JP2016128629A - 制震天井構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】上下地震動に対する制震効果が得られる制震天井構造を提供する。
【解決手段】上部構造体2に垂設された吊りボルト3と、吊りボルト3の下端部に取り付けられる天井下地4と、天井下地4に固定される天井板材5と、上部構造体2と天井下地4との間に設けられた縦型制振装置10と、を備えており、縦型制振装置10は、上部構造体2に垂設された束柱11を備えており、束柱11の下端部は天井下地4および天井板材5の上下動を減衰するための第一の制振材12を介して天井下地4に接続されていることを特徴とする。縦型制振装置10は、隣り合う吊りボルト3,3の中間部に設けられている。
【選択図】図2

Description

本発明は、制震天井構造に関する。
地震対策を施した天井構造としては、天井板材または天井下地と、壁の界面に制振装置を取り付けたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この天井構造は、天井板材の外周部と対応位置の壁面との間に、天井制震装置が介在されている。
特開2008−138464号公報
ところで、近年では国土交通省から告示された「特定天井および特定天井の構造耐力上安全な構造方法を定める件(平成25年国土交通省告示第771号)」によると、「水平方向の地震力に加えて、天井面構成部材および天井面構成部材に地震その他の振動および衝撃により生じる力を負担させるものの総重量に、数値が1以上の鉛直震度を乗じて得られた鉛直方向の地震力」に対して安全性の検証を行うことが規定されている。
しかしながら、特許文献1の天井構造は、水平方向における制震効果を得ることができるが、上下方向(鉛直方向)における制震効果を得られるものではなかった。
そこで、本発明は、前記の問題点を解決することを目的とするものであり、上下地震動に対する制震効果が得られる制震天井構造を提供することを課題とする。
前記課題を解決するための本発明は、上部構造体に垂設された吊りボルトと、前記吊りボルトの下端部に取り付けられる天井下地と、前記天井下地に固定される天井板材と、前記上部構造体と前記天井下地との間に設けられた縦型制振装置と、を備えており、前記縦型制振装置は、前記上部構造体に垂設された束柱を備えており、前記束柱の下端部は前記天井下地および前記天井板材の上下動を減衰するための第一の制振材を介して前記天井下地に接続されていることを特徴とする制震天井構造である。
このような構成によれば、束柱の下端部に設けられた第一の制振材が変形することで、天井板材および天井下地の上下動を吸収できるので、上下地震動に関する制震効果を得ることができる。
本発明の制震天井構造においては、前記第一の制振材は、減衰性を有する減衰体と防振性を有する防振体とを積層してなる粘弾性体にて構成されていることが好ましい。このような構成によれば、減衰性能と防振性能の両方の効果を得られる。
また、本発明の制震天井構造において、前記天井下地の周縁部と壁との間に設けられた横型制振装置をさらに備えており、前記横型制振装置は、前記壁から前記天井下地に向かって延在する下地受け部材を備えており、前記下地受け部材の先端部の側面は、前記天井下地および前記天井板材の上下動および水平動を減衰するための第二の制振材を介して前記天井下地に接続されていることが好ましい。このような構成によれば、横型制振装置によって、天井下地の水平動と上下動の両方を吸収できるので、水平地震動に関する制震効果を得られるだけでなく、上下地震動に関する制震効果を高めることができる。
さらに、本発明の制震天井構造において、前記第二の制振材は、減衰性を有する減衰体と防振性を有する防振体とを積層してなる粘弾性体にて構成されていることが好ましい。このような構成によれば、横型制振装置においても、減衰性能と防振性能の両方の効果を得られる。
