JP4272829B2 - 樹脂被覆金属板及び樹脂被覆金属板の製造方法 - Google Patents

樹脂被覆金属板及び樹脂被覆金属板の製造方法 Download PDF

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    • B29C66/00General aspects of processes or apparatus for joining preformed parts
    • B29C66/70General aspects of processes or apparatus for joining preformed parts characterised by the composition, physical properties or the structure of the material of the parts to be joined; Joining with non-plastics material
    • B29C66/71General aspects of processes or apparatus for joining preformed parts characterised by the composition, physical properties or the structure of the material of the parts to be joined; Joining with non-plastics material characterised by the composition of the plastics material of the parts to be joined

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、バスユニット等の建築内装材用途に用いられる樹脂被覆金属板及び樹脂被覆金属板の製造方法に関するものであり、詳しくは、耐傷入り性、加工性に優れるとともに、意匠性に優れた鏡面反射性を有し、かつハロゲン含有樹脂を使用しない樹脂被覆金属板及び樹脂被覆金属板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より上記用途に用いられる意匠性樹脂被覆金属板としては、顔料の添加により着色された樹脂層の上に印刷層を設け、更にその上に透明な樹脂フィルムを積層した構成のものが用いられて来た。
【0003】
前記構成における透明樹脂フィルムとしては、厚み10〜50μmのエチレン−ビニルアルコール共重合体フィルムや、アクリル酸エステル系共重合体フィルム、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート系樹脂(以下、二軸延伸PET系樹脂と称す)フィルム等を用いるのが一般的である。なかでも、各種物性のバランスに優れ、下地の印刷層の透視性に優れる二軸延伸PET系樹脂フィルムが好ましく用いられている。
【0004】
同じく前記構成における着色された樹脂層としては、軟質塩化ビニル系樹脂層を用いるのが一般的であった。これは軟質塩化ビニル系樹脂が、可塑剤を添加することで柔軟性を任意に設定でき、透明二軸延伸PET系樹脂フィルムを積層した構成においても良好な加工性が得られることに加えて、長年の安定剤の研究に基づき比較的良好な耐久性を有し、耐薬品性や耐熱性、耐水性にも優れることからバスユニット等の用途にも好ましく用いることができることによる。
【0005】
更に、軟質塩化ビニル系樹脂に透明二軸延伸PET系樹脂フィルムを積層した構成においては、極めて良好な鏡面反射性が得られる。すなわち、樹脂被覆金属板に映り込んだ像に歪みが少なく、鮮明度が高いことも特徴の一つとなっている。
【0006】
しかし、近年、塩化ビニル系樹脂の一部の安定剤に起因する重金属化合物の問題、一部の可塑剤や安定剤に起因するVOC(揮発性有機化合物)問題や内分泌攪乱作用(環境ホルモン作用)の問題、燃焼時に塩化水素ガスその他の塩素含有ガスを発生する問題等から、塩化ビニル系樹脂はその使用に制限を受けるようになってきた。
【0007】
そこで、前記構成の着色された樹脂層の軟質塩化ビニル系樹脂に代えて、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂を主体とし、スチレン系や共重合オレフィン系樹脂等の軟質成分を配合することで、軟質塩化ビニル系樹脂に近い物性を得たものを用いることが実施された。この構成においても二軸延伸PET系フィルムを積層した構成では、着色された樹脂層に塩化ビニル系樹脂を用いた場合と同等の優れた鏡面反射性を得ることが可能であった。しかし、プレコート鋼板として充分な加工性を付与した場合は、軟質塩化ビニル系樹脂を用いた場合よりも表面の耐傷入り性に劣るものとなる。また、逆に耐傷入り性を軟質塩化ビニル系樹脂被覆金属板と同等にした場合は、満足な加工性が得られないという問題があり、広汎に使用できるものとはならなかった。また、ポリオレフィン系樹脂は本質的に接着性に劣る材料であることから、印刷意匠を付与し二軸延伸PET系樹脂フィルムと積層する場合においても、軟質塩化ビニル系樹脂より多工程を必要とするという問題がある。また、二軸延伸PET系樹脂フィルムとの接着界面及び金属板との接着に用いる接着剤との界面の経時安定性に関しても不安が残るという問題もある。
【0008】
これらの問題点を解決する材料としてポリエステル系樹脂を前記構成の着色された樹脂層として用いることが検討されて来ている。この樹脂を被覆した金属板では、耐傷入り性と加工性を軟質塩化ビニル系樹脂被覆金属板より高いレベルで両立させることが可能であり、ポリオレフィン系樹脂被覆金属板での諸問題も解決できるものである。
