この発明の第1の局面による画像形成装置は、インクシートカートリッジに収納されるとともに、印刷時にインクシートカートリッジの巻取ボビンにより巻き取られるインクシートを押圧する印字部を含み、用紙に画像が印刷可能な印字ヘッドを備えた画像形成装置において、印刷時に印字ヘッドの上部を所定の押圧力で押圧することにより、印字ヘッドをインクシートに押圧するためのヘッド部押圧部材と、ヘッド部押圧部材と係合して印字ヘッドを上下動させるための係合部を含む板金製の係合部材と、係合部材に固定され、ヘッド部押圧部材の押圧力を係合部材を介して印字ヘッドに伝達するためのバネ部材と、係合部材に一体的に設けられ、印字ヘッドを平面的に見て中央部がインクシートの巻取方向に向かって凸状に形成されるとともに、印刷時にインクシートの搬送をガイドするインクシートガイド部材と、用紙の給紙を行う際に、用紙の搬送方向をガイドする用紙ガイド部材とをさらに備え、用紙ガイド部材には、用紙ガイド部材に対して回転せずに固定的に設置され、インクシートの幅方向の端部に対応する領域がインクシートの幅方向の端部に張力を付与する形状を有するインクシート当接部と、印字ヘッドの下面を支持するリブとが一体的に設けられており、用紙ガイド部材のインクシート当接部は、インクシートの幅方向の端部に対応する領域が、インクシートの幅方向の中央部に対応する領域に対してインクシート側に突出するように形成され、係合部材は、印字ヘッドに取り付けられる固定部と、固定部とインクシートガイド部材の中央部とを接続する連結部とを含み、インクシートガイド部材は、平面的に見て印字ヘッドの幅方向の端部側に設けられ、巻取ボビン側から印字ヘッド側に向かって傾斜する傾斜部を有し、インクシートガイド部材の傾斜部は、インクシートガイド部材の連結部が接続されていない幅方向の端部側に設けられ、インクシートガイド部材のインクシートに当接する当接部は、板金製の係合部材の端部を折り曲げることによりインクシートの搬送方向に沿った形状がU字形状に形成されている。
この第1の局面による画像形成装置では、上記のように、用紙の給紙を行う際に、用紙の搬送方向をガイドする用紙ガイド部材を備えるように構成することによって、用紙が不要な反り形状を伴って装置本体内部に給紙された場合でも、用紙ガイド部材によって用紙の搬送方向をガイドされるので、用紙を適切に給紙することができる。また、印字ヘッドを平面的に見て中央部がインクシートの巻取方向に向かって凸状に形成されるとともに、印刷時にインクシートの搬送をガイドするインクシートガイド部材を備えるように構成することによって、インクシートガイド部材は、インクシートの幅方向の中央部と端部とにおいて、インクシートの巻取方向に対して前後に異なった位置でガイドを行う。すなわち、インクシートは、インクシートの幅方向の端部から順に中央部に向かって搬送動作をガイドされるので、インクシートの端部に発生しやすい皺を優先的に抑制することができる。また、用紙ガイド部材を、インクシートの幅方向の端部に対応する領域が、インクシートの幅方向の端部に張力を付与する形状を有するインクシート当接部を一体的に含むように構成することによって、インクシートの幅方向の端部は、用紙ガイド部材のインクシート当接部により引き延ばされた状態で搬送されるので、上記インクシートガイド部材を備えることによる皺の抑制効果に加えて、用紙ガイド部材のインクシート当接部によってもインクシートの幅方向の端部に発生しやすい皺をより確実に抑制することができる。また、用紙ガイド部材のインクシート当接部を、インクシートの幅方向の端部に対応する領域が、インクシートの幅方向の中央部に対応する領域に対してインクシート側に突出するように形成するように構成することによって、用紙ガイド部材のインクシート当接部は、インクシート当接部の幅方向の端部領域からインクシートの幅方向の端部に接触を開始するとともにインクシートの幅方向の端部に接触した状態を継続しながらインクシートの搬送をガイドすることができる。したがって、インクシートは、インクシートの幅方向の端部において確実にインクシート当接部と接触しているので、インクシートの表面はインクシート当接部からの押圧力により引き延ばされた状態で搬送される。この結果、インクシートの幅方向の端部に発生しやすい皺を、容易に抑制することができる。
また、第1の局面による画像形成装置では、印刷時に印字ヘッドの上部を所定の押圧力で押圧することにより、印字ヘッドをインクシートに押圧するためのヘッド部押圧部材と、印字ヘッドに取り付けられ、ヘッド部押圧部材と係合して印字ヘッドを上下動させるための係合部を含む係合部材とを備えるとともに、インクシートガイド部材を、係合部材に一体的に設けるように構成することによって、ヘッド部押圧部材による印字ヘッドの上部への押圧により、ヘッド部押圧部材による押圧力を直接的に印字ヘッドに伝達させることができる。したがって、横長形状で長手方向に所定の印字幅を有する印字ヘッドを、インクシートに対して適切な押圧力で確実に押圧することができる。また、インクシートガイド部材を係合部材とは別部材として設ける場合と異なり、印字ヘッドを構成する部品点数が増加することを抑制することができる。また、インクシートに当接するインクシートガイド部材の当接部を、板金製の係合部材の端部を折り曲げることによりインクシートの搬送方向に沿った形状がU字形状に形成するように構成することによって、印刷時にインクシートが巻き取られる際、インクシートガイド部材は、当接部においてインクシートに滑らかに当接することができるので、インクシートにインクシートガイド部材による擦り傷や当接面との摩擦による皺の発生を抑制することができる。
また、第1の局面による画像形成装置では、インクシートガイド部材が一体的に形成される係合部材を、印字ヘッドに取り付けられる固定部と、固定部とインクシートガイド部材の中央部とを接続する連結部とをさらに含むように構成するとともに、インクシートガイド部材の傾斜部を、インクシートガイド部材の連結部が接続されていない幅方向の端部側に設けるように構成することによって、インクシートガイド部材の連結部が接続されていない部分は、板部材の曲げ加工により容易に曲げることができるので、インクシートガイド部材の傾斜部を容易に形成することができる。また、ヘッド部押圧部材の押圧力を係合部材を介して印字ヘッドに伝達するためのバネ部材を備えるとともに、係合部材を、バネ部材を固定することが可能に形成するように構成することによって、バネ部材を固定する部材を係合部材に別途設ける必要がないので、印字ヘッドを構成する部品点数の増加を抑制することができる。また、印字ヘッドの印字部と巻取ボビンとの間に配置されるインクシートガイド部材の傾斜部を、平面的に見て印字ヘッドの幅方向の端部側に設けられ、巻取ボビン側から印字ヘッド側に向かって傾斜するように構成することによって、インクシートは、インクシートガイド部材の傾斜部により、インクシートの搬送方向に対してより印字ヘッドに近い位置からインクシートの幅方向の端部をガイドされるので、印字ヘッドは、より確実に、皺の発生が抑制されたインクシートを押圧することができる。
この発明の第2の局面による画像形成装置は、インクシートを押圧する印字部を含み、用紙に画像が印刷可能な印字ヘッドと、用紙の給紙を行う際に、用紙の搬送方向をガイドする用紙ガイド部材と、印字ヘッドを平面的に見て中央部がインクシートの巻取方向に向かって凸状に形成されるとともに、印刷時にインクシートの搬送をガイドするインクシートガイド部材とを備え、用紙ガイド部材には、用紙ガイド部材に対して回転せずに固定的に設置され、インクシートの幅方向の端部に対応する領域がインクシートの幅方向の端部に張力を付与する形状を有するインクシート当接部と、印字ヘッドの下面を支持するリブとが一体的に設けられている。