また、本発明の制震天井構造において、前記上部構造体と前記天井下地との間には、平面視で互いに直交する二方向に延在するブレースが設けられており、隣り合う前記吊りボルトのうち、一方の前記吊りボルトの上端部に前記ブレースの上端部が接続され、他の前記吊りボルトの下端部に前記ブレースの下端部が接続されていることが好ましい。このような構成によれば、ブレースによって、効率的に天井面のねじれおよび変形を抑制することができる。また、縦型制振装置と横型制振装置と組み合わせてブレースを設けたことで、制震効果をより一層高めることができる。さらに、ブレースの設置箇所数が少なくて済むので、天井裏に配置される各種配管の設置スペースを確保することができる。よって、配管の施工作業が行い易くなる。
本発明によれば、天井構造において上下地震動に対する制震効果を得ることができる。
本発明の実施形態に係る制震天井構造を示した図であって、(a)は全体平面図、(b)は側面図である。 本発明の実施形態に係る制震天井構造の縦型制振装置の取付状態を示した図であって、(a)は野縁受けに沿った方向に見た側面図、(b)は野縁に沿った方向に見た側面図である。 本発明の実施形態に係る制震天井構造の縦型制振装置の取付状態を示した斜視図である。 本発明の実施形態に係る制震天井構造の横型制振装置の取付状態を示した図であって、(a)は側面図、(b)は平面図である。 本発明の実施形態に係る制震天井構造の横型制振装置の取付状態を示した斜視図である。 本発明の実施形態に係る制震天井構造の横型制振装置の変形例の取付状態を示した図であって、(a)は野縁受けに取り付けた形態を示した側面図、(b)は野縁に取り付けた形態を示した側面図である。 本発明の実施形態に係る制震天井構造のブレースの取付状態を示した側面図である。
本発明の実施形態に係る制震天井構造1は、図1に示すように、上部構造体2(図1の(b)参照)に垂設された吊りボルト3と、吊りボルト3の下端部に取り付けられる天井下地4と、天井下地4に固定される天井板材5と、縦型制振装置10と、横型制振装置20と、ブレース30とを備えている。
上部構造体2は、天井スラブ(上階の床スラブ)、屋根スラブ、梁等である。本実施形態では、上部構造体2が鉄筋コンクリート部材からなるが、上部構造体2の材質は限定されない。また、上部構造体2が水平に形成されているが、上部構造体2は傾斜していてもよい。
吊りボルト3は、長尺ボルトからなる。吊りボルト3は、天井下地4の上方で、図1の(a)の紙面左右方向および上下方向に所定ピッチで複数設けられている。吊りボルト3の上端は、上部構造体2に埋設されたナット部材(図示せず)に螺合されている。吊りボルト3の下端部には、吊り型防振装置50が設けられている。
図2および図3に示すように、吊り型防振装置50は、吊りボルト3と天井下地4との間で、揺れの伝達を防止するための部材であり、吊りボルト3の下端部と、天井下地4との間に介設されている。
吊り型防振装置50は、筒型ハンガー部51と、弾性ゴム52と、貫通ボルト53とを備えている。
筒型ハンガー部51は、側面視で断面矩形の筒形状を呈している。筒型ハンガー部51の上面部と下面部にボルト貫通孔がそれぞれ形成されている。筒型ハンガー部51の上面部には、吊りボルト3の下端部が挿通されている。吊ボルト3は、筒型ハンガー部51の上面部の上下に配置されたナットによって筒型ハンガー部51の上面部に固定されている。
弾性ゴム52は、筒型ハンガー部51の内側で、筒型ハンガー部51の下面部の上側に設けられている。弾性ゴム52には、ボルト貫通孔が設けられている。このボルト貫通孔は、筒型ハンガー部51の下面部のボルト貫通孔と同軸になるように形成されている。なお、弾性ゴム52は、下面部に加えて、上面部の下側に設けてもよい。
貫通ボルト53は、筒型ハンガー部51の下面部および弾性ゴム52に挿通されていて、弾性ゴム52の上側に配置されたナットによって弾性ゴム52に固定されている。貫通ボルト53の下端部には、天井下地4を支持する取付ハンガー6が固定されている。
天井下地4は、複数の棒状材(複数の野縁4aと複数の野縁受け4b)を格子状に組み合わせて形成されている。複数の野縁4aは、互いに平行に配置されているおり、複数の野縁受け4bは、互いに平行に配置されているとともに、野縁4aに直交している。