【0009】
しかし、非晶性のカレンダー成形可能なポリエステル系樹脂を着色された樹脂層として用いた場合、そのガラス転移温度(Tg)が100℃より低いことに起因して、建築内装用樹脂被覆金属板の評価項目として一般的に含まれる耐沸騰水浸漬試験を満足することができない。これに対し、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等の結晶性を有するポリエステル系樹脂を着色された樹脂層として用いた場合は、その融点が高いため、鋼板とラミネートする際に従来の塩化ビニル系樹脂フィルムやポリオレフィン系樹脂フィルムをラミネートする場合より鋼板の表面温度を高くする必要がある。そのため、既存のラミネートラインをそのまま使用することができず、ラインを改造する必要が出てくる。また、前記樹脂被覆金属板の裏面には塗装処理が施されることがあるが、この塗装も従来のものでは耐熱性に問題が出てくる。この場合、塗料を耐熱性の高いものに変更したり、あるいはラミネート前の鋼板の加熱と裏面に塗布した塗料の乾燥とを同時に行っていたものを、ラミネート後に塗料を塗布し、再度乾燥加熱を行うように改造する等を行わなくてはならない。更に、透明二軸延伸ポリエステル系樹脂フィルムに施された印刷層の耐熱性も、従来のラミネート温度では問題なかったものが、ラミネート温度を上げた場合は、熱変色、熱褪色等を生ずる可能性があり、その場合、印刷インクの顔料種、バインダー種の変更が必要となる。しかし、これらの問題点を改善することは、鋼板ラミネート業者の負担増に繋がり、歓迎されるものではない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は前記の問題点に鑑みてなされたものであって、その第1の目的は軟質塩化ビニル系樹脂を使用せずに、既存のラミネートラインを改造することなく製造可能な、優れた鏡面反射性及び耐沸騰水性を有する樹脂被覆金属板を提供することにある。また、第2の目的はその樹脂被覆金属板の製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記第1の目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、基材金属板(A)上にポリエステル系樹脂層(B)を設け、更にその上に印刷層(C)を付与した透明二軸延伸ポリエステル系樹脂フィルム(D)を、その印刷層(C)側を積層面として積層した構成の樹脂被覆金属板であって、前記ポリエステル系樹脂層(B)が、前記基材金属板(A)側から順に、160〜210℃の融点Tm1を持つポリエステル系樹脂層(b−1)/210℃以上の融点Tm2を持つポリエステル系樹脂層(b−2)/160〜210℃の融点Tm3を持つポリエステル系樹脂層(b−3)の3層より成り、該ポリエステル系樹脂層(B)と前記印刷層(C)を有する透明二軸延伸ポリエステル系樹脂フィルム(D)とを積層一体化させたものを前記基材金属板(A)にラミネートする際の基材金属板表面温度をTs(℃)とした場合、Tm1≦(Ts−30℃)、Tm3≦(Ts−30℃)の両条件を満たす温度でラミネートされたものであり、前記ポリエステル系樹脂層(b−1)、ポリエステル系樹脂層(b−2)、及びポリエステル系樹脂層(b−3)がそれぞれポリブチレンテレフタレート系樹脂である
【0012】
この発明では、前記の構成により、軟質塩化ビニル系樹脂を被覆した樹脂被覆金属板を製造するための既存のラミネートラインを改造することなく、優れた鏡面反射性を有する樹脂被覆金属板を軟質塩化ビニル系樹脂を使用せずに得ることができる。また、塩化ビニル系樹脂フィルムと同条件でラミネートするのに好適となる。
【0013】
請求項2に記載の発明では、基材金属板(A)上にポリエステル系樹脂層(B)を設け、更にその上に印刷層(C)を付与した透明二軸延伸ポリエステル系樹脂フィルム(D)を、その印刷層(C)側を積層面として積層した構成の樹脂被覆金属板であって、前記ポリエステル系樹脂層(B)が、前記基材金属板(A)側から順に、融点Tm1を持つポリエステル系樹脂層(b−1)/融点Tm2を持つポリエステル系樹脂層(b−2)/融点Tm3を持つポリエステル系樹脂層(b−3)の3層より成り、前記両ポリエステル系樹脂層(b−1),(b−3)の融点Tm1,Tm3が軟質塩化ビニル系樹脂被覆金属板の製造時の軟質塩化ビニル系樹脂フィルムのラミネート温度をTlとした場合、Tm1≦(Tl−30℃)、Tm3≦(Tl−30℃)の両条件を満たし、前記ポリエステル系樹脂層(b−1)、ポリエステル系樹脂層(b−2)、及びポリエステル系樹脂層(b−3)がそれぞれポリブチレンテレフタレート系樹脂である。この発明でも、前記の構成により、軟質塩化ビニル系樹脂を被覆した樹脂被覆金属板を製造するための既存のラミネートラインを改造することなく、優れた鏡面反射性を有する樹脂被覆金属板を軟質塩化ビニル系樹脂を使用せずに得ることができる。
【0015】
請求項に記載の発明では、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記ポリエステル系樹脂層(b−1)及びポリエステル系樹脂層(b−3)がそれぞれ酸成分としてテレフタル酸及びイソフタル酸を含む共重合ポリブチレンテレフタレート系樹脂である。従って、この発明では、ポリブチレンテレフタレート系樹脂がもとから融点が低いため、少ない共重合成分で上記範囲の融点を得ることができ、融点の低下以外の物性変化が少なくなる。
【0016】
