JP2000167986A - ポリエステル系化粧鋼板 - Google Patents

ポリエステル系化粧鋼板

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JP2000167986A
JP2000167986A JP35317698A JP35317698A JP2000167986A JP 2000167986 A JP2000167986 A JP 2000167986A JP 35317698 A JP35317698 A JP 35317698A JP 35317698 A JP35317698 A JP 35317698A JP 2000167986 A JP2000167986 A JP 2000167986A
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mol
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steel sheet
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JP35317698A
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Inventor
Shinichiro Mori
慎一郎 森
Junichi Kitagawa
淳一 北川
Toshitaka Sunahara
寿孝 砂原
Eiichi Kai
栄一 加井
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Kyodo Printing Co Ltd
JFE Engineering Corp
Original Assignee
Kyodo Printing Co Ltd
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 化粧鋼板の耐熱水性、耐食性、耐熱水白化性
及び耐紫外線性の改善。 【解決手段】 下地鋼板上に柄印刷層を介して下記一般
式(1)で表されるポリエステル共重合体層を形成す
る。 【化1】 (式中、nは100 〜1000、Arは2,6 −ナフタレン基が
30〜98mol%、フェニレン基が70〜2 mol%、Rはエチレン
基が5 mol%、1,4 −シクロヘキシレン基が95〜10mol%、
かつ1,4 −シクロヘキシレン基のシス/トランス体比0:
100 〜40:60)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水回りに使用する
電気機器等の部材、及びそれらの近辺に位置する外装壁
材等に好適な耐熱水性、耐熱水白化性、耐食性に優れた
化粧鋼板に関する。
【0002】
【従来の技術】表面に柄模様を印刷した化粧鋼板は、従
来よりその意匠性等を活かし、家電製品や暖房機器など
の外装部、内装建材あるいは器物などに使用されてい
る。
【0003】これまでは鋼板に直接柄印刷を行ない、そ
の上に熱硬化型もしくは放射線硬化型の塗料を塗装し、
化粧を行なっていた。ただし、それらの塗装は裁断、折
り曲げ等の加工時に表面に傷が発生したり、またピンホ
ールを生じやすく耐熱水性、耐食性に劣っていた。ま
た、使用される塗料は有機溶媒を多く含み、塗装の際に
多くの有機溶媒を大気中に放出し、環境上問題があるこ
とから、近年、塗装の代わりにフィルムラミネートを行
なうよう移行しつつある。
【0004】そのようなフィルムラミネート化粧鋼板と
しては樹脂フィルムと鋼板を接着する際に接着剤を用い
て圧着するタイプと、樹脂フィルム自体を熱で溶融し圧
着させる熱溶着タイプがある。
【0005】接着剤圧着タイプは、例えば特公平5−1
7031号公報、特公平4−54580号公報、特開平
7−276896号公報、特開平8−34092号公
報、特開平8−58017号公報、特開平8−2387
21号公報等に開示されており、鋼板あるいは樹脂フィ
