JP4278394B2 - 酸化物半導体発光素子 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は発光ダイオードや半導体レーザなどの半導体発光素子に関し、さらに詳しくは、半導体結晶中の歪を低減し発光特性と信頼性に優れた酸化物半導体発光素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
酸化物材料は、誘電性、磁性、超伝導性等の従来の半導体材料では実現できない多くの機能を持ち、また半導体材料としても既存材料の特質を補って余りある可能性を有している。
最近、II族酸化物半導体である酸化亜鉛(ZnO)が青色領域ないし紫外領域の発光デバイス用の材料として有望視されている。
ZnOは、約3.4eVのバンドギャップエネルギーを有する直接遷移型半導体である。また、ZnOは約60meVと極めて高い励起子結合エネルギーを有するため、低消費電力で環境性に優れた高効率な発光デバイスを実現できる可能性があり、さらに、原材料が安価、環境や人体に無害で成膜手法が簡便である等の特徴を有している。
【0003】
以下、本明細書において、「ZnO系」半導体なる語を用いるときは、ZnOおよびこれを母体としたMgZnOまたはCdZnO等で表される混晶を含むものとする。また、本明細書において、組成を特定せずに化合物を示す場合には、例えば、「MgZnO」と単に元素記号のみで記載し、組成を特定する場合には、例えば、「Mg0.1Zn0.9O」と記載する。
【0004】
ZnOは、青色〜紫外領域の発光素子として既に実用化されているGaNのようなIII族窒化物半導体と同じウルツ鉱の結晶構造を有し、熱膨張係数や格子定数がGaNに極めて近いことから、III族窒化物半導体デバイスで用いられているサファイアやSiなどの基板上にエピタキシャル薄膜を積層し、発光素子を作製する研究がなされている。
【0005】
例えば、特開2001−44499号公報(特許文献1)には、Si基板上にシリコン窒化膜を形成し、その上にZnO系半導体薄膜を結晶成長させる技術が開示されている。また、特開2001−44500号公報(特許文献2)には、サファイア基板のA面(11−20)を主面として用い、その上にZnO系半導体薄膜を結晶成長させる技術が開示されている。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−44499号公報
【0007】
【特許文献2】
特開2001−44500号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
Siやサファイアはコストが低く、極めて高品質な基板結晶を得ることができるが、ZnO系半導体とは格子定数差が十数%以上と極めて大きく、バッファ層を形成しても、良好な結晶性を有するZnO系半導体エピタキシャル層を得ることは難しい。特に、Si基板上ではSiが酸素と反応してSiOx層を形成しやすい。このため、エピタキシャル結晶中には多くの結晶欠陥が発生し、また大きな格子歪を内在しているため、発光効率や信頼性が十分でないという問題があった。
かくして、本発明の目的は、以上の課題に鑑み、エピタキシャル層の欠陥を低減し、高い信頼性と発光効率を有する酸化物半導体発光素子を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、結晶性に優れたZnO系半導体層をエピタキシャル成長させることができる基板材料について鋭意検討した結果、ZnO系半導体との親和性に優れ、組成によって格子定数の制御が可能な酸化物を基板に用いることで、目的が達せられることを見い出し本発明に至った。
【0010】
第1の局面において、本発明は、酸化物基板上に、少なくとも、n型ZnO系半導体クラッド層、ZnO系半導体活性層、およびp型ZnO系半導体クラッド層が形成され、ここに、該酸化物基板がLi1−(x+y)NaAl1−zGa(0≦x、y、z≦1、0≦x+y≦1)で表される組成を有する酸化物半導体発光素子を提供する。
本発明のLi1−(x+y)NaAl1−zGa基板は、ZnO系半導体と類似の結晶構造を有し、ZnO系半導体をエピタキシャル成長できる。さらに、組成を制御することにより、ZnO系半導体に極めて近い範囲で格子定数を制御できる。
したがって、本発明の酸化物基板を用いることにより、殆ど歪を内在しないZnO系半導体エピタキシャル層を得ることができ、信頼性に優れた酸化物半導体発光素子を作製できる。
【0011】
特に、該酸化物基板が、Li1−aNaAlO、Li1−bNaGaO、LiAl1−cGa、およびNaAl1−dGa(0≦a、b、c、d≦1)のいずれかである酸化物半導体発光素子を提供する。
前記の酸化物は、本発明のLi1−(x+y)NaAl1−zGaの中で、ZnO系半導体との格子定数差が特に小さく、組成の制御が容易であるので、これを基板として用いることにより、特に信頼性に優れた酸化物半導体発光素子を作製できる。
【0012】
なお、本明細書において、半導体発光素子中発光を司る層を「発光層」というが、半導体レーザ素子の場合には同様の意味で「活性層」なる語を用いることがある。しかしながら、両者の機能は実質的に同じであるため特に区別はしない。
【0013】
