JP4276727B2 - バルブ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明はタンクに備えられる逆流防止機能を備えたバルブ、特に、案内される流体を、その流体の流れの向きを出口側において変えると共に、この流れの変更に伴う流体の供給能力の減少を回避するバルブの提供、並びに、タンクに対して溶着一体として用いられるプラスチック製のバルブにあって、弁体による弁座の安定な閉止をなし得るようにしたバルブの提供に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車の燃料タンクにおける燃料の供給口部分に、給油時などにおいて、この燃料タンク側からガソリンなどが逆流しないように、流体の逆流防止手段を備えたバルブを設けるようにしている。
【0003】
かかるバルブ100は、このバルブ100の備えられる燃料タンク120がプラスチック製である場合、図16において示されるように、このバルブ100を、その中間部分に環状の外周鍔103を備えた筒状のプラスチック製のものとし、この外周鍔103の前後を挿入筒部101、及びフィラーホース130取付け筒部102とし、この挿入筒部101の先端開口を、該挿入筒部の中心線に直交する向きの開口とし、この開口の開口端面を弁座として該弁座に板状弁体105が鉛直の向きに押し当てられるように設けた構成とし、この挿入筒部101を、当該燃料タンク120に設けた取付け孔121に対して水平の向きに差し込むと共に、前記外周鍔103を当該燃料タンク120の取付け孔121の周壁122部分に当接溶着するように構成したものがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このように構成されるバルブ100にあっては、燃料タンク120に対して、該燃料タンク120の取付け孔121に該バルブ100の挿入筒部101側を差し入れ溶着することによって、このバルブ100を該燃料タンク120に取付け得ると共に、該燃料タンク120側の内圧が高くなった場合にあっても、当該燃料タンク120側からの燃料などの逆流が防がれる特長を有する反面、フィラーホース130から燃料タンク120に向けて該バルブ100で案内されるガソリンなどの流体が、当該バルブ100の出口側において、その向きを変更されることなく、そのまま、当該燃料タンク120内に流入される不具合があった。
【0005】
かかる点から、図17において示されるように、中間部分に環状の外周鍔103を備えた筒状のプラスチック製をなすバルブ100を用意し、この外周鍔103の前後を挿入筒部101、及び取付け筒部102とし、さらに、この挿入筒部101の先端開口部分の筒上部側を塞ぎ板部104によって塞ぐと共に、この塞ぎ板部104の下端縁と当該先端開口部端との間に構成される該筒状部の中心線に直交する向きの半円弧状の開口の開口端面を弁座として、この弁座に板状弁体105が鉛直の向きに押し当てられるように設けられる構成とし、この挿入筒部101を、当該燃料タンク120に設けた取付け孔121に差し込み状態として、前記外周鍔103を当該燃料タンク120の取付け孔121の周壁122部分に当接溶着するようにバルブ100を構成することが試みられた。
【0006】
しかしながら、かかる構成からなるバルブ100にあっては、燃料タンク120に備え付け構成されるバルブ100の先端側において、当該供給燃料などの流体の向きを変えて、これを燃料タンク120に供給し得る特長を有する反面、当該バルブ100の出口側における開口面積が、当該バルブ100における入口側における開口面積よりも大幅に小さくなり、これによって円滑な給油性が損なわれる不具合が考えられた。
【0007】
この発明は、かかる従来のバルブにおける不具合を解消し、バルブの先端側において、その供給流体の向きを変更すると共に、この流体の向きの変更に伴う流体供給特性の減少を回避し得るようになし、また、かかる供給特性の減少回避の手段が誘起する流体遮断特性の減少を効果的に回避し得るようにしたバルブの提供を、その主要な目的の一つとしている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するために請求項1記載に係る発明は、出口側に、少なくとも出口側開口端面を弁座として、入口側から該出口側に向けた流体の移動によって開き出し、且つ、出口側開口から入口側に向けた逆流を防止する弁体が設けてある筒状をなすバルブであって、
該バルブが、該バルブの取付けられるタンクの取付け孔の外方から前記出口側を先にして該バルブに備えられている外周鍔を該タンク面に当接するように差し入れ且つ該外周鍔を該タンクに溶着して用いるように構成してあると共に、
