JP2004276321A - 高鏡面性樹脂被覆金属板及びその製造方法 - Google Patents

高鏡面性樹脂被覆金属板及びその製造方法 Download PDF

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Toshiaki Ebiya
俊昭 蛯谷
Yoshio Wakayama
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Abstract

【課題】軟質塩化ビニル系樹脂を使用せずに、優れた鏡面反射性、加工性及び耐沸騰水性を有し、しかも従来のラミネート条件で製造することができる樹脂被覆金属板を提供することを目的とする。
【解決手段】融点がTma(℃)である結晶性を有するポリエステル系樹脂よりなる着色された層(A層)、印刷インキ層(B層)、及び融点がTmc(℃)である透明延伸ポリエステル系樹脂層(C層)を、この順に積層一体化してシートを形成し、(Tmc−Tma)>20(℃)の関係が成立し、上記シートのA層側表面を接着面として、熱硬化型接着剤層(D層)を介して金属板(E)にラミネートした後、非接触式の加熱手段によりC層表面の最高到達温度がTma+5(℃)以上でTmc(℃)以下に加熱した高鏡面性樹脂被覆金属板を用いる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、高鏡面性樹脂被覆金属板及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、家電製品外装や鋼製家具、エレベータ内装、建築内装材等の用途に用いられる樹脂被覆金属板としては、顔料の添加により着色された樹脂層(A層)を基材樹脂層として、その上に印刷層(B層)を設け、更にその上に透明な樹脂フィルム(C層)を積層一体化したシートを鋼板にラミネートした構成のものが用いられてきた。
【0003】
上記構成において使用されるC層を構成する透明樹脂フィルムとしては、厚み10〜50μmのエチレン−ビニルアルコール共重合体フィルムや、アクリル酸エステル系共重合体フィルム、2軸延伸ポリエチレンテレフタレート系樹脂(以下、「2軸延伸PET系樹脂」と略する。)フィルム等を用いるのが一般的である。そして、この中でも各種物性のバランスに優れ、表面の平滑性や下地の印刷層の透視性にも優れる2軸延伸PET系フィルムが好ましく用いられている。
【0004】
同様に、上記A層を構成する着色された樹脂としては、軟質塩化ビニル系樹脂層を用いるのが一般的であった。これは軟質塩化ビニル系樹脂が、可塑剤を添加する事で柔軟性を任意に設定でき、透明2軸延伸PET系樹脂フィルムを積層した構成に於いても良好な加工性が得られ、かつ、長年の安定剤の研究に基づき比較的良好な耐久性を有し、耐薬品性や、耐熱性、耐熱水性等にも優れることから、バスユニット等の用途にも好ましく用いることができるからである。
【0005】
さらに、軟質塩化ビニル系樹脂に2軸延伸PET系フィルムを積層した構成においては、きわめて良好な鏡面反射性、すなわち樹脂被覆金属板に映り込んだ像に歪みが少なく、鮮明度が高い特徴が得られる。
【0006】
しかし、近年、塩化ビニル系樹脂の一部の安定剤に起因する重金属化合物の問題、一部の可塑剤や安定剤に起因するVOC(揮発性有機化合物)問題や内分泌撹乱作用の問題、燃焼時に塩化水素ガスその他の塩素含有ガスを発生する問題等から塩化ビニル系樹脂は、その使用に制限を受けるようになってきた。
【0007】
これに対し、上記A層を構成する軟質塩化ビニル系樹脂に替えて、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂を主体としスチレン系や共重合オレフィン系等の軟質成分を配合し、軟質塩化ビニル系樹脂に近い物性を得る検討が行われている。
【0008】
この構成に於いても二軸延伸PET系フィルムを積層した構成では、着色された樹脂層に塩化ビニル系樹脂を用いた場合と同等の優れた鏡面反射性を得る事が可能であった。しかし、プレコート鋼板として充分な加工性を付与した場合は、軟質塩化ビニル系樹脂を用いた場合よりも表面の耐傷入り性に劣るものとなり、逆に耐傷入り性を軟質塩化ビニル系樹脂被覆金属板と同等にした場合は満足な加工性が得られないという問題が生じ、広汎に使用できるものとはならなかった。
【0009】
またポリオレフィンは本質的に接着性に劣る材料であるため、印刷意匠を付与して2軸延伸PETと積層する場合、軟質塩化ビニル系樹脂より多工程を必要とし、この接着界面、及び金属板との接着に用いる接着剤との界面の経時安定性に関しても不安が残るものであった。
【0010】
