JP4286323B2 - 自動変速機の変速の自然さを向上させる方法 - Google Patents

自動変速機の変速の自然さを向上させる方法 Download PDF

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Description

本発明は、電気油圧制御式の自動変速機の変速の自然な感じを向上させる方法であって、第1の変速段から第2の変速段へのシフトがダウンシフトの形で行われ、第1のクラッチが解除されて第2のクラッチが接続される場合に適用されるものに関する。
自動変速機の場合のシフトはオーバラップシフト、即ち第1のクラッチが解除されて第2のクラッチが接続される形式で行われるのが通例である。例えばアメリカ合衆国特許第5079970号に提案されているダウンシフトの形でのオーバーラップシフトによれば、第1のクラッチの圧力レベルがシフト開始と共にシフトランプ関数に従って低い圧力レベルに移行される。次いで別の時間関数が続き、その間変速機入力回転数は上昇する。第2の、要するに接続される方のクラッチの圧力経過は急速充填フェーズ、充填均等化フェーズ、負荷引き継ぎフェーズから成る。
ダウンシフトは通例ではドライバーによって与えられるアクセルペダル値がダウンシフト特性曲線を越えた時に作動する。このアクセルペダルを介して作動させるダウンシフト以外に、任意な時点で手動でダウンシフトを作動させることもできる。例えばドイツ国特許出願公告第4311886号公報によれば、ドライバーがセレクトレバーによってハンドルに設けた手動のシフトレバーを介してシフトを作動できる装置が示されている。
実地においては、低い回転数レベルでの手動のダウンシフトに関しては長い応答時間、つまり手動のダウンシフト要求から自動変速機の感知できる応答までの長い所要時間が問題となる。この長い応答時間は油圧装置の信号経過時間もしくは不感時間、2つの前後するシフト相互間の遮断時間及び第1のクラッチの解除過程もしくは第2のクラッチへの給圧過程に要する時間に起因する。ドライバーにとってこの長い応答時間は不快に感じることになる。
本発明の課題は、特にダウンシフト及びダウンシフトを含むダブルシフトの際の自動変速機の変速の自然な感じを高めることである。
この課題を本発明は次のようにして解決した。即ち、シフト命令の発生と共に第1のクラッチの圧力レベルが第1の圧力レベルから第2の圧力レベルへ減少されて、この第2の圧力レベルが一定の保持時間保たれ、この保持時間が変速機入力回転数の回転数差及び作動油の温度の関数をなすようにしたのである。保持時間の終了と共に第1のクラッチの圧力レベルは一定の制御時間だけ第3の圧力レベルへ減少される。この第3の圧力レベルは変速機入力回転数の経過を決定する。制御時間の終了と共に第1のクラッチの圧力レベルはレベル0に低下される。
このような本発明による解決策は可変の保持時間という利点を有する。このような保持時間を介して応答時間が決定される。請求の範囲第2項によれば、変速機入力回転数のジャンプが小さい場合には長い保持時間が与えられ、ジャンプが大きい場合には極めて短い保持時間が与えられる。
変速機入力回転数のジャンプは、請求の範囲第3項によれば、第1の変速段でのシフトの開始時の変速機入力回転数値及び第2の変速段の同期点における変速機入力回転数値から算出される。
本発明の方法を順次作動のダブルシフトに適用するために、本発明によればさらに、第1のシフトとダウンシフトに相当する第2のシフトとから成るダブルシフトの場合、第2のシフトのために請求の範囲第1項に示すシフト移行が行われる。
この場合の1実施態様によれば、第1のシフトが第1の変速段から第2の変速段へのアップシフトに相当するダブルシフトの場合、第1のクラッチの解除と共に1つの時間段階が開始する。この時間段階は最大時間まで続き、時間段階の各時間値に1つの減少時間が属する。
請求の範囲第6項によれば、減少時間はダウンシフト時に接続されるクラッチの急速充填時間を決定する。この構成は、アップシフトとダウンシフトとの間の遮断時間が無くなるという利点を有する。遮断時間は元来必要とされた。というのは、アップシフト時に解除されるクラッチが引き続くダウンシフト時に再び充填されるので、確実な除圧を保証する必要があったからである。
次に、図面に示した実施例に従って本発明を詳述する。