請求項に記載の発明では、請求項1〜請求項のいずれか一項に記載の発明において、前記ポリエステル系樹脂層(b−2)の融点Tm2が210〜230℃の範囲である。この発明では、製膜時の安定性及び樹脂被覆金属板としての加工性を確保し易い。
【0017】
請求項に記載の発明では、請求項1〜請求項のいずれか一項に記載の発明において、前記透明二軸延伸ポリエステル系樹脂フィルム(D)が透明二軸延伸ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムである。この発明では、透明性や平滑性、表面の耐傷入り性がより良好になる。
【0018】
請求項に記載の発明では、請求項1〜請求項のいずれか一項に記載の発明において、前記ポリエステル系樹脂層(B)と、前記印刷層(C)を付与した透明二軸延伸ポリエステル系樹脂フィルム(D)の印刷層(C)側との間に接着剤層(F)が付与されている。この発明では、接着剤層Fがない構成に比較して、ポリエステル系樹脂層Bと印刷層C間の耐剥離性が向上する。
【0019】
請求項に記載の発明では、請求項1〜請求項のいずれか一項に記載の発明において、前記ポリエステル系樹脂層(B)を構成する3層が共押出し製膜で形成されたものであり、前記ポリエステル系樹脂層(b−1)及びポリエステル系樹脂層(b−3)が同一樹脂組成物より成る2種3層構成である。この発明では、ポリエステル系樹脂層(B)の3層を共押出し法で製膜する場合、押出し操作のし易さや、得られたシートの安定性が良好となる。
【0020】
請求項に記載の発明では、請求項1〜請求項のいずれか一項に記載の発明において、前記ポリエステル系樹脂層(B)を構成する3層が共押出し製膜で形成されたものであり、着色のための顔料が主として中間のポリエステル系樹脂層(b−2)に添加されている。従って、この発明では、3層に均一に、あるいは他の層(b−1),(b−3)に多く顔料を添加した場合に比較して、押出しライフを延長できるとともに、顔料及びその分散性を改善する目的で添加される添加剤の表面からの吹き出しによる接着不良等のトラブルを回避し易い。
【0021】
請求項に記載の発明では、基材金属板(A)上にポリエステル系樹脂層(B)を設け、更にその上に印刷層(C)を付与した透明二軸延伸ポリエステル系樹脂フィルム(D)を、その印刷層(C)側を積層面として積層した構成で、前記ポリエステル系樹脂層(B)が、前記基材金属板(A)側から順に、160〜210℃の融点Tm1を持つポリエステル系樹脂層(b−1)/210℃以上の融点Tm2を持つポリエステル系樹脂層(b−2)/160〜210℃の融点Tm3を持つポリエステル系樹脂層(b−3)の3層より成り、前記ポリエステル系樹脂層(b−1)、ポリエステル系樹脂層(b−2)、及びポリエステル系樹脂層(b−3)がそれぞれポリブチレンテレフタレート系樹脂である樹脂被覆金属板の製造方法であって、前記ポリエステル系樹脂層(B)と前記印刷層(C)を有する透明二軸延伸ポリエステル系樹脂フィルム(D)とを積層一体化させたものを前記基材金属板(A)にラミネートする際の基材金属板表面温度をTs(℃)とした場合、Tm1≦(Ts−30℃)、Tm3≦(Ts−30℃)の両条件を満たす温度でラミネートする。この発明では、請求項1及び請求項2に記載の発明の樹脂被覆金属板を容易に製造できる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した実施の形態を説明する。
図1(a)は本発明の樹脂被覆金属板Pの基本構成を示す模式断面図である。樹脂被覆金属板Pは、基材金属板Aの片面に接着剤層Eを介してポリエステル系樹脂層Bが積層され、その上に印刷層Cを介して透明二軸延伸ポリエステル系樹脂フィルムDが積層された構成となっている。ポリエステル系樹脂層Bは、基材金属板Aの側から順に、ポリエステル系樹脂層(b−1)/ポリエステル系樹脂層(b−2)/ポリエステル系樹脂層(b−3)の3層より構成されている。また、図1(b)に示す樹脂被覆金属板Pでは、図1(a)の樹脂被覆金属板Pの構成に加えて、印刷層Cとポリエステル系樹脂層Bとの間に接着剤層Fが設けられている。
【0023】
<基材金属板A>
本発明に係る樹脂被覆金属板Pにおける基材金属板Aとしては、この種樹脂被覆金属板に一般的に使用されるものを特に制限無く使用できる。具体的には、熱延鋼鈑、冷延鋼鈑、ステンレス鋼鈑等の各種鋼鈑やアルミニウム系合金板等を挙げることができる。鋼鈑は表面がメッキ等により表面処理されたものであっても良く、メッキの種類にも特に制限は無く、例えば、溶融亜鉛メッキ、電気亜鉛メッキ、すずメッキ、亜鉛−アルミニウム合金メッキ等が挙げられる。また、化成処理としてクロメート処理、リン酸被膜処理等を挙げることができる。これら熱処理条件、メッキの厚み等に関しても一般的な範囲内で特に制限はない。また、基材金属板Aの厚さは、樹脂被覆金属板Pの用途などにより異なるが、0.1〜10mmの範囲が好ましい。
【0024】
<ポリエステル系樹脂層B>
ポリエステル系樹脂層Bは、基材金属板Aの側から順に、融点Tm1を持つポリエステル系樹脂層(b−1)/融点Tm2を持つポリエステル系樹脂層(b−2)/融点Tm3を持つポリエステル系樹脂層(b−3)の3層より構成されている。該ポリエステル系樹脂層Bを基材金属板Aにラミネートする際の鋼板表面温度をTs(℃)とした場合、Tm1≦(Ts−30℃)、Tm3≦(Ts−30℃)の両条件を満たすように、融点Tm1,Tm3及び鋼板表面温度Ts(℃)が選定される。これより融点Tm1,Tm3が高い場合は、ラミネート時にポリエステル系樹脂層(b−1),(b−3)が溶融状態とならない。そのため、基材金属板Aの表面の凹凸や、積層一体化シート(B+C+D)の製膜、印刷、積層一体化工程その他に起因する凹凸が、ラミネート後の樹脂被覆金属板Pにそのまま反映されてしまい、高い鏡面反射性を確保することができない。また、基材金属板Aとポリエステル系樹脂層Bとの間の接着強度も充分得られない可能性がある。
