JP4283243B2 - ディスクブレーキパッド - Google Patents

Description

本発明は、特に鉄道分野において使用される、摩擦要素を備えたディスクブレーキパッドの改良に関する。

詳しくは、本発明は既知のブレーキによる騒音を顕著に低減できるようにするブレーキパッドの改良に関するものである。

周知のように、近年、鉄道車両が到達すべき絶え間なき更なる高速についても考慮しながら、鉄道車両用ブレーキ装置に特に注意が払われてきた。

この点に関して、特有の開発が、１９９３年４月５日出願され、「焼結摩擦要素を備えたディスクブレーキパッド」（ｄｉｓｃ ｂｒａｋｅ ｐａｄ ｗｉｔｈ ｓｉｎｔｅｒｅｄ ｆｒｉｃｔｉｏｎ ｅｌｅｍｅｎｔｓ）という名称のイタリア特許第１，２６１，７８０号（米国特許第５，５３８，１０８号（ＵＳ Ｐａｔｅｎｔ Ｎｏ． ５，５３８ ，１０８）に対応する）に記載の方法によってなされた。

前記のイタリア特許に記載の方法は、円筒形あるいは多面形である個々の焼結した摩擦要素がそれらの端部において弾性金属の薄層（ｅｌａｓｔｉｃ ｍｅｔａｌｌｉｃ ｌａｍｉｎａｓ）に装着されているパッドに関する。その金属の薄層の方は、その各端が個別に動きうるブラケットを含み、熱負荷による変形を吸収し、その結果個々の摩擦要素とブレーキディスクとの間で均一な接触圧を達成できるような仕方で、スペーサによって基板（ベースプレート：ｂａｓｅ ｐｌａｔｅ）に固定されている。

前記の方法は極めて良好な作動性を有していることが前記ブレーキを広く使用することによって確認された。

しかしながら、前記特許に記載の方法は、制動作用中のパッドによる騒音に関しては多少問題を有している。

前述のことを鑑みて、本発明の出願人は従来技術に関わる前述した先行特許に記載のパッドに対する改良であって、前述の騒音の問題を完全ではないまでも低減することのできる改良について検討した。

摩擦要素が、弾性金属の薄層で構成されかつスペーサによって基板に結合された細長い支持要素に装着されることによって設けられており、前記摩擦要素の位置および寸法は、各摩擦要素あるいは対の摩擦要素がその上で作動するディスクの円形部分すなわちバンドを可及的に狭くなるようにして、前記ディスクの円形部分すなわちバンドの内径と外径との間の周速差を最小にするブレーキパッドを達成することを述べている本発明により、前記およびその他の目的が達成される。前記ディスクの円形部分すなわちバンドの最適な寸法は個々の摩擦要素に対しては４０ミリメートルまで、単一の支持体に装着されている各対の摩擦要素に対しては５０ミリメートルまでである。

従って、本発明の特定の目的は、特に鉄道分野で使用されるディスクブレーキパッドであって、摩擦要素を支持する支持要素が固定されている基板（ベースプレート）を含み、前記摩擦要素は弾性の支持要素の端に単独あるいは対で装着され、前記支持要素は、前記摩擦要素が前記支持要素の突出し自在に動きうる端部に位置されるような要領で、固定手段によって前記基板に空間をあけて固定されており、前記支持要素がその長手方向の軸線をブレーキディスクの中心を通過する放射状の線（ｒａｙ）に対して概ね垂直に向けて前記基板に位置されていることを特徴とするディスクブレーキパッドを提供することである。

通常本発明によれば、前記摩擦要素は断面形状が概ね多角形あるいは円形である。

更に本発明によれば、各支持要素に１個、あるいは３個までの摩擦要素を設けることができる。

本発明によるディスクブレーキパッドの好適実施例において、中央で相互に結合されている２個の重ねられた弾性要素からなる弾性支持体を備え、このようにして弾性要素の撓み剛性（ｆｌｅｘｉｏｎ ｒｉｇｉｄｉｔｙ）の変動性が得られ、下側の弾性要素には２個の突起を設け、下側と上側の弾性要素の間の接触は中央の結合部と突起を備えた端部とが対応するところのみにおいて行われ、よって上側の弾性要素の予荷重を生じさせる。

