JP6798841B2 - 階段の振動抑制構造 - Google Patents

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Description

本開示は、階段の振動抑制構造に関するものである。
従来、建物ユニットに設けられたユニット階段が知られている(例えば、特許文献1参照)。このようなユニット階段では、昇降時に生じる音や振動を抑えることが求められている。特に、ユニット階段が、室外の共用スペースに設けられたものでは、音、振動を抑えることの要求度が高い。
そこで、ユニット階段の音や振動を抑える技術が種々提案されており、ユニット階段と建物ユニットの構造体との間に、振動を抑えるための振動吸収装置を介在させるものが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
あるいは、ユニット階段の振動を抑制する技術として、踏板を支持する桁の支持剛性を向上する技術も提案されている(例えば、特許文献3参照)。
特開2004−190303号公報 特開2006−152621号公報 特開昭63−297660号公報
しかしながら、特許文献2の技術のように、階段と建物ユニットの構造体との間に振動吸収装置を設ける構造では、振動吸収装置が必要であり製造コストが高くなる、また、振動を吸収する弾性体などが経時劣化して振動吸収性能の低下を招くおそれもある。
また、特許文献3の技術では、桁の下端部を、建物ユニットを貫通して基礎に直接支持する構造であり、階段の桁の下端部を直接基礎で支持する柱や、柱を貫通するボルトや、受け板などの専用の部品が必要で、コストアップを招く。さらに、階段の桁の下端部を支持する位置が基礎の位置に限られ、階段の設置自由度が低い。
本開示は、安価に安定した振動抑制を可能とし、設計自由度に優れる階段の振動抑制構造を提供することを目的とする。
本開示の階段の振動抑制構造は、床梁に支持された床板に、階段の踏板を支持する階段桁の下端部が支持された階段の振動抑制構造であって、前記階段桁の下端部が設置される前記床板と、基礎スラブとの間に、束が設けられていることを特徴とする。
なお、前記床梁の床大梁の間に複数の床小梁が架け渡され、前記束は、前記床小梁と前記基礎スラブとの間に設けられている階段の振動抑制構造としてもよい。
また、前記階段桁の下端部は、前記床小梁と前記床小梁との間に配置され、前記階段桁の下端部を支持する前記床板の下方位置に、前記床梁どうしを連結した支持部材が配置されている階段の振動抑制構造としてもよい。
そして、前記階段桁の下端部が、前記支持部材に固定されていることが好ましい。
さらに、前記束が、前記支持部材と前記基礎スラブとの間に設けられていることが好ましい。
また、前記束は、前記基礎スラブに固定されていることが好ましい。
さらに、前記階段桁の中間部が、防振支柱を介して床材に支持されていることが好ましい。そして、前記防振支柱は、前記床板に固定されていることが好ましい。
よって、本開示の階段の振動抑制構造では、階段桁を支持する床板の剛性が向上し、階段桁の振動を抑え、音、振動の発生を抑制できる。したがって、振動吸収装置などが不要であるとともに、既存の束を用いることで、階段の制振が可能であり、安価に振動抑制を達成可能である。しかも、階段桁の設置位置に制限が無く、設計自由度に優れる。
また、本実施の形態1では、束が、床大梁の間に架け渡された床小梁と基礎スラブとの間に設けられている構造では、床小梁の周囲の床板の剛性を確実に向上させ、階段の昇降時の制振を図ることができる。
さらに、階段桁の下端部を支持する床板の下方位置に、床小梁どうしを連結した支持部材が配置されている構造では、支持部材を設けない構造と比較して、さらに、階段桁の下端部を支持する床板の剛性が向上する。これにより、階段の制振性能をさらに向上できる。
階段桁の下端部が、支持部材に固定された構造では、階段桁の下端部の支持剛性が向上でき、これにより、階段の制振性能をさらに向上できる。
