JP4287006B2 - バッグインボックス用部材およびバッグインボックス - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、バッグインボックスの外装箱内に収容する部材である台紙付き内装袋に関するものである。また、その部材(台紙付き内装袋)と外装箱との組み合わせからなるバッグインボックスに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
バッグインボックス(BIB、bag in box)は、段ボールや合板でできた外装箱の内部に、プラスチックス製の袋や薄肉容器を内装した複合容器である。このバッグインボックスにあっては、内装のプラスチックス製の袋や薄肉容器に耐水性、耐薬品性、ガスバリア性などを受け持たせ、外装の箱に保管や輸送に必要な剛性や保護性を持たせるという分担がなされている。バッグインボックスは、包装材料としての役割を充分に果たす上、内容物の注ぎ出しがバッグインボックスのままでもできるので使い勝手がよく、さらには、全体が軽量であること、内容物の充填前または内容物の使用後に著しく減容できること、使用後の廃棄処理が容易であることなどの利点があるため、現在においては、飲料、液状食品、工業薬品、医薬品などを包装する資材として、欠くことのできないものの一つとなっている。
【0003】
バッグインボックスの外装箱に袋を内装するとき、その内装袋として典型的なものは、1枚または複数枚のフィルムでできた「平袋」である。この平袋を形成する包材としては、包装する内容物に応じて、ポリエチレンフィルムのようなヒートシール可能な単層フィルム、ヒートシール性樹脂層と基材フィルムやガスバリア性フィルムとを組み合わせた2層または3層以上の積層フィルム、ヒートシール性樹脂層とアルミニウム箔とを組み合わせたアルミニウム箔ラミネートフィルム、プラスチックスフィルムをクラフト紙と貼り合せたクラフト紙ラミネートフィルムなどが用いられる。インフレーションフィルムを四方シールした2重袋を用いることもある。
【0004】
外装箱と内装袋とからなるバッグインボックス(特に大型のもの)にあっては、外装箱を組み立ててから、排出口の位置合わせのために底板(台紙)を入れ、その上から内袋を入れるようにすることもなされる。たとえば、次に述べる特開平10−291562号公報の従来技術の説明の個所の段落[0003]の部分を参照。
【0005】
そして特開平10−291562号公報には、プラスチック製内袋を段ボール製の8角形の筒状外容器の内部に組み込んで構成されたバッグインボックスにおいて、筒状外容器の内側底部に、内袋と一体になった位置決め板を設置したバッグインボックスが示されている。内袋については詳しい記載がないが、8角形の筒状外容器に収まる袋であるから、その内袋は従来より使われているような平袋であると考えられる。位置決め板は、底板とその両側に連接された2枚の側板からなり、その底板は長方形でもよいが、好ましくは筒状外容器の底部内面とほぼ同寸法の8角形に形成される。なおこの公報の図7のように、内袋は、位置決め板の底板に結合され、側板には結合されていない(さもないと内袋が立ち上がらない)。
【0006】
特開平11−79244号公報には、厚紙からなる外箱に収納されるプラスチックフィルム製の注出口付きバッグインボックス用内袋において、その内袋を直方体状にした際に形成される天面辺または底面辺のうち少なくとも一方の、両端を頂点とする三角形状の耳部それぞれの底辺に相当する直線部分をシールするか、さらには耳部の頂点同士もシールした構造のバッグインボックス用内袋が示されている。ただし、この公報の発明の改良点は、内袋の三角形状の耳部におけるピンホールの発生を防止したり残液を少なくしようとするものであり、台紙を用いることについては考慮されていない。
【0007】
また、バッグインボックスないしバッグインカートン(bag in carton) の範疇に属するものとして、紙器の内壁に袋を糊で貼ったものも知られている。これは、カートンを組み立てると自動的に袋の口が開くため、内容物の充填が行いやすいという利点がある。