このバルブにおける出口側の先端部が、当該バルブによって案内される流体の流れの向きを変える筒壁部を備えていると共に、前記出口側開口が入口側開口よりも大きい開口面積となるように該バルブにおける前記筒壁部に案内される流体の流れの向きと斜めに交差する向きの開口としてあることを特徴とするバルブとしてある。
【0009】
このように構成されるバルブにあっては、出口側に流体の逆流を防止する弁体を備えたバルブを、タンクに対して、その取付け孔の外側から当該バルブの出口側を先にして差し入れ、且つ、これを該タンクに溶着一体とすることが可能であり、しかも、このバルブに案内される流体を当該バルブの出口側において、その供給流量を減少することなく、その流れの向きを変え得るように設けることができる。
【0010】
更に、かかる目的を達成するために請求項2記載に係る発明は、前記請求項1記載のバルブが、外周鍔を有する筒状体であって該外周鍔の前後がホースの取付け筒状部と接続筒状部とされているプラスチック製の第1筒状体と、この第1筒状体における前記接続筒状部に接続されると共に先端部に弁体の備えられたプラスチック製の第2筒状体とを有し、少なくとも前記弁体と該弁体を備える前記第2筒状体とが、前記第1筒状体よりも膨潤し難いプラスチック材からなることを特徴とするバルブとしてある。
【0011】
このように構成されるバルブにあっては、当該バルブを、その出口側を先にして取付け孔に対して外方から差し入れ、且つ、これをタンクに対して溶着一体に取付け可能であると共に、該バルブにおける流体の供給量に減少をもたらすことなく、該バルブに案内される流体を当該バルブの出口側において流れの向きを変え、しかも、該バルブの出口側に備えられる弁体を、流路の開閉性能の良好な状態に備えさせることが可能とされる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の典型的な一実施の形態に係るバルブBについて詳細に説明する。
【0013】
図1は、この実施の形態に係るバルブBの備え付け状態を弁体31を弁座24bに当接している状態を、図2は、この弁体31を流体Cの流圧によって開き出している状態を、夫々断面図の状態で示している。
図3は、このバルブBを構成する各構成部品を分離した状態を斜め上方から斜視図の状態で、さらに、図4では、これを下面側から同様に斜視図の状態で見て示している。
図5は、当該各構成部品の組み付けられたバルブBを上面側から、図6では、これを正面側から、図7では、これを下面側から、図8では、更に、これを右側面側から見て、夫々示すものであり、図9では、これをバルブBの軸方向に縦断面で示している。また、図10は、このバルブBにおける出口側開口部分における弁体31による閉止状態を下面側から見た要部図としてあり、図11は、このバルブBを構成する第1筒状体11と第2筒状体21との接合部をバルブBの直径方向で縦断面することによって示している。
更に、図12は、このバルブBを構成する第1筒状体11を正面側から見て、図13では、これを当該筒状体11の軸方向で縦断面することによって、更に、図14は、これを左側面側から見て、図15は、その要部を拡大断面することによって示している。
【0014】
かかる実施の形態に係るバルブBは、出口側Bbに、少なくとも出口側開口端面24aを弁座24bとして、入口側Baから該出口側Bbに向けた流体Cの移動によって開き出し、且つ、出口側開口24から入口側Baに向けた逆流を防止する弁体31が設けてある筒状をなすバルブBであって、
該バルブBが、該バルブBの取付けられるタンクAの取付け孔2の外方から前記出口側Bbを先にして該バルブBに備えられている外周鍔12を該タンクA面に当接するように差し入れ且つ該外周鍔12を該タンクAに溶着して用いるように構成してあると共に、
このバルブBにおける出口側Bbの先端部が、当該バルブBによって案内される流体Cの流れの向きを変える筒壁部23’を備えていると共に、前記出口側開口24が入口側開口19よりも大きい開口面積となるように該バルブBにおける前記筒壁部23’に案内される流体Cの流れの向きと斜めに交差する向きの開口24としてある。
【0015】
このように構成されるバルブBにあっては、出口側Bbに流体Cの逆流を防止する弁体31を備えたバルブBを、タンクAに対して、その取付け孔2の外側から当該バルブBの出口側Bbを先にして差し入れ、且つ、これを該タンクAに溶着一体とすることが可能であり、しかも、このバルブBに案内される流体Cを当該バルブBの出口側Bb部において、その供給流量を減少することなく、その流れの向きを変え得るように設けることができる。