第2の局面において、本発明は、酸化物基板の成長主面を制御することによって、信頼性および発光特性に優れた酸化物半導体発光素子を提供する。
本発明の酸化物半導体発光素子は、1の具体例として、その酸化物基板の成長主面が(001)金属面であって、酸化物基板上にエピタキシャル成長されたZnO系半導体の成長主面が(0001)亜鉛面であることを特徴とする。
酸化物基板の成長主面を(001)金属面とすることにより、ZnO系半導体の成長面方位を(0001)亜鉛面とすることができる。成長主面が(0001)亜鉛面であるZnO系半導体は、特アクセプタ不純物のドーピング特性に優れ、動作電圧が低減する。このことにより、省電力性と信頼性に優れた酸化物半導体発光素子を作製できる。
【0014】
また、本発明の酸化物半導体発光素子は、もう一つの具体例として、その酸化物基板の結晶成長主面が、(001)面より15°以下のオフ角度にて傾斜させた面であることを特徴とする。
一般に、半導体発光素子を形成する際、基板の結晶成長主面を(001)面等の低指数面とした「ジャスト基板」を用いるが、基板の表面方位を上記低指数面から傾斜させた「オフ基板」は、成長主面にステップおよびテラスが形成されているので、材料原子がステップに取り込まれ2次元成長する「ステップフロー成長」が生じやすく、平坦性に優れたZnO系半導体層が得られる。
本発明によれば、基板の(001)面から所定のオフ角度にて傾斜させた面を結晶成長主面とする「オフ基板」を用いるので、発光効率と信頼性に優れた酸化物半導体発光素子を作製できる。
【0015】
さらに、第3の局面において、本発明は、酸化物基板上に、前記酸化物基板とは組成の異なるLi1−(x+y)NaAl1−zGa(0<x、y、z<1、0<x+y<1)を含むバッファ層が形成されている酸化物半導体発光素子を提供する。
酸化物基板がその上に成長されるZnO系半導体層と格子不整合を有する場合でも、本発明と同じ材料で構成されるバッファ層を形成し、バッファ層の組成を制御して、格子歪を緩和することができる。したがって、結晶性の高いZnO系半導体エピタキシャル層が得られ、信頼性に優れた酸化物半導体発光素子を作製できる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の酸化物半導体発光素子を発光ダイオード素子および半導体レーザ素子に適用した実施形態を図面に基づいて、具体的に説明する。
第1の実施形態
本発明による第1の実施形態の酸化物半導体発光素子は、酸化物基板上に、少なくとも、n型ZnO系半導体クラッド層、ZnO系半導体発光層、およびp型ZnO系半導体クラッド層が形成され、ここに、該酸化物基板がLi1−(x+y)NaAl1−zGa(0≦x、y、z≦1、0≦x+y≦1)で表される組成を有する発光ダイオード素子である。
本発明によれば、基板として、ZnO系半導体層との親和性に優れたLi1−(x+y)NaAl1−zGa酸化物を用いるので、良好な結晶性を有するエピタキシャル層を得ることができ、また、その組成を変化させることにより格子定数を制御することができる。
かくして、発光特性および信頼性に優れた発光ダイオード素子を得ることができる。
【0017】
図1は、発光ダイオード素子1の斜視図(A)および断面図(B)を示す。発光ダイオード素子1は、(001)金属面を主面とするLiGaO単結晶基板101上に、n型ZnOコンタクト層102、n型MgZnOクラッド層103、量子井戸発光層104、p型MgZnOクラッド層105、およびp型ZnOコンタクト層106を積層することによって構成されている。
【0018】
量子井戸発光層104は、1または複数のZnO障壁層と、1または複数のCdZnO井戸層とを交互に積層した多重井戸構造である。
また、p型ZnOコンタクト層106の主表面全面には、発光層から発光された光に対して透光性であるp型オーミック電極107が積層されている。さらに、この透光性オーミック電極107上には、透光性p型オーミック電極107より小さい面積でボンディング用パッド電極108が形成されている。
さらに、n型MgZnOクラッド層103からp型ZnOコンタクト層106までのエピタキシャル層は一部がエッチングされ、露出したn型ZnOコンタクト層102の表面にはn型オーミック電極109が積層されている。
【0019】
以下、本発明の効果を最大限に得るための他の構成について記すが、その他の実施形態において任意に組み合わせて用いてもよい。
【0020】
本発明において基板として用いる絶縁体酸化物LiGaOの結晶構造を、ZnOと比較して図2に示す。
XYOなる構成の斜方晶酸化物は、ZnO系半導体のウルツ鉱構造に類似の結晶構造である。特に、元素XがLi、NaまたはKのいずれかを含み、かつ、元素YがAlまたはGaのいずれかを含む斜方晶酸化物の面内格子定数は、ZnOの格子定数(3.25Å)に極めて近いため、格子歪が極めて小さいZnO系半導体エピタキシャル層を得ることができる。
【0021】
発光ダイオード素子を作製する場合、基板を研磨やエッチング等の公知の手法で基板裏面に凹凸を形成して、入射した発光を乱反射させれば、光取り出し効率が向上するので好ましい。
【0022】
