JP6469900B2 - 免振部材 - Google Patents
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Description
本発明は、無機粒体材料を用いた免振部材に関する。更に詳しくは、材料供給安定性と経済性に優れる無機粒体材料と水分のみを主たる成分として生成することができる材料でありながら、免振材料としての優れた物性を有する、新規な無機粒体材料を用いた免振部材に関する。
地震時の振動エネルギーを減衰させて、構造物の免震性を高めるための手段として、例えば、高層ビル等の巨大な建築物等においては、その上部構造体と基礎側の下部構造体との間に免震ダンパー等の各種の免震装置を設置する免震方法が広く採用されている(特許文献1及び2参照)。
一方、構造物の免震性を高めるための他のアプローチとして、構造物を設置する地盤内に充填することによって、対象地盤に免震性を備えさせることを企図した各種の免震材料も提案されている(特許文献3)。そのような充填タイプの免震材料として、近年では、シリコーン系の免震材料中に耐衝撃性、形状復元性に優れるプラスティックマイクロバルーンを配合した免震材料等が開発されている(特許文献4参照)。
又、一方、コンクリート等からなる構造物にアンカー金物を固着させてなる、所謂アンカー構造の一般的な施工方法として、コンクリート構造物等の表面にアンカー挿入孔を形成し、該アンカー挿入孔にアンカー金物を挿入後、アンカー金物と挿入孔の内周面との隙間の空間に充填材料を充填する方法が行われており(特許文献5参照)、その際に用いる充填材料としては、固化後に所望の引張り抵抗力を発現可能な、反応性液状樹脂材料やセメント系のもの(主材料がセメント、硬化剤が水或いは水ガラス)が用いられている(特許文献6参照)。
ここで、特許文献1及び2に記載の免震装置は製造、設置、及びその後の保守にかかるコストが膨大である。よって、高層ビル等、費用対効果が特に優れた建造物への適用以外の場合には、経済的な理由から採用が困難である場合が多い。
又、特許文献3及び4に記載の免震材料については、これらを地盤内等に充填する免震手段は、上記の免震装置の設置よりは一般に経済性に優れる場合が多い。しかしながら、これらの免震材料はいずれもシリコーン等の主剤樹脂に加えて、耐衝撃性、形状復元性等を備える何らかの分散材料を添加してなるものである。これらの免震材料はいずれも免震効果を発現させるために、上記の分散剤の添加が必須となっており、上記のプラスティックマイクロバルーン等特定材料への依存度が高い。上記の特定材料については、必ずしも常に安価で安定的な大量供給が保障されてはいない。よって、より経済性に優れる免震材料が求められていた。
又、特許文献6に記載のアンカー構造を形成するために用いられている充填材料についても、必要な固化後の引張り抵抗力を保持しつつ、更に経済性を高めた材料の開発が求められていた。
本発明は、優れた免震効果を有する免振材料として用いることができる無機粒体材料を用いた免振部材であって、従来品よりも遙かに経済性に優れる免振部材を提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、例えば、石灰石粉等に代表される汎用的で入手容易な無機粒体を主材料とし、その他の成分としては、水分と少量の混和剤のみで構成される無機粒体材料でありながら、主材料である無機粒体の粒径や間隙比を、特定の範囲に限定することにより、それらの無機粒体材料の従来用法からは全く予測不可能であった極めて優れた効果を発現させることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。より具体的には、本発明は以下のものを提供する。
(1) 免振材料が、可撓性を有する袋体又は筒体に充填されてなる免振部材であって、前記袋体又は前記筒体が、面状補強材料を構成していて、前記免振材料が、粒径75μm以下の無機粒子を70%以上含んでなり、間隙比が0.3以上0.6以下であり、混和剤を0.08%以上10%以下含有する無機粒体材料からなる、免振部材。