ルムのどちらかに予め柄印刷を施し、その両者を接着剤
にて貼り合わせるものである。
【0006】使用される接着剤としては、熱可塑性樹
脂、熱硬化性樹脂、放射線硬化樹脂等があげられる。し
かし、これらの接着剤、及び印刷用にさらに顔料を添加
した接着剤は耐熱水性に劣り、沸騰水浸漬試験や耐湿性
試験などを行なうと、接着剤層中に水が浸透して膨潤
し、最終的にはフィルムが鋼板から剥離してしまう。こ
のため、従来の接着剤圧着タイプのフィルムラミネート
化粧鋼板は、電気洗濯機あるいは電気ポットのような厨
房機器の外装材のような水回りに使用する電気機器等の
製品の部材及びそれらの近辺に位置する外装壁材等に使
用するには問題があった。
【0007】また、接着剤を用いずに、鋼板あるいは樹
脂フィルムのどちらかに予め柄印刷を施し、その両者を
接着剤ではなく樹脂フィルム自体を熱で溶融し、圧着さ
せる熱溶着タイプのフィルムラミネート化粧鋼板は、例
えば特開昭61−291128号公報、特開平6−25
4489号公報、特開平6−262726号公報、特開
平7−52344号公報、特開平7−304132号公
報、特開平8−34093号公報等に開示されている。
【0008】しかし、これらの鋼板に、予め柄印刷を施
したものあるいは樹脂フィルムの鋼板側面に柄印刷を施
したものでは、いずれも柄印刷のインキ等が鋼板と樹脂
フィルム間の密着性を阻害し、耐熱水性に劣る。
【0009】また、従来の樹脂フィルムは、熱水と接し
た時に透明なフィルムが白化する性質すなわち耐熱水白
化性を有しており、外観上問題があった。
【0010】さらに、従来の樹脂フィルムは、紫外線を
透過してしまうため、柄印刷が紫外線劣化により変色す
る性質すなわち耐紫外線性を有していないこと、このよ
うな観点からも問題があった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明はかかる事情に
鑑みてなされたもので、その目的は、耐熱水性、耐食
性、耐熱水白化性、及び耐紫外線性が良好なフィルムラ
ミネートが施され、水回りに使用する電気機器等の部材
およびそれらの近辺に位置する外装壁材等に好適である
ポリエステル系化粧鋼板を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、下地鋼板と、
該下地鋼板の少なくとも一方の主面に設けられた片面あ
たり30mg/m2 以上の金属クロム層、及び該金属ク
ロム層上に設けられた片面あたり金属クロム換算で3〜
30mg/m2 の水和クロム酸化物層から構成される電
解クロメート処理層と、該電解クロメート処理層上に設
けられた柄印刷層と、該柄印刷層上に設けられ、下記一
般式(1)で表されるポリエステル共重合体層10μm
以上とを具備するポリエステル系化粧鋼板を提供する。
【0013】
【化2】
【0014】(但し、式中、nは100〜1000、A
rは2,6−ナフタレン基が30〜98モル%、フェニ
レン基が70〜2モル%、Rはエチレン基が5〜90モ
ル%、1,4−シクロヘキシレン基が95〜10モル
%、かつ1,4−シクロヘキシレン基のシス/トランス
体比が0:100〜40:60の範囲である。)
【0015】
【発明の実施の形態】本発明者らは、化粧鋼板の耐熱水
性を改善すべく、まず、鋼板と樹脂フィルムとの接着界
面における接着機構について詳細に検討した。
【0016】鋼板としては樹脂フィルムとの密着性が比
較的良好なティンフリースチール(TFS)を使用し
た。このTFSは、下地鋼板に、クロムめっき及びクロ
ム酸化めっきを行なった表面処理鋼板である。
【0017】その結果、樹脂フィルムとTFS界面の接
着は水素結合が支配的因子になっていることが判った。
水素結合の接着力は、共有結合による接着力と比較する
と余り高くない。
【0018】また、発明者らは、樹脂フィルムとTFS
の熱水環境下、高温水蒸気環境下における密着性の劣化
についても検討を行なったところ、そのおもな要因は、
樹脂フィルムを透過した水分子が樹脂フィルム/TFS
