JP2004207441A - 酸化物半導体発光素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】ZnO系半導体のワイドギャップ層成長時における活性層の蒸発や熱劣化を防ぎ、発光特性と信頼性に優れた酸化物半導体発光素子を提供すること。
【解決手段】基板上に少なくとも、ZnO系半導体で構成された、n型クラッド層、活性層、p型クラッド層が積層されて成る酸化物半導体発光素子において、前記活性層よりもバンドギャップエネルギーの大きな層が、MgxCdyZn1-x-yO混晶(0<x<1、0<y<1)で形成されてなる。
【選択図】 図3
【解決手段】基板上に少なくとも、ZnO系半導体で構成された、n型クラッド層、活性層、p型クラッド層が積層されて成る酸化物半導体発光素子において、前記活性層よりもバンドギャップエネルギーの大きな層が、MgxCdyZn1-x-yO混晶(0<x<1、0<y<1)で形成されてなる。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は発光ダイオードや半導体レーザなどの半導体発光素子に関し、さらに詳しくは信頼性の高い酸化物半導体素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
酸化亜鉛(ZnO)は、約3.4eVのバンドギャップエネルギーを有する直接遷移型半導体で、励起子結合エネルギーが60meVと極めて高く、また原材料が安価、環境や人体に無害で成膜手法が簡便であるなどの特徴を有し、高効率・低消費電力で環境性に優れた発光デバイスを実現出来る可能性がある。
【0003】
ZnO系半導体は、MgZnO混晶によるワイドギャップ層と、CdZnO混晶によるナローギャップ層を組み合わせることにより、多機能な半導体発光素子を作製することが出来る。
【0004】
なお、本明細書においてZnO系半導体とは、ZnOおよびこれを母体としたMgZnOあるいはCdZnOなどで表される混晶を含めるものとする。
【0005】
図1に、ZnO系半導体を構成するII族元素の温度と蒸気圧の関係を示す。分子線エピタキシー法などで良好なZnO結晶が得られる温度は概ね500〜600℃であるが、この温度範囲ではCd、ZnおよびMgの間には2桁以上の蒸気圧差が存在する。故に、組成比を厳密に制御すると共に良好な結晶を得るためには、積層するZnO系半導体の組成比によって成長温度を変化させる必要がある。
【0006】
ZnO系半導体によって青色発光素子を作製する場合、活性層にはバンドギャップエネルギーを3eV以下に出来るCdZnO混晶が用いられるが、ダブルヘテロ構造におけるクラッド層は活性層よりバンドギャップを大きくする必要があるため、Cd組成比を下げるか、ZnOあるいはMgZnO混晶を用いることが好ましい。しかし、前記の蒸気圧差が存在するためにクラッド層成長時には成長温度を上げる必要があり、このときにCdZnO混晶で構成されている活性層からCdが蒸発し、結晶性の著しい劣化を生じる。
【0007】
上記問題を解決するために、国際公開WO00/16411号公報において、活性層と上部クラッド層との間の少なくとも活性層側に低温ZnO層を設ける技術が開示されている。同公報によると、低温ZnO層を設けることにより、活性層上にZnOやMgZnOなどが高温で成長されても、活性層の蒸気圧の高いCdは低温ZnO層によりその蒸発が抑制され、良好な青色発光を得ることが出来ると共に、活性層の結晶性が向上して発光特性を改善することが出来ることが示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、低温ZnO層は低温で成長されるため結晶性が劣り、特に成長表面の平坦性が著しく損われるという問題を有する。このため、低温ZnO層上に成長されるp型MgZnOクラッド層の結晶性も著しく損われ、活性層の結晶性が良好であっても発光特性や信頼性が劣化するという問題を有していた。
【0009】
本発明は以上の課題に鑑み、ZnO系半導体のワイドギャップ層成長時における活性層の蒸発や熱劣化を防ぎ、発光特性と信頼性に優れた酸化物半導体発光素子を提供する。
【0010】
【特許文献1】
国際公開WO00/16411号公報
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、CdZnO活性層と同程度の低温で良好な結晶性が得られるワイドギャップ層について鋭意検討した結果、MgCdZnOより成る4元混晶を用いることで目的が達せられることを見い出し本発明に至った。
【0012】
すなわち、本発明の酸化物半導体発光素子は、基板上に少なくとも、ZnO系半導体で構成された、n型クラッド層、活性層、p型クラッド層が積層されて成る酸化物半導体発光素子において、前記活性層よりもバンドギャップエネルギーの大きな層が、MgxCdyZn1-x-yO混晶(0<x<1、0<y<1)を含むことを特徴とする。
【0013】
本明細書においてワイドギャップ層とは活性層よりもバンドギャップエネルギーの大きな層という意味で使用している。このワイドギャップ層がMgCdZnO混晶を含むことにより、同じバンドギャップを有するMgZnO混晶より結晶成長温度を下げることが出来、活性層の熱劣化を防止して素子の信頼性を向上することが出来る。
【0014】
基板上に順次各層を形成するに際して、活性層形成後に形成する、活性層よりもバンドギャップエネルギーの大きな層としてMgxCdyZn1-x-yO混晶(0<x<1、0<y<1)からなる層を形成するとよい。例えば基板上にn型クラッド層、活性層、p型クラッド層を順次積層する場合、p型クラッド層をMgxCdyZn1-x-yO混晶(0<x<1、0<y<1)で構成するようにする。また基板上にp型クラッド層、活性層、n型クラッド層が順次積層する場合、n型クラッド層をMgxCdyZn1-x-yO混晶(0<x<1、0<y<1)で構成するようにする。基板と活性層の間に形成される各層は、従来から使用形成されているZnO系半導体で構成された層を形成でき、もちろんそれらの各層の機能を代替できるのであれば、MgxCdyZn1-x-yO混晶(0<x<1、0<y<1)を適用することは妨げられない。
【0015】
なお、本発明素子において、ある1層にMgxCdyZn1-x-yO混晶として例えばx=0.25、y=0.05を使用した場合、他の層にMgxCdyZn1-x-yO混晶を適用する場合に、該他の層もx=0.25、y=0.05の組成で使用しなければならないことを意味しているものではなく、0<x<1、0<y<1の範囲である限り、各MgxCdyZn1-x-yO層のx、y値は同一値でなければならないことを意味しているものではない。
【0016】
なお、前記「活性層」は、発光ダイオード素子の場合には「発光層」と称されるが、発光を司る層という意味において同義であるので、以下においては特に区別しない。
【0017】
一実施形態の酸化物半導体発光素子は、好ましくは前記MgxCdyZn1-x-yO混晶のMg組成比xおよびCd組成比yの間に、
x+y ≦ 0.5 且つ
y < x
なる関係を有する。
【0018】
ワイドギャップ層を構成する4元混晶の組成比が前記所定の関係であれば、結晶性が悪化せず、信頼性に優れた酸化物半導体発光素子を作製することが出来る。
【0019】
一実施形態の酸化物半導体発光素子は、前記活性層よりもバンドギャップエネルギーの大きな層が前記活性層から前記基板と反対側に形成されたクラッド層である。
【0020】
活性層上に形成するワイドギャップ層のうち、活性層形成後に積層されるクラッド層の成長条件は活性層の劣化に最も影響する。活性層形成後に積層されるクラッド層を低温で形成出来るMgCdZnO混晶で構成することにより、活性層の蒸発や劣化を防止して素子の信頼性を向上することが出来る。
【0021】
一実施形態の酸化物半導体発光素子は、前記MgxCdyZn1-x-yO混晶を含むクラッド層がp型層であり、前記MgxCdyZn1-x-yO混晶を含むp型クラッド層のアクセプタ不純物が、Li、Cu、Ag、N、As、Pの少なくともいずれかを含む。
特に好ましくは、前記MgxCdyZn1-x-yO混晶を含むp型クラッド層のアクセプタ不純物が、N、Li、Agの少なくともいずれかを含む。
【0022】
ZnO系半導体はp型層が得られにくいが、アクセプタ不純物がLi、Cu、Ag、N、As、Pのいずれかであれば、p型層を得ることが出来る。
特にアクセプタ不純物がN、LiあるいはAgであれば、MgCdZnO混晶を低抵抗に出来、動作電圧が低減する。高濃度ドーピングによっても結晶欠陥が生じにくい。
【0023】
一実施形態の酸化物半導体発光素子は、前記MgxCdyZn1-x-yO混晶を含むp型クラッド層上に、p型ZnOコンタクト層が形成されている。
【0024】
p型ZnOコンタクト層を形成することにより、電流広がりが均一化すると共にp型オーミック電極の接触抵抗が低減し、素子の動作電圧が低減する。
【0025】
一実施形態の酸化物半導体発光素子は、前記MgxCdyZn1-x-yO混晶を含むクラッド層がリッジストライプ型の形状を有すると共に、前記リッジストライプ形状の側面に前記MgxCdyZn1-x-yO混晶を含む電流ブロック層が形成されている。
