JP4282858B2 - 車両用走行制御装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、先行車を認識して一定の車間距離を保ちつつ追従走行するか又は運転者の設定した設定車速を維持しながら定速走行する車両用走行制御制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の車両用走行制御装置としては、例えば特開平6−23433号公報(以下、第1従来例と称す)、特開平10−95246号公報(以下、第2従来例と称す)、特開平7−334790号公報(以下、第3従来例と称す)、特開平9−223235号公報(以下、第4従来例と称す)に記載されたものが知られている。
【0003】
第1従来例には、車速が大きい場合には、ブレーキの動作に関するデータと、これによって生じる実際の車両の減速度のデータとの関係から設定される安全車間距離を確保するように車両の目標車速を設定し、この目標車速を達成するよう車速制御を行い、車速が小さい場合には、目標車間距離を設定し、この目標車間距離を達成するように車速を制御するようにした自動車の走行制御装置が開示されている。
【0004】
また、第2従来例には、自車両が車線変更する場合に、走行方向の指示手段で方向指示されたときに、該当車線側への移動を検出することにより、走行車線変更の予想を行い、変更する車線側の先行車両を考慮して目標加速度を設定することにより、車線変更時の制御目標の切り換えを的確に行うようにした車両の速度を制御するための方法及び装置が開示されている。
【0005】
さらに、第3従来例には、電子地図情報等から合流部への接近を認識した場合に、先行車の挙動から合流車両を予見するか又は合流車両の存在を認識する合流予見装置とこれを用いた走行制御装置が開示されている。
さらにまた、第4の従来例には、画像認識により、隣接レーンを走行している車両のヨー角を検出して、その角度に基づいて自車走行レーンに割込もうとしている割込車であることを判断するようにした車両認識装置が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記第1従来例にあっては、自車走行レーンの先行車両を認識しているだけで、隣接レーンの先行車両については認識しておらず、隣接レーンからの先行車両の割込みについては何ら考慮しておらず、隣接レーンから割り込まれて初めて先行車として認識するので、車間距離が狭くなり過ぎる傾向となり、運転者に違和感を与えるという未解決の課題がある。
【0007】
また、第2従来例にあっては、自車両が隣接レーンに車線変更する場合に、方向指示した後に自車両が隣接レーンとの境界にある白線に近づくことにより、隣接レーンの先行車両をも考慮して最小の目標加速度を生じさせる車両を制御目標として選択し、これに基づいて車速を制御するが、隣接レーンから自車走行レーンへの割込みについては第1従来例と同様に何ら考慮していない。
【0008】
さらに、第3従来例にあっては、道路の合流部に接近したときに、先行車の挙動から合流部における合流車の存否を予見するようにしており、実際の合流車を認識しているわけではないので、誤認識や不認識が多く合流車の正確な認識を行うことができないという未解決の課題がある。
さらにまた、第4従来例にあっては、画像処理によって隣接レーンを走行している先行車の進行方向の傾きを検出するようにしているので、自車走行レーンの割込みの前に先行車の車線変更を認識することができるが、自車両を減速するなどの制御開始が、隣接レーンの先行車の進行方向の傾きが所定以上となってから車線変更を認識するため、割込車両に対する応答が遅れるという未解決の課題がある。
【0009】
このほか、自車走行レーンにおける先行車との車間距離と、隣接レーンから自車走行レーンに割込みそうな車両との車間距離を比較して、車間距離の短い方を追従走行制御系の制御目標として認識することも考えられているが、この場合には運転者が認識している先行車と制御系が認識している先行車とが異なる現象が発生し、制御系が達成しようとする車間距離を長くする制御に対して、運転者が違和感を感じたり、オーバーライドを強いられたりするという未解決の課題がある。
【0010】
そこで、本発明は、上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、自車走行レーンに隣接する隣接走行レーンからの先行車割込みを正確に認識して、運転者に違和感を与えることなく、走行制御を行うことができる車両用走行制御装置を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、請求項1に係る車両用走行制御装置は、自車速を検出する車速検出手段と、該車速検出手段で検出した自車速を目標車間距離に基づく目標車速及び設定車速の何れかに一致させるように制動力及び駆動力の何れかを制御する制駆動力制御手段とを備えた車両用走行制御装置において、自車走行レーンに隣接する隣接走行レーンを走行する先行車の車線変更予告を検出して所定値の第1の認識度を設定すると共に、自車走行レーンへの接近量及び進入量を検出して隣接先行車が自車走行レーンに車線変更を行う可能性の度合いを表す第2の認識度を算出する認識度算出手段と、該認識度算出手段で求めた第1の認識度及び第2の認識度と前記制駆動力制御手段で用いられる情報中の隣接走行レーンを走行する先行車の車間距離制御に関する車間距離及び相対速度に基づいて隣接先行車が自車レーンに車線変更したときの自車の受ける影響の程度を表す確信度を算出する確信度算出手段と、該確信度算出手段で算出した確信度が増加すると前記制駆動力制御手段による加速制御時における駆動力の減少補正を行う補正手段とを備え、前記認識度算出手段は、隣接先行車の画像情報を形成する画像情報形成手段と、該画像情報形成手段で形成された先行車画像情報に基づいて隣接レーンを走行する先行車の方向指示手段で方向指示を行っているときに隣接先行車の車線変更の可能性を認識する車線変更認識手段と、該車線変更認識手段で隣接先行車の車線変更の可能性を認識したときに、所定値の第1の認識度を設定する認識度選定手段と、前記画像情報形成手段で形成された先行車画像情報に基づいて前記隣接レーンを走行する先行車の自車走行レーンへの接近量及び進入量を検出する車線変更検出手段と、該車線変更検出手段で検出した接近量及び進入量に基づいて第2の認識度を演算する認識度演算手段とを有することを特徴としている。
【0014】
この請求項に係る発明においては、隣接レーンを走行する先行車の挙動を、認識度算出手段で、例えばウインカーを認識したり、自車走行レーンに接近及び進入していることを認識することにより、車線変更の可能性の度合いに応じて認識度を算出する。この認識度と先行車との車間距離、相対速度等の車間距離制御に関する複数の情報等を用いて、隣接レーンの先行車が自車走行レーンに車線変更する程度や可能性についてより正確に求めて自車の受ける影響の程度を表す確信度を確信度算出手段で算出する。この確信度の増加に応じて制駆動力制御手段の加速制御時における駆動力を減少補正することにより、隣接レーンからの割込車に対して最適な走行制御を行う。
【0015】
また、請求項1に係る車両用走行制御装置は、隣接先行車の方向支持手段の方向支持に基づく第1の認識度と、自車走行レーンへの接近量及び信入寮に基づく第2の認識度との双方を算出するので、隣接先行車の車線変更をより確実に認識することができる。
【0016】
さらに、請求項1に係る車両用走行制御装置は、方向指示に基づく第1の認識度と自車レーンへの接近量及び進入量に基づく第2の認識度と制駆動力制御手段で使用する車間距離制御に関する車間距離及び相対速度に基づいて実際に先行車が割込む度合いを確信度として算出するので、先行車及び自車の走行制御状態に応じて走行制御に影響を与える確信度をより正確に算出することができる。
【0018】
また、請求項2に係る車両用走行制御装置は、請求項1に係る発明において、自車と隣接レーン先行車との間の車間距離を検出する車間距離検出手段と、自車と隣接レーン先行車との相対車速を検出する相対車速検出手段とを有し、前記確信度算出手段は、確信度を前記第1の認識度と前記相対車速検出手段で検出した相対車速に基づく変数及び前記車間距離検出手段で検出した車間距離に基づく変数との乗算値と、前記第2の認識度と前記車間距離検出手段で検出した車間距離に基づく変数との乗算値との和で算出することを特徴としている。
【0019】