【0025】
ラミネート時には基材金属板Aと積層一体化シート(B+C+D)はロールにより加圧されることから、例えば接着剤層Eの厚みが極端に厚い場合は、基材金属板Aの表面の凹凸は接着剤層Eにより平滑化されることも考えられるが、現実的とは言い難い。また、この場合も積層一体化シートに起因する凹凸は全く改善されないので、高い(優れた)鏡面反射性は得られない。
【0026】
これに対し、ポリエステル系樹脂層(b−1)の融点Tm1、ポリエステル系樹脂層(b−3)の融点Tm3、ラミネート時の鋼板表面温度Tsを、前記の両条件を満足するように設定した場合は、ラミネート時に層(b−1)及び層(b−3)が溶融状態となると同時に加熱ロールで平滑化されることで、前記各種原因に由来する凹凸が解消し、高い鏡面反射性が得られる。
【0027】
従来の塩化ビニル系樹脂フィルムと同条件でラミネートする場合は、一般的にTs=190℃〜240℃であることから、前記融点Tm1、Tm3は160℃〜210℃の範囲に上限を持つこととなる。
【0028】
融点Tm1、Tm3の下限温度に関しては、150℃程度以上であることが好ましい。これは一般的にポリエステル系樹脂において、融点をこれ以下に下げた組成物を安定して得ることに種々問題点が存在すること、及び3層を共押出しで製膜する場合に各層の融点差が大き過ぎると製膜性に問題がでること、取り扱い性、表面硬度等各種物性の低下が顕著になることによる。
【0029】
ポリエステル系樹脂層(b−1)とポリエステル系樹脂層(b−3)は同一の樹脂組成より成っていてもよい。ポリエステル系樹脂層Bの3層を共押出し法で製膜する場合は、押出し操作のし易さや、得られたシートの安定性の点から、層(b−1)及び層(b−3)は同一の樹脂組成より成ることが好ましい。
【0030】
ラミネート温度を250℃以上に設定できる場合は、ポリエチレンテレフタレート系、ポリブチレンテレフタレート系、ポリトリメチレンテレフタレート(ポリプロピレンテレフタレート)系等の酸成分及びアルコール成分がそれぞれ単一組成である重合体を用いることができる。しかし、従来の塩化ビニル系樹脂フィルムと同条件でラミネートする場合は、各種共重合ポリエステル系樹脂の中から上記融点範囲に適合する樹脂を選定して用いる。一例としてイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート系樹脂、1,4−シクロヘキサンジメタノール共重合ポリエチレンテレフタレート系樹脂、イソフタル酸共重合ポリブチレンテレフタレート系樹脂、ポリテトラメチレングリコール共重合ポリブチレンテレフタレート系樹脂等を挙げることができる。しかし、もとから融点が低く、少ない共重合成分で上記範囲の融点を得ることができるポリブチレンテレフタレート系樹脂を、融点の低下以外の物性変化が少ないイソフタル酸共重合とした樹脂が好ましい。あるいは、イソフタル酸共重合ポリブチレンテレフタレート系樹脂と通常のポリブチレンテレフタレート樹脂とを溶融混練し、融点を適宜調整したものであってもよい。
【0031】
ポリエステル系樹脂層(b−2)の主体を成す樹脂成分としては、上記ポリエステル系樹脂層(b−1)及び(b−3)に用いるのと同一の樹脂を選定することができる。しかし、ポリエチレンテレフタレート系、ポリブチレンテレフタレート系、ポリトリメチレンテレフタレート(ポリプロピレンテレフタレート)系等の酸成分及びアルコール成分がそれぞれ単一組成である重合体がコスト面で有利であり、また、製膜時の安定性の点でも好ましい。あるいは、一部をイソフタル酸としたもので、ポリエステル系樹脂層(b−1)及び(b−3)より融点が高いもの等を選ぶことができる。更に、これらの混合体としても良いが、樹脂被覆金属板Pとしての加工性を確保する点からポリブチレンテレフタレート系樹脂が好ましく、製膜性やコストの点から酸成分及びアルコール成分がそれぞれ単一組成であるポリブチレンテレフタレート系樹脂が更に好ましい。
【0032】
ポリエステル系樹脂層B中の各層には、下地の基材金属板Aの隠蔽、意匠性の付与、印刷層Cの発色性の改善等の目的で顔料が添加される。使用される顔料は従来から樹脂着色用に一般的に用いられているもので良く、その添加量に関しても上記目的のために一般的に添加される量で良い。3層全てに顔料を添加しても良い。しかし、押出しライフを延長できる点、顔料及びその分散性を改善する目的で添加される添加剤の表面からの吹き出しによる接着不良等のトラブル回避の点からは、中間層である層(b−2)のみに添加するか、層(b−2)に主として添加し、層(b−2)を挟む両外側に積層された層(b−1)及び層(b−3)には補助的に添加することが好ましい。
【0033】
また、ポリエステル系樹脂層B中の各層には、本発明の目的を損なわない種類の各種の添加剤を適宜の量、添加することができる。添加剤としては、燐系・フェノール系等の各種酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、金属不活化剤、残留重合触媒不活化剤、造核剤、抗菌・防カビ剤、帯電防止剤、難燃剤、充填剤等の広汎な樹脂材料に一般的に用いられているものや、末端カルボン酸封止剤、カルボジイミド系等の加水分解防止剤等の特定樹脂用に開発された添加剤等を挙げることができる。
【0034】