(1)の発明によれば、無機粒体と水分を主成分とし、その他の成分としては、少量の混和剤を添加したのみという組成からなり、極めて経済性に優れる材料でありながら、免振材料、及び、アンカー構造用充填材料として用いることができる免振材料を得ることができる。
そして、無機粒体材料と水分を主成分とし、その他の成分としては、少量の混和剤を添加したのみという組成からなり、極めて経済性に優れる材料でありながら、従来公知の免震材料と同等以上の免震効果を発揮する全く新しい免振材料を提供することができる。又、この免振材料は、地震等の振動のみならず、交通振動等の高周波数に対する振動低減効果をも併せ持つ。
特許第3729169号に記載の表層処理法において、軟弱地盤の表層処理に用いる剛性補強体における可撓性ホース部分に充填する充填材料として、この免振材料を用いる(1)の発明によれば、そのような免震部材の免震性、長期耐久性、経済性を著しく向上させることができる。
(2) 前記無機粒子が石灰石粉である(1)に記載の免振部材。
(2)の発明によれば、極めて汎用的で、広範に、安価で流通している供給安定性の高い材料である石灰石粉によって、(1)の免振材料を製造することができる。よって(1)の発明の経済性、実施容易性を更に高めることができる。
(3) (1)又は(2)に記載の免振部材を地盤上に敷設する軟弱地盤の表層処理方法。
(3)の発明によれば、特許第3729169号に開示されている「軟弱地盤の表層処理方法」への本発明の免振材料の適用が考えられる。同処理方法において、可撓性のホース内に充填する充填材料として、従来のモルタル等に代えて、本発明の免振材料を充填材料として充填することによって、面状補強材料に剛性を付与しつつ、同時に地震時等における耐震性を付与することができる。
本発明によれば、優れた免震効果を有する免振材料、及び、優れた引張り抵抗力を有するアンカー構造用充填材料としても用いることができる無機粒体材料からなる免振材料であって、従来品よりも遙かに経済性に優れる免振材料を用いた免振部材を提供することができる。
本発明の無機粒体材料は、特定の粒状を有する無機粒子を主たる成分とする無機粒体材料である。そして、本発明の無機粒体材料は、従来のこの分野の技術的知見からは予測不可能であった、少なくとも二つの用途における優れた物性を発現する。二つの用途のうちの一の用途は、免震材料としての用途、他の用途は、アンカー構造用充填材料としての用途である。以下、本発明の無機粒体材料の概要、「免震材料」として用いた場合の好ましい実施形態、「アンカー構造用充填材料」として用いた場合の好ましい実施形態について、順次説明する。
<無機粒体材料>
本発明の無機粒体材料は、主材料とする無機粒体と水分、及び、その他の添加材料として混和剤の3つの成分を最小限の必須成分とする。特許文献3及び4に記載の免震材料のように、従来の免震材料においては、本発明の構成要素たる上記3成分に加えて、更に免震作用を発現させるための特殊なゴムやプラスチック等、特定素材料が必須の成分となる。これに対して、本発明の無機粒体材料は、上記の通り、その材料の成分組成としては、極めて、安価な材料のみからなる単純な組成であることを特徴とする。
本発明の無機粒体材料は、主材料とする無機粒体と水分、及び、その他の添加材料として混和剤の3つの成分を最小限の必須成分とする。特許文献3及び4に記載の免震材料のように、従来の免震材料においては、本発明の構成要素たる上記3成分に加えて、更に免震作用を発現させるための特殊なゴムやプラスチック等、特定素材料が必須の成分となる。これに対して、本発明の無機粒体材料は、上記の通り、その材料の成分組成としては、極めて、安価な材料のみからなる単純な組成であることを特徴とする。