支持部材と基礎スラブとの間に束が設けられた構造では、この束を設けないものと比較して、階段桁の下端部の支持剛性をさらに向上でき、これによって、階段の制振性能をさらに向上できる。
束が、基礎スラブに固定された構造では、この固定を行わないものと比較して、床小梁および支持部材の支持剛性が、さらに向上する。このため、階段の制振性能をさらに向上できる。
加えて、階段桁の中間部が、防振支柱を介して床板に支持された構造では、階段昇降時の階段桁の縦方向の撓みが抑制され、階段の制振性能をさらに向上できる。
そして、防振支柱が、床板に固定された構造では、この固定を行わないものと比較して、階段昇降時の階段桁の縦方向の撓みがさらに抑制され、階段の制振性能をさらに向上できる。
実施の形態1の階段の振動抑制構造を適用したユニット建物の平面図である。 実施の形態1の振動抑制構造を適用した階段の一部を示す分解斜視図である。 実施の形態1の階段の振動抑制構造を適用した階段を示す断面図である。 実施の形態1の階段の振動抑制構造を適用した建物ユニットの床構造の要部を示す斜視図である。 実施の形態1の階段の振動抑制構造の要部を示す断面図である。 実施の形態1の階段の振動抑制構造の要部を示す断面図であって、図5の右方向から見た図である。 実施の形態1の階段の振動抑制構造に用いた支持部材を示す三面図であり、(a)は支持部材の平面図、(b)は支持部材の側面図、(c)は支持部材の正面図である。 実施の形態1の階段の振動抑制構造に用いた力桁を示す図であり、(a)は力桁の平面図、(b)は力桁の側面図、(c)は力桁の底面図、(d)は力桁の下端部の断面図、(e)は(d)の矢印Yeの方向から見た力桁の下端面を示す矢視図、(f)は力桁の上端部の断面図、(g)は(f)の矢印Ygの方向から見た力桁の上端面を示す矢視図である。 実施の形態1の階段の振動抑制構造に用いた防振支柱の取付構造を示す分解斜視図である。 実施の形態1の階段の振動抑制構造に用いた防振支柱の下端部の構造を示す断面図である。 実施の形態1の階段の振動抑制構造に用いた防振支柱の下端部を支持する支持金具を示す斜視図である。
以下、本開示の階段の振動抑制構造を実施するための形態を、図面に基づいて説明する。
(実施の形態1)
実施の形態1の階段の振動抑制構造の構成を、「全体構成」、[力桁支持構造]、[防振支柱の詳細構成]に分けて説明する。
[全体構成]
図1は、実施の形態1の階段の振動抑制構造を適用したユニット建物の模式的な平面図であり、図2は、実施の形態1の階段を示す斜視図であり、図3は、実施の形態1の階段の振動抑制構造を備えた階段の側面図である。以下、図1〜図3に基づいて、実施の形態1の全体構成を説明する。
実施の形態1の階段の振動抑制構造は、図1に示すユニット建物1に適用されている。ここで、ユニット建物1は、2階建てであって、基礎B(図3参照)上に複数の下階の建物ユニット2,…を設置して1階部分を構成し、この1階部分の上に複数の上階の建物ユニット2を載置して構成されている。なお、この上階の建物ユニット2の上には、屋根ユニット(不図示)を設置して屋根を形成している。また、ユニット建物1は、集合住宅であり、1階部分および2階部分のそれぞれに、複数の建物ユニット2により独立した住宅スペース(部屋)が複数形成されている。
下階の建物ユニット2と上階の建物ユニット2は、いずれも、工場生産されており、柱および梁によって箱型に組み立てられた軸組式のものである。なお、下階の建物ユニット2を含む各建物ユニットは、床材の周縁に壁パネルを立設して箱型に組み立てられた壁式工法のものであってもよい。
そして、ユニット建物1は、図1に示すように、複数の下階の建物ユニット2を含む建物ユニットに囲まれた位置に1階と2階をつなぐ階段10を有する階段ユニット3が設けられている。なお、階段ユニット3は、1階部分と2階部分とに跨る吹き抜け空間を有する。