ポリエステル系樹脂層Bの厚みは40μm〜250μmの範囲で選ぶのが好ましい。厚みがこれより薄いと充分な下地隠蔽性を確保することが困難であり、また、3層共押出し製膜作業性、製膜後の取り扱い性等が悪化し好ましくない。これより厚くしても、下地隠蔽効果、基材金属の保護効果とも飽和し、また、打ち抜きや折り曲げ等の2次加工性が低下すること、及び原料コストが上昇することにより好ましくない。
【0035】
ポリエステル系樹脂層B中の層(b−1)及び層(b−3)はそれぞれ10μm以上の厚みを有することが好ましい。厚みがこれより薄いと、ラミネート時に層(b−1)及び層(b−3)が溶融状態になった場合も平滑化の効果が不十分であり、高い鏡面反射性が得難いため好ましくない。また、3層共押出しでの安定した製膜性を確保する観点からも好ましくない。
【0036】
ポリエステル系樹脂層Bの製膜方法に関しては、特に制約を設けるものではないが、3層共押出しによる押出し製膜が最も一般的であると考えられる。マルチマニホールドのTダイを用いても良く、フィードブロック方式の押出し法によっても良いが、融点が異なる樹脂を共押出しする点からは前者の方法が好ましい。
【0037】
<透明樹脂フィルムD>
本発明に使用する透明二軸延伸ポリエステル系樹脂フィルムDとしては、軟質塩化ビニル系樹脂被覆鋼板やオレフィン系樹脂被覆鋼板に同様の目的、即ち印刷層の保護、深みのある意匠性の付与、表面の各種物性の改良等の目的で用いられてきたものと同じものを使用することができる。中でも透明性や平滑性、表面の耐傷入り性等の点から2軸延伸されたポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムが好適に用いられる。透明二軸延伸ポリエステル系樹脂フィルムDの好ましい厚みに関しても、軟質塩化ビニル系樹脂被覆鋼板等の場合と同様15μm〜75μm程度が好ましい。
【0038】
<印刷層C>
グラビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷、他公知の方法で付与される。印刷層Cの絵柄は石目調、木目調あるいは幾何学模様、抽象模様等任意であり、部分印刷でも全面ベタ印刷でもよく、部分印刷を施した後、更にベタ印刷が施されていても良い。一般的には、平滑性の良好な透明二軸延伸ポリエステル系樹脂フィルムDの積層面に所謂バックプリントを施しておく方法が用いられる。しかし、特にこれに限定されるものではなく、ポリエステル系樹脂層Bの透明二軸延伸ポリエステル系樹脂フィルムDと積層する側の表面に印刷を施しておいても良い。
【0039】
ラミネート温度を従来の塩化ビニル系樹脂フィルム被覆鋼板と同等とする場合は、塩化ビニル系樹脂フィルムに用いられてきたもの、あるいは塩化ビニル系樹脂フィルムに積層する用途の二軸延伸ポリエステル系樹脂フィルムのバックプリントに用いられてきたものと同等の耐熱性を有する顔料種、バインダー種を用いることができる。
【0040】
<接着剤層E及び接着剤層F>
基材金属板Aとポリエステル系樹脂層B間に介在する接着剤層E用の接着剤としては、例えばポリ塩化ビニル被覆金属板用として一般的に用いられているポリエステル系接着剤やエポキシ系接着剤、ウレタン系接着剤等が使用される。また、印刷層Cとポリエステル系樹脂層B間に介在する接着剤層F用の接着剤としては、例えば熱硬化型ポリエステル系接着剤が使用される。しかし、これらに限定されるものではない。
【0041】
<積層印刷シート(フィルム)の作成>
ポリエステル系樹脂層Bとバックプリントを施した透明二軸延伸ポリエステル系樹脂フィルムDとの積層は、予め製造したそれぞれのシートの少なくとも一方の積層面に接着剤層Fを設けて積層する方法等に依ることができる。接着剤層Fとして溶剤に希釈した接着剤をコータで塗布した後、連続的に乾燥炉へ導入し、溶剤を揮発させ、その後、もう一方のフィルムと重ね合わせて一対のロール間を通過させることにより、加熱、加圧積層一体化するものである。これは塩化ビニル系樹脂やポリオレフィン系樹脂を用いた高い鏡面性樹脂被覆金属板の製法として一般的に行われてきたものである。
【0042】
<樹脂被覆金属板の作成>
上記で積層したシートを基材金属板Aにラミネートすることで本発明の樹脂被覆金属板Pを得る。金属板にリバースコーター、キスコーター等の一般的に使用されるコーティング設備を使用し、積層一体化されたシートを貼り合わせ金属面に乾燥後の接着剤膜厚が2〜4μm程度となるように接着剤を塗布する。次いで赤外線ヒーター及び熱風加熱炉により塗布面の乾燥及び加熱を行い、基材金属板Aの表面温度をポリエステル系樹脂層B中の層(b−1)及び層(b−3)の融点Tm1,Tm3より30℃以上高い温度に保持しつつ、直ちにロールラミネータを用いて積層シートを被覆、冷却することにより樹脂被覆金属板を得る。ラミネート時の基材金属板の表面温度がこれより低いと高鏡面反射性外観は得られない。
【0043】
(実施例)
以下、実施例及び比較例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例及び比較例に示した樹脂被覆金属板の物性の測定規格、試験法及び評価は以下の通りである。
【0044】
[融点(Tm)]
パーキンエルマー製、示差走査熱量計「DSC−7」を用いて、試料10mgをJIS−K7121「プラスチックの転移温度測定方法−融解温度の求め方」に準じて、加熱速度10℃/分で測定して求めた。2次昇温時の融解ピーク温度を融点とした。
【0045】
[表面硬度]
Hの鉛筆を用いて、JIS S1005 9.8(2)鉛筆引っ掻き試験に従い、80mm×60mmの樹脂被覆金属板の樹脂シート面に対し45°の角度を保ちつつ500gの荷重をかけて線引きし、線引き部の樹脂シートの面状態を目視で判定し、全く傷が付かなかったものを「○」、若干線引きの後が残ったものを「△」、明確に傷が付いたものを「×」とした。