【0026】
電流ブロック層がCdMgZnO混晶を含むことにより、低温で信頼性に優れた電流ブロック機能を得ることが出来る。
【0027】
一実施形態の酸化物半導体発光素子は、前記MgxCdyZn1-x-yO混晶を含む電流ブロック層のバンドギャップエネルギーが、前記MgxCdyZn1-x-yO混晶を含むクラッド層のバンドギャップエネルギーより大きい。
【0028】
MgCdZnO混晶を含む電流ブロック層のバンドギャップエネルギーが、MgxCdyZn1 -x-yO混晶を含むクラッド層のバンドギャップエネルギーより大きいことにより、発光を吸収しないので損失が低減し、発振閾値電流や動作電流が低減する。また、屈折率導波となって単一横モードを安定して得ることが出来る。
【0029】
なお、電流ブロック層がMgCdZnO混晶を含む複数の層の積層構造より成る場合は、MgxCdyZn1-x-yO混晶を含むクラッド層のバンドギャップエネルギーより大きい層を1層以上含めば効果を有する。
【0030】
一実施形態の酸化物半導体発光素子は、前記MgxCdyZn1-x-yO混晶を含むクラッド層上および前記MgxCdyZn1-x-yO混晶を含む電流ブロック層上に、前記MgxCdyZn1-x-yO混晶を含むクラッド層と同じ導電型のZnO層が形成されている。
【0031】
4元混晶層上にZnO層を形成することにより、Cdの蒸発による組成変動を抑えることが出来る。特にZnOはコンタクト層とすることができ、素子抵抗を低減出来る。
【0032】
一実施形態の酸化物半導体発光素子は、前記基板がZnO単結晶である。
ZnO基板はその上にエピタキシャル成長されるZnO系発光素子との親和性に優れ、結晶性が良好で欠陥の極めて少ない酸化物半導体発光素子を作製することが出来る。
【0033】
一実施形態の酸化物半導体発光素子は、前記ZnO単結晶基板の成長主面が亜鉛面である。
ZnO基板の亜鉛面を成長主面に用いることにより、抵抗の低いp型ZnO半導体層が得られやすくなり、動作電圧の低い酸化物半導体発光素子を得ることが出来る。
【0034】
【発明の実施の形態】
(実施形態1)
以下に本発明の実施の形態を図面に基づき具体的に説明する。
本実施形態では、分子線エピタキシー(以下「MBE」と称する)法によってMgCdZnO混晶を作製した例を示す。
【0035】
図2は、本実施形態で用いたMBE装置100の概略図である。超高真空に排気可能な成長室101の上部に基板ホルダー102が配置され、基板ホルダー102に基板103が固定されている。基板ホルダー102上部に配置されたヒーター104により基板ホルダー102の裏面が加熱され、その熱伝導により基板103が加熱される。基板ホルダー102直下には適当な距離を置いて半導体原料を充填した蒸発源セル105が複数配置されている。各々の蒸発源セル105は側面に設けられた加熱ヒータ106によって加熱され、蒸発した分子状の原料が基板103に堆積することにより薄膜が成長する。各々の蒸発源セル105はシャッター107を有し、この開閉を組み合せて制御することによって、異なる組成の薄膜を積層することが可能となる。また、成長室にはプラズマ状のガス原料を導入出来るよう、ラジカルセル108が設けられている。
【0036】
以下にMBE装置100を用いたMgCdZnO混晶薄膜の作製方法を説明する。
まず、洗浄処理したZnO基板103をMBE装置100に導入し、酸素ラジカルセル108より酸素プラズマガス(以下O*ガスと称する)を基板に照射しながら、温度600℃で30分間加熱し清浄化した。酸素ラジカルセル108への酸素ガス流量は3sccmとし、成長室101内での分圧は1×10-3Paに設定した。
【0037】
次に基板温度を成長温度に降温し、酸素ラジカルセル108からO*ガスを照射したまま、Znセル、MgセルおよびCdセルのシャッターを開けて、Mg0.15Cd0.05Zn0.8O混晶薄膜を0.5μm成長させた。Zn、MgおよびCdの分子線強度は成長室101内での分圧で制御し各々6×10-5、1×10-5および4×10-6Paとした。
【0038】
このとき、Zn分子線は一定供給とし、MgおよびCd分子線を所定の分圧で交互に供給してもよい。
【0039】
図3に、供給したII族元素(Zn、MgおよびCd)のMg比に対する薄膜中のII族元素のMg組成比と成長温度の関係を示す。供給II族元素のCd組成比は0.05で一定とした。また、比較例として、MgZnO混晶の結果も示した。
【0040】
同じ成長温度では、3元混晶であるMgZnOよりも、4元混晶であるMgCdZnOの方が、薄膜中のMg組成比が約3倍高かった。すなわち、MgCdZnO混晶の方がMgZnO混晶より低温で成長出来る。
【0041】
図4は、MgCdZnO混晶とMgZnO混晶について、Mg組成比とバンドギャップエネルギーの関係を示したものである。供給II族元素のCd組成比は0.05と0.1の場合について示した。
【0042】
同じMg組成比では、MgCdZnO混晶の方がMgZnO混晶よりバンドギャップエネルギーが小さいが、4元混晶において3元混晶と同じバンドギャップエネルギーが得られるMg組成は、Cd組成比が0.05の場合は約2.5倍である。このことは、図3の結果と併せて考察すると、同じ障壁高さのダブルヘテロ構造を形成するのであれば、MgCdZnO混晶をクラッド層に用いた方が、ZnOあるいはCdZnO活性層との成長温度差を小さく出来ることを意味する。すなわち、活性層の熱劣化を防止して素子の信頼性を向上することが出来る。
【0043】
4元混晶は、以上述べたように3元混晶に比べてバンドギャップエネルギーの大きな混晶を低温で成長出来る反面、組成不均一を生じやすいので、MgxCdyZn1-x-yO混晶のMg組成比xおよびCd組成比yの間には、0<x+y≦0.5なる関係を有することが好ましい。
【0044】
(実施形態2)
本実施形態では、レーザ分子線エピタキシー(以下、「レーザMBE」と称する)法によってMgCdZnO混晶を作製した例を示す。
【0045】
図5は、本実施形態で用いたレーザMBE装置200の概略図である。
超高真空に排気可能な成長室201の上部に基板ホルダー202が配置され、基板ホルダー202に基板203が固定されている。基板ホルダー202上部に配置されたヒーター204により基板ホルダー202の裏面が加熱され、その熱伝導により基板203が加熱される。基板ホルダー202直下には適当な距離を置いてターゲットテーブル205が配置され、ターゲットテーブル205上には原料ターゲット206が複数配置出来る。ターゲット206の表面は成長室201の側面に設けられたビューポート207を通じ照射されるパルスレーザ光208によりアブレーションされ、瞬時に蒸発したターゲット206の原料が基板上に堆積することにより薄膜が成長する。ターゲットテーブル205は回転機構を有し、パルスレーザ光208の照射シーケンスに同期して回転を制御することにより、異なるターゲット原料を薄膜上に積層することが可能となる。また、成長室には複数のガスを導入出来るようガス導入管210が複数設けられており、ラジカルセル209によって活性化された原子状ビームを基板に照射することも可能である。
【0046】
レーザMBE法は、原料ターゲットと薄膜の組成ずれが小さく、またZnGa2O4などの意図しない副生成物の生成を抑えることが出来るので好ましい。
【0047】
以下にレーザMBE装置200を用いたMgCdZnO混晶薄膜の作製方法を説明する。
まず、洗浄処理したZnO基板203をレーザMBE装置200に導入し、ラジカルセル209よりO*ガスを基板に照射しながら、温度600℃で30分間加熱し清浄化した。ラジカルセル209への酸素ガス流量は3sccmとし、成長室201内での分圧は1×10-3Paに設定した。
【0048】
次に基板温度を成長温度に降温し、ラジカルセル209からO*ガスを照射したまま、ノンドープZnO単結晶、MgO単結晶およびCdO単結晶を原料ターゲットとし、回転機構によるターゲットテーブルの駆動周期とKrFエキシマレーザのパルス照射周期を外部制御装置(図示しない)によって同期させ、前記3つの原料ターゲットを一定の比率で各々アブレーションを繰り返し、Mg0.15Cd0.05Zn0.8O混晶薄膜を0.5μm成長させた。アブレーションを行うパルスレーザにはKrFエキシマレーザ(波長:248nm,パルス数:10Hz,出力1J/cm2)を用いた。
【0049】
本実施形態のアブレーションシーケンスの一例を図6に示す。ZnOの1分子層が成長するアブレーション周期内にMgOおよびCdO単結晶ターゲットを1度以上アブレーションするようシーケンスを設定すれば、MgおよびCdは均一に取り込まれる。
【0050】
本実施形態のZnO堆積速度は、エキシマレーザ1パルス当り0.01nmであった。ZnOの単位セル高さは約0.5nmであるので、50回のアブレーションを所望の比率で各原料ターゲットに割り振れば、均一組成のMgCdZnO混晶が作製される。
【0051】
なお、MgO単結晶やCdO単結晶の代りに、MgZnO燒結体やCdZnO燒結体を原料ターゲットに用いてもよい。
【0052】
