JP4266207B2 - 光モジュールの製造方法 - Google Patents

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本発明は、光通信や光伝送技術などに用いられる光モジュールを製造するための光モジュールの製造方法に関する。
近年、発光素子や受光素子などの光半導体素子と光ファイバとを直近の位置に対向させてレンズを用いないで光結合を得る、いわゆる直接光結合(バットジョイント)と呼ばれる結合方式によって、実装コストの低減をはかる技術が研究開発されている。
直接光結合を用いる場合、光半導体素子からの出射光、或いは光ファイバからの出射光は、特別にレンズ効果を持たせない限り導波機構を持たないほぼ等屈折率の媒質中(例えば空気中や屈折率整合材中)を透過するため、ビームが拡がっていく。そのため、光ファイバの導波部(コア)や受光素子の活性領域(受光領域)以外の部分に到達する光が増加し、光結合効率が低下して耐雑音性が低下すると共に、迷光が増えることで別の雑音(例えばクロストークノイズ)を増加させ、信号伝送に悪影響を及ぼす可能性がある。
従って、なるべく光半導体素子と光ファイバとを直近に配置して余分な部分に光が到達しないようにすることが重要になってくる。例えば、開口率(NA)=0.21、コア直径50μmのマルチモード光ファイバからの出射光は、空気中で広がり角約12度を持つ。このため、光ファイバとの距離は数十μm程度にまで近づける必要がある。さらに、光ファイバの曲げ半径は標準で30mm程度必要であり、直角には曲げられないことから、光ファイバの軸方向を光モジュールの搭載面と平行な面内に置くことで、実装基板に対して垂直な方向への光ファイバの突出を無くし、全体の装置の厚さを低減する必要がある。
これらの各種の機構を実現するために、光ファイバを挿入可能な保持穴を有する光伝送路保持部材を用い、光ファイバを保持穴に保持すると共に、保持穴の開口を含む面に光半導体素子を搭載した光モジュールが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2000−347072号公報
しかしながら、特許文献1の例では次のような問題があった。即ち、直接光結合を用いた場合、光半導体素子と光伝送路入出力端面とをごく直近に配置する方が好ましいが、光モジュールを実装基板上に搭載する際に、光モジュールと実装基板間の接着面に接着剤が充填され、この接着剤は表面張力によりある一定の残留厚さを持ち、この残留厚さを接着面内で一定にすることが困難である。このため、実装基板の実装面に対して光モジュールが傾いてしまうという問題がある。そして、実装基板に対して光ファイバの角度がまちまちになったり、外部で光ファイバを保持した場合に光モジュールの付け根に大きな応力がかかり、光ファイバが破断しやすくなるなどといった問題が生じる。
また、光伝送路がピグテール構造であるため、後方から光伝送路を引き抜く方向に力が加わる可能性があり、その際に実装基板と光モジュールの接着力を保持するのは接着剤となる。接着力を高めるためには、接着剤を厚くする必要があるが、厚くすることで、前述の傾きが大きくなり易いという問題がある。
本発明は、上記事情を考慮して成されたもので、その目的とするところは、光モジュールと実装基板の接着面に充填された接着剤の残留厚さを接着面で均一とすることができ、実装基板に対する光モジュールの傾きの防止及び光伝送路の破断防止に寄与し得る光モジュールの製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために本発明は、次のような構成を採用している。
即ち、本発明の一態様に係わる光モジュールの製造方法は、光伝送路が挿入されて保持される保持穴を有し、且つ実装基板に接着される実装面を有し、前記保持穴の一方の開口端を含む光半導体素子搭載面に電気配線が形成され、該電気配線は前記光半導体素子搭載面に隣接する面で且つ前記実装面とは異なる面まで延長され、前記実装面に規則的な凹凸形状が形成されている光伝送路保持部材を、前記光半導体素子搭載面に光半導体素子を装着した状態で、前記実装面を下にして実装用治具基板上に載置し、前記光半導体素子に対し前記光伝送路保持部材と反対側にセンサヘッドを配置し、前記光伝送路保持部材を前記実装用治具基板上で滑らせるのに必要な力Aと、前記光伝送路保持部材に光伝送路を挿入するために必要な力Bと、前記センサヘッドが動作するために必要な力Cとの間にC>B>Aの関係を持たせ、前記光伝送路保持部材の保持穴に前記光半導体素子と反対側から光伝送路を挿入すると共に、この挿入に伴う前記光伝送路保持部材の移動により前記光半導体素子が前記センサに接触し、その後に前記光伝送路が前記光半導体素子に接触したことを前記センサヘッドで検出し、該検出によって前記光伝送路の挿入を止めることを特徴とする。