【0046】
[耐沸騰水性試験]
50mm×60mmの樹脂被覆金属板を、沸騰水中に3時間浸漬し、その樹脂シートの面状態を目視で判定し、全く変化のなかったものを「○」、若干表面に荒れがでたものを「△」、起泡(気泡)による膨れが生じたものを「×」とした。
【0047】
[接着力]
20mm×100mmの樹脂被覆金属板を試験片として、JIS Z−0237「粘着テープ・粘着シート試験方法−試験片に対する180度引き剥がし粘着力」に準拠した剥離強度測定を測定幅20mmで行い、樹脂フィルムと基材金属間の接着力を測定した。充分な接着力があると判断されたもの(40N/20mm以上)を「○」、相対的に接着力が低いが実用上は支障ないと判断されるものを「△」、更に接着力が弱いもの(20N/20mm以下)を「×」とした。
【0048】
[加工性]
樹脂被覆金属板に衝撃密着曲げ試験を行い、曲げ加工部の化粧シートの面状態を目視で判定し、ほとんど変化がないものを「○」、若干クラックが発生したものを「△」、割れが発生したものを「×」とした。なお、衝撃密着曲げ試験は次のようにして行った。樹脂被覆金属板の長さ方向及び幅方向からそれぞれ50mm×150mmの試料を作製し、23℃で1時間以上保った後、折り曲げ試験機を用いて180°(内曲げ半径2mm)に折り曲げ、その試料に直径75mm、質量5kgの円柱形の錘を50cmの高さから落下させた。
【0049】
[鏡面反射性]
財団法人日本色彩研究所が開発したPGD鮮明度光沢計を用い、同法人が規定する測定法により実施例及び比較例の各樹脂被覆金属板の鏡面反射性を測定した。測定値が0.9以上の場合を「○」、0.8以上で0.9未満の場合を「△」、0.8未満の場合を「×」とした。
【0050】
<積層フィルムの作成>
表1に示す層構成及び樹脂構成で2種3層の共押出し用マルチマニホールドTダイに接続された2基の二軸混練押出機を用いて、厚さ80μmの3層共押出しポリエステル系樹脂層Bとしてのシートを製膜した。各層(b−1),(b−2),(b−3)の厚み構成及び各層の融点Tm(℃)に関しても表1中に記載した。一部の比較例に関しては3層に同一樹脂を用い、実質上の単層フィルムとした。
【0051】
なお、表1中に示したPBTの差異は以下のとおりである。
600FP:ジュラネックス 600FP 融点Tm=225℃
ホモPBT(テレフタル酸と1,4−ブタンジオールのみから成る)
600JP:ジュラネックス 600JP 融点Tm=205℃
共重合PBT(イソフタル酸共重合)
600KP:ジュラネックス 600KP 融点Tm=185℃
共重合PBT(イソフタル酸共重合)
600LP:ジュラネックス 600LP 融点Tm=170℃
共重合PBT(イソフタル酸共重合)
600FP、600JP、600KP、600LPはいずれもポリプラスチック(株)製であり、イソフタル酸の共重合比率が高くなる程融点は低くなっている。
PBT5020S:ノバデュラン 5020S 融点Tm=224℃
三菱エンジニアリングプラスチック(株)製
なお、ノバデュラン 5020SもホモPBTであり、ジュラネックス 600FPとはI.V.値(固有粘度)が多少異なるものである。
また、PET−G:6763はイーストマンケミカル社製の製品で、ポリエチレンテレフタレートのエチレングリコールの一部(約30〜60モル%)を1,4−シクロヘキサンジメタノールで置換した非晶性ポリエステル系樹脂である。
【0052】
次いで、厚さ25μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルム(三菱化学ポリエステル社製)の片面にグラビアコート法によって抽象模様の部分印刷を施し(印刷層C)た。そして、該印刷面に熱硬化型ポリエステル系接着剤(接着剤層F)を塗布し、ポリエステル系樹脂層Bとしての前記シートと重ね合わせて、一対のロール間を通過させることにより一体化し、本発明に用いる積層シートとした。二軸延伸ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムの種類、印刷インク及び熱硬化型ポリエステル系接着剤の種類、付与条件などは全ての実施例及び比較例において同一である。
【0053】
<樹脂被覆金属板の作成>
次にポリ塩化ビニル被覆金属板用として一般的に用いられているポリエステル系接着剤を、金属面に乾燥後の接着剤膜厚が2〜4μm程度になるように塗布し(接着剤層E)た。次いで熱風乾燥炉及び赤外線ヒーターにより塗布面の乾燥及び加熱を行い、亜鉛めっき鋼鈑(厚み0.45mm)の表面温度Ts(℃)を表2中に記載の各温度に設定し、直ちにロールラミネーターを用いてポリエステル系樹脂シートを被覆、冷却することにより樹脂被覆金属板(樹脂被覆鋼鈑)を作製した。そして、上記した各項目を評価した。ラミネート条件を表2に、評価結果を表3にまとめて示した。なお、接着剤の種類、塗布条件は全ての実施例及び比較例において同一である。
【0054】
【表1】
Figure 0004272829
【0055】
【表2】
Figure 0004272829
【0056】
【表3】
Figure 0004272829
表3から、以下のことが判る。
【0057】
実施例1〜8においては、従来の塩化ビニル系樹脂系フィルム被覆鋼板と同様のラミネート温度で良好な鏡面反射性が得られており、その他の樹脂被覆金属板として必要な性能も満たしている。
【0058】
実施例7は鏡面反射性その他の樹脂被覆金属板としての性能には問題がなかったが、押出し製膜時にダイス内に滞留物を生じ易く、長時間の製膜ではダイ筋が発生し、シート外観が悪化した。本評価においては、ダイ筋発生前のシートを使用した。
