JP5196059B1 - 減震基礎構造体及びそれを用いた減震工法 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡便に且つ低コストで施工でき、様々に想定される地震入力動や立地地盤の卓越振動数(卓越周期)と建物の固有振動数(固有周期)との組み合わせに対しても適用することができ、地盤から伝播入力する地震動を効果的に減震することができる減震基礎構造体及びそれを用いた減震工法を提供する。
【解決手段】地盤から建物へ伝播入力する地震動を減震する機能を有する減震基礎構造体Cであって、建物の基礎Aと基礎基盤Bとの間に設置される、上下方向に少なくとも2層に積層された土のう積層体Dを備え、土のう積層体Dを、上下の土のう1,1間の摩擦係数が比較的小さく水平方向に滑りやすくした滑り型土のう積層体S,S,…と、上下の土のう1,1間の摩擦係数が比較的大きく水平方向に滑りにくくした摩擦型土のう積層体F,F,…とにより構成した。
【選択図】図1

Description

本発明は、地盤から建物(建築構造物)へ伝播入力する地震動を減震する機能を有する減震基礎構造体及びそれを用いた減震工法に関するものである。
有数の地震国である日本においては、地震による建物(建築構造物)の被害を経験する毎に耐震設計手法の進歩があり、単に地震力に耐えるという設計思想から、入力地震動を建物内部の制震メカニズムによりコントロールする制震技術やさらには地震入力動そのものを遮断しようとする免震技術を発展させてきた(例えば、特許文献1〜3参照。)。これらの耐震・制震・免震技術は一定の成果を挙げているものであるが、これらの技術を付加した施工を行うと建設費が嵩むとともに高度な施工技術が要求されるため、一般の低層建物や戸建て住宅等に対しては適用し難い面がある。すなわち、多くの小規模建築物に対して、直接、制震・免震工法を導入することが困難であるため、簡便に且つ低コストで施工できる、地盤から建物へ伝播入力する地震動を減震する工法が求められている。
このような減震工法として、土のうの持つ個別性及び柔軟性を活用した土のう積層体を用いることが提案されており(例えば、特許文献4及び非特許文献1参照。)、土のう積層体の減震効果については、地震動のように繰り返しせん断力を受ける状態下においてその挙動が推測される土のう内部の砂や礫材間の擦れ合いによる摩擦エネルギー及び個々の土のう境界面の間の滑り変位による摩擦エネルギーの消費によって説明でき、一定鉛直荷重下での繰り返しせん断力を受ける土のう積層体のせん断荷重(応力比:せん断応力τ/垂直応力σ)とせん断変形(せん断ひずみγ)との関係は、図10のようになることが確かめられている(例えば、特許文献4の図23〜図26及び非特許文献1の図6参照。)。図10から、土のう積層体の繰り返し水平力下の履歴曲線は非常に安定しており、それぞれのループ毎に算定した等価減衰定数heq(例えば、非特許文献2参照。)も他の建設材料に比べて図11に示すように非常に大きな値であり、地震等の震動現象に対して高減衰材料として利用することができる。
また、地震動のように多数回の繰り返しせん断力が作用する場合には、多数回の繰り返しせん断力が作用する間の安定性についての性能も重要な点であるが、3段(層)の土のう積層体に100回の繰り返しせん断力を作用させた図12の結果によると、耐荷力の低下が全く見られずに非常に安定していることが分かる(例えば、非特許文献3参照。)。
特開2000−282704号公報 特開2010−189853号公報 特開2008−248629号公報 特許第3783029号公報
松岡,山本,山口,「土のう積層体の振動低減効果と等価減衰定数」,日本建築学会大会学術講演梗概集(東海),2003年9月,p.233−234 柴田明徳著,「最新耐震構造解析(最新建築学シリーズ9)」,森北出版,1981年,p.49 金,山本,「多数回繰返しせん断力を受ける袋詰め補強土積層体の挙動特性」,日本建築学会大会学術講演梗概集,B−1構造I,2010年9月,p.447−448
