JP4123350B2 - 逆流防止バルブ - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車等の燃料タンクに燃料を供給する給油パイプのタンク内先端部に取り付けられ、常時は弁を閉じて燃料の逆流を防止することにより、自動車の横転，転倒時などに給油パイプから燃料が漏れることを防止すると共に、給油時には給油される燃料の液圧により弁を開いて給油を可能にする逆流防止バルブに関する。
【０００２】
【従来の技術】
図７に示したように、自動車の燃料タンクｔへと燃料を注入するための給油パイプｐのタンク内先端部には、自動車の横転，転倒時などに給油パイプｐから燃料が漏れることを防止するために逆流防止バルブｖが取り付けられている。
【０００３】
従来、この逆流防止バルブｖとして、図８に示したバルブが特開平１１−７８５４９号公報に開示されている。この、逆流防止バルブは、図８に示されているように、下端が蓋体ｂにより閉塞された円筒状のケース体ａの上端に形成された流入口ｃに、やや小径の液流入パイプｄを一体に連結し、該ケース体ａ内に上記流入口ｃをケース体ａの内側から開閉する弁部材ｅを移動可能に配設したものである。
【０００４】
上記弁部材ｅは、短軸円柱体の上面外周縁部に９０度ずつ変位して４つのガイドアームｆを立設し、かつ上面中央部に整流用の円錐状突部ｇを突設したものであり、下端周縁部にはリング状のシール部ｈが設けられている。
【０００５】
この弁部材ｅは、上記各ガイドアームｆを液流入パイプｄ内に挿入した状態で上記ケース体ａ内に配設され、コイルバネｉにより上方（液流入パイプｄ側）へと付勢されている。一方、上記液流入パイプｄの内周面には、軸方向に沿った一対の突条間に形成された４本のガイド溝ｊがそれぞれ９０度ずつ変位して設けられており、これら各ガイド溝ｊ内に上記各ガイドアームｆがそれぞれ摺動可能に嵌入しており、これらガイドアームｆがガイド溝ｊ内を摺動することにより、弁部材ｅの動作が支持ガイドされるようになっている。
【０００６】
この逆流防止バルブは、図７に示されたバルブｖのように、上記液流入パイプｄを燃料タンクｔの給油パイプｐ先端に連結することにより、燃料タンクｔ内に取り付けられ、常時は、図８（Ａ）に示されているように、コイルバネｉの付勢力により上記弁部材ｅのシール部ｈがケース体ａの流入口ｃ周縁部に内側から密着し、該流入口ｃが弁部材ｅにより閉塞された状態となっており、燃料タンク内の燃料が給油パイプｐを通して外部へと漏れ出ることを防止するようになっている。
【０００７】
そして、給油時には、図８（Ｂ）に示されているように、給油パイプから液流入パイプｄを通して燃料タンク内へと注入される燃料の液圧により、弁部材ｅがコイルバネｉの付勢力に抗して下方（蓋体ｂ側）へと移動し、ケース体ａの流入口ｃが開いて、燃料が液流入パイプｄから流入口ｃを通ってケース体ａ内に流入し、更にケース体ａの周壁に設けられた流出口（図示せず）から燃料タンク内へと注入されるようになっている。
【０００８】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この従来の逆流防止バルブは、給油時の弁部材ｅの動作安定性が必ずしも十分でない。
【０００９】
即ち、上記従来の逆流防止バルブは、液流入パイプｄ内に弁部材ｅの開閉動作をガイドするためのガイド溝ｊが設けられており、このガイド溝ｊを形成するための８本の突条が液流入パイプｄの内周面に突出した状態となっている。このため、給油時に液流入パイプｄ内を流れる燃料の液流に乱流が生じやすく、大量の燃料が高速に注入される場合には、その乱流により弁部材ｅの動作が不安定になる恐れがあり、また乱流により弁部材ｅが捩れたり傾いた状態になりやすく、これが給油後に弁を閉じるための弁部材ｅの動作の障害になる場合もある。
【００１０】
本発明は、上記事情に間がみなされたもので、常時は確実に弁を閉じて燃料の逆流を確実に防止することができ、また給油時及び給油終了時には確実かつ安定的に開閉動作が行われる信頼性の高い逆流防止バルブを提供することを目的とする。
【００１１】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するため、燃料タンクに燃料を供給する給油パイプのタンク内先端部に取り付けられる逆流防止バルブであり、一端面に段差部を介して形成された流入口を有し、他端面又は周面あるいはこれら両面に流出口を有する筒状のケース体と、上記流入口の周縁部に形成された上記段差部にケース体の内側から当接して該流入口を閉塞するシール部を有し、該ケース体内に軸方向移動可能に収容された弁部材と、該弁部材を上記流入口側へと付勢する付勢手段と、上記流入口にケース体の外側から接続された液流入パイプとを具備し、上記液流入パイプを上記給油パイプの先端部に連結することにより該給油パイプのタンク内先端部に取り付けられ、常時は、付勢手段の付勢力により上記弁部材のシール部が上記流入口の周縁部にケース体の内側から当接密着して、該流入口を閉塞し、給油時には、上記給油パイプを通してタンク内へと注入される燃料の液圧により上記弁部材が上記付勢手段の付勢力に抗して移動し、上記流入口を開くように構成された逆流防止バルブにおいて、上記液流入パイプ内周面の上記流入口近傍が凹凸を有さない平滑面になっていることを特徴とする逆流防止バルブを提供する。
【００１２】
即ち、本発明の逆流防止バルブは、上記弁部材を移動可能に支持すると共にその開閉動作をガイドする支持ガイド手段を、下記第１及び第２実施例のように、上記ケース体内周面と上記弁部材の外周面との間に設けたり、下記第３実施例のように、弁部材に設けたガイドアームを液流入パイプの外周面に設けたガイド溝に挿入するなどの手段により構成することによって、液流入パイプの内周面を凹凸のない平滑面としたものである。