ここで、図3に示す基礎Bおよび床構造について説明を加えると、基礎Bは、基礎スラブB1と基礎梁B2とを備えた、いわゆる、べた基礎構造である。また、階段ユニット3では、桁床大梁3eが、基礎梁B2支持されている。なお、桁床大梁3eは、階段ユニット3の幅方向(図1の上下方向)の両端部において、ユニットの長手方向(図3の左右方向)に延在されている。そして、一対の桁床大梁3eに、図4、図6に示すように、床小梁3aが架け渡されている。なお、図3および後述する図5では、床小梁を指す「3a」の符号の後に(1)(2)(3)(4)のカッコ書き番号を表記するものがあるが、これは後述の説明においてこのカッコ書き番号が付いた特定の床小梁3aを指す場合に使用するものである。したがって、(1)〜(4)の符号を有する特定の床小梁を指さない場合は、単に「3a」と表記する。
図2に戻り、階段10は、階段ユニット3の内階段として設けられたもので、複数の踏板12,…が、その下側から左右一対の力桁11,11によって支持されている。なお、図において矢印Zの方向が上下方向であり、矢印Yの方向が階段10の幅方向であり、矢印X方向が水平面で階段10が延在する方向であり、矢印Sの方向が階段10の傾斜に沿う方向である。
力桁11は、図9に示すように、断面コの字状の溝形鋼により形成されている。そして、図3に示すように、力桁11の下端部11αが床板3dに支持されているとともに、床小梁3a(1)、3a(2)に取り付けられた支持部材40にボルト固定されている。また、力桁11の上端部11βが階段ユニット3の天井梁3cにボルト固定されている。すなわち、力桁11は、下端部11αおよび上端部11βがそれぞれ階段ユニット3の梁構造に支持されている。なお、力桁11の下端部11αの支持構造の詳細については後述する。
ここで、力桁11について説明を加える。
力桁11は、金属製で、図9に示すように、ウェブ11aと上側フランジ11bと下側フランジ11cとでコの字断面状に形成されている。そして、図8に示すように、下端部11αおよび上端部11βが斜めにカットされ、その両端の開口部分に、取付片11d,11eが設けられている。この取付片11d,11eは、力桁11の本体部分を折曲して設けてもよいし、力桁11とは別体の金属板片を溶接により取り付けてもよい。
両取付片11d,11eには、それぞれ一対のボルト挿通穴11fが開口されている。前述した支持部材40および天井梁3cへのボルト固定は、このボルト挿通穴11fを挿通したボルト11gにより行っている。
次に、踏板12について説明する。
踏板12は、図2に示すように、力桁11,11に、踏板接合金具13および踏板受金具14を介して固定されている。この踏板12は、例えば、プラスチック再生複合材によって形成され、ハニカム構造などの強度を有した構造体を有している。踏板12は、平面視長方形の板状で、水平方向に延在された踏面部12aと、この踏面部12aの手前側の段鼻部分から垂下された垂下フランジ部12bとにより、L字断面形状に形成されている。
踏板接合金具13は、上下端部がそれぞれ水平方向に反対向きに屈曲され、上下方向の縦断面がほぼZ形状に形成された金属鋼板によって形成されている。そして、この踏板接合金具13は、下板13aが力桁11の上側フランジ11bにボルト固定されている。また、上板13bの下方から差し込まれ、踏板受金具14を貫通する複数のタッピンネジ15を踏板12の裏面に締結することで、踏板12を踏板接合金具13に固定する。
踏板受金具14は、左右の力桁11,11にそれぞれ固定された左右一対の踏板接合金具13,13間に架け渡され、踏板12への入力荷重を受け止める。この踏板受金具14は、ベース板部14aと、踏み抜け防止部14bと、奥側フランジ部14cとにより、略逆U字断面形状に形成された金属鋼板である。
ベース板部14aは、略長方形の平面形状に形成され、その全面が、踏板12の踏面部12aの裏面に、超高分子量ポリエチレンシート(不図示)を介して接触する。踏み抜け防止部14bは、ベース板部14aの段鼻側の端部から下方に突出し、その下端部は、昇降時に万一、足先が当たった際に引っ掛かることのないようベース板部14aの奥側に向かって折曲されている。さらに、奥側フランジ部14cは、ベース板部14aの奥側の端部から下方に突出し、踏み抜け防止部14bの上下方向寸法よりも短い寸法に形成されている。なお、踏板接合金具13の上板13bは、踏み抜け防止部14bと奥側フランジ部14cとの間に収まる寸法に形成されている。