【0008】
このタイプのものとして、たとえば実開昭57−35287号公報には、四方の側壁部の上下にフラップを連設してなる段ボール箱の内側に、防水または防湿性素材よりなる袋体を少なくとも1つの側壁部で貼付して装設してなる液体粉体用コンテナが示されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従来のバッグインボックスには、解決すべきいくつかの課題ないし問題点を有している。
【0010】
(イ)段ボール製の外装箱に内装袋を内装するタイプのバッグインボックスにおける1つの問題点は、内装袋が柔軟であるため、外装箱に内装袋をきちんとした姿勢で装入設置することが必ずしも容易ではなく、たとえば、装入した内装袋の底部にしわが寄ったり、内装袋が捻れるなどのトラブルを生ずることがある。特に200リットル以上のバッグインボックスにあっては、装入した内装袋の姿勢を手で直そうとしても、手が届かないことがある。
【0011】
(ロ)内装袋としてアルミニウム箔ラミネートフィルムやクラフト紙ラミネートフィルムなどの剛性を高めたものを用いたときには、内装作業はそれだけやりやすくなるが、内装袋の種類が限定されることになる上、装入時に、アルミニウム箔やクラフト紙に折れやしわに起因するピンホールや破れを生ずる危険が増える。
【0012】
(ハ)実開昭57−35287号公報のように段ボール製の外装箱に上部が開口した内装袋が貼付してある場合、たとえば充填ラインのコンベア上でヒートシールを行うに際し、内装袋の開口部に折りぐせがついているので、内容物充填後に内装袋の開口部を横一文字にヒートシールしようとするとき、内装袋のシール部位が外装箱の対角線に相当することになり、外装箱の上部フラップが邪魔になって、コンベア上において内装袋の開口部のシーラーによる把持操作が円滑にいかないことがある。また、内装袋の開口部をガゼット形状に折り込みながらヒートシールする場合でも、折りぐせがあるため、操作が煩雑になるという問題がある。
【0013】
(ニ)また従来のバッグインボックスにおいては、たとえば内容物が接着剤など粘性の大のものであるとき、現場で内装袋を外装箱に入ったまま内容物の大部分を吐出した後、引き続き残余の内容物をヘラ等を用いて掻き出すことがあるが、平袋では底部がフラットにならないので、残っている内容物の掻き出しを円滑に行いにくいという問題点がある。
【0014】
(ホ)そして従来のバッグインボックスにおいては、通常外装箱と内装袋とは接着されていないから、バッグインボックスのままで内装袋内の内容物を撹拌することは、内装袋が動いてしまうので一般にできないという制約がある。
【0015】
(ヘ)そのほか、バッグインボックスには、材質別に分別回収して廃棄することが要求されるようになってきている。
【0016】
底部の補強のために底板(台紙)を入れるようにしたバッグインボックスや、先に述べた特開平10−291562号公報のバッグインボックスは、上記のような問題点のうちの一部の問題点(たとえば(イ)の問題点)を解消しているものの、まだ解決できない問題点を残している。
【0017】
バッグインボックスないしバッグインカートンの範疇に属する実開昭57−35287号公報のコンテナは、(ホ)の問題点はないものの、紙器の内壁に袋を糊で貼る操作が煩雑である上、粘性の大の内容物を収容したときには、その大部分を吐出した後、残余の内容物を掻き出したり、しごき出したりすることができず、また使用後に紙器から内袋を分離できないので分別廃棄ができないことになる。さらには、上述の(ハ)のような問題点もある。
【0018】
