JP4263798B2 - トレッド用ゴム組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、氷上での摩擦力を向上しうるタイヤのトレッド用ゴム組成物に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
スパイクタイヤが、路面の損傷及び粉塵公害を防止するために使用が禁止されて以来、積雪地帯などにおいては、いわゆるスタッドレスタイヤなどの空気入りタイヤが広く普及しつつある。このような空気入りタイヤは、低温環境下においても柔軟性を保ちうるトレッドゴム材料などの開発により、雪上での走行性能が格段に向上しているが、いわゆるミラーバーンと称されるつるつるとした氷路での走行性能に関しては、やはりスパイクタイヤに劣ることとなる。
【0003】
このような問題点を解決するために、例えばトレッドゴムに多数の独立気泡を形成し、該気泡による氷路での除水効果および気泡部のミクロ運動に伴う氷の削り取りであるエッジ効果等により、氷上での摩擦係数を高めるものが提案されている(例えば特開昭63−89547号公報)。また、トレッドゴム中に、高硬度材料を混入することにより、氷面に対するひっかき効果を利用するもの(例えば、特公昭46−31732号公報、特開昭51−147803号公報、特公昭56−52057号公報など)や、発泡ゴムにシリカゲルや多孔質アルミナや水酸化アルミニウムを配合したものなども提案されている。
【0004】
これらのトレッドゴムは、氷路面上に実質的に水膜が存在していないいわゆるドライオンアイスの状態では一応の効果は認められる。しかしながら、発明者らの実験によると、氷路面上に薄い水膜が存在するいわゆるウエットオンアイスの路面においては、高摩擦状態を維持することができないことが分かった。
【0005】
本発明は、以上のような問題点に鑑み案出なされたもので、氷上、とりわけドライオンアイス、ウエットオンアイスの双方の路面にて摩擦力を向上しうるトレッド用ゴム組成物を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ゴム基材100重量部に対して、平均粒子径が20μm以下でしかも比表面積が800m2 /g以上の活性炭である多孔性粒子を2〜30重量部配合してなるトレッド用ゴム組成物である。
【0007】
発明者らの種々の実験の結果、上述のような多孔性粒子を配合したトレッド用ゴム組成物にあっては、図1に示すように、ゴム1の表面には、多数の多孔性粒子2が現れることで凹凸面が形成される。このような凹凸面は、氷路面を掻き取るエッジ効果を発揮するとともに、氷面の水膜を吸着することにより除水する除水効果をも発揮しうる結果、氷路面で大きな摩擦力を発生しうる。
【0008】
また本発明では、前記多孔性粒子は、その平均粒子径が20μm以下であり、かつ比表面積が800m2 /g以上のものが使用される。このように多孔性粒子の粒子径を非常に小さく限定すると、前記ゴム表面の凹凸部をより一層微細なものとすることができる。このようなゴム表面は、前記エッジ効果を発揮しつつ路面との接地面積を大きく確保することができ、ドライオンアイスの路面はもとより、特にウエットオンアイスにおいて水膜除去効果とエッジ効果が有効に発揮されて非常に高い摩擦力が得られる。
【0009】
なお多孔性粒子の「比表面積」は、BET法による窒素吸着比表面積として定めることが可能である。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の一形態を図面に基づき説明する。
本実施形態のトレッド用ゴム組成物1は、ゴム基材100重量部に対して、平均粒子径が20μm以下でしかも比表面積が800〜3,000m 2 /gの活性炭である多孔性粒子2を2〜30重量部含むことを特徴の一つとしており、主として冬季に好ましく使用されるスタッドレスタイヤのトレッドゴムに好適である。
【0011】
このような多孔性粒子2は、表面に凹凸ないし表面から内部に至る空洞を有する固体であって、前記のように、活性炭を採用している。前記活性炭は、例えば木材、ヤシ殻、ノコギリクズ、木炭などを活性液に含浸させた後、750〜1000℃で炭化し、希塩酸と水で洗浄したもの、あるいは木炭などを水蒸気または炭酸ガスを絶えず流通させながら800〜1000℃程度の温度に1ないし2時間保つことにより得ることができ、これを粉末状とすることにより、平均粒子径が20μm以下でしかも比表面積を800m2 /g以上にすることができる。
【0012】
なお発明者らの実験によると、多孔性粒子2の平均粒子径が20μmを超えると接地面積の低下によってウエットオンアイスでの摩擦力の低下が著しくなることが分かっている。好ましくは多孔性粒子2の平均粒子径は10〜20μmとするのが望ましい。また、多孔性粒子2の比表面積が800m2 /g未満になると、多孔性粒子の水分吸着量および吸着速度が低下するため、前記同様にウエットオンアイスの路面において十分な摩擦力が得られ難い。本発明においては、多孔性粒子2の比表面積は、800〜3000m2 /gとしている。
【0013】