本発明によれば、光伝送路保持部材の実装面に凹凸形状を設けることにより、光伝送路保持部材と実装基板の接着面に充填された接着剤の残留厚さを接着面で均一とし、且つある程度の接着剤厚さを確保することができる。従って、実装基板の実装面に対する光伝送路保持部材の傾きの防止及び光伝送路の破断防止に寄与することができる。これにより、低コストで製造可能な光伝送路保持部材又は光モジュールを実現することが可能となる。
以下、本発明の詳細を図示の実施形態によって説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係わる光モジュールの概略構成を示す断面図である。
図中の1は光伝送路保持部材であり、光ファイバや光導波路といった光伝送路2を保持するための保持穴9を有する部材である。光伝送路保持部材1は、エポキシ樹脂,ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂,ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂,フェノール樹脂,ポリエステル樹脂,ポリイミド樹脂,フッ素樹脂等からなっている。特に、5〜30μm程度のガラスフィラーを80%程度混入したエポキシ樹脂により構成すれば、金型による樹脂成型で簡単に形成できるので好適である。
光伝送路保持部材1の保持穴9は、第1の開口端から第2の開口端まで貫通して設けられた貫通穴である。保持穴9の第2の開口端を含む光半導体素子搭載面1aには電気配線4が形成されており、この電気配線4は面1aに隣接する別の面まで延長されている。電気配線4には、バンプ5により光半導体素子3が電気接続されている。光伝送路保持部材1の、光伝送路2の光軸とほぼ平行な面の一つ7が実装基板8へ接着剤6により搭載するための実装面である。実装面7と光伝送路2の光軸方向を平行な面内とすることにより、光伝送路2の引出しによる光モジュール全体の厚さ方向の寸法増大を抑制することができる。
実装面7には規則的な凹凸が形成されている。光伝送路保持部材1は、接着剤6により実装面7が実装基板8に対向するように接着搭載される。ここで、実装面7には凹凸が設けられているため、接着剤塗布後に光伝送路保持部材1が押圧されることにより、余分な接着剤は押し出され、凹凸の先端部(頂部)が実装基板8に接触するまで押込まれる。
一方、実装面7が平坦な場合、押し込まれて間隙が少なくなってくると、接着剤の表面張力が大きくなり、ある程度の厚さで押圧力と表面張力が釣り合う。しかし、押圧力の面内不均一や、実装面7の面状態によってバランスは崩れるため、図2に示したように傾きを生じてしまう。
本実施形態では、実装面7に凹凸が設けられているため、凹凸の先端部の接触面積を極めて小さくすることが可能で、表面張力を小さくでき、ほぼ凹凸の先端部が実装基板8に接触するまで押し込むことが可能である。従って、実装時の傾きは、接着剤の厚さではなく実装面7の凹凸の先端部を結ぶ面で決まるため、制御可能である。この面を光伝送路2の光軸と平行になるように形成することで、ほぼ実装基板8の実装面7と光伝送路2の光軸を平行とすることができる。さらに、凹凸を設けることにより、傾きを殆どない状態にしたまま充分な厚さの接着材層を部分的に形成することができるため、横方向の引っ張り力に対して強固な接着が可能となる。
図3に、本実施形態における電気配線4の配置例を示す。配線4は、光伝送路2としての光ファイバの端面が露出する面から、実装面7を除く3つの側面に引き出されている例を示しているが、引き出す面が1面であっても良いし、2面であっても良い。さらに、側面に引き出されていなくても良い。
ここで、光伝送路保持部材1の断面形状は、必ずしも図4(a)に示すように矩形に限らず、図4(b)に示すような六角形であっても良い。さらに、図4(c)に示すように、側面が曲面加工されたものであっても良い。
光伝送路保持部材1の実装面7は、波型の凹凸を含む形状をしており、1次元的に規則的な構造となっている。実装面7の形状は必ずしも規則的である必要は無いが、規則的なパターンとすることにより、金型の製造の誤差を吸収することができ、凹凸の深さ方向の制御が容易となり、光モジュールとしたときの実装高さの精度が高くしやすいという効果がある。