この請求項2に係る発明においては、例えば目標車間距離に対して隣接レーン先行車との車間距離が大きい場合には割込時の走行制御に対する影響が小さいものと判断して車間距離関数値を小さい値とし、同様に隣接レーン先行車との相対速度が大きい場合には相対速度関数値を小さい値とすることにより、隣接レーンの先行車が自車走行レーンに接近している度合いが大きく接近認識度が大きい場合でも隣接レーンの先行車との車間距離が広い場合には確信度が小さい値となり、同様に隣接レーンの先行車の方向指示を認識した場合でも自車両と隣接レーンの先行車との相対速度が大きい場合や車間距離が広い場合には確信度が小さい値となる。
【0020】
さらに、請求項3に係る車両用走行制御装置は、請求項1又は2に係る発明において、前記補正手段は、確信度算出手段で算出された確信度が大きいときに、前記目標車間距離を自車レーンにおける先行車までの目標車間距離から隣接レーンにおける先行車までの目標車間距離に切換えるように構成されていることを特徴としている。
【0021】
この請求項3に係る発明においては、例えば目標車間距離に対して隣接レーン先行車との車間距離が大きい場合には割込時の走行制御に対する影響が小さいものと判断して車間距離関数値を小さい値とし、同様に隣接レーン先行車との相対速度が大きい場合には相対速度関数値を小さい値とすることにより、隣接レーンの先行車が自車走行レーンに接近している度合いが大きく接近認識度が大きい場合でも隣接レーンの先行車との車間距離が広い場合には確信度が小さい値となり、同様に隣接レーンの先行車の方向指示を認識した場合でも自車両と隣接レーンの先行車との相対速度が大きい場合や車間距離が広い場合には確信度が小さい値となる。
【0022】
さらにまた、請求項4に係る車両用走行制御装置は、請求項1乃至3の何れか1つに係る発明において、前記車間距離検出手段は、自車レーンにおける先行車との車間距離から隣接レーンにおける先行車との車間距離へ変更する際に、前記確信度算出手段の確信度に応じて滑らかに補間した値を前記制駆動力制御手段に出力するように構成されていることを特徴としている。
【0023】
この請求項4に係る発明においては、隣接レーンから先行車が自車走行レーンに割込む場合に、車間距離検出手段から出力される車間距離を自車走行レーンにおける先行車との車間距離から隣接レーンの先行車との車間距離へ確信度に応じて徐々に変化させることができ、車間距離の切換えを滑らかに行う。
【0031】
【発明の効果】
【0032】
求項に係る車両用走行制御装置によれば、認識度算出手段で隣接走行レーンの先行車が自車走行レーンに車線変更する可能性の度合いを表す認識度を算出すると共に、この認識度と隣接レーン先行車も自車レーン先行車との車間距離や相対速度等の情報とを用いて確信度算出手段で、正確に隣接レーンの車両挙動を把握する確信度を算出し、この確信度に応じて追従走行制御や定速走行制御を行う制駆動力制御手段の制駆動力制御を補正するので、運転者に対して違和感の少ない特性に補正された走行制御を行うことができると共に、隣接レーンの先行車の自車走行レーンへの割込みを確信度を使用して正確に認識することができ、制駆動力制御手段の補正を適正に行って、運転者にオーバーライドを強いることを抑制することができるという効果が得られる。
【0033】
また、請求項に係る車両用走行制御装置によれば、認識度算出手段で、隣接先行車の方向指示手段の方向指示に基づく第1の認識度と、自車走行レーンへの接近量又は進入量に基づく第2の認識度とを算出するようにしているので、2つの認識度を組み合わせることにより、隣接先行車の割込みに対する認識度をより正確に求めることができるという効果が得られる。
【0034】
さらに、請求項1に係る車両用走行制御装置によれば、確信度算出手段で、方向指示に基づく第1の認識度及び自車走行レーンに対する接近量又は進入量に基づく第2の認識度と、制駆動力制御装置で用いる情報とを用いて隣接レーン先行車が自車走行レーンに割込む度合いを表す正確な確信度を算出することができるので、隣接レーン先行車の車両挙動に対する制駆動力制御手段の走行制御の特性補正を正確に行うことができるという効果が得られる。
【0035】
さらに、請求項に係る車両用走行制御装置によれば、目標車間距離に対して隣接レーン先行車との車間距離が大きい場合には割込時の走行制御に対する影響が小さいものと判断して車間距離関数値を小さい値とし、同様に隣接レーン先行車との相対速度が大きい場合には相対速度関数値を小さい値とすることにより、隣接レーンの先行車が自車走行レーンに接近している度合いが大きく接近認識度が大きい場合でも隣接レーンの先行車との車間距離が広い場合には確信度が小さい値となり、同様に隣接レーンの先行車の方向指示を認識した場合でも自車両と隣接レーンの先行車との相対速度が大きい場合や車間距離が広い場合には確信度を小さい値とすることができ、隣接走行レーンの先行車の自車走行レーンへの割込をより確実に判断することができるという効果が得られる。
【0036】
なおさらに、請求項に係る車両用走行制御装置によれば、車間距離検出手段は、認識度算出手段の認識度及び確信度算出手段の確信度の何れに基づいて、自車走行レーンの先行車との車間距離から隣接走行レーンの先行車との車間距離へ滑らかに補間した値を制駆動力制御手段に出力するので、隣接走行レーンの車両が自車走行レーンへ完全に割込まない場合でも滑らかな追従制御が実施されると共に、車間距離が広がりすぎることがなく、運転者にオーバーライドを強いる状態を軽減することができるという効果が得られる。
【0045】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の一実施形態を示す概略構成図であって、図中、1は車両であって、その前方下部にレーザーレーダヘッド2aからレーザ光を照射して先行車からの反射光を受光することにより自車走行レーン及びこれに隣接する左右の隣接走行レーンにおける先行車との間の車間距離を測定可能なマイクロコンピュータ2bを有するスキャニングタイプのレーザーレーダ測距装置2が配設されていると共に、車室前方の上部に車体前方の状態を認識するためのCCDカメラ3a及びマイクロコンピュータ3bを有する画像処理装置3が配設されている。
【0046】
なお、車間距離センサとしては、レーザ光に限らず電波やミリ波を利用して車間距離を計測するようにしてもよい。
また、非駆動輪4には、自車の車輪速を検出し、これに基づいて所定の演算を行って自車速Vsを出力する車速センサ5が配設され、さらに、非駆動輪4及び駆動輪6に配設されたディスクブレーキ7のブレーキ液圧が圧力制御弁8a及びこれを制御するマイクロコンピュータ8bを有するブレーキ液圧サーボ装置8によって制御されると共に、エンジンに配設された電子制御スロットルバルブのスロットル開度がスロットルアクチュエータ10a及びこれを制御するマイクロコンピュータ10bを有するスロットル制御装置10によって制御される。
【0047】
そして、レーザーレーダ測距装置2、画像処理装置3及び車速センサ5の各出力信号が走行制御装置11に供給され、この走行制御装置11で、レーザーレーダ測距装置2から入力される先行車との車間距離Lを目標車間距離L* に維持する目標駆動力が演算され、この目標駆動力に応じてブレーキ液圧サーボ装置8及びスロットル制御装置10に夫々ブレーキ液圧指令値PB及びスロットル開度指令値θが出力される。
【0048】
この走行制御装置11は、マイクロコンピュータ11aとその周辺機器を備え、マイクロコンピュータのソフトウェア形態により、図2に示す制御ブロックを構成している。
この制御ブロックは、レーザーレーダ測距装置2でレーザー光を照射してから先行車の反射光を受光するまでの時間を計測し、先行車との車間距離Lを演算する測距信号処理部20と、車速センサ5からの車速パルスの周期を計測し、自車速VS を演算する車速信号処理部30と、測距信号処理部20で演算された車間距離L及び車速信号処理部30で演算した自車速VS に基づいて車間距離Lを目標車間距離L* に維持する目標車速V* を演算する車間距離制御手段としての車間距離制御部40と、この車間距離制御部40で演算した目標車速V* に基づいて目標駆動軸トルクTW * を演算する車速制御部50と、この車速制御部50で演算した目標駆動軸トルクTW * に基づいてスロットル開度指令値θC 及びブレーキ液圧指令値PBCを演算し、これらをスロットル制御装置10及びブレーキ液圧サーボ装置8に出力する駆動輪軸トルク制御部60と、画像処理装置3からの隣接走行レーンの先行車画像情報に基づいて駆動軸トルク制御部60の制御値を補正する補正部70とを備えている。
【0049】
車間距離制御部40は、車速信号処理部30から入力される自車速VS に基づいて先行車と自車との間の目標車間距離L* を算出する目標車間距離設定部42と、測距信号処理部20から入力される車間距離Lと目標車間距離設定部42で算出された目標車間距離L* と車速信号処理部30から入力される自車速VS とに基づいて車間距離Lを目標車間距離L* に一致させるための目標車速V* を演算する車間距離制御演算部43とを備えている。