n型ZnOバッファ層102およびn型MgZnOクラッド層103にドーピングするドナー不純物としては、ZnO系半導体中での活性化率が高いので、III族元素のB、Al、Ga、In等を用いることが好ましく、GaまたはAlが特に好ましい。
【0023】
発光層は単層構造とすることもできるが、発光層を量子井戸構造とすることにより、半導体レーザ素子においては光学利得が向上し、発光ダイオード素子においても発光効率が向上するので好ましい。
【0024】
p型MgZnO層105およびp型ZnOコンタクト層106にドーピングするアクセプタ不純物としては、IまたはV族元素であるLi、Na、Cu、Ag、N、P、As等を用いることができる。N、LiおよびAgは活性化しやすいので好ましい。Nは、Nをプラズマ化し結晶成長中に照射する手法によって結晶性を良好に保ちつつ、高濃度ドーピングが行えるので特に好ましい。
【0025】
発光ダイオード素子の効率を向上させるには、MgZnO混晶はZnOに比べて不純物の活性化率が低いことから、p型MgZnOクラッド層105上に直接p型オーミック電極107を形成せず、p型コンタクト層106を設けて低抵抗化することが好ましい。
コンタクト層材料には、結晶性に優れキャリア濃度を高くできるZnOを用いることが好ましい。p型ZnOコンタクト層106に過剰にアクセプタ不純物をドーピングすると結晶性劣化が顕著となり、本発明の効果が減少するので、5×1016〜5×1019cm−3のキャリア濃度範囲となるようドーピングすることが好ましい。
【0026】
n型コンタクト層102にはp型コンタクト層106の場合と同様にZnOが適しており、ドナー不純物のドーピング濃度は1×1018〜1×1021cm−3の範囲が好ましく、さらには5×1019〜5×1020cm−3の範囲で調整されることが好ましい。また、膜厚は、0.001〜1μm、好ましくは0.005〜0.5μm、さらに好ましくは0.01〜0.1μmの範囲に調整されることが好ましい。
【0027】
p型オーミック電極107には、Ni、Pt、Pd、Au等の金属材料を用いることができる。前記の金属材料は、p型ZnO系半導体層に対して低抵抗なオーミック接触を形成すると共にZnO系半導体との密着性に優れる。よって、信頼性に優れ動作電圧の低い発光素子を実現できる。なかでも低抵抗で密着性の良いNiが好ましい。前記金属材料の複数を合金化して、電極を形成してもよい。
【0028】
また、本発明の高い発光効率と低い動作電圧を最大限の効果で得るためには、p型オーミック電極107が発光層から発光された光に対して透光性を有するように形成して光取り出し効率を向上させることが好ましい。
透明導電膜が主表面全面に形成されていることにより、電流広がりが均一化し外部光取り出し効率が向上する。よって、発光効率に優れた紫外発光素子を実現できる。
良好なオーミック特性と高い透光性を両立する厚みとしては5〜200nmの範囲が好ましく、30〜100nmの範囲がさらに好ましい。
p型オーミック電極107の形成後にアニール処理を行うと、密着性が向上すると共に接触抵抗が低減するので好ましい。ZnO結晶に欠陥を生じさせずにアニール効果を得るには、温度は300〜400℃が好ましい。また、アニール処理における雰囲気はOまたは大気雰囲気中が好ましく、Nでは逆に抵抗が増大する。
【0029】
リードフレームへの配線を簡便に行うためには、p型オーミック電極107上にワイヤボンディング用のパッド電極108を設けることが有効である。パッド電極108は、透光性p型オーミック電極107上の一部に、p型オーミック電極107より小さな面積で形成すれば、透光性電極の効果を損なわずにリードフレームへの実装プロセスが容易になるので好ましい。パッド電極108の材料としてはボンディングが容易でZnO系半導体中へ拡散してもドナー不純物とならない金属材料が好ましく、特に、Auが好ましい。
また、p型オーミック電極107とパッド電極108との間に密着性や光反射性を向上させる目的で他の金属層を形成してもよい。
【0030】
n型オーミック電極109には、Ti、Cr、Al等の金属材料を用いることができる。なかでも低抵抗でコストの低いAlまたは密着性の良いTiが好ましい。前記金属材料の複数を合金化して、電極を形成してもよい。
【0031】
その他の構成は任意であり、本明細書に記載された構成のみに限定されるものではない。
【0032】
本発明の酸化物半導体発光素子は、固体あるいは気体原料を用いた分子線エピタキシー(MBE)法、レーザ分子線エピタキシー(レーザMBE)法、有機金属気相成長(MOCVD)法等の結晶成長手法で作製することができる。
レーザMBE法は、原料ターゲットと薄膜の組成ずれが小さく、また、例えば、ZnOにGaをドーピングさせる場合に、ZnGa等の意図しない副生成物の生成を抑えることができるので好ましい。
本発明を半導体レーザ素子に適用する場合、図4に示すレーザMBE装置7を用いて、半導体レーザ素子を作製することができる。
【0033】
レーザMBE装置7において、超高真空に排気可能な成長室701の上部に基板ホルダー702が配置され、基板ホルダー702に基板703が固定されている。基板ホルダー702上部に配置されたヒーター704により基板ホルダー702の裏面が加熱され、その熱伝導により基板703が加熱される。