これら問題点を解決する方法として、上記A層を構成する樹脂に結晶性を有さないポリエステル系樹脂を用いることが検討されている。この樹脂を被覆した金属板では、耐傷入り性と加工性を軟質塩化ビニル系樹脂被覆金属板より高いレベルで両立させる事が可能であり、ポリオレフィン系樹脂被覆金属板での諸問題も解決できるものである。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、A層を構成する樹脂として、結晶性を有さないポリエステル系樹脂を用いた場合、表面に2軸延伸PETからなるC層を積層してシートを形成した際、良好な鏡面反射性を得る事ができるものの、そのガラス転移温度(Tg)が100℃より低いため、建築内装用樹脂被覆金属板の評価項目として一般的に含まれる耐沸騰水浸漬試験を満足する事ができない。
【0012】
これに対し、結晶性を有するポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等の結晶性ポリエステル系樹脂を、上記A層を構成する樹脂として用いた場合、C層をA層に積層して、鏡面性を得る従来のラミネート条件では、鏡面性が得られない結果となる。
【0013】
この原因は、従来のA層として使用される軟質ポリ塩化ビニルや非結晶性のポリエステル系樹脂では、ラミネート時に金属板より与えられる熱量により、シートの弾性率が顕著に低下し、流動状態に近くなる一方で、C層を構成する2軸延伸PETは、比較的高い弾性率を維持しているため、C層において、積層される以前の歪みの無い平滑な面状態に戻ろうとする歪み回復力が作用し良好な鏡面性が得られるのに対し、A層に結晶性ポリエステル系樹脂を用いた場合は、ラミネート時の加熱によっても弾性率の低下が少ないため、C層において、積層される以前の歪みの無い平滑な面状態に戻ろうとする歪み回復力が抑制されるからである。
【0014】
これは、結晶性ポリエステル系樹脂の融点が比較的高いこと、及び結晶融解熱量が大きいことに起因し、ラミネート時に加熱された金属板より熱量を受け取るものの、その後冷却条件となる従来のラミネート条件では、上記原理に基づく鏡面性を得る為に必要な充分な熱量を得られていない為と考えられる。
【0015】
これに対し、A層を構成する樹脂に結晶性のポリエステル系樹脂を用いて、良好な鏡面性の樹脂被覆金属板を得る方法として、ラミネート前の金属板表面温度を従来より高くする方法が考えられる。しかし、この場合、得られる樹脂被覆金属板の裏面には塗装処理が施されることがあるが、この塗装も従来のものでは耐熱性に問題が生じる。この場合、塗料を耐熱性の高いものに変更する、あるいは、従来、ラミネート前の鋼板の加熱と裏面に塗布した塗料の乾燥とを同時に行っていたものをラミネート後に塗料を塗布し再度乾燥加熱を行う様に改造する等を行う必要が生じる。
【0016】
さらには、積層一体化されたシート中の印刷層(B層)の耐熱性も、従来のラミネート温度では問題がなかったものが、ラミネート温度を上げた場合は熱変色、熱褪色等が顕著に現れる可能性があり、その場合、印刷インクの顔料種、バインダー種の変更により印刷層の耐熱性を向上させることが必要となる等の問題が生じる。
【0017】
さらに、別の方法として、2軸延伸PETが平滑な面状態に戻ろうとする力と下層の低い弾性率と言う内部的な作用に依存するのでは無く、鏡面ロールで押圧して鏡面性を得ることが行われている。しかし、この方法では樹脂被覆された金属板をロール間に通す必要が有り、金属板の端部の反り等に起因しロールに傷が入り易く、ロールの傷は直ちに樹脂被覆金属板の表面外観の低下をもたらす。また、異物がロール表面に付着した場合、異物付着部で押圧される毎に表面外観の悪い部分が発生し、実際の異物の数以上に不良品が発生する危険を有する。
【0018】
そこで、この発明は、軟質塩化ビニル系樹脂を使用せずに、優れた鏡面反射性、加工性及び耐沸騰水性を有し、しかも従来のラミネート条件で製造することができる樹脂被覆金属板を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
この発明は、融点がTma(℃)である結晶性を有するポリエステル系樹脂よりなる着色された層(A層)、印刷インキ層(B層)、及び融点がTmc(℃)である透明延伸ポリエステル系樹脂層(C層)を、この順に積層一体化してシートを形成し、(Tmc−Tma)>20(℃)の関係が成立し、上記シートのA層側表面を接着面として、熱硬化型接着剤層(D層)を介して金属板(E)にラミネートした後、非接触式の加熱手段によりC層表面の最高到達温度がTma+5(℃)以上でTmc(℃)以下に加熱した高鏡面性樹脂被覆金属板を用いることにより、上記課題を解決したのである。
【0020】
A層の融点(Tma)と、C層の融点(Tmc)が、(Tmc−Tma)>20(℃)の関係を有するので、A層、B層及びC層からなるシートをD層を介して金属板(E)にラミネートした後、非接触式の加熱手段によりC層表面の最高到達温度がTma+5(℃)以上でTmc(℃)以下に加熱することにより、C層の弾性低下及び変形を防止すると共に、A層を溶融させることにより、弾性を十分に低下させることができ、C層において、積層される以前の歪みの無い平滑な面状態に戻ろうとする歪み回復力を発現させることができ、さらに、A層や金属板(E)の表面の凹凸等に由来する凹凸を解消させることができ、良好な鏡面性が得ることができる。
【0021】