この第2の局面による画像形成装置では、上記のように、用紙の給紙を行う際に、用紙の搬送方向をガイドする用紙ガイド部材を備えるように構成することによって、用紙が不要な反り形状を伴って装置本体内部に給紙された場合でも、用紙ガイド部材によって用紙の搬送方向をガイドされるので、用紙を適切に給紙することができる。また、印字ヘッドを平面的に見て中央部がインクシートの巻取方向に向かって凸状に形成されるとともに、印刷時にインクシートの搬送をガイドするインクシートガイド部材を備えるように構成することによって、インクシートガイド部材は、インクシートの幅方向の中央部と端部とにおいて、インクシートの巻取方向に対して前後に異なった位置でガイドを行う。すなわち、インクシートは、インクシートの幅方向の端部から順に中央部に向かって搬送動作をガイドされるので、インクシートの端部に発生しやすい皺を優先的に抑制することができる。また、用紙ガイド部材を、インクシートの幅方向の端部に対応する領域が、インクシートの幅方向の端部に張力を付与する形状を有するインクシート当接部を一体的に含むように構成することによって、インクシートの幅方向の端部は、用紙ガイド部材のインクシート当接部により引き延ばされた状態で搬送されるので、上記インクシートガイド部材を備えることによる皺の抑制効果に加えて、用紙ガイド部材のインクシート当接部によってもインクシートの幅方向の端部に発生しやすい皺をより確実に抑制することができる。
上記第2の局面による画像形成装置において、好ましくは、用紙ガイド部材のインクシート当接部は、インクシートの幅方向の端部に対応する領域が、インクシートの幅方向の中央部に対応する領域に対してインクシート側に突出するように形成されている。このように構成すれば、用紙ガイド部材のインクシート当接部は、インクシート当接部の幅方向の端部領域からインクシートの幅方向の端部に接触を開始するとともにインクシートの幅方向の端部に接触した状態を継続しながらインクシートの搬送をガイドすることができる。したがって、インクシートは、インクシートの幅方向の端部において確実にインクシート当接部と接触しているので、インクシートの表面はインクシート当接部からの押圧力により引き延ばされた状態で搬送される。この結果、インクシートの幅方向の端部に発生しやすい皺を、容易に抑制することができる。
上記第2の局面による画像形成装置において、好ましくは、印刷時に印字ヘッドの上部を所定の押圧力で押圧することにより、印字ヘッドをインクシートに押圧するためのヘッド部押圧部材と、印字ヘッドに取り付けられ、ヘッド部押圧部材と係合して印字ヘッドを上下動させるための係合部を含む係合部材とをさらに備え、インクシートガイド部材は、係合部材に一体的に設けられている。このように構成すれば、ヘッド部押圧部材による印字ヘッドの上部への押圧により、ヘッド部押圧部材による押圧力を直接的に印字ヘッドに伝達させることができる。したがって、横長形状で長手方向に所定の印字幅を有する印字ヘッドを、インクシートに対して適切な押圧力で確実に押圧することができる。また、インクシートガイド部材を係合部材とは別部材として設ける場合と異なり、印字ヘッドを構成する部品点数が増加することを抑制することができる。
上記したヘッド部押圧部材と係合部材とを備えた構成において、好ましくは、インクシートガイド部材が一体的に形成される係合部材は板金製であり、インクシートに当接するインクシートガイド部材の当接部は、板金製の係合部材の端部を折り曲げることによりインクシートの搬送方向に沿った形状がU字形状に形成されている。このように構成すれば、印刷時にインクシートが巻き取られる際、インクシートガイド部材は、当接部においてインクシートに滑らかに当接することができるので、インクシートにインクシートガイド部材による擦り傷や当接部との摩擦による皺の発生を抑制することができる。
上記したヘッド部押圧部材と係合部材とを備えた構成において、好ましくは、インクシートガイド部材は傾斜部を有し、インクシートガイド部材が一体的に形成される係合部材は、印字ヘッドに取り付けられる固定部と、固定部とインクシートガイド部材の中央部とを接続する連結部とをさらに含み、インクシートガイド部材の傾斜部は、インクシートガイド部材の連結部が接続されていない幅方向の端部側に設けられている。このように構成すれば、インクシートガイド部材の連結部が接続されていない部分は、板部材の曲げ加工により容易に曲げることができるので、インクシートガイド部材の傾斜部を容易に形成することができる。
上記したヘッド部押圧部材と係合部材とを備えた構成において、好ましくは、ヘッド部押圧部材の押圧力を係合部材を介して印字ヘッドに伝達するためのバネ部材をさらに備え、係合部材は、バネ部材を固定することが可能に形成されている。このように構成すれば、バネ部材を固定する部材を係合部材に別途設ける必要がないので、印字ヘッドを構成する部品点数の増加を抑制することができる。
上記第2の局面による画像形成装置において、好ましくは、インクシートガイド部材は、傾斜部を有し、インクシートはインクシートカートリッジに収納されるとともに、インクシートカートリッジの巻取ボビンにより巻き取られ、インクシートガイド部材は、印字ヘッドの印字部と巻取ボビンとの間に配置され、インクシートガイド部材の傾斜部は、平面的に見て印字ヘッドの幅方向の端部側に設けられ、巻取ボビン側から印字ヘッド側に向かって傾斜するように形成されている。このように構成すれば、インクシートは、インクシートガイド部材の傾斜部により、インクシートの搬送方向に対してより印字ヘッドに近い位置からインクシートの幅方向の端部をガイドされるので、印字ヘッドは、より確実に、皺の発生が抑制されたインクシートを押圧することができる。
上記第2の局面による画像形成装置において、好ましくは、インクシートガイド部材は、傾斜部を有し、インクシートガイド部材の傾斜部は、インクシートの幅方向の端部近傍に対応する位置に設けられている。このように構成すれば、インクシートガイド部材の傾斜部は、インクシートの幅方向の端部近傍に対応する位置においてインクシートの搬送をガイドすることができるので、インクシートガイド部材の傾斜部によりインクシートの幅方向の端部に皺が発生することを、容易に抑制することができる。
上記第2の局面による画像形成装置において、好ましくは、インクシートは、インクシートカートリッジに収納されるとともに、印刷時にインクシートカートリッジの供給ボビンから巻取ボビンに向かって搬送され、インクシート当接部を一体的に含む用紙ガイド部材は、印字ヘッドの印字部と供給ボビンとの間に配置されている。このように構成すれば、インクシートは、印刷時に印字ヘッドと用紙ガイド部材とに挟まれた区間において、インクシートの幅方向の端部に皺を発生させることなく搬送されるので、印字ヘッドは皺の発生が抑制されたインクシートを確実に押圧することができる。
上記第2の局面による画像形成装置において、好ましくは、用紙ガイド部材のインクシート当接部は、用紙ガイド部材の幅方向の中央部から端部に向かって曲面状に傾斜する傾斜面により形成されている。このように構成すれば、インクシート当接部は滑らかな傾斜面によってインクシートの幅方向の端部から中央部に向かって接触することができるので、インクシート当接部の形状に起因して搬送中のインクシートに擦り傷などが生じることを抑制することができる。
上記第2の局面による画像形成装置において、好ましくは、用紙ガイド部材は樹脂製であり、用紙ガイド部材のインクシート当接部の表面は、インクシートの搬送方向に沿った形状が丸形形状を有する。このように構成すれば、印刷時にインクシートが巻き取られる際、インクシート当接部は搬送方向にも滑らかにインクシートに当接することができるので、インクシートにインクシート当接部による擦り傷や摩擦によって皺が発生することを抑制することができる。
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態による昇華型プリンタの全体構成を示した分解斜視図である。図2は、図1に示した本発明の一実施形態による昇華型プリンタの斜視図である。図3は、図1に示した本発明の一実施形態による昇華型プリンタの内部構造を示した断面図である。図4〜図14は、図1に示した本発明の一実施形態による昇華型プリンタの詳細を説明するための図である。まず、図1〜図14を参照して、本発明の一実施形態による昇華型プリンタ100の構造について説明する。なお、本実施形態では、画像形成装置の一例である昇華型プリンタに本発明を適用した場合について説明する。
