JP4258749B2 - 防振壁構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は防振壁構造に関する。さらに詳しくは、内壁支持部材と外壁支持部材とが結合された壁構造に防振対策を施してなる防振壁構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、木造またはプレハブなどの一般向け住宅用家屋では、外壁を支持する外壁支持部材と内壁を支持する内壁支持部材とが一体化または共通とされることが多い。また、両支持部材が一体化または共通とされていない場合にも、両支持部材を結合させて強度的にも互いに依存するように構成されるのが通常であり、このような構成は下地が簡略化できるのでコストや施工性の点で優れている。
【0003】
図7に従来の一般的な壁構造を示す。この壁構造70は、外壁71を支持する外壁パネルフレーム72および外壁下地73などの外壁支持部材と、内壁面材74を支持する内壁下地75などの内壁支持部材とが互いに結合されてなるものである。図中符号76は外壁パネルフレーム72が取付けられる柱である。
【0004】
一方、遮音性に関しては、内壁支持部材と外壁支持部材との結合体がいわゆるサウンドブリッジとなって外壁の振動を内壁に伝播してしまうという欠点がある。この点いわゆるカーテンウォール式の壁構造では、外壁と内壁とが分離されることで遮音性は向上するが、コストや施工性の点において不利である。
【0005】
また、内壁面材の上下端が家屋の構造体に緊結されているような場合は、内壁面材が上下の構造体間の固体伝播音の経路や放射媒体となるという問題もある。
【0006】
そこで、ゴム材や発泡樹脂などの弾性体を支持部材や緩衝材として用いて内壁面材を防振する例もあるが、可燃物を新たに付加することは耐火性を低下させる原因となるとともに、これら弾性体が3軸ともに弾性を有する場合は内壁面材が自重により下方に変位するなど、安定性や精度を損なうおそれがあるという問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はかかる従来技術の課題に鑑みなされたものであって、家屋の強度や耐火性を損なうなどの弊害を招くことなく遮音性を高めることができる防振壁構造を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の防振壁構造の第1形態は、内壁支持部材と外壁支持部材とを、弾性変形が抑制された弾性部材により連結して結合してなる防振壁構造であって、
前記弾性部材は、湾曲部と、前記湾曲部の一方に第1平面部分と、前記湾曲部の他方に第2平面部分とが形成されるように成形されたバネ板とされ、
前記第1平面部分は前記内壁支持部材と連結され、前記第2平面部分は前記外壁支持部材と連結され、それにより前記内壁支持部材の前記外壁支持部材に対する鉛直方向の相対的変位が抑制されてなる
ことを特徴とする。
【0009】
本発明の防振壁構造の第2形態は、内壁支持部材と外壁支持部材とを、弾性変形が抑制された弾性部材により連結して結合してなる壁構造であって、
前記弾性部材は、湾曲部と、前記湾曲部の一方に第1平面部分と、前記湾曲部の他方に第2平面部分とが形成されるように成形されたバネ板とされ、
前記第1平面部分と前記第2平面部分とはほぼ平行とされ、
前記第1平面部分は前記内壁支持部材と連結され、前記第2平面部分は前記外壁支持部材と連結され、それにより前記内壁支持部材の前記外壁支持部材に対する鉛直方向の相対的変位が抑制され、
前記連結は、内壁下地と外壁パネルフレームとはわずかな隙間となるようににされてなる
ことを特徴とする
【0010】
本発明の防振壁構造においては、前記バネ板が金属材料から構成されるのが好ましい。
【0011】
【作用】
本発明は前記の如く構成されているので、遮音性を向上させることができ、かつ内壁の過大な変形、家屋の強度の低下および耐火性の低下などの弊害を招くのを防止できる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照しながら本発明を実施形態に基づいて説明するが、本発明はかかる実施形態のみに限定されるものではない。
【0013】
実施形態1
図1に本発明の実施形態1に係る防振壁構造の概略構成を示し、この防振壁構造10は、外壁11と、内壁12と、これら各壁11、12を支持する壁支持構造13とから構成されている。
【0014】
壁支持構造13は、柱20に取付けられた外壁パネルフレーム21および外壁下地25などからなる外壁支持部材Aと、内壁下地24などからなる内壁支持部材Bと、両支持部材A,Bを結合する弾性部材としてのバネ部材23とから構成されている。