さらに、軟質塩化ビニル系樹脂フィルムのラミネートに使用されているラミネート条件と同様の条件を採用することができるので、印刷インク、接着剤等に関し、軟質塩化ビニル系樹脂フィルムに使用するものを使用できる。
【0022】
また、A層を構成するポリエステル系樹脂として、結晶性の樹脂を用いる場合、沸騰水浸漬耐性に優れ、表面硬度も高く、傷入り性に優れた樹脂被覆金属板を得ることができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下において、この発明について詳細に説明する。
この発明にかかる樹脂被覆金属板11は、図1に示すように、ポリエステル系樹脂よりなる着色された層(以下、「A層」と略する。)14、印刷層(以下、「B層」と略する。)15、及び透明延伸ポリエステル系樹脂層(以下、「C層」と略する。)16を、この順に積層一体化して形成したシート21を、上記A層14側表面を接着面として、熱硬化型接着剤層(以下、「D層」と略する。)13を介して金属板12にラミネートしたものである。
【0024】
[ポリエステル系樹脂よりなる着色された層(A層)]
上記A層14を構成するポリエステル系樹脂としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、シクロヘキサンジメタノール等からなるアルコール成分、及びテレフタル酸やイソフタル酸等からなるジカルボン酸成分を構成成分とするエステル重合体があげられる。このエステル重合体は、単独の重合体を用いてもよく、2以上の複数の重合体を混合した混合樹脂であってもよい。
【0025】
上記A層14を構成するポリエステル系樹脂の融点をTma(℃)、後述するC層を構成するポリエステル系樹脂の融点をTmc(℃)とするとき、下記の関係式が成立する。
(Tmc−Tma)>20(℃)
(Tmc−Tma)が20℃以下だと、後述するように、A層14、B層15及びC層16からなるシートをD層13を介して金属板12にラミネートした後、非接触式の加熱手段によりC層16表面の最高到達温度がTma+5(℃)以上でTmc(℃)以下に加熱したとき、C層16の弾性低下及び変形を防止することができない場合が生じる。また、A層14を十分に溶融させることができない場合があり、これにより、弾性を十分に低下させることができず、C層16において、積層される以前の歪みの無い平滑な面状態に戻ろうとする歪み回復力を付与できない場合がある。
【0026】
具体例として、後述するように、C層として、最も入手し廉いホモポリエチレンテレフタレート(ホモPET)の2軸延伸フィルムを使用した場合、この樹脂の融点(Tmc)が255℃付近である事からA層の融点(Tma)は、235℃以下である事が必要である。
【0027】
一般的に入手可能なポリエステル系樹脂の中で、融点が235℃以下のものとしては、イソフタル酸やアジピン酸などを共重合し融点を降下させた共重合型のPET系樹脂、ポリブチレンテレフタレート(以下、「PBT」と略する。)系樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート(以下、「PTT」と略する。)系樹脂等、イソフタル酸やアジピン酸などを共重合し融点を降下させた共重合型のPBT系樹脂やPTT系樹脂等があげられる。これらの樹脂は、結晶性を有する。
【0028】
上記共重合型のPET系樹脂は、共重合比率が高くなる程融点は低くなるものの、同時に結晶化速度も遅くなり、上記のラミネート後の樹脂被覆金属板は、さらに後結晶化処理等の特別な工程を設けないと、耐沸騰水性を満足することが困難となりやすい。
【0029】
これに対して、PBT系樹脂やPTT系樹脂では、最も融点の高い樹脂、すなわち、酸成分、及びアルコール成分にそれぞれ単一組成を用いたホモPBTやホモPTTでも融点は225℃付近であり、A層14として好ましく用いることができる。また、これらの樹脂は、結晶化速度が速く、耐沸騰水性を満足する樹脂被覆金属板を得やすい点からも好ましい。特に、ホモPBTに関しては、押出しグレードとして各種分子量のものが市販されており、その点からも製膜設備に合わせた樹脂選定の自由度が高く特に好ましく用いられる。
【0030】
上記A層14には、下地の金属板12の視覚的隠蔽効果の付与、意匠性の付与、B層15の発色性改善等の目的で顔料が添加され、着色される。使用される顔料は、従来から樹脂着色用に一般的に用いられているものでよく、その添加量に関しても上記目的のために一般的に添加される量でよい。
【0031】
下地の金属板12の視覚的隠蔽効果の付与を行う点では、表面処理を施した酸化チタン顔料を添加することが例としてあげられる。この場合、ポリエステル樹脂に対する熱劣化触媒作用や加水分解触媒作用を各種公知の方法で封止した酸化チタン顔料を用いることが好ましい。また、必要に応じて、着色顔料を併用し色味を調整することもできる。
【0032】
