JP4265218B2 - 含フッ素ポリマーを含んでなる非線形光学材料 - Google Patents

含フッ素ポリマーを含んでなる非線形光学材料 Download PDF

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Description

本発明は分子鎖中に炭素−炭素二重結合を有する含フッ素プレポリマーからなるフッ素樹脂組成物、その組成物を硬化してなる含フッ素非線形光学材料、さらにその含フッ素非線形光学材料からなる光導波路素子に関する。
本発明の非線形光学材料は、機能性の光学素子や光学部品に使用して非線形光学効果を発現する素材物質のことである。ここにいう非線形光学効果とは、外部強電界により誘起される原子や分子の分極において、非線形分極が無視できなくなった結果生じる光学効果をいう。たとえば、2次の非線形光学効果ではポッケルス効果、パラメトリック発振、第2高調波発生(SHG)等が、また、3次の非線形光学効果ではカー効果、静電誘導SHG、第3高調波発生(THG)、光強度による屈折率の変化などが知られている。2次非線形光学効果は、波長変換(SHG)素子、電気光学変調器等に、3次の非線形光学効果は、波長変換(THG)素子、高速光シャッター光演算、光双安定性素子、光スイッチング等への応用が可能である。
非線形光学材料としては、従来から、リン酸二水素化カリウム(KDP)やニオブ酸リチウム(LiNbO3)等の無機強誘電体が知られている。しかしながら、これらの材料は潮解性や低い破壊しきい値、さらには高誘電率のため応答速度が遅く、そのため適用できる周波数帯域が限定される問題点がある。また、これらの無機強誘電体より大きい非線形光学応答を示す2−メチル−4−ニトロアニリン(MNA)が、1979年にB. F. Levineらによって発見されて以来、有機非線形光学材料の研究開発が積極的に行なわれている。
これら有機非線形光学材料は、無機強誘電体より大きい非線形光学定数、速い非線形光学応答や高い破壊しきい値等が期待できる点で新しい光学材料としての用途展開が期待できる上に、分子設計やデバイス化の多様性を有するという利点を有し、将来のオプトエレクトロニクス分野の基幹材料として注目されている。
実際、MNA、1−(4−ニトロフェニル)−3,5−ジメチルピラゾール(DMNP)、(2,2−ジシアノビニル)アニソール(DIVA)や4’−ニトロベンジリデン−3−アセトアミノ−4−メトキシアニリン(MNBA)から得られるバルク単結晶は、波長変換材料として用いられている。それらの材料をファイバー型やスラブ型光導波路に加工して、光周波数逓倍素子として試作されている(光機能材料、第41頁〜第105頁、共立出版)。
しかしながら、バルク単結晶を用いる場合、生産性や加工性に劣り、大量生産に向かない。一方、高分子を用いた光導波路はスピンコート法などによる成膜プロセスが利用できるため、作製プロセスが簡便で、大面積化も可能である。さらに高分子材料は一般に潮解性もなく破壊しきい値が高いなど無機材料に比べて優れている。そのため高分子中に有機非線形材料を含有させた高分子組成物を非線形光学材料として用いる試みが数多く検討されている。
このような高分子組成物は一般には配向性がなく、このままでは電気光学効果を利用した光スイッチや変調素子等の材料として用いることができない。一般に配向性のない高分子材料に対し、加熱しながら直流電場を印加し配向させる、すなわち、ポーリング処理により電気光学効果を発現させる手法が用いられる。
しかしながら、ポーリング後常温に戻し放置すること、また使用することによって配向が失われ、電気光学効果が消失するという重大な問題がある。従来、高分子系光導波路材料としてポリメタクリレート(PMMA)などが精力的に研究されているが、ガラス転移温度(Tg)が150℃程度と低く、光集積回路の製造中に経緯する200℃以上の温度において、ポーリングによって一旦発現した配向性が完全に消失するという問題がある。
また、光導波路内で、効率的に非線形光学効果を発現させるためには、用いる材料が、大きな非線形光学定数を有し、光の伝搬特性(透明性)に優れていることが望まれる。これらの光導波路を使用する際の光源の波長は1.3μmもしくは1.5μm帯のものが使用される場合、有機材料の炭素−水素および酸素−水素結合はこの波長領域に吸収をもつため、光の透過性が落ち、非線形光学効果が低下する現象があった。そこで従来より、かかる水素原子を重水素(D)置換したり、フッ素置換をする検討がなされてきた。その結果、透明性の低下はある程度改善できるが、重水素置換の場合では材料のもつ吸水性は変わらず、水分吸収により近赤外域の吸収が増大してしまい透明性が悪化する。フッ素置換の場合はガラス転移温度の上昇は認められず、上述の問題(配向の消失の問題)は解決されていない。
近赤外波長領域での透明性が良好で損失の比較的低くかつ低吸水率の高分子材料として、環状構造を有するパーフルオロ系の非晶質フッ素ポリマーが提案されている(特開平3−9329号公報、特開平4−190202号公報、特開2000−81519公報など)。
これらの非晶性フッ素ポリマーは透明性の点では問題がないが、耐熱性、すなわち、ガラス転移温度が低いが故の上述の問題(配向の消失)がある。また、構造、組成を変えてガラス転移温度を充分高くした系ではポリマー自体がもろくなり導波路形成プロセスにおいてクラックを生じる問題等があり、いまだ非線形光学材料における問題がすべて解決されたわけではない。
このような状況に鑑み、本発明の目的は、大きな2次以上の非線形光学効果を示し、光伝搬損失の少ない非線形光学材料およびそれを用いてなる非線形光導波路素子を提供することにある。
本発明者らは、かかる目的を達成すべく鋭意研究を行なった結果、ポリマー側鎖にまたはポリマー主鎖末端に炭素−炭素二重結合を有することを特徴とする非晶性含フッ素プレポリマーを見出し、これらと非線形光学効果を示す有機化合物とを組み合わせてなる非線形光学材料を見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の第1は、フッ素含有率が25重量%以上の非晶性ポリマーであってかつ、ポリマー側鎖にまたはポリマー主鎖末端にエチレン性炭素−炭素二重結合を有する含フッ素プレポリマー(I)と2次以上の非線形光学効果を示す有機化合物(II)からなる非線形光学材料に用いるフッ素樹脂組成物に関する。
この含フッ素プレポリマー(I)は、1290〜1320nmの波長範囲および/または1530〜1570nmの波長範囲および/または600〜900nmの波長範囲での吸光度係数の最大値が1cm-1以下である含フッ素プレポリマーがより好ましい。
特に好ましい含フッ素プレポリマー(I)としては、式(1):
Figure 0004265218
[式中、構造単位Mは式(M):
Figure 0004265218
(式中、X1およびX2は同じかまたは異なり、HまたはF;X3はH、F、CH3またはCF3;X4およびX5は同じかまたは異なり、H、FまたはCF3;Rfは炭素数1〜40の含フッ素アルキル基または炭素数2〜100のエーテル結合を有する含フッ素アルキル基にY1(Y1は末端にエチレン性炭素−炭素二重結合を有する炭素数2〜10の1価の有機基)が1〜3個結合している有機基;aは0〜3の整数;bおよびcは同じかまたは異なり、0または1)で示される含フッ素エチレン性単量体に由来する構造単位、構造単位Aは該式(M)で示される含フッ素エチレン性単量体と共重合可能な単量体に由来する構造単位である]で示され、構造単位Mを0.1〜100モル%および構造単位Aを0〜99.9モル%含み、数平均分子量が500〜1000000であるポリマーがあげられる。
本発明の第2は、上記フッ素樹脂組成物を硬化してなる非線形光学材料に関する。
本発明の第3は、式(2):
−(M’)−(A1)− (2)
[式中、構造単位M’は式(M’)
Figure 0004265218
(式中、X50およびX51は同じかまたは異なり、HまたはF;X52はH、F、CH3またはCF3;X53およびX54は同じかまたは異なり、H、FまたはCF3;Rf’は炭素数1〜40の含フッ素アルキル基または炭素数2〜100のエーテル結合を有する含フッ素アルキル基にP(Pは非線形光学効果を示す有機基からなる部位)が少なくとも1個以上結合してなる一価の有機基;a2は0〜3の整数;b2およびc2は同じかまたは異なり、0または1)で示される含フッ素エチレン性単量体に由来する構造単位、構造単位A1は該式(M’)で示される含フッ素エチレン性単量体と共重合可能な単量体に由来する構造単位である]で示され、構造単位M’を0.1〜100モル%および構造単位Aを0〜99.9モル%含む数平均分子量500〜1000000の含フッ素ポリマーからなることを特徴とする含フッ素非線形光学材料に関する。
本発明の第4は、式(3):
−(M)−(M’)−(A2)− (3)
[式中、構造単位Mは請求項12に記載の式(M)で示される構造単位、構造単位M’は請求項22に記載の式(M’)で示される構造単位、構造単位A2は該式(M)、(M’)で示される含フッ素エチレン性単量体と共重合可能な単量体に由来する構造単位である]で示され、構造単位Mを0.1〜99.9モル%、構造単位M’を0.1〜99.9モル%および構造単位A2を0〜99.8モル%含む数平均分子量500〜1000000の含フッ素ポリマーからなることを特徴とする含フッ素非線形光学材料に関する。
本発明の第5は、前記第2〜4の本発明の非線形光学材料からなる光導波路型素子に関する。
本発明によれば、含フッ素プレポリマーを硬化させ非線形物質と安定な構造を形成した好適な非線形光学材料を得ることができる。このフッ素樹脂組成物を用いるときは、近赤外波長領域で透明性を維持しながら、比較的簡単な工程で優れた非線形光導波路型素子を製造することができる。
本発明に用いる含フッ素プレポリマー(I)として好適なポリマーは、前記のとおり式(1):
Figure 0004265218
[式中、構造単位Mは式(M):
Figure 0004265218
(式中、X1およびX2は同じかまたは異なり、HまたはF;X3はH、F、CH3またはCF3;X4およびX5は同じかまたは異なり、H、FまたはCF3;Rfは炭素数1〜40の含フッ素アルキル基または炭素数2〜100のエーテル結合を有する含フッ素アルキル基にY1(Y1は末端にエチレン性炭素−炭素二重結合を有する炭素数2〜10の1価の有機基)が1〜3個結合している有機基;aは0〜3の整数;bおよびcは同じかまたは異なり、0または1)で示される含フッ素エチレン性単量体に由来する構造単位、構造単位Aは該式(M)で示される含フッ素エチレン性単量体と共重合可能な単量体に由来する構造単位である]で示され、構造単位Mを0.1〜100モル%および構造単位Aを0〜99.9モル%含み、数平均分子量が500〜1000000である含フッ素プレポリマーである。
つまり、ポリマー側鎖に反応により硬化可能なエチレン性炭素−炭素二重結合を有する含フッ素エチレン性単量体に由来する構造単位Mのホモポリマー、またはその構造単位Mを必須成分として有する共重合体である。
構造単位MのRfにおいて、Y1の少なくとも1個はRfの末端に結合していることが好ましい。
本発明で用いる含フッ素プレポリマー(I)における構造単位Mは、なかでも式(M1):
Figure 0004265218
(式中、X1およびX2は同じかまたは異なり、HまたはF;X3はH、F、CH3またはCF3;X4およびX5は同じかまたは異なり、H、FまたはCF3;Rfは炭素数1〜40の含フッ素アルキル基または炭素数2〜100のエーテル結合を有する含フッ素アルキル基にY1(Y1は末端にエチレン性炭素−炭素二重結合を有する炭素数2〜10の1価の有機基)が1〜3個結合している有機基;aは0〜3の整数;cは0または1)で示される含フッ素エチレン性単量体に由来する構造単位M1が好ましい。
この構造単位M1を含む含フッ素プレポリマーは、特に近赤外透明性が高く、構造単位M1のホモポリマーに限らず、構造単位M1を増やした組成の共重合体においても近赤外透明性を高くすることができ、好ましいものである。
さらに構造単位M1のより好ましい具体例は式(M2):
Figure 0004265218
(式中、Rfは炭素数1〜40の含フッ素アルキル基または炭素数2〜100のエーテル結合を有する含フッ素アルキル基にY1(Y1は末端にエチレン性炭素−炭素二重結合を有する炭素数2〜10の1価の有機基)が1〜3個結合している有機基)で示される含フッ素エチレン性単量体に由来する構造単位M2である。
この構造単位M2はエチレン性炭素−炭素二重結合を末端に有する含フッ素アリルエーテルの構造単位であり、近赤外透明性を高くできるだけでなく、重合性が良好であり、特にホモ重合性および他の含フッ素エチレン系単量体との共重合性が良好であるため好ましい。
また、構造単位M1の別の好ましい具体例は式(M3):
Figure 0004265218
(式中、Rfは炭素数1〜40の含フッ素アルキル基または炭素数2〜100のエーテル結合を有する含フッ素アルキル基にY1(Y1は末端にエチレン性炭素−炭素二重結合を有する炭素数2〜10の1価の有機基)が1〜3個結合している有機基)で示される含フッ素エチレン性単量体に由来する構造単位M3である。
この構造単位M3はエチレン性炭素−炭素二重結合を末端に有する含フッ素ビニルエーテルの構造単位であり、近赤外透明性を高くでき、また他の含フッ素エチレン系単量体との共重合性が良好である点で好ましい。
本発明で使用する式(1)の含フッ素プレポリマー(I)において構造単位M、M1、M2およびM3に含まれるY1は、前記のとおり、末端にエチレン性炭素−炭素二重結合を有する炭素数2〜10の1価の有機基である。
このY1中の炭素−炭素二重結合は重縮合反応などを起こす能力を有し、硬化(架橋)体を与えることができるものである。詳しくは、たとえばラジカルやカチオンの接触によって、含フッ素プレポリマー(I)分子間で、または含フッ素プレポリマー(I)と必要に応じて加えられる硬化(架橋)剤との間で重合反応や縮合反応を起こし、硬化(架橋)物を与えることができるものである。
好ましいY1の第1としては、
Figure 0004265218
(式中、Y2は末端にエチレン性炭素−炭素二重結合を有する炭素数2〜5のアルケニル基または含フッ素アルケニル基;dおよびeは同じかまたは異なり、0または1)である。
好ましいY2としては、
−CX6=CX78
(式中、X6はH、F、CH3またはCF3;X7およびX8は同じかまたは異なり、HまたはF)であり、この基はラジカルやカチオンの接触による硬化反応性が高く、好ましいものである。
好ましいY2の具体例としては、
Figure 0004265218
などがあげられる。
また好ましいY1の第2としては、
−O(C=O)CX6=CX78
(式中、X6はH、F、CH3またはCF3;X7およびX8は同じかまたは異なり、HまたはF)があげられ、この基は特にラジカルの接触による硬化反応性がより高い点で好ましく、光硬化などにより容易に硬化物を得ることができる点で好ましい。
上記好ましいY1の第2の具体例としては、
Figure 0004265218
などがあげられる。
その他の好ましいY1としては、
Figure 0004265218
などがあげられる。
1のなかでも、−O(C=O)CF=CH2の構造を有するものが近赤外透明性を高くでき、さらに硬化(架橋)反応性が特に高く、効率よく硬化物を得ることができる点で好ましい。
なお、前述の側鎖中に炭素−炭素二重結合を有する有機基Y1は、ポリマー主鎖末端に導入してもよい。
本発明で用いる含フッ素プレポリマー(I)において、構造単位M、M1、M2およびM3に含まれる−Rf−は、炭素数1〜40の含フッ素アルキレン基または炭素数2〜100のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基である。このRf基は含まれる炭素原子にフッ素原子が結合していればよく、一般に、炭素原子にフッ素原子と水素原子または塩素原子が結合した含フッ素アルキレン基、エーテル結合を有する含フッ素アルキレン基であるが、フッ素原子をより多く含有する(フッ素含有率が高い)ものが好ましく、より好ましくはパーフルオロアルキレン基またはエーテル結合を有するパーフルオロアルキレン基である。含フッ素プレポリマー(I)中のフッ素含有率は25重量%以上、好ましくは40重量%以上である。これらによって、含フッ素プレポリマー(I)の近赤外透明性を高くすることが可能となり、特に硬化物の耐熱性や弾性率を高くする目的で硬化度(架橋密度)を高くしても近赤外透明性を高く維持できるため好ましい。