【００１３】
これにより、給油パイプから上記液流入パイプを通して燃料が大量かつ高速に注入される場合でも、その液流が内面に凹凸のない液流入パイプ内を乱流を生じることなくスムーズに流れ、給油時及び給油終了時における弁部材の開閉動作がスムーズに行われ、乱流により弁部材の開閉動作が不安定になるようなことがない。
【００１４】
従って、本発明の逆流防止バルブによれば、常時は確実に弁を閉じて燃料の逆流を確実に防止することができ、また給油時及び給油終了時には確実かつ安定的に開閉動作が行われ、信頼性の高い開閉動作が達成されるものである。
【００１５】
【発明の実施の形態及び実施例】
以下、本発明の実施例を示し、本発明をより具体的に説明する。
［第１実施例］
図１，２は、本発明の第１の実施例にかかる逆流防止バルブを示すもので、図１に示されているように、この逆流防止バルブは、円筒状のケース体１と、該ケース本体１内に軸方向に沿って移動可能に配設される弁部材２と、該弁部材２を付勢するコイルバネ（付勢手段）４と、上記ケース体１の下端面を閉塞する蓋体３とを具備している。
【００１６】
上記ケース体１には、上端面にリング板状の上端壁が設けられており、該上端壁の中央部に円形の流入口１１が設けられていると共に、この流入口１１にケース体１よりも小径の液流入パイプ５が外側から一体的に連結されている。つまり、ケース体１の上端面には、上記上端壁により形成された段差部１１１を介して流入口１１が設けられ、この流入口にケース体１の外側から上記液流入パイプ５が連結されている。また、該ケース体１の内周面には、軸方向に沿った４本（図１では３本しか示されていない）のリブ１２が互いに９０度ずつ変位した位置に突設されており、更に周壁下端部には、４つ（図１では２つしか示されていない）の係合孔１３が均等に形成されている。
【００１７】
このケース体１の下端面に取り付けられた蓋体３は、図１に示されているように、有底円筒状の本体３１の下端外周縁部に４枚の円弧板状のフランジ３２を突設すると共に、底壁に４つの扇状の流出口３３を均等に形成し、更に底壁内面中央部に円錐台状のバネ固定突起３４を突設したものである。また、上記本体３１の内周面には４本のリブ３５が突設されていると共に、本体３１の外周面には上記ケース体１に設けられた係合孔１３に係合する係合突部３６が突設されている。
【００１８】
この蓋体３は、図２に示されているように、上記ケース体１の下端部に本体３１を挿入し、蓋体３の係合突部３６をケース体１の係合孔１３に係合させることにより、ケース体１の下端面に固定されている。
【００１９】
上記弁部材２は、図１に示されているように、円筒状の本体２１の中間部やや上方内部に仕切壁２２が形成されていると共に、この仕切壁２２の上面中央部に短軸円柱状のシール部材嵌着部２３が一体に突設されたもので、該シール部材嵌着部２３の外周面には４つの係合突部２４が突設されていると共に、上記仕切壁２２よりも下側の周壁には４つの切欠状窓部２５が形成されている。また、上記仕切壁２２の下面中央部には、図２に示されているように、コイルバネ４の上端部を固定するための突部２６が突設されている。
【００２０】
この弁部材２の上端にはゴム等の弾性材料からなるシール部材６が嵌着固定されている。このシール部材６は、図１に示されているように、円盤状の本体６１の上面中央部に円錐状の整流体６２を一体に突設すると共に、下面中央部に円筒状の脚部６３を一体に突設したものであり、この脚部６３を上記弁部材２のシール部材嵌着部２３に被せて該脚部６３内面に形成された係合凹部６４をシール部材嵌着部２３の係合突部２４に係合させることにより、弁部材２の上端面に固定されている。なお、上記円盤状本体６１の上面周縁部には小壁状の円形突条６５が突設されており、この円形突条６５がシール部となっている（以下これを「シール部６５」とする）。
【００２１】
上記弁部材２は、図２に示されているように、シール部材６を流入口１１へと向けた状態で上記ケース体１内に軸方向に沿って移動可能に収容され、突部２６と上記蓋体３のバネ固定突起３４との間に取り付けられたコイルバネ（付勢手段）４によって流入口１１側へと付勢されている。
【００２２】
この場合、この弁部材２は、その外周面がケース体１及び蓋体３に設けられたリブ１２，３５の先端に摺動可能に当接した状態となっており、これらリブ１２，３５に支持ガイドされて、弁部材２が安定姿勢で動作するようになっている。
【００２３】
この逆流防止バルブは、図７に示されたバルブｖと同様に、自動車の燃料タンクｔに燃料を供給する給油パイプｐのタンク内先端部に、上記液流入パイプ５を連結することにより取り付けられ、常時は、図２（Ａ）に示されているように、コイルバネ４の付勢力によって上記弁部材２に固定された上記シール部材６のシール部６５が、ケース体１の流入口１１周縁部に形成された段差部１１１にケース体１の内側から当接密着して、該流入口１１を閉塞した状態となり、タンクｔ内から給油パイプｐを通して燃料やその揮発蒸気が外部へと漏れるのが防止される。
【００２４】
次に、給油時には、図２（Ｂ）に示されているように、上記給油パイプｐ（図７参照）から上記液流入パイプ５を通してタンクｔ（図７参照）内へと注入される燃料の液圧により上記弁部材２が上記コイルバネ４の付勢力に抗して移動し、上記流入口１１が開いて、液流入パイプ５からケース体１内に燃料が流入し、この燃料が弁部材２とケース体１内周面との間を通って蓋体３に設けられた流出口３３から燃料タンクｔ内へと注入される。そして、給油終了時に弁部材２がコイルスプリング４により流入口１１側へと移動し、そのシール部６５が流入口１１周縁部の段差部１１１に内側から当接密着し、再び図２（Ａ）に示された、閉状態へと速やかに戻るようになっている。