基板ホルダー702直下には適当な距離を置いてターゲットテーブル705が配置され、ターゲットテーブル705上には、複数の原料ターゲット706を配置することができる。
ターゲット706の表面は成長室701の側面に設けられたビューポート707を通じ照射されるパルスレーザ光708によりアブレーションされ、瞬時に蒸発したターゲット706の原料が基板上に堆積することにより薄膜が成長する。ターゲットテーブル705は回転機構を有し、パルスレーザ光708の照射シーケンスに同期して回転を制御することにより、異なるターゲット原料を薄膜上に積層することが可能となる。また、成長室には複数のガスを導入できるように複数のガス導入管710が設けられており、ラジカルセル709によって活性化された原子状ビームを基板703に照射することも可能である。
【0034】
第2の実施形態
本発明による第2の実施形態の酸化物半導体発光素子は、第1の実施形態の酸化物半導体発光素子と同様に構成されるが、LiGaO基板101とn型ZnOコンタクト層102との間に、Li1−(x+y)NaAl1−zGa(0<x、y、z<1、0<x+y<1)を含むバッファ層201が形成されていることを特徴とする発光ダイオード素子である(図示せず)。
本発明によれば、先ず、基板上にLi1−(x+y)NaAl1−zGaバッファ層201を形成するので、I族元素およびIII族元素の組成を制御することによって、LiGaO基板101とn型ZnOコンタクト層102との間の格子不整合を緩和して、発光ダイオード素子としての特性をさらに向上させることができる。
【0035】
第3の実施形態
本発明による第3の実施形態の酸化物半導体発光素子は、酸化物基板上に、少なくとも、n型ZnO系半導体クラッド層、ZnO系半導体活性層、およびp型ZnO系半導体クラッド層が形成され、該p型ZnO系半導体クラッド層はリッジストライプ状に加工され、ここに、該酸化物基板がLi1−(x+y)NaAl1−zGa(0≦x、y、z≦1、0≦x+y≦1)で表される組成を有する半導体レーザ素子である。
本発明によれば、基板として、ZnO系半導体層との親和性に優れたLi1−(x+y)NaAl1−zGa酸化物を用いるので、良好な結晶性を有するエピタキシャル層を得ることができ、また、その組成を変化させることにより格子定数を制御することができる。
かくして、信頼性と発光効率に優れた半導体レーザ素子を得ることができる。
【0036】
図3は、ZnO系半導体レーザ素子3の斜視図(A)および断面図(B)を示す。半導体レーザ素子3は、(001)金属面を主面としたNaAlO基板301上に、Li1−aNaAlOバッファ層302、n型ZnOコンタクト層303、n型MgZnOクラッド層304、n型ZnO光ガイド層305、ノンドープ量子井戸活性層306、p型ZnO光ガイド層307、p型MgZnOクラッド層308、およびp型ZnOコンタクト層309を積層することによって構成されている。
また、量子井戸活性層306は、1または複数のZnO障壁層と、1または複数のCdZnO井戸層とを交互に積層して形成された多重量子井戸構造である。
【0037】
さらに、p型ZnOコンタクト層309およびp型MgZnOクラッド層308はリッジストライプ状にエッチング加工され、n型MgZnO電流ブロック層310によって、リッジストライプ側面は埋め込まれている。
n型MgZnO電流ブロック層310およびp型ZnOコンタクト層309の上にはp型オーミック電極312が形成されている。
また、n型MgZnOクラッド層304からn型MgZnO電流ブロック層310に至る積層構造は一部がエッチングされ、露出したn型ZnOコンタクト層303上にn型オーミック電極311が形成されている。
【0038】
Li1−aNaAlOバッファ層302がNaAlO基板301およびn型ZnOコンタクト層303との界面で各々格子整合するように、Li1−aNaAlOバッファ層中のNa組成をエピタキシャル層の成長方向において徐々に変化させることによって、成長層の結晶欠陥を低減し、格子歪を緩和することができる。
【0039】
半導体レーザ素子の効率を向上させるには、MgZnO混晶はZnOに比べて不純物の活性化率が低いことから、p型MgZnOクラッド層308上に直接p型オーミック電極312を形成せず、p型コンタクト層309を設けて低抵抗化することが好ましい。
コンタクト層材料には、結晶性に優れキャリア濃度を高くできるZnOを用いることが好ましい。p型ZnOコンタクト層309に過剰にアクセプタ不純物をドーピングすると結晶性劣化が顕著となり、本発明の効果が減少するので、5×1016〜5×1019cm−3のキャリア濃度範囲となるようドーピングすることが好ましい。
【0040】
n型コンタクト層303にはp型コンタクト層309の場合と同様にZnOが適しており、ドナー不純物のドーピング濃度は1×1018〜1×1021cm−3の範囲が好ましく、さらには5×1019〜5×1020cm−3の範囲で調整されることが好ましい。また、膜厚は、0.001〜1μm、好ましくは0.005〜0.5μm、さらに好ましくは0.01〜0.1μmの範囲に調整されることが好ましい。
【0041】
【実施例】
実施例1
この実施例は、本発明を発光ダイオード素子に適用した第1の実施形態の酸化物半導体発光素子を説明する。
