1×1020cm- で厚さが0.5μmのp型ZnOコンタクト層108を順次積層している。
【0045】
上記ノンドープ量子井戸活性層105は、厚さが5nmのCd . 05Zn . 95O障壁層2層と、厚さが6nmのCd . Zn . O井戸層3層とを互い違いに交互に積層して形成されている。図1において、矢印Aは、バンドギャップエネルギーの増大方向を示し、曲線Bは、各層のバンドギャップエネルギーを示している。図1に示すように、Cd . 05Zn . 95O障壁層2層のバンドギャップエネルギーは、Cd . Zn . O井戸層3層のバンドギャップエネルギーよりも大きくなっており、電子とホールをCd . Zn . O井戸層3層に重点的に閉じ込めることができるようになっている。
【0046】
上記p型光ガイド層106は、厚さが10nmのCd . 05Zn . 95O層106a、厚さが10nmのCdZn - O層106bおよび厚さが10nmのMgZn - O層106cの3つの層から成っている。上記Cd組成比xは0.05〜0まで連続的に変化し、Mg組成比yは0〜0.1まで連続的に変化している。このように、上記Cd組成およびMg組成比を連続的に変化させることにより、図1に示すように、この実施形態の半導体レーザ素子は、p型光ガイド層106のバンドギャップエネルギーが、ノンドープ量子井戸活性層105側からp型Mg . Zn . Oクラッド層107に向かって増加するように傾斜している。尚、この実施形態では、上記Cd . 05Zn . 95O障壁層2層のバンドギャップエネルギーと、第1の光ガイド層であるCd . 05Zn . 95O層106aのバンドギャップエネルギーが同じ値に設定されており、量子井戸のエネルギー深さが、量子井戸の両側で同じになっている。
【0047】
p型ZnOコンタクト層108およびp型MgZnOクラッド層107はリッジストライプ状にエッチング加工され、エッチングされたp型MgZnOクラッド層107上に、上記リッジストライプの側面に接触するように、Gaが3×1018cm- の濃度でドーピングされたn型Mg . Zn . O電流ブロック層109が埋め込まれている。
【0048】
ZnO基板101の下には、n型オーミック電極110が形成される一方、p型ZnOコンタクト層108およびn型Mg . Zn . O電流ブロック層109の上には、p型オーミック電極111が形成されている。
【0049】
第1実施形態の半導体レーザ素子は、図2に示す分子線エピタキシー(以下MBEと称する)装置で作製されている。
【0050】
このMBE装置は、超高真空に排気可能な成長室201の上部に基板ホルダー202が配置され、基板ホルダー202に基板203が固定されている。基板ホルダー202上部に配置されたヒーター204により基板ホルダー202が加熱され、その熱伝導により基板203が加熱されるようになっている。基板ホルダー202直下には適当な距離を置いて半導体原料を充填した蒸発セル205が複数配置されている。各々の蒸発セル205は側面に設けられた加熱ヒータ206によって加熱され、蒸発した分子状の原料が基板203に堆積することにより薄膜を成長させるようになっている。各々の蒸発セル205はシャッター207を有している。上記MBE装置は、各蒸発セル205のシャッター207の開閉を制御することによって、異なる組成の薄膜を積層している。また、成長室にはプラズマ状のガス原料を導入出来るよう、ラジカルセル208が設けられている。
【0051】
以下に、主に図1を用いて、上記第1実施形態の半導体レーザ素子の作製方法を説明する。
【0052】
先ず、洗浄処理したZnO基板101をMBE装置に導入して、温度600℃で30分間加熱して清浄化した後、基板温度を450℃に降温して、酸素ラジカルセル、ZnセルおよびGaセルのシャッターを開いて、n型ZnOバッファ層102を成長させる。このとき、Gaドーピング濃度を、基板上でのGa分子線強度によって制御する。
【0053】
次に、基板温度を500℃に昇温して、酸素ラジカルセル、Znセル、MgセルおよびGaセルのシャッターを開いて、Gaがドーピングされたn型Mg . Zn . Oクラッド層103を成長させた後、基板温度を425℃に降温して、酸素ラジカルセル、Znセル、CdセルおよびGaセルのシャッターを開いて、Gaがドーピングされたn型Cd . 05Zn . 95O光ガイド層104を成長させる。
【0054】
次いで、基板温度を400℃に降温して、酸素ラジカルセル、ZnセルおよびCdセルのシャッターの開閉を制御し、Cd . 05Zn . 95O障壁層とCd . Zn . O井戸層を交互に積層して、ノンドープ量子井戸活性層105を成長させる。
【0055】
次に、光ガイド層106を形成する。先ず、基板温度を425℃に昇温して、窒素ラジカルセル、酸素ラジカルセル、ZnセルおよびCdセルのシャッターを開いて、窒素がドーピングされたp型Cd . 05Zn . 95O光ガイド層106aを成長させた後、各原料の分子線強度をそのまま一定にして、温度を425℃から450℃まで徐々に昇温しながら、Cd組成比xが0.05〜0まで連続的に傾斜した窒素がドーピングされたCdZn - O光ガイド層106bを成長させる。この後、窒素ラジカルセル、酸素ラジカルセル、ZnセルおよびMgセルのシャッターを開いて、各原料の分子線強度を一定にして、温度を450℃から500℃まで徐々に昇温しながら、Mg組成比yが0〜0.1まで連続的に傾斜した窒素がドーピングされたMgZn - O光ガイド層106cを成長させる。
【0056】
次いで、基板温度と各原料の分子線強度はそのまま一定にして、p型Mg . Zn . Oクラッド層107を成長させた後、基板温度を450℃に降温して、窒素ラジカルセル、酸素ラジカルセル、Znセルのシャッターを開いて、窒素がドーピングされたp型ZnOコンタクト層108を成長させる。
【0057】
この後、基板101をMBE装置から取り出して、p型ZnOコンタクト層108およびp型Mg . Zn . Oクラッド層107の上部を幅が略1.5μmのリッジ形状にエッチングした後、基板101をMBE装置に再度導入して、基板温度を550℃に昇温して、酸素ラジカルセル、Znセル、MgセルおよびGaセルのシャッターを開いてリッジの側方にリッジと接触するように、Gaがドーピングされたn型Mg . Zn . O電流ブロック層109を成長させる。この後、基板101をMBE装置から取り出して、リッジストライプ上に堆積されたn型Mg . Zn . O層をエッチング除去して、p型ZnOコンタクト層108を露出させる。
【0058】
最後に、p型ZnOコンタクト層108とn型Mg . Zn . O電流ブロック層109の上面全面に、p型オーミック電極111としての厚さ100nmのNiを真空蒸着させる一方、ZnO基板101の裏面全面に、n型オーミック電極110としての厚さ100nmのAlを真空蒸着させて、第1実施形態の半導体レーザ素子の要部を作製する。
【0059】
上記第1実施形態の半導体レーザの要部を作製した後、ZnO基板101を劈開してバーを生成し、バーの端面に端面ミラーを形成する。この端面ミラーに保護膜を真空蒸着させた後、再度バーをストライプ方向にけがいて割り出して半導体レーザ素子を300μmの個別チップに分離する。