【００２５】
この場合、本実施例の逆流防止バルブによれば、上記のように、ケース体１の内周面及び蓋体３に設けられたリブ１２，３５によって弁部材２の開閉動作が支持ガイドされ、流入パイプ５の内面はなんら凹凸のない平滑面になっているので、給油パイプｐ（図７参照）から上記液流入パイプ５を通して燃料が大量かつ高速に注入される場合でも、その液流が内面に凹凸のない液流入パイプ５内を乱流を生じることなくスムーズに流れ、給油時及び給油終了時における弁部材２の開閉動作がスムーズに行われて、乱流により弁部材２の開閉動作が不安定になるようなことがない。
【００２６】
従って、この逆流防止バルブによれば、常時は確実に弁を閉じて燃料の逆流を確実に防止することができ、また給油時及び給油終了時には、図８に示された従来のバルブのように給油される燃料の乱流により弁部材の動作が不安定になるようなことがなく、確実かつ安定的に開閉動作が行われ、信頼性の高い開閉動作が達成されるものである。
【００２７】
［第２実施例］
図３，４は、本発明の第２の実施例にかかる逆流防止バルブを示すもので、このバルブは、上記第１実施例の弁部材２に代えて、外周面にガイド溝７１を形成した弁部材７を用いたものであり、その他の構成は上記第１実施例のバルブと同一のものである。
【００２８】
このバルブを構成する上記弁部材７は、図３（Ａ）及び（Ｂ）に示されているように、上端壁を有する円筒状の本体７２の外周面に４つのガイド溝７１をそれぞれ９０度ずつ変位させて軸方向に沿って形成したものであり、その上端面には上記第１実施例の場合と同様のシール部６５を有するリング板状のシール部材８がキャップ体９により取り付けられている。
【００２９】
上記キャップ体９は、上端壁が円錐状の整流体６２に形成された円筒状のもので、弁部材７の上端壁中央部に形成された貫通孔に嵌着固定されており、このキャップ体９と弁部材７の上面との間に上記シール部材８が挟持固定されている。
【００３０】
上記弁部材７は、上記第１実施例の弁部材２と同様に、上記ケース体１内にコイルバネ４によって付勢された状態に配設されている。この場合、この弁部材７は、図４に示されているように、その外周面に設けられたガイド溝７１内にケース体１及び蓋体３に設けられたリブ１２，３５の先端部が摺動可能に嵌入した状態になっており、これにより弁部材７の開閉動作がより安定的に支持ガイドされるようになっている。
【００３１】
なお、その他の構成及び作用効果については、上記第１実施例のバルブと同様であるので、同一の構成部分に同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【００３２】
［第３実施例］
図５，６は本発明の第３の実施例にかかる逆流防止バルブを示すもので、このバルブは、上記第１実施例の弁部材２に代えて、４本のガイドアーム２０を有する弁部材１０を用いると共に、ケース体１ａ上端面の段差部１１１にこのガイドアーム２０が挿通する挿通孔１５を形成し、更に液流入パイプ５の外周面に上記ガイドアーム２０が挿入される４本のガイド溝５１を形成したものであり、その他の構成は上記第１実施例のバルブと実質的に同一のものである。
【００３３】
上記ケース体１ａは、その上端壁により形成された段差部１１１に斜めに傾斜した傾斜部が形成されている。この段差部１１１の傾斜部から液流入パイプ５近傍に至る部分に弁部材１０のガイドアーム２０が挿通される４つの挿通孔１５がそれぞれ９０度ずつ変位した位置に穿設されており、またケース体１ａの周壁には４つの流出窓（流出口）１４が形成されている。なお、このケース体１ａの内周面には、上記第１実施例のケース体１にあるリブ１２は形成されていない。
【００３４】
また、このケース体１ａの流入口１１に連結された液流入パイプ５の外周面には、軸方向に沿って一対の突条を４組突設することにより、これら突条間に形成された４本のガイド溝５１が９０度ずつ変位して設けられており、これらガイド溝５１が上記挿通孔１５と連通した状態になっている。
【００３５】
次に、上記弁部材１０は、図５（Ａ），（Ｂ）に示されているように、上端壁を有する円筒状の本体３０の上端面周縁部に４本のガイドアーム２０を９０度ずつ変位させて一体に突設すると共に、本体３０の上端面にキャップ体９及びシール部材８を上記第２実施例と同様にして固定したものである。
【００３６】
この弁部材１０は、図６に示されているように、上記ガイドアーム２０をそれぞれ挿通孔１５を通して外部に突出させた状態で上記ケース体１ａ内に移動可能に収納され、このケース体１ａから突出した４本のガイドアーム２０がそれぞれ上記液流入パイプ５の外周面に形成されたガイド溝５１に摺動可能な状態に挿入されている。
【００３７】
そして、この逆流防止バルブは、図６（Ａ），（Ｂ）に示されているように、上記ガイドアーム２０が上記ガイド溝５１内を摺動することにより、弁部材１０の開閉動作が支持ガイドされ、これにより弁部材１０の開閉動作が安定的に行われるものである。しかも、ケース体１ａの内周面も弁部材１０のガイドのための凹凸を有さない形状にできるため、タンク内へと流入する燃料の流れを上記第１，第２実施例のバルブに比べて更にスムーズにすることができる。また、ガイドアーム２０は弁部材１０から上方に向かって延出形成されており、弁部材１０の本体３０にガイド機能を設ける必要がないため、弁部材１０の本体３０の上下方向の寸法を小さくすることができ、これによりケース体１ａも小さくし得、バルブ全体を小型化することができる。
【００３８】