【0015】
バネ部材23は、図2に示すように、内壁支持部材Bの外壁支持部材Aに対する鉛直方向の相対的変位を抑制できるように、1軸方向(図の矢印Dの方向)の弾性変形が抑制されている。すなわち、バネ部材23は例えばステンレス鋼などの金属製の方形平板を適宜湾曲および折曲して、湾曲部分23aを形成するとともに、この湾曲部分23aの両側に第1および第2の平面部分23b、23cが互いに略垂直となるように形成されてなるものである。第1および第2の平面部分23b、23cの適宜位置には複数のビス挿通孔23dが穿設されている。
【0016】
図3および図4にバネ部材による各部材の結合の様子を示す。湾曲部分23aは1軸方向の弾性変形が抑制された弾性体として機能する。
【0017】
第1の平面部分23bは内壁下地24の反内壁側側面24aに固定され、第2の平面部分23cは外壁パネルフレーム21の内側に取付けられた木片22に外壁11と垂直に固定される。
【0018】
木片22は外壁パネルフレーム21のフレーム外側からビスなどによって取り付けられる。内壁下地24と外壁パネルフレーム21とはわずかな隙間(例えば、5mm)L隔てて、バネ部材23により連結される。また、各平面部分23b、23cは、例えばステンレス製のビス26によって相手部材に固定される。
【0019】
なお、図3および図4では内壁下地24と外壁パネルフレーム21とがバネ部材23により連結される様子を示したが、内壁下地24と外壁下地25とのバネ部材23による連結もこれと同様に行われる。
【0020】
この構成により、内壁12に図4の水平方向に荷重がかかってもバネ部材23の弾性領域内で両下地24、25が接触するため、内壁12の過大な変位は避けられる。また、バネ部材23の鉛直方向の弾性変形は抑制されるので、内壁12の自重による鉛直方向の変位もある程度抑えられる。
【0021】
このように、本実施形態の防振壁構造10によれば、内壁下地24が外壁11を支持する外壁パネルフレーム21または外壁下地25とバネ部材23を介してわずかな隙間L隔てた状態で連結されているので、外壁支持部材Aと内壁支持部材Bとの結合体がいわゆるサウンドブリッジを形成するのを防止することができ、これによって遮音性が向上する。また、内外一体型パネルのままの施工が可能であるため、施工性を損なわないとともに、内壁下地24と外壁下地25とを完全独立下地とするより安価に施工できる。
【0022】
また、バネ部材23がステンレス鋼などの金属材料から構成されているので耐火性の低下を招くこともない。
【0023】
実施形態2
図5に、本発明の実施形態2に係る防振壁構造における壁支持構造を示し、この壁支持構造30は、実施形態1の壁支持構造13のバネ部材23をバネ部材31に代えたものであり、その余の構成は全て同一とされている。
【0024】
バネ部材31は実施形態1と同様に金属製の方形平板を適宜湾曲および折曲して、湾曲部分31aを形成するとともに、この湾曲部分31aの両側に第1および第2の平面部分31b、31cを形成してなるものである。しかしながら、各平面部分31b、31cは実施形態1とは異なり互いに略平行、または同一平面上となるように形成されている。第1および第2の平面部分31b、31cの適宜位置には複数のビス挿通孔(図示省略)が穿設されている。
【0025】
湾曲部分31aは実施形態1と同様に1軸方向の弾性変形が抑圧された弾性体として機能し、第1の平面部分31bは内壁下地24の内壁と垂直な1つの側面24bに固定され、第2の平面部分31cは外壁パネルフレーム21の内側に取付けられた木片22に外壁11と垂直に固定されている。木片22は外壁パネルフレーム21のフレーム外側からビスなどによって取り付けられる。内壁下地24と外壁パネルフレーム21とはわずかな隙間(例えば、2mm)L隔てて、バネ部材31により連結される。また、各平面部分31b、31cは例えばステンレス製のビス26によって相手部材に固定される。
【0026】
なお、図5では内壁下地24と外壁パネルフレーム21とがバネ部材31により連結される様子を示したが、内壁下地24と外壁下地とのバネ部材31による連結もこれと同様に行われる。
【0027】
バネ部材31をこのような形状に形成することによって、内壁下地24と外壁下地25または外壁パネルフレーム21との隙間Lを必要に応じて実施形態1におけるよりもさらに小さくすることも可能となる。
【0028】
実施形態3
図6に、本発明の実施形態3に係る防振壁構造における壁支持構造を示し、この壁支持構造40は、実施形態1の壁構造10における壁支持構造13のバネ部材23をバネ部材41に代えたものである。本実施形態は、例えば外壁断面内部にアルミ蒸着シートGなどの断熱材を設置する場合にバネ部材41をシート設置の妨げとならないよう構成したものである。