本発明は、このような背景下において、(i) 外装箱に内装袋を正規の姿勢で装入設置する操作が容易であること、(ii)ライン上で外装箱に装入されている内容物入り内装袋の開口部をヒートシールして密封するときの操作も容易であること、(iii) 使用時にはバッグインボックスのままで内容物を撹拌するようにすることもできること、(iv)現場において粘性の大の内容物の大部分を吐出した後、残余の内容物をヘラ等で掻き出したり、しごき出したりするときの作業も容易であること、(v) 注出口を設けたタイプとするときにも対応できること、などの機能ないし作用効果を有する台紙付き内装袋からなるバッグインボックス用部材およびバッグインボックスを提供することを目的とするものである。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明のバッグインボックス用部材は、
バッグインボックス用の外装箱(3) に内装して用いるための部材であって、該部材が、折り畳んだときに重なり部やシール部のない1枚のシート部分で形成された底面を有しかつ組み立てたときに四角筒に形成される角底袋でできた内装袋(1) と、その内装袋(1) の外底面に接着された台紙(2) とからなること
前記内装袋(1) が、表裏2枚のシート間に底部シート片が挿入されて製袋されたものであり、前記内装袋(1) を角筒状に組み立てた際のシートの重なりにより前記内装袋(1) の底部側の両隅に形成されるポケットがシールされた状態で切断除去してあること、
前記台紙(2) が、中央部ピース(21)と、該中央部ピース(21)の左側、右側、奥側および手前側の4辺のうち少なくとも左右の辺に連設したピースとで構成された剛性シートでできている延出部付きの台紙であること、
前記台紙(2) の中央部ピース(21)が前記内装袋(1) の外底面に接着され、かつ台紙(2)の中央部ピース(21)の左右の辺に連設したピースが、内装袋(1) を組み立てたときに四角筒の両側壁の一部となるポケット切断除去後の底部シート片に接着されていること、
を特徴とするものである。
【0020】
本発明のバッグインボックスは、上記のバッグインボックス用部材と、そのバッグインボックス用部材を内装する外装箱(3) との組み合わせからなることを特徴とするものである。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下本発明を詳細に説明する。
【0022】
《バッグインボックス用部材》
本発明のバッグインボックス用部材は、バッグインボックス用の外装箱(3) に内装して用いるための部材である。
【0023】
そしてこの部材は、折り畳んだときに重なり部やシール部のない1枚のシート部分で形成された底面を有しかつ組み立てたときに四角筒に形成される角底袋でできた内装袋(1) と、その内装袋(1) の外底面に接着された台紙(2) とからなる。
【0024】
〈内装袋(1) 〉
内装袋(1) としては、折り畳んだときに底面を有する角底袋でできたものであれば、ガゼット袋や手提袋のような四角底袋など任意の方法で製袋されたものを用いることができる。このときの底面には、ガゼット袋のように、シートからの折り畳み時の重なり部やシール部がある場合があるが、そのときには次の点に留意する。
【0025】
すなわち、本発明においては、角底袋でできた内装袋(1) の底面は、重なり部やシール部のない1枚のシート部分で形成されるようにする。このようにすると、バッグインボックスとしたときの使用時に、内容物を注ぎ出した後に底に残った分をヘラ等で掻き出すことが容易になるからである。
【0026】
内装袋(1) は、シートを折り畳んだときに底面を有するようにすると共に、組み立てたときに四角筒に形成されることが必要である。この場合、角筒に組み立てた際のシートの重なりによりポケットが形成されるが(組み立ての仕方にもよるが、三角形状のポケットとなることが多い)、そのポケットについては次のような工夫を講じる。
【0027】
すなわち、そのポケットをシールされた状態で切断除去するのである。このようにすると、組み立てにより形成されたポケット内に内容物が入り込むおそれがなくなる。
【0028】