野縁4aは、天井板材5を保持する棒状部材であって、天井板材5の上側に配置されている。本実施形態の野縁4aは、断面C字状のリップ溝形形状を呈しており、ウェブが下側になるように配置されている。野縁4aは、ウェブが天井板材5の上面に当接した状態で天井板材5の上面に連結されていて、天井板材5を支持している。
野縁受け4bは、野縁4aを保持する棒状部材であって、野縁4aの上側に配置されている。本実施形態の野縁受け4bは、断面溝形のチャンネル材にて構成されており、一対のフランジが上下に位置してウェブが立った状態で配置されている。野縁受け4bは、下側のフランジが野縁4aの上面のリップ部に当接した状態で、野縁4aと連結されている。野縁4aと野縁受け4bとは、公知の連結金具を介して連結されている。なお、野縁受け4bは、前記構成に限定されるものではなく、たとえば断面C字状のリップ溝形鋼にて構成されていてもよい。また、野縁4aと野縁受け4bの固定方法は連結金具に限定されるものではなく、例えば、ビスなどにより直接固定してもよい。
野縁受け4bは、取付ハンガー6を介して吊り型防振装置50に吊り下げられている。図3に示すように、取付ハンガー6は、側面視でC型形状を呈しており、貫通ボルト53の下端部にナットを介して固定されている。また、取付ハンガー6は、その垂直片6bと底板片6cと立上り片6dとによって野縁受け4bを下面側および両側面側から覆うことで、野縁受け4bを抱持している。なお、取付ハンガー6の形状は、一例であって、他の形状であってもよい。
縦型制振装置10は、主に上下地震動を吸収する制振装置である。縦型制振装置10は、図2に示すように、上部構造体2に垂設された束柱11を備えている。
束柱11は、その下端部に配置した制振材12(第一の制振材)を介して天井下地4に接続されている。部屋の中央に近い場所(壁から離れた場所)では、束柱11は、隣り合う吊りボルト3,3の中間部(野縁受け4bのスパン中央部)に設けられている。具体的には、野縁受け4bを支持する複数の吊りボルト3のうち、隣り合う一対の吊りボルト3,3の中間位置に、束柱11が設けられている(図1の(a)のX4通りとX5通りの間の縦型制振装置10)。なお、部屋の周縁に近い場所(壁に近い場所)では、束柱11は、隣り合う吊りボルト3,3のうち、部屋の中央に近い吊りボルト3寄りに設けられている(図1の(a)のX1通りとX2通りの間の縦型制振装置10およびX6通りとX7通りの間の縦型制振装置10)。
本実施形態の束柱11は、断面矩形の角パイプからなり、野縁4aの上方に配置されている。束柱11の下端面と野縁4aの上面間には、隙間が設けられている。
束柱11の上端面は、上部構造体2の下面に当接している。束柱11の上端部は、一対の取付ブラケット13,13を介して上部構造体2に固定されている。取付ブラケット13は、例えば断面L字状のアングル材からなる。
図3にも示すように、束柱11の下端部の側方には、一対の取付ブラケット14,14が設けられている。取付ブラケット14は、例えば断面L字状のアングル材からなる。取付ブラケット14,14は、束柱11の下端部を野縁受け4bの延在方向両側から挟むように配置されている。各取付ブラケット14は、束柱11の側面に対向して隙間をあけて配置されており、野縁4aを上から覆う固定用カバー15の上面にボルト固定されている。固定用カバー15は、断面形状が下向きに開口する溝形状を呈しており、野縁4aの上から被せられている。固定用カバー15の両側面は、野縁4aの両側面にそれぞれビス止めされている(図2および図3参照)。
なお、本実施形態では、縦型制振装置10の束柱11は、野縁4aに接続されているが、野縁受け4bに接続してもよい。ただし野縁受け4bに束柱11を接続する場合は、野縁受け4bを補強する必要があるので、野縁4aに接続するのが好ましい。
制振材12は、束柱11と取付ブラケット14との間に設けられている。制振材12は、板状を呈しており、防振性能を備えたゴム(防振体)と減衰性能を備えたゴム(減衰体)とを積層してなる粘弾性体にて構成されている。制振材12は、束柱11の側面およびアングル材の背面に対して、接着剤あるいは両面テープなどを用いて固定されている。