無機粒体材料を構成する無機粒子としては、非水硬性物質である各種の無機粒子物を用いることができる。例えば、石灰石粉(炭酸カルシウム)、シルト、粘土、砕石、高炉スラグ、石炭灰等を用いることができる。中でも、土木材料分野において、極めて汎用的で、且つ、広範に安価で流通している供給安定性の高い材料である石灰石粉を好ましく用いることができる。石灰石粉は、石灰石(CaCO3主体の鉱物)を粉砕した粉体(コンクリート用として規定される砕石に由来するもの、及び工業製品として用意されている石灰石粉に由来するものの一方又は両方を含むことができる)を好ましく用いることができる。
無機粒体材料を構成する無機粒子の粒径及び粒度分布については、例えば一般的なセメント系材料(モルタル及びコンクリート)と比べて極めて小さい粒径であり、又、粒度の分散も小さいものであることが好ましい。具体的には、本願発明に用いる無機粒子は、粒径75μm以下の粒子を70%以上、好ましくは75%以上、含んでなるものである。
混和剤としては、混練物の流動性を阻害しない限り、一般的なコンクリート製造に使用される種々のものが使用できる。具体例として、減水剤、AE減水剤、高性能減水剤、高性能AE減水剤、遅延剤、分散剤、増粘剤等が挙げられる。これらの混和剤は、混練物中に占める質量割合が10%以下となる範囲で添加することができるが、1%以下の添加量(例えば、0.1%以上1%以下)としても、良好な結果が得られる。
本発明の無機粒体材料は、上記の無機粒体、混和剤に、水を加えてなるものであるが、その間隙比が極めて小さいことを特徴とする。具体的には、本発明の無機粒体材料の間隙比は、0.3以上0.6以下、好ましくは、0.40以上0.55以下である。本発明の無機粒体材料に用いる無機粒体の粒子形状と粒径から間隙比の物理的下限は、ほぼ0.3程度である。又、間隙比が0.6を超えると、即ち、水が多くなり泥水に近い状態となり、本発明特有の効果を発揮するための前提となるチキソトロピー性が失われてしまう。尚、本発明の無機粒体材料の上記の間隙比の値は、いずれも、締固め等の特段の追加加工処理を必要とせずに実現されうる数値である。
このような小さな間隙比を有する無機粒体材料は、上記の通りの特定の粒度分布を有する石灰石粉等の無機粒体を使用し、混和剤と水分の配合割合を特定範囲に調整することにより生成することができる。ここで、図1は、無機粒体として石灰石粉を用いた場合の本発明の無機粒体材料の含水比と間隙比の相関を表すグラフである。このグラフから分る通り、無機粒体として石灰石粉を用いた場合には、含水比を概ね6%〜22%の範囲とすることによって間隙比を、上記の低間隙比、即ち、0.3以上0.6以下の範囲に調整することができる。尚、本明細書における無機粒体材料の含水費については、JIS Z 1203:1999の「土の含水比試験方法」により測定した含水比のことを言うものとする。又、本明細書における無機粒体材料の間隙比とは、無機粒体材料における無機粒体以外の配合成分(近似的には水分のみ)の体積の無機粒体の体積に対する体積比のことを言う。具体的には、「間隙比(e)≒水分の体積/無機粒体材料の体積(V/V)」である。本発明の実施に際しては、含水比、水の密度、及び無機粒体の密度が分かれば、それらの各値から間隙比を実用上十分な精度で近似的に把握して、適切に実施することが可能である。
<免振材料>
本発明の無機粒体材料は、免震材料として好ましく用いることができる。尚、本発明の「免振材料」という呼称については、地震等の揺れに対する「免震効果」のみならず、交通振動等の周波数の高い微細な振動を含む振動全般に対して振動エネルギーを減衰する効果を奏する材料であることから、この類の材料についての従来の一般的な呼称である「免震材料」ではなく、敢えて「免振材料」と称することとしたものである。
本発明の無機粒体材料は、免震材料として好ましく用いることができる。尚、本発明の「免振材料」という呼称については、地震等の揺れに対する「免震効果」のみならず、交通振動等の周波数の高い微細な振動を含む振動全般に対して振動エネルギーを減衰する効果を奏する材料であることから、この類の材料についての従来の一般的な呼称である「免震材料」ではなく、敢えて「免振材料」と称することとしたものである。