第1図はシステム全体図、
第2図はダウンシフト用の時間線図、
第3図及び第4図はダブルシフト用の時間線図である。
第1図には自動変速機のシステム全体図が示されている。自動変速機2は流体トルクコンバータ7、差動装置12を備えた遊星歯車装置11、油圧制御装置4及び電子式変速機制御装置5から成っている。内燃機関1が駆動軸6を介して自動変速機2を駆動する。電子式エンジンコントロールユニット3が内燃機関1を制御する。駆動軸6は流体トルクコンバータ7に相対回転不能に結合されていてポンポインペラー8を駆動する。周知の通り流体トルクコンバータ7はポンプインペラー8、タービンランナー9及びステータ10から成っている。流体トルクコンバータ7と平行にロックアップクラッチが符号なしに図示されている。このロックアップクラッチの作動に伴いタービン軸は駆動軸6と同じ回転数で回転する。遊星歯車装置11は2つの遊星歯車組とクラッチもしくはブレーキB、E、C、D、Fから成っている。駆動力は差動装置12及び両方のハーフシャフト13A、13Bを介して伝達される。機械的な構造部分については本発明の理解にとって重要ではないのでその詳細は省く。クラッチ及びブレーキ(BからFまで)は電子式変速機制御装置5から油圧制御装置4を介して制御される。この場合自動変速機2のアップシフト並びにダウンシフトは、第1のクラッチが解除されて第2のクラッチが接続されるオーバーラップシフトとして行われる。油圧制御装置4内には電磁調整部材及び油圧追従スプールが備えられている。
電子式変速機制御装置5については概略的に4つの機能ブロックとしてマイクロコントローラ14、記憶装置15、制御部調整部材16及び計算装置17が図示されている。記憶装置15は通例のようにEPROM、EEPROM又は緩衝式のRAMとして構成されている。この記憶装置15内には変速機にとって重要なデータが蓄積される。制御部調整部材16は油圧制御装置4内の電磁調整部材を制御するのに使われる。計算装置17はシフトにとって重要なデータを計算するのに使われる。このデータは入力量18、19、20、21から決定される。入力量20は例えばセレクトレバーの信号、操作キーの信号、内燃機関の回転数、アクセルペダル位置もしくはスロットル開度の信号、作動油の温度等である。電子式エンジンコントロールユニット3及び電子式変速機制御装置5はデータ導線路21を介して互いに接続されている。このデータ導線路21は、例えば対エンジン相関作用を可能にするために単線式インタフェースとして構成することができ、又はCANバスのようなバスシステム用に2方向データ導線路として構成することもできる。電子式変速機制御装置5用の付加的な入力量には変速機入力回転数18、要するにタービン軸の回転数、変速機出力回転数19が含まれる。
第2図は4つの分図第2A図、第2B図、第2C図、第2D図に分けられて示されている。図示内容はダウンシフトの方向での第1の変速段から第2の変速段へのシフトである。それぞれ時間を追って示されており、第2A図はシフト命令のための状態図、第2B図は変速機入力回転数の回転数経過nTの線図、第2C図は第1の解除される方のクラッチの圧力経過pK1の線図、第2D図は第2の接続される方のクラッチの圧力経過pK2の線図である。第2B図、第2C図及び第2D図にはそれぞれ2つの例が示されている。第2B図は符号22で低い回転数レベルで始まるダウンシフトを示している。この第1の例には第2C図内の符号24で示す第1のクラッチの圧力経過pK1と第2D図内の符号26で示す第2のクラッチの圧力経過pK2とが対応している。第2B図の符号23で示す第2の例には第2C図内の符号25で示す第1のクラッチの圧力経過pK1と第2D図内の符号27で示す第2のクラッチの圧力経過pK2とが対応している。
第1の例:
時点t1でシフト命令が出され、即ち第2A図において信号の状態が1からゼロへ変わる。このシフト命令と共に第1のクラッチ24の圧力経過pK1も第1の圧力レベルp1から圧力レベルp2へ変わる。時点t1ではまた第2のクラッチ26が高い圧力レベルp5の急速充填圧で給圧される。この給圧は時点t3で終わる。次いで第2のクラッチ26は充填圧p6で給圧される。時点t4において、時点t1で始まる第1のクラッチ24の保持時間が終わる。この時点t4での保持時間の終了後第1のクラッチ24の圧力レベルpK1は第2の圧力レベルp2から第3の圧力レベルp3へ減少する。これによって変速機入力回転数ntの経過が変わる。時点t6においてこの変速機入力回転数ntは同期点に達する。同期点においては第2のクラッチ26が第1のクラッチ24から負荷を引き継ぎ、要するに第1のクラッチ24の圧力レベルがゼロへ減少され、これに対して第2のクラッチ26の圧力レベルは充填圧によって圧力レベルp4へ高められる。時点t7においてシフトは終了し、要するに第2のクラッチ26の圧力レベルpK2がシフト域外のレベルになる。
第2の例:
時点t1においてシフト命令が出され、信号が第2A図において1からゼロへ変わる。同時に第1のクラッチ25の圧力レベルpK1が第1の圧力レベルp1から第2の圧力レベルp2へ減少する。この時点t1ではまた第2のクラッチ27が急速充填圧p5で給圧される。この急速充填圧は時点t3まで保たれ、次いで充填圧p6で充填される。時点t2において第1のクラッチ25の保持時間が終了する。この終了に伴って第1のクラッチの圧力レベルpK1は第2の圧力レベルp2から第3の圧力レベルp3へ変わる。この結果として、変速機入力回転数nTの経過が変わる。即ち、時点t5において新たな変速段の同期回転数に達する。第2B図にこの同期回転数値が縦軸上にnT(2)として示されている。同期点において第2のクラッチ27は第1のクラッチ25から負荷を引き継ぐ。かくして第1のクラッチの圧力レベルpK1はゼロへ減少され、これに対して第2のクラッチ27の圧力レベルpK2は圧力レベルp4へ高められる。時点t7において第2のクラッチ27の圧力レベルpK2はシフト域外のレベルになる。
第1の例において保持時間はt1からt4まで続く。これに対して第2の例によれば保持時間はt1からt2まで続くだけとなる。この保持時間は可変に設定できる。この保持時間の入力量は変速機入力回転数nTの回転数差d_nT及び作動油の温度Θであり、従って次のようになる:
tHALT=f(d_nT、Θ)
回転数差d_nTは第1及び第2の同期点における変速機入力回転数から計算される。従って第2の例の場合回転数差は次のようになる:
d_nT=nT(2)−nT(1)
簡単な実施態様として、保持時間を第1の同期点nT(1)か又は第2の同期点nT(2)いずれかのみの変速機入力回転数に関連して決定してもよい。この場合次のようになる:
tHALT=f(nT(1)、Θ)又は
tHALT=f(nT(2)、Θ)
以上、第2図に示されているように、第2の例は第1の例に比較してΔtの時間利益を有する。この時間利益は、ドライバーがダウンシフト後その分だけ早く自動変速機の応答を感知することを意味し、言い換えれれば自動変速機の自然な挙動を感知することを意味する。
第3図には第2図における方法をダブルシフトに適用した例が示されている。このダブルシフトは第1及び第2の順次行われるシフトによる。第1のシフトも第2のシフトもダウンシフトであって、要するに例えば第5変速段から第3変速段へのダブルシフトである。第3図は第3A図から第3G図までの7つの分図から成っている。各分図はいずれも時間を追って示されており、
第3A図はドライバーの出力要求FWの線図、
第3B図はシフト命令SBを示す線図、
第3C図は2つの例における変速機入力回転数nTの経過を示す線図、
第3D図は第1の例における第1の、要するに解除されるクラッチの圧力経過pK1を示す線図、
第3E図は第1の例における第2の、要するに接続されるクラッチの圧力経過pK2を示す線図、
第3F図は第2の例における第1のクラッチの圧力経過pK1Aを示す線図、
第3G図は第2の例における第2のクラッチの圧力経過pK2Aを示す線図である。
第3C図には第1の例として符号28で公知技術によるダブルダウンシフトが示されている。この回転数経過には第3D図及び第3E図の圧力経過が対応する。図示のとおりこのダブルダウンシフトには合計4つのクラッチが使われる。第3C図の符号29は第2の例を示す。この第2の例は本発明による解決策に相当する。符号29による回転数経過nTには第3F図及び第3G図に示す圧力経過が対応する。
第1の例:
時点t1においてドライバーが第1のダウンシフトの要求を出す。これによって第3A図及び第3B図においては信号経過が変わる。同時に、第1のクラッチ30の圧力経過pK1が第1の圧力レベルp1から第2の圧力レベルp2へ減少される。この第2の圧力レベルp2は保持時間、要するに時点t1から時点t3までの間保持される。また、時点t1においては第2のクラッチ32が急速充填圧p5で給圧される。この急速充填圧p5は時点t2まで続く。次いで第2のクラッチ32は充填圧p6で給圧される。時点t3において保持時間が終了し、すなわち第1のクラッチ30の圧力レベルpK1が第2の圧力レベルp2から第3の圧力レベルp3へ減少される。これによって、変速機入力回転数nTの経過がnT(1)からnT(2)の方向で変わる。第1のクラッチ30の圧力レベルp3に亙って変速機入力回転数nTの勾配を決めることができる。時点t4において同期回転数値nT(2)に達する。同期点において第2のクラッチ32の圧力レベルpK2は圧力レベルp4に達する。今や第2のクラッチ32が第1のクラッチ30から負荷を引き継いだので、第1のクラッチ30の圧力レベルP3はゼロに低下する。
ここにおいて、時点t2から時点t4までの時間範囲内にドライバーが第2のダウンシフトを行ったと仮定する。このことが第3A図に出力要求FWの信号が“4”から“3”へ変わったとして示されている。その結果時点T4において、同期点nT(2)の認識によって、第3B図に示されているように新たなシフト命令SBが発せられる。時点t4においてはまた第2の解除される方のクラッチ31の圧力レベルpK1が圧力レベルp1から圧力レベルp2へ減少される。同時に第2の接続される方のクラッチ33の圧力レベルpK2が時点t4から時点t5の間急速充填圧レベルp5に高められる。次いでこの第2の接続されるクラッチ33は充填圧p6で給圧される。時点t4から時点t6までの間に第2の解除されるクラッチ31の保持時間が終了する。この保持時間の間は変速機入力回転数nTの経過が変化せず、要するに回転数は回転数値nT(2)のままである。時点t6においてこの保持時間が終了し、第2の解除されるクラッチ31の圧力レベルpK1は第2の圧力レベルp2から第3の圧力レベルp3へ減少される。これによって変速機入力回転数nTの経過が値nT(2)から値nT(3)への方向で変化する。時点t7において同期点、即ち回転数値nT(3)に達する(第3C図参照)。この同期点において、第3E図に示すように第2の接続されるクラッチ33は第2の解除されるクラッチ31から負荷を引き継ぐ。同時に第2の解除されるクラッチ31は第3の圧力レベルp3から圧力レベルゼロになる。
第2の例:
この第2の例には本発明による解決策が示されている。この第2の例に該当するのは第3C図における変速機入力回転数nTの回転数経過29、第3F図に示す両方の解除されるクラッチ34、35の圧力経過及び第3G図に示す両方の接続されるクラッチ36、37の圧力経過である。
時点t1においてドライバーが、例えば第3A図に示されているように第5変速段から第4変速段へダウンシフトを行う。これによってシフト命令SB(第3B図参照)が発せられる。この時点t1においては第1の解除されるクラッチ34の圧力レベルpK1Aが第1の圧力レベルp1から第3の圧力レベルp3へ減少される。この第2の例の場合、保持時間が0に計算されていると前提している。保持時間は変速機入力回転数d_nTの回転数差及び作動油の温度Θの関数をなす。変速機入力回転数の差はこの第2の例の場合両方の同期点nT(2)、nT(1)の差に相当する。第1の解除される方のクラッチの圧力レベルpK1Aが第3の圧力レベルp3に達し次第、変速機入力回転数nTの勾配が回転数値nT(2)への方向で変化する。圧力レベルp3は時点t2Aまで保持される。この圧力レベルp3を介して変速機入力回転数経過が決定される。時点t1においてはまた第1の接続される方のクラッチ36が圧力レベルp5の急速充填圧で時点t2まで給圧される。次いで充填圧p6で充填される。時点t2Aにおいて同期回転数nT(2)に達する。この時点で第1の接続されるクラッチ36は第1の解除されるクラッチ34から負荷を引き継ぐ。第1の解除されるクラッチ34の圧力レベルは第3の圧力レベルp3からゼロへ減少される。同期回転数nT(2)の認識と同時に第2の解除されるクラッチ35が第1の圧力レベルp1から第3の圧力レベルp3へ減少される。この場合も保持時間はない。というのは保持時間がゼロに計算されているからである。次いで圧力レベルp3で制御フェーズが続き、その間に変速機入力回転数の経過がnT(3)の方向で変化する。時点t2Aにおいてはまた第2の接続されるクラッチ37が急速充填圧で給圧される。時点t4において第2の同期点nT(3)に達する。この同期回転数値で第2の接続されるクラッチ37は第2の解除されるクラッチ35から負荷を引き継ぐ。これによって第2の解除されるクラッチ35は第3の圧力レベルp3からレベルゼロへ減少される。