なお、この第３実施例の逆流防止バルブでは、図６（Ｂ）に示された給油時にケース体１ａ内に流入した燃料は、蓋体３ａに設けられた流出口３３と共に、ケース体１ａの周壁に設けられた流出窓１４からも燃料タンク内へと流出するようになっている。また、蓋体３ａは内周面にリブを有しないこと以外は上記第１，第２実施例における蓋体３と同様であり、その他の構成及び作用効果についても上記第１，第２実施例と同様であるので、同一の構成部分については同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【００３９】
ここで、この第３実施例の逆流防止バルブでは、上記ガイドアーム２０を挿通孔１５を通してガイド溝５１内に摺動可能に挿入し、上記ガイドアーム２０が上記ガイド溝５１内を摺動することにより、弁部材１０の開閉動作を支持ガイドするように構成したが、挿通孔１５の形状及び大きさをガイドアーム２０の断面形状及び大きさとほぼ同一に形成し、この挿通孔１５内をガイドアームが摺動することにより、弁部材１０の開閉動作を支持ガイドするように構成することもできる。この場合、上記ガイド溝５１は省略することができ、またガイド溝５１を省略することなく、挿通孔１５とガイド溝５１との両方で弁部材１０の開閉動作を支持ガイドするように構成することもできる。
【００４０】
このように、本発明にかかる上記第１〜３実施例の逆流防止バルブは、弁部材２，７，１０を移動可能に支持すると共にその開閉動作をガイドする支持ガイド手段を、第１及び第２実施例のように、上記ケース体１内周面と上記弁部材２，７の外周面との間に設けたり、第３実施例のように、弁部材１０に設けたガイドアーム２０を液流入パイプ５の外周面に設けたガイド溝５１に挿入するなどの手段により構成することによって、液流入パイプ５の内周面を凹凸のない平滑面としたものである。
【００４１】
これにより、給油パイプから上記液流入パイプ５を通して燃料が大量かつ高速に注入される場合でも、その液流が内面に凹凸のない液流入パイプ５内を乱流を生じることなくスムーズに流れ、給油時及び給油終了時における弁部材２，７，１０の開閉動作がスムーズに行われて、乱流により弁部材２，７，１０の開閉動作が不安定になるようなことがない。
【００４２】
従って、これら逆流防止バルブによれば、常時は確実に弁を閉じて燃料の逆流を確実に防止することができ、また給油時及び給油終了時には確実かつ安定的に開閉動作が行われ、信頼性の高い開閉動作が達成されるものである。
【００４３】
なお、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、各構成部材の形状や組み合わせについては、本発明の要旨の範囲内で種々変更することができる。
【００４４】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の逆流防止バルブによれば、液流入パイプを通して燃料が大量かつ高速に注入される場合でも、その液流が内面に凹凸のない液流入パイプ内を乱流を生じることなくスムーズに流れ、給油時及び給油終了時における弁部材の開閉動作がスムーズに行われて、乱流により弁部材の開閉動作が不安定になるようなことがなく、信頼性の高い開閉動作が達成されるものである。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明の第１の実施例にかかる逆流防止バルブを示す一部を断面とした分解斜視図である。
【図２】 同逆流防止バルブを示す断面図であり、（Ａ）は閉状態、（Ｂ）は開状態である。
【図３】 （Ａ）は本発明の第２の実施例にかかる逆流防止バルブを示す一部を断面とした分解斜視図であり、（Ｂ）は同逆流防止バルブを構成する弁部材を示す断面図である。
【図４】 同逆流防止バルブを示す断面図であり、（Ａ）は閉状態、（Ｂ）は開状態である。
【図５】 （Ａ）は本発明の第３の実施例にかかる逆流防止バルブを示す一部を断面とした分解斜視図であり、（Ｂ）は同逆流防止バルブを構成する弁部材を示す断面図である。
【図６】 同逆流防止バルブを示す断面図であり、（Ａ）は閉状態、（Ｂ）は開状態である。
【図７】 自動車の燃料タンクを示す部分外略図である。
【図８】 従来の逆流防止バルブを示す断面図であり、（Ａ）は閉状態、（Ｂ）は開状態である。
【符号の説明】
１，１ａ ケース体
１１ 流入口
１１１ 段差部
１２ リブ
１４ 流出窓（流出口）
１５ 挿通孔
２，７，１０ 弁部材
２０ ガイドアーム
３，３ａ 蓋体
３３ 流出口
３５ リブ
４ コイルバネ（付勢手段）
５ 液流入パイプ
５１ ガイド溝
６，８ シール部材
６５ シール部
７１ ガイド溝
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車等の燃料タンクに燃料を供給する給油パイプのタンク内先端部に取り付けられ、常時は弁を閉じて燃料の逆流を防止することにより、自動車の横転，転倒時などに給油パイプから燃料が漏れることを防止すると共に、給油時には給油される燃料の液圧により弁を開いて給油を可能にする逆流防止バルブに関する。
【０００２】
【従来の技術】
図７に示したように、自動車の燃料タンクｔへと燃料を注入するための給油パイプｐのタンク内先端部には、自動車の横転，転倒時などに給油パイプｐから燃料が漏れることを防止するために逆流防止バルブｖが取り付けられている。
【０００３】
従来、この逆流防止バルブｖとして、図８に示したバルブが特開平１１−７８５４９号公報に開示されている。この、逆流防止バルブは、図８に示されているように、下端が蓋体ｂにより閉塞された円筒状のケース体ａの上端に形成された流入口ｃに、やや小径の液流入パイプｄを一体に連結し、該ケース体ａ内に上記流入口ｃをケース体ａの内側から開閉する弁部材ｅを移動可能に配設したものである。
【０００４】
上記弁部材ｅは、短軸円柱体の上面外周縁部に９０度ずつ変位して４つのガイドアームｆを立設し、かつ上面中央部に整流用の円錐状突部ｇを突設したものであり、下端周縁部にはリング状のシール部ｈが設けられている。