界面を攻撃することにあり、これにより、密着性の劣る
部分は、劣化をより促進されることがわかった。
【0019】さらに、本発明者らは、水性環境あるいは
高温水蒸気環境における樹脂フィルムの白化現象を調査
した。その結果、白化現象は樹脂フィルムを透過した水
分子がフィルム自体の結晶化を促進させること、および
樹脂フィルム自体の吸水により生じる現象であることが
認められた。
【0020】さらにまた、本発明者等は、樹脂フィルム
の紫外線透過機構も調査し、柄印刷の紫外線劣化につい
ても調査した。その結果、柄印刷は紫外線により変色す
るものが多く、程度の多少はあるものの、紫外線の照射
を受ければ劣化し変色することがわかった。
【0021】本発明のポリエステル系化粧鋼板は、上述
の結果を考慮して得られたもので、下地鋼板と、下地鋼
板の少なくとも一方の主面上に形成された所定量の金属
クロム層及び水和クロム酸化物層からなる二層の電解ク
ロメート処理層と、柄印刷層と、柄印刷層に熱ラミネー
トされた下記化学式(1)で表されるポリエステル共重
合体層と順に積層した構造を有する。
【0022】
【化3】
【0023】本発明によれば、化学式(1)で表される
ポリエステル共重合体からなる樹脂フィルムは、耐熱水
白化性、及び耐紫外線性が良好であり、印刷インキが介
在されても、熱溶着により、電解クロメート処理層との
界面でより優れた密着性を示し、耐熱水性、耐食性及び
強度が向上する。
【0024】以下、本発明についてさらに詳細に説明す
る。
【0025】図1は、本発明にかかるポリエステル系化
粧鋼板の構成を表す概略図である。
【0026】図示するように、この化粧鋼板10は、下
地鋼板1と、例えばその一方の両主面に形成された金属
クロム層2及び水和クロム酸化物層3からなる電解クロ
メート処理層4と、その一方の水和クロム酸化物層3上
に設けられた所定の柄パターンの絵柄層6と、絵柄層6
上に設けられた上記式(1)で表されるポリエステル共
重合体層5とから構成されている。
【0027】本発明に用いられる下地鋼板は、特に限定
されるものではなく、通常この種の表面処理鋼板に用い
られる鋼板であればどのような鋼板でも使用することが
できる。具体的には、例えば板厚0.1〜0.5mmの
通常の低炭素冷延鋼板、低炭素Alキルド鋼板等があげ
られる。
【0028】本発明に用いられる二層の電解クロメート
処理層のうち、下層となる金属クロムの付着量は、片面
あたり30mg/m2 以上であり、好ましくは30〜3
00mg/m2 である。その付着量が30mg/m2
満の場合には耐食性に問題を生じる。
【0029】300mg/m2 を越えると、性能上全く
劣ることはないが、経済的観点から好ましくない。いず
れにしても、通常の電解クロメート処理鋼板に用いられ
る量であれば問題ない。
【0030】上層となる水和クロム酸化物の付着量は、
片面あたり金属クロム換算で3〜30mg/m2 とす
る。その付着量が3mg/m2 未満では、金属クロム層
が水和クロム酸化物によって均一に覆われず、金属層の
露出面積が大となり、耐食性の劣化、および鋼板と樹脂
フィルムの密着性低下による耐熱水性の劣化のため好ま
しくない。また、30mg/m2 を越えると、水和クロ
ム酸化物層が厚すぎることによって生じる外観の劣化、
耐食性の劣化および密着性の劣化を引き起こし耐熱水性
が劣るため好ましくない。
【0031】電解クロメート処理方法としては、通常用
いられる公知の方法を採用することができる。このよう
な処理方法としては、例えば、金属クロムと水和クロム
酸化物とを同時に析出させる一液法、および金属クロム
層形成後に水和クロム酸化物を析出させる二液法があげ
られる。
【0032】本発明では、このような電解クロメート処
理層の上に、柄印刷層が形成される。
【0033】柄印刷層は、絵柄層のみあるいは絵柄層と
保護層との積層体から実質的になり、塩化ビニル酢酸ビ
ニル共重合体、変性アルキッド、ポリアミド、ポリエス
テル、ポリアクリル、ポリウレタン、ポリビニルアセタ
