JP4983326B2 - 改良地盤およびその施工方法 - Google Patents

改良地盤およびその施工方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4983326B2
JP4983326B2 JP2007075945A JP2007075945A JP4983326B2 JP 4983326 B2 JP4983326 B2 JP 4983326B2 JP 2007075945 A JP2007075945 A JP 2007075945A JP 2007075945 A JP2007075945 A JP 2007075945A JP 4983326 B2 JP4983326 B2 JP 4983326B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sheet
ground
vibration
rubber
foundation
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2007075945A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2008231851A (ja
Inventor
長範 佐藤
武志 菊地
Original Assignee
武志 菊地
ビイック株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 武志 菊地, ビイック株式会社 filed Critical 武志 菊地
Priority to JP2007075945A priority Critical patent/JP4983326B2/ja
Publication of JP2008231851A publication Critical patent/JP2008231851A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4983326B2 publication Critical patent/JP4983326B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Foundations (AREA)
  • Vibration Prevention Devices (AREA)

Description

本発明は、改良地盤およびその施工方法に関するものであり、詳しくは、基礎に対する地震力を低減させるための改良地盤およびその施工方法に関するものである。
戸建て住宅などの小規模の建物の基礎に関して、比較的安価で且つ免震効果に優れた耐震性基礎構造が種々検討されている。斯かる耐震性基礎構造としては、例えば、地盤に形成された地盤側基礎と、当該地盤側基礎の上に配置された住宅側基礎と、地盤側基礎と住宅側基礎との間に設けられた複数個の摩擦軽減機構とから成り、当該摩擦軽減機構が、地盤側基礎に設けられた板材と、住宅側基に設けられ且つ前記の板材上をスライドする滑動部材とから構成された「住宅減震用基礎構造」が提案されている。そして、斯かる基礎構造においては、地盤側基礎の板材が、金属板、セラミック板、樹脂板、石板、コンクリート板などで構成され、また、住宅側基礎の滑動部材が、鋼材等の金属、セラミック、樹脂体などで構成されている。
また、上記の基礎構造の施工においては、地盤側のコンクリート基礎を敷設した後、コンクリート固着防止用のビニールシートを介して、住宅側のコンクリート基礎を敷設する。その際、住宅側基礎に貫通穴を形成し且つ当該貫通穴の下端外周部に凹部を形成することにより、養生後に貫通穴を利用して住宅側基礎だけをジャッキで持ち上げ、摩擦軽減機構の板材を地盤側基礎上に配置し、貫通穴の下端外周部の凹部に摩擦軽減機構の滑動部材を装着する。上記の基礎構造は、地震の衝撃力を摩擦軽減機構の滑り性により減衰させ、住宅側基礎へ伝わる主に地震の横揺れを軽減することを企図したものである。
特許第3761799号公報
ところで、上記の基礎構造は、住宅側基礎を構築する際に複数の貫通穴を形成しなければならない点、一度構築した住宅側基礎を摩擦軽減機構の設置の際にジャッキアップしなければならい点、複数箇所に摩擦軽減機構を設置しなければならない点において、施工性に問題がある。また、地震の衝撃力に対するより高い減衰効果を得るには、摩擦軽減機構において、摩擦力がより小さくなる様な材料構成を検討する必要がある。更に、摩擦軽減機構が長期に渡って損傷や変形を来すことなく、耐久性に優れていることも重要である。