【0050】
ここで、目標車間距離設定部42は、自車速VS と自車が現在の先行車の後方L0 [m]の位置に到達するまでの時間T0(車間時間)とから下記(1)式に従って先行車と自車との間の目標車間距離L* を算出する。
* =VS ×T0+LS …………(1)
この車間時間T0という概念を取り入れることにより、車速が速くなるほど、車間距離が大きくなるように設定される。なお、LS は車両停止に確保する停止時車間距離である。
【0051】
さらに、車間距離制御演算部43は、車間距離L、目標車間距離L* 及び相対速度ΔVに基づいて、車間距離Lをその目標値L* に保ちながら追従走行するための目標車速V* を演算する。
すなわち、今、車速制御系は、目標車速V* に対する自車速VS の応答が時定数τV (1/ω)の1次遅れ系で近似できるものとすると、車間距離制御系は、例えば図3に示す構成となり、このときの目標車間距離L* から実車間距離Lまでの伝達特性は下記(2)式で表すことができる。
【0052】
【数1】
Figure 0004282858
【0053】
但し、sはラプラス演算子、VT は先行車車速、KV は相対速度ゲイン、KL は車間距離ゲインである。
この(2)式から相対速度ゲインKV 及び車間距離ゲインKL を適切な値に設定することで、極を変えることができ、追従応答性を所望の特性とすることができる。
【0054】
具体的は、図3のブロック線図に示すように、目標車間距離L* と実車間距離Lとの偏差(L* −L)に距離制御ゲインKL を乗じた値を、相対速度を表す車間距離Lの微分値L′に相対速度ゲインKV を乗じた値から減算し、この減算値と微分値L′と自車速VS との加算値即ち先行車車速VP (=L′+VS )とを加算して、下記(3)式に示すように目標車速V* を算出する。
【0055】
* =VP −KL (L* −L)−KV ・L′ …………(3)
車速制御部50は、入力される目標車速V* に自車速VS を一致させるための目標駆動軸トルクT* を演算する。具体的には、図4のブロック線図に示すように、目標車速V* と自車速VS の偏差(V* −VS )に速度制御ゲインKSPを乗算して駆動力FW を演算し、これから走行抵抗FDHを減算した値にタイヤ半径RW を乗算することにより目標駆動軸トルクTW * を算出する。ここで、走行抵抗FDHは走行抵抗推定部で目標駆動力FW * と自車速VS とに基づいて下記(4)式に従って演算される。
【0056】
DH=H(s) MV sVS −H(s) FW * /RW …………(4)
但し、MV は車重、RW はタイヤ半径である。
この走行抵抗FDHを駆動力FW にフィードバックすることにより、路面勾配や空気抵抗及び転がり抵抗等の影響を排除することができる。
この走行抵抗推定によって、制御系への外乱が排除されたとすると、目標車速V* から自車速VS までの伝達特性は下記(5)式で表される。
【0057】
S =(KSP/MV )V* /(s+KSP/MV ) …………(5)
この(5)式から、車速制御ゲインKSPを適当な値に設定することで、車速制御系の応答特性を所望の特性に一致させることができる。
また、駆動軸トルク制御部60は、車速制御部50で演算された目標駆動軸トルクTW * を実現するためのスロットル開度指令値θC 及びブレーキ液圧指令値PBCを演算する。具体的には、トルクコンバータのトルク増幅率をRT 、自動変速機ギヤ比をRAT、ディファレンシャルギヤ比をRDEF とし、エンジンイナーシャの影響を無視した場合の目標駆動軸トルクTW * に対するエンジントルク指令値TECの関係は下記(6)式で表すことができる。
【0058】
EC=TW * /RT ・RAT・RDEF …………(6)
そして、エンジントルク指令値TECを発生させるスロットル開度指令値θC を、エンジントルク指令値TECとエンジン回転数NE とをもとに図6に示すエンジンマップを参照して算出する。
ここで、目標スロットル開度指令値θc が零以上の正の値であれば、ブレーキアクチュエータ7を使用することなくエンジントルクのみで目標駆動軸トルクTW * 通りのトルクを実現できる。一方、スロットル開度指令値θc が零以下の負の値となれば、スロットル開度指令値θc を零に保持し、このときエンジンによって出力される駆動軸トルクを考慮し駆動軸トルクを目標値に一致させるためのブレーキ操作量を演算する。
【0059】
制動を行うための制動トルク指令値TBCは、下記(7)式に示すように、目標駆動軸トルクTW * からエンジンブレーキによる制動トルクTEBを減算することにより算出する。
BC=TW * −TEB …………(7)
この(7)式におけるエンジンブレーキによる制動トルクTEBは、下記(8)式で表すことができる。
【0060】
EB=RT ・RAT・RDEF ・TEB0 ………(8)
ここで、TEB0 はスロットル開度が零のときのエンジントルクであり、エンジン回転数NE をもとに図6に示すエンジン回転数に対するエンジントルクの関係を表すエンジントルクマップを参照して算出する。ただし、エンジンの燃料カット信号の状態を読込み、これらに応じてエンジントルクマップを切換える。
【0061】
そして、制動トルク指令値TBCに対するブレーキ液圧指令値PBCは、下記(9)式で表すことができる。
BC=−TBC/8AB B μB …………(9)
ここで、AB はブレーキシリンダ面積、RB はロータ有効半径、μB はパッド摩擦係数をμB である。
【0062】
したがって、図5に示すように、目標駆動軸トルクTW * を目標エンジントルク演算部61に供給して前記(6)式に従って演算を行ってエンジントルク指令値TECを演算し、このエンジントルク指令値TECをスロットル開度演算部62に供給して、図6に示すエンジン回転数NE をパラメータとしてエンジントルク指令値TECと目標スロットル開度指令値θC との関係を表すエンジンマップを参照してスロットル開度指令値θC を算出し、このスロットル開度指令値θC をリミッタ63に供給して、スロットル開度を零から最大値までの値に制限してスロットル開度指令値θC としてスロットル制御装置10に出力する。
【0063】
一方、エンジンブレーキトルク補正部64で、エンジン回転数NE をもとに図7に示すエンジントルクマップを参照してスロットル開度が零のときのエンジントルクTE0を算出し、次いでこのエンジントルクTE0をもとに前記(8)式の演算を行って、エンジンブレーキトルクTEBを算出し、これを減算器65に供給することにより、目標駆動トルクTW * からエンジンブレーキトルクTEBを減算してブレーキトルク指令値TBCを算出し、これを制動力演算部66に供給して、前記(9)式の演算を行うことによりブレーキ液圧指令値PBCを算出し、これをリミッタ67に供給して、制動圧を零からブレーキアクチュエータ7で出力し得る最大制動圧の範囲に制限してブレーキ液圧指令値PBCとしてブレーキ液圧サーボ装置8に出力する。
【0064】
なお、上述した車速制御部50及び駆動軸トルク制御部60で制駆動力制御手段を構成している。
一方、画像処理装置3では、CCDカメラ3aで例えば33.3msecで自車両前方の自車走行レーン及びこれに隣接する左右の隣接走行レーンの状況を撮像し、その画像情報をマイクロコンピュータ3bを経由して、走行制御装置11に送出する。
【0065】
走行制御装置11では、例えば10msecのタイマ割込周期で実行される車間距離制御を行うための制駆動力制御処理と、CCDカメラ3aのビデオレートに同期して例えば33.3msecのタイマ割込周期で実行される隣接走行レーン先行車認識処理と、例えば100msecのタイマ割込周期で実行される車間距離制御における目標車速を演算する車間距離制御処理とをマルチタスク処理する。
【0066】
ここで、隣接走行レーン先行車認識処理は、図8に示すように、先ず、ステップS1で、画像処理装置3でからの画像情報を読込み、次いでステップS2に移行して、白線抽出処理を行って自車走行レーン及びこれに隣接する左右の隣接走行レーンを検出し、隣接走行レーンの先行車を識別する。
次いで、ステップS3に移行して、隣接走行レーンの先行車の自車走行レーン側の方向指示手段としてのウインカーが点滅しているか否かを判定し、ウインカーが点滅していないときには、ステップS4に移行して、隣接走行レーンの隣接先行車が自車走行レーンに車線変更する可能性が少ないものと判断して車線変更の可能性を表す第1の認識度R1を“0”に設定し、これを記憶装置としてのRAMの第1の認識度記憶領域に更新記憶してからタイマ割込処理を終了して所定のメインプログラムに復帰し、ウインカーが点滅しているときには、隣接先行車が自車走行レーンに車線変更する可能性が高いものと判断してステップS5に移行し、第1の認識度R1を例えば“0.6”に設定し、これをRAMの第1の認識度記憶領域に更新記憶してからタイマ割込処理を終了する。