ール、ポリエステルウレタン、塩化ゴムなどの熱可塑性
樹脂をバインダーとして用い、適切な色の染顔料を着色
材として含有するものを使用し、溶剤、各種添加剤と共
に電解クロメート処理層上に直接形成されるか、あるい
は予め樹脂フィルム上に形成してこれを介して電解クロ
メート処理層上に適用される。
【0034】その柄印刷層の形成方法としては、例えば
溶剤を蒸発させる熱でバインダー樹脂の硬化反応を進め
る油性印刷法と、紫外線を照射することにより硬化反応
を進めるUV印刷法とがあげられる。
【0035】絵柄層としては、例えばパール顔料層を使
用することができる。パール顔料としては、魚鱗を微粉
砕して得られる天然パールエッセンス、雲母粉末、もし
くは塩基性炭酸鉛や三塩化ビスマスあるいは酸化チタン
コーティング雲母粉末のような合成パール顔料などを用
いることができる。また、絵柄層は単層でも、例えば着
色層、パール顔料層、及び金属薄膜層などを組み合わせ
た多層構成でもよい。 柄印刷としての絵柄層および保
護被膜層は、鋼板あるいは樹脂フィルム上に通常のグラ
ビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷等の各種印
刷法により絵柄層を形成することができる。また、従来
より知られている金属蒸着法によって、絵柄層を設ける
ことができ、部分的に蒸着したものや印刷と蒸着を組み
合わせたものを使用することができる。
【0036】本発明に使用される樹脂としては、耐熱水
白化性の原因となる結晶化の促進を抑制するために、樹
脂のガラス転移温度、結晶化速度が抑制された樹脂が好
適である。さらに、紫外線を受けないようにするため
に、柄印刷が鋼板と樹脂フィルムの間に位置し、かつ樹
脂フィルムが紫外線を透過しないことが好適である。こ
のようなことから本発明には、例えばナフタレン骨格を
含む形態すなわちある特定のポリエステル共重合体が使
用される。
【0037】本発明に使用されるポリエステル共重合体
は、PET樹脂、PEN樹脂をさらに改良したポリエス
テル共重合体からなり、上記一般式(1)で表される。
この共重合体は、ポリエステル樹脂の透明性、耐熱性、
耐熱水性を保持しつつ、かつ耐白化性、ヒートシール
性、リサイクル性(PETとのリサイクルが可能)を有
する。
【0038】このポリエステル共重合体を構成する各成
分は、一般式(1)で示されるポリエステル共重合体組
成物のArのうち、2,6−ナフタレン基が30〜95
モル%、フェニレン基が70〜2モル%で、Rのうちエ
チレン基が5〜90モル%、1,4−シクロヘキシレン
基が95〜10モル%で、かつ1,4−シクロヘキシレ
ン基のシス/トランス体比が0:100〜40:60の
範囲で耐熱水性、耐熱水白化性、耐紫外線性、耐食性が
ある。
【0039】一般式(1)Arの内2,6−ナフタレン
基の割合が98モル%を超え、フェニル基の割合が2モ
ル%が未満であると、密着性低下にともなう耐食性が低
下する。また、2,6−ナフタレン基の割合が30モル
%未満、フェニル基の割合が70モル%を超えると、耐
熱水性、耐熱水白化性、耐紫外線性が低下する。
【0040】一般式(1)Rの内1,4−シクロヘキシ
レン基の割合が95モル%を超え、エチレン基が5モル
%未満であると、結晶性が進み熱水中での耐白化性に劣
る。1,4−シクロヘキシレン基の割合が10モル%未
満、エチレン基が90モル%を超えると、耐熱水性が低
下する。同様に、1,4−シクロヘキシレン基の内、シ
ス/トランス体比においてシス体の割合が40モル%を
超えると、即ちトランス体の割合が60モル%未満であ
ると耐熱水性が低下し適さなくなる。
【0041】ポリエステル共重合体の代わりに、ポリエ
チレンテレフタレート(PET)樹脂を用いると、耐熱
水性、耐熱水白化性、耐紫外線性に劣る。また、ポリエ
チレンナフタレート(PEN)樹脂を用いると、密着性
低下にともなう耐食性低下が起こる。
【0042】また、ポリプロピレン、ポリエチレン等の
ポリオレフィン等を用いると、水蒸気透過率が大きいた