【0029】
バネ部材41は、各壁11、12に垂直な方向の荷重を軸をずらして受けるように金属製の方形平板を適宜折曲して、形成したもので、金属製の方形平板を略直角に折り曲げた折り曲げ部分の弾性を利用して内壁支持部材Aと外壁支持部材Bとを弾性的に結合するものである。すなわち、同図に示すように、バネ部材41は、互いに略垂直で適宜位置に複数のビス挿通孔(図示省略)が穿設されている第1および第2の平面部分41b、41cを有し、各平面部分41b、41cの析曲部分41aが1軸方向の弾性変形が抑圧された弾性体として機能するように構成されている。
【0030】
第1の平面部分41bは内壁下地24の内壁12と垂直な1つの側面24bに固定され、第2の平面部分23cは外壁パネルフレーム21の内側に取付けられた木片22に外壁11と垂直に固定される。木片22は外壁パネルフレーム21のフレーム外側からビスなどによって取り付けられる。内壁下地24と外壁パネルフレーム21とは各壁11、12に垂直な荷重がかかったときに軸が異なる荷重をうけるように配置される。また、各平面部分41b、41cは例えばステンレス製のビス26によって相手部材に固定される。
【0031】
なお、図6では内壁下地24と外壁パネルフレーム21とがバネ部材41により連結される様子を示したが、内壁下地24と外壁下地25とのバネ部材41による連結もこれと同様に行われる。
【0032】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の防振壁構造によれば、弾性変形が抑制された弾性部材により外壁支持部材と内壁支持部材とを連結してなるので、外壁支持部材と内壁支持部材との連結部分がいわゆるサウンドブリッジを形成するのを防止することができ、これによって遮音性を向上させることができるとともに、外壁支持部材と内壁支持部材とを独立して設けることによるコスト上昇や施工性低下などを回避することができるという優れた効果を奏する。
【0033】
また、弾性部材を金属材料で構成することによって耐火性を損なうことなく遮音性を向上させることも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1に係る防振壁構造の概略構成を示すブロック図である。
【図2】同壁構造に用いられる弾性部材の形状を示す斜視図である。
【図3】同弾性部材による連結の様子を示す側面図である。
【図4】同弾性部材による連結の様子を示す斜視図である。
【図5】本発明の実施形態2に係る防振壁構造に用いられる弾性部材による連結の様子を示す側面図である。
【図6】本発明の実施形態3に係る防振壁構造に用いられる弾性部材による連結の様子を示す側面図である。
【図7】従来の壁構造の概略構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
10 防振壁構造
11 外壁
12 内壁
13 壁支持構造
20 柱
21 外壁パネルフレーム
22 木材
23 バネ部材(弾性部材)
24 内壁下地
25 外壁下地

Claims (3)

  1. 内壁支持部材と外壁支持部材とを、弾性変形が抑制された弾性部材により連結して結合してなる防振壁構造であって、
    前記弾性部材は、湾曲部と、前記湾曲部の一方に第1平面部分と、前記湾曲部の他方に第2平面部分とが形成されるように成形されたバネ板とされ、
    前記第1平面部分は前記内壁支持部材と連結され、前記第2平面部分は前記外壁支持部材と連結され、それにより前記内壁支持部材の前記外壁支持部材に対する鉛直方向の相対的変位が抑制されてなる
    ことを特徴とする防振壁構造。
  2. 内壁支持部材と外壁支持部材とを、弾性変形が抑制された弾性部材により連結して結合してなる壁構造であって、
    前記弾性部材は、湾曲部と、前記湾曲部の一方に第1平面部分と、前記湾曲部の他方に第2平面部分とが形成されるように成形されたバネ板とされ、
    前記第1平面部分と前記第2平面部分とはほぼ平行とされ、
    前記第1平面部分は前記内壁支持部材と連結され、前記第2平面部分は前記外壁支持部材と連結され、それにより前記内壁支持部材の前記外壁支持部材に対する鉛直方向の相対的変位が抑制され、
    前記連結は、内壁下地と外壁パネルフレームとはわずかな隙間となるようににされてなる
    ことを特徴とする防振壁構造。
  3. 前記バネ板が金属材料から形成されてなることを特徴とする請求項1または2記載の防振壁構造。
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