【0016】
更に、かかる目的を達成するために請求項2記載に係る発明は、前記請求項1記載のバルブBが、外周鍔12を有する筒状体であって該外周鍔12の前後がホース50の取付け筒状部11aと接続筒状部11bとされているプラスチック製の第1筒状体11と、この第1筒状体11における前記接続筒状部11bに接続されると共に先端部に弁体31の備えられたプラスチック製の第2筒状体21とを有し、少なくとも前記弁体31と該弁体31を備える前記第2筒状体21とが、前記第1筒状体11よりも膨潤し難いプラスチック材からなる構成としてある。
【0017】
このように構成されるバルブBにあっては、当該バルブBを、その出口側Bbを先にして取付け孔2に対して外方から差し入れ、且つ、これをタンクAに対して溶着一体に取付け可能であると共に、該バルブBにおける流体Cの供給量に減少をもたらすことなく、該バルブBに案内される流体Cを当該バルブBの出口側Bb部において流れの向きを変え、しかも、該バルブBの出口側Bbに備えられる弁体31を、流路の開閉性能の良好な状態に備えさせることが可能とされる。
【0018】
この実施の形態に係るバルブBは、更に具体的には、各種流体Cを、極力流体抵抗の少ない状態で供給すると共に、 出口側Bbに逆流防止用の板状の弁体31を備えたものとしてあり、典型的にはプラスチック製のタンクA、より具体的には、自動車に備えられている燃料タンクA’などのプラスチック製のタンクAに対して、当該バルブBを差し込み状態で溶着一体に組み付け用い得ると共に、ガソリンなどの燃料を供給する際に給油性が損われず、しかも、備えられている逆流防止用の弁体31が、少なくとも、当該弁体31及び該弁体31の備えられる第2筒状体21を構成するプラスチック材の膨潤に伴って作動不良を生ずることのないように考慮されたバルブBの提供をなすものである。
【0019】
この実施の形態に係るバルブBは、当該バルブBを、相互に水密的に接続して用いられるプラスチック製の第1筒状体11とプラスチック製の第2筒状体21と、プラスチック製の板状をなす逆流防止用の弁体31とを少なくとも備えたものとして構成し、しかも、この第1筒状体11と、第2筒状体21及び弁体31とを夫々に膨潤性の異なる素材、より具体的には、第2筒状体21及び弁体31を第1筒状体11よりも膨潤し難いプラスチック材、例えばポリアセタールによって構成すると共に、第1筒状体11をタンクAに対して溶着に適したプラスチック材、例えば、高密度ポリエチレンによって構成してある。
【0020】
先ず、ここでバルブBを構成する第1筒状体11は、断面円形状の略直筒状をなす筒状体の略中央部の外周の円周方向に環状をなすように外周鍔12を備え、この外周鍔12から一方の側を、構成されるバルブBにおける入口側Baとしてのフィラーホースなどのホース50に差し込み止着される取付け筒状部11aとしてあると共に、この外周鍔12に連続した環状隆起部13から先の当該外周鍔12の他方の側を第2筒状体21に差し込み止めつけられる接続筒状部11bとしてある。
【0021】
ここでバルブBの構成に用いられる第1筒状体11は、タンクAの周壁板部1に設けられている円形の取付け孔2の開口径よりも大きい外径寸法の円環状をなす外周鍔12を有すると共に、この取付け孔2に対して、タンクAの外方から、当該タンクAの内方に向けて第2筒状体21を備えた接続筒状部11bを略水平の向きに差し入れて前記外周鍔12を当該タンクAの周壁板部1に当接した際に、このタンクAの外方に、フィラーホースなどのホース50を被嵌状態に接続止着できる突き出し幅を備えた取付け筒状部11aを有し、また、この外周鍔12を当該タンクAにおける周壁板部1に当接した状態で、この外周鍔12を当該タンクAにおける周壁板部1に対して溶着一体とした際に、この周側板1に設けられている取付け孔2に略位置づけられる環状隆起部13から当該タンクAの内方に突き出されている接続筒状部11bが第2筒状体21に嵌め込み取付けられ得る突き出し幅を備えたものとして構成されている。
【0022】
かかる第1筒状体11における取付け筒状部11aは、その筒内の略全長に亘るように金属製カラー40、例えば、鋼パイプなどを密に嵌め入れ得るように、稍々拡径の段差筒部14を備えた構成としてあると共に、 この段差筒部14における拡径段差内に略収まる長さと、肉厚寸法とを備えた金属製カラー40を当該段差筒部14内に、その外周面を当該段差筒部14面に接した状態で嵌め込み、この取付け筒状部11aの筒端における筒口縁に沿って突設状態に成形用意されたカシメ片15をこの嵌め入れ金属製カラー40の筒端に熱カシメ状態に変形押しつけ、この金属製カラー40を段差面14aとの間で固定することによって、この金属製カラー40の内面と接続筒状部11b側の筒内面とが略面一の状態で連続する流通路を構成するようにしてある。
