JP4285079B2 - 半導体装置の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は半導体装置の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の半導体装置には、半導体基板上に形成された柱状電極を含む半導体基板上に熱硬化性樹脂からなる絶縁膜が形成されたものがある(例えば、特許文献1参照)。この場合、半導体ウエハに光硬化性樹脂を塗布し、柱状電極形成部以外の部分に紫外線を照射して、光を受けなかった部分を溶出することにより開口を開け、金属膜を形成した上、各開口部内に電解メッキ法により柱状電極を形成し、この後、半導体ウエハをダイシングして得られるものであるが、この方法は半導体ウエハの状態で柱状電極間に被着した樹脂をそのままダイシングによって得られる個々の半導体装置の封止材とするため、ウエハレベルパッケージとも言われ、生産性を向上する実装方法として知られている。しかして、上述の方法において、柱状電極間に充填した光硬化性樹脂を硬化して、そのまま、封止材とする方法では、ダイシング時に金属膜を切断可能なように柱状電極形成前にパターニングしておく必要があり、電解メッキ法により形成される柱状電極の高さや形状が不均一になってしまう。このため、柱状電極を形成した後、光硬化性樹脂を剥離し、半導体ウエハ上の柱状電極間に熱硬化性樹脂を充填し、しかる後、半導体ウエハをダインシングするような方法もある。
【0003】
【特許文献1】
特開平1−173733号公報(図1、図2)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ウエハレベルパッケージ実装における従来の方法では、ダイシング前に、半導体ウエハ上全面に各柱状電極間に充填される熱硬化性樹脂を被着し、加熱によりこれを硬化して封止材とする方法であるために、加熱に伴う熱硬化性樹脂の収縮や熱硬化性樹脂と半導体ウエハとの熱膨張係数差に起因して、半導体ウエハに反りが発生し、それ以後の工程への搬送やそれ以後の工程での加工精度に支障を来すという問題があった。
そこで、この発明は、半導体ウエハの反りを低減することができる半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、ウエハ状態の半導体基板上に形成された柱状電極を含む前記半導体基板上に樹脂からなる封止膜を形成した後、前記封止膜に、少なくとも縦方向中心部と横方向中心部に対応するダイシングライン全長を含むよ溝を形成し、研磨を行なった後に、前記柱状電極の上面に半田ボールを形成し、その後ダイシングすることを特徴とするものである。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記溝は、前記封止膜を形成した後に形成することを特徴とするものである。
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記溝は、前記封止膜下で前記半導体基板上に形成された絶縁膜の少なくとも上面側まで形成することを特徴とするものである。
請求項に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記溝は、前記半導体基板の上面側まで形成することを特徴とするものである。
請求項に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記溝は、ダイシングラインのすべてに沿って形成することを特徴とするものである。
請求項に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記柱状電極は、前記半導体基板上に形成された再配線の接続パッド部上に形成されていることを特徴とするものである
して、この発明によれば、封止膜を形成した後からダイシングを行なう前に、封止膜に、少なくともダイシングラインの一部に沿う溝を形成しているので、溝によって分断された封止膜によるウエハ状態の半導体基板に対する位置規制力が緩和され、したがってウエハ状態の半導体基板の反りを低減することができる。
【0006】
【発明の実施の形態】
図1はこの発明の一実施形態としての製造方法により製造された半導体装置の断面図を示す。この半導体装置はシリコン基板1を備えている。シリコン基板1の上面中央部には集積回路(図示せず)が設けられ、上面周辺部にはアルミニウム系金属などからなる複数の接続パッド2が集積回路に接続されて設けられている。
【0007】
接続パッド2の中央部を除くシリコン基板1の上面には酸化シリコンや窒化シリコンなどからなる絶縁膜3およびポリイミドなどからなる保護膜4が設けられている。接続パッド2の中央部は、絶縁膜3および保護膜4に設けられた開口部5を介して露出されている。