本発明は、上記の実情に鑑み、建物の基礎が設置される地盤の改良において地震動の減衰効果を発揮させるべくなされたものであり、その目的は、建物の基礎に対する地震力を低減させるための改良地盤であって、より簡便に施工でき且つ基礎に対する主に水平方向の地震力を一層低減することが出来る耐久性に優れた改良地盤、ならびに、当該改良地盤の施工方法を提供することにある。
上記の課題を解決するため、本発明の改良地盤においては、根切り部に敷設した調整地盤と下地調整シートにより支持力を確保し且つ平坦化を図り、シート状の振動減衰手段と平板状の防振ゴムとを積層することにより、地震の際に基礎へ伝わる衝撃力を低減する様にした。その際、振動減衰手段として、摺動材としてのフッ素樹脂シート又は超高分子ポリエチレンシート或いはこれら2種のシートの組合せから成る振動減衰手段を全面に敷設することにより、施工性と耐久性を飛躍的に高め、しかも、地震の衝撃力を一層小さくする様にした。
すなわち、本発明の要旨は、建物の基礎に対する地震力を低減させる改良地盤であって、根切り部の底に敷設された砕石または捨てコンクリートから成る調整地盤の上面に下地調整シート、シート状の振動減衰手段および平板状の防振ゴムが順次に積層された構造を備え、前記振動減衰手段は、フッ素樹脂シート又は超高分子ポリエチレンシートからそれぞれ成る第1の摺動材と第2の摺動材とを重ね合わせて構成され且つ前記防振ゴムの下面全体に対応する位置に配置されていることを特徴とする改良地盤に存する。
また、本発明の他の要旨は、上記の改良地盤の施工方法であって、根切り部の底に調整地盤を敷設した後、当該調整地盤の上面に対し、第1の摺動材が上面に貼着された下地調整シートを積層し、更に、第2の摺動材が下面に貼着された平板状の防振ゴムを積層することを特徴とする改良地盤の施工方法に存する。
本発明に係る改良地盤によれば、調整地盤、下地調整シート、シート状の振動減衰手段および平板状の防振ゴムが順次に積層された層構造を備え且つ振動減衰手段が防振ゴムの下面全体に対応する位置に配置されているため、施工が極めて簡単であり、また、振動減衰手段と防振ゴムとが積層され且つ振動減衰手段がフッ素樹脂シート又は超高分子ポリエチレンシートからそれぞれ成る第1の摺動材と第2の摺動材とを重ね合わせて構成されているため、地震の際に地盤から基礎へ伝わる衝撃力を低減でき、特に地震の水平方向の衝撃力を大幅に低減させることが出来る。しかも、シート状および板状の部材の積層によって構成され、機械構造部分がないため、優れた耐久性能を発揮できる。また、本発明に係る改良地盤の施工方法によれば、根切り部の底に敷設した調整地盤に対し、予め第1の摺動材が貼着された下地調整シート、予め第2の摺動材が貼着された防振ゴムを順次に積層する簡単な施工により、地震動の減衰効果に優れた改良地盤を構築できる。
本発明に係る改良地盤およびその施工方法の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明に係る改良地盤の一構造例を示す縦断面図である。図2は、図1の部分的な拡大図であり、本発明に適用されるシート状の振動減衰手段の構成を示す縦断面図である。図3は、振動減衰手段の減衰効果を確認するための振動試験装置の概要を示す側面図である。図4〜図6は、振動試験で確認された振動減衰手段の減衰効果を示すグラフである。
本発明の改良地盤は、図1に示す様に、例えば、木造や軽量鉄骨造による戸建て住宅などの軽量の建物(図示せず)の基礎(8)を敷設するための地盤である。具体的には、建物および基礎(8)を含む50kN/m以下の鉛直荷重を支持する改良地盤であり、基礎(8)に対する地震力を低減させるために構築される。本発明の改良地盤は、基礎(8)の少なくとも基部を埋設するために地盤(1)に掘削された根切り部(11)において構成され、根切り部(11)の底、好ましくは床付け面に敷設された砕石または捨てコンクリートから成る調整地盤(2)の上面に下地調整シート(3)、シート状の振動減衰手段(4)及び平板状の防振ゴム(5)が順次に積層された構造を備えている。