【0023】
また、構成されるバルブBにおける入口側Baとなる該取付け筒状部11aの先端部分の外周には、断面が山形状をなす係合隆起部16が、その円周方向に設けてあり、当該取付け筒状部11aにおける筒端、即ち、バルブBを構成する当該第1筒状体11における入口側Baの開口縁に向けて漸次隆起高さを低くする、所謂、先窄まりの構成としてある。
【0024】
かかる構成の取付け筒状部11aに対応して外周鍔12の反対の側に段差隆起部13に連続して備えられる接続筒状部11bは、この外周鍔12に連続して円周方向に備えられている環帯状をなす段差隆起部13に対して稍々外径寸法を細くした構成としてあると共に、先端側の円周方向にOリング41の嵌めつけられる環状溝17を有し、しかも、当該接続筒状部11bに被嵌状態に嵌めつけられる第2筒状体21の掛合孔22aに掛合される掛合突起18を、前記環状隆起部13に近接した接続筒状部11bの外周面に、その円周方向に向けて順次所定間隔を離した状態で複数個設けた構成としてある。
【0025】
この接続筒状部11bの外周面から隆起するように設けられる掛合突起18は、第2筒状体21に備えられれる掛合孔22aを構成する弾性掛合枠体22を、当該接続筒状部11bを第2筒状体21における接続筒状部21aに嵌め入れた際に、この掛合突起18によって押し上げると共に、当該弾性掛合枠体22の掛合孔22aに位置づけられた際に、この掛合孔22a内に、都合良く納まる形状、寸法を備えたものとして構成してあり、より具体的には、当該接続筒状部11bにおける先端側から外周鍔12の備えられている側に向けて漸次高くなるように隆起する傾斜案内面18aと、外周鍔12の備えられている側にあって、この傾斜案内面18aの頂端から接続筒状部11bの外周面に向けて鉛直に落ち込む掛合面18bとを備えた構成としてある。
【0026】
かかるバルブBを構成する第1筒状体11における流路は、これに接続される第2筒状体21の構成する流路に向けて漸次抵抗が少なくなるように、該接続筒状部11bの内径寸法が、外周鍔12の内側から、その筒端側に向けて漸次大きくなる構成としてある。
【0027】
かかる取付け筒状部11aと接続筒状部11bとの間に備えられている外周鍔12は、プラスチック製のタンクAに設けられている取付け孔2に対して、この外周鍔12を備えて構成されるバルブBの第2筒状体21の側を差し入れた際に、このタンクAにおける周壁板部1に密着し、この取付け孔2を完全に覆い隠すと共に、当該周壁板部1に対して溶着する溶着代12aを、当該当接側、即ち、環状隆起部13の側の外周部分に環状をなすように備えており、当該外周鍔12の基部内周方向に環状溝12bを備えた構成としてある。
尚、この外周鍔12の周壁板部1に対する当接側と反対の側に突片12cを突設してあり、この突片12cをガイドとして、バルブBをタンクAに対して溶着し得る構成としてある。
【0028】
また、かかる外周鍔12に連続して接続筒状部11b側に備えられている環状隆起部13は、帯状をなすように所定幅をもって接続筒状部11bから一定の段差をもって隆起して構成してあり、前記外周鍔12をタンクAの周壁板部1に溶着した際に、この環状隆起部13の側方にタンクAの取付け孔2の内周面が略向き合うように構成してあり、バルブBをタンクAに対して当該バルブBの姿勢を維持した状態に装着し得るようにしてある。
【0029】
かかる第1筒状体11と共にバルブBを構成する第2筒状体21は、前記第1筒状体11よりも膨潤し難いプラスチック材、例えば、第1筒状体11をプラスチック製のタンクAに対して溶着に適した素材として、例えば、高密度ポリエチレンによって構成した場合、この第1筒状体11に組付けられる第2筒状体21をポリアセタールなどの膨潤し難い材によって構成し、少なくとも、該第2筒状体21と共に該第2筒状体21に備えられる弁体31を同様の素材、例えばポリアセタールによって構成することによって、この逆流防止用の弁体31が、弁座24bに対して、確実に密着して閉弁状態を作り出し、且つ、流体Cの流入時に、確実に、開弁状態となるように構成してある。
【0030】