第3A図及び第3B図に示されているように、ドライバーの要求で時点t2Aにおいて直接シフト命令が発せられる。その結果、第3C図に示すように、第1の例及び第2の例に関して時点t4から時点t7までの時間のずれΔtが生ずる。言い換えれば、公知例による変速機入力回転数の回転数経過28に対する本発明の方法による回転数経過29の相違が生ずる。ダブルダウンシフトへのドライバーの要求と同期回転数値nT(3)との間には回転数経過29に示すように時間短縮が得られ、要するに応答時間が明確に短縮される。ドライバーはこれを自然な応答と感知する。
第4図には、アップシフト及びこれに続くダウンシフトから成るダブルシフトについて例示されている。実際の走行時の典型的な一例として貨物自動車の背後を走行していて追い越そうとするケースを取り上げることとする。対面交通に起因してドライバーはアクセルペダルストロークを減少し、自動変速機は例えば第4変速段から第5変速段へとアップシフトを呈する。アップシフトの経過中にドライバーは対向車線が空いたと見ればアクセルペダルを新たに踏み込む。このような場合、公知例によればまず最初にアップシフトが完全に行われる。次いで通例のように遮断時間があり、その後初めて例えば第5変速段から第4変速段へのダウンシフトが始まる。遮断時間は、アップシフト時に解除されるクラッチが完全に除圧状態にあるように保証するために元来必要とされる。完全な除圧状態でない場合には、接続される方のクラッチへの急速充填がダウンシフトの際にシフト圧の形で不利に作用するからである。
第4図は4つの分図としての第4A図、第4B図、第4C図、第4D図から成っており、
第4A図はシフト命令を示す線図、
第4B図は変速機入力回転数nTの回転数経過を示す線図、
第4C図は第1のクラッチの圧力経過を示す線図、
第4D図は第2のクラッチの圧力経過を示す線図である。
第4B図にやはり2つの例が示されている。符号40の回転数経過は公知例による解決策に相当する。この回転数経過40には第4A図中の符号38で示すシフト命令、第4C図中の符号42で示す第1のクラッチの圧力経過、第4D図中の符号44で示す第2のクラッチの圧力経過が対応する。第4B図中に符号41で第2の例として本発明による回転数経過を示しており、この回転数経過41には第4A図中の符号39で示すシフト命令、第4C図中の符号43で示す第1のクラッチの圧力経過、第4D図中の符号45で示す第2のクラッチの圧力経過が対応する。
第1の例:
時点t1においてアップシフトのシフト命令が出される。同時に、第1のクラッチ42が圧力レベルp4の急速充填圧で時点t2まで給圧される。時点t2から時点t3までは圧力レベルp6の充填圧を受ける。次いで時点t3から時点t5まで直線関数に従って圧力上昇が続く。最終点は圧力レベルp3である。時点t1においてはまた第2のクラッチ44の圧力レベルがp7からp8へと減少される。この圧力レベルp8は時点t4まで保たれる。第1のクラッチ42がt3からt5までの期間内に第2のクラッチ44から負荷の引き継ぎを開始するので、第2のクラッチ44は時点t4において解除させることができる。負荷引き継ぎの結果として変速機入力回転数nTは同期点nT(1)から新たな同期点nT(2)への方向で変化し始める。時点t6において回転数値nT(2)に達し、アップシフトは終了する。次いで第1のクラッチ42の圧力レベルはレベルp1に上昇される。