−Rf−基の炭素数は大きすぎると、含フッ素アルキレン基の場合は溶剤への溶解性を低下させたり透明性が低下することがあり、またエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基の場合はポリマー自身やその硬化物の硬度や機械特性を低下させることがあるため好ましくない。含フッ素アルキレン基の炭素数は、好ましくは1〜20、より好ましくは1〜10である。エーテル結合を有する含フッ素アルキレン基の炭素数は好ましくは2〜30、より好ましくは2〜20である。
Rfの好ましい具体例としては、
Figure 0004265218
(l:1〜10、m:1〜10、n:0〜5)
Figure 0004265218
または
Figure 0004265218
(X9、X12はFまたはCF3;X10、X11はHまたはF;o+p+qは1〜30;rは0または1;s、tは0または1)
などがあげられる。
前述のとおり、本発明で用いる含フッ素プレポリマー(I)を構成する構造単位Mは構造単位M1が好ましく、構造単位M1としてはさらに構造単位M2または構造単位M3が好ましい。そこで、つぎに構造単位M2および構造単位M3の具体例について述べる。
構造単位M2を構成する単量体として好ましい具体例としては、
Figure 0004265218
(以上、n:1〜30の整数)
があげられる。
より詳しくは、
Figure 0004265218
(Rf1、Rf2は炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基;nは0〜30の整数)、
Figure 0004265218
(XはH、CH3、FまたはCF3;nは0〜30の整数)
などがあげられる。
構造単位M3を構成する単量体として好ましい具体例としては、
Figure 0004265218
などがあげられる。
さらに詳しくは、
Figure 0004265218
(以上、m:0〜30;n:1〜3;XはH、CH3、FまたはCF3;Rf1、Rf2は炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基)
などがあげられる。
これらの構造単位M2およびM3以外に、含フッ素プレポリマー(I)の構造単位Mを構成する単量体の好ましい具体例としては、たとえば、
Figure 0004265218
(Rfは前述の例と同じ)
などがあげられる。
より具体的には、
Figure 0004265218
などがあげられる。
本発明で用いる含フッ素プレポリマー(I)において、構造単位Aは任意成分であり、構造単位M、M1、M2またはM3と共重合し得る単量体であれば特に限定されず、目的とする含フッ素プレポリマー(I)やその硬化物の用途、要求特性などに応じて適宜選択すればよい。
構造単位Aとしては、たとえばつぎの構造単位が例示できる。
〔1〕官能基を有する含フッ素エチレン性単量体から誘導される構造単位
この構造単位〔1〕は、含フッ素プレポリマー(I)およびその硬化物の近赤外透明性を高く維持しながら、基材への密着性や溶剤、特に汎用溶剤への溶解性を付与できる点で好ましく、そのほかY1が関与する以外の架橋性などの機能を付与できる点で好ましい。
官能基を有する好ましい含フッ素エチレン性単量体の構造単位〔1〕は、式(4):
Figure 0004265218
(式中、X11、X12およびX13は同じかまたは異なりHまたはF;X14はH、F、CF3;hは0〜2の整数;iおよびjは同じかまたは異なり0または1;Rf4は炭素数1〜40の含フッ素アルキレン基または炭素数2〜100のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基;Z1は−OH、CH2OH、−COOH、カルボン酸誘導体、−SO3H、スルホン酸誘導体、エポキシ基およびシアノ基よりなる群から選ばれる官能基)で示される構造単位であり、なかでも、
CH2=CFCF2ORf4−Z1
(式中、Rf4およびZ1は前記と同じ)から誘導される構造単位が好ましい。
より具体的には、
Figure 0004265218
(式中、Z1は前記と同じ)などの含フッ素エチレン性単量体から誘導される構造単位が好ましくあげられる。
また、
CF2=CFORf4−Z1
(式中、Rf4およびZ1は前記と同じ)から誘導される構造単位も好ましく例示でき、より具体的には、
Figure 0004265218
(式中、Z1は前記と同じ)などの単量体から誘導される構造単位があげられる。
その他、官能基含有含フッ素エチレン性単量体としては、
CF2=CFCF2−O−Rf−Z1、CF2=CF−Rf−Z1
CH2=CH−Rf−Z1、CH2=CHO−Rf−Z1
(Rfは式(M)のRfと同じ)
などがあげられ、より具体的には、
Figure 0004265218
(式中、Z1は前記と同じ)などがあげられる。
ただし、−OH基、−COOH基、−SO3H基を有する単量体を用いる場合は、近赤外透明性を低下させない範囲の量であることが好ましい。
〔2〕官能基を含まない含フッ素エチレン性単量体から誘導される構造単位
この構造単位〔2〕は含フッ素プレポリマー(I)またはその硬化物の近赤外透明性をより一層高く維持できる点で、またさらに高透明性化することができる点で好ましい。また単量体を選択することでポリマーの機械的特性やガラス転移温度などを調整でき、特に構造単位Mと共重合してガラス転移点を高くすることができ、好ましいものである。
この含フッ素エチレン性単量体の構造単位〔2〕としては、式(5):
Figure 0004265218
(式中、X15、X16およびX18は同じかまたは異なりHまたはF;X17はH、FまたはCF3;h1、i1およびj1は0または1;Z2はH、FまたはCl;Rf5は炭素数1〜20の含フッ素アルキレン基または炭素数2〜100のエーテル結合を含む含フッ素アルキレン基)で示されるものが好ましい。
具体例としては、
Figure 0004265218
などの単量体から誘導される構造単位が好ましくあげられる。
〔3〕フッ素を有する脂肪族環状の構造単位
この構造単位〔3〕を導入すると、透明性を高くでき、また、より近赤外透明性を高めることが可能となり、さらに高ガラス転移温度の含フッ素プレポリマー(I)が得られ、硬化物にさらなる高硬度化が期待できる点で好ましい。
含フッ素脂肪族環状の構造単位〔3〕としては式(6):
Figure 0004265218
(式中、X19、X20、X23、X24、X25およびX26は同じかまたは異なりHまたはF;X21およびX22は同じかまたは異なりH、F、ClまたはCF3;Rf6は炭素数1〜10の含フッ素アルキレン基または炭素数2〜10のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基;n2は0〜3の整数;n1、n3、n4およびn5は同じかまたは異なり0または1の整数)で示されるものが好ましい。
たとえば、
Figure 0004265218
(式中、Rf6、X21およびX22は前記と同じ)で示される構造単位があげられる。
具体的には、
Figure 0004265218
(式中、X19、X20、X23およびX24は前記と同じ)などがあげられる。
〔4〕フッ素を含まないエチレン性単量体から誘導される構造単位
近赤外透明性を悪化させない範囲でフッ素を含まないエチレン性単量体から誘導される構造単位〔4〕を導入してもよい。
構造単位〔4〕を導入することによって、汎用溶剤への溶解性が向上したり、添加剤、たとえば光触媒や必要に応じて添加する硬化剤との相溶性を改善できる。
非フッ素系エチレン性単量体の具体例としては、
αオレフィン類:
エチレン、プロピレン、ブテン、塩化ビニル、塩化ビニリデンなど
ビニルエーテル系またはビニルエステル系単量体:
CH2=CHOR、CH2=CHOCOR(R:炭素数1〜20の炭化水素基)など
アリル系単量体:
CH2=CHCH2Cl、CH2=CHCH2OH、CH2=CHCH2COOH、CH2=CHCH2Brなど
アリルエーテル系単量体:
Figure 0004265218
など
アクリル系またはメタクリル系単量体:
アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類のほか、無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸エステル類など
などがあげられる。
これらの非フッ素系エチレン性単量体の水素原子を重水素原子に一部または全部置換したものは透明性の点でより好ましい。
〔5〕脂環式単量体から誘導される構造単位
構造単位Mの共重合成分として、より好ましくは構造単位Mと前述の含フッ素エチレン性単量体または非フッ素エチレン性単量体(前述の〔3〕、〔4〕)の構造単位に加えて、第3成分として脂環式単量体構造単位〔5〕を導入してもよく、それによって高ガラス転移温度化や高硬度化が図られる。
脂環式単量体〔5〕の具体例としては、
Figure 0004265218
(mは0〜3の整数;A、B、CおよびDは同じかまたは異なり、H、F、Cl、COOH、CH2OHまたは炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基など)で示されるノルボルネン誘導体、
Figure 0004265218
などの脂環式単量体や、これらに置換基を導入した誘導体などがあげられる。
本発明で用いる含フッ素プレポリマー(I)において、構造単位M(M1、M2、M3)と構造単位Aの組合せや組成比率は、構造単位Mと構造単位Aの組合せが非晶性となり得る組合せの範囲、およびフッ素含有率が25重量%以上の範囲で、上記の例示から、目的とする用途、物性(特にガラス転移温度、硬度など)、機能(透明性、近赤外透明性)などによって種々選択できる。
含フッ素プレポリマー(I)は、構造単位M(M1、M2、M3)を必須成分として含むものであり、構造単位M自体で近赤外透明性を高く維持し、透明性を付与する機能と硬化により硬化物に硬さ、耐熱性、耐摩耗性、耐擦傷性、耐溶剤性を付与できる機能を併せもつという特徴を有している。また、構造単位Mの含有量を調整することで屈折率の制御が可能であるという特徴をも有している。したがって含フッ素プレポリマー(I)は、構造単位Mを多く含む組成、極端には構造単位Mのみ(100モル%)からなる重合体であっても近赤外透明性を高く維持できる。さらに同時に硬化(架橋)密度の高い硬化物が得られ、高硬度、耐摩耗性、耐擦傷性、耐熱性に優れた被膜が得られる。
またさらに、含フッ素プレポリマー(I)の構造単位Mと構造単位Aとからなる共重合体の場合、構造単位Aを前述の例示から選択することによって、さらに高硬度(高ガラス転移温度)や近赤外透明性の高い硬化物を与えるプレポリマーとすることができる。
含フッ素プレポリマー(I)の構造単位Mと構造単位Aとの共重合体の場合、構造単位Mの含有比率は、含フッ素プレポリマー(I)を構成する全単量体に対し0.1モル%以上であればよいが、硬化(架橋)により高硬度で耐摩耗性、耐擦傷性に優れ、耐薬品性、耐溶剤性に優れた硬化物を得るためには2.0モル%以上、好ましくは5モル%以上、より好ましくは10モル%以上とすることが好ましい。
特に耐熱性、透明性、低吸水性に優れた硬化被膜の形成が必要な光導波路型素子の用途においては、10モル%以上、好ましくは20モル%以上、さらには50モル%以上含有することが好ましい。
本発明で用いる硬化性含フッ素プレポリマー(I)は、構成単位Mの比率を増やしても(硬化部位を増やしても)透明性は低下しないため、特に近赤外領域における非線形光学材料用途において好ましい特性を有している。
またさらに硬化性含フッ素プレポリマー(I)は、光通信に用いられる光機能素子用の非線形光学材料として用いる場合等は高い透明性が必要とされ、構造単位Mと構造単位Aの組合せが非晶性となり得る組合せと組成を有することが重要である。ここで、非晶性とはDSC分析において、昇温速度10℃/minの条件で測定した際に実質的に融解に基づく吸熱ピークが観測されないか、もしくは融解熱量が1J/g以下である性質を示す。
また硬化性含フッ素プレポリマー(I)のフッ素含有率は25重量%以上が好ましい。
フッ素含有率が低いと、近赤外での透明性が低下する。また、フッ素含有率が低いと吸水性も高くなり、光学材料としては実質的には使用できなくなる。非線形光学材料用途としては、最も好ましくはフッ素含有率は40重量%以上である。
本発明で用いる硬化性含フッ素プレポリマー(I)は特定の通信帯域(1290〜1320nmおよび/もしくは1530〜1570nmおよび/もしくは600〜900nm)における吸光度係数の最大値は1cm-1以下のものが好ましい。これより高い吸光度係数を示すものは光通信に用いる非線形光学材料としては適さない。
含フッ素プレポリマー(I)の分子量は、たとえば数平均分子量において500〜1000000の範囲から選択できるが、好ましくは1000〜500000、特に2000〜200000の範囲から選ばれるものが好ましい。
分子量が低すぎると、硬化後であっても機械的物性が不充分となりやすく、特に硬化物や硬化膜が脆く強度不足となりやすい。分子量が高すぎると、溶剤溶解性が悪くなったり、特に薄膜形成時に成膜性やレベリング性が悪くなりやすく、また含フッ素プレポリマーの貯蔵安定性も不安定となりやすい。光導波路用途としては、最も好ましくは数平均分子量が5000から100000の範囲から選ばれるものである。
含フッ素プレポリマー(I)は、含フッ素プレポリマー自体(硬化前)の1290〜1320nmの波長範囲または1530〜1570nmの波長範囲または600〜900nmの波長範囲で吸光度係数の最大値が1cm-1以下であることが好ましく、さらには0.5cm-1以下、特には0.1cm-1以下であることが好ましい。さらに屈折率としてndで1.3〜1.7の範囲のものが好ましい。この調整は、構造単位Mの種類、含有率、必要に応じて用いられる構造単位Aの種類を種々決定することによって可能である。これらの調整によって、導波路の形成の際にクラッドの選択が容易となる。
またさらに含フッ素プレポリマーでは、汎用溶剤に可溶であることが好ましく、たとえばケトン系溶剤、酢酸エステル系溶剤、アルコール系溶剤、芳香族系溶剤の少なくとも1種に可溶または上記汎用溶剤を少なくとも1種含む混合溶剤に可溶であることが好ましい。
汎用溶剤に可溶であることは、特に、光導波路を形成するプロセスにおいて3μm程度の薄膜形成が必要な際、成膜性、均質性に優れるため好ましく、光導波路形成における生産性の面でも有利である。
本発明で用いる含フッ素プレポリマー(I)を得るためには、一般には、
〔1〕Y1を有する単量体を予め合成し、重合して得る方法
〔2〕一旦、他の官能基を有する重合体を合成し、その重合体に高分子反応により官能基変換し、官能基Y1を導入する方法
のいずれの方法も採用できる。
本発明のフッ素樹脂組成物におけるもう一方の成分である2次以上の非線形光学効果を示す有機化合物(以下、単に「非線形物質」ともいう)は、樹脂組成物に非線形光学効果を付与する機能を果たすために配合される。
非線形光学効果とは、外部強電界により誘起される原子や分子の分極において、非線形分極が無視できなくなった結果生じる光学効果をいう。例えば、2次の非線形光学効果ではポッケルス効果、パラメトリック発振、第2高調波発生(SHG)等が、また、3次の非線形光学効果ではカー効果、静電誘導SHG、第3高調波発生(THG)、光強度による屈折率の変化などが知られている。2次非線形光学効果は、波長変換(SHG)素子、電気光学変調器等に、3次の非線形光学効果は、波長変換(THG)素子、高速光シャッター光演算、光双安定性素子、光スイッチング等への応用が可能である。