図7に、供給したII族元素(Zn、MgおよびCd)のMg比に対する薄膜中のII族元素のMg組成比と成長温度の関係を示す。供給II族元素のCd組成比は0.05で一定とした。また、比較例として、MgZnO混晶の結果も示した。
【0053】
実施形態1のMBE法の場合と同様に、同じ成長温度ではMgZnO混晶よりもMgCdZnO混晶の方が薄膜中のMg組成比が高いが、実施形態1のMBE法に比べてレーザMBEの方が高いMg組成比を実現出来た。また、4元混晶と3元混晶のMg組成比とバンドギャップエネルギーの関係は、図4と同じであった。
【0054】
すなわち、MBE法に比べレーザMBE法の方が、活性層とクラッド層成長温度差を小さく出来、熱劣化を防止して素子の信頼性を向上することが出来る。
【0055】
(実施形態3)
本実施形態では、ZnO系半導体で発光ダイオード素子を構成した例を示す。
図8は本実施形態の発光ダイオード素子の構造断面図である。
本実施形態の発光ダイオード素子10は、亜鉛面を主面とするZnO基板1上に、Gaを3×1018cm-3の濃度でドーピングした厚さ1μmのn型Mg0.1Zn0.9Oクラッド層2、厚さ0.1μmのノンドープCd0.05Zn0.95O発光層3、Nを1×1020cm-3の濃度でドーピングした厚さ1μmのp型Mg0.25Cd0.05Zn0.7Oクラッド層4、Nを5×1020cm-3の濃度でドーピングした厚さ0.3μmのp型ZnOコンタクト層5が積層されている。ZnO基板1の裏面にはn型オーミック電極6として厚さ100nmのAlが積層されている。
【0056】
p型ZnOコンタクト層5の主表面全面には、厚さ15nmのNiを積層した透光性オーミック電極7が積層され、p型オーミック電極7上には厚さ100nmのボンディング用Auパッド電極8が、p型オーミック電極7より小さい面積で形成されている。
なお、本実施形態の発光ダイオード素子は、実施形態1で示したMBE法によって作製した。
【0057】
本発明は、活性層よりもバンドギャップエネルギーの大きな層の少なくとも1つを、MgCdZnOを含む4元混晶で構成したことに特徴を有している。
【0058】
本実施形態の発光ダイオード素子をチップ状に分離し、Agペーストでリードフレームに取り付けてモールドし発光させたところ、ZnOのバンドギャップエネルギーより小さいエネルギーに相当する発光ピーク波長400nmの青紫色発光が得られた。
【0059】
比較例として、Mg0.25Cd0.05Zn0.7Oクラッド層4を、ほぼ同じバンドギャップエネルギーであるMg0.1Zn0.9Oで構成した他は本実施形態と同じ発光ダイオード素子を作製したところ、p型クラッド層形成時の結晶成長温度を約100℃上昇させる必要が生じた。この結果、20mAの動作電流における発光強度は本実施形態と同じであったが、素子寿命は本実施形態の1/10であった。
なお、p型クラッド層形成時の結晶成長温度を本実施形態と同じにしたところ、クラッド層4の組成はMg0.01Zn0.99Oとなり、p型クラッド層へのキャリアオーバーフローが生じたため、20mAの動作電流における発光強度は本実施形態の1/2となった。
【0060】
以上より、本発明におけるMgCdZnO混晶で形成したクラッド層は、従来のMgZnOクラッド層に比べ、活性層との成長温度差を小さく出来、熱劣化を防止して素子の信頼性を向上することが出来る。
【0061】
本実施形態では、p型クラッド層4のみを本発明のMgCdZnO混晶で構成したが、半導体発光素子中に形成されるワイドギャップ層のうち、活性層を成長した後に積層されるクラッド層の成長条件は活性層の劣化に最も影響する。よって、活性層を成長した後に積層されるクラッド層を低温で形成出来るMgCdZnO4元混晶で構成することにより、活性層の蒸発や劣化を防止して素子の信頼性を向上することが出来る。勿論、n型クラッド層2をMgCdZnO混晶で構成してもよい。本実施例においてはp−クラッド層を1層設けたが、複数層形成してもよく、その膜厚は各層の合計が0.1〜1μm程度になるようにする。本実施形態のような発光ダイオード素子の場合、クラッド層は主にキャリア閉じ込めの目的で用いられ、屈折率や放射角を制御する必要はないため、製造工程簡略化の観点からは、本実施形態で示したようにp−クラッド層は1層が好ましい。
【0062】
本発明をp型クラッド層に適用して最大限の効果を得るためには、イオン化エネルギーが小さく、高濃度にドーピングしても結晶欠陥を生じにくいアクセプタ不純物をドーピングしてp型化することが好ましい。p型不純物としては、I族元素のLi、Cu、AgやV族元素のN、As、Pなどを用いることが出来るが、N、LiとAgは活性化率が高いので特に好ましく、更にNはN2をプラズマ化し結晶成長中に照射する手法によって、結晶性を良好に保って高濃度ドーピングが行えるので好ましい。ドーピングは通常1×1018〜5×1021cm-3程度行えばよい。
【0063】
また、p型MgCdZnOクラッド層4上に直接p型オーミック電極7を形成せず、p型コンタクト層5を0.1〜5μm程度の厚さで設けて低抵抗化し電流広がりを均一化することが好ましい。コンタクト層材料には、結晶性に優れキャリア濃度を高く出来るZnOを用いることが好ましい。ドーパントは上記p型クラッドで記述した同種を使用できる。p型コンタクト層5に過剰にアクセプタ不純物ドーピングすると結晶性劣化が顕著となり、本発明の効果が減少するので、1×1018〜1×1021cm-3の範囲が好ましく、更には5×1019〜5×102 1cm-3の範囲で調整されるキャリア濃度範囲となるようドーピングされることが好ましい。
【0064】
発光層材料にはZnOあるいはCdZnOが適しており、特に産業上の利用価値が高い400nm以長の可視発光を得るためにはCd組成比xが0.03以上のCdxZn1-xOを含むことが好ましい。なお、Cd組成比が増大すると発光層の結晶性が悪化するので、Cd組成比は0.2以下であることがが好ましい。また、発光ダイオード素子の場合、層厚は0.01〜10μm、更には0.1〜1μmに調整されることが好ましい。
発光層は単一組成のZnO系半導体層であっても本発明の効果を奏するが、量子井戸構造であれば、発光効率が増大するので好ましい。この場合も井戸層の合計層厚が0.01〜10μm、更には0.1〜1μmとなるよう積層数を調整することが好ましい。なお、量子井戸発光層においては、障壁層材料にはバンドギャップの大きな材料を用いることが好ましく、MgZnOおよびMgCdZnOを用いてよい。
【0065】
n型クラッド層は、従来から使用形成されているZnO系半導体で構成された層を形成でき、もちろんそれらの各層の機能を代替できるのであれば、MgxCdyZn1-x-yO混晶(0<x<1、0<y<1)を適用してもよい。
【0066】
n型クラッド層はドナー不純物として、1×1017〜1×1021cm-3程度のドーピングを行えばよい。
【0067】
また、本実施例においてはn−クラッド層を1層設けたが、複数層形成してもよく、その膜厚は各層の合計が0.1〜1μm程度になるように形成する本実施形態のような発光ダイオード素子の場合、クラッド層は主にキャリア閉じ込めの目的で用いられ、屈折率や放射角を制御する必要はないため、製造工程簡略化の観点からは、本実施形態で示したようにn−クラッド層は1層が好ましい。
【0068】
基板材料としては、本実施形態で用いたZnO基板以外にも、サファイアやスピネルあるいはLiGaO2などの絶縁性基板、SiCやGaNなどの導電性基板を用いることが出来る。
【0069】
可視領域における発光効率を最大限に得るためには
1.ZnOとの面内格子定数差が3%以内であり、非発光中心となる欠陥を低減出来る、
2.発光波長に対応する吸収係数が低い、
3.導電性基板であり、裏面に電極を形成出来る、
ことが好ましい。
【0070】
本実施形態で基板1として用いたZnO単結晶は、前記の条件を全て満し、最も好ましい。また、亜鉛面を用いることにより、p型層のキャリア活性化率が向上し、抵抗の低いp型層が得られやすくなるので好ましい。
【0071】
絶縁性基板を用いる場合は、基板1とn型クラッド層2との間にn型コンタクト層を形成し、成長層の一部をエッチングしてn型コンタクト層を露出させ、その上にn型オーミック電極6を形成すればよい。n型コンタクト層材料にはp型コンタクト層5の場合と同様にZnOが適しており、ドナー不純物のドーピング濃度は1×1018〜1×1021cm-3の範囲が好ましく、更には5×1019〜5×1020cm-3の範囲で調整されることが好ましい。また、膜厚は、0.001〜1μm、好ましくは0.005〜0.5μm、更に好ましくは0.01〜0.1μmの範囲に調整されることが好ましい。結晶性の良好な成長層を得るためにバッファ層を形成してもよい。
【0072】
また、基板に入射した発光を乱反射させるために、研磨やエッチングなどの公知の手法で基板裏面に凹凸を形成すれば、光取り出し効率が向上するので好ましい。
【0073】
n型ZnO系半導体層にドーピングするドナー不純物にはIII族元素のB、Al、Ga、Inなどを用いることが出来るが、ZnO系半導体中での活性化率が高いGaまたはAlが好ましい。
【0074】
p型オーミック電極7には、Ni、Pt、Pd、Auなどを用いることが出来るが、中でも低抵抗で密着性の良いNiが好ましい。前記複数の金属材料を合金化して形成してもよい。