[力桁支持構造]
次に、力桁11の下端部11αの支持構造を、図5〜図7などに基づいて詳細に説明する。
図5は、力桁11の下端部11αの支持構造を示す拡大断面図である。図6は階段10を図5の右方向から見た断面図である。図7は支持部材40を示す三面図であり、(a)は支持部材40の平面図、(b)は支持部材40を側方から見た側面図、(c)は支持部材40を床小梁3aに直交する方向から見た正面図である。
一対の力桁11,11は、それぞれ、図5に示すように、下端部11αの取付片11d(図8参照)に開口されたボルト挿通穴11f(図8参照)に挿通されたボルト11gが、床板3dを貫通し支持部材40に締結されている。
ここで、支持部材40について詳細に説明する。
支持部材40は、図7(c)に示すように、上片41、中片42、下片43により断面がコの字状の金属製のチャンネル材により形成されている。そして、上片41には、一対の貫通穴44が開口され、この貫通穴と同軸に裏ナット45が溶接されている。なお、支持部材40の床小梁3a(1)、3a(2)への結合は、本実施の形態1では、溶接により行っているが、支持部材40にフランジなどを設け、ボルト、ナットなどの締結部材を用いて結合してもよい。
この支持部材40の長手方向両端部が、図4、図5に示すように、床小梁3a(1)、3a(2)に結合されている。なお、この支持部材40は、各力桁11の下端部11αの真下となる位置に配置されている。
本実施の形態1では、力桁11の下端部11αの支持位置では、図5に示すように、床小梁3a(1)、3a(2)が束50(a),50(b)により支持され、支持部材40が、束50(c)により支持されている。なお、各束50(a),50(b),50(c)は、同一構造のものを用いており、これらの特定のものを指さない場合は、(a)〜(c)を省略して、単に束50と表記する。
束50は、周知の構造であるので、簡単に説明すると、ベースプレート51にウエルドボルト52が立設され、ウエルドボルト52の上端にパイプ53が嵌め込まれている。パイプ53は、ナット54の締付けでウエルドボルト52に一体化されている。パイプ53に対するウエルドボルト52のねじ込み量によって束50の高さが調節される。パイプ53の上端にウエルドボルト55が嵌め込まれ、ナット56の締付けでウエルドボルト55がパイプ53に一体化されている。ウエルドボルト55の上端に支持プレート57が溶接などで固定されている。
各束50のベースプレート51は、基礎スラブB1に、コンクリートビス51aにより固定されている。また、束50(a),50(b)の支持プレート57は、タッピングネジ57aにより床小梁3a(1)、3a(2)に固定されている。また、支持部材40を支持する束50(c)の支持プレート57は、タッピングネジ57bにより支持部材40に固定されている。なお、支持プレート57と床小梁3a(1)、3a(2)および支持部材40との間には、低摩擦性のシート(例えば、ポリオレフィン系フィルム)が介在されている。
[防振支柱の詳細構成]
図3に戻り、力桁11と床板3dとの間に、防振支柱30が設けられている。以下、この防振支柱30の詳細について説明する。
図3に示すように、力桁11の長手方向の中間部が、防振支柱30を介して床板3dに支持されている。防振支柱30は、上下方向に延在された柱部31と、柱部31の上端部と力桁11との間に設けられた防振部32と、を備えている。
柱部31は、中空の角形鋼管によって形成され、力桁11の下方に配置されて、平面視で力桁11の下側フランジ11cと重なって配置されている。また、この柱部31は、図9に示すように、下端部31aの先端に平鋼からなるベースプレート31cが溶接により固定されている。このベースプレート31cは、周縁部が柱部31の周面よりも水平方向にフランジ状に突出されている。そして、このベースプレート31cが、図3、図10に示すように、床小梁3aに取り付けられた支持金具33に、床板3dを貫通するボルト31dによって固定されている。