また、実装面7の形状は2次元的に規則的な形状とすることもできる。その場合の例を図5に示す。この場合、連続した紡錘形状が配置された構造となっている。1次元的に規則的な場合では、実装基板との接触が線状であることに比較して、このような2次元的に規則的な構造とすることで、多数の点での接触となる。このため、より接着剤の影響を受けにくくなり、平坦度を保つことが可能となる。
また、光伝送路2の光入出力端面が露出する面1aは、図6に示すように光伝送路2の軸方向と傾斜していることが望ましい。このような構成にすれば、研磨を用いないで応力破断による簡易な端面出しを行った光伝送路を用いた場合にも、光伝送路2の光入出力端面での反射光の影響を抑制することが可能となる。
このように本実施形態によれば、光伝送路保持部材1の実装面7に凹凸形状を設けることにより、光伝送路保持部材1と実装基板8の接着面に充填された接着剤6の残留厚さを接着面で均一とし、しかもある程度の接着剤厚さを確保することができる。従って、実装面7に対する光伝送路保持部材1の傾きの防止及び光伝送路2の破断防止に寄与することができ、製造コストの低減をはかることができる。
(第2の実施形態)
図7は、本発明の第2の実施形態に係わる光モジュールの概略構成を示す断面図である。なお、図1と同一部分には同一符号を付して、その詳しい説明は省略する。
本実施形態が先に説明した第1の実施形態と異なる点は、光伝送路2の光入出力端が素子搭載面1aより外側に突出していることにある。これにより、光半導体素子3と光伝送路2の光入出力端とをより近接配置することが可能である。従って、より高い光結合効率を得られると共に、実装のトレランスを大きくすることが可能で、素子搭載に必要な工程時間を短縮することが可能となる。
本実施形態の構造では、光伝送路2を光半導体素子3の活性領域と非常に近接配置するため、実装時の衝突による光半導体素子3の破壊を防止する工夫が必要である。特に、光半導体素子3の実装性を優先して、光半導体素子3を光伝送路保持部材1に先に搭載してから光伝送路2を搭載する場合には尚更である。この場合にも、実装面7に凹凸を形成することが有効である。
この有効性について、図8を用いて以下に説明する。図中10は、光伝送路保持部材1の実装用治具基板である。11は、圧力センサ又は位置センサのヘッドである。
図8(a)は、光伝送路2が光伝送路保持部材1の保持穴9に徐々に挿入されていく様子を示している。このとき、挿入に必要な力をB、その際に光伝送路保持部材1と治具基板10との間に働く摩擦力をAとすれば、B≦Aの場合、光伝送路2が保持穴9を滑って挿入されていくため、光伝送路2が光半導体素子3に直接衝突する。このため、光半導体素子3の破壊、光半導体素子3と配線4との接続剥がれを招いてしまう。
そこで、B>Aの関係に設定しておくと、光伝送路2を挿入しようとすると光伝送路保持部材1が押されて図で右方向に移動し、図8(b)に示したように、センサヘッド11に光半導体素子3の裏面が突き当たるところまで滑っていく。
センサヘッド11は一定の圧力C以上の力(感度)を受けると、動作するように設定しておきC>Bとしておくことで、センサヘッド11に当たった後は、光伝送路保持部材1の保持穴9内に光伝送路2を挿入していくことができる。なお、光伝送路2を挿入する際の実際の力はCよりも僅かに大きい力である。
その後、図8(c)で示したように、光伝送路2が光半導体素子3に当たるまで挿入が続き、光半導体素子3に当たった瞬間をセンサヘッド11で検出し、この検出と同時に挿入を停止する。これにより、光半導体素子3と光伝送路2の距離をほぼ0にまで短くすることができる。光伝送路2が光半導体素子3に接触するとき、光半導体素子3の裏面側にはセンサヘッド11が接触しているので、光半導体素子3と配線4との剥がれが生じることはない。さらに、接触と同時に挿入を停止することにより、光半導体素子3の破壊を未然に防止することができる。
つまり、C>B>Aの関係を成立させることで、光半導体素子3と光伝送路2との距離を近接させることが可能となる。このときの、センサヘッド11の感度をなるべく高く、即ちCをなるべく小さく調整しないと、光半導体素子3を破壊しかねない。このため、B及びAはさらに小さいことが望ましい。Bは、保持穴9の内側の平滑度などで決まるが、Aは治具基板10と光伝送路保持部材1の実装面7との摩擦により決まる。そこで、この実装面7に凹凸を設けて、治具基板10との接触面積を小さくしてやることにより、より一層Aを小さくすることができる。即ち、実装面7に凹凸を形成することは、光モジュールの傾き防止と共に製造歩留まり向上にも有効である。