地震による建物の損傷・被害の程度との相関がもっとも良いのは、ある周波数帯の平均的な速度だと言われている。すなわち、ある大きさの加速度がどれだけ長い間作用したかということであり、これはつまり速度と同じ意味を持つものであるが、実地震波による算定が必要であるため、簡便な評価に用いることはできない。
そこで、建物の損傷・被害の程度と加速度との間には、経験的にある程度の相関が認められるので、図13に示すような加速度応答倍率を用いて地震による建物の損傷・被害の程度を評価することができる。ここで、図13の縦軸は、(応答加速度/地動入力加速度)、横軸は、(対象とする建物の固有周期/地動入力周期)、すなわち(地動入力振動数f/対象とする建物の固有振動数f0)であり、(f/f0)に対して地動入力加速度が建物に入ってどれだけ増幅されるかという増幅率を示しており、この増幅率である加速度応答倍率は減衰定数hの値によって急激に変化し、(f/f0)が大きい領域では、加速度応答倍率が1.0以下になっているため、このような領域では建物にとって有利となる。
また、地震による建物の損傷・被害の程度は単に入力加速度や速度のレベルのみによって決まるものではなく、建物が立地する地盤や入力地震波の卓越振動数と建物自身の固有振動数との関係により大きく左右される。
すなわち、地震による建物の損傷・被害の程度を減ずるためには、想定される地震入力動や立地地盤の卓越振動数に対し、できるだけ建物の固有振動数が小さくなるように(建物の固有周期が大きくなるように)して十分な減衰性能を持たせることが免震工法の要点である。
しかしながら、様々に想定される地震入力動や立地地盤の卓越振動数(卓越周期)と建物の固有振動数(固有周期)との組み合わせに対しては、免震工法の適用限界があり、特に一般の低層小型で軽い建物に対しては適用が困難となる。
さらに、前述の特徴がある土のう積層体を基礎に用いた場合であっても、前記適用限界は存在するため、土のう積層体を用いた基礎構造体においても、様々に想定される地震入力動や立地地盤の卓越振動数(卓越周期)と建物の固有振動数(固有周期)との組み合わせに対して適用範囲を広げるという観点からは、改良の余地がある。
そこで、本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、簡便に且つ低コストで施工でき、様々に想定される地震入力動や立地地盤の卓越振動数(卓越周期)と建物の固有振動数(固有周期)との組み合わせに対しても適用することができ、地盤から伝播入力する地震動を効果的に減震することができる減震基礎構造体及びそれを用いた減震工法を提供する点にある。
本発明に係る減震基礎構造体は、前記課題解決のために、地盤から建物へ伝播入力する地震動を減震する機能を有する減震基礎構造体であって、前記建物の基礎と基礎基盤との間に設置される、上下方向に少なくとも2層に積層された土のう積層体を備え、前記土のう積層体を、上下の土のう間の摩擦係数が比較的小さく水平方向に滑りやすくした滑り型土のう積層体と、上下の土のう間の摩擦係数が比較的大きく水平方向に滑りにくくした摩擦型土のう積層体とにより構成したことを特徴とする。
また、本発明に係る減震基礎構造体は、前記課題解決のために、地盤から建物へ伝播入力する地震動を減震する機能を有する減震基礎構造体であって、前記建物の基礎と基礎基盤との間に設置される、上下方向に少なくとも2層に積層された土のう積層体と、前記土のう積層体を構成する上下の土のう層間の一部布設された滑りシート体とを備え、前記土のう積層体を構成する上下の土のう層間の中で、前記滑りシート体を挟む前記上下の土のう層間を水平方向に滑りやすくくするとともに、前記滑りシート体を挟まない前記上下の土のう層間を水平方向に滑りにくくしたことを特徴とする。