上記A層14には、この発明の目的を損なわない程度に、添加剤を適宜な量添加してもよい。この添加剤としては、例えば、広範な樹脂材料に一般的に用いられているものがあげられる。この添加剤の例としては、燐系・フェノール系等の各種酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、金属不活化剤、残留重合触媒不活化剤、造核剤、抗菌・防かび剤、帯電防止剤、難燃剤、充填材等の広範な樹脂材料に一般的に用いられているものが挙げられる。また、末端カルボン酸封止剤、カルボジイミド系等の加水分解防止剤、エステル交換禁止剤等の特定樹脂用に開発された添加剤等を挙げることができる。
【0033】
上記A層14の厚みは、30〜300μmが好ましく、45〜200μmがより好ましい。厚みが30μm未満だと、充分な下地の隠蔽効果を付与するためには、コストの高い特殊な顔料を多量に添加する必要があり、またフィルムにピンホールが発生する危険も多くなる傾向がある。一方、厚みが300μmを越えると、下地となる金属板の保護効果、視覚的隠蔽効果も飽和し、また打ち抜き作業や折り曲げ作業等の2次加工に関しても加工性が低下し、さらは従来の軟質塩化ビニル被覆金属板製造に用いてきた成形型を使用できなくなる場合がある。
【0034】
[印刷層(B層)]
上記B層15は、グラビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷等、公知の方法で印刷された層である。このB層15の絵柄は石目調、木目調あるいは幾何学模様、抽象模様等任意であり、部分印刷でも全面ベタ印刷でもよく、部分印刷を施した後、更にベタ印刷が施されていてもよい。一般的には平滑性の良好なC層16の積層面側に、いわゆるバックプリントを施しておく方法が用いられるが、上記A層14への表面印刷としてもよい。上記B層15の厚みは、特に限定されるものではなく、例として、1μm〜10μmをあげることができる。
【0035】
バックプリントを施したC層16とA層14とを熱融着で積層一体化する場合は、印刷層のビヒクルとしても熱融着性を有する低架橋度或いは無架橋のポリエステル系樹脂等を用いる必要が有るが、後述する接着剤層(F層)を付与して、いわゆるドライラミ積層とする場合は、B層15のビヒクル種類は特に制限を受けない。
【0036】
[透明延伸ポリエステル系樹脂層(C層)]
上記C層16は、B層15の保護、深みのある意匠性の付与、耐傷入り性や耐溶剤性等の一層の向上に合わせて、高鏡面性を発現することであり、従来の軟質塩化ビニル系樹脂被覆金属板やオレフィン系樹脂被覆金属板と同様のものを使用することができる。
【0037】
その中でも、透明性や平滑性、表面の耐傷入り性等の点から2軸延伸された透明ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルム(2軸延伸透明PETフィルム)が好適に用いられる。この中でも、透明で2軸延伸されたホモポリエチレンテレフタレートフィルム(2軸延伸透明ホモPETフィルム)が特に好ましい。
【0038】
これより融点の低いポリエステル系樹脂では、後述するように、ラミネート後の非接触式の加熱の温度許容範囲が狭くなる傾向があり、好ましくない。一方、これより融点の高い2軸延伸ポリエステル系樹脂をC層16に用いると、非接触式の加熱の上限温度を広げる効果をもたらす点からは好ましいが、一般的に材料コストが高くなり、またC層16の材質面からは問題はないものの、過度に加熱温度を高くする事は印刷層のインクの耐熱性の点からも好ましくない。
【0039】
このC層16の厚みは、15〜75μmが好ましく、20〜50μmがより好ましい。75μmを越えると、測定する事が可能なC層16表面温度と、実際に鏡面性を得る為に必要なA層14の樹脂温度の間に開きが大きくなる傾向がある。一方、15μmより薄いと、鏡面性発現のために必要な歪み回復力が不十分となり易く好ましくない。
【0040】
また、上記C層16の延伸倍率は、特に限定されないが、従来の軟質塩化ビニル系樹脂被覆金属板やオレフィン系樹脂被覆金属板に使用されていたフィルムと同様のフィルムを用いる場合、2軸各方向に3.5〜4倍延伸され、延伸処理後の熱固定温度が220℃〜240℃のものがよい。これらの条件を満たすことにより、十分な耐傷入り性を発揮することができる。
【0041】
[接着剤層(F層)]
上記A層14とB層15との間には、図2に示すように、接着剤層(以下、「F層17」と略する。)17を設けてもよい。また、図示しないが、B層15とC層16との間に上記F層17を設けてもよい。このF層17を設けることにより、A層14とC層16との接合をより良好にすることができる。F層17をバックプリントとしてC層16の積層面側に施した場合は、F層17は、B層とA層との間に介在する事になる。
【0042】
上記F層17を構成する接着剤としては、ポリエステル系樹脂やポリエーテル系樹脂等を主剤とし、イソシアネート系架橋剤等で硬化し、一般的にドライラミネート用接着剤と呼ばれる接着剤を使用できる。この接着剤の中でも紫外線による黄変の問題が少ない観点から、脂肪族系のものを使用する方が好ましい。
【0043】
また、上記F層17には、一般的に硬化型接着剤に添加される各種添加剤を適宜な量含んでもよく、さらに、マイカ粉やホログラム箔等を分散させてF層17にも意匠性を付与しても良い。