この第1筒状体11に対して外嵌めの状態に装着用いられる第2筒状体21は、断面が円形の異径筒状体によって構成してあり、当該第1筒状体11における接続筒状部11bの密に嵌合、止めつけられる直筒状をなす接続筒状部21aと、この接続筒状部21aに嵌合、止めつけられる接続筒状部11bの内径に略等しい内径を備える出口側筒状部21bとを備えた構成としてあり、前記第1筒状体11に組み付けた際に、その出口側Bbに流体Cの逆流を防止する弁体31を備える構成としてある。
【0031】
この接続筒状部21aに連続して設けられている出口側筒状部21bは、この接続筒状部21aに連続し、これよりも稍々細径となされる直筒状部21b’の上部側が下部側よりも突き出された態様としてあると共に、この下部側よりも突き出された筒上部側部21b”の先端部が下方に向けて湾曲した湾曲部23としてあり、この湾曲部23によって当該第2筒状体21の筒内に案内される流体Cの流れの向きを下方に変える筒壁部23’を構成するようにしてある。
【0032】
また、この湾曲部23の先端と、前記直筒状部21b’の下端とを通る線分、より具体的には、湾曲部23の先端と、この先端に対して前記接続筒状部21aに位置づけられている直筒状部21b’の下端の先端部とを通る傾めの線分を含んで構成される下向きの、且つ、前記第1筒状体11の取付け筒状部11aにおける金属製カラー40の直径寸法から算出される入口側開口19の開口面積よりも大きい開口面積とされる出口側開口24を備えたものとしてある。
【0033】
この第2筒状体21の出口側筒状部21bに備えられる出口側開口24は、より具体的には、前記直筒状部21b’から前方に突き出すように構成されている湾曲部23によって構成されている筒壁部23’に案内される流体Cの流れの向きに対して、斜めに交差する下向きのものとして構成される。
【0034】
特に、この実施の形態に係るバルブBに備えられる出口側開口24は、直筒状部21b’の下端側から、第2筒状体21の上部先端側である湾曲部23側に向けて図4に示されるように漸次幅広となる形態に備えられているものであって、より具体的には、図1及び図2における前記直筒状部21b’の中心線を含む仮想の水平面に対して均一の角度で交差する面を備えた出口側開口24として構成されており、さらに具体的には、前記直筒状部21b’の上部側で前方に突き出すように該直筒状部21b’の中心線に対して斜めに交差する向きの出口側開口24として構成し、且つ、この直筒状部21b’の先端部の上部側を湾曲部23とし、この直筒状部21b’に案内される流体Cの流れの向きを下方に変える筒壁部23’とした構成としてある。
【0035】
また、この第2筒状体21における接続筒状部21aには、前記出口側筒状部21bと反対の側の筒端から、この接続筒状部21aにおける筒部の延長部分として、即ち、該接続筒状部21aにおける筒内径と同一の内径の仮想円を内面とするように弾性掛合枠体22が突設してある。
【0036】
この接続筒状部21aの筒端から突設される弾性掛合枠体22は、前記第1筒状体11に備えられている掛合突起18の夫々に対応して、当該筒端の円周方向に、所定間隔を離して、当該掛合突起18の設置数と同一の個数のものとして設けてあり、これらの各弾性掛合枠体22の内側の面が、接続筒状部21aの内側面の延長面となるように構成してある。
【0037】
この接続筒状部21aに備えられる弾性掛合枠体22は、円周方向に長い概ね四角形状をなす突片として、当該接続筒状部21aの筒端から突設されていると共に、円周方向に長い掛合孔22aを、その板厚方向に透設してあり、接続筒状部21aに対して外向きに開き出すように弾性的に撓み、且つ、弾性的に復帰されるように構成してある。
【0038】
かかる第2筒状体21の先端側、即ち、前記湾曲部23の先端側に、流体Cの逆流を防止する手段、即ち、当該バルブBにおける入口側Baからの流体Cの流入によって開き出し、且つ、背圧によって閉じられて、タンクA側から当該バルブBの入口側Baに向けた逆流を防止する手段を備えた構成としてある。
【0039】
この第2筒状体21に備えられる逆流の防止手段は、同一平面をなすように備えられている前記出口側開口24の出口側開口端面24aによって構成される弁座24b、より具体的には、該出口側開口端面24aと該出口側開口端面24aの延長面24a’の一部とによって構成される弁座24bと、この弁座24bに着座して、これを塞いで逆流を防止する板状をなす弁体31と、この弁体31を当該出口側開口24に対して常時押しつけて閉弁状態に付勢する付勢手段32、より具体的にはネジリコイルバネ32’とを備え、前記湾曲部23の先端に当該第2筒状体21に一体に設けられた軸取付け部25に、該弁体31に一体に備えられた軸33を回動自在に組付け、且つ、この軸33に捲回されたネジリコイルバネの一方端を当該第2筒状体21の湾曲部23に、他方端を前記弁体31に押し当て、当該弁体31を弁座24bに密着して、常時これを塞ぐ向きに付勢するようにしてある。