め、耐熱水性が劣る。また、表面自由エネルギーが小さ
いため、印刷性に劣る。さらに、耐傷つき性に劣る。
【0043】本発明に用いられるポリエステル共重合体
の製造においては、2,6−ジメチルナフタレート、テ
レフタレートのジカルボン酸、又はその低級アルキルエ
ステルとエチレングリコールと1,4−シクロヘキサン
ジメタノールのグリコールを主たる出発原料として高分
子量のポリエステルを得ることができる。その製造方法
としては公知の方法例えば特開平8−113631号公
報に記載された方法等を用いることができる。
【0044】またポリエステル共重合体をフィルムに成
型するためには、例えば押出溶融した樹脂をTダイ方式
でフィルム化するなどの一般的な方法を使用することが
できる。また、そのフィルムはそのままの無延伸の状態
あるいは二軸延伸等の延伸処理を行った状態のどちらで
使用しても構わない。
【0045】また、ポリエステル共重合体層は、厚み1
0μm未満になると、耐傷つき性に劣り、フィルム製造
の際ピンホール等を生じやすくなり、その結果、耐食性
に劣る結果となる。
【0046】ポリエステル共重合体フィルムは熱溶着に
よりラミネートされる。その方法としては、例えば鋼板
をポリエステル共重合体フィルムの融点以上に加熱し、
ロールを使用してフィルムを圧着する方法が一般的であ
る。そのラミネート技術は数多く公開されている公知の
方法により行うことができる。例えば金属板に有機樹脂
フィルムをラミネートする技術としては、金属板側をフ
ィルムの融点以上に加熱し、熱融着によって接着する方
法が特開昭57−182428号公報、特公昭61−3
676号公報等に開示されている。
【0047】以上示したように、このような構成を有す
る本発明によれば、耐熱水性の劣化を抑制し、耐熱水白
化性、耐紫外線性、耐食性が著しく改善され、水回りに
使用する電気機器等の製品の部材製造およびそれらの近
辺に位置する外装壁材等に適用可能な、ポリエステル系
化粧鋼板を提供することができる。
【0048】
【実施例】以下、実施例を示し、本発明を具体的に説明
する。
【0049】まず、下記供試材を用意した。
【0050】供試材 (1)表面処理鋼板 低炭素Alキルド連鋳鋼で、厚さ0.35mmのT4C
A材を原板鋼帯とし、これに各々下記表1−1に示す表
面処理を施し、200×300mmの切板にした。
【0051】(2)樹脂フィルム 表2に示すように、ポリエステル樹脂フィルムA〜Oを
用意し、その熱結晶化温度を測定した。
【0052】まず、(a)2,6−ジメチルナフタレー
ト80モル%及び(b)ジメチルテレフタレート20モ
ル%のジカルボン酸原料と、(c)エチレングリコール
45モル%及び(d)トランス体とシス体の比が80/
20の1,4−シクロヘキサンジメタノール55モル%
からなるグリコール原料と、チタニウムテトラブトキシ
モノマー0.02モル%と、酢酸マンガン0.02モル
%とを反応容器に入れ、180〜240℃まで昇温し
て、留出液が出なくなるまでエステル交換反応を行い低
重合体を得た。
【0053】次に、リン酸トリメチル0.04モル%、
三酸化アンチモン0.02モル%の順で加えて240℃
から290℃まで昇温するとともに、1torrまで減
圧し、高真空とした。この温度および圧力に保持して重
縮合反応を行い、極限粘度(IV)が0.60、ガラス
転移温度(Tg)107℃のポリマーを調製した。得ら
れたポリマーのジカルボン酸成分比a/b、グリコール
成分比c/dは重トリフルオロ酢酸を測定溶媒とした 1
H−NMRから、モノマー単位までアルカリ加水分解
後、常圧下ガスクロマトグラフィーによる測定からそれ
ぞれ80/20、45/55であることが確認された。
評価結果を表2に示した。
【0054】製造された未乾燥ポリエステル共重合体組
成物フレークは、同方向二軸延伸押出機(2ベント、L
/D=37、φ65スクリュー、1200mmTダイ、
リップ2.0m/m)で290℃、200kg/hrの
押出しを行い、冷却装置としてはタッチロール65℃、