本発明に用いられる非線形物質としては、以下に示される化学構造をもつ有機物があげられる。
〔1〕アニリン誘導体
2−メチル−4−ニトロアリニン(MNA)、4−ニトロアニリン、2−ニトロアニリン、3−ニトロアニリン、2−メチル−4−ニトロアニリン、2−メチル−4−ニトロ−N−メチルアニリン、4−ニトロ−N−シアノメチルアニリン、N,N−ジメチル−4−ニトロアニリン、2,4−ジニトロアニリン、2−クロロ−4−ニトロアニリン、2−ブロモ−4−ニトロアニリン、4−ニトロ−2−(N−アセチル)アミノ−N,N−ジメチルアニリン、4−フルオロニトロアニリン、4−アミノアセトフェノン、N,N’−ジ(4−エチルカルボキシル)フェニル−メチレンジアミン等。これらの化合物はアミノ基を有するため、相溶性、分散性が期待される。また、誘導体も容易に合成可能である。
〔2〕尿素およびエノン誘導体
モノメチルウレア、sym−ジメチルウレア、テトラメチルウレア
Figure 0004265218
これらの化合物は可視領域で透明性の高い点で好ましい。
〔3〕ピリジン誘導体
2−アミノ−5−ニトロピリジン、2−(N−シクロオクチル)アミノ−5−ニトロピリジン、2−〔1−(2−メチロール)ピロリジニル〕−3−ニトロピリジン、2−〔N−(α−メチルベンジル)アミノ〕−5−ニトロピリジン、3−メチル−4−ニトロピリジンN−オキサイド、4−〔((1−メチル−4−(1H)−ピリジニデン)エチリデン)2,5−シクロヘキサジエン−1−オン、4−N,N−ジメチルアミノピリジンN−オキサイド等。
これらの化合物は吸収端が小さい特徴をもち、透明な波長領域が広い化合物であるため好ましい。
〔4〕ニトロベンゼン誘導体
4−〔1−(2−メチロール)ピロリジニル〕−ニトロベンゼン、2−フルオロニトロベンゼン、4−〔N−(2−ヒドロキシエチル)−N−エチルアミノ〕−4’−ニトロアゾベンゼン(DR−1)、4−ニトロアニソール、4−ニトロトルエン、メチル−N−(2,4−ジニトロフェニル)アラニネート、1−(4−ニトロフェニル)−3,5−フェニルピロール、4−N,N−ジメチルアミノ−β−ニトロスチレン等。
これらの化合物は、さまざまな誘導体が容易に合成可能であるため好ましい。
〔5〕シアノ化合物
4−シアノアニリン、4−シアノ−N,N−ジメチルアニリン、4−シアノアニソール、4−シアノトルエン等。
〔6〕共役アルケニルベンゼン誘導体
4−ニトロ−トランス−スチルベン、4−クロロ−トランス−スチルベン、トランス−4−アザスチルベン、4−アミノ−トランス−スチルベン、4−N,N−ジメチルアミノ−トランス−スチルベン、4−アミノ−4’−ニトロ−トランス−スチルベン、4−N,N−ジメチルアミノ−4’−ニトロ−トランス−スチルベン、3−メチル−4−メトキシ−4’−ニトロ−トランス−スチルベン、4−メチル−4’−ニトロ−トランス−スチルベン、4−クロロ−4’−ニトロ−トランス−スチルベン、4−メトキシ−4’−シアノ−トランス−スチルベン、4−N,N−ジメチルアミノ−4’−クロロ−トランス−スチルベン、4−N,N−ジメチルアミノ−4’−アザスチルベンN−オキサイド、2−(2,2−ジシアノビニル)アニソール(DIVA)、4’−ニトロベンジリデン−3−アセトアミノ−4−メトキシアニリン(MNBA)、4−N,N−ジメチルアミノシンナムアルデヒド、4−メトキシシンナムアルデヒド、1−(4−N,N−ジメチルアミノフェニル)−4−ニトロブタ−1,3−ジエン、1−(4−シアノフェニル)−4−(4−N,N−ジメチルアミノフェニル)−ブタ−1,3−ジエン等。
これらの化合物は、大きな2次の非線形光学効果を示すため好ましい。
〔7〕ベンゾチアゾール誘導体5
3−エチル−2−〔2−(4−オキソ−2,5−シクロヘキサジエニリデン)エチリデン〕−2,3−ジヒドロベンゾチアゾール、2−〔6−(4−カルボキシフェニルアミノ)シクロヘキサ−2,4−ジエニリデン〕−3−エチル−2,3−ジヒドロキシベンゾチアゾール等。
〔8〕含N複素環
2−(4−シアノメチレン−シクロヘキサ−2,5−ジエニリジン)イミダゾリジン、2−(4−ジシアノメチレン−シクロヘキサ−2,5−ジエニリジン)イミダゾリジン、1−(4−ニトロフェニル)−3,5−ジメチルピラゾール(DMNP)、N−メチルメロシアニン、N−オクタデシルメロシアニン、
Figure 0004265218
1は水素原子、シアノ基、フェニル基等の複素環基を表わす。R3、R4は水素原子、シアノ基、フェニル基等の複素環基またはR3とR4とが連結して形成する環を構成する原子群を表す。ただし、R1、R3、R4のすべてが水素原子であることはない。R2は水素原子、アルキル基、アシル基を表す。
これらの化合物は吸収端が小さい特徴をもつ。すなわち、透明な波長領域が広い化合物である点で好ましい。
〔9〕電荷移動錯体
テトラメチルテトラチアフルバレン・シアノエトキシカルボニルメチレン結合物等
があげられる
これらの構造に付け加えてつぎの構造をもつ化合物もあげられる。
(1)アントラキノン系化合物:
Figure 0004265218
(2)L−ピログルタミン酸塩類:
Figure 0004265218
1、A2、A3、A4、A5は水素または重水素を示し、Xは水素、重水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属を示し、nは1または2を示す。
これらの化合物は250nmまでの広い波長で透明である点で好ましい。
(3)アミノ酸誘導体:
Figure 0004265218
1は炭素数1から5の直鎖または分岐のアルキル基を示し、R2は炭素数10〜20のアルキル基を示す。
(4)ジベンゾイルメタン誘導体:
Figure 0004265218
1、A2、A3、A4、A5、B1、B2、B3、B4、B5は水素原子、フッ素原子、塩素原子、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ニトロ基、シアノ基、ジシアノエチレン基のいずれかを示す。
これらの化合物は光吸収が短波長領域にあり、透明波長範囲が広い点で好ましい。
(5)ウロカニン酸誘導体:
Figure 0004265218
1は水素、メチル基またはアセチル基を示し、Xは−O−R2または−N(−R4)−R3を示し、R2は水素または炭素数1〜18のアルキル基を、R3、R4は水素または炭素数1〜18のアルキル基を示す。
この化合物は広い透明波長域を有する点で好ましい。
(6)1,3−ベンゾチオール誘導体:
Figure 0004265218
(7)ベンゾイミダゾール誘導体:
Figure 0004265218
Yは−NR3−または−S−を表し、R1、R2およびR3は水素原子、アルキル基またはアリール基を表し、同一でも異なってもよい。
(8)不整炭素原子を有する5−ベンジリデンオキサゾリジン−2,4−ジオン誘導体:
Figure 0004265218
Arは電子供与性基で置換されたフェニル基を表し、Rは不整炭素原子を有するアルキル基を表す。
この化合物は青色透過性に優れる点で好ましい。
(9)ニトロソ基含有化合物:
Figure 0004265218
1〜R7のうちの1つは電子供与基を表す。残りの置換基は水素原子または炭素数1〜18のアルキル基を表す。
この化合物も青色透過性に優れる点で好ましい。
(10)ヒドラジン誘導体:
Figure 0004265218
1は電子供与性置換基または電子吸引性置換基を表し、XはCHまたはN原子を表す。
(11)ヒドラゾン誘導体:
Figure 0004265218
(12)オキサジアゾール誘導体:
Figure 0004265218
1はアミノ基、アミド基、アルキル基、ハロゲン原子、水素原子から選ばれる置換基を、R2はアルキル基または水素原子を表す。
具体例としては、たとえば
Figure 0004265218
等があげられる。
(13)スチルベン誘導体:
Figure 0004265218
Xは塩素、臭素、フッ素、ヨウ素などのハロゲン元素を示す。
(14)複素環化合物:
Figure 0004265218
1はO、S、Se、Te、SO2またはNR1を示す。Z2はNまたはCR2を示す。YはO、SまたはNR3を示す。XはCR45、NR6、OまたはSを示す。R、R1、R2、R3、R4、R5、R6は同一でも異なっていてもよく、非置換もしくは置換基を有する複素環基、芳香族炭化水素基または脂環式炭化水素基またはH原子を示す。なおR4とR5とで炭化水素環または複素環を形成してもよい。
これらの化合物は透明性に優れる点で好ましい。
(15)1,4−ジエン−3−オン誘導体:
Figure 0004265218
(16)シッフ塩基化合物:
Figure 0004265218
Arは置換または無置換の芳香族基を示し、nは0または1の整数を示す。
(17)キノリン系化合物:
Figure 0004265218
1〜Z4のうち1つまたは2つは窒素原子で、それ以外は炭素原子またはCHで表される基を表す。また、XおよびYは−NO2、−CH、−COR1、−SO21などやハロゲン原子から選ばれる電子吸引性基または−R1、−NH2、−OR2(R1、R2は炭素数1〜18のアルキル基)などから選ばれる電子供与性基からなる群から選ばれる置換基であり、同一であっても異なっていてもよい。nは1〜4の整数、mは1〜3の整数を表す。
(18)ジケトン誘導体:
Figure 0004265218
置換基X1〜X4は水素またはハロゲンであり、X5は炭素数1〜18のアルコキシ基またはメルカプトアルコキシ基である。置換基X6〜X10は水素、アミノ基、炭素数1〜12の置換アミノ基、環状アミノ基、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜18のアルコキシ基、炭素数1〜18のメルカプトアルコキシ基、シアノ基、ハロゲンから選ばれた1種であり、お互いに同一でもよく異種でもよい。
(19)ベンザルアセトフロン誘導体:
Figure 0004265218
RはCH3、CH3S、Br、CNまたはNO2を示す。
これらの化合物は安定性が高い。
(20)1−[2−(5−ブロモチエニル)]−3−(4’−置換フェニル)−プロペン−3−オン:
Figure 0004265218
RはOCH3、NH2、NO2、ClまたはBrを示す。
(21)PNA等と別種の化合物との混合組成物:
Figure 0004265218
(22)ジオキシ環含有化合物:
Figure 0004265218
YはArの隣接する位置に置換するエチレンジオキシ基を、Rは水素原子または炭素原子数1〜8の炭化水素基を、Arは炭素数5〜14の芳香族基を、nは0、1または2を表す。このカルボン酸の光学活性アミン塩からなるジオキシ環を含む化合物。
(23)カルボン酸の光学活性アミン塩:
Figure 0004265218
Arは炭素数5〜14の芳香族基、Deはジオキシ基がArの隣接する位置に置換しているメチレンジオキシ基、HcはArの水素原子または置換されていてもよい炭素数1〜8のアルキル基であって、Arの2個以上の水素がアルキル基で置換されているときはそれらのアルキル基は同じでも異なっていてもよい。nは0または1,2の整数である。これらのカルボン酸の光学活性アミン塩からなり、光学活性アミンが光学活性なα−アミノ酸、またはそのカルボキシ基を置換した炭素数1〜20の炭化水素エステル基もしくは炭化水素の1級または2級アミド基を有する光学活性なα−アミノ酸の誘導体である。
(24)縮合多環芳香族化合物:
Figure 0004265218
これらの化合物は高い3次の非線形光学効果を示し、かつ、光、熱に対する耐久性が大きい点で好ましい。
(25)チオフェン環、フラン環含有化合物:
Figure 0004265218
これらの化合物は非常に安定性が高い点で好ましい。
(26)パーフルオロアルキル基含有化合物:
Figure 0004265218
RfはCn2n+1で表されるパーフルオロアルキル基、R1、R2、R3はそれぞれ置換されてもよい脂肪族炭化水素基もしくは置換されてもよい芳香族炭化水素基、R4、R5、R6は水素原子または任意の置換基である。またR1とR2は一体となり環状構造を形成し得る。
これらの化合物は近赤外透明性が高い点で好ましい。
(27)ベンゾチアゾール類誘導体:
Figure 0004265218
(28)ベンゾオキサゾール類誘導体:
Figure 0004265218
(29)スピロエステル誘導体:
Figure 0004265218
1、R2、R3、R4は水素または単素数1〜3のアルキル基を表し、nは0から3の整数である。
(30)ジアミノベンゼン誘導体:
Figure 0004265218
(31)スクエアリリウム誘導体:
Figure 0004265218
これらの化合物は安定性が高く、また高い非線形光学効果を示す点で好ましい。
(32)アントラキノン誘導体:
Figure 0004265218
nは0または正の整数である。
これらの誘導体は2次および3次の非線形効果が高い点で好ましい。
(33)ナフタノレン誘導体:
Figure 0004265218
1〜R7は同一であっても異なってもよく、水素原子、炭素数1〜20の脂肪族、脂環式または芳香族基、アシル基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、アゾ基およびハロゲン原子から選ばれた置換基を表す。
(34)フタロシアニン化合物:
Figure 0004265218
これらの化合物は3次の非線形光学効果が高い点で好ましい。
これら以外にも、2−アミノフルオレン、α−シアノ−o−エトキシケイ皮酸エチル、α−シアノ−o−メトキシケイ皮酸メチル、α−シアノ−p−アセチルアミノケイ皮酸エチル、α−シアノ−p−アセチルアミノケイ皮酸メチル、α−シアノ−p−アセチルアミノケイ皮酸nブチル、1,3ビス(3,4−ジメトキシスチリル)ベンゼン、4−[2−(4−ニトロフェニル)エテニル]ベンズアルデヒド、N−メトキシメチル−4−ニトロアニリン、N−N’−ビス−(4−ニトロフェニル)−メタンジアミン、p−トルエンスルホン酸・1−メチル−4−[2−(4−N,N−ジメチルアミノフェニル)ビニル]ピリジニウム、3,9−ジニトロ−5a,6,11a,12−テトラヒドロ−[1,4]ベンゾオキサジノ[3,2−b][1,4]ベンゾオキサジン、1−ニトロピレン、1,3−ジチエニルプロペノン、4,5−ビス(4−メトキシフェニル)−2−(3−ニトロフェニル)−1H−イミダゾールとベンゼンの包接錯体等があげられる。
これらの中でも、相溶性の観点から、アニリン誘導体、尿素およびエノン誘導体、もしくはヒドロキシル基、アミド基含有化合物が好ましい。非線形光学効果を失わない範囲で、一部、もしくは全てがフッ素置換された上記の化合物の誘導体も相溶性の観点から好ましい。
そのような好ましい化合物の具体例としては、繰り返しになるが、
2−メチル−4−ニトロアリニン((MNA)、4−ニトロアニリン、2−ニトロアニリン、3−ニトロアニリン、2−メチル−4−ニトロアニリン、2−メチル−4−ニトロ−N−メチルアニリン、4−ニトロ−N−シアノメチルアニリン、尿素、4−〔1−(2−メチロール)ピロリジニル〕−ニトロベンゼン、4−〔N−(2−ヒドロキシエチル)−N−エチルアミノ〕−4’−ニトロアゾベンゼン(DR−1)、4−ニトロアニソール、4−シアノアニリン、2−〔6−(4−カルボキシフェニルアミノ)シクロヘキサ−2,4−ジエニリデン〕−3−エチル−2,3−ジヒドロキシベンゾチアゾール、
Figure 0004265218
等があげられる。
非線形物質は上記の有機化合物を単独で、または2種以上を併用した形態で使用してもよい。
非線形物質の使用量の好適な範囲は、前記硬化性含フッ素プレポリマー(I)100重量部に対して0.1〜50重量部、好ましくは0.5〜30重量部である。非線形物質の使用量が0.1重量部より少ないと電気光学効果が小さくなる。また、該非線形物質の含有率が50重量部より大きいと、薄膜化が困難となったり、不透明になるといった問題を生じる。