上記の内装袋(1) は、連続的または半連続的な製袋工程を考えると、表裏2枚のシート間に断面視でΛ字形の底部シート片が挿入されて製袋されたものであることが好ましい。そしてヒートシールおよびカットを工夫すれば、底面に重なり部やシール部のない1枚のシート部分で形成され角底袋を容易に得ることができる。別の方法としては、底部シート片を挿入する代わりに表裏のシートに相当する一連のシートをW字形に折って製袋に供する方法があり、この方法によれば、従来のバッグインボックスのような2重ないし3重のフィルムからなる内装袋であっても容易に製造することができる。このような方法のほか、平袋や背貼り袋から出発して折り込みを工夫する方法をはじめ、種々の方法が可能である。製袋工程で生じたポケットは、上述のように処理すればよい。
【0029】
内装袋(1) の材質は、ヒートシール可能な単層フィルム、ヒートシール性樹脂層と基材フィルムやガスバリア性フィルム(エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルムや各種無機物蒸着フィルム)とを組み合わせた2層または3層以上の積層フィルム、ヒートシール性樹脂層とアルミニウム箔とを組み合わせたアルミニウム箔ラミネートフィルム、プラスチックスフィルムをクラフト紙と貼り合せたクラフト紙ラミネートフィルムなどが用いられる。プラスチックスフィルムを不織布で補強したものも用いることができる。
【0030】
〈台紙(2) 〉
底面を有する角底袋でできた内装袋(1) の外底面には、以下に詳述するように台紙(2) が接着される。
【0031】
台紙(2) の材質は、ある程度の剛性を有するシート、殊に厚紙や段ボールとすることが多いが、場合によっては、プラスチックス製のシートや発泡シート、あるいは合板などを用いることもできる。厚紙や段ボールを用いる場合には、耐水性加工したものを用いることもできる。
【0032】
台紙(2) は、内装袋(1) を組み立てたときの外底面にほぼ一致(外装箱(3) の内底面にもほぼ一致)するような矩形形状の部分を有していればよいが、外装箱(3) への台紙(2) 付き内装袋(1) の挿入、および内容物消費後の外装箱(3) からの台紙(2) 付き内装袋(1) の取り出しを容易にするために、次に述べるような延出部を有するものとする。
【0033】
すなわち、本発明においては、台紙(2) として、内装袋(1) を組み立てたときの底面に見合ったサイズの矩形の中央部ピース(21)と、該中央部ピース(21)の左側、右側、奥側および手前側の4辺のうち少なくとも左右の辺に連設したピースとで構成された剛性シートでできている延出部付きの台紙を用いるのである。
【0034】
そして、このときには、台紙(2) の中央部ピース(21)が内装袋(1) の外底面に接着され、かつ台紙(2) の中央部ピース(21)の左右の辺に連設したピースが、内装袋(1) を組み立てたときに四角筒の両側壁の一部となるポケット切断除去後の底部シート片に接着されているようにする。
【0035】
今、中央部ピース(21)の左側の辺に連設したピースを左側部ピース(22)、右側の辺に連設したピースを右側部ピース(23)、奥側の辺に連設したピースを奥側ピース(24)、手前側の辺に連設したピースを手前側ピース(25)とすると、連設構成における各ピースの位置関係は、
第1の態様が、

左側部ピース(22)|中央部ピース(21)|右側部ピース(23)

第2の態様が、
奥側ピース(24)
左側部ピース(22)|中央部ピース(21)|右側部ピース(23)

第3の態様が、

左側部ピース(22)|中央部ピース(21)|右側部ピース(23)
手前側ピース(25)
第4の態様が、
奥側ピース(24)
左側部ピース(22)|中央部ピース(21)|右側部ピース(23)
手前側ピース(25)
となる。
【0036】
左側部ピース(22)、右側部ピース(23)は、中央部ピース(21)から折り曲げたとき、外装箱(3) を組み立てたときの内寸の高さと同程度かそれよりも低くする。奥側ピース(24)、手前側ピース(25)の高さは、左側部ピース(22)、右側部ピース(23)と同程度にしてもよく、もっと低くしてもよい。なお奥側ピース(24)、手前側ピース(25)は、それらの一方または双方を省略してもよい。
【0037】
ピースの連設は、台紙(2) が厚紙、段ボール、プラスチックス製のシートであるときは、折れ線を介して行うことが便利である。