これらのような構成によれば、上下方向に少なくとも2層に積層された土のう積層体による減震機能により、地盤から伝播入力する地震動を効果的に減震することができる。
その上、土のう積層体が、その下側に打設された地盤改良体又は鉄筋コンクリート等である一体の基礎基盤上に設置されていることから、多くの軟弱地盤上においても施工が容易であるとともに、土のう層の積層面を常に水平に保つことができるため、地震水平力に対する土のう積層体の減震性能を長期間にわたって維持することができる。
その上さらに、土のう積層体の鉛直耐荷力については、既にその驚異的な耐荷性能に関する評価方法が確立しているため、上側の建物及び基礎の荷重を下側の基礎基盤へスムーズに伝達することができる。
その上、柱下毎に免震装置を設置する免震構造のように、建物の荷重を集中的に支持するために大掛かりかつ高コストになる構造と比較して、建物の荷重を敷き均した土のう積層体全体で面支持するので、基礎構造がより安定するとともに、簡便に且つ低コストで施工することができる。
その上さらに、土のう積層体が、上下の土のう間の摩擦係数が比較的小さく水平方向に滑りやすくした滑り型土のう積層体と、上下の土のう間の摩擦係数が比較的大きく水平方向に滑りにくくした摩擦型土のう積層体とにより構成されるか、あるいは、上下の土のう層間の一部に布設された滑りシート体により土のう積層体を構成する上下の土のう層間の一部が水平方向に滑りやすいように構成されるので、滑り型土のう積層体又は水平方向に滑りやすい上下の土のう層と、摩擦型土のう積層体又は滑りシート体を挟まないため水平方向に滑りにくい状態のままである上下の土のう層との構成比率を、施工時に所望の比率に設定することが容易である。
よって、想定される地震入力動や例えば1〜10Hz程度である立地地盤の卓越振動数(例えば0.1〜1.0s程度である卓越周期)と建物の固有振動数(固有周期)との組み合わせに適した剛性と履歴減衰性能を付与するように前記構成比率を施工時に設定することにより、様々に想定される地震入力動や立地地盤の卓越振動数(卓越周期)と建物の固有振動数(固有周期)との組み合わせに対しても適用することができる。
ここで、前記滑りシート体が、前記上下の土のう層間の略全体にわたる大きさを有するものであり、この滑りシート体の一部に開口又は切欠を形成してなると好ましい。
このような構成によれば、滑りシート体を挟む上下の土のう層間は水平方向に滑りやすくなり、滑りシート体の開口又は切欠の上下の土のう層間は水平方向に滑りにくくなることから、滑りシート体の開口又は切欠の大きさを変えることにより、水平方向に滑りやすい上下の土のう層と水平方向に滑りにくい上下の土のう層との構成比率を容易に変えることができるので、前記構成比率を所望の比率にする施工をさらに容易に行うことができる。
本発明に係る減震基礎構造体を用いた減震工法は、前記課題解決のために、地盤から建物へ伝播入力する地震動を減震する機能を有するものであって、前記建物の基礎基盤を打設する工程と、前記基礎基盤上に下土のう層を設置する工程と、前記下土のう層上に、その略全面にわたる大きさであり、一部に開口又は切欠を有する滑りシート体を布設する工程と、前記滑りシート体の上層に上土のう層を設置する工程と、前記下土のう層、滑りシート体及び上土のう層により構成される減震基礎構造体上に前記建物の基礎を構築する工程とを有することを特徴とする。
このような減震工法によれば、上土のう層と下土のう層との間に滑りシート体がある上下の土のう層間は水平方向に滑りやすくなり、滑りシート体の開口又は切欠の上下の土のう層間は水平方向に滑りにくくなることから、滑りシート体の開口又は切欠の大きさを変えることにより、水平方向に滑りやすい上下の土のう層と水平方向に滑りにくい上下の土のう層との構成比率を容易に変えることができる。