本発明において、基礎(8)は、連続基礎(布基礎)、べた基礎の何れでもよいが、より優れた減衰効果が得られる点からすると、図に例示したべた基礎が好ましい。図1に示す様に、根切り部(11)は、地盤(1)の水平方向の揺れが基礎(8)へ直接伝播しない様に、基礎(8)の外周部よりも100〜400mm程度大きな寸法で掘削され、その深さは、上記の調整地盤(2)としての砕石または捨てコンクリート及び防振ゴム(5)を敷設するため、基礎(8)の底面の埋設深さから更に50〜300mm程度掘り下げた深さとされる。
調整地盤(2)は、建物および基礎(8)を支持するに足る耐力を確保するために施工される。通常、根切り部(11)の底には床付けが施される。そして、調整地盤(2)は、根切り部(11)の床付け面に対し、砕石を転圧して構成されるか、あるいは、図示する様に、厚さ50〜250mm程度に捨てコンクリートを打設して構成されることにより、略平坦面として仕上げられる。
下地調整シート(3)は、調整地盤(2)の表面の微小な凹凸やうねりに対して更に不陸調整を行うために積層される。下地調整シート(3)としては、アスファルトシート又はゴムシートが使用される。アスファルトシートの場合は、厚さが2〜10mm、針入度20以上のものが好ましく、また、ゴムシートの場合は、厚さが5〜30mm、ゴム硬度30度以上のものが好ましい。上記の様な下地調整シート(3)を積層することにより、後述する振動減衰手段(4)を一層平坦かつ滑らかな状態で配置することが出来、振動減衰手段(4)における摩擦力をより低減することが出来る。
ところで、一般的に想定されている地震加速度の卓越周波数は、大地震、中小地震の場合、1.56〜6.25Hzであり、斯かる周波数における地盤(1)の加速度は、気象庁の震度階を参考にすれば、大地震の場合で400gal以上、中小地震の場合で250〜400galが想定される。従って、基礎(8)に対する上記の様な地震の揺れ及び衝撃力を低減するには、減衰率を出来る限り大きくする必要がある。そこで、本発明の改良地盤においては、下地調整シート(3)の上面に上記のシート状の振動減衰手段(4)が積層される。
振動減衰手段(4)は、図2に示す様に、フッ素樹脂シート又は超高分子ポリエチレンシートからそれぞれ成る第1の摺動材(41)と第2の摺動材(42)とを重ね合わせて構成される。すなわち、フッ素樹脂シート又は超高分子ポリエチレンシートから成る第1の摺動材(41)と、フッ素樹脂シート又は超高分子ポリエチレンシートから成る第2の摺動材(42)とを組み合わせて構成される。しかも、図1に示す様に、これら第1の摺動材(41)及び第2の摺動材(42)は、少なくとも防振ゴム(5)の下面全体に対応する位置に配置される。
上記のフッ素樹脂シートを構成するフッ素樹脂としては、テトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ化エチレンポリプロピレンコポリマー(FEP)、テトラフルオロエチレン−エチレンコポリマー(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテルコポリマー(PFA)等があげられる。フッ素樹脂シートの厚さは、通常0.1〜2mm、好ましくは0.1〜0.5mmである。
また、超高分子ポリエチレンシートを構成するポリエチレンは、いわゆるチーグラ触媒で製造される分子量100万以上のポリエチレンであり、耐衝撃性、耐磨耗性に優れ且つ摩擦係数が低い素材である。超高分子ポリエチレンシートの厚さは、通常0.1〜2mm、好ましくは0.1〜0.5mmである。なお、第1の摺動材(41)及び第2の摺動材(42)は、滑り性および耐久性の観点から、フッ素樹脂シートで構成されるのが最も好ましい。
振動減衰手段(4)においては、第1の摺動材(41)及び第2の摺動材(42)が上記の様な材料で構成されていることにより、耐荷重性に優れ、しかも、材料同士の融着を惹起することがない。しかも、地震の揺れに対する減衰率を一層大きくすることが出来る。すなわち、前述の様な地震の加速度に対する基礎(8)側の応答加速度を低減するには、地震の卓越振動数が1.5〜6.3Hzであることから、この領域での第1の摺動材(41)と第2の摺動材(42)との間の静摩擦係数を小さく設計することが重要であるが、上記の様な材料で構成されていることにより、第1の摺動材(41)と第2の摺動材(42)との静摩擦係数を0.15〜0.4の範囲に設定できる。
第1の摺動材(41)と第2の摺動材(42)の静摩擦係数を上記の範囲に設定する理由は次の通りである。すなわち、静摩擦係数が0.15よりも更に小さい場合には、台風などで大きな風圧を受けた際に建物が移動する可能性があり、また、静摩擦係数が0.4よりも大きい場合には、基礎(8)側の応答加速度が大きくなり、地震動に対する十分な減衰効果が得られない。