【0040】
この逆流を防止する弁体31の軸33は、該弁体31から一体に延設されている柄部34に対して、この流体Cの流れの向きに向けられた柄部34の軸方向に直交する向きに一体に設けてあると共に、軸33から更に 柄部34と反対の側に向けて該柄部34に一体とされるストッパー部35が設けてあり、当該弁体31の最大開き位置を特定し得るようにしてあり、この軸33、柄部34、ストッパー部35を備えた弁体31が一体のプラスチック成形によって形成してあると共に、前記第1筒状体11よりも膨潤し難いプラスチック材によって構成してある。
【0041】
かかる逆流の防止手段を構成する弁体31の取付けられる第2筒状体21の軸取付け部25は、該第2筒状体21と同一の素材によって該第2筒状体21と一体にプラスチック成形によって構成してあり、その湾曲部23の先端側から出口側開口24の開口端面24aの延長面24a’を備えた突き出し板部25aを一体に設けてあると共に、この突き出し板部25aの先端を略上方に向けて起立した起立板部25bとし、この起立板部25bに一対の軸受け片25c、25cを設けてあり、この軸受け片25c、25cに設けた軸取付け孔25d、25dに対して、前記弁体31の軸33を回動自在に軸支してある。
【0042】
尚、この図示例にあっては、図4においてより良く理解できるように、前記出口側開口24の開口横幅が、前記湾曲部23側で最大となるように構成してあると共に、この開口で横幅が最大とされる位置から、当該開口端面24aを上方に延長し、この延長面24a’を含むように突き出し板部25aを構成してあることから、この出口側開口24の開口端面24a及び当該延長面24a’の一部を弁座24b面とするように、弁体31を基部側で幅が広く、しかも先端側で漸次幅狭となる形状としてある。
【0043】
また、この図示例にあっては、出口側開口24の開口端面24aの延長面24a’を備えて構成される突き出し板部25aから上方に向けて屈曲状に起立する起立板部25bを当該湾曲部23における横方向、即ち、流体Cの流れの向きに直交する向きに長くなるように設けてあると共に、この横方向に長い起立板部25bに対して、所定の間隔を離して、板面を縦方向、即ち、流体Cの流れ方向に向けた一対の軸受け片25c、25cを、同一の高さ位置で、しかも互に板面を向き合わせるように設け、この各軸受け片25c、25cに備えられる軸取付け孔25dが同一の水平線に位置づけられる構成としてある。
また、前記起立板部25bと前記湾曲部23の外面との間には、この起立板部25bの撓みを防止する補強リブ25eを設けるようにしてある。
【0044】
かかる軸受け部25における軸取付け孔25dに対して弁体31の軸33を嵌め入れると共に、前記付勢手段32によって、弁体31が、出口側開口24における出口側開口端面24aと、延長面24a’の一部からなる同一平面をなす弁座24bを覆って、常時、この出口側開口24を完全に塞いだ状態に維持するように組付けることによって、当該逆流防止手段を構成してあり、より具体的には、軸33に捲装した付勢手段32としてのネジリコイルバネ32’を、その蓄勢された状態において、その一端側を、この出口側開口24を塞いだ状態にある弁体31に対し、且つ、他端側を軸受け部25の起立板部25bに対して夫々押し当て、当該弁体31が、出口側開口24の弁座24b面に押し当てられる向きに付勢される構成としてある。
【0045】
かかる構成の逆流の防止手段を構成する弁体31に対する付勢手段32による付勢は、当該バルブBにおける第1筒状体11の側からフィラーホースなどのホース50によって燃料などの流体Cが供給された際に、当該弁体31が、当該付勢手段32の付勢に抗して回動されて出口側開口24を開き出すと共に、当該燃料などの流体Cの供給が停止された際に、当該付勢手段32の付勢によって、弁体31を出口側開口24の弁座24b面に密着させ、当該流体の逆流を防止し得る付勢力を備えたものとしてあり、特に、当該弁体31が、タンクAなどにおけるガソリンなどの燃料中にあっても、前記機能を奏し得る付勢力を備えたものとして構成してある。
【0046】
また、この図示例において、バルブBに備えられている逆流の防止手段は、燃料などの流体Cの供給に伴って開き出される弁体31が、当該バルブBを介した流体Cの供給時における流体抵抗を極力生ずることのないように、当該出口側開口24から前方に向けて開き出された構成としてあり、しかも、この出口側開口24における抵抗を少なくした状態において、この出口側開口24からタンクA内に案内されるガソリンなどの流体Cの流れを極力変更し得るように、当該出口側開口24の前方で、前方の斜め下方に向けた面を維持し得るように構成してある。即ち、当該出口側開口端面24aとの間で、この流体Cの供給時において、当該弁体31が八字状に維持されるように、前記ストッパー部35が前記起立板部25b上に当接するように構成してある。
