JP4283068B2 - 基板洗浄装置の洗浄部材の初期化方法、基板洗浄装置並びに基板研磨及び洗浄システム - Google Patents

基板洗浄装置の洗浄部材の初期化方法、基板洗浄装置並びに基板研磨及び洗浄システム Download PDF

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Description

本発明は、基板洗浄装置の洗浄部材の初期化方法、基板洗浄装置並びに基板研磨及び洗浄システムに関する。特に、不織布で形成された洗浄部材の初期化方法、該初期化方法にて初期化された洗浄部材を有する基板洗浄装置並びに該基板洗浄装置を備える基板研磨及び洗浄システムに関する。
半導体デバイスの製造工程においては、半導体ウエハに幾層にもデバイス層を形成することが多くなっている。幾層ものデバイス層を精密に形成するためには、各デバイス層の表面を平坦化且つ鏡面化する必要がある。この平坦化及び鏡面化の手段として、化学機械研磨装置により、研磨することが行われている。化学機械研磨装置は、パッド(研磨布)を貼ったターンテーブルとトップリングとを有し、トップリングで研磨対象の基板を保持しターンテーブルとの間に基板を介在させる。基板とターンテーブルとの間にスラリー(砥液)を供給しつつ、基板とターンテーブルとを接しながら互いに回転させることにより、基板の表面を平坦且つ鏡面状に研磨する。
化学機械研磨後には、スラリーおよび研磨屑などのパーティクルが基板上に残存する。そこで、基板洗浄装置において、薬液を散布しながらスポンジなどの洗浄部材で基板をスクラブし、更に純水(以下、DIWと称する)などを基板上に供給して洗い流していた。ところが、基板とパーティクルの結合力が強い汚れは洗い落としにくい。このような洗い落としにくい汚れに対しては、洗浄部材としてスポンジより硬い不織布を用いてスクラブするのが効果的であることが報告されている(特許文献1参照)。
一方、洗浄部材として新しい洗浄部材を用いるときには、それらの洗浄部材に付着している汚れを洗い流し清浄にしておく必要がある。これを洗浄部材の初期化という。この初期化は、履歴の明確な、付着している汚れの少ない基板(初期化用基板という)を用いて、初期化用液体を供給しながら洗浄部材で初期化用基板をスクラブすることにより行っていた。
特開平8−71511号公報(第4頁〜第5頁、図4)
ところが、洗浄部材として従来のスポンジを用いるときには上記の方法で初期化されたが、洗浄部材として不織布を用いた場合には、なかなか初期化されにくいことが多かった。十分に初期化されていない洗浄部材を用いて、基板をスクラブ洗浄すると、いわゆる逆汚染のために、基板が清浄度よく洗浄されにくい。そこで、本発明は、不織布を用いても十分な初期化を行うことができる、洗浄部材の初期化方法を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、請求項1に記載の発明に係る、洗浄液を散布しながら不織布で形成された洗浄部材21で基板を洗浄する基板洗浄装置の、新たに設置した洗浄部材21の初期化方法は、例えば図3に示すように、新たに設置した洗浄部材を清浄にするための初期化用基板1の表面1aを洗浄部材21に接触させて、接触面に初期化用液体を供給しながら、相対運動をさせることにより、洗浄部材21を初期化する。
このように構成すると、不織布で形成された洗浄部材について、初期化用液体を供給しながら初期化用基板の表面を相対運動させて初期化を行うので、洗浄部材は十分に清浄となり、初期化される。なおここで、基板の表面とは、電気回路が形成されている若しくは電気回路が形成される(以下、単に「電気回路が形成されている」という)面をいい、その反対の面を裏面という。
また、請求項2に記載の発明に係る洗浄部材21の初期化方法は、例えば図3に示すように、請求項1に記載の洗浄部材21の初期化方法において、洗浄部材21が基板の裏面を洗浄する洗浄部材である。
このように構成すると、裏面を洗浄する不織布で形成された洗浄部材について、初期化用液体を供給しながら初期化用基板の表面を相対運動させることにより初期化を行うので、洗浄部材は十分に清浄となり、初期化される。