非線形物質(II)を硬化性含フッ素プレポリマー(I)に含有させる方法には特に制限はない。非線形物質(II)を硬化性含フッ素プレポリマー(I)に溶解または分散させるか、あるいは硬化性含フッ素プレポリマー(I)の主鎖に、またはポリマー主鎖末端にあるいはポリマー側鎖にイオン結合、配位結合、包接によって担持させてもよい。また、共有結合により非線形物質(II)を硬化性含フッ素プレポリマー(I)中に導入してもよい。
たとえば、(1)構造単位Mを与える炭素−炭素二重結合を有する含フッ素モノマーに非線形物質を添加した後、溶融重合法やアニオン重合法等の公知の合成法で硬化性含フッ素プレポリマー(I)を生成せしめる方法、(2)硬化性含フッ素プレポリマー(I)を溶剤に溶解して調製した溶液に非線形物質を添加して混合した後、溶剤を除去する方法、または(3)硬化性含フッ素プレポリマー(I)と非線形物質を溶融混練する方法などがあげられる。これらの方法のうち、方法(2)および(3)の場合、硬化性含フッ素プレポリマー(I)として、構造単位A中に既に例示した−COOH基を有する含フッ素エチレン性単量体から誘導される構造単位を有するものを用い、非線形物質(II)としてたとえばMNA、MNBAなどのアニリン誘導体を用いればイオン結合が形成され、非線形物質(II)の分散性が改善される点から好ましい。
また、方法(4)として、構造単位A中に非線形物質(II)をもつものをあげることができる。非線形物質(II)をもつ構造単位Aとしては、たとえば非線形物質(II)を有する含フッ素エチレン性単量体から誘導される構造単位が例示できる。
かかる構造単位の具体例としては、好ましくは、式(7):
Figure 0004265218
(式中、X50およびX51は同じかまたは異なり、HまたはF;X52はH、F、CH3またはCF3;X53およびX54は同じかまたは異なり、H、FまたはCF3;Rf10は炭素数1〜40の含フッ素アルキル基または炭素数2〜100のエーテル結合を有する含フッ素アルキル基にZ3(Z3は非線形光学物質である)が少なくとも1個以上結合してなる一価の有機基;a2は0〜3の整数;c2は同じかまたは異なり、0または1)で示される含フッ素エチレン性単量体に由来する構造単位が好ましい。
さらに好ましくは、式(8):
Figure 0004265218
(式中、Rf10は炭素数1〜40の含フッ素アルキル基または炭素数2〜100のエーテル結合を有する含フッ素アルキル基にZ3(Z3は非線形光学物質である)が少なくとも1個以上結合してなる一価の有機基)で示される含フッ素エチレン性単量体に由来する構造単位が好ましい。
かかる含フッ素エチレン性単量体の具体例としては、たとえば式:
CH2=CFCF2ORf10
(式中、Rf10は前記と同じ)で示される非線形物質(II)含有含フッ素エチレン性単量体があげられる。具体例としては、たとえば
Figure 0004265218
(式中、Z3は前記と同じ)などの単量体があげられる。
また、式:
CH2=CFORf10
(式中、Rf10は前記と同じ)で示される非線形物質(II)含有含フッ素エチレン性単量体も好ましい。
具体例としては、たとえば
Figure 0004265218
(式中、Z3は前記と同じ)などの単量体があげられる。
さらに、式:
CF2=CFCF2−O−Rf10、CF2=CF−Rf10
CH2=CH−Rf10、CH2=CHO−Rf10
(式中、Rf10は前記と同じ)で示される非線形物質(II)含有含フッ素エチレン性単量体も好ましい。
具体例としては、たとえば
Figure 0004265218
(式中、Z3は前記と同じ)などの単量体があげられる。
前記の(1)〜(4)のいずれの方法の場合も硬化は最終の成形品に加工した後に行なうことが望ましい。
これらの方法のうち、上記(2)および(4)の方法が、硬化性含フッ素プレポリマー中に非線形物質を均一に分散できる点で好適である。方法(2)において特に好適な方法は、上記非線形物質の溶液に硬化性含フッ素プレポリマーを溶解し、得られた均一溶液を昇温して溶媒を留去する方法である。なお、溶媒を留去せず、溶液または分散液の状態の組成物を後述の導波路形成プロセスにおける溶液の原体として使用してもよい。
本発明の第2は、含フッ素プレポリマー(I)と非線形光学物質(II)からなる本発明のフッ素樹脂組成物を硬化してなる非線形光学材料に関する。
この硬化物を得るための好ましい含フッ素プレポリマーの形態、好ましい硬化性フッ素樹脂組成物の形態、および硬化方法については一部上述したが、以下にさらに詳しく述べる。但し、重複する場合もある。
本発明の硬化性フッ素樹脂組成物は、含フッ素プレポリマー(I)と非線形物質(II)だけからも得られるが、さらに活性エネルギー線硬化開始剤(III)である光ラジカル発生剤(III−1)または光酸発生剤(III−2)を加えて光硬化型の組成物の形態としてもよい。
活性エネルギー線硬化開始剤(III)は、たとえば350nm以下の波長領域の電磁波、つまり紫外光線、電子線、X線、γ線などの活性エネルギー線を照射することによって初めてラジカルやカチオン(酸)などを発生し、含フッ素プレポリマー(I)の炭素−炭素二重結合の硬化(架橋反応)を開始させる触媒として働くものであり、通常、紫外光線でラジカルやカチオン(酸)を発生させるもの、特にラジカルを発生するものが好ましく使用できる。
本発明の非線形光学材料用のフッ素樹脂組成物によると、前記活性エネルギー線により容易に硬化反応を開始でき、高温で加熱する必要がなく、比較的低温で硬化反応が可能であるので、耐熱性が低く、熱で変形や分解、着色が起こりやすい基材、たとえば透明樹脂基材などにも適応できる点で好ましい。
本発明の組成物における活性エネルギー線硬化開始剤(III)は、含フッ素プレポリマー(I)中の側鎖の炭素−炭素二重結合の種類(ラジカル反応性か、カチオン(酸)反応性か)、使用する活性エネルギー線の種類(波長域など)と照射強度などによって適宜選択される。
一般に紫外線領域の活性エネルギー線を用いてラジカル反応性の炭素−炭素二重結合を有する含フッ素プレポリマー(I)を硬化させる開始剤(光ラジカル発生剤)としては、たとえばつぎのものが例示できる。
アセトフェノン系:
アセトフェノン、クロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、ヒドロキシアセトフェノン、α−アミノアセトフェノンなど。
ベンゾイン系:
ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタールなど。
ベンゾフェノン系:
ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ヒドロキシ−プロピルベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、ミヒラーケトンなど。
チオオキサンソン類:
チオキサンソン、クロロチオキサンソン、メチルチオキサンソン、ジエチルチオキサンソン、ジメチルチオキサンソンなど。
その他:
ベンジル、α−アシルオキシムエステル、アシルホスフィンオキサイド、グリオキシエステル、3−ケトクマリン、2−エチルアンスラキノン、カンファーキノン、アンスラキノンなど。
また、必要に応じてアミン類、スルホン類、スルフィン類などの光開始助剤を添加してもよい。
また、カチオン(酸)反応性の炭素−炭素二重結合を有する含フッ素プレポリマー(I)を硬化させる開始剤(光酸発生剤)としては、つぎのものが例示できる。
オニウム塩:
ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩、アンモニウム塩、ピリジニウム塩など。
スルホン化合物:
β−ケトエステル、β−スルホニルスルホンとこれらのα−ジアゾ化合物など。
スルホン酸エステル類:
アルキルスルホン酸エステル、ハロアルキルスルホン酸エステル、アリールスルホン酸エステル、イミノスルホネートなど。
その他:
スルホンイミド化合物類、ジアゾメタン化合物類など。
なお、ラジカル反応性の炭素−炭素二重結合としては、たとえば前記式
−O(C=O)CX6=CX78
などで示されるものが、カチオン反応性の炭素−炭素二重結合としては、たとえば前記式:
Figure 0004265218
などのものがあげられる。
本発明の非線形光学材料に用いる光硬化性フッ素樹脂組成物は、前記のとおり、含フッ素プレポリマー(I)と非線形物質(II)(単体だけでなく、そのイオンおよび/または非線形物質を含む化合物も含む)からなり、さらに要すれば、活性エネルギー線硬化開始剤(III)を加えて硬化性含フッ素樹脂組成物を形成し、さらに後述する溶剤を含めた塗工用の含フッ素樹脂組成物塗工液に、これらにさらに必要に応じて硬化剤を添加してもよい。
硬化剤としては、炭素−炭素不飽和結合を1つ以上有しかつラジカルまたは酸で重合できるものが好ましく、具体的にはアクリル系モノマーなどのラジカル重合性の単量体、ビニルエーテル系モノマーなどのカチオン重合性の単量体があげられる。これら単量体は、炭素−炭素二重結合を1つ有する単官能であっても炭素−炭素二重結合を2つ以上有する多官能の単量体であってもよい。
これらの炭素−炭素不飽和結合を有するいわゆる硬化剤は、本発明の組成物中の活性エネルギー線硬化開始剤と光などの活性エネルギー線との反応で生じるラジカルやカチオンで反応し、本発明の組成物中の含フッ素プレポリマー(I)の側鎖のまたは主鎖末端の炭素−炭素二重結合と共重合によって架橋を達成することができるものである。
単官能のアクリル系単量体としては、アクリル酸、アクリル酸エステル類、メタクリル酸、メタクリル酸エステル類、α−フルオロアクリル酸、α−フルオロアクリル酸エステル類、マレイン酸、無水マレイン酸、マレイン酸エステル類のほか、エポキシ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基などを有する(メタ)アクリル酸エステル類などが例示される。
なかでも硬化物の近赤外透明性を高く維持するために、フルオロアルキル基を有するアクリレート系単量体が好ましく、たとえば式:
Figure 0004265218
(XはH、CH3またはF;Rfは炭素数2〜40の含フッ素アルキル基または炭素数2〜100のエーテル結合を有する含フッ素アルキル基)で表わされる化合物が好ましい。
具体的には、
Figure 0004265218
(Xは前記と同じ、n:1〜5)
などがあげられる。
多官能アクリル系単量体としては、ジオール、トリオール、テトラオールなどの多価アルコール類のヒドロキシル基をアクリレート基、メタアクリレート基、α−フルオロアクリレート基に置き換えた化合物が一般的に知られている。
具体的には、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリプロピレングリコール、ネオペチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールなどのそれぞれの多価アルコール類の2個以上のヒドロキシル基がアクリレート基、メタクリレート基、α−フルオロアクリレート基のいずれかに置き換えられた化合物があげられる。
また、含フッ素アルキル基または含フッ素アルキレン基を有する多価アルコールの2個以上のヒドロキシル基をアクリレート基、メタアクリレート基、α−フルオロアクリレート基に置き換えた多官能アクリル系単量体も利用でき、この化合物は特に硬化物の近赤外透明性を高く維持できる点で好ましい。
具体例としては、式:
Figure 0004265218
(Rfは炭素数1〜40の含フッ素アルキル基)、
Figure 0004265218
(Rfは炭素数1〜40の含フッ素アルキル基、RはHまたは炭素数1〜3のアルキル基)、
Figure 0004265218
(Rf’は炭素数1〜40の含フッ素アルキレン基、RはHまたは炭素数1〜3のアルキル基)
で示される含フッ素多価アルコール類の2個以上のヒドロキシル基をアクリレート基、メタアクリレート基またはα−フルオロアクリレート基に置き換えた構造の化合物が好ましくあげられる。
また、これら例示の単官能、多官能アクリル系単量体を硬化剤として本発明の組成物に配合する場合、なかでも特にα−フルオロアクリレート化合物が硬化反応性が良好な点で好ましい。
本発明の非線形光学材料用の硬化性フッ素樹脂組成物において、活性エネルギー線硬化開始剤(III)の添加量は、含フッ素プレポリマー(I)中の炭素−炭素二重結合の含有量、硬化剤の使用の有無や硬化剤の使用量によって、さらには用いる開始剤、活性エネルギー線の種類や、照射エネルギー量(強さと時間など)によって適宜選択される。
硬化剤を使用しない場合では、含フッ素プレポリマー(I)100重量部に対して0.01〜30重量部、さらには0.05〜20重量部、最も好ましくは、0.1〜10重量部である。詳しくは、含フッ素プレポリマー(I)中に含まれる炭素−炭素二重結合の含有量(モル数)に対し、0.05〜50モル%、好ましくは0.1〜20モル%、最も好ましくは、0.5〜10モル%である。
硬化剤を使用する場合は、含フッ素プレポリマー(I)中に含まれる炭素−炭素二重結合の含有量(モル数)と硬化剤の炭素−炭素不飽和結合のモル数の合計モル数に対して0.05〜50モル%、好ましくは0.1〜20モル%、最も好ましくは0.5〜10モル%である。
本発明の組成物には、前述の化合物のほかに、必要に応じて種々の添加剤を配合してもよい。
そうした添加剤としては、たとえばレベリング剤、粘度調整剤、光安定剤、水分吸収剤、顔料、染料、補強剤などがあげられる。
本発明の非線形光学材料に用いる硬化性フッ素樹脂組成物は、後述するように、溶剤に溶解または分散させて光増幅用の各種部材の製造に供される。
ここで溶液の調製に使用する溶剤は、含フッ素プレポリマー(I)、非線形物質(II)、活性エネルギー線硬化開始剤(III)、および必要に応じて添加する硬化剤、レベリング剤、光安定剤などの添加剤が均一に溶解または分散するものであれば特に制限はないが、特に含フッ素プレポリマー(I)を均一に溶解するものが好ましい。
かかる溶剤としては、たとえばメチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテートなどのセロソルブ系溶剤;ジエチルオキサレート、ピルビン酸エチル、エチル−2−ヒドロキシブチレート、エチルアセトアセテート、酢酸ブチル、酢酸アミル、酪酸エチル、酪酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、2−ヒドロキシイソ酪酸エチルなどのエステル系溶剤;プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールジメチルエーテルなどのプロピレングリコール系溶剤;2−ヘキサノン、シクロヘキサノン、メチルアミノケトン、2−ヘプタノンなどのケトン系溶剤;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノールなどのアルコール系溶剤;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類あるいはこれらの2種以上の混合溶剤などがあげられる。
またさらに、含フッ素プレポリマー(I)の溶解性を向上させるために、必要に応じてフッ素系の溶剤を用いてもよい。
フッ素系の溶剤としては、たとえばCH3CCl2F(HCFC−141b)、CF3CF2CHCl2/CClF2CF2CHClF混合物(HCFC−225)、パーフルオロヘキサン、パーフルオロ(2−ブチルテトラヒドロフラン)、メトキシ−ノナフルオロブタン、1,3−ビストリフルオロメチルベンゼンなどのほか、
Figure 0004265218
などのフッ素系アルコール類;
ベンゾトリフルオライド、パーフルオロベンゼン、パーフルオロ(トリブチルアミン)、ClCF2CFClCF2CFCl2などがあげられる。
これらフッ素系溶剤は単独でも、またフッ素系溶剤同士、非フッ素系とフッ素系の1種以上との混合溶剤として用いてもよい。
これらのなかでもケトン系溶剤、酢酸エステル系溶剤、アルコール系溶剤、芳香族系溶剤などが、塗装性、塗布の生産性などが向上する面で好ましいものである。