【0059】
参考例9は良好な鏡面反射性を得られているが、ラミネート温度が高いことにより印刷柄に多少の変色が認められた。
比較例中で良好な鏡面反射性を得られたものとしては、比較例1があるが、比較例1ではポリエステル系樹脂層Bとして非晶性(非結晶性)のポリエステル系樹脂を用いていることから、耐沸騰水性が得られていない。
【0060】
比較例2,3,5,6では(Ts−Tm1)及び(Ts−Tm3)が30℃未満で、良好な鏡面反射性を得られていない。また、接着力もやや低い結果となっている。
【0061】
比較例4は(Ts−Tm1)及び(Ts−Tm3)が30℃以上という条件は満たしているが、層(b−1)及び層(b−3)の厚みが薄過ぎることにより、鏡面反射性の付与に対する効果が乏しいと考えられる。また、ポリエステル系樹脂層Bを押出し製膜する際の製膜安定性にも問題があり、表3中には厚み7μmと表記したが、測定場所による厚みの不均一が激しかった。これも鏡面反射性を得られなかった原因と思われる。
【0062】
比較例6では層(b−2)の融点Tm2と、ラミネート時の鋼板表面温度Tsとの関係が、(Ts−Tm2)>30℃となっているが、(Ts−Tm1)及び(Ts−Tm3)が30℃未満となり、この構成においては良好な鏡面反射性が得られないことが判る。
【0063】
この実施の形態では以下の効果を有する。
(1) 基材金属板A上にポリエステル系樹脂層Bを設け、更にその上に印刷層Cを付与した透明二軸延伸ポリエステル系樹脂フィルムDを、その印刷層C側を積層面として積層した構成の樹脂被覆金属板であって、ポリエステル系樹脂層Bを3層構成とし、その両外側層の融点をラミネートする際の鋼板表面温度Tsに対して特定の条件となるように設定した。その結果、軟質塩化ビニル系樹脂を使用せずに、優れた鏡面反射性及び耐沸騰水性を有する樹脂被覆金属板を既存のラミネートラインを改造することなく得ることができる。
【0064】
(2) ポリエステル系樹脂層(b−1)及び(b−3)がそれぞれポリブチレンテレフタレート系樹脂であり、該樹脂の融点Tm1及びTm3がそれぞれ160〜210℃の範囲である。この場合、塩化ビニル系樹脂フィルムと同条件でラミネートするのに好適となる。
【0065】
(3) ポリエステル系樹脂層(b−1)及び(b−3)がそれぞれ酸成分としてテレフタル酸及びイソフタル酸を含む共重合ポリブチレンテレフタレート系樹脂である。この場合、ポリブチレンテレフタレート系樹脂がもとから融点が低いため、少ない共重合成分で上記範囲の融点を得ることができ、融点の低下以外の物性変化が少なくなる。
【0066】
(4) ポリエステル系樹脂層(b−2)がポリブチレンテレフタレート系樹脂であり、その融点Tm2が210〜230℃の範囲である。従って、製膜時の安定性及び樹脂被覆金属板としての加工性を確保し易い。
【0067】
(5) 透明二軸延伸ポリエステル系樹脂フィルムDが透明二軸延伸ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムである。従って、透明性や平滑性、表面の耐傷入り性がより良好になる。
【0068】
(6) ポリエステル系樹脂層Bと、印刷層Cを付与した透明二軸延伸ポリエステル系樹脂フィルムDの印刷層C側との間に接着剤層Fが付与されている。従って、接着剤層Fがない構成に比較して、ポリエステル系樹脂層Bと印刷層C
間の耐剥離性が向上する。
【0069】
(7) ポリエステル系樹脂層Bを構成する3層が共押出し製膜で形成されたものであり、前記ポリエステル系樹脂層(b−1)及びポリエステル系樹脂層(b−3)が同一樹脂組成物より成る2種3層構成である。従って、ポリエステル系樹脂層Bの3層を共押出し法で製膜する場合、押出し操作のし易さや、得られたシートの安定性が良好となる。
【0070】
(8) ポリエステル系樹脂層Bを構成する3層が共押出し製膜で形成されたものであり、着色のための顔料が主として中間のポリエステル系樹脂層(b−2)に添加されている。従って、3層に均一にあるいは他の層(b−1),(b−3)に多く顔料を添加した場合に比較して、押出しライフを延長できるとともに、顔料及びその分散性を改善する目的で添加される添加剤の表面からの吹き出しによる接着不良等のトラブルを回避し易い。
【0071】
(9) ポリエステル系樹脂層(b−1)及びポリエステル系樹脂層(b−3)は厚さが10μm以上に形成されている。従って、ラミネート時に層(b−1)及び層(b−3)が溶融状態になった場合、平滑化の効果が十分となり、高い鏡面反射性が得られる。また、3層共押出しでの安定した製膜性を確保できる。
【0072】
実施の形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
〇 ポリエステル系樹脂層Bを構成する3層の各層は、それぞれ結晶性ポリエステル系樹脂で形成されるが、一種類のポリエステル系樹脂を使用するものに限らず、複数種のポリエステル系樹脂を混合してもよい。
【0074】
前記実施の形態から把握される技術的思想(発明)について、以下に記載する。
(1) 記ポリエステル系樹脂層(b−1)及びポリエステル系樹脂層(b−3)は厚さが10μm以上に形成されている。
【0075】
【発明の効果】
以上詳述したように発明の樹脂被覆金属板は、軟質塩化ビニル系樹脂を使用せずに、既存のラミネートラインを改造することなく製造可能な、優れた鏡面反射性及び耐沸騰水性を有する。発明の樹脂被覆金属板の製造方法によれば、その樹脂被覆金属板の製造に好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)及び(b)は実施の形態の樹脂被覆金属板の模式断面図。