【0067】
この図8の処理が認識度算出手段に対応している。
また、車間距離制御処理は、図9に示すように、ステップS11で、レーザーレーダ測距装置2から出力される自車走行レーンの先行車との車間距離LA 及び車速センサ5で検出した自車速VS を読込み、次いでステップS12に移行して、前記(1)式の演算を行って目標車間距離L* を算出し、次いでステップS13に移行して、前記(3)式の演算を行って目標車速V* を算出し、次いで、ステップS14に移行して、算出した目標車速V* をRAMの目標車速記憶領域に更新記憶してから車間距離制御処理を終了する。
【0068】
さらに、制駆動力制御処理は、図10に示すように、先ず、ステップS21で、RAMの第1の認識度記憶領域に記憶されている第1の認識度R1を読込み、次いでステップS22に移行して、下記(10)式の演算を行うことにより、第1の認識度R1が“0”から“0.6”に変化したときの変化量を抑制する補正値R1C を算出してからステップS23に移行する。
【0069】
R1C =min(R1C +0.2,R1) …………(10)
ステップS23では、目標車速V* 及び自車速VS を読込み、次いでステップS24に移行して、前記(4)式に従って走行抵抗FDHを算出すると共に、下記(11)式の演算を行って目標駆動トルクTW * を算出する。
W * ={KSP(V* −V)−FDH}RW …………(11)
次いで、ステップS24に移行して、下記(12)式の演算を行って前述した目標駆動軸トルクTW * の補正量ΔTW を算出する。
【0070】
ΔTW =−0.3・R1C ・|TW * | …………(12)
次いで、ステップS25に移行して、下記(13)式に示すように目標駆動軸トルクTW * に補正量ΔTW を加算することにより、目標駆動軸トルクTW * を減少方向に補正する。
W * =TW * +ΔTW …………(13)
次いで、ステップS26に移行して、補正した目標駆動軸トルクTW * を基に前記(6)式の演算を行って、エンジントルク指令値TECを算出し、次いでステップS27に移行して、エンジントルク指令値TEC及びエンジン回転数NE をもとに図6のエンジンマップを参照してスロットル開度指令値θC を算出し、次いでステップS28に移行して、リミッタ63に対応するリミッタ処理を行い、次いでステップS29に移行して、リミッタ処理したスロットル開度指令値θC をスロットル制御装置10に出力する。
【0071】
次いで、ステップS30に移行して、スロットル開度指令値θC が“0”であるか否かを判定し、θC =0であるときにはブレーキを必要とするものと判断して、ステップS31に移行する。
このステップS31では、前記エンジン回転数NE 及び燃料カット状態をもとに図7のエンジントルクマップを参照してスロットル開度が零であるときのエンジンブレーキトルクTE0を算出し、これをもとに前記(8)式の演算を行って、エンジンブレーキトルクTEBを算出する。
【0072】
次いで、ステップS32に移行して、前記(9)式の演算を行って制動トルク指令値TBCを算出し、次いでステップS33に移行して、前記(10)式の演算を行ってブレーキ液圧指令値PBCを算出し、次いでステップS34に移行して、算出したブレーキ液圧指令値PBCに対してリミッタ67と同様のリミッタ処理を行ってブレーキ液圧指令値PBCを制限し、次いでステップS35に移行して、ブレーキ液圧指令値PBCをブレーキ液圧サーボ装置8に出力してから制駆動力制御処理を終了する。
【0073】
一方、前記ステップS30の判定結果が、θC >0であるときには、ブレーキを必要としないものと判断してステップS36に移行して、ブレーキ液圧指令値PBCを“0”に設定してから前記ステップS35に移行する。
この図10の処理の処理が制駆動力制御手段に対応し、このうちステップS21、S22、S24及びS25の処理が補正手段に対応している。
【0074】
次に、上記第1の実施形態の動作を説明する。
今、自車両が片側3車線道路の中央レーンを走行しており、この状態で、左右の隣接走行レーンに先行車が存在せず、自車走行レーンで例えば定速走行する先行車を捕捉した状態で適正な目標車間距離を維持して追従走行しているものとする。このとき、先行車が定速走行中であるので、レーザーレーダ測距装置2で検出される車間距離Lが目標車間距離L* を維持することになり、車間距離演算処理で算出される目標車速V* が自車速VS と略等しくなる。
【0075】
また、隣接走行レーンに先行車が存在しないので、先行車認識処理において、先行車のウインカーの点滅を検出することはないので、ステップS3からステップS4に移行して、第1の認識度R1が“0”を維持している。
このため、制駆動力制御処理では、第1の認識度R1が“0”を維持しているので、第1の認識度R1の補正値R1cも“0”を維持し、自車速VS が目標車速V* と略等しくなっているので、ステップS23で走行抵抗FDHに応じた目標駆動トルクTW * が算出される。
【0076】
そして、第1の認識度R1の補正値R1cが“0”であるので、目標駆動トルクTW * に補正値R1cを加算した補正トルクTW * もステップS23で算出した目標駆動トルクTW * そのものの値となり、この目標駆動トルクTW * に基づいてエンジントルク指令値TECが算出され、これに基づいてエンジンマップを参照して正のスロットル開度指令値θC が算出されることにより、スロットル制御装置10で自車走行レーンの先行車に目標車間距離L* を維持して追従走行するスロットル制御が行われると共に、正のスロットル開度指令値θC が算出されることにより、ブレーキ液圧指令値PBCが“0”に設定され、ブレーキ液圧サーボ装置8でブレーキアクチュエータ7が非制動状態に制御される。
【0077】
この自車走行レーンの先行車に追従走行制御している状態で、例えば右側の隣接走行レーン即ち追越走行レーンに自車を追越して先行車が現れると、この隣接先行車が画像処理装置3のCCDカメラ3aで撮影され、マイクロコンピュータ3bに入力され、さらに走行制御装置11の先行車認識処理によって白線処理を行うことにより認識される。この状態で、隣接先行車がウインカーを点滅させていない状態即ち自車走行レーン側への車線変更の可能性がない場合には、第1の認識度R1が“0”に維持されるので、制駆動制御処理では、車間距離制御処理で設定された目標車速V* に応じた目標駆動トルクTW * に基づいてスロットル制御が継続され、自車走行レーンの先行車に追従走行する。
【0078】
この状態で、隣接走行レーンにおける先行車の左ウインカーが点滅した場合には、これが先行車認識処理におけるステップS2で認識され、ステップS3からステップS5に移行して、第1の認識度R1が“0”から“0.6”に変更される。
このため、その後に制駆動力制御処理が実行されると、ステップS22で、前回の“0”の第1の認識度R1に0.2を加算した値と今回の第1の認識度R1=0.6とを比較し、これらのうちの小さい値即ちR1=0.2が補正値R1cとして選択される。
【0079】
このため、ステップS24で算出される目標駆動トルクの補正量ΔTW が今回の目標駆動トルクTW * (n) を0.06倍した負の値となり、この補正量ΔTWを今回の目標駆動トルクTW * (n) に加算して新たな目標駆動トルクTW * (n)が算出されることにより、新たな目標駆動トルクTW * (n) が前回の目標駆動トルクTW * (n-1) に対して0.06TW * だけ減少することになり、これに応じてエンジントルク指令値TECも減少し、スロットル開度指令値θC も減少することにより、自車速VS が減少して自車走行レーンの先行車に対する車間距離Lが目標車間距離L* より大きな値となって、隣接走行レーンの先行車の車線変更による割込みに事前に対処することができる。
【0080】
次いで、10msecが経過して、先行車認識処理が実行される前に、再度制駆動制御処理が実行されると、ステップS22で前回の補正値R1cに0.2を加算した値0.4と第1の認識度0.6とが比較され、これらの小さい値0.4が補正値R1cとして選択されるので、目標駆動トルクTW * (n) が前回値TW * (n-1) に対してさらに減少することにより、スロットル開度指令値θC がさらに減少して、自車速VS がさらに減少し、自車走行レーンの先行車に対する車間距離Lがさらに広がる。