横型制振装置20は、水平地震動と上下地震動の両方を吸収する制振装置である。横型制振装置20は、天井面の周縁部の複数個所(野縁4aおよび野縁受け4bの各端部)に設けられている(図1の(a)および図5参照)。図4および図5に示すように、横型制振装置20は、壁を構成する部材に固定される下地受け部材21と、下地受け部材21と天井下地4の端部との間に介設される制振材22(第二の制振材)とを備えている。
図4に示すように、本実施形態の下地受け部材21は、たとえば断面溝形のチャンネル材からなり、壁7から天井下地4の側方に向かって水平方向に延在している。なお、下地受け部材21はチャンネル材に限定されるものではない。
野縁受け4bに接続される下地受け部材21は、野縁受け4bの延在方向が法線となる壁7から延在しており、壁7に対して直交する方向(野縁受け4bに平行な方向)に延在している。下地受け部材21は、野縁受け4bと同等の高さに設けられている。下地受け部材21の先端部の側面は、制振材22を介して野縁受け4b(天井下地4)に接続されている。
図5に示すように、野縁4aに接続される下地受け部材21は、野縁4aの延在方向が法線となる壁(図示せず)から延在し、野縁4aと同等の高さに設けられる。つまり、下地受け部材21は、接続される天井下地4(野縁4aまたは野縁受け4b)と平行に且つ同じ高さで配置されている。
図4の(b)および図5に示すように、下地受け部材21の基端部は、壁下地8の側面に当接しており、ボルトまたはビスによって壁下地8の側面に固定されている。壁下地8に貼着された壁表面材9には、下地受け部材21を通すための貫通孔9aが形成されている。貫通孔9aは、下地受け部材21の断面よりも一回り大きく形成されており、下地受け部材21の左右上下の移動を許容している。
下地受け部材21の先端部は、野縁受け4bの側面に対向している。下地受け部材21と野縁受け4bとの間には、制振材22(第二の制振材)が設けられている。
制振材22は、板状を呈しており、防振性能を備えたゴム(防振体)と減衰性能を備えたゴム(減衰体)とを積層してなる粘弾性体にて構成されている。制振材22は、下地受け部材21の側面および野縁受け4bの側面に対して、接着剤あるいは両面テープなどを用いて固定されている。
なお、図4においては、下地受け部材21が野縁受け4bの一側面に連結されているが、野縁受け4bの両側方に下地受け部材21を設けて、野縁受け4bを挟み込むようにしてもよい。この場合、制振材22は、野縁受け4bの端部の両側面を挟むように配置され、両側面にそれぞれ接着されている。
次に、図6を参照しながら、内装や意匠上の制約等において下地受け部材21を天井下地4と同じ高さに設置できない際に採用される横型制振装置20の形態を説明する。なお、図6は、天井と壁7の間にカーテンボックス24を設ける場合の例である。
下地受け部材21は、カーテンボックス24の上部に設けられており、壁下地8の側面から野縁受け4bの上方に延在している。下地受け部材21の基端部は、壁下地8の側面(図6では手前側)にボルトまたはビスによって固定されている。下地受け部材21の先端部の側方には、接続ブラケット25が設けられている。
接続ブラケット25は、たとえば断面溝形のチャンネル材からなり、野縁受け4bの側面(図6の(a)参照)、または野縁4aの側面(図6の(b)参照)に固定されている。なお、接続ブラケット25は、チャンネル材に限定されるものではない。接続ブラケット25は、野縁受け4bまたは野縁4aの側面から上方に立ち上がっている。下地受け部材21のウェブ部は、接続ブラケット25のウェブ部と隙間をあけて対向している。下地受け部材21と接続ブラケット25との間には、制振材22が設けられている。
制振材22は、下地受け部材21の側面および接続ブラケット25の側面に対して、接着剤あるいは両面テープなどを用いて固定されている。
図1の(a)に示すように、天井面が矩形形状である場合、ブレース30は、天井面の角部に設けられる。ブレース30は、たとえば、断面U字のチャンネル材にて構成されている。なお、ブレース30は、チャンネル材に限定されるものではなく、アングル材や角パイプなど他の形状であってもよい。
以下では、ブレース30の取付位置を、図1(a)の左下部分を例に挙げて説明する。図1の(a)では、左下から紙面上側に向かうに連れてX1、X2・・通りとし、紙面右側に向かうに連れてY1、Y2・・通りとしている。Xn通りは、野縁受け4bに沿っており、Yn通りは、野縁4aに沿っている。