【0060】
上記第1実施形態の半導体レーザ素子に電流を流したところ、端面から波長410nmの青色発振光が出射された。
【0061】
本発明者は、比較例として、p型光ガイド層を、n型光ガイド層104と同様のCd . 05Zn . 95Oのみで構成する一方、p型光ガイド層以外の層を、上記第1実施形態の半導体レーザ素子の層と同様な層で構成した半導体レーザ素子を作製し、この半導体レーザ素子のレーザ出射実験を行った。その結果、発振閾値電流が第1実施形態の半導体レーザ素子と比較して2倍に増大し、かつ、素子寿命が1/10になった。
【0062】
上記第1実施形態の酸化物半導体発光素子によれば、p型光ガイド層106のバンドギャップエネルギーを、ノンドープ量子井戸活性層105側からp型クラッド層107側に近づくにつれて大きくなるように傾斜させているので、p型光ガイド層106の屈折率が、ノンドープ量子井戸活性層105側で大きく、かつ、p型クラッド層107側で小さい構造となっている。したがって、酸化物半導体発光素子を低い電流で動作できて、酸化物半導体発光素子の信頼性を高くできる。
【0063】
また、上記第1実施形態の酸化物半導体発光素子によれば、p型光ガイド層106を、組成の異なるCdZn - O層106bと、MgZn - O層106cを用いた積層構造としているので、組成比を傾斜させるだけでは制御することが困難な屈折率やバンドギャップエネルギーを、微細な変化に至るまで完全に制御出来る。また、バンドギャップエネルギーの大きなMgZn - O層106cを積層構造の1層に選択しているので、ノンドープ量子井戸活性層105へのキャリア閉じ込めを向上させることが出来て、酸化物半導体発光素子を、光学特性に優れたものにできる。
【0064】
図3に、Zn、Cd、Mgの蒸気圧と温度の関係を示す。図3の縦軸の蒸気圧の間隔は、指数関数的に増大している。図3に示すように、温度が上昇するに伴ってZnよりもCdの方が蒸発し易くなるので、CdZnO混晶を成長させる際、ZnとCdの供給比が一定であれば、温度が上昇するに伴ってCdの方が格段に蒸発し易くなり、Cdの組成比が低減することになる。また、図3に示すように、温度が上昇するに伴ってMgよりもZnの方が蒸発し易くなるので、MgZnO混晶を成長する際、ZnとMgの供給比が一定であれば、Mgの組成比が増大することになる。
【0065】
このことから、上記光ガイド層106の形成で示したように、Zn、および、CdあるいはMgの供給速度を一定とすると共に、成長温度を変化させながらp型光ガイド層106を成長させるようにするだけで、Znに対するCdの組成比またはMgに対するZnの組成比を簡単に変化させることができて、p型光ガイド層106のバンドギャップエネルギーを簡単に傾斜させることができる。温度による蒸気圧の差を用いる方法が、II族元素の供給比を制御して光ガイド層を成長される方法よりも簡便にp型光ガイド層のバンドギャップエネルギーを傾斜させることができることは勿論である。また、第1実施形態では、成長温度を急峻に変化させず徐々に変化させたので、結晶欠陥の増殖を抑制できる。また、Cd組成比の高い活性層の成長後に、MgZnOクラッド層107を成長させるために温度を上昇させる必要があるので、光ガイド層106の成長温度を徐々に変化させた方がCdの蒸発が抑えられ、素子寿命を向上させることができる。
【0066】
尚、上記第1実施形態の酸化物半導体発光素子では、リッジストライプ幅を略1.5μmにしたが、リッジストライプ幅を略0.5〜3μmの範囲に設定すると、キャリア注入効率が高くて、高次横モードをカットオフしてキンクレベルを向上させることが出来ると共に、動作電圧も低い高性能の酸化物半導体発光素子を作製できる。尚、リッジストライプ幅を0.5μmよりも小さくすると、動作電圧が上昇して信頼性が悪化する。また、リッジストライプ幅を3μmよりも大きくすると、キャリア注入効率が低くなって、高次横モードをカットオフできなくなる。
【0067】
また、上記第1実施形態の酸化物半導体発光素子では、電流ブロック層109のMg組成を0.2以下にしたが、電流ブロック層のMg組成をクラッド層の組成比よりも高く、かつ、0.5以下にすると、実屈折率型の導波機構を実現できて、光吸収を防止できると共に、電流ブロック層の結晶性も優れたものにすることができる。尚、電流ブロック層のMg組成をクラッド層の組成比よりも低くすると、光吸収が発生して、レーザの発振閾値電流が増大する。また、電流ブロック層のMg組成を0.5よりも大きな値に設定すると、電流ブロック層に転位等が発生して、電流ブロック層の結晶性が悪化する。
【0068】
また、上記第1実施形態の酸化物半導体発光素子では、p型ZnO系半導体層にドーピングするアクセプタ不純物として窒素(N)を用いたが、p型ZnO系半導体層にドーピングするアクセプタ不純物として、Nの代わりにNI族元素のLi、Cu、AgやV族元素のAs、P等を用いても良い。p型ZnO系半導体層にドーピングするアクセプタ不純物として、活性化率が高いN、LiまたはAgを用いると、発振閾値電流が小さく、かつ、素子寿命も長い酸化物半導体発光素子を作製できる。また、NはNをプラズマ化して結晶成長中に照射する手法によって、結晶性を良好に保ちながら高濃度のドーピングが行えるので好ましい。
【0069】
また、上記第1実施形態の酸化物半導体発光素子では、n型ZnO系半導体層にドーピングするドナー不純物として、Gaを用いたが、n型ZnO系半導体層にドーピングするドナー不純物として、III族元素のB、Al、In等を用いても良い。ZnO系半導体中での活性化率が高いGaまたはAlを用いると、発振閾値電流が小さく、かつ、素子寿命も長い酸化物半導体発光素子を作製できる。
【0070】
また、上記第1実施形態の酸化物半導体発光素子では、p型MgZnOクラッド層107上にp型コンタクト層108を形成して、p型コンタクト層108上にp型オーミック電極111を形成したが、p型コンタクト層を設けず、p型MgZnOクラッド層上に直接p型オーミック電極を形成しても良い。尚、コンタクト層を形成すると酸化物半導体発光素子の電気抵抗を小さくできる。また、上記第1実施形態の酸化物半導体発光素子のように、コンタクト層の材料を、結晶性に優れたZnOに限定すると、キャリア濃度を高く出来る。p型ZnOコンタクト層108に過剰にアクセプタ不純物をドーピングすると結晶性劣化が顕著となって、酸化物半導体発光素子の素子効率が低下するので、アクセプタ不純物は、キャリア濃度が5×1016〜5×1019cm- の範囲になるようにドーピングされることが好ましい。
【0071】