【0044】
さらに、特に、A層14に耐光安定性が悪い顔料を添加した場合等、A層14への紫外線透過量を制御する必要が有る場合には、F層17にも、その性質を損なわない程度に、紫外線吸収剤のような添加剤を適宜配合する事が、簡便で且つ効果が得られる点から好ましい。
【0045】
[シートの製造]
上記シート21の製造方法としては,公知の方法、例えば、Tダイを用いる押出キャスト法やインフレーション法等を採用することができ、特に限定されるものではないが、シートの製膜性や安定生産性等の面から、Tダイを用いる押出キャスト法が好ましい。
【0046】
上記のA層14と、いわゆるバックプリントによりB層15を施したC層16との積層は、あらかじめ製造したそれぞれのシートのうち、バックプリントを施したC層16のバックプリントを施した面にF層17を設けて積層する方法等によることができる。F層17としては、先に述べた接着剤を溶剤に希釈し、塗布装置で塗布した後、連続的に乾燥炉へ導入して溶剤を揮散させ、その後にもう一方のシート(フィルム)と重ね合わせて一対のロール間を通過させることにより、加熱、加圧して積層一体化することができる。この方法は塩化ビニル系樹脂やポリオレフィン系樹脂を用いた高鏡面性樹脂被覆金属板の製法として一般的に行われてきたものである。
【0047】
[金属板]
上記金属板12としては、熱延鋼板、冷延鋼板、溶融亜鉛メッキ鋼板、電気亜鉛メッキ鋼板、スズメッキ鋼板、ステンレス鋼板等の各種鋼板やアルミニウム板が使用でき、通常の化成処理を施した後に使用してもよい。
【0048】
上記金属板12の厚さは、樹脂被覆金属板11の用途により異なるが、0.1mm〜10mmの範囲で選ぶことができる。
【0049】
[接着剤層(D層)]
上記D層13は、積層シート21を構成層の1つであるA層14と金属板12とを接着させるための層である。このD層13を構成する接着剤としては、エポキシ系接着剤、ウレタン系接着剤、ポリエステル系接着剤等をあげることができる。
【0050】
[樹脂被覆金属板の製造]
次に、上記シート21を、D層13を介して金属板12にラミネートして樹脂被覆金属板11を製造する方法について説明する。
上記積層シート21を、D層13を介して金属板12にラミネートする方法としては、金属板12にリバースロールコーター、キスロールコーター等の一般的に使用されるコーティング設備を使用し、積層シート21を貼り合わせる金属面に乾燥後の接着剤膜厚が2〜10μm程度になるように、上記D層13を構成する接着剤を塗布する。次いで、赤外線ヒーター及び熱風加熱炉の少なくとも一方を用いて、塗布面の乾燥及び加熱を行い、金属板12の表面温度を所定の温度に保持しつつ、直ちにロールラミネータを用いて積層シート21を被覆、冷却することにより樹脂被覆金属板11を製造することができる。
【0051】
上記積層シート21を、D層13を介して金属板12にラミネートする際、金属板12の表面温度Ts(℃)を、(Tma+5)℃以上、(Tma+30)℃以下に設定される。例えば、A層14の結晶性樹脂成分としてホモ・PBTを用いた場合は、この樹脂のTmaが225℃付近であることから、230〜255℃となる。
【0052】
Tsを(Tma+5)未満とすると、A層14の、金属板12側の表面を溶融させることができず、充分な接着強度が得られない。一方、Tsを(Tma+30)より高くすると、金属板の裏面の塗装処理に従来より用いられてきた塗料では、熱変色、熱褪色、あるいは熱劣化による脆化を生じ、好ましくない。
【0053】
上記シート21を上記D層13を介して金属板にラミネートした後、非接触式の加熱手段により加熱する。これは、ラミネートラインとは別ラインで一旦冷却された樹脂被覆金属板を再加熱する方法でも良いが、ラミネートロールの直後にオンラインで非接触式の加熱手段を設ける事がエネルギーコストの面からも、生産性の面からも好ましい。
【0054】
このときの加熱温度は、上記C層16表面の最高到達温度が、Tma+5〜Tmc(℃)となるようにする。
上記C層16表面の最高到達温度をTmc以下とするので、C層16は溶融しておらず、比較的高い弾性率を維持しているため、C層16において積層される以前の歪みの無い平滑な面状態に戻ろうとする歪み回復力が作用する。このため、良好な鏡面性を得ることができる。
【0055】
一方、上記C層16表面の最高到達温度をTma+5℃以上としたのは、A層14に、ホモPBTやホモPTT等の結晶性ポリエチレン樹脂成分を含有するので、A層14の弾性率を低下させる、すなわち、溶融流動させるには、Tmaを越える温度に加熱する必要があるが、実際に観測可能な温度は、A層14の樹脂温度ではなく、C層16の表面温度であるため、確実に、A層14の温度がTmaを超えるようにするためである。なお、C層16が比較的薄いので、A層14のC層16側界面近傍の温度に変えて、C層16表面温度を用いても実用上支障が生じない。
【0056】