本実施形態のブレース30は、最も外側(図1(a)X1通りとY1通りの交点)にある吊りボルト3よりもX軸方向およびY軸方向とも一つずつ内側(X2通りとY2通りの交点)に設けられた吊りボルト3を中心として、平面視で互いに直交する二方向(X軸方向とY軸方向)に延在するようにL字状に配置されている。
ブレース30は、第一のブレース30aと、平面視で第一のブレース30aと直交する方向に配置された第二のブレース30bとを備えている。第一のブレース30aは、X2通りとY2通りの交点に設けられた吊りボルト3と、X3通りとY2通りの交点に設けられた吊りボルト3との間に架け渡されている。第二のブレース30bは、X2通りとY2通りの交点に設けられた吊りボルト3と、X2通りとY3通りの交点に設けられた吊りボルト3との間に架け渡されている。
なお、天井面の角部に通路などが設けられて入隅形状になっているなど、矩形形状ではない場合は、通路の近傍の入隅角部あるいは出隅角部にブレース30を設ければよい。
図7に示すように、第一のブレース30aは、第二のブレース30b側の端部が低くなるように傾斜している。第一のブレース30aの下端部は、吊りボルト3の下端部(吊り型防振装置50の上方位置)に溶接されている。第一のブレース30aの上端部は、隣り合う吊りボルト3の上端部(上部構造体2の近傍)に溶接されている。
第二のブレース30bは、第一のブレース30a側の端部が低くなるように傾斜している。第二のブレース30bの下端部は、吊りボルト3の下端部(吊り型防振装置50の上方位置)に溶接されている。第二のブレース30bの下端部は、第一のブレース30aの下端部と互いに干渉しないように取付高さを変えて固定されている。第二のブレース30bの上端部は、隣り合う吊りボルト3の上端部(上部構造体2の近傍)に溶接されている。
ブレース30と吊りボルト3の固定方法は、溶接に限定されるものではなく、公知の取付金具を用いてもよい。また、ブレース30の下端部は、吊りボルト3ではなく、吊り型防振装置50に固定してもよい。
以上のような構成の制震天井構造1では、地震時に上下地震動が加わった際に、縦型制振装置10の制振材12が上下方向に変形することで、天井板材5および天井下地4の上下動を吸収できる。このとき、束柱11の下端と天井下地4との間に隙間があるので、天井下地4が突き上げられたとしても、天井下地4と束柱11が干渉するのを防止できる。また、制振材12は、防振性能を備えたゴムと減衰性能を備えたゴムを積層してなる粘弾性体にて構成されているので、防振性能と減衰性能の両方の効果を得られる。
さらに、制震天井構造1では、上下地震動の影響を最も大きく受ける天井下地4のスパン中央部に縦型制振装置10を設けているので、天井板材5および天井下地4の上下動を効率的に吸収することができる。このように、縦型制振装置10を配置すれば、上下地震動に関する制震効果を得ることができる。
なお、制振材12は、束柱11および取付ブラケット13に接着するだけでよいので、構造が簡単であるとともに施工が容易である。天井が高い場合には、足場を組んで施工する必要があるため、天井用資材は、なるべく軽量で且つ簡便な構成であることが望まれるが、制震天井構造1によれば、これを達成できる。
さらに、天井面の周縁部に横型制振装置20が設けられているので、さらなる制震効果を得られる。具体的には、横型制振装置20の下地受け部材21の先端部の側面が制振材22を介して天井下地4の側面に接続されているため、制振材22が水平方向および上下方向の両方に変形し、これにより、天井板材5および天井下地4の水平動と上下動の両方を吸収できる。しかも、制振材22は、防振性能を備えたゴムと減衰性能を備えたゴムを積層してなる粘弾性体にて構成されているので、水平方向と上下方向の両方において防振性能と減衰性能の両方の効果を得られる。
このように、横型制振装置20を配置すれば、水平地震動に関する制震効果を得られるだけでなく、縦型制振装置10の制震効果に加えて上下地震動に関する制震効果を高めることができる。