本発明の一実施形態による昇華型プリンタ100の装置本体90は、図1に示すように、金属製のシャーシ1と、印字を行うための印字ヘッド2と、印字ヘッド2に対向するように配置されたプラテンローラ3(図4参照)と、金属製の送りローラ4(図4参照)と、所定の押圧力で送りローラ4を押圧する金属製の押さえローラ5(図4参照)と、金属製の支持棒6と、印字ヘッド2の上部を所定の押圧力で押圧するためのヘッド部押圧部材7および8と、樹脂製の駆動ギア9と、送りローラギア10(図5参照)と、樹脂製の下部用紙ガイド11aと、樹脂製の上部用紙ガイド11b(図4参照)と、ゴム製の給紙ローラ12と、給紙ローラギア13(図2参照)と、ゴム製の排紙ローラ14と、排紙ローラギア15(図2参照)と、巻取リール16(図2参照)と、モータブラケット17(図2参照)と、用紙60を搬送するためのステッピングモータ18(図2参照)と、印字ヘッド2を回動させる際の駆動源となるステッピングモータ19(図2参照)と、揺動可能な揺動ギア20(図5参照)と、複数の中間ギア21〜24(図5参照)と、インクシート51が収納されたインクシートカートリッジ50を支持するカートリッジ支持部25とを備えている。また、装置本体90は、図3に示すように、樹脂製の筐体26の内部に配置されるように構成されている。また、本実施形態による昇華型プリンタ100は、図3に示すように、インクシートカートリッジ50と、装置本体90に供給する用紙60を収納するための給紙カセット70とが装置本体90に着脱可能に装着されている。
また、図1に示すように、シャーシ1は、互いに対向するように配置された一方側面1aと、他方側面1bと、底面1cとを有している。また、シャーシ1の一方側面1aには、上記したモータブラケット17(図2参照)が取り付けられている。また、シャーシ1の一方側面1aに対向する他方側面1bには、インクシートカートリッジ50を挿入するためのカートリッジ挿入孔1dが設けられている。また、シャーシ1の一方側面1aおよび他方側面1bには、図1に示すように、それぞれ、ヘッド部押圧部材7および8が取り付けられた支持棒6を回動可能に支持する支持孔1eが設けられている。また、シャーシ1の底面1cには、図4に示すように、印刷時に用紙60の前端部60aおよび後端部60bを検出するための用紙センサ27aおよび27bが設けられている。
また、2つのプラテンローラ軸受3aは、図1に示すように、それぞれ、シャーシ1の一方側面1aおよび他方側面1bに取り付けられているとともに、その2つのプラテンローラ軸受3aにプラテンローラ3(図4参照)が回動可能に支持されるように構成されている。また、送りローラ4は、図5に示すように、送りローラギア10に挿入される送りローラギア挿入部4aを有している。また、送りローラ4は、シャーシ1に取り付けられた図示しない送りローラ軸受に回動可能に支持されるように構成されている。また、押さえローラ5(図4参照)は、図示しない押さえローラ軸受に回動可能に支持されるように構成されている。また、送りローラ4および押さえローラ5は、図4に示すように、用紙60を間に挟んだ状態で回動することにより、用紙60を給紙方向(矢印T1方向)または排紙方向(矢印U1方向)に搬送する機能を有している。また、給紙ローラ12は、図3に示すように、給紙カセット70(図1参照)に収納された用紙60をシャーシ1の内部に搬送する機能を有している。また、排紙ローラ14は、図3に示すように、印刷終了後の用紙60をシャーシ1の外部に搬送する機能を有している。
また、支持棒6の一方および他方の端部には、図7に示すように、それぞれ、支持部6aが設けられている。そして、支持棒6の一方および他方の支持部6aは、図7に示すように、それぞれ、シャーシ1の一方側面1aの支持孔1e、および、他方側面1bの支持孔1eに回動可能に挿入されるように構成されている。また、支持棒6の一方および他方の端部の内側には、図7に示すように、それぞれ、ヘッド部押圧部材7および8が、支持棒6に対して空回りすることなく取り付けられている。
また、図1に示すように、ヘッド部押圧部材7には、押圧部7aと、ギア部7bとが一体的に形成されている。また、図2に示すように、ヘッド部押圧部材8には、押圧部8aと、支持棒6が延びる方向に突出する突起部8bとが一体的に形成されている。
また、ヘッド部押圧部材7および8には、それぞれ、D字形状に加工された挿入孔7cおよび8cが形成されているとともに、支持棒6の両端部近傍に設けられた挿入部6bの各々に、挿入孔7cおよび8cが嵌め込まれている。これにより、ヘッド部押圧部材7の回動に伴って、支持棒6およびヘッド部押圧部材8を回動させることが可能なように構成されている。また、図1および図2に示すように、ヘッド部押圧部材7および8は、それぞれ、シャーシ1の一方側面1aおよび他方側面1b側に配置されている。
また、印字ヘッド2は、図1および図4に示すように、支持軸2aと、プラテンローラ3(図4参照)に対向するように配置されたヘッド部2bと、支持軸2aとヘッド部2bとを連結する一対のアーム部2cと、印刷時にヘッド部2bの熱を放熱するためのアルミニウム製の放熱部2dと、ヘッド部2bの下面に突出するように設けられた印字部2eとを含んでいる。
ここで、本実施形態では、印字ヘッド2は、図8および図9に示すように、ヘッド部2bに下方から樹脂製の用紙ガイド部材28が別部材として取り付けられている。また、用紙ガイド部材28は、図4に示すように、印刷開始時に印字ヘッド2とともに矢印P1方向に回動され、所定の位置で静止されることによって、装置本体90に矢印T1方向に搬送される用紙60の前端部60aが、印字ヘッド2とプラテンローラ3との間を通過した後の搬送方向を規制する役割を有している。具体的には、図4に示すように、用紙60の前端部60aが、印字ヘッド2とプラテンローラ3との間を略水平方向に通過した後、用紙ガイド部材28の用紙ガイド部28aの下面に当接しながら斜め下方向に案内されることによって、用紙60の前端部60aが、後述するインクシートカートリッジ50の供給ボビン収納部54aの内部に入り込むことを抑制することが可能とされている。
また、樹脂製の用紙ガイド部材28は、図8に示すように、用紙ガイド部28aの前端部に設けられ、印字ヘッド2のヘッド部2bの下面を支持するリブ28bと、用紙ガイド部28aの後端部に設けられ、上方に延びる垂直壁28cと、垂直壁28cからさらに斜め上方向に延びるとともに用紙ガイド部材28を印字ヘッド2の放熱部材2dに取り付けるために複数のフック部28e(本実施形態では3箇所)を有する取付部28dとが一体的に形成されている。なお、用紙ガイド部材28は、図8に示すように、フック部28eが印字ヘッド2の放熱部2dに設けられた切欠部2f(2箇所)および2g(1箇所)に係合することによって放熱部2dに取り付けられるように構成されている。
また、本実施形態では、図10に示すように、用紙ガイド部28aと垂直壁28cとが接続される用紙ガイド部28aの後端部に、用紙ガイド部材28の幅方向(矢印X方向)の中央部に対して端部が下方向(矢印Y方向)に突出するように湾曲形状に形成されるとともに、インクシート51の幅方向(矢印X方向)の端部領域51bに対応する領域が、インクシート51の幅方向(矢印X方向)の端部領域51bに張力を付与することが可能であるように形成されたインクシート当接部28fが、用紙ガイド部28aの幅方向(矢印X方向)に設けられている。また、インクシート当接部28fは、湾曲形状を形成するために幅方向(矢印X方向に沿ってインクシート当接部28fの中央部から幅方向(矢印X方向)の端部に向かって曲面状に傾斜する傾斜面28gにより形成されている。したがって、図10に示すように、印刷開始時に、印字ヘッド2がインクシート51に対して上方から矢印Y方向に当接する際、インクシート当接部28fの幅方向(矢印X方向)の端部が、インクシート51の幅方向(矢印X方向)の端部領域51bに対して、インクシート51の幅方向(矢印X方向)の中央領域51aより先に当接することが可能となるように構成されている。