また、上記第1実施形態の酸化物半導体発光素子では、基板としてn型ZnO単結晶基板101を用いたが、基板として、サファイア基板やスピネル基板あるいはLiGaO基板等の絶縁性基板を用いても良く、SiC基板やGaN基板等の導電性基板を用いても良い。尚、絶縁性基板を用いる場合には、成長層の一部をエッチングしてn型ZnOバッファ層を露出させてn型コンタクト層とし、その上にn型オーミック電極を形成することもできる。上記n型ZnOバッファ層を露出させて形成されるn型コンタクト層材料には、p型コンタクト層の場合と同様にZnOが適しており、ドナー不純物のドーピング濃度は1×1018〜1×1021cm- の範囲が好ましく、更には5×1019〜5×1020cm- の範囲で調整されることが好ましい。また、上記n型ZnOバッファ層を露出させて形成されるn型コンタクト層の膜厚は、0.001〜1μm、好ましくは0.005〜0.5μm、更に好ましくは0.01〜0.1μmの範囲に調整されることが好ましい。絶縁性基板を用いた場合でも、絶縁性基板上にn型バッファ層を形成しても良いことは勿論であり、この場合、n型バッファ層上に結晶性に優れた成長層を形成できる。尚、可視領域における発光効率を最大限に得るために半導体基板が満たさなければならない条件として、次の三つの条件があり(1.ZnOとの面内格子定数差が3%以内であり、非発光中心となる欠陥を低減出来る。2.発光波長に対応する吸収係数が低い。3.導電性基板であり、裏面に電極を形成出来る。)、n型ZnO単結晶基板101は、上記の条件を全て満していて最も好ましい。また、上記第1実施形態の酸化物半導体発光素子のように、n型ZnO単結晶基板101の亜鉛面を主面として、この亜鉛面上に層を形成すると、p型層のキャリア活性化率を向上させることができて、抵抗の低いp型層を形成することができる。
【0072】
また、上記第1実施形態の酸化物半導体発光素子では、p型ZnOコンタクト層108およびn型Mg . Zn . O電流ブロック層109の上面全面に、Niを真空蒸着させて、p型オーミック電極111を形成したが、この発明の酸化物半導体発光素子では、n型コンタクト層およびn型電流ブロック層の上面全面に、Pt、PdまたはAuを蒸着させて、p型オーミック電極を形成しても良く、n型コンタクト層およびn型電流ブロック層の上面全面に、Ni、Pt、PdおよびAuの内の二つ以上の金属を蒸着させて、p型オーミック電極を形成しても良い。尚、上記第1実施形態の酸化物半導体発光素子のように、Niを蒸着させて、p型オーミック電極111を形成すると、p型オーミック電極111を、p型ZnOコンタクト層108およびn型Mg . Zn . O電流ブロック層109の上面全面に容易に固着できて、p型オーミック電極111の電気抵抗も小さくできる。
【0073】
また、上記第1実施形態の酸化物半導体発光素子では、p型オーミック電極形成後にアニール処理を行わなかったが、この発明の酸化物半導体発光素子では、p型オーミック電極形成後にアニール処理を行っても良く、この場合、p型オーミック電極の密着性を向上できると共に、p型オーミック電極の電気的抵抗を低減できる。ZnO結晶に欠陥を生じずにアニール効果を得るには、アニール温度を300〜400℃に設定することが好ましく、また、アニール処理における雰囲気を、Oあるいは大気雰囲気にすることが好ましい。尚、アニール処理における雰囲気を、Nに設定すると、p型オーミック電極の電気的抵抗が増大することがわかっている。
【0074】
また、上記第1実施形態の酸化物半導体発光素子では、p型オーミック電極111上にワイヤボンディング用のパッド電極を設けなかったが、この発明の酸化物半導体発光素子では、リードフレームへの配線を簡便に行うために、p型オーミック電極上にワイヤボンディング用のパッド電極を形成しても良い。尚、p型オーミック電極上にワイヤボンディング用のパッド電極を形成する場合、パッド電極の材料としては、ボンディングが容易でZnO中へ拡散してもドナー不純物とならないAuが好ましい。また、p型オーミック電極とパッド電極の間に密着性を向上させる目的で、他の金属層を形成しても良い。
【0075】
また、上記第1実施形態の酸化物半導体発光素子では、ZnO基板101の裏面に、Alを真空蒸着させて、n型オーミック電極を形成したが、この発明の酸化物半導体発光素子では、基板の裏面にTiまたはCrを蒸着させて、n型オーミック電極を形成しても良く、Ti、CrおよびAlの内の二つ以上の金属を蒸着させてn型オーミック電極を形成しても良い。尚、蒸着させる金属として、第1実施形態のように、Alを選択すると、n型オーミック電極の電気抵抗を小さくできて、n型オーミック電極の製造コストを低減できる。また、蒸着させる金属として、Tiを選択すると、n型オーミック電極を、基板の裏面に容易に固着できる。
【0076】
また、上記第1実施形態の酸化物半導体発光素子では、ZnO基板101の裏面全面に、Alを真空蒸着して、n型オーミック電極110を形成したが、この発明の酸化物半導体発光素子では、半導体基板の裏面に部分的にAlを真空蒸着して、Alのn型オーミック電極を任意の形状にパターニングし、露出した基板裏面をAgペーストなどでリードフレームに接着しても良い。Al電極は青〜紫外光の反射率が高いため、裏面全面に形成しても光取り出し効率は高いが、Agの方が青〜紫外光の反射率がAlより高いため、青〜紫外光の出射出力を向上させることができて好ましい。
【0077】
また、上記第1実施形態の酸化物半導体発光素子では、半導体原料(固体あるいは気体原料)を用いたMBE法を使用して、酸化物半導体発光素子を製造したが、この発明の酸化物半導体発光素子を、レーザ分子線エピタキシー(レーザMBE)法または有機金属気相成長(MOCVD)法等の結晶成長手法で製造しても良い。また、上記MBE法、MOCVD法およびレーザMBE法の内の少なくとも二つの方法を組み合わせて、酸化物半導体発光素子を製造しても良い。
【0078】
また、上記第1実施形態の酸化物半導体発光素子では、p型光ガイド層106を3層に分けて組成傾斜させたが、この発明の酸化物半導体発光素子では、p型光ガイド層を、組成傾斜したCdZnO混晶とMgZnO混晶の2層で構成しても良く、組成傾斜したCdZnO混晶か、あるいは、組成傾斜したMgZnO混晶の一層で構成しても良い。
【0079】
また、上記第1実施形態の酸化物半導体発光素子では、p型光ガイド層106を、CdZn - O層106bと、MgZn - O層106cを用いて形成し、組成の異なる2層の積層構造にしたが、この発明の酸化物半導体発光素子では、p型光ガイド層を、組成の異なる3層以上の層の積層構造にしても良い。
【0080】
また、上記第1実施形態の酸化物半導体発光素子では、n型光ガイド層104を一層で構成する一方、p型光ガイド層106を3層に分けて組成傾斜させたが、この発明の酸化物半導体発光素子では、例えば、n型光ガイド層を、厚さ10nmのCd . 05Zn . 95O層204a、厚さ10nmのCdZn - O層204bおよび厚さ10nmのMgZn - O層204cの3層で構成して、Cd組成比xを0.05〜0まで連続的に徐々に変化させると共に、Mg組成比yを0〜0.1まで連続的に徐々に変化させる一方、p型光ガイド層を一層で構成しても良く、このようにしても、上記第1実施形態の酸化物半導体発光素子と略同様の作用効果を得ることができる。
【0081】
また、上記第1実施形態の酸化物半導体発光素子では、第1導電型をn型とし、第2導電型をp型としたが、この発明の酸化物半導体発光素子では、第1導電型をp型とし、第2導電型をn型としても良い。