本発明のフッ素樹脂組成物は、光硬化させることによって硬化物となり、非線形導波路型素子などの非線形光学型素子の一部を構成する。
この硬化物は、600〜900nmの波長範囲、1290〜1320nmの波長範囲および/または1530〜1570nmの波長範囲での吸光度係数の最大値が1cm-1以下のものである。
本発明者らは、前述の含フッ素プレポリマー(I)と非線形光学物質(II)からなるフッ素樹脂組成物を上記方法で硬化することによって、
(1)機械的特性、熱的安定性に優れること、
(2)高温でも非線形光学硬化を維持できること
などの優れた特徴を兼ね備えることを見出し、さらに透明性、特に近紫外線領域での透明性に優れる非線形光学材料を提供することを可能にした。
本発明の第3は非線形光学効果を示す部位が側鎖に結合してなるフッ素ポリマーに関し、それを用いることを特徴とする含フッ素非線形光学材料に関する。
非線形光学効果を示す部位が側鎖に有する含フッ素ポリマー(III)は、式(2):
−(M’)−(A1)− (2)
[式中、構造単位M’は式(M’):
Figure 0004265218
(式中、X50およびX51は同じかまたは異なり、HまたはF;X52はH、F、CH3またはCF3;X53およびX54は同じかまたは異なり、H、FまたはCF3;Rf’は炭素数1〜40の含フッ素アルキル基または炭素数2〜100のエーテル結合を有する含フッ素アルキル基にP(Pは非線形光学効果を示す有機基からなる部位)が少なくとも1個以上結合してなる一価の有機基;a2は0〜3の整数;b2およびc2は同じかまたは異なり、0または1)で示される含フッ素エチレン性単量体に由来する構造単位、構造単位A1は該式(M’)で示される含フッ素エチレン性単量体と共重合可能な単量体に由来する構造単位である]で示され、構造単位M’を0.1〜100モル%および構造単位Aを0〜99.9モル%含む数平均分子量500〜1000000の含フッ素ポリマーである。
つまり、ポリマー側鎖に含フッ素アルキレン基またはエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基を介して、非線形光学効果を示す有機基が結合した含フッ素エチレン性単量体のホモポリマーまたはその構造単位M’を必須成分として有する共重合体である。
非線形光学効果を示す有機基からなる部位PはRf’中に少なくとも1つ結合していればよく、2個以上結合していても良い。
またPは側鎖Rf’構造中のどの位置に結合していても良く、例えば側鎖の末端に位置していても良く、また側鎖の途中に含まれる形で位置し側鎖構造の一部を形成していても良い。更に、側鎖構造の途中から分岐状に結合していても良い。なかでも側鎖末端に位置するものが、配向させるおり、より低電圧で容易に配向させることができ好ましい。
本発明の非線形光学効果を示す有機基からなる部位Pを有する含フッ素構造単位を有する含フッ素ポリマーによると、
(1)非線形光学効果を有する成分が均一に分散し、どの位置も均質な非線形光学効果を与えることができる
(2)非線形光学効果を有する成分を結晶化させなくとも配向させることができる。
(3)薄膜で加工できる。
(4)複屈折の発生を抑制できる
などの効果を有するものであり、本発明者らは非線形光学効果する成分をフッ素を含む側鎖中に結合により導入することで、これら(1)〜(4)の効果と透明性、特に近赤外領域での透明性が両立できることを見出したものである。
非線形光学効果を示す有機基からなる部位Pはπ電子共役性の有機基からなる部位であって、当該π電子共役性の有機基に電子供与基および/または電子受容基が結合しているものである。
ここでπ電子共役性の有機基としては環状化合物であることが好ましく、具体的にはベンゼン環、ピリミジン環、オキサゾール環、フラン環、チアゾール環、チアジアゾール環、オキサチアゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾオキサチアゾール環、ナフタレン環、アントラセン環、イソキノリン環等の芳香族化合物あるいはそれらのフッ素置換体が挙げられる。これらのうちで特に好ましい構成体は、ベンゼン環、チアゾール環、チアジアゾール環、ベンゾチアゾール環、ナフタレン環等が挙げられる。
電子供与基の具体例としては、アルキル基、フェノール基、アルキルエーテル基、チオフェノール基、アルキルチオエーテル基、アミノ基、アルキルアミン基、ジアルキルアミン基、シクロアルキルアミン基、シクロアルキレンアミン基あるいはそれらの基のアルキル基末端に水酸基、チオール基、アミノ基が置換した誘導体等が挙げられる。
電子受容基としての具体例としては、パーフルオロアルキル基、ペンタフルオロフェニル基、ニトロ基、シアノ基、ジシアノビニル基、トリシアノビニル基等があげられる。
非線形光学効果を示す有機基からなる部位Pは具体的には、前述の2次以上の非線形光学効果を有する有機物質(II)の具体例と同様なものが好ましく挙げられ、これらそれぞれの非線形物質のいずれかの原子がポリマー側鎖の構造中に結合し、本発明の含フッ素ポリマーを形成するものである。
本発明の非線形光学材料における非線形光学効果を示す有機基PはRf’基中に共有結合、イオン結合または配位結合により存在することができ、特に好ましくは共有結合により存在することが、安定性、耐熱性、耐水性などの点で好ましい。また、前述のZ3と同様なものがあげられる。
共有結合の形態としては具体的には炭素−炭素結合、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合、カーボネート結合、アミノ結合、などの結合が具体的に好ましく挙げられる。
なかでも炭素−炭素結合、エーテル結合、エステル結合、アミド結合が安定性、耐熱性の点で好ましい。
本発明の非線形光学効果を示す部位が側鎖に結合してなるフッ素ポリマー(III)において、構造単位M’に含まれる−Rf’−は、炭素数1〜40の含フッ素アルキレン基または炭素数2〜100のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基である。このRf’基は含まれる炭素原子にフッ素原子が結合していればよく、一般に、炭素原子にフッ素原子と水素原子または塩素原子が結合した含フッ素アルキレン基、エーテル結合を有する含フッ素アルキレン基であるが、フッ素原子をより多く含有する(フッ素含有率が高い)ものが好ましく、より好ましくはパーフルオロアルキレン基またはエーテル結合を有するパーフルオロアルキレン基である。含フッ素プレポリマー(I)中のフッ素含有量率は25重量%以上、好ましくは40重量%以上である。これらによって、含フッ素プレポリマー(I)の近赤外透明性を高くすることが可能となり、特に硬化物の耐熱性や弾性率を高くする目的で硬化度(架橋密度)を高くしても近赤外透明性を高く維持できるため好ましい。
−Rf’−基の炭素数は大きすぎると、含フッ素アルキレン基の場合は溶剤への溶解性を低下させたり透明性が低下することがあり、またエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基の場合はポリマー自身、機械特性を低下させることがあるため好ましくない。含フッ素アルキレン基の炭素数は、好ましくは1〜20、より好ましくは1〜10である。エーテル結合を有する含フッ素アルキレン基の炭素数は、好ましくは2〜30、より好ましくは2〜20である。
−Rf’−の好ましい具体例としては構造単位Mに含まれる−Rf−の例示と同様なものが好ましく挙げられる。
式(2)の非線形光学効果を示す部位を側鎖に有する含フッ素ポリマー(III)における構造単位(M’)は、なかでも式(M’−1):
Figure 0004265218
(式中、X50およびX51は同じかまたは異なり、HまたはF;X52はH、F、CH3またはCF3;X53およびX54は同じかまたは異なり、H、FまたはCF3;Rf’は炭素数1〜40の含フッ素アルキル基または炭素数2〜100のエーテル結合を有する含フッ素アルキル基にP(Pは非線形光学効果を示す有機基からなる部位)が少なくとも1個以上結合してなる一価の有機基;a2は0〜3の整数;c2は同じかまたは異なり、0または1)で示される含フッ素エチレン性単量体に由来する構造単位M’−1が好ましい。
さらに構造単位M’−1の好ましくは式(M’−2):
Figure 0004265218
(式中、Rf’は炭素数1〜40の含フッ素アルキル基または炭素数2〜100のエーテル結合を有する含フッ素アルキル基にP(Pは非線形光学効果を示す有機基からなる部位)が少なくとも1個以上結合してなる一価の有機基)で示される含フッ素エチレン性単量体に由来する構造単位M’−2が好ましい。
具体例としては例えば、
Figure 0004265218
(式中、Pは前記と同じ)
で示される単量体に由来する構造単位が好ましく挙げられる。
さらに構造単位M’−1は、式(M’−3):
Figure 0004265218
(式中、Rf’は炭素数1〜40の含フッ素アルキル基または炭素数2〜100のエーテル結合を有する含フッ素アルキル基にP(Pは非線形光学効果を示す有機基からなる部位)が少なくとも1個以上結合してなる一価の有機基)で示される含フッ素エチレン性単量体に由来する構造単位M’−3が好ましい。
具体例としては例えば、
Figure 0004265218
(式中、Pは前記と同じ)
で示される単量体に由来する構造単位が好ましく挙げられる。
その他、式:
CF2=CFCF2−O−Rf’、CF2=CF−Rf’、
CH2=CH−Rf’、CH2=CH−O−Rf’
(式中、Rf’は前記と同じ)
で示される含フッ素エチレン性単量体由来の構造単位も好ましい。
具体例としては、たとえば
Figure 0004265218
(式中、Pは前記と同じ)
などの単量体由来の構造単位が好ましくあげられる。
本発明の非線形光学効果を示す部位が側鎖に結合してなるフッ素ポリマーにおいて構造単位A1は任意成分であり、M’、M’−1、M’−2またはM’−3と共重合し得る単量体であれば特に限定されず、用途、要求特性などに応じて適宜選択すれば良い。
構造単位A1としては、前述の式(1)の含フッ素プレポリマー(I)の任意成分である構造単位Aの具体例〔1〕〜〔5〕と同様のものが具体的に好ましく挙げられる。
本発明の非線形光学効果を示す部位が側鎖に結合してなるフッ素ポリマーにおいて構造単位M’(M’−1、M’−2またはM’−3)と構造単位A1の組合せや組成比率は、構造単位M’と構造単位A1の組合せが非晶性となり得る組合せの範囲を選択するのが好ましく、上記の例示から、目的とする用途、物性(特にガラス転移温度、硬度など)、機能(透明性、近赤外透明性)などによって種々選択できる。
非線形光学部位を有するフッ素ポリマーは、構造単位M’(M’−1、M’−2またはM’−3)を必須成分として含むものであり、構造単位M’自体で近赤外透明性を高く維持し、透明性を付与する機能と直接または配向処理により非線形光学効果を付与できる機能を併せもつという特徴を有している。したがって本発明の非線形光学部位を有するフッ素ポリマーは、構造単位M’を多く含む組成、極端には構造単位Mのみ(100モル%)からなる重合体であっても近赤外透明性を高く維持できる。
またさらに構造単位M’と構造単位A1とからなる共重合体の場合、構造単位A1を前述の例示から選択することによって、さらに高硬度(高ガラス転移温度)や近赤外透明性の高い硬化物を与えるポリマーとすることができる。
構造単位M’と構造単位A1との共重合体の場合、構造単位M’の含有比率は、非線形光学部位を有するフッ素ポリマーを構成する全単量体に対し0.1モル%以上であればよいが、非線形光学効果を得るためには2.0モル%以上、好ましくは5モル%以上、より好ましくは10モル%以上とすることが好ましい。
本発明で用いる非線形光学部位を有するフッ素ポリマーは、構成単位M’の比率を増やしても(硬化部位を増やしても)透明性は低下しないため、特に近赤外領域における非線形光学材料用途において好ましい特性を有している。
本発明で用いる非線形光学部位を有するフッ素ポリマーは、光通信に用いられる光機能素子用の非線形光学材料として用いる場合等は高い透明性が必要とされ、構造単位M’と構造単位A1の組合せが非晶性となり得る組合せと組成を有することが重要である。
ここで、非晶性とはDSC分析において、昇温速度10℃/minの条件で測定した際に実質的に融解に基づく吸熱ピークが観測されないか、もしくは融解熱量が1J/g以下である性質を示す。
本発明で用いる非線形光学部位を有するフッ素ポリマーのフッ素含有率は25重量%以上が好ましい。
フッ素含有率が低いと、近赤外での透明性が低下する。また、フッ素含有率が低いと吸水性も高くなり、光学材料としては実質的には使用できなくなる。非線形光学材料用途としては、最も好ましくはフッ素含有率は40重量%以上である。
本発明で用いる非線形光学部位を有するフッ素ポリマーは特定の通信帯域(1290〜1320nmおよび/もしくは1530〜1570nmおよび/もしくは600〜900nm)における吸光度係数の最大値は1cm-1以下のものが好ましい。これより高い吸光度係数を示すものは光通信に用いる非線形光学材料としては適さない。
本発明で用いる非線形光学部位を有するフッ素ポリマーの分子量は、たとえば数平均分子量において500〜1000000の範囲から選択できるが、好ましくは1000〜500000、特に2000〜200000の範囲から選ばれるものが好ましい。
分子量が低すぎると、硬化後であっても機械的物性が不充分となりやすく、分子量が高すぎると、溶剤溶解性が悪くなったり、特に薄膜形成時に成膜性やレベリング性が悪くなりやすい。光導波路用途としては、最も好ましくは数平均分子量が5000から100000の範囲から選ばれるものである。
本発明で用いる非線形光学部位を有するフッ素ポリマーは、その含フッ素プレポリマー自体(硬化前)の1290〜1320nmの波長範囲または1530〜1570nmの波長範囲または600〜900nmの波長範囲で吸光度係数の最大値が1cm-1以下であることが好ましく、さらには0.5cm-1以下、特には0.1cm-1以下であることが好ましい。さらに屈折率としてndで1.3〜1.7の範囲のものが好ましい。この調整は、構造単位M’の種類、含有率、必要に応じて用いられる構造単位A1の種類を種々決定することによって可能である。これらの調整によって、導波路の形成の際にクラッドの選択が容易となる。
またさらに非線形光学部位を有するフッ素ポリマーは汎用溶剤に可溶であることが好ましく、たとえばケトン系溶剤、酢酸エステル系溶剤、アルコール系溶剤、芳香族系溶剤の少なくとも1種に可溶または上記汎用溶剤を少なくとも1種含む混合溶剤に可溶であることが好ましい。
汎用溶剤に可溶であることは、特に、光導波路を形成するプロセスにおいて3μm程度の薄膜形成が必要な際、成膜性、均質性に優れるため好ましく、光導波路形成における生産性の面でも有利である。
本発明で用いる非線形光学部位を有するフッ素ポリマー(III)を得るためには、一般には、
〔1〕Pを有する単量体を予め合成し、重合して得る方法、
〔2〕一旦、他の官能基を有する重合体を合成し、その重合体に高分子反応により官能基変換して官能基Pを導入する方法
のいずれの方法も採用できる。
これら本発明の非線形光学部位を有するフッ素ポリマーは、これを前述で示した含フッ素樹脂組成物の2次以上の非線形光学効果を示す有機化合物(II)として用い、硬化部位を有する含フッ素プレポリマー(I)とブレンドして用いてもよい。
それによって、より一層透明性が高く、かつ非線形光学効果の安定性、熱安定性に優れた非線形光学材料を得ることができる。
またさらに、前述の方法でフッ素樹脂組成物を硬化した硬化物も当然良好な非線形光学材料となる。
本発明の第4は炭素−炭素二重結合と非線形光学効果を示す部位の両方を同時に含有する含フッ素ポリマーに関し、それを用いることを特徴とする含フッ素非線形光学材料に関する。
炭素−炭素二重結合と非線形光学効果を示す部位の両方を含有する含フッ素ポリマー(IV)は、式(3):
−(M)−(M’)−(A2)− (3)