【0075】
また、高い発光効率を最大限の効果で得るためには、本実施形態で示したように、p型オーミック電極7が透光性を有するよう形成して光取り出し効率を向上させることが好ましい。良好なオーミック特性と高い透光性を両立する厚みとしては5〜200nmの範囲が好ましく、10〜150nmの範囲が更に好ましい。
【0076】
p型電極形成後にアニール処理を行うと、密着性が向上すると共に接触抵抗が低減するので好ましい。ZnO結晶に欠陥を生じずにアニール効果を得るには、温度は300〜400℃が好ましい。また、アニール処理における雰囲気はO2あるいは大気雰囲気中が好ましく、N2では逆に抵抗が増大する。
【0077】
パッド電極8は、透光性p型オーミック電極7上の一部に、p型オーミック電極7より小さな面積で形成すれば、透光性電極の効果を損なわずにリードフレームへの実装プロセスが容易になるので好ましい。パッド電極8の材料としてはボンディングが容易でZnO中へ拡散してもドナー不純物とならないAuが好ましい。p型オーミック電極7とパッド電極8の間に密着性や光反射性を向上させる目的で他の金属層を介してもよい。
【0078】
n型オーミック電極6にはTi、Cr、Alなどを用いることが出来る。中でも低抵抗でコストの低いAlあるいは密着性の良いTiが好ましい。前記複数の金属材料を合金化して形成してもよい。
【0079】
その他の構成、例えば電流ブロック機構の有無、発光ダイオード素子の大きさ、電極形状、リードフレームの形状、実装方法、ワイヤボンディング材料などは任意であり、本実施形態によって限定されるものではない。
【0080】
(実施形態4)
本実施形態では、ZnO系半導体で半導体レーザ素子を構成した例を示す。
図9は本実施形態の半導体レーザ素子20の構造斜視図である。
【0081】
本実施形態の半導体レーザ素子20は、亜鉛面を主面としたn型ZnO単結晶基板21上に、Gaドーピング濃度が1×1018cm-3で厚さ0.3μmのn型ZnOバッファ層22、Gaドーピング濃度が1×1018cm-3で厚さ1.5μmのn型Mg0.1Zn0.9Oクラッド層23、Gaドーピング濃度が5×1017cm-3で厚さ30nmのn型ZnO光ガイド層24、ノンドープ量子井戸活性層25、Nドーピング濃度が5×1018cm-3厚さ30nmのp型ZnO光ガイド層26、Nドーピング濃度が1×1019cm-3で厚さ1.0μmのp型Mg0.25Cd0.05Zn0.7Oクラッド層27、Nドーピング濃度が5×1019cm-3で厚さ0.5μmのp型ZnOコンタクト層28が積層されている。
【0082】
量子井戸活性層105は、厚さ5nmのZnO障壁層2層と、厚さ6nmのCd0.05Zn0.95O井戸層3層とが交互に積層されている。
【0083】
p型ZnOコンタクト層28およびp型Mg0.25Cd0.05Zn0.7Oクラッド層27はリッジストライプ状にエッチング加工され、リッジストライプ側面はGaが1×1018cm-3の濃度でドーピングされたMg0.25Zn0.75Oを含むn型電流ブロック層29によって埋め込まれている。
【0084】
また、ZnO基板21の下にはn型オーミック電極30が形成され、p型ZnOコンタクト層28の上にはp型オーミック電極31が形成されている。
【0085】
本実施形態の構造を作製後、ZnO基板を劈開して端面ミラーを形成し、保護膜を真空蒸着した後、素子を300μmに分離した。
【0086】
本実施形態の半導体レーザ素子に電流を流したところ、端面から波長410nmの青色発振光が得られた。
【0087】
比較例として、p型Mg0.25Cd0.05Zn0.7クラッド層27を、ほぼ同じバンドギャップエネルギーであるMg0.1Zn0.9Oで構成した他は本実施形態と同じ半導体レーザ素子を作製したところ、p型クラッド層形成時の結晶成長温度を約100℃上昇させる必要が生じた。この結果、発振閾値電流は本実施形態に比べ15%上昇し、素子寿命は本実施形態の1/10であった。
【0088】
本実施形態の量子井戸活性層105は、ZnO障壁層/CdZnO井戸層で構成したが、ポテンシャル障壁を高くする場合は障壁層をMgCdZnO混晶で構成しても良く、MgZnO混晶で構成する場合に比べ井戸層との成長温度を小さく出来るので好ましい。
【0089】
尚、本実施形態のようにZnO基板を用いた場合は、十分高品質なZnO系半導体層をエピタキシャル成長出来るので、n型ZnOバッファ層102を形成しなくても本発明の効果には影響しない。
【0090】
(実施形態5)
図10は本実施形態の半導体レーザ素子の構造斜視図である。
本実施形態では、n型Mg0.25Zn0.75O電流ブロック層29を、n型のMg0.27Cd0.03Zn0.7Oで構成すると共に、p型Mg0.25Cd0.05Zn0.7Oクラッド層27のみをリッジストライプ状にエッチング加工し、n型電流ブロック層29およびp型クラッド層27の主表面全面にp型ZnOコンタクト層28を形成した他は、実施形態4と同様にして半導体レーザ素子を作製した。
【0091】
尚、図中において、実施形態4と同様の構成要素については図9と同じ符号を用いている。本実施形態の半導体レーザ素子は、実施形態4に比べてn型電流ブロック層29の成長温度を50℃下げることが出来、その結果、素子寿命を1.3倍に向上させることが出来た。また、発振閾値電流が5%低減した。
【0092】
n型MgCdZnO電流ブロック層29のバンドギャップエネルギーは、p型クラッド層27のバンドギャップエネルギーよりも大きいことが好ましく、発光を吸収しないので損失が低減し、発振閾値電流が低減すると共に、導波路内外の屈折率差を確保して導波路横方向への光閉じ込めを確実に行うことが出来る。
【0093】
また、半導体レーザ素子だけでなく、発光ダイオード素子中に電流ブロック層を形成し、光取り出し効率の高い素子周辺部の電流注入効率を向上させる場合においても、電流ブロック層が発光を吸収しないよう、クラッド層のバンドギャップエネルギーよりも大きいことが好ましい。
【0094】
n型電流ブロック層29は、MgCdZnO混晶とZnOあるいはCdZnO混晶の多重積層構造によって構成されても良く、この場合はMgCdZnO混晶を含むクラッド層のバンドギャップエネルギーより大きい層を1層以上含めば効果を有する。
【0095】
また、本実施形態では、p型ZnOコンタクト層28を素子主表面全面に形成することにより、MgCdZnO混晶上を全てZnOで覆うようになっている。このような構成は、4元混晶層からのCd蒸発を抑制出来るので好ましい。
【0096】
【発明の効果】
本発明により、発光特性、信頼性(寿命特性)に優れたZnO系酸化物半導体発光素子を提供した。
【図面の簡単な説明】
【図1】ZnO系半導体のII族金属元素に関する温度と蒸気圧の関係を示す図。
【図2】実施形態1で用いたMBE装置の概略図。
【図3】MBE成長における供給Mg比に対する薄膜中Mg組成比と成長温度の関係を示す図。
【図4】MgCdZnO混晶とMgZnO混晶のMg組成比とバンドギャップエネルギーの関係を示す図。
【図5】実施形態2で用いたレーザMBE装置の概略図。
【図6】実施形態2のアブレーションシーケンスの一例を示す図。
【図7】レーザMBE成長における供給Mg比に対する薄膜中Mg組成比と成長温度の関係を示す図。
【図8】実施形態3の発光ダイオード素子の構造断面図。
【図9】実施形態4の半導体レーザ素子の構造斜視図。
【図10】実施形態5の半導体レーザ素子の構造斜視図。
【符号の説明】
1:ZnO基板
2:n型MgZnOクラッド層
3:発光層
4:p型MgCdZnOクラッド層
5:p型ZnOコンタクト層
6:n型オーミック電極
7:p型オーミック電極
8:パッド電極
10:発光ダイオード素子
20:半導体レーザ素子
21:ZnO基板
22:n型ZnOバッファ層
23:n型MgZnOクラッド層
24:n型ZnO光ガイド層
25:活性層
26:p型ZnO光ガイド層
27:p型MgCdZnOクラッド層
28:p型ZnOコンタクト層
29:n型MgZnO電流ブロック層
30:n型オーミック電極
31:p型オーミック電極
100:MBE装置
101:成長室
102:基板ホルダー
103:基板
104:ヒーター
105:蒸発源セル
106:ヒーター
107:シャッター
108:ラジカルセル
200:レーザMBE装置
201:成長室
202:基板ホルダー
203:基板
204:ヒーター
205:ターゲットテーブル
206:原料ターゲット
207:ビューポート
208:パルスレーザ光(エキシマレーザ)
209:ラジカルセル
210:ガス導入管
【発明の属する技術分野】
本発明は発光ダイオードや半導体レーザなどの半導体発光素子に関し、さらに詳しくは信頼性の高い酸化物半導体素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
酸化亜鉛(ZnO)は、約3.4eVのバンドギャップエネルギーを有する直接遷移型半導体で、励起子結合エネルギーが60meVと極めて高く、また原材料が安価、環境や人体に無害で成膜手法が簡便であるなどの特徴を有し、高効率・低消費電力で環境性に優れた発光デバイスを実現出来る可能性がある。
【0003】