また、前記の目的を達成するため、請求項3に記載の発明に係る基板洗浄装置は、例えば図1に示すように、請求項1又は請求項2に記載の洗浄部材の初期化方法で初期化された洗浄部材21と、基板2を保持し回転させる回転部24と、回転部24に保持され回転している基板2に洗浄液を散布するノズル25、27とを備える。
このように構成すると、十分に初期化された洗浄部材により、回転する基板に洗浄液を散布しながら相対運動させることにより、基板を清浄度よく洗浄する基板洗浄装置となる。
更に、前記の目的を達成するため、請求項4に記載の発明に係る基板研磨及び洗浄システムは、例えば図5に示すように、請求項3に記載の基板洗浄装置20と、基板2を、スラリーを用いて化学機械研磨する基板研磨装置10とを備える。
このように構成すると、基板研磨装置で化学機械研磨された基板を、基板洗浄装置で、十分に初期化された洗浄部材により洗浄液を散布しながら相対運動させるので、基板を、平坦化且つ鏡面化した上で、清浄度よく洗浄する基板研磨及び洗浄システムとなる。
基板洗浄装置において、初期化用基板の表面を用いて、不織布で形成された洗浄部材と相対運動させることにより、十分な初期化を行うことができる。また、前記の初期化方法で初期化した洗浄部材を備える基板洗浄装置では、基板を清浄度よく洗浄することができる。更に、前記の基板洗浄装置を備える基板研磨及び洗浄システムでは、基板を平坦化且つ鏡面化した上で、基板を清浄度よく洗浄することができる。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において、互いに同一又は相当する装置には同一符号を付し、重複した説明は省略する。
先ず、図1の模式図を参照して、基板洗浄装置20について説明する。図1(a)は、基板2を保持し、回転する部分を示している。即ち、6基のローラ24が基板の周縁を取り囲むように配置されている。各ローラ24は、円柱形をしており、その上面の中央に凸部24aを備えている。基板2は、その端縁をローラ24の上面の凸部24aに水平方向に押さえられ、ローラ24の上面で担持されている。ローラ24が中心軸周りに回転することにより、凸部24aによりその端縁を回されるので、基板2はローラ24の回転につれて、回転する。なお、ローラ24は6基でなくても、基板2を担持し回転させるように構成されればよい。また、ローラ24は、総て同一の回転速度で同一方向に回転するようになっているが、少なくとも一つのローラ24に自転機構を設けて、他は従動回転するようにしてもよい。なお、基板2の回転速度は、100min−1程度の低回転速度であることが多いが、それ以外の回転速度であってもよい。
図1(b)は、基板2を洗浄する構成を、模式的に表している。基板2は、後述のように、電気回路が形成されている表面だけを化学機械研磨(以下、CMPと称する)装置で研磨され鏡面状になっており、その裏面は研磨されてはいない。なおここでいう基板2は、半導体ウエハ、ガラス基板、液晶パネル等の高度の清浄度が要求される基板を含む。基板2は、表面2aを鉛直上方に向けて、ローラ24に担持されて、回転させられる。基板洗浄装置20は、基板2を両面から挟み込むように上下に2つの洗浄部材を備えている。図1(b)の上方に描かれ、基板2の表面2aをスクラブする洗浄部材である表面洗浄部材22と基板2の裏面をスクラブする裏面洗浄部材21である。表面洗浄部材22と裏面洗浄部材21は、円筒形に形成されており、その長さは、基板2を横断するより長く、基板洗浄装置20において基板2の回転面と平行に設置されている。
表面洗浄部材22と裏面洗浄部材21は、基板2の交換の障害とならないように、基板2の面2a、2bから離れ、また接触するように、上下可動に構成されている。基板2の表面2aに向けて上方より洗浄液を散布する表面側の洗浄液ノズル27及びDIWを供給する表面側の純水ノズル28、並びに、基板2の裏面2bに向けて下方より洗浄液を散布する裏面側の洗浄液ノズル25及びDIWを供給する裏面側の純水ノズル26が配設されている。