支持金具33は、図10、図11に示すように、第1片33aと第2片33bとにより断面L字状を成す山形鋼(アングル)によって形成されている。そして、第1片33aが床小梁3aの側面に溶着固定されている。
また、第2片33bが床板3dの下面に対向し、床板3dの下面に沿って延びる支持面となる。そして、ベースプレート31cおよび第2片33bを順に貫通したボルトBOに、第2片33bの下方からナットNが締め付けられている。
防振部32は、図9に示すように、第1片32aと第2片32bとを備えた断面L字状の山形鋼(アングル)によって形成され、柱部31の上端部31bの先端に溶接固定されている。そして、この防振部32は、柱部31に溶接された第1片32aが、桁支持面として力桁11の下側フランジ11c(底面)に固定されている。また、防振部32の第2片32bは、第1片32a(桁支持面)から垂直に立ち上げられ、第2桁支持面として力桁11のウェブ11a(側面)に固定されている。なお、防振部32と力桁11との固定は、ボルトBOおよびナットNによって行われる。また、桁支持面である第1片32aは、柱部31の断面積よりも力桁11の延在方向(矢印X方向)に沿って拡大されている。
さらに、この防振部32は、第1片32aの力桁11に接触する上面321aと、第2片32bの力桁11に接触する内側面321bとが、それぞれ防振材34によって覆われている。ここで、防振材34としては、クロロスルホルン化ポリエチレンゴム(CSM)によって形成されたゴムシートなどの弾性材を用いることができる。
次に、作用を説明する。
力桁11の下端部11αを、床板3dにより支持する構造では、階段昇降時に踏板12を介して力桁11に振動が生じると、その振動が、床板3dに伝達され、音、振動が生じる。また、力桁11が、階段10の高さ方向(図2の矢印Z方向)に撓み、階段10に縦揺れが生じることでも、音、振動が生じる。
特に、本実施の形態1のように、階段ユニット3に隣接して建物ユニット2、すなわち住宅スペース(部屋)が配置されている場合、階段10の振動や音が建物ユニット2の住宅スペース(部屋)に伝達されると、騒音などとして、いっそう問題となる。
それに対し、実施の形態1の階段の振動抑制構造では、桁床大梁3eおよび床小梁3aに支持された床板3dに、階段10の踏板12を支持する力桁11の下端部11αが設置される床板3dと、基礎スラブB1との間に束50が設けられている。このため、力桁11を支持する位置の床板3dの剛性が向上し、階段昇降時の床板3dおよび力桁11の振動を抑え、階段10の制振を図り、音、振動の発生を抑制できる。
特に、本実施の形態1のように、階段ユニット3に隣接して建物ユニット2による住宅スペース(部屋)が配置されている場合、上記のように音、振動を抑制でき、階段10の昇降時に建物ユニット2(部屋)に伝達される音、振動を低減できる。よって、このような集合住宅など住宅スペース外に設置した階段において有効である。また、住宅の騒音としては、相対的に低周波数の振動が騒音として認知されやすい。上記のように、床板3dの剛性を向上させることにより、低周波成分をカットすることができ、騒音抑制に有効となる。
したがって、振動吸収装置などが不要であるとともに、既存の束50を用いることで、階段10の制振が可能であり、安価に振動抑制を達成可能である。しかも、力桁11の設置位置に制限が無く、設計自由度に優れる。
また、本実施の形態1では、束50(a),50(b)が、桁床大梁3eの間に架け渡された床小梁3a(1)、3a(2)と基礎スラブB1との間に設けられているため、床小梁3a(1)、3a(2)の周囲の床板3dの剛性を確実に向上することができる。これにより、上記の床板3dおよび力桁11の振動を抑え、階段昇降時の階段10の制振を図り、音、振動の発生を抑制できる効果を確実に得ることができる。さらに、束50(a),50(b)を、床小梁3aと基礎スラブB1との間に設置するため、床板3dの剛性を広範囲で向上できる。
さらに、力桁11の下端部11αを支持する床板3dの下方位置に、床小梁3a(1)、3a(2)どうしを連結した支持部材40が配置されているため、支持部材40を設けない構造と比較して、さらに、力桁11の下端部11αを支持する床板3dの剛性が向上する。これにより、階段昇降時の床板3dの振動をさらに抑え、階段10の制振を図り、音、振動の発生を抑制できる。