【0047】
このようにして構成される第1筒状体11の環状溝17に対してゴム状弾性材、例えば、アクリロニトリルブタジェンゴムなどからなるOリング41を嵌めつけると共に、金属製カラー40をカシメ片15によって一体に嵌着状態に備えた第1筒状体11における接続筒状部11bを、前記逆流の防止手段を備えた第2筒状体21の接続筒状部21aに密に押し入れ、相互を水密の状態に嵌め合せると共に、該第1筒状体11における掛合突起18を当該第2筒状体21における弾性掛合枠体22における撓みを利用して掛合孔22a内に案内し、この弾性掛合枠体22の弾性復帰を利用して、当該掛合孔22aに前記掛合突起18を掛合し、これ等両者を一体に組付けてバルブBを構成する。
【0048】
このように略直筒状に構成されているバルブBを、プラスチック製のタンクA,例えば、高密度ポリエチレンの周壁板部1を有するタンクAに備えられた取付け孔2に対して、当該タンクAの外側から内側に向けて、当該バルブBの弁体31の側を先にして略水平の向きにして、しかも、該弁体31の軸33の取付け側を上方、即ち、出口側開口24が下向きに開口するように差し入れると共に、このバルブBを構成する第1筒状体11の外周鍔12における周壁板部1の側を向いている面を、この取付け孔2の周側部方にある当該周壁板部1の面に当接し、この状態において、前記突片12cをガイドとして、当該外周鍔12を周壁板部1に対して、溶着機を用いて一体に溶着する。
【0049】
このように構成されるバルブBは、例えば、自動車のタンクAなどに備えられると共に、流体Cのホース50、例えば、一方側が給油口に連通されるように備えられる軟質プラスチック材あるいはゴム状弾性材などからなるフィラーホースなどを、このバルブBにおける前記取付け筒状部11aに被嵌状態、より具体的には、この取付け筒状部11aを当該ホース50に対して押し込み状態に嵌着すると共に、これに金属製バンド(図示省略)を掛け回して締め付け、当該ホース50を取付け筒状部11aに止着して用いるようにしてある。
【0050】
このように構成されるバルブBにあっては、ホース50からの燃料などの流体Cの供給が無い状態では、弁体31が付勢手段32の付勢によって弁座24bに着座状態とされ、出口側開口24を閉じた状態に維持する。
従って、例えば、自動車の揺れ、転倒などによって、当該タンクA内にある燃料が給油口側に逆流する不具合を生ずることがない。
【0051】
また、給油などによって流体CをバルブBに供給した場合、この供給流体Cによって弁体31が開き出され、タンクAに対して燃料などの流体Cの供給をなすことができる。
また、かかる燃料などの流体Cの供給に際して、タンクA内の内圧が高い場合であっても、この逆流の防止手段としての弁体31が弁座24bに密着当接して、当該タンクA側から燃料などが逆流する不具合を生ずることがない。
【0052】
特に、この実施の形態に係るバルブBにあっては、バルブBを構成する出口側Bbの先端部が当該バルブBによって案内される流体Cの流れの向きを変える筒壁部23’を備えていると共に、このバルブBを構成する出口側開口24の開口面積が入口側開口19の開口面積よりも大きくなるように構成してあることから、バルブBに案内される流体Cを、その流れを変えながらタンクAなどに導き入れることに伴って生ずる流体抵抗を極力少なくし、給油性などの流体の供給能力が、当該流体Cの流れの変更に伴って妨げられないように構成してある。
【0053】
また、この実施の形態に係るバルブBにあっては、バルブBを構成する第1筒状体11を、当該バルブBの備えられるタンクAに対して溶着に適したプラスチック材とし、逆流の防止手段30を備える第2筒状体21を、少なくとも当該逆流の防止手段30を構成する弁体31と共に、前記第1筒状体11よりも膨潤し難いプラスチック材によって構成してあり、バルブBのタンクAなどに対する止着が容易であると共に、プラスチック材の膨潤に伴う逆流の防止手段30の閉弁機能を損わないバルブBとして構成してあり、出口側開口24を前記のように開口面積を大きく且つ細長状に構成し、しかも、これに伴って、当該出口側開口24を閉じる弁体31を細長状に大きい構成としたことに伴うプラスチック材の膨潤に伴う不都合を回避するようにしてある。
【0054】