【0081】
さらに、10msecが経過して、先行車認識処理が実行される前に、再度制駆動制御処理が実行されると、ステップS22で前回の補正値R1cに0.2を加算した値0.6と第1の認識度0.6とが比較され、これらの小さい値0.6が補正値R1cとして選択されるので、目標駆動トルクTW * (n) がより小さい値となり、スロットル開度指令値θC がさらに減少して、自車走行レーンの先行車に対する車間距離Lがさらに広がる。
【0082】
この状態で、隣接走行レーンの先行車が自車走行レーンに実際に車線変更して自車の前に割込んできたときには、この割込車をレーザーレーダー測距装置2で補足することになり、車間距離制御処理において、レーザーレーダー測距装置2で検出された車間距離Lに基づいて目標車速V* が算出され、この目標車速V* に自車速VS を一致させるように制駆動力制御処理で目標駆動トルクTW * が算出される。
【0083】
この状態では、隣接走行レーンの先行車が車線変更により自車走行レーンに進入しているので、先行車認識処理においては、隣接先行車として認識されないことになり、たとえウインカーの点滅が継続していても、ステップS3からステップS4に移行して、第1の認識度R1が“0”に設定される。
このため、制駆動力制御処理において、補正値R1cとして、第1の認識度R1=0が選択されるので、目標駆動トルクTW * (n) は補正されることはなく、算出された目標駆動トルクTW * (n) に基づいてエンジントルク指令値TECが算出され、これに基づいてスロットル開度指令値θC が算出される。
【0084】
このとき、隣接走行レーンの先行車が割込むことにより、スロットル開度指令値θC が負の値となったときには、ステップS30からステップS31に移行してエンジンブレーキトルクTEBが算出され、これと目標駆動トルクTW * とに基づいて制動トルク指令値TBCが算出され、これに基づいてブレーキ液圧指令値PBCが算出され、これに基づいてブレーキ液圧サーボ装置8のブレーキアクチュエータ7のブレーキ液圧が制御されて制動制御されて、車間距離Lを目標車間距離L* に一致させる。
【0085】
このように、上記第1の実施形態によると、隣接走行レーンの先行車が自車走行レーン側に車線変更するためにウインカーを作動させた時点で、第1の認識度が“0”から“0.6”に変更され、これに基づいて目標駆動トルクTW * が減少補正されるので、自車走行レーンの先行車に対する車間距離Lが隣接先行車の割込みを予測して、自動的に広げられるので、隣接先行車の割込みを運転者に違和感を与えることなく円滑に許容することができる。
【0086】
しかも、第1の認識度R1が変更されたときに、制駆動力制御処理において、その変化量を小さい値に抑制するようにしているので、急激な車速変化を生じることを抑制することができる。
また、目標駆動トルクTW * を補正するための補正値ΔTW として、目標駆動トルクTW * の絶対値に所定値0.2及び第1の認識度R1の補正値R1cを乗算することにより算出するので、先行車との追従制御状態に応じた最適な補正値ΔTW を算出することができる。
【0087】
なお、上記第1の実施形態においては、目標駆動トルクTW * に対する補正値ΔTW を第1の認識度R1を目標駆動トルクTW * の絶対値に乗算することにより算出する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、第1の認識度R1を直接目標駆動トルクTW * から減算することにより、目標駆動トルクTW * を補正するようにしてもよい。
【0088】
また、上記第1の実施形態においては、車間距離偏差に基づいて算出される目標車速V* に基づいて目標駆動トルクTW * を算出し、この目標駆動トルクTW * を補正する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、車間距離偏差に基づいて目標加減速度を算出し、この目標加減速度に基づいてスロットル開度及び制動力を制御することもでき、この場合には目標加減速度を第1の認識度R1に基づいて補正するようにすればよい。
【0089】
次に、本発明の第2の実施形態を図11〜図15について説明する。
この第2の実施形態は、隣接走行レーンを走行する先行車を認識し、且つナビゲーション装置等の道路地図情報から隣接走行レーンの幅員が減少することを認識したときに、隣接走行レーンの先行車が自車の前に割込むものと予測して事前に先行車との車間距離を広げるようにしたものである。
【0090】
すなわち、第2の実施形態においては、走行制御装置11で実行する先行車認識処理、車間距離制御処理及び制駆動力制御処理が図11、図12及び図13に示すように変更されている。
先行車認識処理は、図11に示すように、前記第1の実施形態におけるステップS3〜S5が省略され、これらに代えて、隣接先行車を認識しているか否かをステップS41で判定し、その判定結果が隣接先行車を認識しているときに、ステップS42に移行して、車載のナビゲーション装置の道路地図情報に基づいて隣接先行車を認識した隣接走行レーンの幅員が減少するか否かを判定し、その判定結果が隣接走行レーンの幅員が減少するものであるときにはステップS43に移行して、第3の認識度R3を算出してから前記ステップS6に移行し、ステップS41の判定結果が隣接先行車を認識していないとき及びステップS42の判定結果が隣接走行レーンの幅員が減少しないときにはステップS44に移行して、第3の認識度R3を“0”に設定してからステップS6に移行するように変更されていることを除いては図8と同様の処理を行い、図8との対応する処理には同一のステップ番号を付し、その詳細説明はこれを省略する。
【0091】
ここで、ステップS43では、下記(14)式に従って第3の認識度R3を算出する。
R3=func1 (L* −LB )×func3 (LN ) …………(14)
ここで、func1 (X)は図14に示すような車間距離偏差Xが“0”であるときに例えば0.5となり、これより車間距離偏差Xが負方向に減少するにつれて比較的急激に0.1程度まで減少した後比較的緩やかに減少し、逆に正方向に増加するにつれて比較的急激に増加した後“1”近傍まで比較的緩やかに増加する関数に設定され、func3 (Y)は図15に示すように、距離LN が“0”で“1”となり、距離LN が長くなるに従って徐々に減少する一次関数に設定されている。
【0092】
この図11の処理が認識度算出手段に対応している。
また、車間距離制御処理は、図12に示すように、前記第1の実施形態における図9の処理において、ステップS12及びステップS13間に第3の認識度R3に基づいて目標車間距離L* を補正した補正値L* cを算出するステップS45が介挿され、ステップS13で前記(3)式における目標車間距離L* を目標車間距離補正値L* cに置換した演算を行うことを除いては図9と同様の処理を行い図9との対応処理には同一ステップ番号を付しその詳細説明はこれを省略する。
【0093】
ここで、ステップS45では、第3の認識度R3及び目標車間距離L* をもとに下記(15)式の演算を行うことより、目標車間距離補正値L* cを算出する。
* c=L* +0.2×R3×L* …………(15)
したがって、ステップS45で第3の認識度R3に応じて最大で目標車間距離L* の20%の車間距離増加補正を掛けることになる。
【0094】
この図11の処理において、ステップS45の処理が補正手段に対応している。
さらに、制駆動力制御処理は、図13に示すように、第1の実施形態における図10の処理において、ステップS21、S22、S24及びS25の処理が省略されていることを除いては図10と同一の処理を行い、図10との対応処理には同一ステップ番号を付し、その詳細説明はこれを省略する。
【0095】
この第2の実施形態によると、図11の先行車認識処理で、隣接走行レーンで先行車を認識していないとき又は先行車を認識しているがその先行車の走行レーンの幅員が狭くならないときには、前記第1の実施形態と同様に、第3の認識度R3が“0”に選定されることにより、図12の車間距離制御処理におけるステップS45で算出される目標車間距離補正値L* cが目標車間距離L* と等しい値となり、これに基づいて目標車速V* が算出され、この目標車速V* に基づいて図13の制駆動力制御処理で目標駆動トルクTW * が算出され、これに基づいてスロットル制御装置10又はブレーキ液圧サーボ装置8が制御されて自車走行レーンにおける先行車に追従走行する。
【0096】