【0082】
尚、上記第1実施形態の酸化物半導体発光素子では、p型光ガイド層106のCd組成比xを0.05〜0まで連続的に徐々に変化させると共に、Mg組成比yを0〜0.1まで連続的に徐々に変化させたが、組成比を変化させる範囲が、上記範囲に限定されないことは勿論である。また、p型光ガイド層を一層で構成し、n型光ガイド層を3層で構成する上記変形例に示した場合においても、Cd組成比xおよびMg組成比yが上記変形例で示した範囲に限られないことも勿論である。また、この発明の酸化物半導体発光素子の各層の組成比が、第1実施形態の酸化物半導体発光素子で具体的に記載された対応する層の組成比の数値に限定されないことも勿論である。
【0083】
(第2実施形態)
図4は、本発明の第2実施形態の酸化物半導体発光素子であるZnO系半導体レーザ素子の活性層近傍のバンドプロファイルである。
【0084】
図4において、矢印Cは、第2実施形態の酸化物半導体発光素子のバンドギャップエネルギーの増大方向を示し、曲線Dは、第2実施形態の酸化物半導体発光素子の各層のバンドギャップエネルギーを示している。
【0085】
第2実施形態の酸化物半導体発光素子は、n型Mg . Zn . Oクラッド層103上に、厚さ10nmのMgZn - O層204c(Mg組成比yは0〜0.1まで連続的に徐々に変化)、厚さ10nmのCdZn - O層204b(Cd組成比xは0.05〜0まで連続的に徐々に変化)、厚さ10nmのCd . 05Zn . 95O層204aをこの順に3層積層して、n型光ガイド層204を構成し、p型光ガイド層106のバンドギャップエネルギーに加えてn型光ガイド層204のバンドギャップエネルギーも傾斜させるようにした点のみが第1実施形態の酸化物半導体発光素子と異なる。
【0086】
上記第2実施形態の酸化物半導体発光素子では、第1実施形態の酸化物半導体発光素子の構成部と同一構成部には同一参照番号を付して説明を省略することにする。また、上記第2実施形態の酸化物半導体発光素子では、第1実施形態の酸化物半導体発光素子と共通の作用効果および変形例についても説明を省略することにし、第1実施形態の酸化物半導体発光素子と異なる作用効果および変形例についてのみ説明を行うことにする。
【0087】
第2実施形態の酸化物半導体発光素子の構造では、n型光ガイド層204のバンドギャップエネルギーが、ノンドープ量子井戸活性層105側からn型Mg . Zn . Oクラッド層103に向かって増加するように傾斜しており、図4に示すように、ノンドープ量子井戸活性層105を境にして、ノンドープ量子井戸活性層105の上下で、バンドギャップエネルギーが対称になっている。
【0088】
第2実施形態の酸化物半導体発光素子の構造を作製後、ZnO基板101を劈開して端面ミラーを形成し、保護膜を真空蒸着した後、素子を300μmに分離した。第2実施形態の半導体レーザ素子に電流を流したところ、端面から波長410nmの青色発振光が得られた。
【0089】
また、上記第2実施形態の酸化物半導体発光素子は、上記第1実施形態の酸化物半導体発光素子と比較して、発振閾値電流が約20%低減し、結晶欠陥が更に低減し、かつ、素子寿命が約20%長くなった。
【0090】
上記第2実施形態の酸化物半導体発光素子によれば、ノンドープ量子井戸活性層105の上下で、バンドギャップエネルギーが対称になるように、p型光ガイド層106(106a、106bおよび106c)に加えて、n型光ガイド層204(204a、204bおよび204c)も組成傾斜構造としたので、ノンドープ量子井戸活性層105への光およびキャリアの閉じ込め効果を更に向上させることができる。
【0091】
また、上記第2実施形態の酸化物半導体発光素子によれば、n型光ガイド層204を、組成の異なるCdZn - O層204bと、MgZn - O層204cを用いた積層構造としているので、組成比を傾斜させるだけでは制御することが困難な屈折率やバンドギャップエネルギーを、微細な変化に至るまで完全に制御出来る。また、バンドギャップエネルギーの大きなMgZn - O層204cを積層構造の1層に選択しているので、ノンドープ量子井戸活性層105へのキャリア閉じ込めを向上させることが出来て、酸化物半導体発光素子を、光学特性に優れたものにできる。
【0092】
尚、上記第2実施形態の酸化物半導体発光素子では、ノンドープ量子井戸活性層105の上下で、バンドギャップエネルギーが対称になるように、p型光ガイド層106(106a、106bおよび106c)に加えて、n型光ガイド層204(204a、204bおよび204c)も組成傾斜構造としたが、ノンドープ量子井戸活性層の上下でバンドギャップエネルギーが対称でなくて、n型光ガイド層のバンドギャップエネルギーがノンドープ量子井戸活性層側からn型MgZnOクラッド層に向かって増加する条件で、p型光ガイド層106(106a、106bおよび106c)に加えて、n型光ガイド層204(204a、204bおよび204c)を組成傾斜構造にしても良い。
【0093】
また、上記第2実施形態の酸化物半導体発光素子では、n型光ガイド層204を3層に分けて組成傾斜させたが、この発明の酸化物半導体発光素子では、n型光ガイド層を、組成傾斜したCdZnO混晶とMgZnO混晶の2層で構成しても良く、組成傾斜したCdZnO混晶か、あるいは、組成傾斜したMgZnO混晶の一層で構成しても良い。
【0094】
また、上記第2実施形態の酸化物半導体発光素子では、p型光ガイド層206を、CdZn - O層204bと、MgZn - O層204cを用いて形成し、組成の異なる2層の積層構造にしたが、この発明の酸化物半導体発光素子では、n型光ガイド層を、組成の異なる3層以上の層の積層構造にしても良い。
【0095】
(第3実施形態)
図5は、本発明の第3実施形態の酸化物半導体発光素子であるZnO系半導体レーザ素子の構造斜視図および活性層近傍のバンドプロファイルである。
【0096】
図5において、矢印Eは、バンドギャップエネルギーの増大方向を示し、曲線Fは、各層のバンドギャップエネルギーを示している。
【0097】
第3実施形態の酸化物半導体発光素子は、n型光ガイド層504およびp型光ガイド層506のバンドギャップエネルギーが、ノンドープ量子井戸活性層105の上下で対称になるように段階的に階段状に不連続に傾斜するようにした点と、酸化物半導体発光素子を、レーザMBE装置を用いて形成した点のみが、第1実施形態の酸化物半導体発光素子と異なる。
【0098】
上記第3実施形態の酸化物半導体発光素子では、第1実施形態の酸化物半導体発光素子の構成部と同一構成部には同一参照番号を付して説明を省略することにする。また、上記第3実施形態の酸化物半導体発光素子では、第1および第2実施形態の酸化物半導体発光素子と共通の作用効果および変形例について説明を省略することにし、第1および第2実施形態の酸化物半導体発光素子と異なる作用効果および変形例についてのみ説明を行うことにする。
【0099】
上記第3実施形態の酸化物半導体発光素子を、図6に示すレーザMBE装置(レーザ分子線エピタキシー装置)で形成した。
【0100】