また、本実施形態では、図14に示すように、インクシート当接部28fの表面(幅方向に湾曲した形状を有する傾斜面28gに相当)は、印刷動作とともに搬送されるインクシート51の幅方向の端部領域51b(2点鎖線で示す)が滑らかに当接することが可能なように、インクシート51の搬送方向(図中の矢印A方向)に沿った形状が丸形形状を有するように形成されている。したがって、図12に示すように、印刷時のインクシート51は、供給ボビン52から送出された直後に、用紙ガイド部材28のインクシート当接部28fによって、搬送方向(巻取方向)を斜め下方向から略水平方向に変化させて印字ヘッド2の印字部2eに向かって搬送されるように構成されている。
また、用紙ガイド部材28は、図8に示すように、用紙ガイド部28aと垂直壁28cとの接合強度を確保するためのリブ28h(本実施形態では3箇所)が、用紙ガイド部28aの後端部の内側に設けられている。また、用紙ガイド部材28は、図8に示すように、印字ヘッド2に取り付けられた際に、幅方向(矢印X方向)の位置決めおよび固定を行うための固定部28iおよび28jが左右にそれぞれ設けられている。
また、図6に示すように、ヘッド部2bの印字部2eの内部には、ヘッド部2bの幅方向(図中の矢印X方向)に沿って複数の発熱体29(外形を破線で示す)が埋め込まれている。また、印字ヘッド2は、図4に示すように、シャーシ1の一方側面1aおよび他方側面1bの内面側にそれぞれ取り付けられた一対の支持軸2aを中心として、上下方向(矢印P1方向および矢印Q1方向)に回動可能となるように配置されている。
ここで、本実施形態では、図1および図8に示すように、印字ヘッド2の放熱部2dの上面には、板金製の係合部材30がネジ31によって取り付けられている。また、図8に示すように、係合部材30には、切欠部30aとヘッド部押圧部材8(図4参照)の突起部8b(図4参照)とが係合することにより印字ヘッド2(図4参照)を上下動させるための係合部30bと、放熱部2dのうちヘッド部2bに対応する部分の上面に固定される固定部30cと、幅方向(図中の矢印X方向)に固定部30cと同一の寸法(図11の長さL1に相当)を有し、印字ヘッド2の前面部2h側に固定部30cから実質的に垂直方向下向きに折り曲げられて延びる連結部30dと、連結部30dから印字ヘッド2の幅方向(図中の矢印X方向)に沿って延びるように配置されたインクシートガイド部30eとが一体的に設けられている。なお、インクシートガイド部30eは、本発明の「インクシートガイド部材」の一例である。
また、本実施形態では、インクシートガイド部30eは、平面的に見て、図9および図11に示すように、印字ヘッド2の幅方向(矢印X方向)中央部の所定の領域に設けられた平坦部30fと、印字ヘッド2の幅方向(矢印X方向)の両端部に設けられ、平坦部30fの延びる方向からヘッド部2bの前面部2h側に向かって折り曲げられることにより、一定の傾斜角度αで傾斜するように形成された傾斜部30gとから構成されている。なお、平坦部30fは、本発明の「中央部」の一例である。また、図6および図12に示すように、インクシートガイド部30eは、印字ヘッド2の印字部2eと、後述するインクシートカートリッジ50の巻取ボビン53(図6参照)との間に配置されるように構成されている。したがって、インクシートガイド部30eは、平面的に見て、図11に示すように、平坦部30fおよび傾斜部30gによってインクシート51の巻取方向(図中の矢印A方向)に向かって凸形状となるように形成されている。
また、本実施形態では、図11に示すように、インクシートガイド部30eの平坦部30fは、実質的に連結部30dと同一の長さL1(印字ヘッド2の幅方向(矢印X方向)の長さ)を有し、傾斜部30gは、インクシートガイド部30eのうち、連結部30に接続されていない幅方向(矢印X方向)の端部(平坦部30fの両端部に相当する)から外側(インクシート51の幅方向の端部)に向かって延びるように形成されている。また、図10に示すように、印字ヘッド2が回動(図4に示した位置から図11に示した位置まで回動する)して印刷を行う際に、インクシートガイド部30eの平坦部30fは、インクシート51の幅方向の中央領域51aに対応する位置に配置されるとともに、インクシートガイド部30eの傾斜部30gは、インクシート51の端部領域51bに対応する位置に配置されるように構成されている。
また、本実施形態では、図12に示すように、印刷時にインクシート51に対して上方から当接するインクシートガイド部30eの当接部30hは、板金部材を実質的に180度折り返すことによって形成されるとともに、インクシート51が滑らかに当接することが可能なように、インクシート51の搬送方向(図中の矢印A方向)に沿った当接部30hの形状がU字形状を有するように形成されている。したがって、図12に示すように、印刷時のインクシート51は、供給ボビン52から供給され、印字ヘッド2の印字部2eを矢印A方向に通過した直後に、インクシートガイド部30eの当接部30hによって、搬送方向(巻取方向)を略水平方向から斜め上方向に変化させて巻取ボビン53(図4参照)に巻き取られるように構成されている。また、その際、図13に示すように、インクシート51の中央領域51a(実線で示す)は、インクシートガイド部30eの平坦部30fにおける位置R1(丸印で示す)において当接部30hにより搬送方向を斜め上方向に変化される一方、インクシート51の端部領域51b(2点鎖線で示す)は、インクシートガイド部30eの傾斜部30g(2点鎖線で示す)における位置R2(丸印で示す)において当接部30hにより搬送方向を斜め上方向に変化される。したがって、インクシート51は、インクシートガイド部30eの平坦部30fが当接する中央領域51aから、傾斜部30gに当接する端部領域51bに向かってインクシート51の幅方向(図11の矢印X方向)に反らされた形状を形成しながら、インクシートガイド部30eの当接部30hを通過するように構成されている。
また、本実施形態では、係合部材30のヘッド部2bの上方に位置する領域には、図8に示すように、第1バネ固定部30iおよび第2バネ固定部30jが一体的に設けられている。そして、第1バネ固定部30iおよび第2バネ固定部30jには、ヘッド部2bをプラテンローラ3(図7および図12参照)側に付勢するための第1ねじりコイルバネ32および第2ねじりコイルバネ33が、それぞれ、ヘッド部押圧部材7および8(図7参照)に対応する領域に配置されている。なお、第1ねじりコイルバネ32および第2ねじりコイルバネ33は、それぞれ、本発明の「バネ部材」の一例である。また、図7および図8に示すように、係合部材30の第1バネ固定部30iおよび第2バネ固定部30jは、プラテンローラ3(図7参照)の軸方向に所定の間隔を隔てて配置されている。そして、図8に示すように、第1ねじりコイルバネ32および第2ねじりコイルバネ33は、それぞれ、係合部材30の第1バネ固定部30iおよび第2バネ固定部30jに固定されている。また、係合部材30の第1バネ固定部30iには、図8に示すように、係止部30kおよび突出部30lがそれぞれ設けられている。また、係合部材30の第2バネ固定部30jには、図8に示すように、係止部30mおよび突出部30nがそれぞれ設けられている。
また、本実施形態では、図7および図8に示すように、第1ねじりコイルバネ32は、ヘッド部押圧部材7(図7参照)が下方に回動したときに、ヘッド部押圧部材7(図7参照)の押圧部7a(図7参照)に押圧される一方端部32aと、その一方端部32aが押圧されることにより発生した付勢力を固定部30cを介してヘッド部2bの上面(上部)に伝達する他方端部32bとを有している。また、図7および図8に示すように、第2ねじりコイルバネ33は、ヘッド部押圧部材8(図7参照)が下方に回動したときに、ヘッド部押圧部材8(図7参照)の押圧部8b(図7参照)に押圧される一方端部33aと、その一方端部33aが押圧されることにより発生した付勢力を固定部30cを介してヘッド部2bの上面(上部)に伝達する他方端部33bとを有している。したがって、図6および図7に示すように、ヘッド部2bの上面(上部)に伝達された第1ねじりコイルバネ32および第2ねじりコイルバネ33の付勢力により、ヘッド部2bの印字部2eがプラテンローラ3側に所定の押圧力で押圧されることが可能なように構成されている。