ここにおいてドライバーが時点t1から時点t6までのアップシフトの間にアクセルペダルを操作してダウンシフトを要求した場合、公知例であるこの第1の例ではまず最初に時点t6から時点t7までの遮断時間が生ずる。時点t7においてはじめてダウンシフトのためのシフト命令38(第4A図)が出される。これによって第1のクラッチ42の圧力レベルはp1からp2へ減少される。減少された圧力レベルp2は時点t7から時点t10までの保持時間中保たれる。時点t10において第1のクラッチ42の圧力レベルはp2からp5に減少される。これによって変速機入力回転数nTの経過は新たな同期回転数値nT(1)の方向へ変化する。時点t10においてはまた第2のクラッチ44が圧力レベルp10の急速充填圧で給圧され、次いで圧力レベルp11の充填圧を受ける。時点t12において同期回転数値nT(1)に達する。第2のクラッチ44は同期点において第1のクラッチ42から負荷を引き継ぐ。かくして第1のクラッチ42の圧力レベルはレベルp5からレベルゼロへ減少させることができる。
第2の例:
この本発明の方法の場合は時点t6までは第1の公知例と同様に経過する。しかし、時点t4において第2のクラッチの解除と共に1つの時間段階が開始する。この時間段階は最大最終値tMAXまで、例えば2分続く。時間段階の各時間値いずれにも1つの減少時間が対応していて、この減少時間分だけ急速充填時間が減少する。例えば、100msecの時間値の場合に−50msecの減少時間又は200msecの場合にゼロに減少時間である。これらの時間値相互は線形に補間される。
急速充填時間を算出するための別の実施態様によれば、時間段階の各時間値にそれぞれ急速充填時間が対応している。この急速充填時間は1つの基本急速充填時間に加算され、例えば基本急速充填時間は20msecとすることができる。
時点t6においてダウンシフトのための新たなシフト命令39(第4A図)が出される。これによって第1のクラッチ43の圧力レベルはレベルp5へ減少される。保持時間はこの場合ゼロに計算されている。同じ時点T6において第2のクラッチ45が圧力レベルp10の急速充填圧で給圧される。急速充填の期間、この場合時点t6から時点t6Aまでの期間は、時間段階の各時間値の関数である。実地においてこのことは、時間段階の時間値の内の小さな時間値が短い急速充填時間を生ずることを意味している。極端な場合、解除される方のクラッチが十分除圧されてないことが時間段階に基づいて確認されるならば、急速充填時間をゼロとしてもよい。時点t6Aからt9までの期間に第2のクラッチ45は圧力レベルp11の充填圧を受ける。時点T9において同期回転数値nT(1)に達して第2のクラッチ45の圧力レベルはレベルp9に上昇され、これによって第1のクラッチ43から負荷を確実に引き継ぐことができる。時点t9においては同時に第1のクラッチ43の圧力レベルがレベルゼロへ減少される。時点t12においてシフトは終了し、第2のクラッチ45の圧力レベルはシフト域外のレベルに減少される。第4B図に示すように、本発明の方法による回転数経過41の場合、符号40で示す公知例の回転数経過に比して時点t9から時点t12までの時間利益Δtが得られる。言い換えれば、アップシフトの後にダウンシフトが時間差なしに直ちに行われる。走行中の追い越し時のドライバーの要求と実際の加速との間に極めてわずかな時間があるだけであり、要するに自動変速機の自然な感じが高められることになる。
符号の説明:
1 エンジン
2 自動変速機
3 電子式エンジンコントロールユニット
4 油圧制御装置
5 電子式変速機制御装置
6 駆動軸
7 流体トルクコンバータ
8 ポンプインペラー
9 タービンランナー
10 ステータ
11 遊星歯車装置
12 差動装置
13A,13B ハーフシャフト
14 マイクロコントローラ
15 記憶装置
16 制御部調整部材機能ブロック
17 計算装置機能ブロック
18 変速機入力回転数
19 変速機出力回転数
20 入力量
21 データ導線路
22 第1の例における変速機入力回転数の経過
23 第2の例における変速機入力回転数の経過
24 第1の例における解除される方のクラッチの圧力経過
25 第2の例における解除される方のクラッチの圧力経過
26 第1の例における接続される方のクラッチの圧力経過
27 第2の例における接続される方のクラッチの圧力経過
28 第1の例における変速機入力回転数の経過
29 第2の例における変速機入力回転数の経過
30 第1の例における第1の解除される方のクラッチの圧力経過
31 第1の例における第2の解除される方のクラッチの圧力経過
32 第1の例における第1の接続される方のクラッチの圧力経過
33 第1の例における第2の接続される方のクラッチの圧力経過
34 第2の例における第1の解除される方のクラッチの圧力経過