しかも、本実施の形態1では、力桁11の下端部11αが、支持部材40に固定されているため、この固定を行わないものと比較して、力桁11の下端部11αの支持剛性を向上できる。これにより、階段昇降時の階段10の制振を図り、音、振動の発生を抑制できる。
すなわち、力桁11の下端部11αを、支持部材40およびこれを挟む小梁3a(1)、3a(2)により一体に支持することにより、力桁11に振動が生じた場合、支持部材40、小梁3a(1)、3a(2)も一体となって振動する。そこで、束50(a)、50(b)により床小梁3a(1)、3a(2)を支持することで、床小梁3a(1)、3a(2)の振動を抑制できる。これにより、支持部材40の振動が抑制されるとともに、
力桁11の下端部11αの振動も抑制できる。
加えて、支持部材40と基礎スラブB1との間に束50(c)が設けられているため、この束50(c)を設けないものと比較して、力桁11の下端部11αの支持剛性をさらに向上できる。これによって、階段昇降時の階段10の制振を図り、音、振動の発生をさらに抑制できる。
また、束50は、ベースプレート51がコンクリートビス51aにより基礎スラブB1に固定されているため、この固定を行わないものと比較して、床小梁3a(1)、3a(2)および支持部材40の支持剛性が、さらに向上する。このため、階段10の制振を図り、音、振動の発生を抑制できる。しかも、実施の形態では、束50の上端部の支持プレート57を、床小梁3aおよび支持部材40に結合したため、この結合を行わないものと比較して、床小梁3aおよび支持部材40の剛性および床板3dが向上する。これにより、さらに制振性能を向上可能である。
そして、上述のように床小梁3a(1)、3a(2)および支持部材40の振動を抑制できることにより、その隣に配置された床小梁3a(3)、3a(4)に伝達される振動を抑制することができる。これにより、床板3d全体の振動を抑えることができるとともに、階段ユニット3に隣接する建物ユニット2の部屋などへの振動の伝達を抑えることができ、騒音抑制効果を向上できる。
本実施の形態1では、実際に階段10を昇降時の騒音を検出する実験を行った結果、床子梁3a(1)、3a(2)を束50(a)、50(b)により支持した場合、この支持を行わないものと比較して、騒音を1.0dB低減できた。
また、支持部材40を束50(c)により支持した場合、この支持を行わないものと比較して、騒音を2.0dB低減できた。
加えて、力桁11の中間部が、防振支柱30を介して床板3dに支持されているため、防振支柱30を設けないものと比較して、昇降時の力桁11の縦方向の撓みが抑制され、階段10の制振を図り、音、振動の発生を抑制できる。
しかも、防振支柱30は、床板3dに固定されているため、この固定を行わないものと比較して、昇降時の力桁11の縦方向の撓みが抑制され、階段10の制振を図り、音、振動の発生を抑制できる。さらに、防振支柱30の下端部は、床小梁3aに結合した支持金具33に結合したため、床板3dのみに結合した場合よりも、さらに、昇降時の力桁11の縦方向の撓みが抑制され、階段10の制振を図り、音、振動の発生を抑制できる。
以上、本開示の階段振動抑制構造を実施の形態に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
実施の形態では、階段桁として、踏板を下方から支持する力桁を用いたいわゆる「力桁階段」を示したが、これに限定されず、例えば、階段桁として、踏板の端部を支持する側桁を用いた「側桁階段」に適用することもできるし、階段桁として、踏板を段形に切り込んだ形状のささら桁によって下方から支持する「ささら桁階段」に適用することもできる。
また、実施の形態では、束を床梁と基礎スラブとの間、および、支持部材と基礎スラブとの間に設けた例を示したが、これに限定されず、少なくとも、床梁と基礎スラブとの間に束を設けていれば、床板により階段桁の支持剛性が向上し、制振作用を得ることが可能である。