このレーザMBE装置は、超高真空に排気可能な成長室301の上部に基板ホルダー302を配置している。基板ホルダー302の裏面には、基板303が固定されており、基板ホルダー302上部に配置されたヒーター304により基板ホルダー302が加熱されると、その熱伝導により基板303が加熱されるようになっている。上記基板ホルダー302直下には適当な距離を置いてターゲットテーブル305が配置され、ターゲットテーブル305上には原料ターゲット306が複数配置されている。ターゲット306の表面は成長室301の側面に設けられたビューポート307を通じて照射されるパルスレーザ光308によりアブレーションされ、瞬時に蒸発したターゲット306の原料が基板上に堆積することにより薄膜が成長するようになっている。ターゲットテーブル305は回転機構を有し、パルスレーザ光308の照射シーケンスに同期して回転を制御することにより、異なるターゲット原料を薄膜上に積層することが可能となる。また、成長室301には複数のガスを導入出来るようガス導入管(図6には、例として310a,301bを示す)が複数設けられており、ラジカルセル309によって活性化された原子状ビームを基板に照射することも可能である。第3実施形態のように、酸化物半導体発光素子を、レーザMBE法で製造すると、原料ターゲットと薄膜の組成のずれを小さくできて、また、ZnGa等の意図しない副生成物の生成を抑えることも出来る。
【0101】
以下に、レーザMBE装置を用いた第3実施形態の酸化物半導体発光素子の作製方法を、図5および図6を用いて説明する。
【0102】
先ず、洗浄処理したZnO基板101をレーザMBE装置に導入して、Oガスを流しながら温度600℃で30分間加熱し清浄化する。
【0103】
次に、基板温度を450℃に降温し、ノンドープZnO単結晶およびGaを添加したZnO燒結体を原料ターゲットとし、回転機構によるターゲットテーブルの駆動周期とKrFエキシマレーザのパルス照射周期を、外部制御装置(図示しない)によって同期させ、上記原料ターゲットを所望のGaドーピング濃度が得られる比率で交互にアブレーションして、n型ZnOバッファ層102を成長させる。アブレーションを行うパルスレーザにはKrFエキシマレーザ(波長:248nm、パルス数:10Hz,出力1J/cm)を用いた。成長中にはガス導入管310aより、Oガスを導入した。
【0104】
次に、基板温度を500℃に昇温し、更に、ノンドープZnO単結晶およびGaを添加したMgZnO燒結体を原料ターゲットとし、所望のMg組成比とGaドーピング濃度が得られる比率で交互アブレーションして、n型Mg . Zn . Oクラッド層103を成長させる。
【0105】
次に、光ガイド層504形成させる。先ず、基板温度を475℃に降温して、ノンドープZnO単結晶およびGaを添加したMgZnO燒結体を原料ターゲットとし、所望のMg組成比とGaドーピング濃度が得られる比率で交互アブレーションして、n型Mg . Zn . Oクラッド層103上に10nmのn型Mg . 05Zn . 95O光ガイド層504cを成長させた後、基板温度を450℃に降温し、ノンドープZnO単結晶およびGaを添加したZnO燒結体を原料ターゲットとし、所望のGaドーピング濃度が得られる比率で交互アブレーションして、10nmのn型ZnO光ガイド層504bを成長させる。その後、基板温度を425℃に降温した上で、ノンドープZnO単結晶およびGaを添加したCdZnO燒結体を原料ターゲットとし、所望のCd組成比とGaドーピング濃度が得られる比率で交互アブレーションして、10nmのn型Cd . 05Zn . 95O光ガイド層504aを成長させる。
【0106】
次いで、基板温度を400℃に降温し、ノンドープZnO単結晶およびGaを添加したCdZnO燒結体を原料ターゲットとし、所望のCd組成比が得られる比率で交互アブレーションして、Cd . 05Zn . 95O障壁層とCd . Zn . O井戸層を交互に積層し、ノンドープ量子井戸活性層105を成長させる。
【0107】
この後、基板温度を425℃に昇温し、ガス導入管310bより導入したNガスをラジカルセル309でプラズマ化して照射しながら、ノンドープZnO単結晶およびノンドープCdZnO燒結体を原料ターゲットとし、所望のCd組成比とNドーピング濃度が得られる比率で交互アブレーションして、ノンドープ量子井戸活性層105上に、10nmのp型Cd . 05Zn . 95O光ガイド層506aを成長させた。
【0108】
次に、基板温度を450℃に昇温し、ガス導入管310bより導入したNガスをラジカルセル309でプラズマ化して照射しながら、ノンドープZnO単結晶を原料ターゲットとしてアブレーションを行い、p型Cd . 05Zn . 95O光ガイド層506a上に、10nmのp型ZnO光ガイド層506bを成長させた。
【0109】
次に、基板温度を475℃に昇温し、ガス導入管310bより導入したNガスをラジカルセル309でプラズマ化して照射しながら、ノンドープZnO単結晶およびノンドープMgZnO燒結体を原料ターゲットとし、所望のMg組成比とNドーピング濃度が得られる比率で交互アブレーションして、p型ZnO光ガイド層506b上に、10nmのp型Mg . 05Zn . 95O光ガイド層506cを成長させる。
【0110】
次に、基板温度を500℃に昇温し、ガス導入管310bより導入したNガスをラジカルセル309でプラズマ化して照射しながら、ノンドープZnO単結晶およびノンドープMgZnO燒結体を原料ターゲットとして交互アブレーションを行い、p型Mg . Zn . Oクラッド層107を成長させる。
【0111】
次に、ガス導入管310bより導入したNガスをラジカルセル309でプラズマ化して照射しながら、ノンドープZnO単結晶を原料ターゲットとしてアブレーションを行い、p型ZnOコンタクト層108を成長させる。
【0112】
次に、基板101をレーザMBE装置から取り出し、p型ZnOコンタクト層108およびp型Mg . Zn . Oクラッド層107の一部を幅1.5μmのリッジ形状にエッチングする。
【0113】
次に、基板101を再度レーザMBE装置に導入して、基板温度を550℃に昇温し、ノンドープZnO単結晶およびGaを添加したMgZnO燒結体を原料ターゲットとし、所望のMg組成比とGaドーピング濃度が得られる比率で交互アブレーションして、n型Mg . Zn . O電流ブロック層109を成長させる。
【0114】
最後に、基板101をレーザMBE装置から取り出し、リッジストライプ上に堆積したn型Mg . Zn . O層をエッチング除去してp型ZnOコンタクト層108を露出させ、n型Mg . Zn . O流ブロック層109を含む上面全面に、厚さ100nmのNiを真空蒸着させて、p型オーミック電極111を形成する一方、ZnO基板101の裏面に、厚さ100nmのAlを真空蒸着させてn型オーミック電極110を形成する。
【0115】
第3実施形態の酸化物半導体発光素子の構造を作製後、第3実施形態のZnO基板101を劈開して端面ミラーを形成し、保護膜を真空蒸着した後、素子を300μmに分離した。第3実施形態の半導体レーザ素子に電流を流したところ、端面から波長410nmの青色発振光が得られた。第3実施形態の酸化物半導体発光素子は、第2実施形態の酸化物半導体発光素子と発振閾値電流および素子寿命が略同じであった。