この追従走行状態で、隣接走行レーンで先行車を認識し、且つナビゲーション装置の道路地図情報に基づいて先行車を認識した隣接走行レーンの幅員が狭まることを認識すると、図11の先行車認識処理におけるステップS43で、前記(14)式の演算を行って第3の認識度R3を算出する。
この第3の認識度R3は、func1 (X)が図14に示すように、車間距離偏差X(=L* −LB )が負であるとき即ち隣接先行車との車間距離LB が目標車間距離L* より大きいときには“0”に近い値となり、またfunc2 (Y)が図15に示すように幅員減少までの距離LN が大きい程小さい値となることにより、隣接先行車との車間距離LB が目標車間距離L* より大きく且つ幅員減少までの距離LN が大きいときには、前記(15)式における右辺第2項の0.2×R3×L* の値が“0”に近い値となって、図12の車間距離制御処理におけるステップS45で算出される目標車間距離補正値L* cがステップS12で算出される目標車間距離L* と略等しい値となり、自車走行レーンの先行車に対して車間距離LA を目標車間距離L* に一致させる通常の追従走行制御を継続する。
【0097】
ところが、隣接走行レーンの幅員減少地点までの距離LN が短くなって、隣接先行車が減速することにより、自車との車間距離LB が小さくなり、目標車間距離L* に近づくと、func1 (X)が図14に示すように急激に増加することになり、幅員減少地点までの距離LN が減少することと相まって第3の認識度R3が増加し、これによって図12の車間距離制御処理における目標車間距離補正値L* cの値がステップS12で算出される目標車間距離L* より大きな値となる。
【0098】
このため、この目標車間距離補正値L* cに基づいて目標車速V* が算出されるので、この目標車速V* が小さい値に抑制され、図13の制駆動力制御処理で算出される目標駆動トルクTW * が減少することにより、スロットル開度指令値θC が減少して、自車速VS が減少し、自車走行レーンの先行車との間の車間距離LA が徐々に広げられる。
【0099】
このように、隣接走行レーンの幅員が減少する場合に、幅員減少地点で隣接走行レーンを走行している先行車が自車走行レーンに割込むことを予測して、幅員減少地点までの距離LN が小さくなる程、また隣接先行車との車間距離LB が小さくなる程目標車間距離補正値L* cを大きな値とするので、実際に幅員減少地点に到達して隣接先行車が自車走行レーンに割込むときには、自車走行レーンの先行車との間で必要な車間距離を十分に確保することができ、運転者に違和感を与えることなく、隣接先行車の割込みを許容することができる。
【0100】
なお、上記第2の実施形態においては、第3の認識度R3に基づいて目標車間距離L* を補正する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、前述した第1の実施形態と同様に目標駆動トルクTW * や目標加減速度を自車速VS が減少する方向に補正するようにしてもよい。
次に、本発明の第3の実施形態を図16〜図18について説明する。
【0101】
この第3の実施形態は、隣接走行レーンの走行車の実際の車線変更動作に応じて追従走行制御の補正を行うようにしたものである。
すなわち、第3の実施形態においては、走行制御装置11で実行する先行車認識処理、車間距離制御処理が図16及び図17に示すように変更され、且つ制駆動力制御処理が第2の実施形態における図13と同様に変更されている。
【0102】
先行車認識処理は、図16に示すように、前述した第1の実施形態における図8におけるステップS3〜S5の処理が省略され、これらに代えて、ステップS2で抽出した隣接走行レーンを走行している先行車の自車走行レーンへの接近量及び進入量を表す自車走行レーン及び隣接走行レーン間の白線に対する横方向距離y(m)を白線より隣接走行レーン側にあるときに正の値、自車走行レーン側にあるときに負の値として算出するステップS51と、このステップS51で算出された横方向距離yに基づいて下記(16)式の演算を行って第2の認識度R2を算出するステップS52とが設けられていることを除いては図8と同様の処理を行い、図8との対応処理には同一のステップ番号を付し、その詳細説明はこれを省略する。
【0103】
R2=−(y−0.3) …………(16)
この図16の処理が認識度算出手段に対応している。
また、車間距離制御処理は、図17に示すように、前述した第1の実施形態における図9の処理におけるステップS11及びS12間に車間時間T0を第2の認識度R2に基づいて補正する下記(17)式の演算を行う車間時間補正処理を行うステップS53が介挿されていることを除いては図9と同様の処理を行い、図9との対応処理には同一ステップ番号を付し、その詳細説明はこれを省略する。
【0104】
T0=T0S +R2/2 …………(17)
ここで、T0S は予め設定された車間時間である。この図17の処理において、ステップS53の処理が補正手段に対応している。この第3の実施形態によると、隣接走行レーンを走行している先行車が自車走行レーンとの境界の白線に対する横方向距離yが例えば1mである場合には、図16の先行車認識処理におけるステップS52で算出される第2の認識度R2が「−0.7」となることから図17の車間距離制御処理におけるステップS53で算出される車間時間T0が予め設定された車間時間T0S より小さい値となる。このため、ステップS12で算出される目標車間距離L* も小さい値となり、ステップS13で算出される目標車速V* が増加され、これに応じてスロットル開度指令値θC が増加されて、自車走行レーンの先行車との車間距離LA 目標車間距離L* に一致させるように追従走行制御される。
【0105】
この状態から、隣接走行レーンを走行している先行車が自車走行レーン側に車線変更を開始し、これに応じて横方向距離yが減少すると、第2の認識度R2が負の値から“0”に近づくことにより、車間距離制御処理のステップS53で算出される車間時間T0が予め設定された車間時間T0S に近づくことにより、目標車間距離L* が増加し、目標車速V* が抑制される。このため、制駆動力制御処理で目標駆動トルクTW が減少して、スロットル開度指令値θC が減少し、自車走行レーンの先行車に対する車間距離LA が広がる。
【0106】
その後、さらに隣接先行車が車線変更を継続して、横方向距離yが0.3m未満となると、第2の認識度R2が正の値となることにより、車間距離制御処理で算出される車間時間T0が予め設定された車間時間T0S より大きな値となり、これに応じて目標車間距離L* が増加して、目標車速V* が減少し、目標駆動トルクTW * も減少するこにより、スロットル開度指令値θC が減少し、自車走行レーンの先行車に対する車間距離LA がさらに広がり、隣接先行車が自車走行レーンに進入すると横方向距離yが負の値となるので、第2の認識度R2がより大きな値となって、自車走行レーンの先行車に対する車間距離LA がより拡大し、その後、割込み状態となってレーザーレーダー測距装置2で先行車として補足されると、この割込み車を先行車とする通常の制御状態に移行する。
【0107】
この第3の実施形態では、隣接走行レーンを走行している先行車が実際に自車走行レーン側に車線変更を始めたときに、自車走行レーンへの接近量及び進入量に応じて自車走行レーンの先行車に対する車間時間T0が補正されるので、隣接走行レーンの先行車が自車走行レーンに近づくに従って車間距離LA が長くなり、運転者に違和感を与えることなく、割込車両を許容することができ、この場合には先行車がウインカーを作動させることなく車線変更した場合でも確実に円滑な追従走行制御を継続することができる。
【0108】
なお、上記第3の実施形態においては、第2の認識度R2に基づいて車間時間T0を補正する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、第2の実施形態と同様に、目標車間距離L* 、目標車速V* 、目標駆動トルクTW * 及び目標加減速度の何れかを補正するようにしてもよい。
次に、本発明の第4の実施形態を図18〜図21について説明する。
【0109】
この第4の実施形態は、隣接走行レーンを走行する隣接先行車の自車走行レーンへの車線変更をより正確に判断するようにしたものである。
すなわち、第4の実施形態では、先行車認識処理及び車間制御処理が図18及び図19に示すように変更され、制駆動力制御処理は第2の実施形態における図13と同様の処理を行う。
【0110】