【０００５】
この弁部材ｅは、上記各ガイドアームｆを液流入パイプｄ内に挿入した状態で上記ケース体ａ内に配設され、コイルバネｉにより上方（液流入パイプｄ側）へと付勢されている。一方、上記液流入パイプｄの内周面には、軸方向に沿った一対の突条間に形成された４本のガイド溝ｊがそれぞれ９０度ずつ変位して設けられており、これら各ガイド溝ｊ内に上記各ガイドアームｆがそれぞれ摺動可能に嵌入しており、これらガイドアームｆがガイド溝ｊ内を摺動することにより、弁部材ｅの動作が支持ガイドされるようになっている。
【０００６】
この逆流防止バルブは、図７に示されたバルブｖのように、上記液流入パイプｄを燃料タンクｔの給油パイプｐ先端に連結することにより、燃料タンクｔ内に取り付けられ、常時は、図８（Ａ）に示されているように、コイルバネｉの付勢力により上記弁部材ｅのシール部ｈがケース体ａの流入口ｃ周縁部に内側から密着し、該流入口ｃが弁部材ｅにより閉塞された状態となっており、燃料タンク内の燃料が給油パイプｐを通して外部へと漏れ出ることを防止するようになっている。
【０００７】
そして、給油時には、図８（Ｂ）に示されているように、給油パイプから液流入パイプｄを通して燃料タンク内へと注入される燃料の液圧により、弁部材ｅがコイルバネｉの付勢力に抗して下方（蓋体ｂ側）へと移動し、ケース体ａの流入口ｃが開いて、燃料が液流入パイプｄから流入口ｃを通ってケース体ａ内に流入し、更にケース体ａの周壁に設けられた流出口（図示せず）から燃料タンク内へと注入されるようになっている。
【０００８】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この従来の逆流防止バルブは、給油時の弁部材ｅの動作安定性が必ずしも十分でない。
【０００９】
即ち、上記従来の逆流防止バルブは、液流入パイプｄ内に弁部材ｅの開閉動作をガイドするためのガイド溝ｊが設けられており、このガイド溝ｊを形成するための８本の突条が液流入パイプｄの内周面に突出した状態となっている。このため、給油時に液流入パイプｄ内を流れる燃料の液流に乱流が生じやすく、大量の燃料が高速に注入される場合には、その乱流により弁部材ｅの動作が不安定になる恐れがあり、また乱流により弁部材ｅが捩れたり傾いた状態になりやすく、これが給油後に弁を閉じるための弁部材ｅの動作の障害になる場合もある。
【００１０】
本発明は、上記事情に間がみなされたもので、常時は確実に弁を閉じて燃料の逆流を確実に防止することができ、また給油時及び給油終了時には確実かつ安定的に開閉動作が行われる信頼性の高い逆流防止バルブを提供することを目的とする。
【００１１】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するため、燃料タンクに燃料を供給する給油パイプのタンク内先端部に取り付けられる逆流防止バルブであり、一端面に段差部を介して形成された流入口を有し、他端面又は周面あるいはこれら両面に流出口を有する筒状のケース体と、上記流入口の周縁部に形成された上記段差部にケース体の内側から当接して該流入口を閉塞するシール部を有し、該ケース体内に軸方向移動可能に収容された弁部材と、該弁部材を上記流入口側へと付勢する付勢手段と、上記流入口にケース体の外側から接続された液流入パイプとを具備し、上記液流入パイプを上記給油パイプの先端部に連結することにより該給油パイプのタンク内先端部に取り付けられ、常時は、付勢手段の付勢力により上記弁部材のシール部が上記流入口の周縁部にケース体の内側から当接密着して、該流入口を閉塞し、給油時には、上記給油パイプを通してタンク内へと注入される燃料の液圧により上記弁部材が上記付勢手段の付勢力に抗して移動し、上記流入口を開くように構成された逆流防止バルブにおいて、上記液流入パイプ内周面の上記流入口近傍が凹凸を有さない平滑面になっていることを特徴とする逆流防止バルブを提供する。
【００１２】
即ち、本発明の逆流防止バルブは、上記弁部材を移動可能に支持すると共にその開閉動作をガイドする支持ガイド手段を、下記第１及び第２実施例のように、上記ケース体内周面と上記弁部材の外周面との間に設けたり、下記第３実施例のように、弁部材に設けたガイドアームを液流入パイプの外周面に設けたガイド溝に挿入するなどの手段により構成することによって、液流入パイプの内周面を凹凸のない平滑面としたものである。
【００１３】
これにより、給油パイプから上記液流入パイプを通して燃料が大量かつ高速に注入される場合でも、その液流が内面に凹凸のない液流入パイプ内を乱流を生じることなくスムーズに流れ、給油時及び給油終了時における弁部材の開閉動作がスムーズに行われ、乱流により弁部材の開閉動作が不安定になるようなことがない。
【００１４】
従って、本発明の逆流防止バルブによれば、常時は確実に弁を閉じて燃料の逆流を確実に防止することができ、また給油時及び給油終了時には確実かつ安定的に開閉動作が行われ、信頼性の高い開閉動作が達成されるものである。
【００１５】
【発明の実施の形態及び実施例】
以下、本発明の実施例を示し、本発明をより具体的に説明する。
［第１実施例］
図１，２は、本発明の第１の実施例にかかる逆流防止バルブを示すもので、図１に示されているように、この逆流防止バルブは、円筒状のケース体１と、該ケース本体１内に軸方向に沿って移動可能に配設される弁部材２と、該弁部材２を付勢するコイルバネ（付勢手段）４と、上記ケース体１の下端面を閉塞する蓋体３とを具備している。
【００１６】