具体例として、C層16としてホモPETの延伸フィルム(Tmc:255℃)を使用し、A層14の樹脂組成としてホモPBT或いはホモPTT(Tmc:225℃)を使用する場合、この非接触の加熱手段による加熱は、C層16表面の最高到達温度が255℃未満、かつ、230℃以上とすることがよい。その中でも、C層16の表面最高到達温度が240℃〜245℃程度になるように設定することが、生産中の予期せぬ温度変動、あるいは装置の温度調整幅精度に起因する外観の不良を回避しやすい点から好ましい。C層16の表面最高到達温度がTmcより高くなった場合には、C層16の溶融を生じ、鏡面性は著しい低下を生ずる。一方、C層16の表面温度が(Tma+5)℃よりも低い場合は、A層14の充分な弾性率低下が得られず、この場合も良好な鏡面性は得られにくくなる。
【0057】
上記非接触式の加熱手段とは、上記ラミネート後の樹脂被覆金属板を非接触状態で加熱処理する手段をいう。加熱されたロール等で接触式の加熱を行うと、樹脂被覆されているとはいえ、金属板をロール間に通す必要があり、金属板の端部の反り等に起因してロールに傷が入りやすく、ロールの傷が直ちに樹脂被覆金属板の表面外観の低下をもたらすため、加熱手段として非接触式を用いるのがよい。また、異物がロール表面に付着した場合、異物の付着した部分で押圧されるごとに、表面外観の悪い部分が発生し、実際の異物の数以上に不良品が発生する危険がある点においても、加熱手段として非接触式を用いるのがよい。
【0058】
上記非接触式の加熱手段としては、赤外線ヒーター、熱風ヒーター、誘導加熱ヒーター等があげられるが、設置が容易な点、制御のし易さなどから赤外線ヒーターを用いるのが好ましく、A層14への加熱効率の点から、C層16側からの加熱が好ましい。
【0059】
上記非接触式の加熱手段による加熱時間は、ラミネート前の金属板12の表面温度、A層14の樹脂組成、更には非接触式の加熱手段自体の設定可能な温度等によって変わり得るため、一概には規定できないが、A層14としてホモPBT(Tm:225℃)のみから成る樹脂組成を用い、かつ、酸化チタン顔料を添加した白色系のシートを用いた場合で、ラミネート前の金属板12の表面温度をA層14のTmaよりやや高い235℃とした場合においては、非接触式の加熱手段として赤外線ヒーターを使用し、C層16表面の最高到達温度が245℃になるよう設定した場合、6秒以上の加熱を行う事で良好な鏡面性を得ることができる。
【0060】
逆に、非接触式の加熱手段による加熱が過度に長い場合は、印刷層の色焼け、色抜け等印刷意匠を低下させるおそれがあり、また如何に温度設定をC層16の融点Tmc以下に制御しているとはいえ、C層16表面の熱劣化をもたらし、それに起因する表面物性の低下をもたらすおそれがあるため好ましくない。これらを防止する観点から非接触式の加熱手段による加熱は、20秒以下にすることが好ましい。
【0061】
得られた樹脂被覆金属板11は、冷却工程へと導入される。冷却工程は長い距離を確保し、自然空冷、あるいは強制空冷としてもよいが、生産速度を考慮した場合、一般的には水冷法が用いられる。この場合、結晶化速度の遅いポリエチレンテレフタレート(PET)系樹脂を用いてA層を形成するよりも、結晶化速度のより速いポリブチレンテレフタレート(PBT)系の樹脂やポリトリメチレンテレフタレート(PTT)系の樹脂でA層を形成したほうが、耐沸騰水性に優れた樹脂被覆金属板を得ることができるので好ましい。
【0062】
[用途等]
この発明で得られる樹脂被覆金属板11は、ドア材、ユニットバス壁材又はユニットバス内装材等の建築内装材、AV器機やエアコンカバー等の家庭電化製品外装材、鋼製家具、エレベータ内装材等に用いることができる。
【0063】
【実施例】
以下、実施例及び比較例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。まず、実施例および比較例に示した樹脂被覆金属板の物性の測定規格、試験法を下記に示す。
【0064】
[融点(Tma、Tmc)]
パーキンエルマー製DSC−7を用いて、試料10mgをJIS−K7121「プラスチックの転位温度測定方法−融解温度の求め方」に準じて、加熱速度を10℃/分で測定して求めた。1次昇温時の結晶融解ピークトップ温度をTmaとした。
【0065】
[高鏡面性試験]
財団法人日本色彩研究所が開発した<PGD>携帯用鮮明度光沢度計PGDIVを用い、同法人が規定する測定法により、実施例及び比較例の各樹脂被覆金属板の鏡面反射性を測定し、高鏡面性の判定基準とした。測定は、同一サンプル中5箇所で測定を行い、その平均値を鮮明度光沢度値(Gd値)とした。Gd値が0.9以上の場合を(〇)、0.8以上で0.9未満の場合を(△)、0.8未満の場合を(×)として表示した。
【0066】
[耐沸騰水性試験]
60mm×60mmの樹脂被覆金属板に、JIS−K7121で規定されるエリクセン試験装置を用いて、樹脂被覆側が凸になるように6mmの張り出しを設けた後、沸騰水中に3時間浸漬し、その樹脂シートの面状態を目視で判定した。そして、全く変化のなかったものを(〇)、表面に若干荒れができたものを(△)、樹脂層に著しい膨れ等の変形が生じたものを(×)として表示した。
【0067】
[加工性]