したがって、建物の基礎基盤を打設する工程を行い、基礎基盤上に下土のう層を設置する工程を行った後に、開口又は切欠の大きさを所望の大きさに設定した滑りシート体を布設する工程を行うことにより、前記構成比率を所望の比率にする施工を非常に容易に行うことができ、さらに滑りシート体の上層に上土のう層を設置する工程を行い、建物の基礎を構築する工程を行うことにより減震工法が完了する。
よって、想定される地震入力動や例えば1〜10Hz程度である立地地盤の卓越振動数(例えば0.1〜1.0s程度である卓越周期)と建物の固有振動数(固有周期)との組み合わせに適した剛性と履歴減衰性能を付与するように前記構成比率を施工時に設定することにより、様々に想定される地震入力動や立地地盤の卓越振動数(卓越周期)と建物の固有振動数(固有周期)との組み合わせに対しても適用することができるとともに、このような減震機能を付与する施工を容易に行うことができる。
以上のように、本発明に係る減震基礎構造体及びそれを用いた減震工法によれば、(ア)土のう積層体による減震機能により、地盤から伝播入力する地震動を効果的に減震することができること、(イ)土のう積層体が一体の基礎基盤上に設置されていることから、多くの軟弱地盤上においても施工が容易であるとともに、土のう層の積層面を常に水平に保つことができるため、地震水平力に対する土のう積層体の減震性能を長期間にわたって維持することができること、(ウ)建物の荷重を敷き均した土のう全体で面支持するので、基礎構造がより安定するとともに、簡便に且つ低コストで施工することができること、(エ)想定される地震入力動や立地地盤の卓越振動数(卓越周期)と建物の固有振動数(固有周期)との組み合わせに適した剛性と履歴減衰性能を付与するように、滑り型土のう積層体又は水平方向に滑りやすい上下の土のう層と、摩擦型土のう積層体又は水平方向に滑りにくい上下の土のう層との構成比率を、施工時に所望の比率に設定することにより、様々に想定される地震入力動や立地地盤の卓越振動数(卓越周期)と建物の固有振動数(固有周期)との組み合わせに対しても適用することができること、(オ)土のう積層体の履歴特性には、面圧依存性(鉛直載荷圧σの大きさと繰り返しせん断力γの大きさとの比は、σの大きさにかかわらずほぼ一定)があり、相対的に重い構造物でも軽い構造物でもその特性は変化せず、積載荷重が変動する可能性のある構造物(倉庫等)に対しても有効に適用できること、(カ)滑りシート体が、上下の土のう層間の略全体にわたる大きさを有するものであり、この滑りシート体の一部に開口又は切欠を形成したものでは、前記構成比率を所望の比率にする施工をさらに容易に行うことができること、等の顕著な効果を奏する。
本発明の実施の形態1に係る減震基礎構造体を示しており、(a)は縦断面図、(b)は平面図である。 同じく減震基礎構造体の正面図である。 下土のう層上に滑りシート体を布設した状態を示す平面図である。 本発明の実施の形態2に係る減震基礎構造体を示しており、(a)は縦断面図、(b)は平面図である。 履歴特性を示す図であり、(a)は摩擦型土のう積層体の場合を、(b)は滑り型土のう積層体の場合を示している。 摩擦型土のう積層体と滑り型土のう積層体との比率を1:1とした土のう積層体の履歴特性を示す図である。 表1の組み合わせにより作成した履歴ループから計算した等価減衰定数を示す図である。 図7の一部を拡大して示した図である。 表1の等価減衰定数から求めた加速度応答倍率を示す図である。 土のう積層体の繰返しせん断試験結果を示す図である。 (a)は等価減衰定数heqの計算式の説明図、(b)は土のう積層体の等価減衰定数heqの計算結果の一例を示す図である。 多数回繰返しせん断試験結果を示す図である。 加速度応答倍率を示す図である。
次に本発明の実施の形態を添付図面に基づき詳細に説明するが、本発明は、添付図面に示された形態に限定されず特許請求の範囲に記載の要件を満たす実施形態の全てを含むものである。
実施の形態1.