なお、図7および図8に示すように、第1ねじりコイルバネ32の一方端部32aは、係合部材30の係止部30kに係止されているとともに、他方端部32bは、係合部材30の突出部30lに固定されている。また、図7および図8に示すように、第2ねじりコイルバネ33の一方端部33aは、係合部材30の係止部30mに係止されているとともに、他方端部33bは、係合部材30の突出部30nに固定されている。
また、本実施形態では、図4に示すように、ヘッド部押圧部材8が上方(矢印Q2方向)に回動する際は、ヘッド部押圧部材8の突起部8bと係合部30bの切欠部30aとが係合することによってヘッド部2bも上方(矢印P2方向)に回動されるように構成されている。その結果、図4に示すように、ヘッド部押圧部材8が上方(矢印Q2方向)に回動する際は、プラテンローラ3に押圧されたヘッド部2bがプラテンローラ3から上方に離間されるように構成されている。なお、切欠部30aの開口側には、突起部8bとの係合を容易に行わせるために、面取加工が施されている。
また、図1および図6に示すように、駆動ギア9および中間ギア34(図6参照)は、ステッピングモータ19(図2参照)の駆動力をヘッド部押圧部材7および8に伝達して、ヘッド部押圧部材7および8を回動させるために設けられている。この駆動ギア9は、シャーシ1の一方側面1aの内側に取り付けられている。また、中間ギア34およびステッピングモータ19は、図2に示すように、モータブラケット17を介してシャーシ1の一方側面1a側の外側に取り付けられている。また、駆動ギア9の小径ギア部9aは、図6に示すように、ヘッド部押圧部材7のギア部7bに噛合されているとともに、駆動ギア9の大径ギア部9bは、中間ギア34(図6参照)の小径ギア34aに噛合されている。また、中間ギア34の大径ギア34bは、図6に示すように、ステッピングモータ19のモータギア35に噛合されている。これにより、ステッピングモータ18の駆動力が、中間ギア34および駆動ギア9を介してヘッド部押圧部材7および8に伝達されることが可能とされている。
また、図5に示すように、モータブラケット17に取り付けられたステッピングモータ18の軸部には、モータギア36が取り付けられている。また、ステッピングモータ18は、巻取リール16のギア部16aと、給紙ローラギア13と、排紙ローラギア15と、送りローラギア10とを駆動させるための駆動源としての機能を有している。
また、巻取リール16は、図5に示すように、後述するインクシートカートリッジ50の巻取ボビン収納部54bの内部に配置された巻取ボビン53に係合することによって、巻取ボビン53に巻き付けられたインクシート51を巻き取るように構成されている。また、図5に示すように、巻取リール16のギア部16aは、揺動ギア20が揺動することによって噛合するように配置されている。
また、図4に示すように、下部用紙ガイド11aは、送りローラ4および押さえローラ5の近傍に設置されている。また、上部用紙ガイド11bは、下部用紙ガイド11aの上部に取り付けられている。この上部用紙ガイド11bは、給紙時には、用紙60が下面側を通過するようにして印刷部への給紙経路に案内するとともに、排紙時には、用紙60が上面側を通過するようにして排紙経路に案内することが可能なように構成されている。
また、筐体26は、図3に示すように、蓋部材26aおよび26bと、押しボタンスイッチ26cとを含んでいる。また、蓋部材26aおよび26bは、図3に示すように、下端部を中心として筐体26の外部側に回動可能に設けられている。また、筐体26の蓋部材26aは、図3に示すように、給紙カセット70を装置本体90に装着するために開閉可能に設けられている。なお、給紙カセット70が取り外された状態においては、蓋部材26aを閉じることにより、装置本体90の内部に埃などが侵入するのが抑制されるように構成されている。また、筐体26の蓋部材26bは、図3に示すように、インクシートカートリッジ50を装置本体90に装着するために開閉可能に設けられている。なお、インクシートカートリッジ50の着脱時以外は、蓋部材26bを閉じることにより、装置本体90の内部に埃などが侵入するのが抑制されるように構成されている。また、筐体26の押しボタンスイッチ26cは、図3に示すように、ユーザが印刷を開始する際の操作ボタンとして設けられている。
また、図1に示すように、インクシートカートリッジ50は、インクシート51を供給するための供給ボビン52と、供給されたインクシート51を矢印A方向に巻き取るための巻取ボビン53とを備えている。また、インクシートカートリッジ50を構成するカートリッジケース54は、図1に示すように、供給ボビン52を回動可能に収納する供給ボビン収納部54aと、巻取ボビン53を回動可能に収納する巻取ボビン収納部54bと、供給ボビン収納部54aおよび巻取ボビン収納部54bを所定の距離を隔てて連結する一対の連結部54cおよび54dとから構成されている。これにより、図1および図4に示すように、供給ボビン収納部54aおよび巻取ボビン収納部54bに、それぞれ、供給ボビン52および巻取ボビン53が収納されると、供給ボビン52および巻取ボビン53に巻き付けられたインクシート51は、供給ボビン収納部54aと巻取ボビン収納部54bとの所定の距離の間で、外部に露出された状態となる。また、インクシート51は、Y色(イエロー色)インクシート、M色(マゼンダ)インクシートおよびC色(シアン色)インクシートの3色のインクシートが順に繋げられて構成されている。また、インクシートカートリッジ50の供給ボビン収納部54aおよび巻取ボビン収納部54bの内部には、それぞれ、図示しない圧縮コイルバネが設けられている。この圧縮コイルバネにより、インクシートカートリッジ50は、装置本体90に装着された状態で、インクシートカートリッジ50の取り出し方向(図1の矢印B方向)に常に付勢されている。
図15〜図17は、図1に示した本発明の一実施形態による昇華型プリンタの印刷動作を説明するための図である。次に、図1、図3〜図7および図10〜図17を参照して、本実施形態による昇華型プリンタ100の印刷動作について説明する。
まず、印刷開始前の状態では、図15に示すように、印字ヘッド2のヘッド部2bが、プラテンローラ3に対して上方に離間された位置に保持されている。また、この場合、ヘッド部2bは、ヘッド部押圧部材8の突起部8bがヘッド部2bの上部に設けられた係合部材30の係合部30b(厳密には切欠部30aを示す)と係合していることにより、ヘッド部2bは矢印P1方向への回動が抑制されている。
そして、ユーザが押しボタンスイッチ26c(図3参照)を押圧することによって印刷動作が開始されると、図15に示すように、ステッピングモータ19(図6参照)が駆動して、ステッピングモータ19(図6参照)の駆動力が中間ギア34(図6参照)の大径ギア34b(図6参照)、小径ギア34a(図6参照)および駆動ギア9(図6参照)を介してヘッド部押圧部材7(図7参照)のギア部7b(図7参照)に伝達されることにより、ヘッド部押圧部材7(図7参照)が支持棒6を支点として矢印Q1方向に回動される。この際、ヘッド部押圧部材7および8(図7参照)が支持棒6に対して空回りすることがないので、ヘッド部押圧部材8もヘッド部押圧部材7(図7参照)と共に矢印Q1方向に回動される。そして、ヘッド部押圧部材8の突起部8bが矢印Q1方向に回動することにより、突起部8bにより矢印P1方向への回動が抑制されていたヘッド部2bが矢印P1方向に回動する。これにより、図15に示した状態から、図4に示すように、ヘッド部2bがプラテンローラ3に対して上方に離間された位置から徐々に降下し始め、プラテンローラ3側(押圧側)に移動を開始される。