この際、治具基板10に凹凸を設け、その実装面を平滑面とすることは得策ではない。何故ならば、治具基板10は繰返し使用されるものであり、使用状況や使用回数、使用履歴などによって凹凸の具合が変動し、Aの値が大きく変動することが考えられるためである。これに対し、光伝送路保持部材1の実装面7に凹凸を設けてやれば、毎回新鮮な凹凸面との摩擦となるため、Aの値が安定しやすいのである。
また、Bの値を積極的に低減するために、予め樹脂を保持穴9内に注入しておき潤滑油とすることもできる。さらに、この樹脂を接着剤として光伝送路2の固定に利用することも可能である。さらに、この接着剤の屈折率を光伝送路2の屈折率に近づけることにより、光伝送路2の光入出力端と光半導体素子3との隙間に挿入することで、光伝送路2の光入出力端での反射戻り光対策とすることも可能である。図9にこの例を示す。図中16が該接着剤である。
(変形例)
なお、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではない。実施形態では、光伝送路,光伝送路保持部材,光半導体素子,実装基板を一体化した光モジュールとしたが、必ずしもこれに限らず、実装基板に保持する前の光モジュールとして製品化しても良い。さらに、光伝送路保持部材の単体として製品化することもできる。また、光伝送路は必ずしも光ファイバに限るものではなく、光導波路であっても良い。さらに、光伝送路保持部材の材料は、仕様に応じて適宜変更可能である。
その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々変形して実施することができる。
第1の実施形態に係わる光モジュールの概略構成を示す断面図。 第1の実施形態に係わる光モジュールの効果を説明するためのもので、光伝送路保持部材の実装面を平坦にした光モジュールの概略構成を示す断面図。 第1の実施形態における電気配線の配置例を示す斜視図。 第1の実施形態における光伝送路保持部材の断面形状例を示す断面図。 第1の実施形態における実装面の凹凸形状の例を示す斜視図。 第1の実施形態における光伝送路保持部材の入出力端面側の面の形状を示す斜視図。 第2の実施形態に係わる光モジュールの概略構成を示す斜視図。 第2の実施形態に係わる光モジュールの実装方法を説明するための工程断面図。 第2の実施形態に係わる光モジュールの変形例の概略構成を示す断面図。
符号の説明
1…光伝送路保持部材
2…光伝送路
3…光半導体素子
4…電気配線
5…バンプ
6…接着剤
7…実装面
8…実装基板
9…保持穴(貫通穴)
10…実装用治具基板
11…センサヘッド
16…接着剤

Claims (4)

  1. 光伝送路が挿入されて保持される保持穴を有し、且つ実装基板に接着される実装面を有し、前記保持穴の一方の開口端を含む光半導体素子搭載面に電気配線が形成され、該電気配線は前記光半導体素子搭載面に隣接する面で且つ前記実装面とは異なる面まで延長され、前記実装面に規則的な凹凸形状が形成されている光伝送路保持部材を、前記光半導体素子搭載面に光半導体素子を装着した状態で、前記実装面を下にして実装用治具基板上に載置し、前記光半導体素子に対し前記光伝送路保持部材と反対側にセンサヘッドを配置し、
    前記光伝送路保持部材を前記実装用治具基板上で滑らせるのに必要な力Aと、前記光伝送路保持部材に光伝送路を挿入するために必要な力Bと、前記センサヘッドが動作するために必要な力Cとの間にC>B>Aの関係を持たせ、
    前記光伝送路保持部材の保持穴に前記光半導体素子と反対側から光伝送路を挿入すると共に、この挿入に伴う前記光伝送路保持部材の移動により前記光半導体素子が前記センサに接触し、その後に前記光伝送路が前記光半導体素子に接触したことを前記センサヘッドで検出し、該検出によって前記光伝送路の挿入を止めることを特徴とする光モジュールの製造方法。
  2. 前記保持穴は前記実装面と平行に形成され第1の開口端から前記光半導体素子搭載面の第2の開口端まで貫通して設けられ、
    前記光伝送路は前記第1の開口端から挿入され、光入出力端が前記第2の開口端近傍に位置するように固定され
    前記光半導体素子は、前記光半導体素子搭載面に形成された電気配線に接続され、前記光伝送路の光入出力端に光結合されることを特徴とする請求項1記載の光モジュールの製造方法
  3. 前記光伝送路保持部材の実装面は接着剤により前記実装基板に接着され、前記実装面の凹凸形状の頂部が前記実装基板と接触することを特徴とする請求項1記載の光モジュールの製造方法
  4. 前記光伝送路の光入出力端が前記光半導体素子搭載面よりも前記保持穴の外側に突出することを特徴とする請求項記載の光モジュールの製造方法
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