ZnO系半導体は、MgZnO混晶によるワイドギャップ層と、CdZnO混晶によるナローギャップ層を組み合わせることにより、多機能な半導体発光素子を作製することが出来る。
【0004】
なお、本明細書においてZnO系半導体とは、ZnOおよびこれを母体としたMgZnOあるいはCdZnOなどで表される混晶を含めるものとする。
【0005】
図1に、ZnO系半導体を構成するII族元素の温度と蒸気圧の関係を示す。分子線エピタキシー法などで良好なZnO結晶が得られる温度は概ね500〜600℃であるが、この温度範囲ではCd、ZnおよびMgの間には2桁以上の蒸気圧差が存在する。故に、組成比を厳密に制御すると共に良好な結晶を得るためには、積層するZnO系半導体の組成比によって成長温度を変化させる必要がある。
【0006】
ZnO系半導体によって青色発光素子を作製する場合、活性層にはバンドギャップエネルギーを3eV以下に出来るCdZnO混晶が用いられるが、ダブルヘテロ構造におけるクラッド層は活性層よりバンドギャップを大きくする必要があるため、Cd組成比を下げるか、ZnOあるいはMgZnO混晶を用いることが好ましい。しかし、前記の蒸気圧差が存在するためにクラッド層成長時には成長温度を上げる必要があり、このときにCdZnO混晶で構成されている活性層からCdが蒸発し、結晶性の著しい劣化を生じる。
【0007】
上記問題を解決するために、国際公開WO00/16411号公報において、活性層と上部クラッド層との間の少なくとも活性層側に低温ZnO層を設ける技術が開示されている。同公報によると、低温ZnO層を設けることにより、活性層上にZnOやMgZnOなどが高温で成長されても、活性層の蒸気圧の高いCdは低温ZnO層によりその蒸発が抑制され、良好な青色発光を得ることが出来ると共に、活性層の結晶性が向上して発光特性を改善することが出来ることが示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、低温ZnO層は低温で成長されるため結晶性が劣り、特に成長表面の平坦性が著しく損われるという問題を有する。このため、低温ZnO層上に成長されるp型MgZnOクラッド層の結晶性も著しく損われ、活性層の結晶性が良好であっても発光特性や信頼性が劣化するという問題を有していた。
【0009】
本発明は以上の課題に鑑み、ZnO系半導体のワイドギャップ層成長時における活性層の蒸発や熱劣化を防ぎ、発光特性と信頼性に優れた酸化物半導体発光素子を提供する。
【0010】
【特許文献1】
国際公開WO00/16411号公報
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、CdZnO活性層と同程度の低温で良好な結晶性が得られるワイドギャップ層について鋭意検討した結果、MgCdZnOより成る4元混晶を用いることで目的が達せられることを見い出し本発明に至った。
【0012】
すなわち、本発明の酸化物半導体発光素子は、基板上に少なくとも、ZnO系半導体で構成された、n型クラッド層、活性層、p型クラッド層が積層されて成る酸化物半導体発光素子において、前記活性層よりもバンドギャップエネルギーの大きな層が、MgxCdyZn1-x-yO混晶(0<x<1、0<y<1)を含むことを特徴とする。
【0013】
本明細書においてワイドギャップ層とは活性層よりもバンドギャップエネルギーの大きな層という意味で使用している。このワイドギャップ層がMgCdZnO混晶を含むことにより、同じバンドギャップを有するMgZnO混晶より結晶成長温度を下げることが出来、活性層の熱劣化を防止して素子の信頼性を向上することが出来る。
【0014】
基板上に順次各層を形成するに際して、活性層形成後に形成する、活性層よりもバンドギャップエネルギーの大きな層としてMgxCdyZn1-x-yO混晶(0<x<1、0<y<1)からなる層を形成するとよい。例えば基板上にn型クラッド層、活性層、p型クラッド層を順次積層する場合、p型クラッド層をMgxCdyZn1-x-yO混晶(0<x<1、0<y<1)で構成するようにする。また基板上にp型クラッド層、活性層、n型クラッド層が順次積層する場合、n型クラッド層をMgxCdyZn1-x-yO混晶(0<x<1、0<y<1)で構成するようにする。基板と活性層の間に形成される各層は、従来から使用形成されているZnO系半導体で構成された層を形成でき、もちろんそれらの各層の機能を代替できるのであれば、MgxCdyZn1-x-yO混晶(0<x<1、0<y<1)を適用することは妨げられない。
【0015】
なお、本発明素子において、ある1層にMgxCdyZn1-x-yO混晶として例えばx=0.25、y=0.05を使用した場合、他の層にMgxCdyZn1-x-yO混晶を適用する場合に、該他の層もx=0.25、y=0.05の組成で使用しなければならないことを意味しているものではなく、0<x<1、0<y<1の範囲である限り、各MgxCdyZn1-x-yO層のx、y値は同一値でなければならないことを意味しているものではない。
【0016】
なお、前記「活性層」は、発光ダイオード素子の場合には「発光層」と称されるが、発光を司る層という意味において同義であるので、以下においては特に区別しない。
【0017】
一実施形態の酸化物半導体発光素子は、好ましくは前記MgxCdyZn1-x-yO混晶のMg組成比xおよびCd組成比yの間に、
x+y ≦ 0.5 且つ
y < x
なる関係を有する。
【0018】
ワイドギャップ層を構成する4元混晶の組成比が前記所定の関係であれば、結晶性が悪化せず、信頼性に優れた酸化物半導体発光素子を作製することが出来る。
【0019】
一実施形態の酸化物半導体発光素子は、前記活性層よりもバンドギャップエネルギーの大きな層が前記活性層から前記基板と反対側に形成されたクラッド層である。
【0020】
活性層上に形成するワイドギャップ層のうち、活性層形成後に積層されるクラッド層の成長条件は活性層の劣化に最も影響する。活性層形成後に積層されるクラッド層を低温で形成出来るMgCdZnO混晶で構成することにより、活性層の蒸発や劣化を防止して素子の信頼性を向上することが出来る。
【0021】
一実施形態の酸化物半導体発光素子は、前記MgxCdyZn1-x-yO混晶を含むクラッド層がp型層であり、前記MgxCdyZn1-x-yO混晶を含むp型クラッド層のアクセプタ不純物が、Li、Cu、Ag、N、As、Pの少なくともいずれかを含む。
特に好ましくは、前記MgxCdyZn1-x-yO混晶を含むp型クラッド層のアクセプタ不純物が、N、Li、Agの少なくともいずれかを含む。
【0022】
ZnO系半導体はp型層が得られにくいが、アクセプタ不純物がLi、Cu、Ag、N、As、Pのいずれかであれば、p型層を得ることが出来る。
特にアクセプタ不純物がN、LiあるいはAgであれば、MgCdZnO混晶を低抵抗に出来、動作電圧が低減する。高濃度ドーピングによっても結晶欠陥が生じにくい。
【0023】
一実施形態の酸化物半導体発光素子は、前記MgxCdyZn1-x-yO混晶を含むp型クラッド層上に、p型ZnOコンタクト層が形成されている。
【0024】
p型ZnOコンタクト層を形成することにより、電流広がりが均一化すると共にp型オーミック電極の接触抵抗が低減し、素子の動作電圧が低減する。
【0025】
一実施形態の酸化物半導体発光素子は、前記MgxCdyZn1-x-yO混晶を含むクラッド層がリッジストライプ型の形状を有すると共に、前記リッジストライプ形状の側面に前記MgxCdyZn1-x-yO混晶を含む電流ブロック層が形成されている。
【0026】
電流ブロック層がCdMgZnO混晶を含むことにより、低温で信頼性に優れた電流ブロック機能を得ることが出来る。
【0027】
一実施形態の酸化物半導体発光素子は、前記MgxCdyZn1-x-yO混晶を含む電流ブロック層のバンドギャップエネルギーが、前記MgxCdyZn1-x-yO混晶を含むクラッド層のバンドギャップエネルギーより大きい。
【0028】
MgCdZnO混晶を含む電流ブロック層のバンドギャップエネルギーが、MgxCdyZn1 -x-yO混晶を含むクラッド層のバンドギャップエネルギーより大きいことにより、発光を吸収しないので損失が低減し、発振閾値電流や動作電流が低減する。また、屈折率導波となって単一横モードを安定して得ることが出来る。
【0029】
なお、電流ブロック層がMgCdZnO混晶を含む複数の層の積層構造より成る場合は、MgxCdyZn1-x-yO混晶を含むクラッド層のバンドギャップエネルギーより大きい層を1層以上含めば効果を有する。
【0030】
一実施形態の酸化物半導体発光素子は、前記MgxCdyZn1-x-yO混晶を含むクラッド層上および前記MgxCdyZn1-x-yO混晶を含む電流ブロック層上に、前記MgxCdyZn1-x-yO混晶を含むクラッド層と同じ導電型のZnO層が形成されている。
【0031】
4元混晶層上にZnO層を形成することにより、Cdの蒸発による組成変動を抑えることが出来る。特にZnOはコンタクト層とすることができ、素子抵抗を低減出来る。
【0032】
一実施形態の酸化物半導体発光素子は、前記基板がZnO単結晶である。