さらに、実施の形態では、階段桁(力桁)の下端部が、床梁と床梁との間に配置されたものを示したが、これに限定されず、例えば、階段桁の下端部を、床梁の上方に重なる位置に配置することも可能である。また、階段桁(力桁)の下端部が、床梁と床梁との間に配置されたものにあっても、実施の形態で示したように、階段桁の下端部の下方に支持部材を設けずに、床板のみで支持するようにしてもよい。
あるいは、階段桁の下端部を支持する床板の下方位置に、床梁どうしを連結した支持部材が配置されているものにおいて、階段桁を、支持部材に結合しないものも本開示に含まれる。このような構造であっても、階段桁を支持する床板の剛性が向上することから、制振効果を高めることが可能である。
また、束は、基礎スラブ、小梁、支持部材に固定したものを示したが、これに限定されず、基礎スラブ、小梁、支持部材のいずれか、あるいは全てに固定しない場合でも、束を設けたことによる、床板の剛性を向上して、制振性能の向上が可能である。
また、実施の形態では、階段桁の中間部が、防振支柱を介して床材に支持されている例を示したが、これに限定されず、防振支柱を設けなくてもよい。あるいは、防振支柱に代えて、階段桁を、建物ユニットの側壁に結合してもよい。
さらに、実施の形態では、防振支柱は、床板に固定されている例を示したが、これに限定されず、床板に固定することなく、単に、階段桁を支持した構造としてもよい。さらに、実施の形態では、防振支柱は、小梁に設けた支持金具に結合したが、これに限定されず、床板のみに固定してもよい。
そして、実施の形態では、振動抑制構造を、階段ユニットの内階段として設けられた階段に適用した例を示したが、これに限らない。例えば、建物の外部に設置される外階段であっても適用することができる。
さらに、振動抑制構造を適用する階段は、実施の形態で示したユニット建物に設置される階段に限定されるものではなく、ユニット建物以外の在来工法などによる一般建築物にも適用可能である。
3a 床小梁(床梁)
3d 床板
3e 桁床大梁(床梁:床大梁)
10 階段
11 力桁(階段桁)
30 防振支柱
40 支持部材
50(a) 束
50(b) 束
50(c) 束
B 基礎
B1 基礎スラブ

Claims (6)

  1. 床梁に支持された床板に、階段の踏板を支持する階段桁の下端部が支持された階段の振動抑制構造であって、
    前記床梁の床大梁の間に複数の床小梁が架け渡され、
    前記階段桁の下端部は、前記床小梁と前記床小梁との間に配置され、
    前記階段桁の下端部を支持する前記床板の下方位置に、前記床小梁どうしを連結した支持部材が配置され、
    前記階段桁の下端部が、前記支持部材に固定され、
    前記床小梁と基礎スラブとの間と、前記支持部材と前記基礎スラブとの間に束が設けられていることを特徴とする階段の振動抑制構造
  2. 請求項1に記載の階段の振動抑制構造において、
    前記束は、前記基礎スラブに固定されていることを特徴とする階段の振動抑制構造
  3. 請求項1または請求項2に記載の階段の振動抑制構造において、
    前記階段桁の中間部が、防振支柱を介して床材に支持されていることを特徴とする階段の振動抑制構造
  4. 請求項に記載の階段の振動抑制構造において、
    前記防振支柱は、前記床板に固定されていることを特徴とする階段の振動抑制構造
  5. 請求項4に記載の階段の振動抑制構造において、
    前記防振支柱は、前記床小梁に取り付けられた支持金具に固定されていることを特徴とする階段の振動抑制構造
  6. 請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の階段の振動抑制構造において、
    前記階段は、階段ユニットの内階段として設けられ、
    前記階段ユニットは、建物ユニットに隣接して設けられていることを特徴とする階段の振動抑制構造。
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