樹脂被覆金属板に衝撃密着曲げ試験を行い、曲げ加工部の化粧シート(積層シート21)の面状態を目視で判定し、ほとんど変化がないものを(〇)、クラックが若干発生したものを(△)、割れが発生したものを(×)として表示した。なお、衝撃密着曲げ試験は次のようにして行った。樹脂被覆金属板の長さ方向及び幅方向からそれぞれ50mm×150mmの試料を作製し、23℃で1時間以上保った後、折り曲げ試験機を用いて180゜(内曲げ半径2mm)に折り曲げ、その試料に直径75mm、質量5kgの円柱形の錘を50cmの高さから落下させた。
【0068】
(実施例1〜8、比較例1〜8)
[積層シートの作製]
表1に示す樹脂組成で二軸混練押出機を用いて、厚さ80μmの着色ポリエステル系樹脂シート(A層14)を製膜した。顔料の添加量はチタン白及びチタン黄を計24重量部(樹脂成分の合計量を100として)で、全ての実施例及び比較例において同一である。
次いで、透明延伸ポリエステル系樹脂層16としての厚さ25μmの透明2軸延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム(三菱化学ポリエステル(株)製)の片面にグラビアコート法によって抽象模様の部分印刷を施してB層15を形成した。そして、その印刷面に熱硬化性ポリエステル系接着剤を塗布して接着剤層17を形成し、A層14と重ね合わせて、一対のロール間を通過させることにより一体化し、積層シート21とした。透明2軸延伸PET樹脂フィルムの種類、印刷インク及び熱硬化性ポリエステル系接着剤の種類、付与条件等は全ての実施例及び比較例において同一である。なお、比較例7及び8においては、押出し製膜後のA層シートに対し130℃×20秒間の非接触式加熱による結晶化処理を施した。
【0069】
表1に記載した樹脂組成として具体的には、以下のものを用いた。
・PBT:ノバデュラン5020S(三菱エンジニアリングプラスチック社製、融点:223℃)
・PTT:コルテラCP509200(シェル社製、融点:225℃)
・co−PET:BK−2180(三菱化学ポリエステル(株)製、融点:246℃)
【0070】
[樹脂被覆金属板の作製]
次に、ポリ塩化ビニル系樹脂被覆金属板用として一般的に用いられているポリエステル系接着剤を、亜鉛メッキ鋼板(厚み0.45mm)の表面に乾燥後の接着剤膜厚が2〜4μm程度になるように塗布して接着剤層13を形成する。次いで、熱風加熱炉及び赤外線ヒーターにより塗布面の乾燥及び加熱を行い、亜鉛メッキ鋼板(厚み0.45mm)の表面温度Ts(℃)を表1中に記載の各温度に設定し、直ちにロールラミネータを用いてシート21を被覆し、引き続き、図2に示すように同一ライン上に設けられた赤外線式ヒーターにより、C層16側の表面より加熱を行った。この加熱によるC層16側表面最高到達温度は、長いケーブル長を有する熱電対をシート21のC層16側表面にあらかじめ貼付しておき、赤外線式ヒーター内を通過させる事により測定した。そして水噴射により水冷冷却することで樹脂被覆鋼板を作製し、上記した各項目を評価した。C層側表面最高到達温度の変更は赤外線式ヒーターの出力の変更により行っており、ラミネートラインの速度は15m/minで統一されている。また、ラミネートに用いた接着剤の種類、塗布条件も全ての実施例及び比較例に於いて同一である。
なお、ラミネート時の金属板表面温度、赤外線式ヒーターでの加熱によるC層16側表面最高到達温度を表1中に記した。
各樹脂被覆金属板11について、上記の各項目を評価した。結果を表1に示した。
【0071】
【表1】
Figure 2004276321
【0072】
[結果]
表1から明らかなように、本発明の範囲にある実施例1〜8の樹脂被覆金属板11は、従来の軟質ポリ塩化ビニルのラミネート温度と同程度の金属板表面温度でラミネートを行う事で、裏面塗料の熱劣化が防止されており、A層とC層の融点の差が本発明の範囲の組み合わせとし、本発明の加熱条件で非接触式の加熱を行う事で良好な鏡面性が得られており、更に結晶化速度の速いホモPBT樹脂、又はホモPTT樹脂をA層に用いる事で耐沸騰水性に優れた樹脂被覆金属板となっている。更にホモPBTやホモPTTは結晶化させた場合の加工性がPETよりも良好であり、樹脂被覆金属板として必要な加工性も良好なものとなっている。
【0073】
一方、非接触式の加熱手段によるC層側からの加熱で、C層表面最高到達温度が本発明の範囲に満たなかった比較例1は、良好な鏡面性は得られなかった。A層の弾性率低下が充分でなく、C層の2軸延伸PETフィルムの歪み回復効果が充分に発現出来ない事による。比較例2に関しても同様である。
【0074】
C層側表面の最高到達温度が本発明の範囲よりやや高い比較例3は、やはり良好な鏡面性は得られていない。この場合は、A層の弾性率は充分に低下していると考えられるが、同時にC層の融点に近い温度である為、C層の弾性率迄低下してしまい歪み回復効果が発現しなかったと考えられる。
【0075】
C層表面の最高到達温度が更に高い比較例4では、C層表面が艶消し状になった。これはC層の溶融が起こり、延伸配向が消失した後、無配向の状態で冷却されたものと考えられる。