更に本発明によれば、前記の摩擦要素は焼結材料から構成されている。

更に本発明によれば、前記支持要素は弾性金属の薄層から構成することができる。

本発明によれば、前記摩擦要素は適切な金属の支持体によって前記支持要素にリベット止めすることができる。

更に、本発明によれば、高度に熱安定した遮断層あるいは緩衝層を前記支持要素と基板との間に介装することができる。

更に、本発明によると、遮断層あるいは緩衝層を前記摩擦要素と関連の支持要素との間に介装することができる。

本発明を、特に添付図面を参照して、好適実施例により、例示目的で、但し限定する目的ではなしに、以下説明する。

先ず添付図面の図１と図２を参照すると、鋼製の金属薄層を備える細長い可撓性の支持要素４に参照番号５で示される場所においてリベット止めされた対の摩擦要素３が設けられている基板２を設けているブレーキディスクパッド１が示されている。スペーサ５が基板２と金属薄層４との間に設けられているが、前記スペーサ５はリベットと一体化することも可能である。

金属の薄層４と基板２との間の結合特性は前述したイタリア特許第１，２６１，７８０号（米国特許第５，５３８，１０８号）に記載され、かつ特許請求されているようなものであることが好ましい。

しかしながら、本発明による方法によれば、摩擦要素３は、パッドの放射状の線（ｒａｙ）に対して概ね垂直に向いた、基板２の長手方向の軸線Ａに沿って離れて置かれた中心Ｃを有している。特に、図１から判るように、本発明によるパッドの放射状の線は、制動されるホイールまたはその他の回転要素（図示せず）の回転軸線と一致するディスク中心から出て、基板２上の薄層４の固定リベット５を通過する。

このように、摩擦要素３が位置決めされるが、同じパッドに対する半径方向の全体寸法が最小であることを意味する。

さて、添付図面の図３および図４を参照すると、本発明によるパッドの第二の実施例が示されている。これらの図面においては先の図面に示す要素と対応する要素を示すために同じ参照数字が使用されている。

先の実施例との差異は主として、先の実施例における円形の代わりにこの場合多角形を有している摩擦要素３の形状にある。

添付図面の図５および図６を参照すると、本発明によるパッドの第三の実施例が示されている。これらの図面においては先の図面に示す要素に対応する要素を示すために同じ参照数字が使用されている。

この場合、摩擦パッド３の形状は、摩擦要素に対する方向性と位置決めの制約に常に留意しながら、基板２の表面における摩擦要素の密度を高くするように基板２のスペースの占拠度を最適化するようなものとされている。

本発明によるパッド１の第四の実施例が図７に示されており、支持要素４が結合要素５によって片持ち梁状とされて基板２上で設けられ、その結果単一の摩擦要素３を設けている。

次いで図８を参照すると、横軸に制動検査番号（ｎｕｍｂｅｒ ｏｆ ｂｒａｋｉｎｇｓ）、縦軸に騒音レベルを有するグラフを示し、曲線Ａは本発明によって得られた結果を、曲線Ｂは既知のパッドを使用して得られた結果を示す。

騒音低減が達成されたことは十分明白である。

さて、添付図面の図９から図１１までを参照すると、本発明によるパッドの第五の実施例が示されており、中央の２個のリベット７によって相互に結合された２個の重ね合わされた弾性要素６′、６″（図１１）から構成された弾性支持体６が設けられ、それによって弾性要素の曲げ撓み（ｂｅｎｄｉｎｇ ｆｌｅｘｉｂｉｌｉｔｙ）の変動性を得ている。