次に、基板洗浄装置20で基板2を洗浄する方法を説明する。研磨(CMP)した後の基板2には研磨剤や研磨屑が付着している。このような汚れの付着した基板2を、不図示の搬送機にて不図示のCMP装置から基板洗浄装置20に搬送し、ローラ24で担持する。ローラ24により回転させられる基板2の表面2aおよび裏面2bに洗浄液ノズル27、25より洗浄液が散布される。表面洗浄部材22及び裏面洗浄部材21が基板2の表面2a及び裏面2bに接触しながら相対運動をすることにより、回転している基板2上の汚れは、表面洗浄部材22及び裏面洗浄部材21によりスクラブされ(こすり落とされ)、除去される。使用する洗浄液は、CMPで用いるスラリーによって異なる。洗浄液でスクラブした後に、表面側の純水ノズル28及び裏面側の純水ノズル26からDIWを供給することにより、DIWで洗浄してもよい。また、薬液の洗浄液を用いずにDIWだけで洗浄してもよい。
基板2の表面2aにおいては、表面に付着する汚れである微細なパーティクルを除去する必要がある。すなわち、配線間距離が、例えば0.5μmであれば、0.5μmより大きなパーティクルが基板面状にあると、配線がショートするなどの不具合が生ずることがあるので、0.5μm以上のごみを除去する必要がある。そのために、PVA(ポリビニルアルコール)スポンジ等を用いてスクラブする。
一方、基板2の裏面2bでは、研磨(CMP)する際にトップリングで保持されたことによる汚れが付着している。CMP装置では、研磨面を平坦に仕上げるため、基板2をパッドに押し付ける圧力を基板2の場所毎に変えている。そこで、基板2の裏面2bと接触するトップリングの部分は、同心円状のメンブレンで構成されており、それぞれの同心円状のメンブレンが基板2の裏面2bと所定の圧力で接している。基板2の裏面2bには、このメンブレンに接したことによる汚れが付着している。この汚れは、基板2との結合力が強く洗い落としにくい。そこで、PVAスポンジでスクラブしても取り除くことは難しいので、裏面2bの洗浄は、不織布を用いてスクラブする。不織布とは繊維を樹脂等で固めたもので、その表面には繊維の隙間によって微細な孔が形成されている。不織布は、PVAスポンジより硬いので、汚れを基板2上から掻き取る力が大きいと考えられ、基板2上に頑強に付着している汚れであっても洗い落とすことができる。すなわち、表面洗浄部材22はPVAスポンジでよいが、裏面洗浄部材21は不織布で形成される。
不織布としては、酸性のあるいはアルカリ性の洗浄液に対して耐性を有し、副生成物を発生させないものであることが要求される。更に、洗浄後の基板表面の重金属汚染が5×1010(atoms/cm)以下であることも要求される。そこで、ポリエステル繊維又は類似の化学繊維を主たる材料とするものが用いられ、ポリエステル繊維から成る不織布の他、例えば、ロデール社製のSuba800やフジミインコーポレイテッド社製のSurfin xxx−5及びSurfin 000などである。これらの不織布は、繊維をウレタン樹脂で固めたものである。あるいは、スウェード製のものでもよい。
表面洗浄部材22は、PVAスポンジ等を円筒形に形成してなり、裏面洗浄部材21は、プラスティック製の円柱等の周りに不織布を巻きつけて形成されている。プラスティック製の円柱と不織布との間に、例えばゴムスポンジやウレタンなどの該不織布よりも軟質な層を設けてもよい。なお、表面洗浄部材22は、PVAスポンジには限られず、他の材料で形成されてもよい。また、本実施の形態では、表面洗浄部材22及び裏面洗浄部材21は円筒形で、その側面を回転する基板2に接触して相対運動によりスクラブするが、表面洗浄部材22及び裏面洗浄部材21は他の形状でもよく、回転する基板2の全面をスクラブできるように構成されていればよい。例えば、基板2と平行な洗浄面を有し、基板2の表面2a及び裏面2bに垂直な軸回りに回転する円板形あるいはカップ形の洗浄部材であってもよい。