先行車認識処理は、図18に示すように、第1の実施形態における図8の処理におけるステップS2とステップS3との間に上記第3の実施形態における横方向距離yを算出するステップS51及び第2の確信度R2を算出するステップS52が介挿され、さらに、ステップS6が省略されて、これに代えて、下記(18)式の演算を行って隣接先行車の車線変更による自車の影響の程度を表す確信度Sを算出するステップS61と、このステップS61で算出した確信度SをRAM11cの確信度記憶領域に更新記憶するステップS62とが追加されていることを除いては図8と同様の処理を行い、図8との対応処理には同一ステップ番号を付し、その詳細説明はこれを省略する。
【0111】
S=R2・func1 (L* −LB
+R1・func3 (ΔVB )・func1 (L* −LB )……(18)
ここで、func3 (ΔVB )は、図20に示すように、隣接先行車との間の相対速度(隣接先行車との車間距離LB を微分して算出する)の関数であり、相対速度ΔVB が“0”の近傍で略“1”の値をとり、これより相対速度ΔVB が正方向に増加又は負方向に減少することにより、略対称的に減少する値となる。
【0112】
この図18の処理において、ステップS1、S2、S51、S52、S3、S4及びS5の処理が認識度算出手段に対応し、ステップS61の処理が確信度算出手段に対応している。
また、車間距離制御処理は、図19に示すように、第1の実施形態におけるステップS13及びステップS14との間に下記(19)式に従って目標車速V* の時間変化率の加速度制限値AL を演算するステップS63と、下記(20)式に示すようにステップS13で算出した目標車速V* (n)1と前回の目標車速V* (n-1) にステップS63で算出した加速度制限値AL とを加算した加算値とを比較し、何れか小さい方を選択する加速度制限処理を行うステップS64とが介挿されていることを除いては図9と同様の処理を行い、図9との対応処理には同一ステップ番号を付し、その詳細説明はこれを省略する。
【0113】
L =func4 (VS )・(1−S) …………(19)
* (n) =min(V* (n) ,V* (n-1) +AL ・TS ) ……(20)
ここで、func4 (VS )は図21に示すように、自車速VS の関数であって、自車速VS が“0”から所定値VS1までの間は一定値例えば0.15となり、所定値VS1を越えると自車速VS の増加に伴って減少し、所定値VS2以上となると一定値例えば0.04となるように設定され、V* (n-1) は前回の目標車速、TS は車間距離制御処理のタイマ割込周期(100msec)である。
【0114】
この図19の処理において、ステップS63及びS64の処理が補正手段に対応している。
この第4の実施形態によると、ウインカーを認識したときの第1の確信度R1と、隣接先行車の実際の車線変更による接近量及び進入量を表す横方向距離yに基づく第2の確信度R2とをもとに、(18)式の演算を行って確信度Sを算出するようにしているので、ウインカーを作動させないで隣接走行レーンの先行車が自車走行レーンに接近している度合いが大きく第2の確信度R2が正の値となる場合であっても、この隣接先行車との車間距離LB が目標車間距離L* より大きい場合には、制御系の特性補正における過剰な反応を避けるために、図14に示すように、func1 (X)が“0”近傍の小さい値となるので、確信度Sも小さい値となり、通常時と同様の加速度制限値ALSに基づく加速度制限が行われることにより、目標車速V* の変化量が大きくなり、追従走行制御の感度を向上させた状態に維持する。
【0115】
しかしながら、隣接先行車との車間距離LB が目標車間距離L* より小さいときには、隣接先行車の割込みによって自車の受ける影響が大きいので、第2の認識度R2に近い値の確信度Sが算出される。
同様に、ウインカーの作動を認識して、第1の認識度R1が“0.6”に設定された場合でも、自車との相対速度ΔVB が大きい場合即ち自車速VS に対して隣接先行車の車速VP が速いときには隣接先行車が割込んでもすぐ車間距離が長くなり、逆に隣接先行車の車速VP が遅いときには自車が追い越してから車線変更をするものと判断でき、隣接先行車の割込みが自車に与える影響が少なく、同様に車間距離LB が目標車間距離L* より大きいときにも隣接先行車の割込みが自車に与える影響が少ないので、制御系の特性補正における過剰な反応を避けるために、確信度Sが小さい値となる。
【0116】
したがって、隣接先行車が自車走行レーンに車線変更中であるときに、自車走行レーンの先行車が加速状態となって、自車も追従して加速する場合には、隣接先行車の接近量、隣接先行車との車間距離及び相対速度を考慮して適切な加速制限が行われることになり、運転者に違和感を与えることを確実に防止することができる。
【0117】
しかも、自車速VS が設定車速VS2より高い場合には、func4 (VS )が図21に示すように、低車速時の1/4程度の0.04に設定されることから、加速度制限値AL も小さい値となり、急加速が制限されて、安全走行を確保することができる。
次に、本発明の第5の実施形態を図22について説明する。
【0118】
この第5の実施形態は、上記第4の実施形態の確信度Sを使用して目標車間距離を自車走行レーンの先行車との車間距離から隣接走行レーンの先行車との車間距離に滑らかに推移させるようにしたものである。
すなわち、第5の実施形態では、先行車認識処理及び制駆動力制御処理は上記第4の実施形態と同様の処理を行うが、車間距離制御処理が図22に示すように変更されている。
【0119】
この車間距離制御処理は、図22に示すように、第1の実施形態における図9の車間距離制御処理において、ステップS11で、自車走行レーンの先行車との車間距離LA 、隣接走行レーンの先行車との車間距離LB 及び自車速VS を読込むと共に、ステップS12が、下記(21)式の演算を行って目標車間距離L* を算出するステップS71に置換されていることを除いては図9と同様の処理を行い、図9との対応処理には同一ステップ番号を付し、その詳細説明はこれを省略する。
【0120】
* =T0・VS (1−S)+T0(VS +ΔVB )・S ……(21)
ここで、ΔVB は隣接先行車との間の相対速度であり、車間距離LB を微分して算出する。
この図22の処理において、ステップS71の処理が補正手段に対応している。
【0121】
この第5の実施形態によると、隣接走行レーンを走行している隣接先行車が自車走行レーンに割込む可能性がなく、確信度Sが“0”であるときには、目標車間距離L* が自車速VS に基づいて算出され、これから隣接先行車が自車走行レーンに割込む可能性が高くなるにつれて、確信度Sが大きな値となり、これによって目標車間距離L* が自車速VS と隣接先行車の車速(VS +ΔVB )との双方に基づいて算出され、確信度Sが“1”となると、隣接先行車の車速に基づいて目標車間距離L* が算出されるので、隣接先行車が車線変更して自車走行レーンに進入するに従って目標車間距離L* の隣接先行車の車速に基づく成分が多くなり、隣接先行車がウインカーを作動させてから実際の車線変更に応じて目標車間距離L* が滑らかに推移することになり、割込んだ先行車の車速に合わせた追従走行制御系の切換えを運転者に違和感を与えることなく滑らかに行うことができる。
【0122】
次に、本発明の第6の実施形態を図23について説明する。
この第6の実施形態は、前記第4の実施形態の確信度Sを使用して車間距離を自車走行レーンの先行車との車間距離から隣接走行レーンの先行車との車間距離に滑らかに推移させるようにしたものである。
すなわち、第6の実施形態では、先行車認識処理及び制駆動力制御処理は上記第4の実施形態と同様の処理を行うが、車間距離制御処理が図23に示すように変更されている。
【0123】
この車間距離制御処理は、図23に示すように、ステップS11で、自車走行レーンの先行車との車間距離LA 、隣接走行レーンの先行車との車間距離LB 及び自車速VS を読込み、次いでステップS81に移行して、車間距離LA 及びLB をもとに下記(22)式の演算を行って車間距離Lを算出してからステップS12に移行することを除いては第1の実施形態の図9の処理と同様の処理を行い、図9との対応処理には同一ステップ番号を付し、その詳細説明はこれを省略する。
【0124】
L=LA (1−S)+LB ・S …………(22)
この図23の処理において、ステップS81の処理が補正手段に対応している。
この第6の実施形態によると、隣接走行レーンの隣接先行車が自車走行レーンに車線変更する可能性がなく確信度Sが“0”であるときには、車間距離Lが自車走行レーンの先行車との車間距離LA のみによって算出されるが、隣接先行車が自車走行レーンに車線変更する可能性が高くなって確信度Sが増加することにより、自車走行レーンの先行車との車間距離LA 分が減少し、これに代えて隣接先行車との車間距離LB の成分が増加し、確信度Sが“1”となると隣接先行車との車間距離LB のみによって車間距離Lが算出されることになり、複数の先行車との車間距離を滑らかに補間した車間距離Lを求めることができる。