上記の振動減衰手段(4)の上面には、基礎(8)を含む建物(図示省略)の鉛直荷重を支持すると共に、鉛直方向および水平方向の地震の揺れを更に減衰するための平板状の防振ゴム(5)が配置される。防振ゴム(5)において、振動減衰特性を発揮させ且つ上部の建物および基礎(8)を含む前述の50kN/mまでの鉛直荷重を支持するには、防振ゴム(5)自体が過剰に変形することなく前述の荷重を十分に支持でき、かつ、塑性変形しないことが重要である。具体的には、防振ゴム(5)の鉛直荷重に対する歪率を15%以下に設計するのが好ましい。
防振ゴム(5)は、上記の鉛直荷重を支持でき且つ当該鉛直荷重に対する歪率が上記の範囲に抑制され、しかも、上下方向の地震力の増幅が抑制される様に設計されるのが好ましい。換言すれば、地震の卓越振動数(f)と防振ゴム(5)の固有振動数(fr)の比(f/fr)を出来る限りゼロに近づける様に設計される。そこで、防振ゴム(5)の物性として、1辺10cmの正方形(試料)に形成した場合の水平バネ定数は1〜10kN/cm、鉛直バネ定数は5〜60kN/cmに設定される。そして、防振ゴム(5)の厚さ(高さ)は10〜100mmに設定される。本発明においては、前述の振動減衰手段(4)に加え、防振ゴム(5)の上記の構成により、地震の揺れを更に効果的に低減することが出来る。
防振ゴム(5)の素材としては、耐酸性、耐アルカリ性、耐水性、耐微生物性、耐油性、耐有機溶剤性に優れたゴムが好ましい。斯かるゴムとしては、例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリルニトリル−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、アクリルゴム、エチレン−アクリルゴム、多硫化ゴム、エピクロルヒドリンゴム、ニトリルゴム−塩化ビニル樹脂ブレンド、ニトリルゴム/EPDMブレンド、並びに、再生ゴム等が挙げられる。これらのゴムには、オイル類、加硫剤、老化防止剤などが必要に応じて添加されてもよい。斯かる組成の防振ゴム(5)は、廃タイヤ等を粉砕して得られる粒状原料からも製造でき、廃タイヤ等を利用した場合には、資源の有効活用を図ることが出来る。
また、根切り部(11)の内周部には、当該内周部の崩壊を防止するため、コンクリートブロックや地先ブロックを配列したりコンクリートを打設して成る側壁(61)が設けられる。そして、防振ゴム(5)及び基礎(8)の外周部の側壁(61)との隙間には、基礎(8)の水平方向の揺動を緩衝するため、例えば、大きな粒径、好ましくは10〜50mmの粒径のゴムチップから成る緩衝材(62)が充填される。なお、緩衝材(62)としてゴムチップを充填する場合は、振動減衰手段(4)の第1の摺動材(41)と第2の摺動材(42)の間にゴムチップが入り込まない様に、防振ゴム(5)の外周部および第1の摺動材(41)の外周部を覆う保護シート(63)が敷設される。
上記の様な緩衝材(62)を充填した場合には、地震動による防振ゴム(5)及び基礎(8)の水平方向への移動ならびに変形に追従して緩衝材(62)の層全体が変形し、防振ゴム(5)の変形を制限することないため、揺れに対して防振ゴム(5)の減衰特性を十分に発揮させることが出来る。上記の緩衝材(62)は、地表面に相当する高さ(グランドレベル)まで充填され、そして、地盤内への雨水などの浸透を防止するため、側壁(61)及び緩衝材(62)の上端は、ブチルゴム等のゴム製あるいはポリエチレン等の樹脂製の防水シート(7)で覆われる。
本発明の改良地盤および基礎(8)の施工方法は次の通りである。すなわち、図1に示す様に、先ず、地盤(1)を掘削し、計画されている基礎(8)よりも平面形状が前述の寸法だけ大きな根切り部(11)を前述の深さで形成する。次いで、根切り部(11)の底を床付けし、斯かる床付け面に例えば捨てコンクリートを所定の厚さに打設し、これを養生して調整地盤(2)を構築する。更に、調整地盤(2)の上面外周部にブロックを配列する等して側壁(61)を構築する。