ここで、図2(a)の一部断面図を参照して、裏面洗浄部材21について更に説明する。円柱形の軸体21bの周囲に不織布21aを円筒形に巻きつける。軸体21bは、アーム21cにより、片持ち梁のように支持されている。アーム21c内には、不図示のモータが内蔵されており、不図示の伝達機構を介して、軸体21bを軸周りに回転させる。軸体21bの回転につれ、円筒形に形成された不織布21aも回転する。この回転は、100〜150min−1程度の回転速度であり、基板2との接触箇所を変化させている。なお表面洗浄部材22(図1参照)も同様に回転し、基板2との接触箇所を変化させている。ただし、表面洗浄部材22及び裏面洗浄部材21の回転速度は、上記に限定されない。
なお、図2(a)に示す裏面洗浄部材21を用いる洗浄装置20(図1(B)参照)は、裏面洗浄部材21によるスクラブのための洗浄液を裏面側の洗浄液ノズル25(図1(B)参照)から基板2上に供給する形式のものであるが、図2(b)に示すように、洗浄部材の軸体21bの内部に洗浄液又はDIWを通す管21dを有し、管21dがアーム21cを貫通して、洗浄液又はDIWの供給を受けられる構造とし、管21d中の洗浄液又はDIWが洗浄液噴出口21eから不織布21aに浸み出ることにより、洗浄液又はDIWが供給される構造としてもよい。この場合に、初期化のための初期化用液体は、管21dを通って洗浄部材の内部から供給されてもよいし、裏面純水ノズル26(図1(B)参照)などの外部から供給されてもよい。
上述のように、表面洗浄部材22及び裏面洗浄部材21は、基板2と接触して相対運動することにより、基板2をスクラブ洗浄している。そのため、表面洗浄部材22及び裏面洗浄部材21は、摩耗等の損傷を受けるので、定期的に交換する必要がある。表面洗浄部材22の円筒形に形成したPVAスポンジ等あるいは裏面洗浄部材21の不織布21aを新たに設置したときには、PVAスポンジ等あるいは不織布21aに予め付着しているあるいは洗浄装置に設置した時に付着した汚れを落し清浄にする必要がある。これが、洗浄部材の初期化である。これらの汚れが付着したまま基板2の洗浄を行うと、それらの汚れが基板2に付着する、いわゆる逆汚染を生ずる恐れがあるからである。
図3の模式図を参照して、不織布で形成された裏面洗浄部材21の初期化方法について説明する。不織布を用いた裏面洗浄部材21あるいはPVAスポンジ等で形成された表面洗浄部材22を初期化するために、新たに設置した洗浄部材を清浄にするための初期化用基板1を基板洗浄装置20のローラ24(図1参照)の上に据える。初期化用基板1は、初期化用基板として特別な基板があるわけではなく、極めて清浄でなくともよいが、汚れは少ない方が好ましく、また、履歴が明白で、洗浄に害を及ぼす恐れのある大きなパーティクルや有害な薬品などが付着していない基板であればよい。初期化用基板1としては新品である必要もなく、適度に清浄であることが明らかであればよい。よって、特別な処理をすることなく、通常のプロセスで得られる基板を用いることができるので、簡便に初期化をすることができる。例えば、清浄な研磨前の基板でもよいし、被研磨基板の表面に形成された膜やデバイスと同じあるいは同じ性状(例えば、親水面や撥水面あるいは両者が混在した状態)の表面を備える清浄な基板(いわゆるサンプルウェハ等)でもよい。
初期化用基板1は、表面1aを下方向に向け、裏面1bを上方向に向けて基板洗浄装置20に設置される。すなわち、裏面洗浄部材21には初期化用基板1の表面1aが接触し、表面洗浄部材22には裏面1bが接触する。表面洗浄部材22及び裏面洗浄部材21と初期化用基板1との接触は、0〜30N程度の力で押し合うようにすることが好ましく、過剰な力で押し付けると、表面洗浄部材22あるいは裏面洗浄部材21の内部にDIWが十分に入り込まなくなるので、好ましくない。
このような状態で、初期化用基板1の表面1a(下面)と裏面1b(上面)にDIWを供給しながら、初期化用基板1を回転させ、裏面洗浄部材21と表面洗浄部材22でスクラブする。DIWは0.3L/min以上供給するのがよい。なお、初期化する際の初期化用液体はDIW以外であってもよく、例えば、有機酸や界面活性剤などを含有していても、酸性でも、中性でも、アルカリ性でもよい。また、初期化用基板1は、10min−1以上の回転速度で回転するのがよい。裏面洗浄部材21と表面洗浄部材22も初期化用基板1との接触面を変えるために軸周りに回転し、その回転速度は10min−1以上とするのがよい。このように初期化用基板1をスクラブすることにより、洗浄部材中にDIWが入り込み汚れを洗い流すので、裏面洗浄部材21と表面洗浄部材22は十分に清浄となり、初期化される。特に不織布21aで形成された裏面洗浄部材21は、初期化用基板1の表面1aをスクラブすることにより、十分に初期化される。