【発明の効果】
この発明に係るバルブは、出口側に、少なくとも出口側開口端面を弁座として、入口側から該出口側に向けた流体の移動によって開き出し、且つ、出口側開口から入口側に向けた逆流を防止する弁体が設けてある筒状をなすバルブであって、該バルブが、該バルブの取付けられるタンクの取付け孔の外方から前記出口側側を先にして該バルブに備えられている外周鍔を該タンク面に当接するように差し入れ且つ該外周鍔を該タンクに溶着して用いるように構成してあると共に、
このバルブにおける出口側の先端部が、当該バルブによって案内される流体の流れの向きを変える筒壁部を備えていると共に、前記出口側開口が入口側開口よりも大きい開口面積となるように該バルブにおける前記筒壁部に案内される流体の流れの向きと斜めに交差する向きの開口としてあることから、出口側に流体の逆流を防止する弁体を備えたバルブを、タンクに対して、その取付け孔の外側から当該バルブの出口側を先にして差し入れ、しかも、このタンクに溶着一体とすることが可能であると共に、このバルブに案内される流体を当該バルブの出口側部において、その供給流量を減少することなく、その流れの向きを変え得るように設け得る特長を有している。
【0055】
更に、前記構成からなるバルブにおいて、該バルブが、外周鍔を有する筒状体であって該外周鍔の前後がホースの取付け筒状部と接続筒状部とされているプラスチック製の第1筒状体と、この第1筒状体における前記接続筒状部に接続されると共に先端部に弁体の備えられたプラスチック製の第2筒状体とを有し、少なくとも前記弁体と該弁体を備える前記第2筒状体とが、前記第1筒状体よりも膨潤し難いプラスチック材からなる構成としたことによって、当該バルブを、その出口側を先にして取付け孔に対して外方から差し入れ、且つ、これをタンクに対して溶着一体に取付け可能であると共に、該バルブにおける流体の供給量に減少をもたらすことなく、該バルブに案内される流体を当該バルブの出口側部において流れの向きを変え、しかも、該バルブの出口側に備えられる弁体を、流路の開閉性能の良好な状態に備えさせ得る特長を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】典型的な実施の形態に係るバルブの取付け状態を弁体を閉じている状態で示す断面図
【図2】同弁体を開いている状態で示す断面図
【図3】同バルブの主要な構成部品を分離した状態を上面から見て示す部品分離斜視図
【図4】同下面側から見て示す部品分離斜視図
【図5】同各部品を組み付けた状態の平面図
【図6】同正面図
【図7】同底面図
【図8】同右側面図
【図9】同断面図
【図10】同要部底面図
【図11】同断面図
【図12】同第1筒状体の正面図
【図13】同断面図
【図14】同左側面図
【図15】同要部拡大断面図
【図16】従来例を示す断面図
【図17】更に他の従来例を示す断面図
【符号の説明】
A タンク
B バルブ
Ba 入口側
Bb 出口側
C 流体
2 取付け孔
11 第1筒状体
11a 取付け筒状部
11b 接続筒状部
12 外周鍔
19 入口側開口
21 第2筒状体
23’ 筒壁部
24 出口側開口
24a 出口側開口端面
24a’延長面
24b 弁座
31 弁体
50 ホース
Claims (2)
- 出口側に、少なくとも出口側開口端面を弁座として、入口側から該出口側に向けた流体の移動によって開き出し、且つ、出口側開口から入口側に向けた逆流を防止する弁体が設けてある筒状をなすバルブであって、
該バルブが、該バルブの取付けられるタンクの取付け孔の外方から前記出口側を先にして該バルブに備えられている外周鍔を該タンク面に当接するように差し入れ且つ該外周鍔を該タンクに溶着して用いるように構成してあると共に、
このバルブにおける出口側の先端部が、当該バルブによって案内される流体の流れの向きを変える筒壁部を備えていると共に、前記出口側開口が入口側開口よりも大きい開口面積となるように該バルブにおける前記筒壁部に案内される流体の流れの向きと斜めに交差する向きの開口としてあることを特徴とするバルブ。 - バルブが、外周鍔を有する筒状体であって該外周鍔の前後がホースの取付け筒状部と接続筒状部とされているプラスチック製の第1筒状体と、この第1筒状体における前記接続筒状部に接続されると共に先端部に弁体の備えられたプラスチック製の第2筒状体とを有し、少なくとも前記弁体と該弁体を備える前記第2筒状体とが、前記第1筒状体よりも膨潤し難いプラスチック材からなることを特徴とする請求項1記載のバルブ。
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