【0125】
したがって、隣接先行車の割込みにより、追従制御の対象となる先行車が入れ替わった際や、隣接走行レーンの先行車が完全に割込まない場合でも、適切な車間距離を用いて追従制御処理を行うことができ、運転者の隣接先行車認識度に合わせた追従走行制御を行うことができる。
なお、上記各実施形態においては、本発明を追従走行制御装置に適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、認識度又は確信度に基づいて目標車速V* の補正、目標駆動トルクTW * の補正及び加速度制限を行う場合には、前述した車間距離制御処理において、車間距離の読込み、目標車間距離L* の演算を省略すると共に、目標車速V* を設定車速に置換することにより、この設定車速を維持するようにした定速走行制御装置にも本発明を適用することができる。
【0126】
また、上記各実施形態においては、ブレーキ液圧サーボ装置8を使用してブレーキアクチュエータを制御する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、ブレーキアクチュエータとして、電動モータを使用して制動力を制御する構成とする場合には、ブレーキ液圧指令値PBCに代えて電動モータの電流指令値を算出するようにすればよく、同様にエンジンに代えて電動モータを適用する場合には、スロットル開度指令値θC に代えて電流指令値を算出するようにすればよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す概略構成図である。
【図2】図1の追従制御用コントローラの具体的構成を示すブロック図である。
【図3】図2の車間距離制御部の具体例を示すブロック線図である。
【図4】図2の車速制御部の具体例を示すブロック線図である。
【図5】図2の駆動軸トルク制御制御部の具体例を示すブロック線図である。
【図6】スロットル開度からエンジントルクを求めるためのエンジンマップの一例を示す特性線図である。
【図7】 スロットル開度が零であるときのエンジン回転数からエンジントルクを求めるための特性線図である。
【図8】図1の走行制御装置の先行車認識処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図9】図1の走行制御装置の車間距離制御処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図10】図1の走行制御装置の制駆動力制御処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図11】本発明の第2の実施形態における走行制御装置の先行車認識処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図12】本発明の第2の実施形態における走行制御装置の車間距離制御処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図13】本発明の第2の実施形態における走行制御装置の制駆動力制御処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図14】図11の先行車認識処理で使用する車間距離偏差と関数出力値との関係を示す特性線図である。
【図15】図11の先行車認識処理で使用する幅員減少地点までの距離と関数関数出力値との関係を示す特性線図である。
【図16】本発明の第3の実施形態における走行制御装置の先行車認識処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図17】本発明の第3の実施形態における走行制御装置の車間距離制御処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図18】本発明の第4の実施形態における走行制御装置の先行車認識処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図19】本発明の第4の実施形態における走行制御装置の車間距離制御処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図20】図18の先行車認識処理で使用する相対速度と関数出力値との関係を示す特性線図である。
【図21】図18の先行車認識処理で使用する自車速と関数出力値との関係を示す特性線図である。
【図22】本発明の第5の実施形態における走行制御装置の車間距離制御処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図23】本発明の第6の実施形態における走行制御装置の車間距離制御処理手順の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 車両
2 レーザーレーダ測距装置
3 画像処理装置
3a CCDカメラ
5 車速センサ
7 ディスクブレーキ
8 ブレーキ液圧サーボ装置
10 スロットル制御装置
11 走行制御装置
40 車間距離制御部
50 車速制御部
60 駆動軸トルク制御部
70 補正部

Claims (4)

  1. 自車速を検出する車速検出手段と、該車速検出手段で検出した自車速を目標車間距離に基づく目標車速及び設定車速の何れかに一致させるように制動力及び駆動力の何れかを制御する制駆動力制御手段とを備えた車両用走行制御装置において、
    自車走行レーンに隣接する隣接走行レーンを走行する先行車の車線変更予告を検出して所定値の第1の認識度を設定すると共に、自車走行レーンへの接近量及び進入量を検出して隣接先行車が自車走行レーンに車線変更を行う可能性の度合いを表す第2の認識度を算出する認識度算出手段と、該認識度算出手段で求めた第1の認識度及び第2の認識度と前記制駆動力制御手段で用いられる情報中の隣接走行レーンを走行する先行車の車間距離制御に関する車間距離及び相対速度に基づいて隣接先行車が自車レーンに車線変更したときの自車の受ける影響の程度を表す確信度を算出する確信度算出手段と、該確信度算出手段で算出した確信度が増加すると前記制駆動力制御手段による加速制御時における駆動力の減少補正を行う補正手段とを備え
    前記認識度算出手段は、隣接先行車の画像情報を形成する画像情報形成手段と、該画像情報形成手段で形成された先行車画像情報に基づいて隣接レーンを走行する先行車の方向指示手段で方向指示を行っているときに隣接先行車の車線変更の可能性を認識する車線変更認識手段と、該車線変更認識手段で隣接先行車の車線変更の可能性を認識したときに、所定値の第1の認識度を設定する認識度選定手段と、前記画像情報形成手段で形成された先行車画像情報に基づいて前記隣接レーンを走行する先行車の自車走行レーンへの接近量及び進入量を検出する車線変更検出手段と、該車線変更検出手段で検出した接近量及び進入量に基づいて第2の認識度を演算する認識度演算手段とを有することを特徴とする車両用走行制御装置。
  2. 自車と隣接レーン先行車との間の車間距離を検出する車間距離検出手段と、自車と隣接レーン先行車との相対車速を検出する相対車速検出手段とを有し、前記確信度算出手段は、確信度を前記第1の認識度と前記相対車速検出手段で検出した相対車速に基づく変数及び前記車間距離検出手段で検出した車間距離に基づく変数との乗算値と、前記第2の認識度と前記車間距離検出手段で検出した車間距離に基づく変数との乗算値との和で算出することを特徴とする請求項に記載の車両用走行制御装置。
  3. 前記補正手段は、確信度算出手段で算出された確信度が大きいときに、前記目標車間距離を自車レーンにおける先行車までの目標車間距離から隣接レーンにおける先行車までの目標車間距離に切換えるように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用走行制御装置。
  4. 前記車間距離検出手段は、自車レーンにおける先行車との車間距離から隣接レーンにおける先行車との車間距離へ変更する際に、前記確信度算出手段の確信度に応じて滑らかに補間した値を前記制駆動力制御手段に出力するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至の何れか1項に記載の車両用走行制御装置。
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