また、印字ヘッド2の矢印P1方向への回動に伴って、図15に示した状態から、用紙60が印刷開始位置に向かって矢印T1方向に搬送(給紙)されるとともに、用紙60の前端部60aおよび後端部60bを検出するための用紙センサ27aおよび27bによって、図16に示すように、用紙60の頭出しが行われる。
ここで、本実施形態では、図4に示すように、用紙60の前端部60aが、印字ヘッド2とプラテンローラ3との間を略水平方向に通過した後、用紙ガイド部材28の用紙ガイド部28aの下面に当接しながら斜め下方向に案内されることによって、用紙60の前端部60aが、インクシートカートリッジ50の供給ボビン収納部54aの内部に入り込むことが抑制されながら、用紙センサ27bの上部を矢印T1方向に通過する。
なお、給紙時には、図5に示すように、ステッピングモータ18が駆動するのに伴って、ステッピングモータ18に取り付けられたモータギア36が矢印C3方向に回動し、中間ギア21および22を介して、送りローラギア10が矢印C1方向に回動する。これにより、送りローラ4が、矢印C1方向に回動する。さらに、中間ギア23および24を介して、給紙ローラギア13および給紙ローラ12が、矢印C4方向に回動する。これにより、用紙60(図4参照)が給紙方向(図4の矢印T1方向)に搬送される。このとき、揺動可能な揺動ギア20(図5参照)は、巻取リール16(図5参照)のギア16a(図5参照)に噛合しておらず、巻取リール16(図5参照)のギア16a(図5参照)は回動しない。これにより、給紙時には、供給ボビン52(図4参照)に巻き付けられたインクシート51は、巻取ボビン53によって巻き取られない。
そして、図16に示すように、用紙60の頭出し完了後に、印字ヘッド2がインクシート51および用紙60を押圧する位置に移動された状態で、さらにヘッド部押圧部材7および8が矢印Q1方向に回動される。これにより、図7に示すように、ヘッド部押圧部材7の押圧部7aによって、係合部材30の第1バネ固定部30iに取り付けられた第1ねじりコイルバネ32の一方端部32aが押圧される。また、ヘッド部押圧部材8の押圧部8aによって、係合部材30の第2バネ固定部30jに取り付けられた第2ねじりコイルバネ33の一方端部33aが押圧される。この際、第1ねじりコイルバネ32および33に付勢力が発生するとともに、その付勢力が第1ねじりコイルバネ32および第2ねじりコイルバネ33の各々の他方端部32bおよび33bを介してヘッド部2bの上部に伝達される。これにより、図16に示すように、ヘッド部2bの印字部2eが、インクシート51(Y色インクシート)および用紙60を介して、プラテンローラ3に押圧される。
ここで、本実施形態では、図10に示すように、印字ヘッド2のヘッド部2bが回動して、インクシート51に対して上方から矢印Y方向に当接する際、インクシート当接部28fの幅方向(矢印X方向)の端部が、インクシート51の幅方向(矢印X方向)の端部領域51bに対して、インクシート51の幅方向(矢印X方向)の中央領域51aより先に当接を開始される。そして、インクシート51は、図14に示すように、供給ボビン52から送出された直後に、用紙ガイド部材28のインクシート当接部28fによって、幅方向(矢印X方向)の端部領域51b(2点鎖線で示す)を斜め下方向に引っ張られるとともに、インクシート当接部28fの表面に沿って搬送方向(巻取方向)を斜め下方向から略水平方向に変化させて印字ヘッド2の印字部2eに向かって搬送される。また、この際、インクシート51は、印字部2eとインクシート当接部28fとの間において、端部領域51b(2点鎖線で示す)が中央領域51a(実線で示す)と比較して、より大きな引張力により引き延ばされた状態で印字ヘッド2eに向かって搬送される。
そして、印字部2eの発熱体29が発熱することによって、インクシート51(Y色インクシート)のインクが溶融・昇華して、用紙60にインクが転写される。
また、図5に示すように、ステッピングモータ18が駆動するのに伴って、ステッピングモータ18に取り付けられたモータギア36が矢印D3方向に回動し、中間ギア21および22を介して、送りローラギア10が矢印D1方向に回動する。これにより、送りローラ4は、図16に示すように、送りローラギア10(図5参照)の回動に伴って、図5の矢印D1方向に回動されているので、用紙60は、排紙方向(矢印U1方向)に搬送される。また、揺動可能な揺動ギア20は、図5に示すように、巻取リール16のギア部16aに噛合する方向(矢印D2方向)に揺動されて、巻取リール16のギア部16aと噛合される。これにより、巻取リール16のギア部16aが矢印D4方向に回動されるので、供給ボビン52(図16参照)に巻き付けられたインクシート51が巻取ボビン53に巻き取られる。このようにして、図16に示すように、用紙60およびインクシート51は、ともに排紙方向(矢印U1方向)に搬送されながら、インクシート51(Y色インクシート)のインクが連続して用紙60に転写される。
また、本実施形態では、図13に示すように、インクが用紙60に転写された直後のインクシート51が矢印A方向に搬送される際、インクシート51の中央領域51a(実線で示す)は、インクシートガイド部30eの平坦部30fにおける位置R1(丸印で示す)において当接部30hにより搬送方向を略水平方向から斜め上方向に変化させる一方、インクシート51の端部領域51b(2点鎖線で示す)は、インクシートガイド部30eの傾斜部30g(2点鎖線で示す)における位置R2(丸印で示す)において当接部30hにより搬送方向を斜め上方向に変化される。したがって、インクシート51は、インクシートガイド部30eの平坦部30fが当接する中央領域51aから、傾斜部30gに当接する端部領域51bに向かってインクシート51の幅方向(図11の矢印X方向)に反らされた形状を形成しながら、インクシートガイド部30eの当接部30hを通過するとともに、巻取ボビン(図16参照)に巻き取られる。
次に、Y色(イエロー色)インクシートの印刷が終了されると、ステッピングモータ19(図5参照)が駆動され、ステッピングモータ19の駆動力が、中間ギア34(図7参照)および駆動ギア9(図1参照)を介してヘッド部押圧部材7のギア部7b(図1参照)に伝達される。そして、ヘッド部押圧部材7(図6参照)が、図17に示すように、支持棒6を中心として矢印Q2方向に回動される。このとき、ヘッド部押圧部材7および8(図6参照)が支持棒6に対して空回りすることがないので、ヘッド部押圧部材8も矢印Q2方向に回動される。そして、ヘッド部押圧部材8の突起部8bが矢印Q2方向に回動されることにより、ヘッド部押圧部材8の突起部8bにより突起部8bと係合する印字ヘッド2の係合部材30の係合部30b(厳密には切欠部30aを示す)が上方に持ち上げられるとともに、印字ヘッド2のヘッド部2bが矢印P2方向に回動される。これにより、印字ヘッド2のヘッド部2bがプラテンローラ3に対して離間された位置に移動される。
そして、図5に示すように、ステッピングモータ18が駆動するのに伴って、ステッピングモータ18に取り付けられたモータギア36が矢印C3方向に回動されるとともに、中間ギア21および22を介して、送りローラギア10が矢印C1方向に回動される。これにより、送りローラ4は、図17に示すように、送りローラギア10(図4参照)の回動に伴って、矢印C1方向に回動されているので、用紙60は給紙方向(矢印T1方向)に再び搬送され、用紙センサ27aおよび27bによって、用紙60の頭出しが行われる。また、揺動可能な揺動ギア20(図5参照)は、巻取リール16(図5参照)のギア部16aと離間する方向(図5の矢印C2方向)に揺動される。これにより、供給ボビン52に巻き付けられたインクシート51が巻取ボビン53に巻き取られることなく、用紙60のみが給紙方向に搬送される。
ここで、本実施形態では、図4に示すように、用紙60の前端部60aが、印字ヘッド2とプラテンローラ3との間を略水平方向に通過した後、用紙ガイド部材28の用紙ガイド部28aの下面に当接しながら斜め下方向に案内されることによって、用紙60の前端部60aが、インクシートカートリッジ50の供給ボビン収納部54aの内部に入り込むことが抑制されながら、用紙センサ27bの上部を矢印T1方向に通過する。