【0038】
中央部ピース(21)の左右の辺にそれぞれ左側部ピース(22)、右側部ピース(23)を連設したときは、内装袋(1) の四角筒への組み立てが容易になる。奥側ピース(24)や手前側ピース(25)を連設したときも同様であり、また内装袋(1) の底面シール部からの破袋防止の点でも有利である。
【0039】
台紙(2) は、延出部と共に、把持部を有するようにすることもできる。この把持部は、台紙(2) の対向する2個所に設けることが多い。把持部の例は、フィルムやシート、紐などである。把持部を延出部に設けるときは、延出部に貫通孔や切り込みを設けてそれを把持部としたり、延出部に取っ手を設けてそれを把持部としたりすることができる。
【0040】
〈台紙(2) 付き内装袋(1) 〉
先にも述べたように、台紙(2) の中央部ピース(21)が内装袋(1) の外底面に接着され、かつ台紙(2) の中央部ピース(21)の左右の辺に連設したピースが、内装袋(1) を組み立てたときの四角筒の両側壁の一部となるポケット切断除去後の底部シート片に接着される。このように構成しているので、内装袋(1) をワンタッチで角筒に立ち上げて組み立てることができる上、ライン上で外装箱に装入されている内容物入り内装袋の開口部をヒートシールして密封するときの操作も容易となる。
【0041】
台紙(2) への内装袋(1) の接着は、接着すべき対象面の周辺だけで充分であり、必ずしも袋の対象面全面を接着するには及ばない。というのは、使用後の分別廃棄を考慮すると、台紙(2) から内装袋(1) を容易に剥離できるようにする方が有利であるからである。そして剥離を容易にするため、台紙(2) への内装袋(1) の接着は軽度にとどめる方が好ましい。また剥離を考慮するほか、接着を短時間で行うことができるようにすることも考慮に入れて、接着剤としてはたとえばホットメルト系の接着剤を用いることが好ましい。
【0042】
《バッグインボックス》
本発明のバッグインボックスは、上記の台紙(2) 付き内装袋(1) からなるバッグインボックス用部材と、そのバッグインボックス用部材を内装する外装箱(3) との組み合わせからなる。
【0043】
〈外装箱(3) 〉
外装箱(3) の材質はダンボールが最適であるが、ハニカム構造にした板紙またはプラスチックス製のシートや、プラスチックス製の発泡シートであってもよい。小型の場合には、厚紙を用いることもできる。厚紙や段ボールを用いる場合には、耐水性加工したものを用いることもできる。場合によっては、合板や木板を用いることもある。
【0044】
〈注出口〉
上記の内装袋(1) は、上縁を密封し、適当な個所に注出口を設けることができる。そのときの上縁の密封方式は、底面と同じでもよいが、平袋やガゼット袋形式の直線状シールでもよい。そして注出口に対応して、外装箱(3) の上面や外装箱(3) の底部側の側面の所定の個所に、予め窓となる孔をあけたり、円形や四角形にミシン目を設けて窓とすることができるようにすることにより、内装袋(1) の注出口を露出させるようにすることができる。本発明においては内装袋(1) が台紙(2) で位置決めされているので、内装袋(1) の注出口を、外装箱(3) に設ける窓の位置に正確に一致させることができる。
【0045】
特に注出口を設けることなく、上部を開口した内装袋(1) をヒートシールにより密封したような場合は、そのヒートシール部の一部を後述の図9の三角形状のミシン目よりなる窓に接着させておくと、ミシン目を切って三角窓を開けたときにヒートシール部を引き出すことができるので、必要な大きさに開封することができる。そして三角窓を閉じると、一時的に再封できるのでゴミや虫が入ることがなく、好適である。
【0046】
〈大きさ、容量〉
バッグインボックスの大きさは、消費者用の2リットル前後の内容物を収容できる小型のものから、業務用の5リットル、10リットル、18リットル、20リットルというような内容物を収容できる中型ないし大型のものまで任意に設計できる。また、数10リットルから200リットルを越えるもの、さらには1000リットル前後の超大型のものも可能である。