図1は、発光ダイオード素子1の断面図を示す。この実施例において、(001)金属面を主面とするLiGaO単結晶基板101上に、Gaを3×1018cm−3の濃度でドーピングした厚さ0.1μmのn型ZnOコンタクト層102、Gaを1×1018cm−3の濃度でドーピングした厚さ1μmのn型Mg0.1Zn0.9Oクラッド層103、ノンドープ量子井戸発光層104、Nを5×1019cm−3の濃度でドーピングした厚さ1μmのp型Mg0.1Zn0.9Oクラッド層105、およびNを1×1020cm−3の濃度でドーピングした厚さ0.3μmのp型ZnOコンタクト層106を積層して、発光ダイオード素子1aを作製した。
【0042】
量子井戸発光層104は、厚さ5nmのZnO障壁層11層と、厚さ4nmのCd0.2Zn0.8O井戸層10層とを交互に積層した多重井戸構造である。n型Mg0.1Zn0.9Oクラッド層103からp型ZnOコンタクト層106までのエピタキシャル層は一部がエッチングされ、露出したn型ZnOコンタクト層102の表面にはn型オーミック電極109として厚さ100nmのAlが積層されている。
また、p型ZnOコンタクト層106の主表面全面には、透光性p型オーミック電極107として、厚さ15nmのNiが積層され、その上に、透光性p型オーミック電極107より小さい面積で厚さ100nmのボンディング用Auパッド電極108が形成されている。
【0043】
以下に製造方法を順に説明する。
まず、洗浄処理したLiGaO基板101をレーザMBE装置7に導入し、温度600℃で30分間加熱し清浄化した。
次に基板温度を500℃に降温し、ノンドープZnO単結晶およびGaを添加したZnO焼結体を原料ターゲットとし、回転機構によるターゲットテーブルの駆動周期とKrFエキシマレーザのパルス照射周期を外部制御装置(図示しない)によって同期させ、所望のGaドーピング濃度が得られる比率で2つの原料ターゲットを交互にアブレーションしてn型ZnOコンタクト層102を成長させた。
アブレーションを行うパルスレーザにはKrFエキシマレーザ(波長:248nm、パルス数:10Hz、出力1J/cm)を用いた。成長中にはガス導入管710aより、Oガスを導入した。
次に、ノンドープZnO単結晶およびGaを添加したMgZnO焼結体を原料ターゲットとし、所望のMg組成とGaドーピング濃度が得られる比率で交互にアブレーションしてn型Mg0.1Zn0.9Oクラッド層103を成長させた。
次に、ノンドープZnO単結晶、CdZnO焼結体を原料ターゲットとし、所望のCd組成が得られる比率で交互にアブレーションして、ZnO障壁層およびCd0.2Zn0.8O井戸層よりなる量子井戸活性層104を成長させた。
【0044】
次に、ガス導入管710bより導入したNガスをラジカルセル709でプラズマ化して照射しながら、ノンドープZnO単結晶およびノンドープMgZnO焼結体を原料ターゲットとして交互アブレーションを行い、p型Mg0.1Zn0.9Oクラッド層105を成長させた。
次に、ガス導入管710bより導入したNガスをラジカルセル709でプラズマ化して照射しながら、ノンドープZnO単結晶を原料ターゲットとしてアブレーションを行い、p型ZnOコンタクト層106を成長させた。
【0045】
次に、基板101をレーザMBE装置7から取り出し、成長層の一部を覆うレジストマスクを形成し、1重量%の硝酸水溶液を用いてp型ZnOコンタクト層106からn型Mg0.1Zn0.9Oクラッド層103に至る成長層を部分的にエッチング除去した。
次に、露出したn型ZnOコンタクト層102上にn型オーミック電極109としてAlを真空蒸着した。
次に、p型ZnOコンタクト層106上面全面に、p型オーミック電極107としてNi薄膜を真空蒸着した。このNi薄膜は高い透光性を有し、青色発光波長において80%を透過する。
最後に、p型オーミック電極107上にパッド電極108として厚さ100nmのAuを真空蒸着した。
【0046】
なお、この実施例においては、ZnO単結晶およびGaドープMgZnO焼結体の2つの原料ターゲットを交互アブレーションすることによって、Mg組成およびGaドーピング濃度を制御したが、ZnO単結晶、ノンドープMgZnO焼結体およびGaドープZnO焼結体の3つの原料ターゲットを打ち分ける等の方法を用いて、ドーピング濃度の制御性を向上させることができる。
また、MgZnO焼結体を用いず、ZnO単結晶とMgO単結晶とを交互アブレーションして所望組成のMgZnO混晶を得てもよい。
さらに、Ga添加焼結体を用いず、蒸発セルを用いて金属Gaをドーピングしてもよい。
【0047】
発光ダイオード素子1aをチップ状に分離してリードフレームに取り付け、樹脂モールドし発光させたところ、発光ピーク波長430nmの青色発光が得られた。
【0048】
比較のため、基板101にサファイアを用いる以外は、発光ダイオード素子1aと同様にして、発光ダイオード素子1bを作製した。
上記と同様にして、発光ダイオード素子1bをチップ状に分離してリードフレームに取り付け、樹脂モールドし発光させたところ、発光ピーク波長450nmの青色発光が得られた。発光波長が長波長化したのは、基板からの応力によってZnO系半導体エピタキシャル層に格子歪が生じたためと考えられる。