不織布21aで形成された裏面洗浄部材21が、初期化用基板1の裏面1bではなく、表面1aにより初期化されるのは、次のような理由であると考えられる。不織布21aは、図4(a)の断面図に示すように、繊維が絡み合ったものであるので、パーティクルなどの汚れも中に入り込み易い。そこで、予め付着している汚れを除去するには、不織布21aの内部まで十分に清浄な初期化用液体を流し込み、汚れを洗い流すことが要求される。DIWを供給しながら初期化用基板1の表面1aをスクラブすると、清浄なDIWで不織布21aの内部を洗い流せる。逆に、裏面1bをスクラブすると、裏面1bも清浄度はあるものの、表面1aより要求される清浄度が低く、汚れの付着が多いので、初期化用基板1の汚れが不織布21aの中にDIWと共に入り込むことがある。そのため、不織布21aがなかなか洗浄されず、初期化に時間もかかる。一方、表面洗浄部材22は、PVAスポンジで形成されると、図4(b)に断面を示すように、不織布21aに比べて汚れ等が内部に入りにくい構造となっている。そのため、洗浄され易く、初期化用基板1の裏面1bをスクラブすることによっても、初期化される。
上述のように、初期化用基板1の表面1aを用いて初期化することにより、不織布21aで形成された裏面洗浄部材21は十分に初期化されており、一方、PVAスポンジ等で形成された表面洗浄部材22は初期化用基板1の裏面1bをスクラブすることにより十分に初期化される。したがって、基板洗浄装置20で基板2を洗浄する場合とは逆に、初期化用基板1を、表面1aを裏面洗浄部材21側(下側)に、裏面1bを表面洗浄部材22側(上側)に向けて初期化することにより、一度の初期化作業により、基板洗浄装置20の表面洗浄部材22及び裏面洗浄部材21を初期化することができ、効率もよい。また、このように裏面洗浄部材21および表面洗浄部材22が十分に初期化されている基板洗浄装置20で洗浄することにより、基板を清浄度よく洗浄することができる。
表面洗浄部材22にも不織布で形成された洗浄部材を用いてもよいが、その場合には表面洗浄部材22も初期化用基板1の表面1aにより初期化する必要があるので、表面洗浄部材22に初期化用基板1の表面1aを向けて初期化した後、裏面洗浄部材21に初期化用基板1の表面1aを向けて初期化するというように、2段階の初期化を行うことになる。なお、不織布で形成された裏面洗浄部材21が基板2を洗浄することにより汚染した場合には、PVAスポンジ等で形成された洗浄部材と同様に、洗浄部材の内側からリンス液を供給したり、あるいは不織布全体にリンス液がかかるようなリンス機構を設けて、待機中にリンスすることにより、セルフクリーニングを行う。
続いて、図5の模式的平面図を参照して、洗浄装置20を備える基板研磨及び洗浄システムについて説明する。洗浄装置20の裏面洗浄部材は、不織布で形成され、上記の方法で初期化される。図5は、基板研磨装置10、洗浄装置20及び二次洗浄装置30を2系列有する基板研磨及び洗浄システムを示す模式的平面図である。
基板研磨装置10は、円形のターンテーブル11上に、基板を保持するトップリング12及びスラリーを供給するスラリ−ノズル(不図示)を備えている。ターンテーブル11上にはパッドが貼り付けられている。トップリング12は、基板2の非研磨面(裏面)および側面を覆うように基板2を保持する。基板研磨装置10で、基板を研磨(CMP)するには、スラリーノズルからスラリーを回転するパッド上に供給する。トップリング12で研磨面である電気回路が形成されている面を下方にして基板2を把持し、所定の圧力で回転するパッドに押し付ける。このようにして、基板の表面(電気回路が形成されている面)を平坦且つ鏡面に研磨(CMP)する。研磨(CMP)された基板2は、スラリーや研磨屑などのパーティクルが付着しているので、基板洗浄装置20でスクラブ洗浄される。