また、前記多孔性粒子2の配合量がゴム基材100重量部に対して2重量部未満であると、氷上で大きな摩擦力を得ることができず、逆に30重量部を超えると、多孔性粒子2による吸着能により硫黄や加硫促進剤などの吸着量も多くなり、ゴムの架橋密度の低下を招いて耐摩耗性が悪化するなど好ましくない。このような観点より、前記多孔性粒子の配合量は、好ましくはゴム基材100重量部に対して5〜30重量部、さらに好ましくは8重量部よりも大かつ30重量部以下、より好ましくは10〜25重量部とするのが望ましい。このような活性炭は、例えばクラレケミカル社製の「クラレコールPW」(平均粒子径20μm、比表面積804m2 /g)、「クラレコールP200」(平均粒子径15μm、比表面積823m2 /g)などを挙げることができる。
【0014】
また、トレッド用ゴム組成物に用いるゴム基材としては、特に限定されるものではないが、ジエン系ゴムが好ましい。前記ジエン系ゴムとしては、例えば、天然ゴム(NR)、スチレンとブタジエンの共重合体であるスチレンブタジエンゴム(SBR)、イソプレンの重合体である合成ポリイソプレンゴム(IR)、ブタジエンの重合体であるブタジエンゴム(BR)、ブタジエンとアクリロニトリルとの共重合体であるニトリルゴム(NBR)、クロロプレンの重合体であるクロロプレンゴム(CR)などを挙げることができ、特に天然ゴムを40重量部以上含むことが好ましく、これに例えばブタジエンゴムなどを好適にブレンドしうる。
【0015】
なお前記ゴム基材には、慣例に従って、充填剤、加硫剤、加硫促進剤、劣化防止剤、などの各種添加剤、シランカップリング剤さらには短繊維などを配合することができる。前記充填剤には、カーボンブラックやシリカなどの無機充填剤を好ましく採用しうる。特にシリカは、カップリング剤を介してゴムと化学結合をなすため、ゴムの動きを柔軟として特に氷上での高摩擦力をうるのに好適となる。このようなシリカは、例えば前記ゴム基材100重量部に対して10重量部以上、より好ましくは15重量部以上、さらに好ましくは20〜60重量部配合するのが好ましい。
【0016】
また配合されるシリカとしては、特に限定されるものではないが、例えば窒素吸着比表面積(BET)が150〜250m2 /gの範囲のものが好ましく、しかもフタル酸ジブチル(DBP)吸油量が180ml/100g以上のコロイダル特性を示すものが、ゴムへの補強効果及びゴム加工性等の点で好ましい。またシランカップリング剤としては、特に限定されるものではないが、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、α−メルカプトプロピルトリメトキシシランが好適である。
【0017】
【実施例】
本発明の効果を確認するために、表1に示す配合によるゴム組成物を試作し、氷上摩擦試験と耐摩耗試験とを行った。なお本発明の効果を比較するために比較例についても試作した。テスト方法は次の通りである。
【0018】
氷上摩擦試験:
温度制御可能な室内に設けられた氷路面上にゴム試験片を錘を用いて垂直抗力が5kgf/cm2 となるよう押し付けるとともに、該錘を800mm/min の押出し速度で水平に押し出し、停止するまでの制動距離を測定した。評価は、比較例1の制動距離を100とする指数で表示しており、数値が大きいほど制動距離が短く好適であることを示している。なお室温は、0℃(氷路面上に約0.3mmの水膜が存在したウエットオンアイス状態)、−5℃(氷路面上に実質的な水膜が存在しないドライオンアイス状態)の2種類で実験を行った。
【0019】
耐摩耗試験:
ランボーン摩耗試験機(機械式スリップ機構)を用いて次の条件で測定した。
試験片:厚さ 10mm 、外径 44mm
エメリーホイール:GCタイプ、粒度80、硬度 H
添加カーボランダム粉:粒度80メッシュ、添加量 約9g/min.
エメリーホイール面と試験片の相対スリップ率:40%
試験荷重:1.5kg
テストの結果を表1に示す。
【0020】
【表1】
【0021】
テストの結果、室温−5℃のドライオンアイスの状態では、比表面積の小さいシリカゲルなどを配合したゴム組成物(比較例2)であっても氷上摩擦力を向上しうるが、0℃のウエットオンアイスの状態では、その効果が殆ど発揮されていないことが分かる。これに対して、実施例のものでは、ドライオンアイスの状況はもとより、特にウエットオンアイスの状況にて大幅に氷上摩擦力を向上していることが確認できる。なお、平均粒子径が20μmを超える活性炭を配合したもの(比較例5)では、ウエットオンアイスの氷上摩擦力の向上が期待できなかった。
【0022】
また、実施例3より、活性炭の配合量は20重量部程度で最も高い氷上摩擦力を得ていることが確認でき、耐摩耗性も僅かではあるが向上していることが確認できる。なお、活性炭の配合量が30重量部を超えたときに氷上摩擦力が低下するのは、ゴムが過度に硬くなることが原因と考えられる。
【0023】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明では、氷上、とりわけウェットオンアイスでの摩擦力を著しく向上しうる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示すトレッド用ゴム組成物のゴム表面を拡大して示す断面図である。
【符号の説明】
1 トレッド用ゴム組成物
2 多孔性粒子
Claims (3)
- ゴム基材100重量部に対して、平均粒子径が20μm以下でしかも比表面積が800〜3,000m 2 /gの活性炭である多孔性粒子を2〜30重量部配合してなるトレッド用ゴム組成物。
- シリカ及びシランカップリング剤を含有してなる請求項1記載のトレッド用ゴム組成物。
- トレッドに、請求項1又は2に記載のトレッド用ゴム組成物を用いたタイヤ。
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