その後、M色(マゼンタ色)インクシートおよびC色(シアン色)インクシートについて、図15〜図17に示した上記のY色(イエロー色)インクシートを印刷する際の印刷動作と同様の動作が繰り返し行われる。
また、本実施形態では、インクシート51(図16参照)のM色(マゼンタ色)インクシートおよびC色(シアン色)インクシートが、それぞれ、巻取ボビン53(図16参照)によって巻き取られながら用紙60(図16参照)に印刷が繰り返される際も、図10に示すように、インクシート当接部28fの幅方向(矢印X方向)の端部が、インクシート51の幅方向(矢印X方向)の端部領域51bに対して、インクシート51の幅方向(矢印X方向)の中央領域51aより先に当接を開始される。そして、インクシート51は、Y色(イエロー色)インクシートを印刷した場合と同様に、図14に示すように、供給ボビン52から送出された直後に、用紙ガイド部材28のインクシート当接部28fによって、幅方向(矢印X方向)の端部領域51b(2点鎖線で示す)を斜め下方向に引っ張られるとともに、インクシート当接部28fの表面に沿って搬送方向(巻取方向)を斜め下方向から略水平方向に変化させて印字ヘッド2の印字部2eに向かって搬送される。また、この際、インクシート51は、印字部2eとインクシート当接部28fとの間において、端部領域51b(2点鎖線で示す)が中央領域51a(実線で示す)と比較して、より大きな引張り力により引き延ばされた状態で印字ヘッド2eに向かって搬送される。
そして、印字部2eの発熱体29が発熱することによって、インクシート51(M色インクシートおよびC色インクシート)のインクが溶融・昇華して、用紙60にインクが転写される。
さらに、本実施形態では、図13に示すように、Y色インクが用紙60に転写された時と同様に、インクシート51のM色インクおよびC色インクがそれぞれ用紙60に転写されながらが矢印A方向に搬送される際も、インクシート51の中央領域51a(実線で示す)は、インクシートガイド部30eの平坦部30fにおける位置R1(丸印で示す)において当接部30hにより搬送方向を略水平方向から斜め上方向に変化させる一方、インクシート51の端部領域51b(2点鎖線で示す)は、インクシートガイド部30eの傾斜部30g(2点鎖線で示す)における位置R2(丸印で示す)において当接部30hにより搬送方向を斜め上方向に変化させるので、インクシート51は、インクシートガイド部30eの平坦部30fが当接する中央領域51aから、傾斜部30gに当接する端部領域51bに向かって斜め上方向に反った形状を形成しながら、インクシートガイド部30eの当接部30hを通過するとともに、巻取ボビン53(図16参照)に巻き取られていく。
そして、全ての色のインクシート51の印刷が終了されると、用紙60が排紙方向(図17の矢印U1方向)に搬送され、装置本体90の外部に排出される。そして、印字ヘッド2のヘッド部2bが、図15に示すように、プラテンローラ3に対して上方に離間された位置まで矢印P2方向に回動され、用紙60への印刷動作が終了される。
本実施形態では、上記のように、用紙60の給紙を行う際に、用紙60の搬送方向をガイドする用紙ガイド部材28を備えるように構成することによって、用紙60が不要な反り形状を伴って装置本体90の内部に給紙された場合でも、用紙ガイド部材28によって用紙60の搬送方向をガイドされるので、用紙60を適切に給紙することができる。また、印字ヘッド2を平面的に見て中央部がインクシート51の巻取方向(図11の矢印A方向)に向かって凸状に形成されるとともに、印刷時にインクシート51の搬送をガイドするインクシートガイド部30eを備えるように構成することによって、インクシートガイド部30eは、インクシート51の中央領域51a(図13参照)と端部領域51b(図13参照)とにおいて、インクシート51の巻取方向(図13の矢印A方向)に対して前後に異なった位置R1(図13参照)およびR2(図13参照)で、それぞれガイドを行う。すなわち、インクシート51は、インクシート51の端部領域51b(位置R2に相当)から順に中央領域51a(位置R1に相当)に向かって搬送動作をガイドされるので、インクシート51の端部領域51bに発生しやすい皺を優先的に抑制することができる。
さらに上記効果に加えて、本実施形態では、インクシート51は、図13に示すように、インクシートガイド部30eの平坦部30fが当接する中央領域51aから、傾斜部30gに当接する端部領域51bに向かって斜め上方向に反った形状を形成させながら、インクシートガイド部30eを通過させることができるので、インクシート51は、巻取方向(図10の矢印A方向)のみならず幅方向にも張力が発生するために、インクシート51の幅方向の全領域に皺が発生することを抑制することができる。
また、本実施形態では、用紙ガイド部材28を、インクシート51の幅方向(図10の矢印X方向)の端部領域51bに対応する領域が、インクシート51の幅方向(図10の矢印X方向)の端部領域51bに張力を付与する形状を有するインクシート当接部28fを一体的に含むように構成することによって、インクシート51の幅方向(図10の矢印X方向)の端部領域51bは、用紙ガイド部材28のインクシート当接部28fにより引き延ばされた状態で搬送されるので、上記インクシートガイド部30eを備えることによる皺の抑制効果に加えて、用紙ガイド部材28のインクシート当接部28fによってもインクシート51の幅方向(図10の矢印X方向)の端部領域51bに発生しやすい皺をより確実に抑制することができる。
また、本実施形態では、用紙ガイド部材28のインクシート当接部28fを、インクシート51の幅方向(図10の矢印X方向)の端部領域51bに対応する領域が、インクシート51の幅方向(図10の矢印X方向)の中央領域51aに対応する領域に対してインクシート51側に突出するように形成するように構成することによって、用紙ガイド部材28のインクシート当接部28fは、インクシート当接部28fの幅方向(図10の矢印X方向)の端部からインクシート51の幅方向(図10の矢印X方向)の端部領域51bに接触を開始するとともにインクシート51の幅方向(図10の矢印X方向)の端部領域51bに接触した状態を継続しながらインクシート51の搬送をガイドすることができる。したがって、インクシート51は、インクシート51の幅方向(図10の矢印X方向)の端部領域51bにおいて確実にインクシート当接部28fと接触しているので、インクシート51の表面はインクシート当接部28fからの下向きの押圧力(図10の矢印Y方向)により引き延ばされた状態で搬送される。この結果、インクシート51の幅方向(図10の矢印X方向)の端部領域51bに発生しやすい皺を容易に抑制することができる。
また、本実施形態では、印刷時に印字ヘッド2のヘッド部2bの上部を所定の押圧力で押圧することにより、印字ヘッド2をインクシート51に押圧するためのヘッド部押圧部材7および8と、印字ヘッド2の放熱部2dの上面側に取り付けられ、ヘッド部押圧部材7および8と係合して印字ヘッド2を矢印P1方向(図4参照)および矢印P2方向(図4参照)に上下動させるための係合部30bを含む係合部材30とを備えるとともに、インクシートガイド部30eを、係合部材30に一体的に設けるように構成することによって、ヘッド部押圧部材7および8による印字ヘッド2の上部への押圧により、ヘッド部押圧部材7および8による押圧力を直接的に印字ヘッド2に伝達させることができる。したがって、横長形状で長手方向に所定の印字幅を有する印字ヘッド2を、インクシート51に対して適切な押圧力で確実に押圧することができる。また、インクシートガイド部30eを係合部材30とは別部材として設ける場合と異なり、印字ヘッドを構成する部品点数が増加することを抑制することができる。