キャストロール70℃、線圧30kg/cmで0.6m
/mシートに1000m/m幅で製造した。巻取の前に
リバースコーターにてシリコンを両面または片面コート
し、数秒の乾燥炉を通してリワインダーにて巻き取り、
厚み25μmのフィルムAを得た。
【0055】なお、ジカルボン酸成分比a/b、トラン
ス体とシス体の比及びグリコール成分比c/d等の組成
比を表2に示すように種々変更し、同様にしてフィルム
B〜Lを合成した。
【0056】(3)印刷 鋼板上への柄印刷は、油性印刷を用いて行ない、絵柄層
として石目調柄をベース樹脂が変性アルキッド樹脂、硬
化剤がイソシアネート樹脂の印刷インキでオフセット印
刷し、150℃×10分焼き付け、乾燥した。
【0057】次に、上述の供試材を用いた各実施例及び
比較例について詳述する。
【0058】(4)フィルムラミネート 表面処理鋼板を200×300mmの切板にし、その両
面に次に示す条件で樹脂フィルムをラミネートした。
【0059】 ラミネート直前の鋼板温度:235℃ ラミネート速度 :2m/秒 ラミネート後の冷却 :水冷(急冷) 実施例1 200×300mm、厚さ0.35mmのT4CA材
に、表1−1に示すように、金属Cr付着量126mg
/m2 、金属クロム換算での水和クロム酸化物付着量1
6mg/m2 となるような電解クロメート処理を施した
後、その表面処理鋼板に対し油性印刷により柄印刷を施
し、その後、上述のようにして樹脂フィルムAをラミネ
ートして、ポリエステル化粧鋼板を得た。得られたサン
プルについて、熱水処理後のピール強度、加熱処理によ
る耐白化試験、促進耐候性試験、及び耐食性試験を行な
い、その耐熱水性、耐熱水白化性、耐紫外線性、及び耐
食性を評価した。
【0060】供試材の評価 (1)耐熱水性 ・熱水処理後のピール強度 得られた化粧鋼板(200×300mm)を沸騰水中に
24時間浸漬し、その後15mm幅に切断し、引張速度
100mm/分のスピードで樹脂フィルム/鋼板間のピ
ール強度を測定した。(25℃、湿度50%環境下)そ
の15mm幅の最大ピール強度が1.0kgf以上のも
のを耐熱水性良好(○)と評価した。
【0061】(2)耐熱水白化性 ・加熱処理による耐白化試験 得られた化粧鋼板を87℃の湯浴恒温槽に20分間と8
5℃に30分間つけて結晶化による白化を調べ評価し
た。評価方法は次に示した。
【0062】評価方法 ○:白化せず △:若干白化あり ×:完全に白化 (3)耐紫外線性 ・促進耐候性試験 ラミネートした化粧鋼板をJIS−K5400の促進耐
候性に準拠し、サンシャインウェザーメーター1000
時間暴露し、暴露前後の色差(ΔE)により評価した。
【0063】・パネル温度/63℃±1℃ ・光源/サンシャインカーボン ・サイクル/60分点灯、12分常温水噴霧 評価方法は次に示した。
【0064】評価方法 耐紫外線性 ○:ΔE2.0以内 △:ΔE2.0〜4.0 ×:ΔE4.0以上 (4)耐食性 ・耐食性試験 得られた化粧鋼板(200×300mm)を50mm×
50mmの大きさに切断し、カッターナイフを用い、そ
のサンプルの鋼板まで達するようにクロスカットを入れ
た。そのサンプルを2%塩化ナトリウム水溶液中に23
℃、3日間浸漬し、水洗、乾燥後、クロスカット部のフ
ィルムの剥離程度を5段階評価した。
【0065】 5点:剥離幅2mm以内、 4点:剥離幅2mm〜4mm、 3点:剥離幅4mm〜7mm、 2点:剥離幅7mm以上、 1点:全てのフィルム剥離 その5段階評価のうち5点、4点を耐食性良好(○)
と、3点を普通(△)と2点、1点を不良(×)と評価
した。
【0066】以上の評価結果を表1−2に示す。
【0067】実施例2〜7、比較例1〜3 ここでは、表1−1に示すように、電解クロメート処理
条件を種々に変える以外は、実施例1と同様にして化粧
鋼板を得た。得られた化粧鋼板の評価結果を表1−2に
併記する。
【0068】表1−2から明らかなように、下層の金属
クロム付着量が、片面あたり30mg/m2 以上、上層