二次洗浄装置30は、回転テーブル上にアームが等間隔に複数設置され、アームで基板2を把持して、回転テーブルを回転することにより基板2を回転させる。回転する基板上にDIWを供給して、表面全体をDIWで洗浄する。基板2をDIWで洗浄することにより、洗浄装置から搬送される基板2に残留するパーティクル等を除去する。
基板研磨装置10、洗浄装置20、二次洗浄装置30は、それぞれ1台ずつ、隔壁で仕切られた部屋に設置されており、各部屋は独立して排気されて互いの雰囲気が干渉しないようになっている。そのために、基板研磨装置10でのスラリーを含むミスト等が基板洗浄装置20や二次洗浄装置30に悪影響を与えず、また、基板洗浄装置20での洗浄液を含んだミスト等が二次洗浄装置30に悪影響を与えることもない。それぞれの基板研磨装置10の部屋には、基板2を一旦置くための受渡台41も設置されている。基板研磨装置10の部屋に隣接して、基板洗浄装置20の部屋が配置されている。2台の基板洗浄装置20の部屋の間には、基板2を搬送する搬送機43が設置されている。基板洗浄装置20の部屋の隣には基板2の上下面を反転させる反転機42が系列毎に設置され、その先に二次洗浄装置30の部屋が配置されている。2つの二次洗浄装置30の部屋の間には、基板2を搬送する搬送機44が設置されている。そして、二次洗浄装置30の部屋と搬送機44に隣接して、研磨・洗浄しようとするあるいは研磨・洗浄し終えた基板2を複数枚まとめて収納するカセットを設置するロード・アンロード部50が配置されている。
ロード・アンロード部50から取り出され、反転機42により電気回路が形成されている表面が下向きとされた基板2は、基板研磨装置10に搬送される。基板研磨装置10で基板2はスラリーを用いて研磨(CMP)され、表面が平坦化且つ鏡面化される。研磨(CMP)された基板2は、受渡台41を経て、また、反転機42で上下面が反転されて(表面が上向きにされて)、搬送機43により、基板洗浄装置20に搬送される。基板洗浄装置20では、洗浄液を散布しながら、表面洗浄部材22および裏面洗浄部材21で基板2の表面及び裏面をスクラブ洗浄する。スクラブ洗浄された基板2は、搬送機43又は搬送機44により二次洗浄装置30に搬送される。二次洗浄装置30では、先ず、基板2を回転させながらDIWを供給する二次洗浄により、基板2上のパーティクルや洗浄液等の汚れを除去する。続いて、回転速度を落とした後、DIWの供給を停止し、回転速度を一気に高速に上げて回転させることにより、基板2を乾燥させる。乾燥した基板2は搬送機44によりロード・アンロード部50に戻される。図5に示す基板研磨及び洗浄システムでは、基板研磨装置10、基板洗浄装置20及び二次洗浄装置30を2系列有するので、並行して、研磨から洗浄・乾燥の作業を行うことができる。
上述の基板研磨及び洗浄システムにおいては、初期化用基板1の表面1a(図3参照)により不織布で形成された洗浄部材を初期化するので、基板洗浄装置20の洗浄部材が十分に初期化され、基板2を清浄度よく洗浄することができる。また、裏面洗浄部材が不織布で形成されているので、CMP装置からのスラリーや研磨屑のほか、CMP装置のトップリングのメンブレンとの接触により付着した基板2の裏面2b(図1(B)参照)の汚れも洗浄することができる。したがって、基板2を、CMPにより平坦化且つ鏡面化し、基板洗浄装置20で清浄度よく洗浄し、更に、二次洗浄装置30で洗浄液を洗い流し、また、乾燥する、基板研磨及び洗浄システムとなる。