【0116】
レーザMBE法は、原料をパルス状に供給するため、供給量などの成長条件を連続的に変化させにくいが、図5に示すように、n型光ガイド層504とp型光ガイド層506のバンドギャップエネルギーを段階的に階段状に不連続に変化させるようにすれば、レーザMBE法が使用可能になる。
【0117】
上記第3実施形態の酸化物半導体発光素子によれば、n型光ガイド層504およびp型光ガイド層506の成長条件を段階的に階段状に不連続に変化させて、組成比を階段状に不連続に変化させるので、連続的な条件変化が困難なレーザMBE法等の結晶成長手法を用いることが可能になり、レーザMBE法等を用いて容易に組成を傾斜させることが出来る。このことから、酸化物結晶に好適な成長手法を状況に応じて選別できるので、酸化物半導体発光素子の発光特性を優れたものにでき、酸化物半導体発光素子の信頼性を高くでき、光ガイド層106,204のバンドギャップエネルギーを連続的に傾斜させた図4に示した場合と同様の効果が得られる。
【0118】
尚、上記第3実施形態の酸化物半導体発光素子では、光ガイド層のバンドギャップエネルギーを階段上に3段階に変化させたが、この発明の酸化物半導体発光素子では、光ガイド層のバンドギャップエネルギーを3段階以外の2段階以上に変化させても良く、この場合でも、第3実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0119】
また、上記第3実施形態の酸化物半導体発光素子では、n型光ガイド層504およびp型光ガイド層506の両方を、レーザMBE装置で、ノンドープ量子井戸活性層105からn型クラッド層103またはp型クラッド層107に向かって、バンドギャップエネルギーが増加するように段階的に階段状に不連続に傾斜し、かつ、ノンドープ量子井戸活性層105の上下でバンドギャップエネルギーが対称になるように、夫々3層で構成したが、この発明の酸化物半導体発光素子では、n型光ガイド層またはp型光ガイド層の一方のみ、ノンドープ量子井戸活性層からn型クラッド層またはp型クラッド層に向かって、バンドギャップエネルギーが増加するように段階的に階段状に不連続に傾斜させても良いことは勿論であり、n型光ガイド層504およびp型光ガイド層506の両方のバンドギャップエネルギーを傾斜させた場合では、両方のバンドギャップエネルギーが、ノンドープ量子井戸活性層の上下で対称にならなくても良いことは勿論である。
【0120】
(第4実施形態)
図7は、本発明の第4実施形態の酸化物半導体発光素子であるZnO系半導体レーザ素子の活性層近傍のバンドプロファイルである。
【0121】
図7において、矢印Gは、バンドギャップエネルギーの増大方向を示し、曲線Jは、各層のバンドギャップエネルギーを示している。
【0122】
第4実施形態の酸化物半導体発光素子は、n型光ガイド層404とp型光ガイド層406を、厚さ4nmのCdZnO、ZnOおよびMgZnOから成る超格子構造として、バンドギャップエネルギーを傾斜させた点のみが、上記第3実施形態の酸化物半導体発光素子と異なる。
【0123】
尚、上記超格子構造は、図7に示すように、上記厚さ4nmの複数のCdZnO、ZnOおよびMgZnO層を複数繰り返すことによって、バンドギャップエネルギーが、大小を繰り返し、かつ、ギャップエネルギーの井戸の深さの中間を結ぶ線(または曲線)H,Iが、ノンドープ量子井戸活性層105からn型クラッド層102またはp型クラッド層107に向かって、増加する構造を示すものとする。
【0124】
上記第4実施形態の酸化物半導体発光素子では、第3実施形態の酸化物半導体発光素子と共通の構成、作用効果および変形例について説明を省略し、第3実施形態の酸化物半導体発光素子と異なる構成、作用効果および変形例についてのみ説明を行うことにする。
【0125】
上記第4実施形態の酸化物半導体発光素子に電流を流したところ、端面から波長410nmの青色発振光が得られ、上記第2実施形態と比較して発振閾値電流が10%低減し、素子寿命が10%長くなった。
【0126】
上記第4実施形態の酸化物半導体発光素子によれば、n型光ガイド層404とp型光ガイド層406とを、超格子構造にして、バンドギャップエネルギーを傾斜させたので、屈折率やバンドギャップエネルギーの変化を、更に微細に制御出来る。また、キャリア移動度を大きくできて、発振閾値電流を低減させることができ、かつ、信頼性も向上させることができる。
【0127】
尚、上記第4実施形態の酸化物半導体発光素子では、上記H,Iが単調増加していたが、ギャップエネルギーの井戸の深さの中間を結ぶ線(または曲線)は、ノンドープ量子井戸活性層からn型クラッド層またはp型クラッド層に向かって、全体的に増加していれば良く、局所的に減少しても良い。
【0128】
(第5実施形態)
図8は、本発明の第5実施形態の酸化物半導体発光素子であるZnO系半導体レーザ素子の活性層近傍のバンドプロファイルである。
【0129】
図8において、矢印Kは、バンドギャップエネルギーの増大方向を示し、曲線Lは、各層のバンドギャップエネルギーを示している。
【0130】
第5実施形態の酸化物半導体発光素子は、n型Mg . Zn . Oクラッド層103とn型光ガイド層204の間に、厚さ5nmのn型Mg . Zn . Oキャリアオーバーフロー抑制層112を形成し、p型光ガイド層106とp型Mg . Zn . Oクラッド層107の間に、厚さ5nmのp型Mg . Zn . Oキャリアオーバーフロー抑制層113を形成した点のみが、第2実施形態の酸化物半導体発光素子と異なる。
【0131】
上記第5実施形態の酸化物半導体発光素子では、第2実施形態の酸化物半導体発光素子と共通の構成、作用効果および変形例について説明を省略し、第2実施形態の酸化物半導体発光素子と異なる構成、作用効果および変形例についてのみ説明を行うことにする。
【0132】
上記第5実施形態の酸化物半導体発光素子に電流を流したところ、端面から波長410nmの青色発振光が得られ、上記第2実施形態と比較して発振閾値電流が20%低減し、素子寿命が10%長くなった。
【0133】
上記第5実施形態の酸化物半導体発光素子によれば、n型クラッド層103とn型光ガイド層204の間に、バンドギャップエネルギーがn型光ガイド層204およびn型クラッド層103よりも大きなn型MgZnOキャリアオーバーフロー抑制層112を形成すると共に、p型光ガイド層106とp型MgZnOクラッド層107の間に、バンドギャップエネルギーがp型光ガイド層106およびp型MgZnOクラッド層107よりも大きなp型MgZnOキャリアオーバーフロー抑制層113を形成したので、活性層からのキャリアオーバーフローを抑止できて、酸化物半導体発光素子の発光効率を向上させることができる。
【0134】