上記ケース体１には、上端面にリング板状の上端壁が設けられており、該上端壁の中央部に円形の流入口１１が設けられていると共に、この流入口１１にケース体１よりも小径の液流入パイプ５が外側から一体的に連結されている。つまり、ケース体１の上端面には、上記上端壁により形成された段差部１１１を介して流入口１１が設けられ、この流入口にケース体１の外側から上記液流入パイプ５が連結されている。また、該ケース体１の内周面には、軸方向に沿った４本（図１では３本しか示されていない）のリブ１２が互いに９０度ずつ変位した位置に突設されており、更に周壁下端部には、４つ（図１では２つしか示されていない）の係合孔１３が均等に形成されている。
【００１７】
このケース体１の下端面に取り付けられた蓋体３は、図１に示されているように、有底円筒状の本体３１の下端外周縁部に４枚の円弧板状のフランジ３２を突設すると共に、底壁に４つの扇状の流出口３３を均等に形成し、更に底壁内面中央部に円錐台状のバネ固定突起３４を突設したものである。また、上記本体３１の内周面には４本のリブ３５が突設されていると共に、本体３１の外周面には上記ケース体１に設けられた係合孔１３に係合する係合突部３６が突設されている。
【００１８】
この蓋体３は、図２に示されているように、上記ケース体１の下端部に本体３１を挿入し、蓋体３の係合突部３６をケース体１の係合孔１３に係合させることにより、ケース体１の下端面に固定されている。
【００１９】
上記弁部材２は、図１に示されているように、円筒状の本体２１の中間部やや上方内部に仕切壁２２が形成されていると共に、この仕切壁２２の上面中央部に短軸円柱状のシール部材嵌着部２３が一体に突設されたもので、該シール部材嵌着部２３の外周面には４つの係合突部２４が突設されていると共に、上記仕切壁２２よりも下側の周壁には４つの切欠状窓部２５が形成されている。また、上記仕切壁２２の下面中央部には、図２に示されているように、コイルバネ４の上端部を固定するための突部２６が突設されている。
【００２０】
この弁部材２の上端にはゴム等の弾性材料からなるシール部材６が嵌着固定されている。このシール部材６は、図１に示されているように、円盤状の本体６１の上面中央部に円錐状の整流体６２を一体に突設すると共に、下面中央部に円筒状の脚部６３を一体に突設したものであり、この脚部６３を上記弁部材２のシール部材嵌着部２３に被せて該脚部６３内面に形成された係合凹部６４をシール部材嵌着部２３の係合突部２４に係合させることにより、弁部材２の上端面に固定されている。なお、上記円盤状本体６１の上面周縁部には小壁状の円形突条６５が突設されており、この円形突条６５がシール部となっている（以下これを「シール部６５」とする）。
【００２１】
上記弁部材２は、図２に示されているように、シール部材６を流入口１１へと向けた状態で上記ケース体１内に軸方向に沿って移動可能に収容され、突部２６と上記蓋体３のバネ固定突起３４との間に取り付けられたコイルバネ（付勢手段）４によって流入口１１側へと付勢されている。
【００２２】
この場合、この弁部材２は、その外周面がケース体１及び蓋体３に設けられたリブ１２，３５の先端に摺動可能に当接した状態となっており、これらリブ１２，３５に支持ガイドされて、弁部材２が安定姿勢で動作するようになっている。
【００２３】
この逆流防止バルブは、図７に示されたバルブｖと同様に、自動車の燃料タンクｔに燃料を供給する給油パイプｐのタンク内先端部に、上記液流入パイプ５を連結することにより取り付けられ、常時は、図２（Ａ）に示されているように、コイルバネ４の付勢力によって上記弁部材２に固定された上記シール部材６のシール部６５が、ケース体１の流入口１１周縁部に形成された段差部１１１にケース体１の内側から当接密着して、該流入口１１を閉塞した状態となり、タンクｔ内から給油パイプｐを通して燃料やその揮発蒸気が外部へと漏れるのが防止される。
【００２４】
次に、給油時には、図２（Ｂ）に示されているように、上記給油パイプｐ（図７参照）から上記液流入パイプ５を通してタンクｔ（図７参照）内へと注入される燃料の液圧により上記弁部材２が上記コイルバネ４の付勢力に抗して移動し、上記流入口１１が開いて、液流入パイプ５からケース体１内に燃料が流入し、この燃料が弁部材２とケース体１内周面との間を通って蓋体３に設けられた流出口３３から燃料タンクｔ内へと注入される。そして、給油終了時に弁部材２がコイルスプリング４により流入口１１側へと移動し、そのシール部６５が流入口１１周縁部の段差部１１１に内側から当接密着し、再び図２（Ａ）に示された、閉状態へと速やかに戻るようになっている。
【００２５】
この場合、本実施例の逆流防止バルブによれば、上記のように、ケース体１の内周面及び蓋体３に設けられたリブ１２，３５によって弁部材２の開閉動作が支持ガイドされ、流入パイプ５の内面はなんら凹凸のない平滑面になっているので、給油パイプｐ（図７参照）から上記液流入パイプ５を通して燃料が大量かつ高速に注入される場合でも、その液流が内面に凹凸のない液流入パイプ５内を乱流を生じることなくスムーズに流れ、給油時及び給油終了時における弁部材２の開閉動作がスムーズに行われて、乱流により弁部材２の開閉動作が不安定になるようなことがない。
【００２６】
従って、この逆流防止バルブによれば、常時は確実に弁を閉じて燃料の逆流を確実に防止することができ、また給油時及び給油終了時には、図８に示された従来のバルブのように給油される燃料の乱流により弁部材の動作が不安定になるようなことがなく、確実かつ安定的に開閉動作が行われ、信頼性の高い開閉動作が達成されるものである。
【００２７】
［第２実施例］
図３，４は、本発明の第２の実施例にかかる逆流防止バルブを示すもので、このバルブは、上記第１実施例の弁部材２に代えて、外周面にガイド溝７１を形成した弁部材７を用いたものであり、その他の構成は上記第１実施例のバルブと同一のものである。
【００２８】