また、発光ダイオード素子1aと比較して、20mAの動作電流における発光強度は3/4に減少し、さらに、素子寿命(動作電流20mAで動作させ、動作開始から発光強度が初期値の50%に減少するまでの時間で定義する。)は1/5になった。
発光強度の大幅な悪化は、結晶性劣化による発光効率の低下が原因であると考えられる。
【0049】
さらに、基板101にSiを用いる以外は、発光ダイオード素子1aと同様にして、発光ダイオード素子1cを作製した。
上記と同様にして、発光ダイオード素子1cをチップ状に分離してリードフレームに取り付け、樹脂モールドし発光させたところ、発光ピーク波長450nmの青色発光が得られた。発光波長が長波長化したのは、基板からの応力によってZnO系半導体エピタキシャル層に格子歪が生じたためと考えられる。
また、発光ダイオード素子1aと比較して、20mAの動作電流における発光強度は1/10に減少し、さらに、素子寿命(動作電流20mAで動作させ、動作開始から発光強度が初期値の50%に減少するまでの時間で定義する。)は1/10になった。
発光強度の大幅な悪化は、結晶性劣化による発光効率の低下に加え、Si基板での吸収損失が原因であると考えられる。
【0050】
以上に示したように、Li1−(x+y)NaAl1−zGa基板を用いると、発光効率が高く信頼性に優れたZnO系半導体発光素子を作製できる。
【0051】
実施例2
次に、基板の成長主面が発光ダイオード素子特性に及ぼす影響を調べるために、LiGaO単結晶基板101の成長主面を(00−1)酸素面とする以外は、発光ダイオード素子1aと同様にして、発光ダイオード素子1dを作製した。実施例1と同様に、発光ダイオード素子1dをチップ状に分離してリードフレームに取り付け、樹脂モールドし発光させたところ、20mAの動作電流における動作電圧は、発光ダイオード1aと比較して0.5V増大した。
この原因を調べたところ、ZnO系半導体層の成長主面が酸素面(000−1)となっており、p型Mg0.1Zn0.9Oクラッド層105およびp型ZnOコンタクト層106の抵抗率が増大していたためであることがわかった。
【0052】
したがって、本発明のLi1−(x+y)NaAl1−zGa基板は、成長主面に(001)金属面を選択すると、その上にエピタキシャル成長するZnO系半導体層が(0001)亜鉛面となり、亜鉛面が成長主面であればp型層のキャリア活性化率が向上し、抵抗の低いp型ZnO系半導体層が得られやすくなるので好ましいことがわかった。
【0053】
実施例3
基板の結晶成長主面の方位が発光ダイオード素子の特性に与える影響を調べるため、基板の成長主面として、結晶面方向が(001)面から[100]方向へ傾斜したLiGaO単結晶のオフ基板を用いる以外は、発光ダイオード素子1aと同様にして種々の発光ダイオード素子を作製した。
基板のオフ角度と発光強度との関係を図5に示す。
【0054】
オフ角度が15°以下では、傾斜の無い「ジャスト基板」に比べ発光強度が増大するが、15°を超えると発光強度は急激に減少する。すなわち、成長主面が(001)より15°以下のオフ角度にて傾斜する「オフ基板」を用いることが好ましい。
なお、図5は[100]方向へ傾斜を有する場合について調べたものであるが、[010]方向に傾斜したオフ基板を用いても同様の結果が得られた。
【0055】
「オフ基板」を用いると発光強度が増大する理由は、材料原子がステップに取り込まれ2次元成長する「ステップフロー成長」が生じ、ZnO系半導体層の結晶性と平坦性が改善されたためであり、特にオフ角が15°までのオフ基板であれば、適度なステップの高さとテラスの広さを有するため、成長層の平坦性に優れると考えられる。
また、この実施例においては、[100]方向および[010]方向に傾斜したオフ基板についてのみの結果を示したが、一般に傾斜方向によらず、基板主面が傾斜していれば、必ずステップ状の原子面段差を有するので、本発明に用いるオフ基板の傾斜方向は限定されるものではない。
【0056】
実施例4
この実施例は、本発明を発光ダイオード素子に適用した第2の実施形態の酸化物半導体発光素子を説明する。
この実施例において、LiGaO基板101とn型ZnOコンタクト層102との間に、厚さ30nmのLi0.75Na0.25GaOよりなるバッファ層201を形成する以外は、発光ダイオード素子1aと同様にして、発光ダイオード素子2aを作製した(図示せず)。
【0057】
実施例1と同様に、発光ダイオード素子2aをチップ状に分離してリードフレームに取り付け、樹脂モールドし発光させたところ、発光ピーク波長430nmの青色発光が得られた。また、発光ダイオード素子1aと比較して、20mAの動作電流における発光強度は30%増大し、素子寿命は2倍になった。
【0058】
発光ダイオード素子1aと比較して、発光ダイオード素子2aの特性が改善された理由は、バッファ層201として形成したLi0.75Na0.25GaO層が、LiGaO基板101とn型ZnOコンタクト層102の間の格子不整合を緩和したためと考えられる。
【0059】
この実施例において、LiGaO基板101上に単一組成のLi0.75Na0.25GaOバッファ層を形成したが、基板側およびZnO系半導体側で各々格子不整合が小さくなるように組成を変化させると、結晶欠陥や格子歪がさらに緩和され、極めて特性に優れた酸化物半導体発光素子を作製できるので好ましい。