[式中、構造単位Mは式(M):
Figure 0004265218
(式中、X1およびX2は同じかまたは異なり、HまたはF;X3はH、F、CH3またはCF3;X4およびX5は同じかまたは異なり、H、FまたはCF3;Rfは炭素数1〜40の含フッ素アルキル基または炭素数2〜100のエーテル結合を有する含フッ素アルキル基にY1(Y1は末端にエチレン性炭素−炭素二重結合を有する炭素数2〜10の1価の有機基)が1〜3個結合している有機基;aは0〜3の整数;bおよびcは同じかまたは異なり、0または1)で示される含フッ素エチレン性単量体に由来する構造単位;
構造単位M’は式(M’):
Figure 0004265218
(式中、X50およびX51は同じかまたは異なり、HまたはF;X52はH、F、CH3またはCF3;X53およびX54は同じかまたは異なり、H、FまたはCF3;Rf’は炭素数1〜40の含フッ素アルキル基または炭素数2〜100のエーテル結合を有する含フッ素アルキル基にP(Pは非線形光学効果を示す有機基からなる部位)が少なくとも1個以上結合してなる一価の有機基;a2は0〜3の整数;b2およびc2は同じかまたは異なり、0または1)で示される含フッ素エチレン性単量体に由来する構造単位;
構造単位A2は該式(M)、(M’)で示される含フッ素エチレン性単量体と共重合可能な単量体に由来する構造単位である]で示され、構造単位Mを0.1〜99.9モル%、構造単位M’を0.1〜99.9モル%および構造単位A2を0〜99.8モル%含む数平均分子量500〜1000000の含フッ素ポリマーである。
これらの含フッ素ポリマー(IV)は構造単位M’における非線形光学効果と構造単位Mの硬化による機械的特性、非線形光学効果自体の熱安定性の向上効果とを併せもった機能を有する点で好ましいものである。
つまり本発明者らは、硬化部位を有する構造単位Mと非線形光学部位を有する構造単位M’を同時に導入することで、
(1)均質な非線形光学効果を有すること、
(2)機械的特性、熱安定性に優れること、
(3)高温でも非線形光学効果を維持できること
などの優れた特徴を兼ね備えることを見出し、さらに透明性、特に近紫外領域の透明性に優れる非線形光学材料を提供することを可能にした。
含フッ素ポリマー(IV)における構造単位M、M’は前述のものが同様に好ましく挙げられ、任意成分である構造単位A2は前述の構造単位Aと同様のものが好ましく挙げられる。
フッ素ポリマー(IV)を得るためには、一般には、
〔1〕Pを有する単量体とY1を有する単量体をそれぞれ予め合成し、共重合して得る方法、
〔2〕一旦、Y1と要すれば他の官能基を有する重合体を合成し、その重合体に高分子反応により部分的に官能基Pを導入する方法
のいずれの方法も採用できる。
本発明の含フッ素プレポリマー(I)と非線形光学物質(II)からなるフッ素樹脂組成物やその硬化物、あるいは本発明の非線形光学部位を有するフッ素ポリマー(III)または(IV)、またはその硬化物に対し、非線形光学効果をより高めるために、ポーリング処理を行なってもかまわない。
ポーリング処理とは、フッ素樹脂組成物中の非線形光学物質またはフッ素ポリマー中の非線形光学効果を示す部位に電場をかけることで配向させ、分子分極の方向を一方向に揃えるために行なうものである。この処理により、各分子の分極がお互いに打ち消し合わなくなり、さらに大きな非線形光学効果が得られる点で好ましい処理方法である。
通常、ポーリング処理は、該フッ素樹脂組成物中のマトリックスを形成する含フッ素ポリマー(または非線形光学材料自体)のガラス転移点以上の温度で直流電場をかけることにより行なわれる。
ポーリング電圧の印加方法としては、たとえば、
〔1〕細い金属ワイヤー電極または金属板電極と該被線形光学材料(たとえば薄膜状のもの)の間に高電圧を印加し、そのコロナ放電を用いるコロナポーリング法、
〔2〕2つの電極間に該非線形光学材料(たとえば薄膜状のもの)を挟み、高電圧を印加するコンタクトポーリング法
といった手法を用いることができる。好ましくは、操作が容易で、その薄膜へのダメージが小さく、均一性のよいコンタクトポーリング法が好ましい。
本発明において硬化部位を有するフッ素ポリマーにおいては、ポーリング処理による配向形成やそれによって得られた方向の安定性をより一層効率的に得るために、以下の工程で処理する方法が好ましい。
〔1〕含フッ素プレポリマー(I)からなる組成物を用いて被膜形成する工程、
〔2〕その被膜を上記方法でポーリング処理を施す工程、
〔3〕ポーリング処理後の被膜を前述の方法などで硬化する工程。
上記一連の工程では、ポーリング処理後すみやかに硬化処理を行なうことが望ましく、それによって一旦配向させた非線形光学物質(またはフッ素ポリマー中の非線形光学部位)が配向緩和により非線形光学効果を消失させてしまう問題を解消することができる。
つまり、含フッ素プレポリマー(I)のガラス転移点以上に加熱を行ないながら、たとえば紫外線照射などによる硬化反応を同時に行なうことがより好ましい方法である。
本発明の第5は、以上に説明した含フッ素プレポリマー(I)と非線形光学物質(II)からなるフッ素樹脂組成物やその硬化物、あるいは本発明の非線形光学部位を有するフッ素ポリマー(III)または(IV)、またはそれらの硬化物(これら本発明の非線形光学効果を有するものを総称して「含フッ素非線形光学材料」という)を使用した光導波路型素子に関する。
最初に、本発明の含フッ素非線形光学材料を用いて作成された光導波路型素子について説明する。本発明の含フッ素非線形光学材料を平板状の基板表面に被覆し薄膜を形成して非線形光学層とし、そのまま、あるいはこれに上記非線形光学層よりも高屈折率の素材よりなる光導波路チャネルを形成して、本発明の光導波路型素子が作製される。上記非線形光学層は、光が素子中を伝搬する際に非線形光学効果を生じさせる層である。
また、本発明の光導波路型素子は、基板表面にまず溝状の光導波路を形成し、その導波路内に薄膜状の非線形光学層を形成する方法によっても作製できる。
上記光導波路型素子の基板の素材例としては、石英、耐熱性石英ガラス、グラファイト、シリコン、二硫化モリブデン、塩化ナトリウム、塩化カリウム等が主に使用される。基板の厚さは特に限定されないが、0.1mm以上が好ましい。特に基板の厚さが0.1mmより小さいと、基板の平面性と望ましい強度が得られないという問題が生じる。
上記非線形光学層の膜厚は、基板の屈折率、非線形光学層の屈折率、非線形光学層の非線形感受率等により異なるが、一般に、0.1〜5μmが適切である。非線形光学層の膜厚が0.1μmより薄いと、充分な非線形光学効果が得られにくくなり、一方、非線形光学層の膜厚が5μmより厚いと、導波光の制御が困難になる。特に好ましくは、0.3〜2μmの膜厚が推奨される。
本発明の含フッ素非線形光学材料を基板上で製膜する方法としては、スピンコート法、キャスト法、ディップコート法、溶融プレス法、蒸着法、LB膜法、エピタキシャル法等の公知の技術を用いることができる。このうち、スピンコート法が特に好ましい。スピンコート法、キャスト法、ディップコート法で製膜する場合には、硬化前の含フッ素非線形光学材料または硬化部位を含まない含フッ素非線形光学材料を前述のメチルエチルケトン等の有機溶媒に溶解して、この溶液を基板上に塗布すればよい。必要に応じて前述の方法と同様な硬化処理を行なってもよい。
光導波路型素子は、非線形光学層の薄膜にそのまま光を伝搬させる平板導波路と非線形光学層よりわずか屈折率の大きな素材にてチャネル状の導波路を設けて光をそのチャネル路内に導くチャネル型導波路素子が広く普及している。チャネル型導波路素子の場合、さらに導波路チャネル材が基板材と同質のものすなわち基板に溝状に導波路を穿ったものと別種のものとがある。後者の場合、その導波路チャネル材の例としては、ポリカーボネート、ポリメチルメタアクリレート等の透明樹脂、ガラス、As23、As25、ZnO、LiTaO3、Nb25、Ta25、Si34等があげられる。このうち、ガラス、ポリメチルメタアクリレート、ZnOが特に好ましい。もちろん、導波路チャネル材として非線形物質を含有していない含フッ素プレポリマー(I)をそのまま使用して硬化させたものであってもよい。
本発明の光導波路型素子の導波路形状は、スラブ型、チャネル型、ボール型等の形状のものが採用できる。
上記の導波路の断面形状および長さは、導波路の伝搬損失および屈折率に依存するため特に限定されないが、スラブ型の場合には、導波路層の厚さは0.05〜3μmが適切であり、長さは1〜30mmのものがよく使用される。チャネル型の場合には、チャネル間の距離は、2〜30μmが適切である。
スラブ型導波路を作製するには、スピンコート法、蒸着法、スパッタリング法、CVD法、イオン交換法、イオン注入法、エピタキシャル法等を用いることができる。また、チャネル型導波路を作製するには、イオン交換法、フォトリソグラフィー法、エッチング法、スパッタリング法、イオン注入法、エピタキシャル法を用いることができる。好ましくは、エッチング法、イオン交換法、フォトリソグラフィー法等の方法を好適に使用することができる。
本発明の光導波路型素子には、必要に応じて適宜、非線形光学層の上下に電極を設けることができる。電極としては、種々の導電体があげられるが、素材としては、ITO、金、銀、クロム、アルミニウム等が好適に使用される。本発明の非線形光導波路素子は、直線型素子、Y分岐型素子、方向性結合型素子、マッハツェンダー干渉型光素子、ファブリペロー共振器型素子、分極反転型SHG素子の種々の用途の素子に用いることができる。
本発明の素子において、非線形光学層に導波光を励振させる場合には、端面結合法、プリズム結合法、グレーティング結合法、ホログラフィク結合法、テーパ結合法等を用いることができる。
以下に実施例をあげて本発明を説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
合成例1(OH基を有する含フッ素アリルエーテルのホモポリマーの合成)
撹拌装置、温度計を備えた100mlのガラス製四ツ口フラスコに、パーフルオロ−(1,1,9,9−テトラハイドロ−2,5−ビストリフルオロメチル−3,6−ジオキサノネノール)
Figure 0004265218
を20.4gと
Figure 0004265218
の8.0重量%パーフルオロヘキサン溶液を21.2g入れ、充分に窒素置換を行なったのち、窒素気流下20℃で24時間撹拌を行なったところ、高粘度の固体が生成した。
得られた固体をジエチルエーテルに溶解させたものをパーフルオロヘキサンに注ぎ、分離、真空乾燥させ、無色透明な重合体17.6gを得た。
この重合体を19F−NMR、1H−NMR分析、IR分析により分析したところ、上記含フッ素アリルエーテルの構造単位のみからなり側鎖末端にヒドロキシル基を有する含フッ素重合体であった。また、テトラヒドロフラン(THF)を溶媒に用いるGPC分析により測定した数平均分子量は9000、重量平均分子量は22000であった。
合成例2(OH基を有する含フッ素アリルエーテルのコポリマーの合成)
撹拌装置、温度計を備えた100mlのガラス製四ツ口フラスコに、パーフルオロ−(1,1,9,9−テトラハイドロ−2,5−ビストリフルオロメチル−3,6−ジオキサノネノール)
Figure 0004265218
を9.6gと9H,9H−パーフルオロ−2,5−ジメチル−3,6−ジオキサ−8−ノネノイック酸メチル
Figure 0004265218
を9.6g入れ、よく攪拌し、
Figure 0004265218
の8.0重量%パーフルオロヘキサン溶液を2.0g入れ、充分に窒素置換を行なったのち、窒素気流下20℃で20時間撹拌を行なったところ、高粘度の固体が生成した。
得られた固体をアセトンに溶解させたものを、HCFC225/n−ヘキサン=1/1溶液に注ぎ、分離、真空乾燥させ、無色透明な重合体15.5gを得た。
この重合体を19F−NMR、1H−NMR分析、IR分析により分析したところ、上記のヒドロキシル基を持つ含フッ素アリルエーテルと、メチルエステル構造を持つ含フッ素アリルエーテルの構造単位からなる含フッ素重合体であった。
その組成比はNMRより42:58(モル比)と求められた。
また、テトラヒドロフラン(THF)を溶媒に用いるGPC分析により測定した数平均分子量は7200、重量平均分子量は11000であった。
合成例3(α−フルオロアクリロイル基を有する含フッ素硬化性ポリマーの合成)
環流冷却器、温度計、撹拌装置、滴下漏斗を備えた200ml四ツ口フラスコに、ジエチルエーテル80ml、合成例1で得たヒドロキシル基含有含フッ素アリルエーテルの単独重合体5.0gと、ピリジン1.0gを仕込み5℃以下に氷冷した。
窒素気流下、撹拌を行ないながら、さらにα−フルオロアクリル酸フルオライド:CH2=CFCOFの1.0gをジエチルエーテル20mlに溶解したものを約30分間かけて滴下した。
滴下終了後、室温まで温度を上げさらに4.0時間撹拌を継続した。
反応後のエーテル溶液を分液漏斗に入れ、水洗、2%塩酸水洗浄、5%NaCl水洗浄、さらに水洗をくり返したのち、無水硫酸マグネシウムで乾燥しついでエーテル溶液を濾過により分離した。
このエーテル溶液を19F−NMR分析により調べたところ、転化率がほぼ100%であった。
NaCl板に塗布し、室温にてキャスト膜としたものをIR分析したところ、炭素−炭素二重結合の吸収が1661cm-1に、C=O基の吸収が1770cm-1に観測された。
合成例4(α−フルオロアクリロイル基を有する含フッ素硬化性ポリマーの合成)
合成例2で得たヒドロキシル基含有含フッ素アリルエーテルの共重合体を用い、合成例3と同様にして、含フッ素硬化性ポリマー(エーテル溶液)を合成した。
19F−NMRにより転化率がほぼ100%であった。
IR分析において、炭素−炭素二重結合とC=O基の吸収がいずれも合成例3と同様の位置に確認された。
参考例1〜2(硬化物の物性)
(1)含フッ素樹脂組成物の調製
合成例3(参考例1)および、合成例4(参考例2)で得たα−フルオロアクリロイル基を有する含フッ素ポリマー(エーテル溶液)にメチルエチルケトン(MEK)を加えたのち、エーテルをエヴァポレーターにより留去し、ポリマー濃度50重量%に調整した。
得られたポリマー溶液10gに活性エネルギー線硬化開始剤として2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノンを0.1g加えた。
(2)含フッ素硬化性ポリマーの屈折率の測定
含フッ素硬化性ポリマーの8%MEK溶液(前述の(1)において硬化触媒を添加する前のポリマー溶液)をアプリケータ−を用いPETフィルム上に乾燥後膜厚が約100μmとなるように塗布し、50℃で10分間真空乾燥後、PETフィルムから得られたキャスト膜を剥離、アッベ屈折計を用いて25℃で550nmの波長の光について屈折率を測定した。結果を表1に示す。
(3)硬化膜の屈折率の測定
(1)で作製した組成物をアルミ箔上にアプリケーターを用いて膜厚が約100μmとなるように塗布し、50℃で10分間真空乾燥した。乾燥後の被膜に高圧水銀灯を用い、室温にて1000mJ/cm2Uの強度で紫外線を照射したのち、アルミ箔を希塩酸で溶かし、サンプルフィルムとした。得られた硬化膜を上記(2)と同様にして屈折率を測定した。
(4)光透過率の測定
(1)で作製した組成物をアルミ箔上にアプリケーターを用いて膜厚が約1mmとなるように塗布し、50℃で10分間真空乾燥した。乾燥後の被膜に高圧水銀灯を用い、室温にて1000mJ/cm2Uの強度で紫外線を照射したのち、アルミ箔を希塩酸で溶かし、サンプルフィルムとした。得られた硬化膜の光吸収を日立製作所製分光光度計 U3410によって測定した。波長650nm、1310nmと1550nmの結果を表1に示す。
(5)溶剤溶解性の測定
光照射の前後で溶剤溶解性を比較した。結果を表1に示す。
(6)DSCの測定
示差熱熱量計「DSC−50(島津製作所製)」を用い、昇温速度10℃/分の条件で測定したが、いずれのサンプルも非晶性であった。
(7)耐熱性の評価
温度150℃において各サンプルを1時間保持し、形態の変化を観察した。
(8)熱分解温度の測定