ZnO基板はその上にエピタキシャル成長されるZnO系発光素子との親和性に優れ、結晶性が良好で欠陥の極めて少ない酸化物半導体発光素子を作製することが出来る。
【0033】
一実施形態の酸化物半導体発光素子は、前記ZnO単結晶基板の成長主面が亜鉛面である。
ZnO基板の亜鉛面を成長主面に用いることにより、抵抗の低いp型ZnO半導体層が得られやすくなり、動作電圧の低い酸化物半導体発光素子を得ることが出来る。
【0034】
【発明の実施の形態】
(実施形態1)
以下に本発明の実施の形態を図面に基づき具体的に説明する。
本実施形態では、分子線エピタキシー(以下「MBE」と称する)法によってMgCdZnO混晶を作製した例を示す。
【0035】
図2は、本実施形態で用いたMBE装置100の概略図である。超高真空に排気可能な成長室101の上部に基板ホルダー102が配置され、基板ホルダー102に基板103が固定されている。基板ホルダー102上部に配置されたヒーター104により基板ホルダー102の裏面が加熱され、その熱伝導により基板103が加熱される。基板ホルダー102直下には適当な距離を置いて半導体原料を充填した蒸発源セル105が複数配置されている。各々の蒸発源セル105は側面に設けられた加熱ヒータ106によって加熱され、蒸発した分子状の原料が基板103に堆積することにより薄膜が成長する。各々の蒸発源セル105はシャッター107を有し、この開閉を組み合せて制御することによって、異なる組成の薄膜を積層することが可能となる。また、成長室にはプラズマ状のガス原料を導入出来るよう、ラジカルセル108が設けられている。
【0036】
以下にMBE装置100を用いたMgCdZnO混晶薄膜の作製方法を説明する。
まず、洗浄処理したZnO基板103をMBE装置100に導入し、酸素ラジカルセル108より酸素プラズマガス(以下O*ガスと称する)を基板に照射しながら、温度600℃で30分間加熱し清浄化した。酸素ラジカルセル108への酸素ガス流量は3sccmとし、成長室101内での分圧は1×10-3Paに設定した。
【0037】
次に基板温度を成長温度に降温し、酸素ラジカルセル108からO*ガスを照射したまま、Znセル、MgセルおよびCdセルのシャッターを開けて、Mg0.15Cd0.05Zn0.8O混晶薄膜を0.5μm成長させた。Zn、MgおよびCdの分子線強度は成長室101内での分圧で制御し各々6×10-5、1×10-5および4×10-6Paとした。
【0038】
このとき、Zn分子線は一定供給とし、MgおよびCd分子線を所定の分圧で交互に供給してもよい。
【0039】
図3に、供給したII族元素(Zn、MgおよびCd)のMg比に対する薄膜中のII族元素のMg組成比と成長温度の関係を示す。供給II族元素のCd組成比は0.05で一定とした。また、比較例として、MgZnO混晶の結果も示した。
【0040】
同じ成長温度では、3元混晶であるMgZnOよりも、4元混晶であるMgCdZnOの方が、薄膜中のMg組成比が約3倍高かった。すなわち、MgCdZnO混晶の方がMgZnO混晶より低温で成長出来る。
【0041】
図4は、MgCdZnO混晶とMgZnO混晶について、Mg組成比とバンドギャップエネルギーの関係を示したものである。供給II族元素のCd組成比は0.05と0.1の場合について示した。
【0042】
同じMg組成比では、MgCdZnO混晶の方がMgZnO混晶よりバンドギャップエネルギーが小さいが、4元混晶において3元混晶と同じバンドギャップエネルギーが得られるMg組成は、Cd組成比が0.05の場合は約2.5倍である。このことは、図3の結果と併せて考察すると、同じ障壁高さのダブルヘテロ構造を形成するのであれば、MgCdZnO混晶をクラッド層に用いた方が、ZnOあるいはCdZnO活性層との成長温度差を小さく出来ることを意味する。すなわち、活性層の熱劣化を防止して素子の信頼性を向上することが出来る。
【0043】
4元混晶は、以上述べたように3元混晶に比べてバンドギャップエネルギーの大きな混晶を低温で成長出来る反面、組成不均一を生じやすいので、MgxCdyZn1-x-yO混晶のMg組成比xおよびCd組成比yの間には、0<x+y≦0.5なる関係を有することが好ましい。
【0044】
(実施形態2)
本実施形態では、レーザ分子線エピタキシー(以下、「レーザMBE」と称する)法によってMgCdZnO混晶を作製した例を示す。
【0045】
図5は、本実施形態で用いたレーザMBE装置200の概略図である。
超高真空に排気可能な成長室201の上部に基板ホルダー202が配置され、基板ホルダー202に基板203が固定されている。基板ホルダー202上部に配置されたヒーター204により基板ホルダー202の裏面が加熱され、その熱伝導により基板203が加熱される。基板ホルダー202直下には適当な距離を置いてターゲットテーブル205が配置され、ターゲットテーブル205上には原料ターゲット206が複数配置出来る。ターゲット206の表面は成長室201の側面に設けられたビューポート207を通じ照射されるパルスレーザ光208によりアブレーションされ、瞬時に蒸発したターゲット206の原料が基板上に堆積することにより薄膜が成長する。ターゲットテーブル205は回転機構を有し、パルスレーザ光208の照射シーケンスに同期して回転を制御することにより、異なるターゲット原料を薄膜上に積層することが可能となる。また、成長室には複数のガスを導入出来るようガス導入管210が複数設けられており、ラジカルセル209によって活性化された原子状ビームを基板に照射することも可能である。
【0046】
レーザMBE法は、原料ターゲットと薄膜の組成ずれが小さく、またZnGa2O4などの意図しない副生成物の生成を抑えることが出来るので好ましい。
【0047】
以下にレーザMBE装置200を用いたMgCdZnO混晶薄膜の作製方法を説明する。
まず、洗浄処理したZnO基板203をレーザMBE装置200に導入し、ラジカルセル209よりO*ガスを基板に照射しながら、温度600℃で30分間加熱し清浄化した。ラジカルセル209への酸素ガス流量は3sccmとし、成長室201内での分圧は1×10-3Paに設定した。
【0048】
次に基板温度を成長温度に降温し、ラジカルセル209からO*ガスを照射したまま、ノンドープZnO単結晶、MgO単結晶およびCdO単結晶を原料ターゲットとし、回転機構によるターゲットテーブルの駆動周期とKrFエキシマレーザのパルス照射周期を外部制御装置(図示しない)によって同期させ、前記3つの原料ターゲットを一定の比率で各々アブレーションを繰り返し、Mg0.15Cd0.05Zn0.8O混晶薄膜を0.5μm成長させた。アブレーションを行うパルスレーザにはKrFエキシマレーザ(波長:248nm,パルス数:10Hz,出力1J/cm2)を用いた。
【0049】
本実施形態のアブレーションシーケンスの一例を図6に示す。ZnOの1分子層が成長するアブレーション周期内にMgOおよびCdO単結晶ターゲットを1度以上アブレーションするようシーケンスを設定すれば、MgおよびCdは均一に取り込まれる。
【0050】
本実施形態のZnO堆積速度は、エキシマレーザ1パルス当り0.01nmであった。ZnOの単位セル高さは約0.5nmであるので、50回のアブレーションを所望の比率で各原料ターゲットに割り振れば、均一組成のMgCdZnO混晶が作製される。
【0051】
なお、MgO単結晶やCdO単結晶の代りに、MgZnO燒結体やCdZnO燒結体を原料ターゲットに用いてもよい。
【0052】
図7に、供給したII族元素(Zn、MgおよびCd)のMg比に対する薄膜中のII族元素のMg組成比と成長温度の関係を示す。供給II族元素のCd組成比は0.05で一定とした。また、比較例として、MgZnO混晶の結果も示した。
【0053】
実施形態1のMBE法の場合と同様に、同じ成長温度ではMgZnO混晶よりもMgCdZnO混晶の方が薄膜中のMg組成比が高いが、実施形態1のMBE法に比べてレーザMBEの方が高いMg組成比を実現出来た。また、4元混晶と3元混晶のMg組成比とバンドギャップエネルギーの関係は、図4と同じであった。
【0054】
すなわち、MBE法に比べレーザMBE法の方が、活性層とクラッド層成長温度差を小さく出来、熱劣化を防止して素子の信頼性を向上することが出来る。
【0055】
(実施形態3)
本実施形態では、ZnO系半導体で発光ダイオード素子を構成した例を示す。
図8は本実施形態の発光ダイオード素子の構造断面図である。
本実施形態の発光ダイオード素子10は、亜鉛面を主面とするZnO基板1上に、Gaを3×1018cm-3の濃度でドーピングした厚さ1μmのn型Mg0.1Zn0.9Oクラッド層2、厚さ0.1μmのノンドープCd0.05Zn0.95O発光層3、Nを1×1020cm-3の濃度でドーピングした厚さ1μmのp型Mg0.25Cd0.05Zn0.7Oクラッド層4、Nを5×1020cm-3の濃度でドーピングした厚さ0.3μmのp型ZnOコンタクト層5が積層されている。ZnO基板1の裏面にはn型オーミック電極6として厚さ100nmのAlが積層されている。
【0056】
p型ZnOコンタクト層5の主表面全面には、厚さ15nmのNiを積層した透光性オーミック電極7が積層され、p型オーミック電極7上には厚さ100nmのボンディング用Auパッド電極8が、p型オーミック電極7より小さい面積で形成されている。