【符号の説明】
P…樹脂被覆金属板、A…基材金属板、B…ポリエステル系樹脂層、(b−1),(b−2),(b−3)…ポリエステル系樹脂層、C…印刷層、D…透明二軸延伸ポリエステル系樹脂フィルム、E,F…接着剤層。

Claims (9)

  1. 基材金属板(A)上にポリエステル系樹脂層(B)を設け、更にその上に印刷層(C)を付与した透明二軸延伸ポリエステル系樹脂フィルム(D)を、その印刷層(C)側を積層面として積層した構成の樹脂被覆金属板であって、
    前記ポリエステル系樹脂層(B)が、前記基材金属板(A)側から順に、160〜210℃の融点Tm1を持つポリエステル系樹脂層(b−1)/210℃以上の融点Tm2を持つポリエステル系樹脂層(b−2)/160〜210℃の融点Tm3を持つポリエステル系樹脂層(b−3)の3層より成り、該ポリエステル系樹脂層(B)と前記印刷層(C)を有する透明二軸延伸ポリエステル系樹脂フィルム(D)とを積層一体化させたものを前記基材金属板(A)にラミネートする際の基材金属板表面温度をTs(℃)とした場合、Tm1≦(Ts−30℃)、Tm3≦(Ts−30℃)の両条件を満たす温度でラミネートされたものであり、
    前記ポリエステル系樹脂層(b−1)、ポリエステル系樹脂層(b−2)、及びポリエステル系樹脂層(b−3)がそれぞれポリブチレンテレフタレート系樹脂であることを特徴とする樹脂被覆金属板。
  2. 基材金属板(A)上にポリエステル系樹脂層(B)を設け、更にその上に印刷層(C)を付与した透明二軸延伸ポリエステル系樹脂フィルム(D)を、その印刷層(C)側を積層面として積層した構成の樹脂被覆金属板であって、
    前記ポリエステル系樹脂層(B)が、前記基材金属板(A)側から順に、融点Tm1を持つポリエステル系樹脂層(b−1)/融点Tm2を持つポリエステル系樹脂層(b−2)/融点Tm3を持つポリエステル系樹脂層(b−3)の3層より成り、前記両ポリエステル系樹脂層(b−1),(b−3)の融点Tm1,Tm3が軟質塩化ビニル系樹脂被覆金属板の製造時の軟質塩化ビニル系樹脂フィルムのラミネート温度をTlとした場合、Tm1≦(Tl−30℃)、Tm3≦(Tl−30℃)の両条件を満たし、
    前記ポリエステル系樹脂層(b−1)、ポリエステル系樹脂層(b−2)、及びポリエステル系樹脂層(b−3)がそれぞれポリブチレンテレフタレート系樹脂であることを特徴とする樹脂被覆金属板。
  3. 前記ポリエステル系樹脂層(b−1)及びポリエステル系樹脂層(b−3)がそれぞれ酸成分としてテレフタル酸及びイソフタル酸を含む共重合ポリブチレンテレフタレート系樹脂である請求項1又は請求項2に記載の樹脂被覆金属板。
  4. 前記ポリエステル系樹脂層(b−2)の融点Tm2が、210〜230℃の範囲である請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の樹脂被覆金属板。
  5. 前記透明二軸延伸ポリエステル系樹脂フィルム(D)が透明二軸延伸ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムである請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の樹脂被覆金属板。
  6. 前記ポリエステル系樹脂層(B)と、前記印刷層(C)を付与した透明二軸延伸ポリエステル系樹脂フィルム(D)の印刷層(C)側との間に接着剤層(F)が付与されている請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の樹脂被覆金属板。
  7. 前記ポリエステル系樹脂層(B)を構成する3層が共押出し製膜で形成されたものであり、前記ポリエステル系樹脂層(b−1)及びポリエステル系樹脂層(b−3)が同一樹脂組成物より成る2種3層構成である請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の樹脂被覆金属板。
  8. 前記ポリエステル系樹脂層(B)を構成する3層が共押出し製膜で形成されたものであり、着色のための顔料が主として中間のポリエステル系樹脂層(b−2)に添加されている請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の樹脂被覆金属板。
  9. 基材金属板(A)上にポリエステル系樹脂層(B)を設け、更にその上に印刷層(C)を付与した透明二軸延伸ポリエステル系樹脂フィルム(D)を、その印刷層(C)側を積層面として積層した構成で、前記ポリエステル系樹脂層(B)が、前記基材金属板(A)側から順に、160〜210℃の融点Tm1を持つポリエステル系樹脂層(b−1)/210℃以上の融点Tm2を持つポリエステル系樹脂層(b−2)/16 0〜210℃の融点Tm3を持つポリエステル系樹脂層(b−3)の3層より成り、
    前記ポリエステル系樹脂層(b−1)、ポリエステル系樹脂層(b−2)、及びポリエステル系樹脂層(b−3)がそれぞれポリブチレンテレフタレート系樹脂である樹脂被覆金属板の製造方法であって、
    前記ポリエステル系樹脂層(B)と前記印刷層(C)を有する透明二軸延伸ポリエステル系樹脂フィルム(D)とを積層一体化させたものを前記基材金属板(A)にラミネートする際の基材金属板表面温度をTs(℃)とした場合、Tm1≦(Ts−30℃)、Tm3≦(Ts−30℃)の両条件を満たす温度でラミネートすることを特徴とする樹脂被覆金属板の製造方法
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