【0076】
非接触式の加熱手段を用いずに、ラミネート前の金属板表面温度を従来の軟質ポリ塩化ビニルをラミネートする場合と同程度としてラミネートを行った比較例5は、良好な鏡面性は得られていない。
【0077】
比較例5よりもラミネート前の金属板表面温度を高くした比較例6は、良好な鏡面性が得られているが、軟質ポリ塩化ビニルシートをラミネートした金属板に用いるのと同一の裏面塗料を用いた場合、該裏面塗料の熱による劣化が著しく、実用に耐え得ないと判断された。
【0078】
C層とA層の融点差が本発明の範囲より狭い比較例7は、良好な鏡面性が得られている。これは、IPA7%共重合PETの結晶化速度が遅い事により、A層が非結晶の状態でラミネートされた事による。しかし、耐沸騰水性に関しては、PETGなどの非結晶性のポリエステル系樹脂をA層として用いた場合と同様に耐え得ない。
【0079】
比較例7と同一組成のA層を押出し製膜後に加熱処理を施して結晶化させた比較例8は、耐沸騰水性は満足するものの、C層との融点差が本発明の範囲を外れており鏡面性が得られない。また結晶化により加工性を満たせない結果となった。
【0080】
【発明の効果】
この発明にかかる樹脂被覆金属板は、A層の融点(Tma)と、C層の融点(Tmc)が、(Tmc−Tma)>20(℃)の関係を有するので、A層、B層及びC層からなるシートをD層を介して金属板(E)にラミネートした後、非接触式の加熱手段によりC層表面の最高到達温度がTma+5(℃)以上でTmc(℃)以下に加熱することにより、C層の弾性低下及び変形を防止すると共に、A層を溶融させることにより、弾性を十分に低下させることができ、C層において、積層される以前の歪みの無い平滑な面状態に戻ろうとする歪み回復力を発現させることができ、さらに、A層や金属板(E)の表面の凹凸等に由来する凹凸を解消させることができ、良好な鏡面性が得ることができる。
【0081】
さらに、軟質塩化ビニル系樹脂フィルムのラミネートに使用されているラミネート条件と同様の条件を採用することができるので、印刷インク、接着剤等に関し、軟質塩化ビニル系樹脂フィルムに使用するものを使用できる。
鏡面反射性に加えて、加工性及び耐沸騰水性を良好にすることができる。
【0082】
また、A層を構成するポリエステル系樹脂として、結晶性の樹脂を用いる場合、沸騰水浸漬耐性に優れ、表面硬度も高く、傷入れ性に優れた樹脂被覆金属板を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明にかかる樹脂被覆金属板の断面図
【図2】この発明にかかる樹脂被覆金属板の他の断面図
【図3】実施例で用いたラミネート装置の例を示す模式図
【符号の説明】
11 樹脂被覆金属板
12 金属板
13 接着剤層(D層)
14 基材樹脂層(A層)
15 印刷層(B層)
16 透明延伸ポリエステル系樹脂層(C層)
17 接着剤層(F層)
21 積層シート
31 金属板加熱炉
32 金属板表面温度測定装置
33 ラミネートロール
34 支持ロール
35 赤外線ヒーター

Claims (5)

  1. 融点がTma(℃)である結晶性を有するポリエステル系樹脂よりなる着色された層(A層)、印刷インキ層(B層)、及び融点がTmc(℃)である透明延伸ポリエステル系樹脂層(C層)を、この順に積層一体化してシートを形成し、
    (Tmc−Tma)>20(℃)の関係が成立し、
    上記シートのA層側表面を接着面として、熱硬化型接着剤層(D層)を介して金属板(E)にラミネートした後、非接触式の加熱手段によりC層表面の最高到達温度がTma+5(℃)以上でTmc(℃)以下に加熱した高鏡面性樹脂被覆金属板。
  2. 上記A層を構成するポリエステル系樹脂は、ポリブチレンテレフタレート系樹脂又はポリトリメチレンテレフタレート系樹脂を主成分とすると共に、上記A層の厚みは、30μm〜300μmであり、
    上記C層は、厚みが15μm〜75μmの2軸延伸されたポリエチレンテレフタレートフィルムである請求項1に記載の高鏡面性樹脂被覆金属板。
  3. 上記のA層とB層との間に熱硬化型接着剤層(F層)が存在する請求項1又は2に記載の高鏡面性樹脂被覆金属板。
  4. ドア材、ユニットバス壁材又はユニットバス内装材から選ばれる建築内装材として使用される請求項1乃至3のいずれかに記載の高鏡面性樹脂被覆金属板。
  5. 融点がTma(℃)である結晶性を有するポリエステル系樹脂より成る着色された層(A層)、印刷インキ層(B層)、及び融点がTmc(℃)である透明延伸ポリエステル系樹脂層(C層)を有し、(Tmc−Tma)>20(℃)の関係が成立するシートを、A層、B層及びC層の順に積層一体化して形成し、このシートのA層側表面を接着面として、熱硬化型接着剤層(D層)を介して金属板(E)にラミネートした後、非接触式の加熱手段によりC層表面の最高到達温度をTma+5(℃)以上でTmc(℃)以下に加熱する高鏡面性樹脂被覆金属板の製造方法。
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