尚、第5実施形態の酸化物半導体発光素子では、n型クラッド層103とn型光ガイド層204の間に、n型MgZnOキャリアオーバーフロー抑制層112を形成すると共に、p型光ガイド層106とp型MgZnOクラッド層107の間に、p型MgZnOキャリアオーバーフロー抑制層113を形成したが、n型MgZnOキャリアオーバーフロー抑制層112またはp型MgZnOキャリアオーバーフロー抑制層113のどちらか一方を省略しても良い。また、大きなバンドギャップエネルギーを有するn型MgZnOキャリアオーバーフロー抑制層とp型MgZnOキャリアオーバーフロー抑制層は、ノンドープ量子井戸活性層105の上下で、対称であっても、非対称であっても良い。
【0135】
上記第1〜第5実施形態の酸化物半導体発光素子によれば、ノンドープ量子井戸活性層105を量子井戸構造にしているので、酸化物半導体発光素子を、偏波選択性に優れると共に、大きな光学利得と特性温度を有する素子にできる。また、上記第1〜第5実施形態の酸化物半導体発光素子によれば、ノンドープ量子井戸活性層105側からクラッド層103,107側に近づくにつれて、光ガイド層のバンドギャップエネルギーを大きくしたので、光ガイド層の屈折率を、活性層側で高くクラッド層側で低くできて、ノンドープ量子井戸活性層105の光閉じ込めを大きくできる。したがって、酸化物半導体発光素子の発光特性を更に優れたものにできる。
【0136】
尚、上記第1〜第5実施形態の酸化物半導体発光素子では、量子井戸構造のノンドープ量子井戸活性層105を採用したが、活性層に量子井戸構造を採用しなくても良い。また、この発明では、ドープを用いた活性層を採用しても良い。
【0137】
また、上記第1〜第5実施形態の酸化物半導体発光素子では、第1導電型をn型にし、第2導電型をp型にしたが、第1導電型をp型にし、第2導電型をn型にしても良い。
【0138】
また、この発明の酸化物半導体発光素子の各層の組成比は、第1〜第5実施形態の酸化物半導体発光素子で具体的に記載された各層の組成比の数値に限定されるものではない。
【0139】
また、上記第1〜第5実施形態の酸化物半導体発光素子の内の少なくとも2つ以上の酸化物半導体発光素子を部分的に組み合わせて、この発明の酸化物半導体発光素子を製造しても良いことは勿論である。
【0140】
【発明の効果】
以上より明らかなように、この発明の酸化物半導体発光素子は、基板の上方に、少なくともZnO系半導体で構成された第1導電型クラッド層、第1導電型光ガイド層、活性層、第2導電型光ガイド層および第2導電型クラッド層を、この順に積層している酸化物半導体発光素子であって、上記第2導電型光ガイド層のバンドギャップエネルギーが、上記活性層のバンドギャップエネルギーより大きく、かつ、上記第2導電型クラッド層のバンドギャップエネルギーより小さく、上記第2導電型光ガイド層のバンドギャップエネルギーが、上記活性層側から上記第2導電型クラッド層側に近づくにつれて大きくなるように傾斜しているので、光閉じ込め効果を大きくできて、発振閾値電流を低減できると共に、結晶欠陥を低減させることができる。また、低い電流で動作させることができて、信頼性も高くできる。
【0141】
また、この発明の酸化物半導体発光素子の製造方法は、基板の上方に、ZnO系半導体で構成された第1導電型クラッド層、第1導電型光ガイド層、活性層、第2導電型光ガイド層および第2導電型クラッド層が、この順に積層されている酸化物半導体発光素子を製造する酸化物半導体発光素子の製造方法であって、Cdの供給速度を一定にするか、または、変化させた上、上記第2導電型ガイド層および上記第1導電型ガイド層の少なくとも一方におけるCdを含んだZnO系半導体から成る少なくとも一部分を、成長温度を変化させて成長させることにより、上記基板に垂直な方向で、上記少なくとも一部分のZnに対するCdの割合を変えて、上記第2導電型ガイド層および上記第1導電型ガイド層の少なくとも一方のバンドギャップエネルギーを傾斜させる工程と、Mgの供給速度を一定にするか、または、変化させて、上記第2導電型ガイド層および上記第1導電型ガイド層の少なくとも一方におけるMgを含んだZnO系半導体から成る少なくとも一部分を、成長温度を変化させて成長させることにより、上記基板に垂直な方向で、上記少なくとも一部分のZnに対するMgの割合を変えて、上記第2導電型ガイド層および上記第1導電型ガイド層の少なくとも一方のバンドギャップエネルギーを傾斜させる工程の内の少なくとも一方の工程を備えているので、製造工程が簡便で生産性に優れた酸化物半導体発光素子を作製出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態の酸化物半導体発光素子の構造斜視図および活性層近傍のバンドプロファイルを示す図である。
【図2】 上記第1実施形態の酸化物半導体発光素子を製造するのに用いた分子線エピタキシー装置の平面図である。
【図3】 Zn、Cd、Mgの蒸気圧と温度の関係を示す図である。
【図4】 本発明の第2実施形態の酸化物半導体発光素子の活性層近傍のバンドプロファイルを示す図である。
【図5】 本発明の第3実施形態の酸化物半導体発光素子の構造斜視図および活性層近傍のバンドプロファイルを示す図である。
【図6】 上記第3実施形態の酸化物半導体発光素子を製造するのに用いたレーザ分子線エピタキシー装置の平面図である。
【図7】 本発明の第4実施形態の酸化物半導体発光素子の活性層近傍のバンドプロファイルを示す図である。
【図8】 本発明の第5実施形態の酸化物半導体発光素子の活性層近傍のバンドプロファイルを示す図である。
【符号の説明】
101 ZnO基板
102 n型ZnOバッファ層
103 n型MgZnOクラッド層
104,204,404,504 n型光ガイド層
105 ノンドープ量子井戸活性層
106,406,506 p型光ガイド層
107 p型MgZnOクラッド層
108 p型ZnOコンタクト層
109 n型MgZnO電流ブロック層
110 n型オーミック電極
111 p型オーミック電極
112 n型MgZnOキャリアオーバーフロー抑制層
113 p型MgZnOキャリアオーバーフロー抑制層
201 成長室
202 基板ホルダー
203 基板
204 ヒーター
205 蒸発セル
206 ヒーター
207 シャッター
208 ラジカルセル
301 成長室
302 基板ホルダー
303 基板
304 ヒーター
305 ターゲットテーブル
306 原料ターゲット
307 ビューポート
308 パルスレーザ光(エキシマレーザ)
309 ラジカルセル
310a,310b ガス導入管

Claims (11)

  1. 基板の上に、少なくともZnO系半導体で構成された第1導電型クラッド層、第1導電型光ガイド層、活性層、第2導電型光ガイド層および第2導電型クラッド層が、この順に積層され、
    上記第2導電型光ガイド層は、Cdを含んだZnO系半導体からなる層およびMgを含んだZnO系半導体からなる層を含み、
    上記第2導電型光ガイド層のバンドギャップエネルギーは、上記活性層のバンドギャップエネルギー以上で、かつ、上記第2導電型クラッド層のバンドギャップエネルギー以下になっており、
    上記第2導電型光ガイド層のバンドギャップエネルギーは、上記活性層側から上記第2導電型クラッド層側に近づくにつれて大きくなるように傾斜していることを特徴とする酸化物半導体発光素子。