また、本実施形態では、インクシート51に当接するインクシートガイド部30eの当接部30hを、板金製の係合部材30の端部を実質的に180度折り返すことによりインクシート51の搬送方向(図12の矢印A方向)に沿った形状がU字形状に形成するように構成することによって、印刷時にインクシート51が矢印A方向(図12参照)に巻き取られる際、インクシートガイド部30eは、当接部30hにおいてインクシート51に滑らかに当接することができるので、インクシート51にインクシートガイド部30eによる擦り傷や当接部30hとの摩擦による皺の発生を抑制することができる。
また、本実施形態では、インクシートガイド部30eが一体的に形成される係合部材30を、印字ヘッド2に取り付けられる固定部30cと、固定部30cとインクシートガイド部30eの中央部とを接続する連結部30dとをさらに含むように構成するとともに、インクシートガイド部30eの傾斜部30gを、インクシートガイド部30eの連結部30dが接続されていない幅方向(図6の矢印X方向)の端部側に設けるように構成することによって、インクシートガイド部30eの連結部30dが接続されていない傾斜部30gは、板部材の曲げ加工により、容易に曲げることができるので、インクシートガイド部30eの傾斜部30gを容易に形成することができる。
また、本実施形態では、ヘッド部押圧部材7および8の押圧力を係合部材30を介して印字ヘッド2のヘッド部2bの上面(上部)に伝達するための第1ねじりコイルバネ32および第2ねじりコイルバネ33を備えるとともに、係合部材30を、第1ねじりコイルバネ32および第2ねじりコイルバネ33を固定することが可能に形成するように構成することによって、第1ねじりコイルバネ32および第2ねじりコイルバネを固定する部材を係合部材30に別途設ける必要がないので、印字ヘッド2を構成する部品点数の増加を抑制することができる。
また、本実施形態では、印字ヘッド2の印字部2eと巻取ボビン53との間に配置されるインクシートガイド部30eの傾斜部30gを、平面的に見て印字ヘッド2の幅方向(図11の矢印X方向)の端部側に設けられ、巻取ボビン53側から印字ヘッド2の印字部2e側に向かって一定の傾斜角度αで傾斜するように構成することによって、インクシート51は、インクシートガイド部30eの傾斜部30gにより、インクシート51の搬送方向(図11の矢印A方向)に対してより印字ヘッド2の印字部2eに近い位置からインクシート51の幅方向(図6の矢印X方向)の端部領域51bをガイドされるので、印字ヘッド2は、より確実に皺の発生が抑制されたインクシート51を押圧することができる。
さらに上記効果に加えて、本実施形態では、図13に示すように、インクシートガイド部30eによるインクシート51の中央領域51aから端部領域51bに向かってインクシート51の幅方向(図6の矢印X方向)に反った形状を、インクシートガイド部30eから傾斜部30gに沿って印字部2e側の方向(インクシート51の搬送方向と逆の方向)に継続させることができるので、印字ヘッド2は皺の発生が抑制されたインクシート51を、より一層、確実に押圧することができる。
また、本実施形態では、インクシートガイド部30eの傾斜部30gを、インクシートの幅方向の端部領域51b近傍に対応する位置に設けるように構成することによって、インクシートガイド部30eの傾斜部30gは、インクシート51の幅方向(図6の矢印X方向)の端部領域51bにおいてインクシート51の搬送をガイドすることができるので、インクシートガイド部30eの傾斜部30gによりインクシート51の幅方向の端部領域51bに皺が発生することを、容易に抑制することができる。また、特に、図13に示すように、インクシートガイド部30eの傾斜部30gは、インクシート51の端部領域51bをインクシート51の幅方向(図6の矢印X方向)に反らせることができるので、インクシート51の端部領域51bに皺が発生することを、より確実に抑制することができる。
また、本実施形態では、インクシート51を、インクシートカートリッジ50に収納されるとともに、印刷時にインクシートカートリッジ50の供給ボビン52から巻取ボビン53に向かって搬送されるように構成するとともに、インクシート当接部28fを一体的に含む用紙ガイド部材28を、印字ヘッド2の印字部2eと供給ボビン52との間に配置するように構成することによって、インクシート51は、印刷時に印字ヘッド2と用紙ガイド部材28とに挟まれた区間において、インクシート51の幅方向(図10の矢印X方向)の端部領域51b(図10参照)に皺を発生させることなく矢印A方向(図14参照)に搬送されるので、印字ヘッド2の印字部2eは、皺の発生が抑制されたインクシート51を確実に押圧することができる。
また、本実施形態では、用紙ガイド部材28のインクシート当接部28fを、用紙ガイド部材28の幅方向(図10の矢印X方向)の中央部から端部に向かって曲面状に傾斜する傾斜面28gにより形成するように構成することによって、インクシート当接部28fは滑らかな傾斜面28gによってインクシート51の幅方向(図10の矢印X方向)の端部から中央部に向かって接触することができるので、インクシート当接部28fの形状に起因して搬送中のインクシート51に擦り傷などが生じることを抑制することができる。
また、本実施形態では、用紙ガイド部材28は樹脂製であり、用紙ガイド部材28のインクシート当接部28fの表面(傾斜面28gに相当する)を、インクシート51の搬送方向に沿った形状が丸形形状を有するように構成することによって、印刷時にインクシート51が巻き取られる際、インクシート当接部28fは搬送方向(図14の矢印A方向)にも滑らかにインクシート51に当接することができるので、インクシート51にインクシート当接部28fによる擦り傷や摩擦によって皺が発生することを抑制することができる。
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
たとえば、上記実施形態では、画像形成装置の一例としての昇華型プリンタに本発明を適用した例を示したが、本発明はこれに限らず、インクシートに当接する印字部を含み、用紙に画像が印刷可能な印字ヘッドを備えた画像形成装置であれば、昇華型プリンタ以外の他の画像形成装置にも適用可能である。
また、上記実施形態では、インクシート当接部28fを、インクシート51に対して幅方向の中央部より端部が突出するように湾曲させた傾斜面28gにより形成した例を示したが、本発明はこれに限らず、インクシートガイド部を、幅方向の中央部にインクシートに平行な所定距離を有する平坦部を設けるとともに、平坦部の両端からインクシート当接部28fの端部に向かって所定の傾斜角度によって傾斜する傾斜面を接続して形成するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、インクシートガイド部30eを、平坦部30fの両端部に一定の傾斜角度αを有する傾斜部30gを形成した例を示したが、本発明はこれに限らず、平坦部30fの両端部に一定の傾斜角度以外のたとえば湾曲した傾斜面を有する傾斜部を形成するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、用紙ガイド部材28を樹脂製とする例を示したが、本発明はこれに限らず、係合部材30のインクシートガイド部30eに板金加工によって平坦部30fおよび傾斜部30gを形成した場合と同様に、用紙ガイド部材を板金製とし、板部材の曲げ加工によってインクシート当接部を形成するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、係合部材30を板金製とする例を示したが、本発明はこれに限らず、係合部材30を樹脂部材による一体成形品によって構成するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、第1ねじりコイルバネ32および第2ねじりコイルバネ33によって、ヘッド部押圧部材7および8の押圧力を係合部材30を介して印字ヘッド2の上部に伝達するように構成した例を示したが、本発明はこれに限らず、ねじりコイルバネ以外のバネ部材によってヘッド部押圧部材7および8の押圧力を印字ヘッド2の上部に伝達するように構成してもよい。