【0060】
参考例1
本発明のLi1−(x+y)NaAl1−zGa基板は、構成元素の組成を適切に選択することにより、格子定数を制御してZnO系半導体に格子整合させることができる。特に、Li1−bNaGaOの他に、Li1−aNaAlO、LiAl1−cGa、NaAl1−dGaなど、IA族またはIIIA族のいずれかが2種の元素からなる酸化物は、組成の制御が簡便であるので好ましい。
【0061】
この参考例において、前記4つの酸化物に対して、平均酸素−酸素間距離で表される実効格子定数を求めた結果を図6に示す。ここで「実効格子定数」とは、同一面内の6つの酸素原子で構成される六角形と同じ面積の正六角形を仮定し、この正六角形の一辺を成す酸素−酸素原子間距離と定義する。
【0062】
これより、ZnOに対しては、全組成範囲で−4%(LiAlOを用いた場合;実効格子定数=3.12Å)〜+6%(NaGaOを用いた場合;実効格子定数=3.44Å)の格子定数差を制御でき、特に、Li1−aNaAlOにおいて、Na組成xが0.4〜0.6である場合;またはLi1−bNaGaOにおいて、Na組成xが0.15〜0.35である場合には、ZnOとの格子定数差が±0.75%と極めて小さいため好ましく、さらにLi0.5Na0.5AlOまたはLi0.75Na0.25GaOであれば、実効格子定数が3.25Åとなり、ZnOとほぼ完全に格子整合し、歪を有せず結晶性に優れたZnO系半導体層をエピタキシャル成長できることがわかる。
【0063】
実施例5
この実施例は、本発明を半導体レーザ素子に適用した第3の実施形態の酸化物半導体発光素子を説明する。
図3は、ZnO系半導体レーザ素子3の斜視図(A)および断面図(B)を示す。この実施例において、(001)金属面を主面としたNaAlO基板301上に、厚さ30nmのLi1−aNaAlOバッファ層302、Gaを1×1019cm−3の濃度でドーピングした厚さ0.3μmのn型ZnOコンタクト層303、Gaを3×1018cm−3の濃度でドーピングした厚さ1μmのn型Mg0.1Zn0.9Oクラッド層304、Gaを5×1017cm−3の濃度でドーピングした厚さ30nmのn型ZnO光ガイド層305、ノンドープ量子井戸活性層306、Nを5×1018cm−3の濃度でドーピングした厚さ30nmのp型ZnO光ガイド層307、Nを5×1019cm−3の濃度でドーピングした厚さ1.2μmのp型Mg0.1Zn0.9Oクラッド層308、およびNを1×1020cm−3の濃度でドーピングした厚さ0.5μmのp型ZnOコンタクト層309を積層して、半導体レーザ素子3aを作製した。
【0064】
量子井戸活性層306は、厚さ5nmのZnO障壁層2層と、厚さ6nmのCd0.1Zn0.9O井戸層3層とを交互に積層することによって形成されている。
p型ZnOコンタクト層309およびp型Mg0.1Zn0.9Oクラッド層308はリッジストライプ状にエッチング加工され、リッジストライプ側面はGaが3×1018cm−3の濃度でドーピングされたn型Mg0.2Zn0.8O電流ブロック層310によって埋め込まれている。
n型Mg0.1Zn0.9Oクラッド層304からn型Mg0.2Zn0.8O電流ブロック層310に至る積層構造は一部がエッチングされ、露出したn型ZnOコンタクト層303上にn型オーミック電極311が形成されている。
n型Mg0.2Zn0.8O電流ブロック層310およびp型ZnOコンタクト層309の上にはp型オーミック電極312が形成されている。
【0065】
Li1−aNaAlOバッファ層302は、基板301側からZnOコンタクト層303側に向って、NaAlO(Na組成a=1)からLi0.5Na0.5AlO(Na組成a=0.5)までの組成傾斜を有し、NaAlO基板301およびn型ZnOコンタクト層303との界面で各々格子整合している。
【0066】
半導体レーザ素子3aの作製後、リッジストライプに垂直なミラー端面に保護膜を真空蒸着した後、素子を300μm角のチップ状に分離した。
半導体レーザ素子3aに電流を流したところ、端面から波長405nmの青色発振光が得られた。
発振閾値電流は35mAであり、光出力5mWでの動作電圧は4Vであって、素子寿命(60℃にて光出力5mWで連続発振させ、発振開始から動作電流が初期値より20%増大するまでの時間で定義する。)は10,000時間であった。
【0067】
比較のため、基板にサファイア(0001)面を用いる以外は、半導体発光素子3aと同様にして、半導体レーザ素子3bを作製した。
上記と同様にして、半導体レーザ素子3bを発光させたところ、発振閾値電流は45mAに増大し、素子寿命は約1,000時間であった。
【0068】
以上より、本発明のLi1−(x+y)NaAl1−zGa基板は、半導体レーザ素子に適用しても、発振閾値電流の低減および信頼性の向上に効果を有することがわかった。
【0069】
さらに、Li1−aNaAlOバッファ層を形成しない以外は、半導体レーザ素子3aと同様にして、半導体レーザ素子3cを作製した。
上記と同様にして、半導体レーザ素子3cを発光させたところ、発振閾値電流は40mAに増大し、素子寿命は約3,500時間であった。
【0070】