図1(a)の縦断面図及び図1(b)の平面図に示すように、本発明の実施の形態1に係る減震基礎構造体Cは、建物(建築構造物)の基礎Aである独立基礎と基礎基盤Bとの間に設置される、上下2層に積層された土のう積層体D(図2の正面図に示す上土のう積層体H及び下土のう積層体L)を備えており、地盤から建物へ伝播入力する地震動を減震する機能を有するものである。なお、図1(a)中の符号Eは柱を示しており、基礎A上に構築される建物全体の記載は省略している。
ここで、土のう積層体Dは、上下の土のう1,1間の摩擦係数が比較的小さく水平方向に滑りやすくした滑り型土のう積層体S,S,…と、上下の土のう1,1間の摩擦係数が比較的大きく水平方向に滑りにくくした摩擦型土のう積層体F,F,…とにより構成され、本実施の形態では、図1(b)に示すように、土のう積層体Dの四隅に摩擦型土のう積層体F,F,…を配置し、それ以外を滑り型土のう積層体S,S,…としており、摩擦型土のう積層体F,F,…と滑り型土のう積層体S,S,…の構成比率(図2(b)の平面図における面積比)を、例えば1:24に設定している。
土のう1の形状は、幅400mm、奥行き400mm、高さ50〜100mm程度であり、土のう袋は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ナイロン又は麻等のフラットヤーンを用いて製織したもの、土のう袋の中に詰める中詰め材は、豊浦砂、砂、砕石、合成樹脂ペレット、高炉スラグ、リサイクル土、タイヤチップ又は破砕リサイクルコンクリート等である。
上下の土のう1,1間の摩擦係数は、中詰め材の種類及びその大きさによって異なるものであり、本実施の形態では、摩擦型土のう積層体Fの上下の土のう1,1の中詰め材を20〜40mm径の砕石とすることにより、上下の土のう1,1間の摩擦係数を0.5〜0.7程度としている。
また、滑り型土のう積層体Sの上下の土のう1,1の中詰め材を平均粒径0.2mm程度の豊浦砂とし、上下の土のう1,1間に図2の正面図のような滑りシート体2を介在させることにより、上下の土のう1,1間の摩擦係数を0.1〜0.2程度としている。
ここで、滑りシート体2は、下土のう層Lの略全面(土のう敷設面の略全面)にわたる大きさに形成された、ポリエチレンシート、フッ素樹脂シート又はシリコン樹脂シート等であり、0.05mm〜0.3mm程度の厚さの薄膜シートでよいが、長期間の耐久性が必要である。また、図3の平面図に示すように、滑りシート体2の一部の適宜箇所には開口2Aが形成されており、開口2Aの上下の土のう1,1(上下の土のう1,1が接するもの)を摩擦型土のう積層体Fとしている。
なお、開口2Aに代えて切欠を形成してもよく、滑りシート体2を、下土のう層Lの略全面(土のう敷設面の略全面)にわたる大きさの1枚のシートではなく、土のう1の1個毎の大きさに形成したものとしてもよく、土のう1の土のう袋の片面にラミネートして使用してもよい。また、滑りシート体2の表面(上下面)にシリコングリースを塗布してもよく、フッ素樹脂又はシリコン樹脂をコーティングしてもよい。
次に、施工方法について説明する。
図1において、先ず、地盤改良体又は鉄筋コンクリート等である基礎基盤Bを打設する工程を行った後、基礎基盤B上に、図2に示す下土のう層Lを設置する工程を行う。
次に、下土のう層L上に、下土のう層Lの略全面にわたる大きさに形成された、図2及び図3に示す滑りシート体2を布設する工程を行う。
次に、滑りシート体2上に、図2に示す上土のう層Hを設置する工程を行った後、下土のう層L、滑りシート体2及び上土のう層Hにより構成される減震基礎構造体C上に建物の基礎Aを構築する工程を行う。
実施の形態2.