【0047】
〈内容物〉
バッグインボックスの内装袋(1) に充填する内容物としては、清酒、みりん、乳製品、食酢、醤油、ソース、ジュース、コーヒー、茶、ミネラルウオーター、コーラ原液、液糖、アイスクリーム原料、食品添加物、香料、塩辛、バターをはじめとする飲料や液状ないし流動性の食品;洗剤、写真現像液、液体肥料、接着剤、水性ペイント、液状樹脂、バッテリー液、現像液、各種工業薬品、医薬品をはじめとする非食品などがあげられる。場合によっては、液状でないもの、たとえば粉粒体を充填することもできる。
【0048】
【実施例】
次に実施例をあげて本発明をさらに説明する。図に散点を施した個所は、ヒートシール部である。
【0049】
実施例1
〈図1〜9の説明〉
図1は本発明のバッグインボックス用材料(台紙(2) 付き内装袋(1) )の一例を示した平面図である。図2は図1の台紙(2) 付き内装袋(1) の正面図である。図3は図1および図2のX−X切断端面図である。
【0050】
図4は図1の台紙(2) 付き内装袋(1) の台紙(2) の一部を立て起こしたときの平面図である。図5は図4の正面図である。図6は図4の背面図である。
【0051】
図7は台紙(2) に接着する前の内装袋(1) の説明図であり、(イ)は正面図、(ロ)は縦方向切断端面図である。
【0052】
図8は台紙(2) の立て起こし前の平面図である。
【0053】
図9は外装箱(3) の一例を示した斜視図である。
【0054】
〈内装袋(1) 〉
表裏となる長尺のシートを上下に対向するようにしながら所定の間隔をあけて下流に向けて走行させ、ついで一方のサイドからΛ字形のシートを挿し込んでから、必要個所をヒートシールし、さらに袋の底部側の両隅をカットすることにより、袋の底部側が側面視でΛ字形の二股に分かれた底ガゼット袋からなる図7の内装袋(1) を連続的に製造した。表裏のシートおよびΛ字形のシートとしては、この実施例では、(内面側)リニア低密度ポリエチレン層/アルミニウム箔/二軸延伸ナイロンフィルム(外面側)のラミネートフィルムを用いた。
【0055】
〈台紙(2) 〉
厚み 0.7mmの厚紙を打ち抜いてから折り線を付することにより、図8に示した台紙(2) を作製した。この台紙(2) は、巾210mm、奥行き235mmの中央部ピース(21)の左右の辺に、巾195mm、奥行き235mmの左側部ピース(22)と、同じく巾195mm、奥行き235mmの右側部ピース(23)とが折れ線を介して連設し、さらに上記の中央部ピース(21)の奥側の辺に、巾210mm、奥行き30mmの奥側ピース(24)が折れ線を介して連設した構成を有する。
【0056】
〈台紙(2) 付き内装袋(1) 〉
上記の内装袋(1) の底部側の二股の部分を平面状に開脚した状態で、その開脚により露われた底面の周辺部のヒートシール部(図1に散点で示した個所)の裏面にのみホットメルト系の接着剤を粗い点線状に塗布して、台紙(2) の中央部ピース(21)の部位から、左側部ピース(22)および右側部ピース(22)の中央部ピース(21)寄りの部位にかけて、接着を行った。そしてこの接着に際しての内装袋(1) の台紙(2) に対する姿勢は、図1〜3に示したようになるように留意した。
【0057】
このようにして得た台紙(2) 付き内装袋(1) の台紙(2) のうちの左側部ピース(22)、右側部ピース(22)および奥側ピース(24)を、中央部ピース(21)に対して折れ線の部分から立ち上げたところ(上方に向けて直角に折り曲げたところ)、図4〜図6に示したように、底付きの四角筒になった内装袋(1) が、左側部ピース(22)および右側部ピース(22)に挟まれた状態で中央部ピース(21)から自動的に立ち上がり組み立てられた。内装袋(1) には、しわとなるような個所は見られなかった。
【0058】
〈バッグインボックス〉