【0008】
開口部5を介して露出された接続パッド2の上面から保護膜4の上面の所定の箇所にかけて下地金属層6が設けられている。下地金属層6の上面には銅からなる再配線7が設けられている。再配線7の接続パッド部上面には銅からなる柱状電極8が設けられている。
【0009】
再配線7を含む保護膜4の上面にはエポキシ系樹脂などの熱硬化性樹脂からなる封止膜9がその上面が柱状電極8の上面と面一となるように設けられている。したがって、柱状電極8の上面は露出されている。この露出された柱状電極8の上面には半田ボール10が設けられている。保護膜4は、厚さが1〜10μm、下地金属層6は、厚さが0.1〜0.5μm、再配線7は、厚さが1〜20μm、封止膜9は、厚さが100〜100μmとされるものである。
【0010】
次に、この半導体装置の製造方法の一例について説明する。まず、図2に示すように、ウエハ状態のシリコン基板(半導体基板)1の上面にアルミニウム系金属などからなる接続パッド2が形成され、その上面の接続パッド2の中央部を除く領域に酸化シリコンなどからなる絶縁膜3およびポリイミドなどからなる保護膜4が形成され、接続パッド2の中央部が絶縁膜3および保護膜4に形成された開口部5を介して露出されたものを用意する。
【0011】
次に、図3に示すように、開口部5を介して露出された接続パッド2の上面を含む保護膜4の上面に下地金属層6を形成する。この場合、下地金属層6は、詳細には図示していないが、スパッタにより形成されたチタン層上にスパッタにより銅層を形成したものである。なお、下地金属層6は、無電解メッキにより形成された銅層のみであってもよい。
【0012】
次に、下地金属層6の上面に第1のメッキレジスト膜11をパターン形成する。この場合、再配線7形成領域に対応する領域における第1のメッキレジスト膜11には開口部12が形成されている。次に、下地金属層6をメッキ電流路として銅の電解メッキを行うことにより、第1のメッキレジスト膜11の開口部12内における下地金属層6の上面に再配線7を形成する。次に、第1のメッキレジスト膜11を剥離する。
【0013】
次に、図4に示すように、再配線7を含む下地金属層6の上面に第2のメッキレジスト膜13をパターン形成する。この場合、再配線7の接続パッド部に対応する領域における第2のメッキレジスト膜13には開口部14が形成されている。次に、下地金属層6をメッキ電流路として銅の電解メッキを行うことにより、第2のメッキレジスト膜13の開口部14内における再配線7の接続パッド部上面に柱状電極8を形成する。次に、第2のメッキレジスト膜13を剥離する。
【0014】
次に、再配線7をマスクとして下地金属層6の不要な部分をエッチングして除去すると、図5に示すように、再配線7下にのみ下地金属層6が残存される。次に、図6に示すように、柱状電極8および再配線7を含む保護膜4の上面にエポキシ系樹脂などの熱硬化性樹脂からなる封止膜9をその厚さが柱状電極8の高さよりもやや厚くなるように形成する。したがって、この状態では、柱状電極8の上面は封止膜9によって覆われている。次に、封止膜9を熱処理により硬化させる。
【0015】
次に、図7に示すように、少なくともダイシングラインの一部に沿って封止膜9の厚さ方向全体にダイシングブレード(図示せず)を用いて溝15を形成する。この場合、溝15は、ウエハ状態のシリコン基板1の縦方向ほぼ中心部と横方向ほぼ中心部とに十字形状に形成するようにしてもよく、また、ウエハ状態のシリコン基板1のダイシングラインのすべてに沿って形成するようにしてもよい。
【0016】
このように、少なくともダイシングラインの一部に沿って封止膜9の厚さ方向全体に溝15を形成しているので、溝15によって分断された封止膜9によるウエハ状態のシリコン基板1に対する位置規制力が緩和され、したがってウエハ状態のシリコン基板1の反りを低減することができる。
【0017】
ちなみに、ウエハ状態のシリコン基板1が8型でその直径が約20.32mmであり、封止膜9の厚さが100μm程度の場合、溝15を全く形成しない状態では、ウエハ状態のシリコン基板1の反りは1mm前後であった。これに対し、溝15を、ウエハ状態のシリコン基板1の縦方向ほぼ中心部と横方向ほぼ中心部とに十字形状に形成した場合には、ウエハ状態のシリコン基板1の反りは0.6mmであった。また、溝15を、ウエハ状態のシリコン基板1のダイシングラインのすべてに沿って形成した場合には、ウエハ状態のシリコン基板1の反りは0.1mmであった。
【0018】