なお、本実施形態の発光ダイオード素子は、実施形態1で示したMBE法によって作製した。
【0057】
本発明は、活性層よりもバンドギャップエネルギーの大きな層の少なくとも1つを、MgCdZnOを含む4元混晶で構成したことに特徴を有している。
【0058】
本実施形態の発光ダイオード素子をチップ状に分離し、Agペーストでリードフレームに取り付けてモールドし発光させたところ、ZnOのバンドギャップエネルギーより小さいエネルギーに相当する発光ピーク波長400nmの青紫色発光が得られた。
【0059】
比較例として、Mg0.25Cd0.05Zn0.7Oクラッド層4を、ほぼ同じバンドギャップエネルギーであるMg0.1Zn0.9Oで構成した他は本実施形態と同じ発光ダイオード素子を作製したところ、p型クラッド層形成時の結晶成長温度を約100℃上昇させる必要が生じた。この結果、20mAの動作電流における発光強度は本実施形態と同じであったが、素子寿命は本実施形態の1/10であった。
なお、p型クラッド層形成時の結晶成長温度を本実施形態と同じにしたところ、クラッド層4の組成はMg0.01Zn0.99Oとなり、p型クラッド層へのキャリアオーバーフローが生じたため、20mAの動作電流における発光強度は本実施形態の1/2となった。
【0060】
以上より、本発明におけるMgCdZnO混晶で形成したクラッド層は、従来のMgZnOクラッド層に比べ、活性層との成長温度差を小さく出来、熱劣化を防止して素子の信頼性を向上することが出来る。
【0061】
本実施形態では、p型クラッド層4のみを本発明のMgCdZnO混晶で構成したが、半導体発光素子中に形成されるワイドギャップ層のうち、活性層を成長した後に積層されるクラッド層の成長条件は活性層の劣化に最も影響する。よって、活性層を成長した後に積層されるクラッド層を低温で形成出来るMgCdZnO4元混晶で構成することにより、活性層の蒸発や劣化を防止して素子の信頼性を向上することが出来る。勿論、n型クラッド層2をMgCdZnO混晶で構成してもよい。本実施例においてはp−クラッド層を1層設けたが、複数層形成してもよく、その膜厚は各層の合計が0.1〜1μm程度になるようにする。本実施形態のような発光ダイオード素子の場合、クラッド層は主にキャリア閉じ込めの目的で用いられ、屈折率や放射角を制御する必要はないため、製造工程簡略化の観点からは、本実施形態で示したようにp−クラッド層は1層が好ましい。
【0062】
本発明をp型クラッド層に適用して最大限の効果を得るためには、イオン化エネルギーが小さく、高濃度にドーピングしても結晶欠陥を生じにくいアクセプタ不純物をドーピングしてp型化することが好ましい。p型不純物としては、I族元素のLi、Cu、AgやV族元素のN、As、Pなどを用いることが出来るが、N、LiとAgは活性化率が高いので特に好ましく、更にNはN2をプラズマ化し結晶成長中に照射する手法によって、結晶性を良好に保って高濃度ドーピングが行えるので好ましい。ドーピングは通常1×1018〜5×1021cm-3程度行えばよい。
【0063】
また、p型MgCdZnOクラッド層4上に直接p型オーミック電極7を形成せず、p型コンタクト層5を0.1〜5μm程度の厚さで設けて低抵抗化し電流広がりを均一化することが好ましい。コンタクト層材料には、結晶性に優れキャリア濃度を高く出来るZnOを用いることが好ましい。ドーパントは上記p型クラッドで記述した同種を使用できる。p型コンタクト層5に過剰にアクセプタ不純物ドーピングすると結晶性劣化が顕著となり、本発明の効果が減少するので、1×1018〜1×1021cm-3の範囲が好ましく、更には5×1019〜5×102 1cm-3の範囲で調整されるキャリア濃度範囲となるようドーピングされることが好ましい。
【0064】
発光層材料にはZnOあるいはCdZnOが適しており、特に産業上の利用価値が高い400nm以長の可視発光を得るためにはCd組成比xが0.03以上のCdxZn1-xOを含むことが好ましい。なお、Cd組成比が増大すると発光層の結晶性が悪化するので、Cd組成比は0.2以下であることがが好ましい。また、発光ダイオード素子の場合、層厚は0.01〜10μm、更には0.1〜1μmに調整されることが好ましい。
発光層は単一組成のZnO系半導体層であっても本発明の効果を奏するが、量子井戸構造であれば、発光効率が増大するので好ましい。この場合も井戸層の合計層厚が0.01〜10μm、更には0.1〜1μmとなるよう積層数を調整することが好ましい。なお、量子井戸発光層においては、障壁層材料にはバンドギャップの大きな材料を用いることが好ましく、MgZnOおよびMgCdZnOを用いてよい。
【0065】
n型クラッド層は、従来から使用形成されているZnO系半導体で構成された層を形成でき、もちろんそれらの各層の機能を代替できるのであれば、MgxCdyZn1-x-yO混晶(0<x<1、0<y<1)を適用してもよい。
【0066】
n型クラッド層はドナー不純物として、1×1017〜1×1021cm-3程度のドーピングを行えばよい。
【0067】
また、本実施例においてはn−クラッド層を1層設けたが、複数層形成してもよく、その膜厚は各層の合計が0.1〜1μm程度になるように形成する本実施形態のような発光ダイオード素子の場合、クラッド層は主にキャリア閉じ込めの目的で用いられ、屈折率や放射角を制御する必要はないため、製造工程簡略化の観点からは、本実施形態で示したようにn−クラッド層は1層が好ましい。
【0068】
基板材料としては、本実施形態で用いたZnO基板以外にも、サファイアやスピネルあるいはLiGaO2などの絶縁性基板、SiCやGaNなどの導電性基板を用いることが出来る。
【0069】
可視領域における発光効率を最大限に得るためには
1.ZnOとの面内格子定数差が3%以内であり、非発光中心となる欠陥を低減出来る、
2.発光波長に対応する吸収係数が低い、
3.導電性基板であり、裏面に電極を形成出来る、
ことが好ましい。
【0070】
本実施形態で基板1として用いたZnO単結晶は、前記の条件を全て満し、最も好ましい。また、亜鉛面を用いることにより、p型層のキャリア活性化率が向上し、抵抗の低いp型層が得られやすくなるので好ましい。
【0071】
絶縁性基板を用いる場合は、基板1とn型クラッド層2との間にn型コンタクト層を形成し、成長層の一部をエッチングしてn型コンタクト層を露出させ、その上にn型オーミック電極6を形成すればよい。n型コンタクト層材料にはp型コンタクト層5の場合と同様にZnOが適しており、ドナー不純物のドーピング濃度は1×1018〜1×1021cm-3の範囲が好ましく、更には5×1019〜5×1020cm-3の範囲で調整されることが好ましい。また、膜厚は、0.001〜1μm、好ましくは0.005〜0.5μm、更に好ましくは0.01〜0.1μmの範囲に調整されることが好ましい。結晶性の良好な成長層を得るためにバッファ層を形成してもよい。
【0072】
また、基板に入射した発光を乱反射させるために、研磨やエッチングなどの公知の手法で基板裏面に凹凸を形成すれば、光取り出し効率が向上するので好ましい。
【0073】
n型ZnO系半導体層にドーピングするドナー不純物にはIII族元素のB、Al、Ga、Inなどを用いることが出来るが、ZnO系半導体中での活性化率が高いGaまたはAlが好ましい。
【0074】
p型オーミック電極7には、Ni、Pt、Pd、Auなどを用いることが出来るが、中でも低抵抗で密着性の良いNiが好ましい。前記複数の金属材料を合金化して形成してもよい。
【0075】
また、高い発光効率を最大限の効果で得るためには、本実施形態で示したように、p型オーミック電極7が透光性を有するよう形成して光取り出し効率を向上させることが好ましい。良好なオーミック特性と高い透光性を両立する厚みとしては5〜200nmの範囲が好ましく、10〜150nmの範囲が更に好ましい。
【0076】
p型電極形成後にアニール処理を行うと、密着性が向上すると共に接触抵抗が低減するので好ましい。ZnO結晶に欠陥を生じずにアニール効果を得るには、温度は300〜400℃が好ましい。また、アニール処理における雰囲気はO2あるいは大気雰囲気中が好ましく、N2では逆に抵抗が増大する。
【0077】
パッド電極8は、透光性p型オーミック電極7上の一部に、p型オーミック電極7より小さな面積で形成すれば、透光性電極の効果を損なわずにリードフレームへの実装プロセスが容易になるので好ましい。パッド電極8の材料としてはボンディングが容易でZnO中へ拡散してもドナー不純物とならないAuが好ましい。p型オーミック電極7とパッド電極8の間に密着性や光反射性を向上させる目的で他の金属層を介してもよい。
【0078】
n型オーミック電極6にはTi、Cr、Alなどを用いることが出来る。中でも低抵抗でコストの低いAlあるいは密着性の良いTiが好ましい。前記複数の金属材料を合金化して形成してもよい。
【0079】
その他の構成、例えば電流ブロック機構の有無、発光ダイオード素子の大きさ、電極形状、リードフレームの形状、実装方法、ワイヤボンディング材料などは任意であり、本実施形態によって限定されるものではない。
【0080】
(実施形態4)