また、横型制振装置20は、野縁4aの両端部と野縁受け4bの両端部にそれぞれ設けられているので、あらゆる方向の水平動を吸収することができる。
さらに、下地受け部材21および制振材22を、天井下地4(野縁4aまたは野縁受け4b)の両側方にそれぞれ設けて、天井下地4の端部を挟む構成とすれば、横型制振装置20の制震効果をより一層高めることができる。
また、X軸方向およびY軸方向の二方向に延在するブレース30を、天井面の角部に設けたことによって、天井下地4の水平移動を拘束するとともに、吊りボルト3および天井下地4の捩れおよび変形を抑制することができる。つまり、ブレース30を設けたことで、制震効果をより一層高めることができる。さらに、ブレース30の設置箇所数は、ブレース30のみで天井下地4の水平移動を拘束していた場合と比較して大幅に少なくて済むので、天井裏に配置される各種配管の設置スペースを確保することができる。これによって、配管の施工作業が行い易くなるとともに、天井裏の雑物が減少するため、空調ダクトや配管などの天井裏設備と天井構造物との干渉が少なくなり、各種配管ルートへの制約がなくなる。
以上のような制震天井構造1によれば、平成25年国土交通省告示第771号に対応する構造として、上下方向(鉛直方向)における制震効果を得ることができる。
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。例えば、前記実施形態では、縦型制振装置10は、天井面の中央寄りに設けているが、天井面の周縁部に設けてもよい。
また、前記実施形態では、制振材12,22を、防振性能を備えたゴムと減衰性能を備えたゴムとを積層してなる粘弾性体にて構成しているが、これに限定されるものではない。制振材12,22は、防振性能を備えた弾性体で構成してもよい。
1 制震天井構造
2 上部構造体
3 吊りボルト
4 天井下地
4a 野縁(棒状体)
4b 野縁受け(棒状体)
5 天井板材
10 縦型制振装置
11 束柱
12 制振材(第一の制振材)
20 横型制振装置
21 下地受け部材
22 制振材(第二の制振材)
30 ブレース

Claims (5)

  1. 上部構造体に垂設された吊りボルトと、前記吊りボルトの下端部に取り付けられる天井下地と、前記天井下地に固定される天井板材と、前記上部構造体と前記天井下地との間に設けられた縦型制振装置と、を備えており、
    前記縦型制振装置は、前記上部構造体に垂設された束柱を備えており、前記束柱の下端部は前記天井下地および前記天井板材の上下動を減衰するための第一の制振材を介して前記天井下地に接続されている
    ことを特徴とする制震天井構造。
  2. 前記第一の制振材は、減衰性を有する減衰体と防振性を有する防振体とを積層してなる粘弾性体にて構成されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の制震天井構造。
  3. 前記天井下地の周縁部と壁との間に設けられた横型制振装置をさらに備えており、
    前記横型制振装置は、前記壁から前記天井下地に向かって延在する下地受け部材を備えており、
    前記下地受け部材の先端部の側面は、前記天井下地および前記天井板材の上下動および水平動を減衰するための第二の制振材を介して前記天井下地に接続されている
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の制震天井構造。
  4. 前記第二の制振材は、減衰性を有する減衰体と防振性を有する防振体とを積層してなる粘弾性体にて構成されている
    ことを特徴とする請求項3に記載の制震天井構造。
  5. 前記上部構造体と前記天井下地との間には、平面視で互いに直交する二方向に延在するブレースが設けられており、
    隣り合う前記吊りボルトのうち、一方の前記吊りボルトの上端部に前記ブレースの上端部が接続され、
    他の前記吊りボルトの下端部に前記ブレースの下端部が接続されている
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の制震天井構造。
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