の水和クロム酸化物の付着量が3〜30mg/m2 の実
施例2〜7はいずれも耐熱水性、耐熱水白化性、耐紫外
線性、耐食性とも優れていた。
【0069】これに対し、下層の金属クロム付着量が、
30mg/m2 未満の比較例1は、耐食性に劣ってい
た。また上層の水和クロム酸化物の付着量が、3mg/
2未満の比較例2は、耐熱水性および耐食性が劣って
いた。さらに、上層クロム水和酸化物の付着量が30m
g/m2 を越えた比較例3は外観が劣化し耐熱水性およ
び耐食性が劣っていた。
【0070】実施例8〜10、比較例4 ここでは、ラミネートするポリエステル共重合体フィル
ムの厚み表1−1に示すように、種々に変化させる以外
は、実施例1と同様にして化粧鋼板を得た。その評価結
果を表1−2に併記する。
【0071】表1−2から明らかなように、いずれも、
耐熱水性、耐熱水白化性、耐紫外線性、耐食性において
良好な評価を得た。ただしフィルム厚み10μm以下の
比較例4は耐食性が劣っていた。
【0072】実施例11〜13 ここでは、鋼板または樹脂フィルムへの柄印刷形成方法
を下記のように種々変更した以外は、実施例1と同様に
して化粧鋼板を得た。
【0073】実施例11では鋼板への印刷方法をUV印
刷とし、カチオン系のUVインキ、を用い、同様のオフ
セット印刷を行った後、紫外線照射により反応を進行さ
せ、柄印刷を形成した。
【0074】実施例12では、あらかじめラミネート前
のポリエステル共重合体樹脂フィルムの鋼板接触側に実
施例1と同様の油性印刷を施し、印刷していない鋼板
に、この柄印刷を施したポリエステル共重合体フィルム
をラミネートした。
【0075】実施例13では実施例12と同様あらかじ
めポリエステル共重合体樹脂フィルムに印刷を施した
が、その方法は実施例11と同様UV印刷とした。
【0076】得られた化粧鋼板の評価結果を表1−2に
示す。
【0077】表1−2から明らかなように、いずれも、
耐熱水性、耐熱水白化性、耐紫外線性、及び耐食性にお
いて良好な評価を得た。
【0078】実施例14〜20、比較例5〜9 ここでは、使用するポリエステル共重合体フィルムを表
1−1に示すように変更する以外は、実施例1と同様に
して化粧鋼板を得た。これらの評価結果を表1−2に併
記する。
【0079】その結果、実施例14〜20のように、ポ
リエステル共重合体組成物を構成する各成分は、ポリエ
ステル共重合体組成物のArのうち、2,6−ナフタレ
ン基が30〜98モル%、フェニレン基が70〜2モル
%で、Rのうちエチレン基が5〜90モル%、1,4−
シクロヘキシレン基が95〜10モル%で、かつ1,4
−シクロヘキシレン基のシス/トランス体比が0:10
0〜40:60の範囲ではいずれも耐熱水性、耐熱水白
化性、耐紫外線性、及び耐食性に優れていることがわか
った。。
【0080】一方、比較例5のように、2,6−ナフタ
レン基の割合が98モル%を超え、フェニル基の割合が
2モル%が未満であると耐食性が劣り、比較例6よう
に、2,6−ナフタレン基の割合が30モル%未満、フ
ェニル基の割合が70モル%を超えると、耐熱水性、耐
熱水白化性、耐紫外線性が劣ることがわかった。
【0081】また、比較例7のように、1,4−シクロ
ヘキシレン基の割合が95モル%を超え、エチレン基が
5モル%未満であると耐熱水白化性に劣ることがわかっ
た。比較例8のように、1,4−シクロヘキシレン基の
割合が10モル%未満、エチレン基が90モル%を超え
ると、耐熱水性が劣ることがわかった。
【0082】また、比較例9のように、1,4−シクロ
ヘキシレン基の内、シス/トランス体比においてシス体
の割合が40モル%を超えると、即ちトランス体の割合
が60モル%未満であると耐熱水性が劣ることがわかっ
た。
【0083】比較例10〜12 ここでは、ラミネートする樹脂フィルムを、比較例10
ではポリエチレンテレフタレート、比較例11ではポリ
エチレンナフタレート、比較例12ではポリエチレンに
各々へ変更する以外は、実施例1と同様にしいて化粧鋼