本実施形態では、ZnO系半導体で半導体レーザ素子を構成した例を示す。
図9は本実施形態の半導体レーザ素子20の構造斜視図である。
【0081】
本実施形態の半導体レーザ素子20は、亜鉛面を主面としたn型ZnO単結晶基板21上に、Gaドーピング濃度が1×1018cm-3で厚さ0.3μmのn型ZnOバッファ層22、Gaドーピング濃度が1×1018cm-3で厚さ1.5μmのn型Mg0.1Zn0.9Oクラッド層23、Gaドーピング濃度が5×1017cm-3で厚さ30nmのn型ZnO光ガイド層24、ノンドープ量子井戸活性層25、Nドーピング濃度が5×1018cm-3厚さ30nmのp型ZnO光ガイド層26、Nドーピング濃度が1×1019cm-3で厚さ1.0μmのp型Mg0.25Cd0.05Zn0.7Oクラッド層27、Nドーピング濃度が5×1019cm-3で厚さ0.5μmのp型ZnOコンタクト層28が積層されている。
【0082】
量子井戸活性層105は、厚さ5nmのZnO障壁層2層と、厚さ6nmのCd0.05Zn0.95O井戸層3層とが交互に積層されている。
【0083】
p型ZnOコンタクト層28およびp型Mg0.25Cd0.05Zn0.7Oクラッド層27はリッジストライプ状にエッチング加工され、リッジストライプ側面はGaが1×1018cm-3の濃度でドーピングされたMg0.25Zn0.75Oを含むn型電流ブロック層29によって埋め込まれている。
【0084】
また、ZnO基板21の下にはn型オーミック電極30が形成され、p型ZnOコンタクト層28の上にはp型オーミック電極31が形成されている。
【0085】
本実施形態の構造を作製後、ZnO基板を劈開して端面ミラーを形成し、保護膜を真空蒸着した後、素子を300μmに分離した。
【0086】
本実施形態の半導体レーザ素子に電流を流したところ、端面から波長410nmの青色発振光が得られた。
【0087】
比較例として、p型Mg0.25Cd0.05Zn0.7クラッド層27を、ほぼ同じバンドギャップエネルギーであるMg0.1Zn0.9Oで構成した他は本実施形態と同じ半導体レーザ素子を作製したところ、p型クラッド層形成時の結晶成長温度を約100℃上昇させる必要が生じた。この結果、発振閾値電流は本実施形態に比べ15%上昇し、素子寿命は本実施形態の1/10であった。
【0088】
本実施形態の量子井戸活性層105は、ZnO障壁層/CdZnO井戸層で構成したが、ポテンシャル障壁を高くする場合は障壁層をMgCdZnO混晶で構成しても良く、MgZnO混晶で構成する場合に比べ井戸層との成長温度を小さく出来るので好ましい。
【0089】
尚、本実施形態のようにZnO基板を用いた場合は、十分高品質なZnO系半導体層をエピタキシャル成長出来るので、n型ZnOバッファ層102を形成しなくても本発明の効果には影響しない。
【0090】
(実施形態5)
図10は本実施形態の半導体レーザ素子の構造斜視図である。
本実施形態では、n型Mg0.25Zn0.75O電流ブロック層29を、n型のMg0.27Cd0.03Zn0.7Oで構成すると共に、p型Mg0.25Cd0.05Zn0.7Oクラッド層27のみをリッジストライプ状にエッチング加工し、n型電流ブロック層29およびp型クラッド層27の主表面全面にp型ZnOコンタクト層28を形成した他は、実施形態4と同様にして半導体レーザ素子を作製した。
【0091】
尚、図中において、実施形態4と同様の構成要素については図9と同じ符号を用いている。本実施形態の半導体レーザ素子は、実施形態4に比べてn型電流ブロック層29の成長温度を50℃下げることが出来、その結果、素子寿命を1.3倍に向上させることが出来た。また、発振閾値電流が5%低減した。
【0092】
n型MgCdZnO電流ブロック層29のバンドギャップエネルギーは、p型クラッド層27のバンドギャップエネルギーよりも大きいことが好ましく、発光を吸収しないので損失が低減し、発振閾値電流が低減すると共に、導波路内外の屈折率差を確保して導波路横方向への光閉じ込めを確実に行うことが出来る。
【0093】
また、半導体レーザ素子だけでなく、発光ダイオード素子中に電流ブロック層を形成し、光取り出し効率の高い素子周辺部の電流注入効率を向上させる場合においても、電流ブロック層が発光を吸収しないよう、クラッド層のバンドギャップエネルギーよりも大きいことが好ましい。
【0094】
n型電流ブロック層29は、MgCdZnO混晶とZnOあるいはCdZnO混晶の多重積層構造によって構成されても良く、この場合はMgCdZnO混晶を含むクラッド層のバンドギャップエネルギーより大きい層を1層以上含めば効果を有する。
【0095】
また、本実施形態では、p型ZnOコンタクト層28を素子主表面全面に形成することにより、MgCdZnO混晶上を全てZnOで覆うようになっている。このような構成は、4元混晶層からのCd蒸発を抑制出来るので好ましい。
【0096】
【発明の効果】
本発明により、発光特性、信頼性(寿命特性)に優れたZnO系酸化物半導体発光素子を提供した。
【図面の簡単な説明】
【図1】ZnO系半導体のII族金属元素に関する温度と蒸気圧の関係を示す図。
【図2】実施形態1で用いたMBE装置の概略図。
【図3】MBE成長における供給Mg比に対する薄膜中Mg組成比と成長温度の関係を示す図。
【図4】MgCdZnO混晶とMgZnO混晶のMg組成比とバンドギャップエネルギーの関係を示す図。
【図5】実施形態2で用いたレーザMBE装置の概略図。
【図6】実施形態2のアブレーションシーケンスの一例を示す図。
【図7】レーザMBE成長における供給Mg比に対する薄膜中Mg組成比と成長温度の関係を示す図。
【図8】実施形態3の発光ダイオード素子の構造断面図。
【図9】実施形態4の半導体レーザ素子の構造斜視図。
【図10】実施形態5の半導体レーザ素子の構造斜視図。
【符号の説明】
1:ZnO基板
2:n型MgZnOクラッド層
3:発光層
4:p型MgCdZnOクラッド層
5:p型ZnOコンタクト層
6:n型オーミック電極
7:p型オーミック電極
8:パッド電極
10:発光ダイオード素子
20:半導体レーザ素子
21:ZnO基板
22:n型ZnOバッファ層
23:n型MgZnOクラッド層
24:n型ZnO光ガイド層
25:活性層
26:p型ZnO光ガイド層
27:p型MgCdZnOクラッド層
28:p型ZnOコンタクト層
29:n型MgZnO電流ブロック層
30:n型オーミック電極
31:p型オーミック電極
100:MBE装置
101:成長室
102:基板ホルダー
103:基板
104:ヒーター
105:蒸発源セル
106:ヒーター
107:シャッター
108:ラジカルセル
200:レーザMBE装置
201:成長室
202:基板ホルダー
203:基板
204:ヒーター
205:ターゲットテーブル
206:原料ターゲット
207:ビューポート
208:パルスレーザ光(エキシマレーザ)
209:ラジカルセル
210:ガス導入管
Claims (10)
- 基板上に少なくとも、ZnO系半導体で構成された、n型クラッド層、活性層、p型クラッド層が積層されて成る酸化物半導体発光素子において、前記活性層よりもバンドギャップエネルギーの大きな層が、MgxCdyZn1-x-yO混晶(0<x<1、0<y<1)を含むことを特徴とする酸化物半導体発光素子。
- 前記MgxCdyZn1-x-yO混晶のMg組成比xおよびCd組成比yの間に、
x+y ≦ 0.5 且つ
y < x
なる関係を有する請求項1記載の酸化物半導体発光素子。 - 前記活性層よりもバンドギャップエネルギーの大きな層が、前記活性層を成長後に形成されたクラッド層である、請求項1または請求項2記載の酸化物半導体発光素子。
- 前記MgxCdyZn1-x-yO混晶を含むクラッド層がp型層であり、前記MgxCdyZn1-x-yO混晶を含むp型クラッド層のアクセプタ不純物が、Li、Cu、Ag、N、As、Pの少なくともいずれかを含む請求項3に記載の酸化物半導体発光素子。
- 前記MgxCdyZn1-x-yO混晶を含むp型クラッド層上に、p型ZnOコンタクト層が形成されている請求項4に記載の酸化物半導体発光素子。
- 前記MgxCdyZn1-x-yO混晶を含むクラッド層がリッジストライプ型の形状を有すると共に、前記リッジストライプ形状の側面に前記MgxCdyZn1-x-yO混晶を含む電流ブロック層が形成された請求項3〜5いずれかに記載の酸化物半導体発光素子。
- 前記MgxCdyZn1-x-yO混晶を含む電流ブロック層のバンドギャップエネルギーが、前記MgxCdyZn1-x-yO混晶を含むクラッド層のバンドギャップエネルギーより大きい請求項6記載の酸化物半導体発光素子。
- 前記MgxCdyZn1-x-yO混晶を含むクラッド層上および前記MgxCdyZn1-x-yO混晶を含む電流ブロック層上に、前記MgxCdyZn1-x-yO混晶を含むクラッド層と同じ導電型のZnO層が形成されている請求項6または請求項7記載の酸化物半導体発光素子。
- 前記基板がZnO単結晶である請求項1〜8いずれかに記載の酸化物半導体発光素子。
- 前記ZnO単結晶基板の成長主面が亜鉛面である請求項9記載の酸化物半導体発光素子。
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