この状態の台紙(2) 付き内装袋(1) を、段ボール箱でできた外装箱(3) に装入した状態で、コンベア上を充填機に向けて移送し、センサで検知しながら、開口部の検知と開口部の把持を行い、内容物の一例である塗料の充填操作を行ったところ、段ボール箱の所定位置に内装袋(1) が常に来ているため、作業は円滑に行われた。続いて、内装袋(1) 開口部をヒートシールにより封止したところ、外装箱(3) の内フラップを外側に水平に折るだけでシール部全体がコンベアと同方向に立ち上がっていたので、円滑にヒートシールが完了した。最後に、内装袋(1) 上部の折り畳み、外装箱(3) の蓋の閉止を機械的に行った。
【0059】
また、現場においてこのバッグインボックスの外装箱(3) の蓋を開け、内装袋(1) の封を切り、先端にスクリューのある電動式撹拌棒で塗料を撹拌し、バッグインボックスより塗料を吸引吐出させたが、台紙(2) に固定されているので内装袋(1) が吸引口に吸い込まれることもなく、吐出操作を円滑に行うことができた。塗料の大部分を消費してからのヘラによるすくい出しも容易であり、また塗料の大部分を消費してから、台紙(2) 付き内装袋(1) を外装箱(3) から取り出し、左側部ピース(22)または右側部ピース(23)の一方を押し潰すようにしたところ、内装袋(1) の底部の塗料がしごき出され、無駄なく使用することができた。
【0060】
塗料消費後は、内装袋(1) を台紙(2) から容易に剥離することができ、分別回収が可能であった。
【0061】
実施例2
図10は台紙(2) の他の一例を示した立て起こし前の平面図である。
【0062】
この実施例においては、中央部ピース(21)の左右の辺に左側部ピース(22)と右側部ピース(23)とを折れ線を介して連設し、中央部ピース(21)の奥側の辺に奥側ピース(24)を折れ線を介して連設しているだけでなく、中央部ピース(21)の手前側の辺に手前側ピース(25)を折れ線を介して連設してある。
【0063】
【発明の効果】
本発明にあっては、
折り畳んだときに重なり部やシール部のない1枚のシート部分で形成された底面を有しかつ組み立てたときに四角筒に形成される角底袋でできた内装袋(1) と、その内装袋(1) の外底面に接着された台紙(2) とからなること、
前記内装袋(1) が、表裏2枚のシート間に底部シート片が挿入されて製袋されたものであり、前記内装袋(1) を角筒状に組み立てた際のシートの重なりにより前記内装袋(1) の底部側の両隅に形成されるポケットがシールされた状態で切断除去してあること、
前記台紙(2) が、中央部ピース(21)と、該中央部ピース(21)の左側、右側、奥側および手前側の4辺のうち少なくとも左右の辺に連設したピースとで構成された剛性シートでできている延出部付きの台紙であるこ、
前記台紙(2) の中央部ピース(21)が前記内装袋(1) の外底面に接着され、かつ台紙(2)の中央部ピース(21)の左右の辺に連設したピースが、内装袋(1) を組み立てたときに四角筒の両側壁の一部となるポケット切断除去後の底部シート片に接着されていること、という工夫を講じたバッグインボックス用部材を用いているので、次のようなすぐれた機能ないし作用効果が奏される。よって本発明は、バッグインボックスとしての実用性が極めて高いものである。
【0064】
1.台紙(2) 付き内装袋(1) となっているので、外装箱(3) に内装袋(1) を正規の姿勢で装入設置する操作が容易である。
2.台紙(2) の中央部ピース(21)の左右の辺に左右のピースを連設し、中央部ピース(21)が内装袋(1) の外底面に接着され、左右のピースが内装袋(1) を組み立てたときに四角筒の両側壁となる部分に接着されるようにしてあるので、内装袋(1) の角筒への組み立てをワンタッチで行うことができる。
3.台紙(2) の中央部ピース(21)の左右の辺に左右のピースを連設すると共に、中央部ピース(21)の奥側の辺または手前側の辺の少なくとも一方にもピースを連設すれば、これらのピースを立て起こしたときに、内装袋(1) のシール部からの破袋をより有効に防止することができる。
4.内装袋(1) が位置決めされているので、ライン上で外装箱(3) に装入されている内装袋(1) の開口部をヒートシールして密封するときの操作が容易である。