このバルブを構成する上記弁部材７は、図３（Ａ）及び（Ｂ）に示されているように、上端壁を有する円筒状の本体７２の外周面に４つのガイド溝７１をそれぞれ９０度ずつ変位させて軸方向に沿って形成したものであり、その上端面には上記第１実施例の場合と同様のシール部６５を有するリング板状のシール部材８がキャップ体９により取り付けられている。
【００２９】
上記キャップ体９は、上端壁が円錐状の整流体６２に形成された円筒状のもので、弁部材７の上端壁中央部に形成された貫通孔に嵌着固定されており、このキャップ体９と弁部材７の上面との間に上記シール部材８が挟持固定されている。
【００３０】
上記弁部材７は、上記第１実施例の弁部材２と同様に、上記ケース体１内にコイルバネ４によって付勢された状態に配設されている。この場合、この弁部材７は、図４に示されているように、その外周面に設けられたガイド溝７１内にケース体１及び蓋体３に設けられたリブ１２，３５の先端部が摺動可能に嵌入した状態になっており、これにより弁部材７の開閉動作がより安定的に支持ガイドされるようになっている。
【００３１】
なお、その他の構成及び作用効果については、上記第１実施例のバルブと同様であるので、同一の構成部分に同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【００３２】
［第３実施例］
図５，６は本発明の第３の実施例にかかる逆流防止バルブを示すもので、このバルブは、上記第１実施例の弁部材２に代えて、４本のガイドアーム２０を有する弁部材１０を用いると共に、ケース体１ａ上端面の段差部１１１にこのガイドアーム２０が挿通する挿通孔１５を形成し、更に液流入パイプ５の外周面に上記ガイドアーム２０が挿入される４本のガイド溝５１を形成したものであり、その他の構成は上記第１実施例のバルブと実質的に同一のものである。
【００３３】
上記ケース体１ａは、その上端壁により形成された段差部１１１に斜めに傾斜した傾斜部が形成されている。この段差部１１１の傾斜部から液流入パイプ５近傍に至る部分に弁部材１０のガイドアーム２０が挿通される４つの挿通孔１５がそれぞれ９０度ずつ変位した位置に穿設されており、またケース体１ａの周壁には４つの流出窓（流出口）１４が形成されている。なお、このケース体１ａの内周面には、上記第１実施例のケース体１にあるリブ１２は形成されていない。
【００３４】
また、このケース体１ａの流入口１１に連結された液流入パイプ５の外周面には、軸方向に沿って一対の突条を４組突設することにより、これら突条間に形成された４本のガイド溝５１が９０度ずつ変位して設けられており、これらガイド溝５１が上記挿通孔１５と連通した状態になっている。
【００３５】
次に、上記弁部材１０は、図５（Ａ），（Ｂ）に示されているように、上端壁を有する円筒状の本体３０の上端面周縁部に４本のガイドアーム２０を９０度ずつ変位させて一体に突設すると共に、本体３０の上端面にキャップ体９及びシール部材８を上記第２実施例と同様にして固定したものである。
【００３６】
この弁部材１０は、図６に示されているように、上記ガイドアーム２０をそれぞれ挿通孔１５を通して外部に突出させた状態で上記ケース体１ａ内に移動可能に収納され、このケース体１ａから突出した４本のガイドアーム２０がそれぞれ上記液流入パイプ５の外周面に形成されたガイド溝５１に摺動可能な状態に挿入されている。
【００３７】
そして、この逆流防止バルブは、図６（Ａ），（Ｂ）に示されているように、上記ガイドアーム２０が上記ガイド溝５１内を摺動することにより、弁部材１０の開閉動作が支持ガイドされ、これにより弁部材１０の開閉動作が安定的に行われるものである。しかも、ケース体１ａの内周面も弁部材１０のガイドのための凹凸を有さない形状にできるため、タンク内へと流入する燃料の流れを上記第１，第２実施例のバルブに比べて更にスムーズにすることができる。また、ガイドアーム２０は弁部材１０から上方に向かって延出形成されており、弁部材１０の本体３０にガイド機能を設ける必要がないため、弁部材１０の本体３０の上下方向の寸法を小さくすることができ、これによりケース体１ａも小さくし得、バルブ全体を小型化することができる。
【００３８】
なお、この第３実施例の逆流防止バルブでは、図６（Ｂ）に示された給油時にケース体１ａ内に流入した燃料は、蓋体３ａに設けられた流出口３３と共に、ケース体１ａの周壁に設けられた流出窓１４からも燃料タンク内へと流出するようになっている。また、蓋体３ａは内周面にリブを有しないこと以外は上記第１，第２実施例における蓋体３と同様であり、その他の構成及び作用効果についても上記第１，第２実施例と同様であるので、同一の構成部分については同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【００３９】
ここで、この第３実施例の逆流防止バルブでは、上記ガイドアーム２０を挿通孔１５を通してガイド溝５１内に摺動可能に挿入し、上記ガイドアーム２０が上記ガイド溝５１内を摺動することにより、弁部材１０の開閉動作を支持ガイドするように構成したが、挿通孔１５の形状及び大きさをガイドアーム２０の断面形状及び大きさとほぼ同一に形成し、この挿通孔１５内をガイドアームが摺動することにより、弁部材１０の開閉動作を支持ガイドするように構成することもできる。この場合、上記ガイド溝５１は省略することができ、またガイド溝５１を省略することなく、挿通孔１５とガイド溝５１との両方で弁部材１０の開閉動作を支持ガイドするように構成することもできる。
【００４０】