続いて、調整地盤(2)の上面全体に下地調整シート(3)を貼付積層する。その際、図2に示す様に、下地調整シート(3)として、予め第1の摺動材(41)が上面に貼着されたシートを使用する。下地調整シート(3)を積層した後は、下地調整シート(3)の上面、すなわち、第1の摺動材(41)の上面に防振ゴム(5)の敷設領域を罫書き、防振ゴム(5)を積層する。その際、防振ゴム(5)として、予め第2の摺動材(42)が下面に貼着された防振ゴムを使用し、第1の摺動材(41)に第2の摺動材(42)を重ね合わせる状態に積層する。なお、防振ゴム(5)の面積は、基礎(8)よりも大きく且つ調整地盤(2)よりも幾分小さく設定する。上記の様に、第1の摺動材(41)が貼着された下地調整シート(3)、および、第2の摺動材(42)が貼着された防振ゴム(5)を順次に積層することにより、取扱い難いシート物を引き回すことなく、簡単に振動減衰手段(4)を構成することが出来る。
防振ゴム(5)を配置した後は、防振ゴム(5)の上面において基礎(8)の敷設位置を決定し、そして、基礎(8)を構築する。基礎(8)は、配筋工を施し且つコンクリート型枠を組んで内部にコンクリートを打設する従来公知の施工方法により構築される。更に、基礎(8)を施工した後は、防振ゴム(5)の外周部に保護シート(63)を張設し、防振ゴム(5)及び基礎(8)の外周面と側壁(61)との間に緩衝材(62)を充填し、更に、側壁(61)と緩衝材(62)の上面に防水シート(7)を被せる。防水シート(7)の施工においては、側壁(61)を構築する際、防水シート(7)の一端を側壁(61)の外周面に挟み込み、また、防水シート(7)の他端を基礎(8)の外周面に貼着することにより、簡単に施工でき且つ防水シート(7)の施工後の剥がれを防止できる。また、防水シート(7)を敷設した後は、防水シート(7)を保護し且つ建物周りの美観を向上するため、防水シート(7)の上に砂利や小石を配置してもよい。
上記の様に、本発明の改良地盤は、根切り部(11)に対し、調整地盤(2)、下地調整シート(3)、シート状の振動減衰手段(4)及び防振ゴム(5)が順次に積層された層構造を備え且つ振動減衰手段(4)が防振ゴム(5)の下面全体に対応させて配置されているため、施工が極めて簡単である。また、本発明の改良地盤においては、振動減衰手段(4)と防振ゴム(5)とが積層され、しかも、フッ素樹脂シート又は超高分子ポリエチレンシートからそれぞれ成る第1の摺動材(41)及び第2の摺動材(42)を重ね合わせて振動減衰手段(4)が構成されているため、地震の際に地盤(1)から基礎(8)へ伝わる衝撃力を低減でき、特に地震の水平方向の衝撃力を大幅に低減させることが出来る。
すなわち、地震発生時、地盤(1)から調整地盤(2)へ地震動が伝わった場合、下地調整シート(3)上面の振動減衰手段(4)は、加速度(衝撃力)が所定の大きさに至らない弱い揺れに対しては調整地盤(2)及び下地調整シート(3)と共に挙動する。しかしながら、地震動の加速度(衝撃力)が所定の大きさを越えると、振動減衰手段(4)において、第1の摺動材(41)と第2の摺動材(42)の相互の摩擦力が極めて低いため、基礎(8)の荷重が掛かる第2の摺動材(42)は、その慣性力により、調整地盤(2)及び下地調整シート(3)と共に振動する第1の摺動材(41)に追従して振動することがなく、当初の位置を中心に微動する。更に、基礎(8)の荷重が掛かるゴム製の防振ゴム(5)は、それ自体の弾性変形により、基礎(8)へ伝わる振動を低減させる。その結果、上記の様に基礎(8)に対する地震の衝撃力を低減することが出来る。しかも、本発明の改良地盤においては、シート状および板状の部材の積層によって構成され、機械構造部分がないため、優れた耐久性能を発揮できる。
また、上記の様な本発明に係る改良地盤の施工方法によれば、根切り部(11)の底に敷設した調整地盤(2)に対し、予め第1の摺動材(41)が貼着された下地調整シート(3)、予め第2の摺動材(42)が貼着された防振ゴム(5)を積層するだけの簡単な施工により、地震動に対する減衰効果に優れた改良地盤を構築できる。
本発明の改良地盤における振動減衰手段(4)の摩擦係数を測定し、更に、振動減衰手段(4)の減衰効果について確認した。
振動減衰手段(4)の摩擦係数の測定においては、先ず、粉体ゴムをシート状に圧縮成形した第1及び第2の2枚のゴムマット(商品名「バラストマット」)を準備し、第1のゴムマットの片面に第1の摺動材(41)を貼着し、第2のゴムマットの片面に第2の摺動材(42)を貼着した。第1及び第2のゴムマットは、各々、縦300mm、横300mm、厚さ25mmであった。次いで、第1のゴムマットをテーブル上に固定し、第1の摺動材(41)と第2の摺動材(42)を付き合わせる状態に、第1のゴムマットの上に第2のゴムマットを重ねた後、第2のゴムマットの上面全面に平板を載せ、更に、平板上に錘を載せた。そして、ばね秤を介し、水平方向に平板をゆっくりと一定速度で引張り、平板移動時の水平方向の引張力をばね秤で測定し、第1の摺動材(41)と第2の摺動材(42)の静動摩擦係数を算出した。