熱重量計「TGA−50(島津製作所製)」を用い、窒素雰囲気の条件で昇温速度10℃/minの条件で測定した。結果は10%重量減の温度で示す。結果を表1に示す。
比較参考例
合成例3で得たα−フルオロアクリロイル基を有する含フッ素ポリマーの未硬化物に関し物性を測定した。結果を表1に示す。
Figure 0004265218
以上により、本発明で使用する硬化性含フッ素プレポリマーは、光硬化が可能で、フォトリソグラフが可能な材料であり、透明性が高く耐熱性に優れた硬化物を与えることがわかる。
実施例1(非線形物質含有フッ素樹脂組成物の合成1)
撹拌装置、温度計を備えた100mlのガラス製四ツ口フラスコに、合成例3で得たα−フルオロアクリロイル基を有する含フッ素アリルエーテルのホモポリマー2.09gとメタノール15gを入れ、攪拌しながら、2−メチル−4−ニトロアニリン0.5g(3.3mmol)を10gのピリジンに溶かしたものを5分間かけて滴下した。滴下後2時間攪拌を続けた後、30分間静置し生成した粘性の固体を沈殿させた。上澄みのメタノール溶液をデカンテーションし除き、アセトンで3回、固体を洗浄した。その後、60℃で12時間真空乾燥し、無色透明の固体1.7gを得た。
実施例2(非線形物質含有フッ素樹脂組成物の合成2)
合成例4で得たα−フルオロアクリロイル基を有する含フッ素アリルエーテルのコポリマー用いる以外は実施例1と同様にして非線形物質含有フッ素樹脂組成物として、無色透明の固体1.93gを得た
合成例5(COCl基を有する含フッ素アリルエーテルの合成)
9H,9H−ペルフルオロ−2,5−ジメチル−3,6−ジオキサ−8−ノネノイック酸(422g、10モル)
Figure 0004265218
とジメチルホルムアミド(7.4g、0.1モル)の混合液中に、撹拌しながら80℃でSOCl2(143g、1.2モル)を滴下した。その後、反応液を100℃に昇温し6時間撹拌した。反応器に蒸留器を装着し、減圧下でSOCl2を留去し、その後さらに減圧度を上げ、9H,9H−ペルフルオロ−2,5−ジメチル−3,6−ジオキサ−8−ノネン酸クロリドの粗生成物を取り出した。この液を濃硫酸で洗浄し、60mHgにて減圧蒸留し、沸点50℃の9H,9H−ペルフルオロ−2,5−ジメチル−3,6−ジオキサ−8−ノネン酸クロリド
Figure 0004265218
を得た(441g、0.91モル、収率91%)。
合成例6(側鎖に非線形物質を含むアリルエーテルの合成1)
窒素雰囲気下、4−ニトロアニリン(1.4g、10ミリモル)をピリジン15mlに溶解し、撹拌しながら0℃に冷却した。その溶液に9H,9H−ペルフルオロ−2,5−ジメチル−3,6−ジオキサ−8−ノネン酸クロリド(4.4g、10ミリモル)を滴下し、滴下後、室温で1時間撹拌した。反応液をヘキサン中にあけ、析出した固体をろ取した。固体をアセトンから再結晶させN−(4’−ニトロフェニル)9H,9H−ペルフルオロ−2,5−ジメチル−3,6−ジオキサ−8−ノネン酸アミド
Figure 0004265218
を得た(1.2g、2.2ミリモル、収率22%)。
合成例7(側鎖に非線形物質を含むアリルエーテルの合成2)
窒素雰囲気下、2−メチル−4−ニトロアニリン(1.5g、10ミリモル)をピリジン15mlに溶解し、撹拌しながら0℃に冷却した。その溶液に9H,9H−ペルフルオロ−2,5−ジメチル−3,6−ジオキサ−8−ノネン酸クロリド(4.4g、10ミリモル)を滴下し、滴下後、室温で1時間撹拌した。反応液をヘキサン中にあけ、析出した固体をろ取した。固体をアセトンから再結晶させN−(2’−メチル−4’−ニトロフェニル)9H,9H−ペルフルオロ−2,5−ジメチル−3,6−ジオキサ−8−ノネン酸アミド
Figure 0004265218
を得た(1.3g、2.3ミリモル、収率23%)。
合成例8(側鎖に非線形物質を含むアリルエーテルの合成3)
窒素雰囲気下、2−メトキシ−4−ニトロアニリン(1.7g、10ミリモル)をピリジン15mlに溶解し、撹拌しながら0℃に冷却した。その溶液に9H,9H−ペルフルオロ−2,5−ジメチル−3,6−ジオキサ−8−ノネン酸クロリド(4.4g、10ミリモル)を滴下し、滴下後、室温で1時間撹拌した。反応液をヘキサン中にあけ、析出した固体をろ取した。固体をアセトンから再結晶させN−(2’−メトキシ−4’−ニトロフェニル)9H,9H−ペルフルオロ−2,5−ジメチル−3,6−ジオキサ−8−ノネン酸アミド
Figure 0004265218
を得た(1.3g、2.3ミリモル、収率23%)。
合成例9(側鎖に非線形物質を含むアリルエーテルの合成4)
窒素雰囲気下、N−メチル−4−ニトロアニリン(1.5g、10ミリモル)をピリジン15mlに溶解し、撹拌しながら0℃に冷却した。その溶液に9H,9H−ペルフルオロ−2,5−ジメチル−3,6−ジオキサ−8−ノネン酸クロリド(4.4g、10ミリモル)を滴下し、滴下後、室温で1時間撹拌した。反応液をヘキサン中にあけ、析出した固体をろ取した。固体をアセトンから再結晶させN−メチル,N−(4’−ニトロフェニル)9H,9H−ペルフルオロ−2,5−ジメチル−3,6−ジオキサ−8−ノネン酸アミド
Figure 0004265218
を得た(2.5g、4.5ミリモル、収率45%)。
合成例10(側鎖に非線形物質を含むアリルエーテルの合成5)
1H,1H,9H,9H−ペルフルオロ−2,5−ジメチル−3,6−ジオキサ−8−ノネン−1−オール(4.1g、10ミリモル)
Figure 0004265218
に水酸化ナトリウム(20mg)と37%ホルムアルデヒド水溶液(1.0g、10ミリモル)を加え、室温で30分間撹拌した。反応溶液中に4−ニトロアニリン(1.4g、10ミリモル)を加え、室温で3時間撹拌した。その後、反応液を水にあけ、酢酸エチルを加えた後、洗浄を行なった。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下、溶媒を除去した。析出した固体をエタノールから再結晶を行ない(1H,1H,9H,9H−ペルフルオロ−2,5−ジメチル−3,6−ジオキサ−8−ノネオキシ)メチル−4−ニトロアニリン
Figure 0004265218
を得た(2.5g、4.5ミリモル、収率45%)。
合成例11(OH基を有する含フッ素アリルエーテルと非線形物質を側鎖に含む含フッ素アリルエーテルとのコポリマーの合成)
撹拌装置、温度計を備えた100mlのガラス製四ツ口フラスコに、パーフルオロ−(1,1,9,9−テトラハイドロ−2,5−ビストリフルオロメチル−3,6−ジオキサノネノール)
Figure 0004265218
を10gと合成例6のN−(4’−ニトロフェニル)9H,9H−ペルフルオロ−2,5−ジメチル−3,6−ジオキサ−8−ノネン酸アミドを10gを入れ、よく攪拌し、
Figure 0004265218
の8.0重量%パーフルオロヘキサン溶液を2.0g入れ、充分に窒素置換を行なったのち、窒素気流下20℃で20時間撹拌を行なったところ、高粘度の固体が生成した。
得られた固体をアセトンに溶解させたものを、HCFC225/n−ヘキサン=1/1溶液に注ぎ、分離、真空乾燥させ、無色透明な重合体14.8gを得た。
この重合体を19F−NMR、1H−NMR分析、IR分析により分析したところ、上記のヒドロキシル基を持つ含フッ素アリルエーテルと、非線形物質を側鎖構造に持つ含フッ素アリルエーテルの構造単位からなる含フッ素重合体であった。
その組成比はNMRより47:53(モル比)と求められた。
また、テトラヒドロフラン(THF)を溶媒に用いるGPC分析により測定した数平均分子量は8400、重量平均分子量は13000であった。
実施例3(非線形材料含有フッ素樹脂組成物の合成3)
合成例11で得たヒドロキシル基を持つ含フッ素アリルエーテルと、非線形物質を側鎖構造に持つ含フッ素アリルエーテルとの共重合体を用い、合成例3と同様にして、非線形物質を側鎖構造に持つ含フッ素硬化性ポリマー(エーテル溶液)を合成した。
実施例4(非線形材料含有フッ素樹脂組成物の合成4)
合成例7で得られた非線形物質を側鎖に持つ含フッ素アリルエーテルを用いる以外は合成例11と同様にして、ヒドロキシル基を持つ含フッ素アリルエーテルと、非線形物質を側鎖構造に持つ含フッ素アリルエーテルとの共重合体を得た。その組成比はNMRより40:60(モル比)と求められた。またGPC分析による数平均分子量は7200、重量平均分子量は12500であった。さらに合成例3と同様にして、非線形物質を側鎖構造に持つ含フッ素硬化性ポリマー(エーテル溶液)を合成した。
実施例5(非線形材料含有フッ素樹脂組成物の合成5)
合成例8で得られた非線形物質を側鎖に持つ含フッ素アリルエーテルを用いる以外は合成例11と同様にして、ヒドロキシル基を持つ含フッ素アリルエーテルと、非線形物質を側鎖構造に持つ含フッ素アリルエーテルとの共重合体を得た。その組成比はNMRより42:58(モル比)と求められた。またGPC分析による数平均分子量は6500、重量平均分子量は13000であった。さらに合成例3と同様にして、非線形物質を側鎖構造に持つ含フッ素硬化性ポリマー(エーテル溶液)を合成した。
実施例6(非線形材料含有フッ素樹脂組成物の合成6)
合成例9で得られた非線形物質を側鎖に持つ含フッ素アリルエーテルを用いる以外は合成例11と同様にして、ヒドロキシル基を持つ含フッ素アリルエーテルと、非線形物質を側鎖構造に持つ含フッ素アリルエーテルとの共重合体を得た。その組成比はNMRより46:54(モル比)と求められた。またGPC分析による数平均分子量は5700、重量平均分子量は12000であった。さらに合成例3と同様にして、非線形物質を側鎖構造に持つ含フッ素硬化性ポリマー(エーテル溶液)を合成した。
実施例7(非線形材料含有フッ素樹脂組成物の合成7)
合成例10で得られた非線形物質を側鎖に持つ含フッ素アリルエーテルを用いる以外は合成例11と同様にして、ヒドロキシル基を持つ含フッ素アリルエーテルと、非線形物質を側鎖構造に持つ含フッ素アリルエーテルとの共重合体を得た。その組成比はNMRより41:59(モル比)と求められた。またGPC分析による数平均分子量は7700、重量平均分子量は14000であった。さらに合成例3と同様にして、非線形物質を側鎖構造に持つ含フッ素硬化性ポリマー(エーテル溶液)を合成した。
実施例8〜14(IR分析による硬化反応性の確認)
(1)コーティング用含フッ素樹脂組成物の調製
実施例1〜7で得た含フッ素硬化性ポリマー組成物を用いて、参考例1と同様な操作を行ない、表2に示すポリマー濃度、活性エネルギー線硬化開始剤量となるようにコーティング組成物をそれぞれ調製した。
(2)IR分析用フィルムの作製
上記のコーティング組成物をアプリケーターを用いてPETフィルムに乾燥後膜厚が約100μmとなるように塗布し、50℃で5分間乾燥後、PETフィルムから得られた被膜を剥離させ、キャストフィルムを得た。
(3)IR分析による硬化反応性の測定
上記フィルムのIR分析を行なうと1661cm-1にポリマー中の炭素−炭素二重結合の吸収が観測された。
この炭素−炭素二重結合の吸収に着目し、光照射後の吸収強度の変化を観測した。硬化反応率を下式にしたがって測定した。
Figure 0004265218
高圧水銀灯を用い室温にて、表2に示す照射量で紫外線照射を行ない、照射量を変化させて、上式で表わされる硬化反応率を算出した。結果を表2に示す。
Figure 0004265218
合成例12(α−フルオロアクリロイル基を有する含フッ素硬化性ポリマーの合成)
α−フルオロアクリル酸フルオライド(CH2=CFCOF)を2.0g、ピリジンを2.0g用いた以外は合成例3と同様にして含フッ素硬化性ポリマー(エーテル溶液)を合成した。
このエーテル溶液を19F−NMR分析により調べたところ、
Figure 0004265218
の共重合体であった。
IR分析において、炭素−炭素二重結合とC=O基の吸収がいずれも合成例3と同様の位置に確認された。
実施例15(非線形材料含有フッ素樹脂組成物の合成)
合成例12で得たα−フルオロアクリロイル基を有する含フッ素アリルエーテルのコポリマーを用いる以外は実施例1と同様にして非線形材料含有フッ素樹脂組成物として、無色透明の固体約2gを得た。
実施例16〜18(IR分析による硬化反応性の確認)
(1)光硬化フッ素樹脂組成物の調製
実施例15で得た含フッ素硬化性ポリマーを用いて、実施例1と同様な操作を行ない、表3に示すポリマー濃度、活性エネルギー線硬化開始剤の種類、活性エネルギー線硬化開始剤量となるように組成物をそれぞれ調製した。
(2)IR分析用フィルムの作製
実施例8と同様にして作製した。
(3)IR分析による硬化反応性の測定
実施例8と同様にして、光照射量1500mJ/cm2照射したときの硬化反応率を算出した。結果を表3に示す。
実施例19
実施例16で得た光硬化組成物に、さらに硬化剤として
Figure 0004265218
をポリマーに対して20重量%となるように添加し、光硬化フッ素樹脂組成物を製造した。
この樹脂組成物を用いて実施例16と同様にしてIR分析用フィルムを作製し、硬化反応性の測定を行なった。結果を表3に示す。
Figure 0004265218
合成例13(OH基を有する含フッ素アリルエーテルのホモポリマーの合成)
合成例1において、パーフルオロ−(1,1,9,9−テトラハイドロ−2,5−ビストリフルオロメチル−3,6−ジオキサノネノール)を20.0gと
Figure 0004265218
の8.0重量%パーフルオロヘキサン溶液を10.0g用いた以外は合成例1と同様にして合成および得られたポリマーの精製を行ない、無色透明な重合体18.2gを得た。
この重合体を19F−NMR、1H−NMR分析、IR分析により分析したところ、上記含フッ素アリルエーテルの構造単位のみからなり側鎖末端にヒドロキシル基を有する含フッ素重合体であった。また、テトラヒドロフラン(THF)を溶媒に用いるGPC分析により測定した数平均分子量は30000、重量平均分子量は59000であった。
合成例14(OH基を有する含フッ素アリルエーテルとフッ化ビニリデンの共重合体の合成)
バルブ、圧力ゲージ、温度計を備えた300ml内容量のステンレススチール製オートクレーブに、パーフルオロ(1,1,9,9−テトラハイドロ−2,5−ビストリフルオロメチル−3,6−ジオキサノネール)を34.2gとCH3CCl2F(HCFC−141b)を200g、ジノルマルプロピルパーオキシカーボネート(NPP)の50重量%メタノール溶液を0.16g入れ、ドライアイス/メタノール溶液で冷却しながら系内をチッ素ガスで充分置換した。ついでバルブからフッ化ビニリデン(VdF)を5.8g仕込み、40℃にて振とうさせながら反応を行なった。反応の進行とともに、系内のゲージ圧が反応前の4.4MPaG(4.5kgf/cm2G)から12時間後に0.98MPaG(1.0kgf/cm2G)まで低下した。
この時点で未反応モノマーを放出し、析出した固形物を取り出し、アセトンに溶解させ、ついでヘキサンとトルエンの混合溶剤(50/50)で再沈殿させることにより共重合体を分離した。この共重合体を恒量になるまで真空乾燥し、共重合体31.2gを得た。
この共重合体の組成比は、1H−MNR分析および19F−NMR分析により分析したところ、VdF/OH基含有含フッ素アリルエーテルが55/45(モル%)であった。また、THFを溶媒として用いるGPC分析により測定した数平均分子量は12000、重量平均分子量は18000であった。
合成例15(含フッ素活性エネルギー線硬化開始剤の合成)
環流冷却器、温度計、撹拌装置、滴下漏斗を備えた200ml四ツ口フラスコに、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノンを2.0g、ピリジンを1.0g、CF3CF2CHCl/CClF2CF2CHClF混合物(HCFC−225)を20g仕込み5℃以下に氷冷した。
窒素気流下、撹拌を行ないながら、
Figure 0004265218
の2.5gを1時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに4.0時間撹拌を継続した。