このように、本発明にかかる上記第１〜３実施例の逆流防止バルブは、弁部材２，７，１０を移動可能に支持すると共にその開閉動作をガイドする支持ガイド手段を、第１及び第２実施例のように、上記ケース体１内周面と上記弁部材２，７の外周面との間に設けたり、第３実施例のように、弁部材１０に設けたガイドアーム２０を液流入パイプ５の外周面に設けたガイド溝５１に挿入するなどの手段により構成することによって、液流入パイプ５の内周面を凹凸のない平滑面としたものである。
【００４１】
これにより、給油パイプから上記液流入パイプ５を通して燃料が大量かつ高速に注入される場合でも、その液流が内面に凹凸のない液流入パイプ５内を乱流を生じることなくスムーズに流れ、給油時及び給油終了時における弁部材２，７，１０の開閉動作がスムーズに行われて、乱流により弁部材２，７，１０の開閉動作が不安定になるようなことがない。
【００４２】
従って、これら逆流防止バルブによれば、常時は確実に弁を閉じて燃料の逆流を確実に防止することができ、また給油時及び給油終了時には確実かつ安定的に開閉動作が行われ、信頼性の高い開閉動作が達成されるものである。
【００４３】
なお、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、各構成部材の形状や組み合わせについては、本発明の要旨の範囲内で種々変更することができる。
【００４４】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の逆流防止バルブによれば、液流入パイプを通して燃料が大量かつ高速に注入される場合でも、その液流が内面に凹凸のない液流入パイプ内を乱流を生じることなくスムーズに流れ、給油時及び給油終了時における弁部材の開閉動作がスムーズに行われて、乱流により弁部材の開閉動作が不安定になるようなことがなく、信頼性の高い開閉動作が達成されるものである。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明の第１の実施例にかかる逆流防止バルブを示す一部を断面とした分解斜視図である。
【図２】 同逆流防止バルブを示す断面図であり、（Ａ）は閉状態、（Ｂ）は開状態である。
【図３】 （Ａ）は本発明の第２の実施例にかかる逆流防止バルブを示す一部を断面とした分解斜視図であり、（Ｂ）は同逆流防止バルブを構成する弁部材を示す断面図である。
【図４】 同逆流防止バルブを示す断面図であり、（Ａ）は閉状態、（Ｂ）は開状態である。
【図５】 （Ａ）は本発明の第３の実施例にかかる逆流防止バルブを示す一部を断面とした分解斜視図であり、（Ｂ）は同逆流防止バルブを構成する弁部材を示す断面図である。
【図６】 同逆流防止バルブを示す断面図であり、（Ａ）は閉状態、（Ｂ）は開状態である。
【図７】 自動車の燃料タンクを示す部分外略図である。
【図８】 従来の逆流防止バルブを示す断面図であり、（Ａ）は閉状態、（Ｂ）は開状態である。
【符号の説明】
１，１ａ ケース体
１１ 流入口
１１１ 段差部
１２ リブ
１４ 流出窓（流出口）
１５ 挿通孔
２，７，１０ 弁部材
２０ ガイドアーム
３，３ａ 蓋体
３３ 流出口
３５ リブ
４ コイルバネ（付勢手段）
５ 液流入パイプ
５１ ガイド溝
６，８ シール部材
６５ シール部
７１ ガイド溝
Claims (6)
- 燃料タンクに燃料を供給する給油パイプのタンク内先端部に取り付けられる逆流防止バルブであり、一端面に段差部を介して形成された流入口を有し、他端面又は周面あるいはこれら両面に流出口を有する筒状のケース体と、上記流入口の周縁部に形成された上記段差部にケース体の内側から当接して該流入口を閉塞するシール部を有し、該ケース体内に軸方向移動可能に収容された弁部材と、該弁部材を上記流入口側へと付勢する付勢手段と、上記流入口にケース体の外側から接続された液流入パイプとを具備し、上記液流入パイプを上記給油パイプの先端部に連結することにより該給油パイプのタンク内先端部に取り付けられ、常時は、付勢手段の付勢力により上記弁部材のシール部が上記流入口の周縁部にケース体の内側から当接密着して、該流入口を閉塞し、給油時には、上記給油パイプを通してタンク内へと注入される燃料の液圧により上記弁部材が上記付勢手段の付勢力に抗して移動し、上記流入口を開くように構成された逆流防止バルブにおいて、
上記液流入パイプ内周面の上記流入口近傍が凹凸を有さない平滑面になっていることを特徴とする逆流防止バルブ。 - 上記弁部材を移動可能に支持すると共にその開閉動作をガイドする支持ガイド手段が、上記ケース体内周面と上記弁部材外周面との間に設けられた請求項１記載の逆流防止バルブ。
- 上記ケース体の内周面に複数のリブを軸方向に沿って突設し、これらリブの先端を上記弁部材の外周面に摺動可能に当接させることにより、これらリブにより該弁部材を支持ガイドする請求項２記載の逆流防止バルブ。
- 上記弁部材の外周面に軸方向に沿って複数のガイド溝を形成し、該ガイド溝内に上記リブを摺動可能に嵌入した請求項３記載の逆流防止バルブ。
- 上記弁部材の上面外周縁部に複数のガイドアームを立設すると共に、上記ケース体の上端面に形成された上記段差部に上記ガイドアームが挿通される挿通孔を形成し、上記ガイドアームを上記挿通孔に摺動可能に挿通させて、該ガイドアームが上記挿通孔内を摺動することにより、弁部材の開閉動作を支持ガイドする請求項１記載の逆流防止バルブ。
- 上記弁部材の上面外周縁部に複数のガイドアームを立設すると共に、上記ケース体の上端面に形成された上記段差部に上記ガイドアームが挿通される挿通孔を形成し、かつ上記液流入パイプの外周面に複数のガイド溝を設け、上記ガイドアームを上記挿通孔を通して上記ガイド溝内に摺動可能に挿入し、該ガイドアームが上記ガイド溝内を摺動することにより、弁部材の開閉動作を支持ガイドする請求項１又は５記載の逆流防止バルブ。
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