上記の測定においては、第1の摺動材(41)と第2の摺動材(42)の材料の組合せ(フッ素樹脂シートと高分子ポリエチレンシートの組合せ)を変え、また、第2の摺動材(42)に対する荷重を3通りに変えて、材料の組合せの違いによる静摩擦係数の違いを確認した。フッ素樹脂シート及び高分子ポリエチレンシートの厚さは何れも0.2mmであり、また、第2のゴムマット及び平板の質量分を含めて錘により第2の摺動材(42)に加えた荷重は、4.44kN/m、8.89kN/m、11.1kN/mであった。その結果、以下の表に示す結果が得られた。なお、表中の引張力および静摩擦係数の値は3〜10回の測定における平均値である。
Figure 0004983326
振動減衰手段(4)の減衰効果は、図3に示す様な振動試験装置を使用して確認した。図3に示す振動試験装置は、金属製の振動台(90)の一端に設置した入力側の加速度センサー(9A)で振動台(90)の揺れの加速度の大きさを検出し、被験物側に設置した出力側の加速度センサー(9B)で被験物に伝わる揺れの加速度の大きさを検出するものである。
振動試験に当たっては、前述の摩擦係数の測定と同様に、片面に第1の摺動材(41)を貼着した第1のゴムマット(91)、および、片面に第2の摺動材(42)を貼着した第2のゴムマット(92)を準備し、第1のゴムマット(91)を振動台(90)に固定した後、第1の摺動材(41)と第2の摺動材(42)を付き合わせる状態に、第1のゴムマット(91)の上に第2のゴムマット(92)を重ね、第2のゴムマット(92)の上面全面に加圧板(平板)(93)を載せ、更に、加圧板(93)上に錘(94)を載せた。
振動試験においては、第2の摺動材(42)に対する荷重が第2のゴムマット(92)及び平板(93)を含めて10kN/mとなる様に、錘(94)の質量を調節した。そして、地震動に平均的な卓越振動数3Hzで振動台(90)を振動させ且つ出力(加速度)を徐々に増大させながら、振動台(90)の上面に設置した加速度センサー(9A)により、振動台(90)の揺れの加速度の大きさを測定すると共に、加圧板(93)の端部に設置した加速度センサー(9B)により、振動減衰手段(4)を介して伝播された揺れの加速度の大きさを測定した。また、第1の摺動材(41)と第2の摺動材(42)の材料の組合せ(フッ素樹脂シートと高分子ポリエチレンシートの組合せ)を変えることにより、材料の組合せの違いによる減衰効果の違いを確認した。
その結果、図4〜図6に示す様にな結果が得られた。図4は、2枚のフッ素樹脂シートを組み合わせた試験の結果、図5は、フッ素樹脂シートと高分子ポリエチレンシートを組み合わせた試験の結果、図6は、2枚の高分子ポリエチレンシートを組み合わせた試験の結果をそれぞれ示している。また、図4〜図6に破線で示すグラフは、入力側の加速度センサー(9A)で得られた信号であり、振動台(90)に発生させた振動の加速度である。一方、実線で示すグラフは、出力側の加速度センサー(9B)で得られた信号であり、被験物に伝わった振動の加速度である。グラフからも明らかな様に、特定のシートを重ね合わせた振動減衰手段(4)は、シートの組合せにより、約600galの加速度を約200〜300gal(図4)、約250〜350gal(図5)、約300〜400gal(図6)まで低減できることが判る。
本発明に係る改良地盤の一構造例を示す縦断面図である。 図1の部分的な拡大図であり、本発明に適用されるシート状の振動減衰手段の構成を示す縦断面図である。 振動減衰手段の減衰効果を確認するための振動試験装置の概要を示す側面図である。 振動試験で確認された振動減衰手段の一例の減衰効果を示すグラフである。 振動試験で確認された振動減衰手段の他の例の減衰効果を示すグラフである。 振動試験で確認された振動減衰手段の更に他の例の減衰効果を示すグラフである。
符号の説明
1 :地盤
11:根切り部
2 :調整地盤
3 :下地調整シート
4 :振動減衰手段
41:第1の摺動材
42:第2の摺動材
5 :防振ゴム
61:側壁
62:緩衝材
63:保護シート
7 :防水シート
8 :基礎