5.使用時には、バッグインボックスのままで内装袋(1) 内の内容物を撹拌するようにすることもできる。
6.現場において粘性の大の内容物の大部分を吐出した後、残余の内容物をヘラ等で掻き出すときの作業が容易である。
7.内装袋(1) が台紙(2) で位置決めされているので、注出口を設けたタイプとするときにも、その注出口を、外装箱(3) に設ける窓の位置に正確に一致させることができる。
8.内容物の大部分を消費してから、台紙(2) 付き内装袋(1) を外装箱(3) から取り出して左側部ピース(22)または右側部ピース(23)の一方を押し潰すようにするだけで、内装袋(1) の底部に残った内容物を容易にしごき出すことができる。
9.使用後には、外装箱(3) から台紙(2) 付き内装袋(1) を容易に取り出すことができ、また台紙(2) への内装袋(1) の接着方法を工夫すれば、台紙(2) から内装袋(1) を剥離することが容易であるので、材質別に分別回収して廃棄することが要求されるときにも対応が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のバッグインボックス用材料(台紙(2) 付き内装袋(1) )の一例を示した平面図である。
【図2】 図1の台紙(2) 付き内装袋(1) の正面図である。
【図3】 図1および図2のX−X切断端面図である。
【図4】 図1の台紙(2) 付き内装袋(1) の台紙(2) の一部を立て起こしたときの平面図である。
【図5】 図4の正面図である。
【図6】 図4の背面図である。
【図7】 台紙(2) に接着する前の内装袋(1) の説明図であり、(イ)は正面図、(ロ)は縦方向切断端面図である。
【図8】 台紙(2) の立て起こし前の平面図である。
【図9】 外装箱(3) の一例を示した斜視図である。
【図10】 台紙(2) の他の一例を示した立て起こし前の平面図である。
【符号の説明】
(1) …内装袋、
(2) …台紙、
(21)…中央部ピース、
(22)…左側部ピース、
(23)…右側部ピース、
(24)…奥側ピース、
(25)…手前側ピース、
(3) …外装箱

Claims (4)

  1. バッグインボックス用の外装箱(3) に内装して用いるための部材であって、該部材が、折り畳んだときに重なり部やシール部のない1枚のシート部分で形成された底面を有しかつ組み立てたときに四角筒に形成される角底袋でできた内装袋(1) と、その内装袋(1) の外底面に接着された台紙(2) とからなること
    前記内装袋(1) が、表裏2枚のシート間に底部シート片が挿入されて製袋されたものであり、前記内装袋(1) を角筒状に組み立てた際のシートの重なりにより前記内装袋(1) の底部側の両隅に形成されるポケットがシールされた状態で切断除去してあること、
    前記台紙(2) が、中央部ピース(21)と、該中央部ピース(21)の左側、右側、奥側および手前側の4辺のうち少なくとも左右の辺に連設したピースとで構成された剛性シートでできている延出部付きの台紙であること、
    前記台紙(2) の中央部ピース(21)が前記内装袋(1) の外底面に接着され、かつ台紙(2)の中央部ピース(21)の左右の辺に連設したピースが、内装袋(1) を組み立てたときに四角筒の両側壁の一部となるポケット切断除去後の底部シート片に接着されていること、
    を特徴とするバッグインボックス用部材。
  2. 前記台紙(2) への前記内装袋(1) の接着が、底部シート片の周辺だけでなされていることを特徴とする請求項1に記載のバッグインボックス用部材。
  3. 前記台紙(2) への前記内装袋(1) の接着が、剥離可能になされていることを特徴とする請求項1または2に記載のバッグインボックス用部材。
  4. 請求項1〜3のいずれか1つに記載のバッグインボックス用部材と、そのバッグインボックス用部材を内装する外装箱(3) との組み合わせからなることを特徴とするバッグインボックス。
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