したがって、少なくともダイシングラインの一部に沿って封止膜9の厚さ方向全体に溝15を形成すると、ウエハ状態のシリコン基板1の反りを0.1〜0.6mmと低減することができる。この結果、エポキシ系樹脂などの熱硬化性樹脂からなる封止膜9を硬化させても、この硬化に伴う封止膜9の収縮や封止膜9とシリコン基板1との熱膨張係数差に起因して発生する、ウエハ状態のシリコン基板1の反りが低減され、それ以後の工程への搬送やそれ以後の工程での加工精度に支障を来しにくいようにすることができる。なお、溝15の深さは、封止膜9の厚さ全体に達するようにすることが望ましいが、加工精度の維持に要する能率の低下を考慮した場合、例えば、封止膜9の最下面から20μm以下の位置に達する程度の、ほぼ封止膜9の厚さ全体に達するようにしたものであれば十分な効果が得られるものである。
【0019】
次に、封止膜9および柱状電極8の上面側を適宜に研磨して除去することにより、図8に示すように、柱状電極8の上面を露出させるとともに、この露出された柱状電極8の上面を封止膜9の上面と面一とする。次に、図9に示すように、柱状電極8の上面に半田ボール10を形成する。次に、図10に示すように、ダイシング工程を経ると、図1に示す半導体装置が複数個得られる。
【0021】
また、溝15は、封止膜9のみに形成される深さに限らず、封止膜9下の保護膜(絶縁膜)4の上面側または厚さ方向全体まで達する深さに形成するようにしてもよく、また、絶縁膜3の上面側または厚さ方向全体まで達する深さに形成するようにしてもよく、さらに、シリコン基板1の上面側まで達する深さに形成するようにしてもよい。このようにした場合には、溝15の底面は封止膜9下であればどこでもよいので、溝15を形成する際のダイシングブレードの高さ位置の制御がより一層容易となる。
【0022】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、封止膜を形成した後からダイシングを行なう前に、封止膜に、少なくともダイシングラインの一部に沿う溝を形成しているので、溝によって分断された封止膜によるウエハ状態の半導体基板に対する位置規制力が緩和され、したがってウエハ状態の半導体基板の反りが低減され、それ以後の工程への搬送やそれ以後の工程での加工精度に支障を来しにくいようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態としての半導体装置の断面図。
【図2】図1に示す半導体装置の製造に際し、当初の製造工程の断面図。
【図3】図2に続く製造工程の断面図。
【図4】図3に続く製造工程の断面図。
【図5】図4に続く製造工程の断面図。
【図6】図5に続く製造工程の断面図。
【図7】図6に続く製造工程の断面図。
【図8】図7に続く製造工程の断面図。
【図9】図8に続く製造工程の断面図。
【図10】図9に続く製造工程の断面図。
【符号の説明】
1 シリコン基板
2 接続パッド
3 絶縁膜
4 保護膜
5 開口部
6 下地金属層
7 再配線
8 柱状電極
9 封止膜
10 半田ボール
15 溝

Claims (6)

  1. ウエハ状態の半導体基板上に形成された柱状電極を含む前記半導体基板上に樹脂からなる封止膜を形成し、次いで少なくとも前記封止膜の上面側を研磨して前記柱状電極の上面を露出させ、次いでダイシングを行なって個々の半導体装置に分割する半導体装置の製造方法において、前記封止膜を形成した後、前記封止膜に、少なくとも縦方向中心部と横方向中心部に対応するダイシングライン全長を含むように溝を形成し、研磨を行なった後に、前記柱状電極の上面に半田ボールを形成し、その後ダイシングすることを特徴とする半導体装置の製造方法。
  2. 請求項1に記載の発明において、前記溝は、前記封止膜を形成した後に形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
  3. 請求項1に記載の発明において、前記溝は、前記封止膜下で前記半導体基板上に形成された絶縁膜の少なくとも上面側まで形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
  4. 請求項1に記載の発明において、前記溝は、前記半導体基板の上面側まで形成することを特徴とする半導体装置の製造方法
  5. 請求項1に記載の発明において、前記溝は、ダイシングラインのすべてに沿って形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
  6. 請求項1に記載の発明において、前記柱状電極は、前記半導体基板上に形成された再配線の接続パッド部上に形成されていることを特徴とする半導体装置の製造方法。
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