35 第2の例における第2の解除される方のクラッチの圧力経過
36 第2の例における第1の接続される方のクラッチの圧力経過
37 第2の例における第2の接続される方のクラッチの圧力経過
38 第1の例におけるシフト命令
39 第2の例におけるシフト命令
40 第1の例における変速機入力回転数の経過
41 第2の例における変速機入力回転数の経過
42 第1の例における第1のクラッチの圧力経過
43 第2の例における第1のクラッチの圧力経過
44 第1の例における第2のクラッチの圧力経過
45 第2の例における第2のクラッチの圧力経過

Claims (6)

  1. 電気油圧制御式の自動変速機(2)の変速の自然さを向上させる方法であって、第1の変速段から第2の変速段へのシフトがダウンシフトの形でなされて第1のクラッチが解除されて第2のクラッチが接続され、電子式変速機制御装置(5)が電磁式調整部材を介して前記第1及び第2のクラッチの圧力経過を制御する場合に適用されるものにおいて、
    シフト命令に伴って前記第1のクラッチの圧力レベルが第1の圧力レベル(p1)から第2の圧力レベル(p2)へ減少され、
    前記第2の圧力レベル(p2)は保持時間(tHALT)の間保たれ、
    前記保持時間の終了(tHALT=ゼロ)と共に前記第1のクラッチの圧力レベルが第3の圧力レベル(p3)へ減少されてその圧力レベル(p3)に制御時間(tREGEL)の間保たれ、この第3の圧力レベル(p3)により変速機入力回転数(nT)の経過が決定され
    前記制御時間の終了(tREGEL=0)と共に前記第1のクラッチの圧力レベルがレベルゼロへ減少され、
    前記保持時間(tHALT)は変速機入力回転数(nT)の増加及び作動油の温度(Θ)の関数(tHALT=f(d_nT、Θ))をなしており、
    前記変速機入力回転数(nT)の増加とは、前記第2の変速段の同期点での変速機入力回転数値(nT(2))と前記第1の変速段の同期点での変速機入力回転数値(nT(1))との回転数差(d_nT=nT(2)−nT(1))であり、
    前記関数(tHALT=f(d_nT、Θ))は、より大きな前記回転数差(d_nT=nT(2)−nT(1))に対してより小さい保持時間(tHALT)が設定されるように前記保持時間(tHALT)を決定することを特徴とする方法。
  2. 前記保持時間(tHALT)が、変速機入力回転数(nT)の前記回転数差(d_nT)が大きい場合にはゼロ又はほぼゼロになるように変化することを特徴とする請求の範囲第1項に記載の方法。
  3. 電気油圧制御式の自動変速機(2)の変速の自然さを向上させる方法であって、第1の変速段から第2の変速段へのシフトが行われて第1のクラッチが解除されて第2のクラッチが接続され、電子式変速機制御装置(5)が電磁調整部材を介して前記第1及び第2のクラッチを制御し、ダブルシフトが順次に行われる場合に適用されるものにおいて、
    第1のシフト及び第2のシフトから成るダブルシフトの場合第2のシフトが請求の範囲第1項に記載のダウンシフトに相当することを特徴とする方法。
  4. 前記ダブルシフトの前記第1のシフトが第1の変速段から第2の変速段へのアップシフトであり且つ前記第2のシフトが第2の変速段から第1の変速段へのダウンシフトである場合に、前記ダウンシフトの際に接続される前記第2のクラッチの急速充填時間(tSF)が決定された減少時間分だけ減少され、前記減少時間は、前記アップシフトの際に前記第2のクラッチの解除が開始される時点(t4)から前記第2のクラッチの急速充填が開始される時点(t6)までの時間(tR)の関数であることを特徴とする、請求の範囲第3項に記載の方法。
  5. 記関数は、より小さい前記時間(tR)の値がより短い急速充填時間(tSF)を生じさせるように、前記減少時間を決定することを特徴とする、請求の範囲第4項に記載の方法。
  6. 前記変速機入力回転数(nT)の前記回転数差(d_nT)が限界値(GW)を上回った際(d_nT>GW)に、前記保持時間(tHALT)がゼロ(tHALT=0)に決定されることを特徴とする、請求の範囲第1項又は第3項に記載の方法。
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