板を得た。これらの評価結果を表1−2に併記する。
【0084】表1−2から明らかなように、ポリエチレ
ンテレフタレート(PET)樹脂では、耐熱水性、耐熱
水白化性、耐紫外線性に劣ることがわかった。また、ポ
リエチレンナフタレート(PEN)樹脂では、耐食性が
低下することがわかった。
【0085】また、ポリエチレンでは耐熱水性、耐熱水
白化性、耐紫外線性、耐食性いずれも劣ることがわかっ
た。
【0086】
【表1】
【0087】
【表2】
【0088】
【表3】
【0089】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
水回り等で使用された際にも耐熱水性、耐熱水白化性、
耐紫外線性、及び耐食性に優れ、水回りに使用する電気
機器等の製品の部材及びそれらの近辺に位置する外装壁
材等として好適なポリエステル系化粧鋼板が、繁雑な工
程を経ることなく容易に得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のポリエステル系化粧鋼板の一例の構
成を説明するための図
【符号の説明】 1…下地鋼板 2…金属クロム層 3…水和クロム酸化物層 4…電解クロメート処理層 5…ポリエステル共重合体層 6…絵柄層 10…化粧鋼板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 北川 淳一 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 砂原 寿孝 東京都文京区小石川4丁目14番12号 共同 印刷株式会社内 (72)発明者 加井 栄一 東京都文京区小石川4丁目14番12号 共同 印刷株式会社内 Fターム(参考) 4F100 AA22B AA22C AB01B AB03A AK41E AK41J AK42E AK42J AL01E BA05 BA07 BA10A BA10E CA13 EJ69B EJ69C HB00 HB31D JB02 JB06 JD09 JJ03 YY00B YY00C 4K044 AA02 AB02 BA02 BA15 BA21 BB03 BC02 BC09 CA16

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下地鋼板と、該下地鋼板の少なくとも一
    方の主面に設けられた片面あたり30mg/m2 以上の
    金属クロム層、及び該金属クロム層上に設けられた片面
    あたり金属クロム換算で3〜30mg/m2 の水和クロ
    ム酸化物層から構成される電解クロメート処理層と、該
    電解クロメート処理層上に設けられた柄印刷層と、該柄
    印刷層上に設けられ、下記一般式(1)で表されるポリ
    エステル共重合体層10μm以上とを具備するポリエス
    テル系化粧鋼板。 【化1】 (但し、式中、nは100〜1000、Arは2,6−
    ナフタレン基が30〜98モル%、フェニレン基が70
    〜2モル%、Rはエチレン基が5〜90モル%、1,4
    −シクロヘキシレン基が95〜10モル%、かつ1,4
    −シクロヘキシレン基のシス/トランス体比が0:10
    0〜40:60の範囲である。)
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016165812A (ja) * 2015-03-09 2016-09-15 デクセリアルズ株式会社 防曇防汚積層体、及びその製造方法、物品、及びその製造方法、並びに防汚方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2016165812A (ja) * 2015-03-09 2016-09-15 デクセリアルズ株式会社 防曇防汚積層体、及びその製造方法、物品、及びその製造方法、並びに防汚方法

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