下側の弾性要素６′には２個の突起８ａ、８ｂが設けられている。２個の弾性要素６′、６″の間の接触は、リベット７のところと、弾性要素６′と６″の自由端部の突起８ｂのところのみで行われる。

このように、上側の弾性要素６″の予荷重が提供され、従って作動の間の最も重大な状態（最大騒音）が低い標準負荷（制動力）の存在するときに発生するという事実から見ても最適な作動状態を創り出す。

本発明を好適実施例によって、例示の目的で、但し限定的な目的ではなしに説明してきたが、当該技術分野の専門家には、特許請求の範囲に記載の関連範囲から逸脱することなく修正および（または）変更を行いうることが理解されるべきである。

本発明によるパッドの第一実施例の部分図である。（実施例１） 図１に示すパッドの正面図である。 本発明によるパッドの第二実施例の部分図である。（実施例２） 図３に示すパッドの正面図である。 本発明によるパッドの第三実施例の部分図である。（実施例３） 図５に示すパッドの正面図である。 本発明によるパッドの第四実施例の部分図である。（実施例４） 従来技術のパッドと対比した、本発明によるパッドの騒音測定値に関する結果の比較グラフを示す。 本発明によるパッドの第五実施例の部分図である。（実施例５） 図９に示すパッドの正面図である。 図１０に示すパッドの部分拡大断面図である。

符号の説明

１ パッド
２ 基板（ベースプレート）
３ 摩擦要素
４ 金属の薄層
５ 固定リベット
６ 弾性要素
７ リベット
８ 突起

Claims (10)

1. ブレーキディスクの回転軸線と一致するようにされた中心を有するブレーキディスク用のディスクブレーキパッドにおいて、複数の摩擦要素と、基板と、突出しかつ自在に動きうる端部を有する複数の細長い弾性の支持要素で、その全ては前記摩擦要素の少なくとも一つを支持する支持要素と、前記基板から間隔を置くようにして該基板に前記支持要素を固定する取付手段と、を有し、
   前記複数の支持要素が前記ブレーキディスクの径方向に互いに間隔を置いた位置で該ブレーキディスクに固定され、前記支持要素の各々が該支持要素の長手方向における軸線を、前記ディスクブレーキパッドの中心を通る放射状の線に対して垂直に向けて位置されており、前記摩擦要素は前記支持要素の端部で該支持要素の長手方向の軸線上に中心を置いてかつ前記取付手段と間隔をおかれていることを特徴とするディスクブレーキパッド。
2. 前記摩擦要素が概ね多角形の外形を有することを特徴とする請求項１記載のディスクブレーキパッド。
3. 前記摩擦要素が概ね円形の外形を有することを特徴とする請求項１記載のディスクブレーキパッド。
4. 前記支持要素は弾性で、中央で相互に結合された２個の重ねられた弾性要素から構成され、よって、前記細長い弾性支持要素の曲げ可撓性の変動性を得ることができ、前記下側の弾性要素には２個の突起が設けられており、下側と上側の弾性要素間の接触は前記の中央結合部と突起を備えた端部とが対応するところのみにおいて行われることによって、前記上側弾性要素の予荷重を創り出すことを特徴とする請求項１記載のディスクブレーキパッド。
5. 前記摩擦要素が焼結材料から構成されていることを特徴とする請求項４記載のディスクブレーキパッド。
6. 前記支持要素が弾性金属の薄層から構成されていることを特徴とする請求項４記載のディスクブレーキパッド。
7. 前記摩擦要素が金属固定具によって前記支持要素にリベット止めされていることを特徴とする請求項４記載のディスクブレーキパッド。
8. 高度に熱安定性の遮断層または緩衝層が前記支持要素と前記基板の間に介装されていることを特徴とする請求項４記載のディスクブレーキパッド。
9. 遮断層あるいは緩衝層が前記摩擦要素と関連の支持要素との間に介装されていることを特徴とする請求項４記載のディスクブレーキパッド。
10. 二つの摩擦要素が各支持要素に存在することを特徴とする請求項４記載のディスクブレーキパッド。

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