反応後のエーテル溶液を分液漏斗に入れ、2%塩酸水洗浄、5%NaCl水洗浄を行なって有機層を分取し、無水硫酸マグネシウムで乾燥したのち蒸留により生成物2.6gを単離した(収率62%)。
得られた生成物を1H−NMR分析、19F−NMR分析およびIR分析により調べたところ、
Figure 0004265218
であった。
合成例16(α−フルオロアクリロイル基を有する含フッ素硬化性ポリマーの合成)
環流冷却器、温度計、撹拌装置、滴下漏斗を備えた200ml四ツ口フラスコに、メチルエチルケトン(MEK)40ml、合成例13で得たヒドロキシル基含有含フッ素アリルエーテルの単独重合体5.0gと、ピリジン2.0gを仕込み5℃以下に氷冷した。
窒素気流下、撹拌を行ないながら、さらにα−フルオロアクリル酸フルオライド1.2gを約30分間かけて滴下した。滴下終了後、室温まで温度を上げさらに4.0時間撹拌を継続した。
反応後のMEK溶液を分液漏斗に入れ、水洗、2%塩酸水洗浄、5%NaCl水洗浄、さらに水洗をくり返し、有機層を分取したのち、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過後のポリマー濃度は10.7重量%であった。
このMEK溶液を19F−NMR分析により調べたところ、
Figure 0004265218
であった。
また合成例3と同様にしてIR分析を行なったところ、炭素−炭素二重結合の吸収が1660cm-1に,C=Oの吸収が1770cm-1に観測された。
合成例17(α−フルオロアクリロイル基を有する含フッ素硬化性ポリマーの合成)
合成例14で得たOH基含有含フッ素アリルエーテルとVdFの共重合体を5.0gとピリジンを1.1g、α−フルオロアクリル酸フルオライドを1.0g用いた以外は合成例16と同様にして含フッ素硬化性ポリマー(MEK溶液)を合成した。ポリマー濃度は9.9重量%であった。
19F−NMRにより転化率はほぼ100%であった。
実施例20
(1)非線形材料含有光硬化用含フッ素樹脂組成物の調製
合成例16で得た硬化性含フッ素ポリマー(MEK溶液)にさらにMEKを加えてポリマー濃度を8重量%に調整した。さらに2−メチル−4−ニトロアニリンを溶解させその濃度を1wt%になるように調整し、溶液とした。
この非線形材料含有硬化性含フッ素ポリマーのMEK溶液に活性エネルギー線硬化開始剤として2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノンをポリマーに対して2.0重量%となるように添加したところ、白濁して相溶しなかった。
そこで、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノンに代えて合成例15で得た含フッ素活性エネルギー線硬化開始剤をポリマーに対して4.0重量%となるように添加したところ、無色透明の溶液になり相溶した。
(2)非線形性の評価
合成例3で得た含フッ素硬化性ポリマーを厚さ3mmに成形し、室温にて3000mJ/cm2Uの強度で紫外線を照射し硬化させ、基板を得た。さらにこの基板を鏡面状に研磨し、上記光硬化用組成物溶液をスピンコート法により塗布し、薄膜を形成させ非線形光学素子とした。
〔1〕屈折率の測定
プリズムカプラー法にて波長1.06μm(Nd:YAGレーザー光)における屈折率を測定した。結果を表4に示す。
〔2〕2次高調波の測定
以上のように作成した非線形光学素子にNd:YAGレーザー光(波長1.06μm)を導入したところ2次高調波(波長0.53μm)の青い光が観測された。変換効率は10-4%程度であった。結果を表4に示す。
〔3〕耐久試験
サンプルを温度80℃、湿度85%の環境下で1週間保存したが、変換効率の低下はみられなかった。結果を表4に示す。
実施例21
(1)非線形物質含有光硬化用含フッ素樹脂組成物の調製
合成例17で得た硬化性含フッ素ポリマー(MEK溶液)にさらにMEKを加えてポリマー濃度を8重量%に調整した。さらに2−メチル−4−ニトロアニリンを溶解させその錯体濃度を1wt%になるように調整し、溶液とした。この硬化性含フッ素ポリマーのMEK溶液に活性エネルギー線硬化開始剤として2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノンをポリマーに対して5.2重量%となるように添加したところ、無色透明の溶液となり相溶した。
(2)非線形性の評価
実施例20と同様にして非線形性を評価した。結果を表4に示す。
Figure 0004265218
実施例22(光導波路型素子の作製)
図1に概略斜視図として示すマッハツェンダー干渉型光素子を作製した。
まず、下部(金)電極6を設けたシリコン基板5上に、合成例3で得た含フッ素硬化性プレポリマーをMEKに溶解し、スピンコート法により製膜(膜厚10μm)した。室温にて3000mJ/cm2Uの強度で紫外線を照射し硬化させアンダークラッド層7とした。このアンダークラッド層7上に実施例20で調製した非線形光学材料用フッ素樹脂組成物溶液をスピンコート法により薄膜状に(膜厚4μm)塗布した。つぎにこの光導波路用の非線形光学材料であるフッ素樹脂薄膜の表面に再度、合成例3で得た含フッ素硬化性プレポリマーをスピンコートして硬化膜を製膜した。さらに、その上面の必要な部分に上部(金)電極2を設けた。基板5を110℃に加熱し上部電極2と下部電極6の間に1MV/cmの電界を2分間印加し、非線形材料薄膜の配向処理を行なった。30℃まで徐冷したのち電界を遮断した。つぎに上部電極2を取り除いた後、必要な導波路パターンのマスクを用いて光導波路用非線形材料薄膜に紫外線照射を行ない、光導波路部に相当するフッ素樹脂部分を硬化させ、残りの未硬化部分を溶剤で除去して非線形光導波路3を形成した。さらに合成例3で得た含フッ素硬化性プレポリマーを全体に塗布した後硬化させアウタークラッド層1とした。ついで素子駆動用の金電極を光導波路上方のアウタークラッド層1上にフォトリソグラフィーを用いて上部電極2として形成し、チャンネル型導波路3からなるマッハツェンダー干渉型光素子を作製した。この素子作製の後、光導波路3の端面を光学研磨した。光は矢印4の方向から非線形光導波路3に入り、矢印8の方向に出て行く。
Nd−YAGレーザーの発振波長(1.06μm)の光を端面結合法により励振させた結果、伝搬損失は1.1dB/cmであり、非常に優れた光変調特性を示した。消光比は32dBであった。
実施例22で作製したマッハツェンダー干渉型光素子の概略斜視図である。

Claims (24)

  1. (I)含フッ素プレポリマーと(II)2次以上の非線形光学効果を示す有機化合物とからなる組成物であって、含フッ素プレポリマー(I)が、
    (1)フッ素含有率が25重量%以上の非晶性ポリマー、かつ
    (2)式(1):
    Figure 0004265218
    [式中、構造単位Mは式(M)
    Figure 0004265218
    (式中、X 1 およびX 2 は同じかまたは異なり、HまたはF;X 3 はH、F、CH 3 またはCF 3 ;X 4 およびX 5 は同じかまたは異なり、H、FまたはCF 3 ;Rfは炭素数1〜40の含フッ素アルキル基または炭素数2〜100のエーテル結合を有する含フッ素アルキル基にY 1 (Y 1 は末端にエチレン性炭素−炭素二重結合を有する炭素数2〜10の1価の有機基)が1〜3個結合している有機基;aは0〜3の整数;bおよびcは同じかまたは異なり、0または1)で示される含フッ素エチレン性単量体に由来する構造単位、構造単位Aは該式(M)で示される含フッ素エチレン性単量体と共重合可能な単量体に由来する構造単位である]で示され、構造単位Mを0.1〜100モル%および構造単位Aを0〜99.9モル%含む数平均分子量500〜1000000の含フッ素ポリマーであることを特徴とする非線形光学材料に用いるフッ素樹脂組成物。
  2. 含フッ素プレポリマー(I)のフッ素含有率が40重量%以上である請求項1記載の非線形光学材料に用いるフッ素樹脂組成物。
  3. 含フッ素プレポリマー(I)が1290〜1320nmの波長範囲での吸光度係数の最大値が1cm-1以下のポリマーである請求項1または2記載の非線形光学材料に用いるフッ素樹脂組成物。
  4. 含フッ素プレポリマー(I)が1530〜1570nmの波長範囲で吸光度係数の最大値が1cm-1以下のポリマーである請求項1〜3のいずれかに記載の非線形光学材料に用いるフッ素樹脂組成物。
  5. 含フッ素プレポリマー(I)が600〜900nmの波長範囲で吸光度係数の最大値が1cm-1以下のポリマーである請求項1〜4のいずれかに記載の非線形光学材料に用いるフッ素樹脂組成物。
  6. 炭素−炭素二重結合がラジカル反応性を有するエチレン性炭素−炭素二重結合である請求項1〜5のいずれかに記載の非線形光学材料に用いるフッ素樹脂組成物。
  7. 炭素−炭素二重結合がカチオン反応性を有するエチレン性炭素−炭素二重結合である請求項1〜5のいずれかに記載の非線形光学材料に用いるフッ素樹脂組成物。
  8. (I)含フッ素プレポリマー、(II)非線形有機化合物に加え、(III)活性エネルギー線硬化開始剤が配合されてなる請求項または記載の非線形光学材料に用いるフッ素樹脂組成物。
  9. 活性エネルギー線硬化開始剤(III)が光ラジカル発生剤(III−1)である請求項記載の非線形光学材料に用いるフッ素樹脂組成物。
  10. 活性エネルギー線硬化開始剤(III)が光酸発生剤(III−2)である請求項記載の非線形光学材料に用いるフッ素樹脂組成物。
  11. 含フッ素プレポリマー(I)が式(1)の重合体であり、
    構造単位Mが式(M1):
    Figure 0004265218
    (式中、X1およびX2は同じかまたは異なり、HまたはF;X3はH、F、CH3またはCF3;X4およびX5は同じかまたは異なり、H、FまたはCF3;Rfは炭素数1〜40の含フッ素アルキル基または炭素数2〜100のエーテル結合を有する含フッ素アルキル基にY1(Y1は末端にエチレン性炭素−炭素二重結合を有する炭素数2〜10の1価の有機基)が1〜3個結合している有機基;aは0〜3の整数;cは0または1)で示される含フッ素エチレン性単量体に由来する構造単位M1である請求項1〜10のいずれかに記載の非線形光学材料に用いるフッ素樹脂組成物。
  12. 含フッ素プレポリマー(I)が式(1)の重合体であり、
    構造単位Mが式(M2):
    Figure 0004265218
    (式中、Rfは炭素数1〜40の含フッ素アルキル基または炭素数2〜100のエーテル結合を有する含フッ素アルキル基にY1(Y1は末端にエチレン性炭素−炭素二重結合を有する炭素数2〜10の1価の有機基)が1〜3個結合している有機基)で示される含フッ素エチレン性単量体に由来する構造単位M1である請求項1〜10のいずれかに記載の非線形光学材料に用いるフッ素樹脂組成物。
  13. 含フッ素プレポリマー(I)が式(1)の重合体であり、
    構造単位Mは式(M3):
    Figure 0004265218
    (式中、Rfは炭素数1〜40の含フッ素アルキル基または炭素数2〜100のエーテル結合を有する含フッ素アルキル基にY1(Y1は末端にエチレン性炭素−炭素二重結合を有する炭素数2〜10の1価の有機基)が1〜3個結合している有機基)で示される含フッ素エチレン性単量体に由来する構造単位M1である請求項1〜10のいずれかに記載の非線形光学材料に用いるフッ素樹脂組成物。
  14. 前記式(M)、(M1)、(M2)および(M3)におけるRf中のY1の少なくとも一つがRfの末端に結合している請求項1〜13のいずれかに記載の非線形光学材料に用いるフッ素樹脂組成物。
  15. 前記式(M)、(M1)、(M2)および(M3)におけるRf中のY1が、
    Figure 0004265218
    (式中、Y2は末端にエチレン性炭素−炭素二重結合を有する炭素数2〜5のアルケニル基、または含フッ素アルケニル基、dおよびeは同じかまたは異なり0または1)である請求項14記載の非線形光学材料に用いるフッ素樹脂組成物。
  16. 前記式(M)、(M1)、(M2)および(M3)におけるRf中のY1
    −O(C=O)CX6=CX78
    (式中、X6はH、F、CH3またはCF3、X7およびX8は同じかまたは異なりHまたはF)である請求項14記載の非線形光学材料に用いるフッ素樹脂組成物。
  17. 請求項1〜16のいずれかに記載のフッ素樹脂組成物において、含フッ素プレポリマー(I)を硬化してなる含フッ素非線形光学材料。
  18. 含フッ素プレポリマー(I)を光硬化してなる請求項17記載の含フッ素非線形光学材料。
  19. 非線形光学層が請求項17または18記載の含フッ素非線形光学材料からなる光導波路型素子。
  20. 式(3):
    −(M)−(M’)−(A2)− (3)
    [式中、構造単位Mは請求項に記載の式(M)で示される構造単位、構造単位M’は式(M’)
    Figure 0004265218
    (式中、X 50 およびX 51 は同じかまたは異なり、HまたはF;X 52 はH、F、CH 3 またはCF 3 ;X 53 およびX 54 は同じかまたは異なり、H、FまたはCF 3 ;Rf’は炭素数1〜40の含フッ素アルキル基または炭素数2〜100のエーテル結合を有する含フッ素アルキル基にP(Pは非線形光学効果を示す有機基からなる部位)が少なくとも1個以上結合してなる一価の有機基;a2は0〜3の整数;b2およびc2は同じかまたは異なり、0または1)で示される含フッ素エチレン性単量体に由来する構造単位、構造単位A1は該式(M’)で示される含フッ素エチレン性単量体と共重合可能な単量体に由来する構造単位である]で示される構造単位、構造単位A2は該式(M)、(M’)で示される含フッ素エチレン性単量体と共重合可能な単量体に由来する構造単位である]で示され、構造単位Mを0.1〜99.9モル%、構造単位M’を0.1〜99.9モル%および構造単位A2を0〜99.8モル%含む数平均分子量500〜1000000の含フッ素ポリマーからなることを特徴とする含フッ素非線形光学材料。
  21. 構造単位M’が式(M’−1)
    Figure 0004265218
    (式中、X 50 およびX 51 は同じかまたは異なり、HまたはF;X 52 はH、F、CH 3 またはCF 3 ;X 53 およびX 54 は同じかまたは異なり、H、FまたはCF 3 ;Rf’は炭素数1〜40の含フッ素アルキル基または炭素数2〜100のエーテル結合を有する含フッ素アルキル基にP(Pは非線形光学効果を示す有機基からなる部位)が少なくとも1個以上結合してなる一価の有機基;a2は0〜3の整数;c2は同じかまたは異なり、0または1)で示される含フッ素エチレン性単量体に由来する構造単位M’−1である請求項20記載の非線形光学材料。
  22. 構造単位M’が式(M’−2)
    Figure 0004265218
    (式中、Rf’は炭素数1〜40の含フッ素アルキル基または炭素数2〜100のエーテル結合を有する含フッ素アルキル基にP(Pは非線形光学効果を示す有機基からなる部位)が少なくとも1個以上結合してなる一価の有機基)で示される含フッ素エチレン性単量体に由来する構造単位M’−2である請求項20記載の含フッ素非線形光学材料。
  23. 構造単位M’が式(M’−3)
    Figure 0004265218
    (式中、Rf’は炭素数1〜40の含フッ素アルキル基または炭素数2〜100のエーテル結合を有する含フッ素アルキル基にP(Pは非線形光学効果を示す有機基からなる部位)が少なくとも1個以上結合してなる一価の有機基)で示される含フッ素エチレン性単量体に由来する構造単位M’−3である請求項20記載の含フッ素非線形光学材料。
  24. 非線形光学層が請求項20〜23のいずれかに記載の含フッ素非線形光学材料からなる光導波路型素子。
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