図4(a)の縦断面図及び図4(b)の平面図に示すように、本発明の実施の形態1に係る減震基礎構造体Cは、建物の基礎Aである土間床基礎と基礎基盤Bとの間に設置される、上下2層に積層された土のう積層体Dを備えており、土のう積層体Dは、滑り型土のう積層体S,S,…と摩擦型土のう積層体F,F,…とにより構成され、地盤から建物へ伝播入力する地震動を減震する機能を有するものであり、施工方法は実施の形態1と同様である。
なお、建物の基礎Aは、実施の形態1のような独立基礎又は実施の形態2の土間床基礎に限定されるものではなく、布基礎又はべた基礎等の他の基礎であってもよい。
また、土のう積層体Dについても、実施の形態1及び2のような上下2層に積層されたものに限定されるものではなく、少なくとも上下2層(2層以上)であればよい。
次に、摩擦型土のう積層体(以下、単に「摩擦型」という場合がある。)F,F,…及び滑り型土のう積層体(以下、単に「滑り型」という場合がある。)S,S,…の構成比率を変化させた場合における等価減衰定数heqや加速度応答倍率の変化について説明する。
例えば、図5(a)に示す履歴特性である摩擦型と、図5(b)に示す履歴特性である滑り型との構成比率が1:1であるように組み合わせた場合、土のう積層体Dの履歴特性は図6に示すような、図5(a)に示す履歴特性と図5(b)に示す履歴特性とを合成した新しい履歴特性になる。
Figure 0005196059
表1の番号a(摩擦型:滑り型=0:1(全てが滑り型))から番号k(摩擦型:滑り型=1:0(全てが摩擦型))の範囲で構成比率を変え、番号a〜kの比率により作成した履歴特性(履歴ループ)から等価減衰定数を計算すると、図7及びその拡大図である図8のようになる。
ここで、動的自由振動実験で求めた摩擦型の減衰定数は0.14であり、それに対応するせん断ひずみが0.21%であることから、せん断ひずみの0.21%に対応する他の組合わせによる土のう積層体Dの等価減衰定数heqも求めると、表1の最右欄に示す値になる。
すなわち、摩擦型のみの場合(番号k)には等価減衰定数heqは小さく、滑り型のみの場合(番号a)には等価減衰定数heqは非常に大きくなり、摩擦型と滑り型とを組み合わせることにより様々な履歴特性を持つ土のう積層体Dにすることができ、表1の等価減衰定数heqから加速度応答倍率を求めると図9のようになる。
等価減衰定数heqが大きいほど加速度応答倍率(地動入力加速度が建物に入ってどれだけ増幅されるかという増幅率)が小さくなるため、減震基礎構造体Cとして有利になるが、その反面、地盤と土のう積層体Dを介して支持される建物との間の地震時の相対変位も大きくなるため、摩擦型を含める必要がある。
以上のような減震基礎構造体Cの構成によれば、上下方向に少なくとも2層に積層された土のう積層体Dによる減震機能により、地盤から伝播入力する地震動を効果的に減震することができる。
また、土のう積層体Dが、その下側に打設された地盤改良体又は鉄筋コンクリート等である一体の基礎基盤B上に設置されていることから、多くの軟弱地盤上においても施工が容易であるとともに、土のう1,1,…により構成される土のう層の積層面を常に水平に保つことができるため、地震水平力に対する土のう積層体Dの減震性能を長期間にわたって維持することができる。
さらに、土のう積層体Dの鉛直耐荷力については、既にその驚異的な耐荷性能に関する評価方法が確立しているため、上側の建物及び基礎Aの荷重を下側の基礎基盤Bへスムーズに伝達することができる。
さらにまた、柱下毎に免震装置を設置する免震構造のように、建物の荷重を集中的に支持するために大掛かりかつ高コストになる構造と比較して、建物の荷重を敷き均した土のう積層体D全体で面支持するので、基礎構造がより安定するとともに、簡便に且つ低コストで施工することができる。