Claims (6)

  1. 建物の基礎に対する地震力を低減させる改良地盤であって、根切り部の底に敷設された砕石または捨てコンクリートから成る調整地盤の上面に下地調整シート、シート状の振動減衰手段および平板状の防振ゴムが順次に積層された構造を備え、前記振動減衰手段は、フッ素樹脂シート又は超高分子ポリエチレンシートからそれぞれ成る第1の摺動材と第2の摺動材とを重ね合わせて構成され且つ前記防振ゴムの下面全体に対応する位置に配置されていることを特徴とする改良地盤。
  2. 第1の摺動材と第2の摺動材との静摩擦係数が0.15〜0.4である請求項1に記載の改良地盤。
  3. 防振ゴムの上面側外周部には、基礎の水平方向の揺動を緩衝する緩衝材が配置されている請求項1又は2に記載の改良地盤。
  4. 下地調整シートが、針入度20以上のアスファルトシート又はゴム硬度30度以上のゴムシートである請求項1〜3の何れかに記載の改良地盤。
  5. 防振ゴムは、1辺10cmの正方形に形成した場合の水平バネ定数が1〜10kN/cmで且つ鉛直バネ定数が5〜60kN/cmであり、厚さが10〜100mmである請求項1〜4の何れかに記載の改良地盤。
  6. 請求項1〜5の何れかに記載の改良地盤の施工方法であって、根切り部の底に調整地盤を敷設した後、当該調整地盤の上面に対し、第1の摺動材が上面に貼着された下地調整シートを積層し、更に、第2の摺動材が下面に貼着された平板状の防振ゴムを積層することを特徴とする改良地盤の施工方法。
JP2007075945A 2007-03-23 2007-03-23 改良地盤およびその施工方法 Active JP4983326B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007075945A JP4983326B2 (ja) 2007-03-23 2007-03-23 改良地盤およびその施工方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007075945A JP4983326B2 (ja) 2007-03-23 2007-03-23 改良地盤およびその施工方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008231851A JP2008231851A (ja) 2008-10-02
JP4983326B2 true JP4983326B2 (ja) 2012-07-25