以下、実施例及び比較例により、本発明に係る基板の洗浄方法を更に詳しく説明する。実施例は、次のように観察した。基板洗浄装置にPVAスポンジで形成された新しい表面洗浄部材と、ポリエステル繊維を主たる材料とする不織布で形成された新しい裏面洗浄部材を設置した。初期化用基板を、初期化用基板の表面が裏面洗浄部材に接触するように(基板を洗浄する場合とは裏返しにして)基板洗浄装置に設置し、初期化用基板を100min−1の回転速度で回転させた。初期化用基板に、DIWを供給しながら30分間スクラブし、初期化を行った。その際、表面洗浄部材と裏面洗浄部材は110min−1の回転速度で軸周りに回転させた。この初期化の後、研磨(CMP)した基板を、DIWを供給しながらスクラブ洗浄した。ここでは、観察を容易にするために、基板の表面を不織布で形成された裏面洗浄装置に接触してスクラブ洗浄した。スクラブ洗浄後、不織布で形成された洗浄部材でスクラブした表面の汚れを観察した。なお、ここで観察される汚れには、スラリーや研磨屑などのパーティクルのほか、基板面上に形成された微細な傷も含まれる。また、比較例は、初期化する際に初期化用基板の裏面を不織布で形成された裏面洗浄部材に接触してスクラブ洗浄し、その他は上記実施例と同様とし、同じく、不織布で形成された洗浄部材でスクラブした表面側表面の汚れを観察した。
図6に、実施例と比較例の観察結果を示す。図6(a)は実施例の基板表面の汚れで、図6(b)は比較例の基板表面の汚れを示す観察結果である。図6でも明らかな通り、初期化用基板の表面をスクラブすることにより不織布で形成された洗浄部材を初期化した実施例の方が、裏面をスクラブすることにより初期化した比較例よりも、その後に基板を洗浄した際の基板上の汚れが少ない。これは、初期化で充分に清浄な状態とならなかった比較例では、いわゆる逆汚染を生じたためと考えられる。汚れの個数を比較した結果、実施例では比較例の約60%であり、汚れが40%程度少なかったことになる。
基板洗浄装置の構成を説明する模式図である。 洗浄部材の構成を説明する一部断面図である。 不織布を用いた洗浄部材の初期化方法を説明する模式図である。 不織布とスポンジの構造を説明する断面図である。 不織布で形成された洗浄部材を有する洗浄装置を備える基板研磨及び洗浄システムを説明する模式的平面図である。 実施例と比較例の基板表面の汚れの様子を示す観察結果である。
符号の説明
1 初期化用基板
1a 表面
1b 裏面
2 基板
10 基板研磨装置
12 トップリング
20 基板洗浄装置
21 裏面洗浄部材
21a 不織布
21b 軸体
21c アーム
22 表面洗浄部材
24 ローラ
30 二次洗浄装置
41 受渡台
42 反転機
43,44 搬送機
50 ロード・アンロード部

Claims (4)

  1. 洗浄液を散布しながら基板の表面をPVAスポンジで形成された洗浄部材で、前記基板の裏面を不織布で形成された洗浄部材で前記基板を洗浄する基板洗浄装置の、新たに設置した前記不織布で形成された洗浄部材の初期化方法において;
    新たに設置した前記不織布で形成された洗浄部材を清浄にするため初期化用基板の裏面よりも清浄度が高い表面を前記不織布で形成された洗浄部材に接触させて、接触面に初期化用液体を供給しながら相対運動をさせることにより、前記不織布で形成された洗浄部材を初期化する;
    洗浄部材の初期化方法。
  2. 前記不織布で形成された洗浄部材には前記初期化用基板の表面が接触し、前記PVAスポンジで形成された洗浄部材には前記初期化用基板の裏面が接触するように、前記基板を洗浄する場合とは逆に裏返しにして前記初期化用基板を配置する
    請求項1に記載の洗浄部材の初期化方法。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の洗浄部材の初期化方法で初期化された洗浄部材と;
    前記初期化された洗浄部材のうち不織布で形成された洗浄部材が巻かれた軸体と;
    前記基板を保持し回転させる回転部と;
    前記回転部に保持され回転している前記基板に洗浄液を散布するノズルとを備
    前記軸体には、前記基板に供給される洗浄液またはDIWを前記不織布に浸み出させる複数の噴出口が形成されている;
    基板洗浄装置。
  4. 請求項3に記載の基板洗浄装置と;
    前記基板を、スラリーを用いて化学機械研磨する基板研磨装置とを備える;
    基板研磨及び洗浄システム。
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