  2. 請求項1に記載の酸化物半導体発光素子において、
    上記第1導電型光ガイド層のバンドギャップエネルギーは、上記活性層のバンドギャップエネルギー以上で、かつ、上記第1導電型クラッド層のバンドギャップエネルギー以下になっており、
    上記第1導電型光ガイド層のバンドギャップエネルギーは、上記活性層側から上記第1導電型クラッド層側に近づくにつれて大きくなるように傾斜していることを特徴とする酸化物半導体発光素子。
  3. 請求項に記載の酸化物半導体発光素子において、
    上記積層構造は、組成の異なるZnO系半導体の超格子構造を含むことを特徴とする酸化物半導体発光素子。
  4. 請求項1または2に記載の酸化物半導体発光素子において、
    上記第1導電型光ガイド層および上記第2導電型光ガイド層の少なくとも一方の傾斜しているバンドギャップエネルギーは、階段状に不連続に変化することを特徴とする酸化物半導体発光素子。
  5. 請求項1または2に記載の酸化物半導体発光素子において、
    上記活性層側から上記第1導電型クラッド層側に近づくにつれて上記第1導電型光ガイド層のバンドギャップエネルギーが大きくなるように傾斜していない場合には、
    上記第2導電型光ガイド層と、上記第2導電型クラッド層の間に、上記第2導電型光ガイド層および上記第2導電型クラッド層よりも大きなバンドギャップエネルギーを有する第2導電型キャリアオーバフロー抑制層を形成し、
    上記活性層側から上記第1導電型クラッド層側に近づくにつれて上記第1導電型光ガイド層のバンドギャップエネルギー大きくなるように傾斜している場合には、
    上記第2導電型光ガイド層と、上記第2導電型クラッド層の間に、上記第2導電型光ガイド層および上記第2導電型クラッド層よりも大きなバンドギャップエネルギーを有する第2導電型キャリアオーバフロー抑制層と
    上記第1導電型光ガイド層と、上記第1導電型クラッド層との間に、上記第1導電型光ガイド層および上記第1導電型クラッド層よりも大きなバンドギャップエネルギーを有する第1導電型キャリアオーバフロー抑制層の内の少なくとも一方を形成したことを特徴とする酸化物半導体発光素子。
  6. 請求項1に記載の酸化物半導体発光素子において、
    上記活性層は、量子井戸構造になっていることを特徴とする酸化物半導体発光素子。
  7. 基板の上に、少なくともZnO系半導体で構成された第1導電型クラッド層、第1導電型光ガイド層、活性層、第2導電型光ガイド層および第2導電型クラッド層が、この順に積層されている酸化物半導体発光素子を製造する酸化物半導体発光素子の製造方法であって、
    上記第2導電型光ガイド層および上記第1導電型光ガイド層の少なくとも一方における少なくとも一部分のCdを含んだZnO系半導体から成る層を、CdとZnの供給速度を一定にし、かつ、成長温度を変化させる条件で成長させることにより、上記基板に略垂直な方向で、上記少なくとも一部分のZnに対するCdの割合を変えて、上記第2導電型光ガイド層および上記第1導電型光ガイド層のうちの少なくとも一方の光ガイド層のバンドギャップエネルギーを、その少なくとも一方の光ガイド層と同じ導電型のクラッド層側に近づくにつれて大きくなるように傾斜させる工程と、
    上記第2導電型光ガイド層および上記第1導電型光ガイド層の少なくとも一方における少なくとも一部分のMgを含んだZnO系半導体から成る層を、ZnとMgの供給速度を一定にし、かつ、成長温度を変化させる条件で成長させることにより、上記基板に略垂直な方向で、上記少なくとも一部分のZnに対するMgの割合を変えて、上記第2導電型光ガイド層および上記第1導電型光ガイド層のうちの少なくとも一方の光ガイド層のバンドギャップエネルギーを、その少なくとも一方の光ガイド層と同じ導電型のクラッド層側に近づくにつれて大きくなるように傾斜させる工程
    の内の少なくとも一方の工程を備えることを特徴とする酸化物半導体発光素子の製造方法。
  8. 基板の上に、少なくともZnO系半導体で構成された第1導電型クラッド層、第1導電型光ガイド層、活性層、第2導電型光ガイド層および第2導電型クラッド層が、この順に積層されている酸化物半導体発光素子を製造する酸化物半導体発光素子の製造方法であって、
    上記第2導電型光ガイド層における少なくとも一部分のCdを含んだZnO系半導体から成る層を、Cdの供給速度を減少させ、かつ、成長温度を変化させる条件で成長させることにより、上記基板に略垂直な方向で、上記少なくとも一部分のZnに対するCdの割合を変えて、上記第2導電型光ガイド層のバンドギャップエネルギーを、上記第2導電側クラッド層に近づくにつれて大きくなるように傾斜させる工程と、上記第1導電型光ガイド層における少なくとも一部分のCdを含んだZnO系半導体から成る層を、Cdの供給速度を増加させ、かつ、成長温度を変化させる条件で成長させることにより、上記基板に略垂直な方向で、上記少なくとも一部分のZnに対するCdの割合を変えて、上記第1導電型光ガイド層のバンドギャップエネルギーを、上記第1導電型クラッド層側に近づくにつれて大きくなるように傾斜させる工程とのうちの少なくとも一方を含む工程と、
    上記第2導電型光ガイド層における少なくとも一部分のMgを含んだZnO系半導体から成る層を、Mgの供給速度を増加させ、かつ、成長温度を変化させる条件で成長させることにより、上記基板に略垂直な方向で、上記少なくとも一部分のZnに対するMgの割合を変えて、上記第2導電型光ガイド層のバンドギャップエネルギーを、上記第2導電型クラッド層側に近づくにつれて大きくなるように傾斜させる工程と、上記第1導電型光ガイド層における少なくとも一部分のMgを含んだZnO系半導体から成る層を、Mgの供給速度を減少させ、かつ、成長温度を変化させる条件で成長させることにより、上記基板に略垂直な方向で、上記少なくとも一部分のZnに対するMgの割合を変えて、上記第1導電型光ガイド層のバンドギャップエネルギーを、上記第1導電型クラッド層側に近づくにつれて大きくなるように傾斜させる工程とのうちの少なくとも一方を含む工程と
    のうちの少なくとも一方の工程を備えることを特徴とする酸化物半導体発光素子の製造方法。
  9. 請求項またはに記載の酸化物半導体発光素子の製造方法において、
    上記Cdを含んだZnO系半導体から成る層および上記Mgを含んだZnO系半導体から成る層の少なくとも一方を成長させるときの成長温度を、連続的に変化させることを特徴とする酸化物半導体発光素子の製造方法。
  10. 請求項またはに記載の酸化物半導体発光素子の製造方法において、
    上記Cdを含んだZnO系半導体から成る層および上記Mgを含んだZnO系半導体から成る層の少なくとも一方を成長させるときの成長温度を、段階的に変化させることを特徴とする酸化物半導体発光素子の製造方法。
  11. 請求項に記載の酸化物半導体発光素子の製造方法において、
    上記CdとMgの少なくとも一方の供給速度を、段階的に変化させることを特徴とする酸化物半導体発光素子の製造方法。
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