Family

ID=39904983

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007075945A Active JP4983326B2 (ja) 2007-03-23 2007-03-23 改良地盤およびその施工方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4983326B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016128629A (ja) * 2015-01-09 2016-07-14 大成建設株式会社 制震天井構造
CN108560576A (zh) * 2018-03-13 2018-09-21 黑龙江科技大学 型钢混凝土框架柱隔震支座装置及其施工方法

Families Citing this family (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5201340B2 (ja) * 2008-09-04 2013-06-05 武志 菊地 振動吸収機構を含む改良地盤、同施工方法、及び該改良地盤を含む建築物
JP5332018B2 (ja) * 2009-09-17 2013-11-06 丸勝建築株式会社 地盤免震構造およびこれを用いた地盤免震工法
JP5386321B2 (ja) * 2009-11-26 2014-01-15 大和ハウス工業株式会社 基礎下免震の周辺部構造
JP5386322B2 (ja) * 2009-11-26 2014-01-15 大和ハウス工業株式会社 基礎下免震の周辺部構造
JP5590447B2 (ja) * 2010-06-18 2014-09-17 すてきナイスグループ 株式会社 地震動が抑制可能な建築地盤構造およびその構築方法
JP5620886B2 (ja) * 2011-06-14 2014-11-05 大成建設株式会社 杭基礎構造
WO2013094136A1 (ja) * 2011-12-20 2013-06-27 株式会社ブリヂストン 空気ばね
CN104563151A (zh) * 2013-10-09 2015-04-29 刘章发 柔韧复合防震建筑技术基础坑结构切面图
JP6384809B2 (ja) * 2014-06-12 2018-09-05 武志 菊地 地震力減衰ユニット、該ユニットを使用する改良地盤並びにその施工方法
CN105863314A (zh) * 2015-01-23 2016-08-17 重庆建工住宅建设有限公司 一种防微振建筑结构及其建造方法
CN106368236B (zh) * 2016-10-14 2021-01-19 国网山西省电力公司晋城供电公司 一种采空区自适应调整基础的装置及方法
KR101797748B1 (ko) * 2017-04-21 2017-11-14 (주)큐 한옥용 안전점검장치 및 한옥용 안전점검장치가 구비된 지진 대비 기능을 갖는 한옥
CN113684859B (zh) * 2021-08-13 2023-10-03 中国建筑第二工程局有限公司 光电实验园区临近既有地铁防微振结构基础建设施工方法

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2789185B2 (ja) * 1996-03-06 1998-08-20 孝吉 山本 木造建築物の免震構造

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016128629A (ja) * 2015-01-09 2016-07-14 大成建設株式会社 制震天井構造
CN108560576A (zh) * 2018-03-13 2018-09-21 黑龙江科技大学 型钢混凝土框架柱隔震支座装置及其施工方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2008231851A (ja) 2008-10-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4983326B2 (ja) 改良地盤およびその施工方法
Kelly Seismic isolation systems for developing countries
JP5196059B1 (ja) 減震基礎構造体及びそれを用いた減震工法
JP2007070859A (ja) 建造物の免震施工方法および免震構造
JP2013245502A (ja) 免震構造
JP5834223B2 (ja) 重量構造物の可塑性コロイドによる免震構造と免震素材
JP4994338B2 (ja) 免震構造体及びその製造方法
JP4546290B2 (ja) 構造物の免震基礎構造及び構築方法
Nanda et al. Friction base isolation by geotextiles for brick masonry buildings
JP5590447B2 (ja) 地震動が抑制可能な建築地盤構造およびその構築方法
JP2016000932A (ja) 免震構造の原点復帰手段と原点復帰方法、並びに該手段を備えた改良地盤
JPH1037212A (ja) 免震地盤
JP6384809B2 (ja) 地震力減衰ユニット、該ユニットを使用する改良地盤並びにその施工方法
JP5192851B2 (ja) 減震構造物
Toopchi-Nezhad et al. A novel elastomeric base isolation system for seismic mitigation of low-rise buildings
JP5201340B2 (ja) 振動吸収機構を含む改良地盤、同施工方法、及び該改良地盤を含む建築物
JP5332018B2 (ja) 地盤免震構造およびこれを用いた地盤免震工法
JP2008284551A (ja) 海面処分場の遮水構造及び遮水工法
JP4828951B2 (ja) 積層ゴム支承体、及び免震防振構造
JP3373834B2 (ja) 建物の基礎構造
JP3194554U (ja) 床構造
CN209703939U (zh) 一种空腔式隔音减震楼板结构
JP4695650B2 (ja) 免震・制震装置
JP2011241602A (ja) 支承体を用いた耐風地盤免震構造およびその工法
JPH0893845A (ja) 軽負荷用免震構造体

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100209

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20110215

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20110216

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20111024

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120327

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120409

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4983326

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150511

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250