また、土のう積層体Dが、上下の土のう1,1間の摩擦係数が比較的小さく水平方向に滑りやすくした滑り型土のう積層体S,S,…と、上下の土のう1,1間の摩擦係数が比較的大きく水平方向に滑りにくくした摩擦型土のう積層体F,F,…とにより構成されるので、滑り型土のう積層体S,S,…と摩擦型土のう積層体F,F,…との構成比率(図2(b)の平面図における面積比)を、施工時に所望の比率に設定することが容易である。
よって、想定される地震入力動や例えば1〜10Hz程度である立地地盤の卓越振動数(例えば0.1〜1.0s程度である卓越周期)と建物の固有振動数(固有周期)との組み合わせに適した剛性と履歴減衰性能を付与するように前記構成比率を施工時に設定することにより、様々に想定される地震入力動や立地地盤の卓越振動数(卓越周期)と建物の固有振動数(固有周期)との組み合わせに対しても適用することができる。
さらに、滑りシート体2を上下の土のう層H,L間の略全体にわたる大きさにし、滑りシート体2の一部に開口2A又は切欠を形成することにより、滑りシート体2を挟む上下の土のう層H,L(上下の土のう1,1)間は水平方向に滑りやすくなり、滑りシート体2の開口2A又は切欠の上下の土のう層H,L(上下の土のう1,1)間は水平方向に滑りにくくなることから、滑りシート体2の開口2A又は切欠の大きさを変えることにより、水平方向に滑りやすい上下の土のう層H,L(上下の土のう1,1)、すなわち滑り型土のう積層体S,S,…と、水平方向に滑りにくい上下の土のう層H,L(上下の土のう1,1)、すなわち摩擦型土のう積層体F,F,…との構成比率を容易に変えることができるので、前記構成比率を所望の比率にする施工が非常に容易になる。
A 基礎
B 基礎基盤
C 減震基礎構造体
D 土のう積層体
E 柱
F 摩擦型土のう積層体
H 上土のう層
L 下土のう層
S 滑り型土のう積層体
1 土のう
2 滑りシート体
2A 開口

Claims (4)

  1. 地盤から建物へ伝播入力する地震動を減震する機能を有する減震基礎構造体であって、
    前記建物の基礎と基礎基盤との間に設置される、上下方向に少なくとも2層に積層された土のう積層体を備え、前記土のう積層体を、上下の土のう間の摩擦係数が比較的小さく水平方向に滑りやすくした滑り型土のう積層体と、上下の土のう間の摩擦係数が比較的大きく水平方向に滑りにくくした摩擦型土のう積層体とにより構成したことを特徴とする減震基礎構造体。
  2. 地盤から建物へ伝播入力する地震動を減震する機能を有する減震基礎構造体であって、
    前記建物の基礎と基礎基盤との間に設置される、上下方向に少なくとも2層に積層された土のう積層体と、前記土のう積層体を構成する上下の土のう層間の一部布設された滑りシート体とを備え、前記土のう積層体を構成する上下の土のう層間の中で、前記滑りシート体を挟む前記上下の土のう層間を水平方向に滑りやすくくするとともに、前記滑りシート体を挟まない前記上下の土のう層間を水平方向に滑りにくくしたことを特徴とする減震基礎構造体。
  3. 前記滑りシート体が、前記上下の土のう層間の略全体にわたる大きさを有するものであり、この滑りシート体の一部に開口又は切欠を形成してなる請求項2記載の減震基礎構造体。
  4. 地盤から建物へ伝播入力する地震動を減震する機能を有する減震基礎構造体を用いた減震工法であって、
    前記建物の基礎基盤を打設する工程と、
    前記基礎基盤上に下土のう層を設置する工程と、
    前記下土のう層上に、その略全面にわたる大きさであり、一部に開口又は切欠を有する滑りシート体を布設する工程と、
    前記滑りシート体の上層に上土のう層を設置する工程と、
    前記下土のう層、滑りシート体及び上土のう層により構成される減震基礎構造体上に前記建物の基礎を構築する工程と
    を有することを特徴とする減震基礎構造体を用いた減震工法。
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