さらに、Li1−aNaAlOバッファ層をa=0.5の単一組成とする以外は、半導体レーザ素子3aと同様にして、半導体レーザ素子3dを作製した。
上記と同様にして、半導体レーザ素子3dを発光させたところ、発振閾値電流は半導体レーザ素子3aとほぼ同じであったが、素子寿命は約8,000時間であった。
【0071】
以上より、本発明のようにLi1−(x+y)NaAl1−zGa基板上にLi1−aNaAlOバッファ層を形成する場合、バッファ層中のNa組成を変化させて、バッファ層の格子定数を制御することによって、ZnO系半導体層の格子歪を緩和することができ、信頼性に優れた酸化物半導体発光素子を作製できることがわかった。
【0072】
【発明の効果】
本発明の酸化物半導体発光素子によると、Li1−(x+y)NaAl1−zGa(0≦x、y、z≦1)で表される組成を有する酸化物基板上に、少なくとも、ZnO系半導体で構成されたn型クラッド層、活性層、およびp型クラッド層が形成されているので、基板組成を制御することにより、ZnO系半導体に極めて近い範囲で格子定数を制御でき、信頼性に優れた酸化物半導体発光素子を作製できた。また、成長主面を所定のオフ角度にて傾斜させたオフ基板とすることで、酸化物半導体発光素子の信頼性をさらに向上させることができた。
また、Li1−(x+y)NaAl1−zGa基板上に、酸化物基板とは組成の異なるLi1−(x+y)NaAl1−zGa(0<x、y、z<1)を含むバッファ層を形成し、バッファ層の組成を制御することによって、格子歪を緩和することができ、より一層信頼性に優れた酸化物半導体発光素子を作製できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による第1の実施形態の酸化物半導体発光素子(発光ダイオード素子)を示す斜視図(A)および断面図(B)。
【図2】 ZnOおよび絶縁体酸化物LiGaOの結晶構造を説明する概略図。
【図3】 本発明による第3の実施形態の酸化物半導体発光素子(半導体レーザ素子)を示す断面図。
【図4】 レーザ分子線エピタキシー装置の概略図。
【図5】 傾斜基板のオフ角度と発光ダイオード素子の発光強度の関係を説明するグラフ。
【図6】 本発明の4つの酸化物に対して、組成と平均酸素−酸素間距離で表される実効格子定数との関係を説明するグラフ。
【符号の説明】
1・・・発光ダイオード素子、
101・・・LiNaKAlGaO基板、
102・・・n型ZnOコンタクト層、
103・・・n型MgZnOクラッド層、
104・・・発光層、
105・・・p型MgZnOクラッド層、
106・・・p型ZnOコンタクト層、
107・・・p型オーミック電極、
108・・・パッド電極、
109・・・n型オーミック電極、
201・・・n型LiNaKAlGaOバッファ層、
3・・・半導体レーザ素子、
301・・・LiNaKAlGaO基板、
302・・・LiNaKAlGaOバッファ層、
303・・・n型ZnOコンタクト層、
304・・・n型MgZnOクラッド層、
305・・・n型ZnO光ガイド層、
306・・・量子井戸活性層、
307・・・p型ZnO光ガイド層、
308・・・p型MgZnOクラッド層、
309・・・p型ZnOコンタクト層、
310・・・n型MgZnO電流ブロック層、
311・・・n型オーミック電極、
312・・・p型オーミック電極、
7・・・レーザMBE装置、
701・・・成長室、
702・・・基板ホルダー、
703・・・基板、
704・・・ヒーター、
705・・・ターゲットテーブル、
706・・・原料ターゲット、
707・・・ビューポート、
708・・・パルスレーザ光(エキシマレーザ)、
709・・・ラジカルセル、
710・・・ガス導入管。

Claims (7)

  1. 酸化物基板上に、少なくとも、n型ZnO系半導体クラッド層、ZnO系半導体活性層、およびp型ZnO系半導体クラッド層が形成され、ここに、該酸化物基板がLiGaOで表される組成を有し、該酸化物基板上に、該酸化物基板とは組成の異なるLi 1−(x+y) Na Al 1−z Ga (0<x、y、z<1、0<x+y<1)を含むバッファ層が形成されている酸化物半導体発光素子。
  2. 該酸化物基板の成長主面が(001)金属面であって、該酸化物基板上にエピタキシャル成長されたZnO系半導体の成長主面が(0001)亜鉛面である請求項1に記載の酸化物半導体発光素子。
  3. 該酸化物基板の結晶成長主面が、(001)面より15°以下のオフ角度にて傾斜した面である請求項1または2に記載の酸化物半導体発光素子。
  4. 該バッファ層の成長方向における終端の組成がLi1−aNaAlOであって、該Na組成aが0.4〜0.6の範囲にある請求項に記載の酸化物半導体素子。
  5. 該バッファ層の成長方向における終端の組成がLi0.5Na0.5AlOである請求項記載の酸化物半導体発光素子。
  6. 該バッファ層の成長方向における終端の組成がLi1−bNaGaOであって、該Na組成bが0.15〜0.35の範囲にある請求項に記載の酸化物半導体素子。
  7. 該バッファ層の成長方向における終端の組成がLi0.75Na0.25GaOである請求項に記載の酸化物半導体発光素子。
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