本発明の無機粒体材料からなる免振材料(以下、単に「免振材料」とも言う)は、間隙比が上記範囲の極めて小さい粒体材料であることによりチキソトロピー性を有するものとなっている。チキソトロピー性を有する本発明の免振材料は、振動が加わると剛性が低下し、振動が停止後には、剛性が自立的に回復する。この特異な物性によって、例えば地震時には優れた免震性能を発揮し、更に、地震後は剛性が自己回復するため、交換や保守を要することなく繰返し使用することが可能なメンテナンスフリーの免振材料として用いることができる。
又、本発明の免振材料は、間隙比が極めて小さい粒体材料であることにより、軸ひずみが増加するほど正のダイレイタンシー効果が卓越し、粒状体材料内部に負圧が生じる。これにより、本発明の免振材料からなる免振構造体は、大ひずみ領域でも破壊されることがないという、ひずみ増加に対する強度の耐久性を有するものとなる。
本発明によれば、主材料とする無機粒体材料の粒径と粒度分布、及び、間隙比を上記範囲に特定することによって、当該主材料に水分と混和剤を添加したのみの単純な組成でありながら、極めて、優れた免振性能を有する免振材料を得ることができる。このことは、当業者といえども従来公知のいかなる知見からも容易には想到することができない全く新しい知見であり、本発明の免振材料は、従来公知の免振材料の中に比較すべきものが全く存在しない新規な免振材料である。
以上説明した本発明の免振材料は、例えば、免振対象となる構造物付近の地盤中に充填し、免振材料からなる免振構造体を形成することによって、当該構造物に免振性能を付与することができる。
図6〜図8は、それぞれ本発明の免振材料による免振構造体の形成例を模式的に示す図である。図6は、地面Gの下に配置形成される地中構造物2の直下の空間に本発明の免振材料を充填して免振構造体1Aを形成した状態を示す。又、図7は、地中構造物2の側面に同様の免振処理により免振構造体1Bを形成した状態を示す。更に、図8は、本発明の免振材料を道路舗装直下へ充填して免振構造体1Cを形成した状態を示す。いずれの例においても、本発明の免振材料からなる免振構造体(1A、1B、1C)は、地震及び交通振動等あらゆる振動に対してその振動エネルギーを減衰させる効果を十分に発揮することができる。
図6〜図8に例示されるように、本発明の免振材料を地盤中に充填して免振構造体を形成するための工法としては、特許文献3に記載されているような従来工法を適宜採用することができる、即ち、削孔ロッドによって地盤を削孔するか、或いは空洞形成を行い、その後、流体吐出用ロッドによって免振材料を充填する工法等である。このような工法により免振材料を地盤内に充填する場合、従来の免振材料を用いた場合には、材料中に配合されるプラスティックマイクロバルーン等の分散材料が流体吐出用ロッドの吐出機構に負担をかけて吐出効率が低下してしまう場合があった。又、この問題を回避するために、主材料と分散材料を別途のロッドで充填し、充填しつつ攪拌を行うという工法が採用される場合もあった。いずれにしても、免振工事における作業性の低下が問題となっていた。本発明の免振材料は分散材料を含有しない単純な組成であるため、そのような作業性低下の問題は起こりえない。このように免振工事の作業性向上の観点からも本発明の免振材料は従来の免振材料よりも大いに有利な効果を奏するものとなっている。
本発明の免振材料は、又、上記説明した通り、特殊なチキソトロピー性と、ひずみ増加に対する強度の耐久性を持つものであるため、図9に示すような可撓性を有する袋体又は筒体に充填されてなる免振部材3への充填材料1Dとしても好ましく用いることができる。このような免振部材の好ましい適用の実施例として、特許第3729169号に開示されている「軟弱地盤の表層処理方法」への本発明の免振材料の適用が考えられる。同処理方法において、可撓性のホース内に充填する充填材料として、従来のモルタル等に代えて、本発明の免振材料を充填材料1Dとして充填することによって、面状補強材料に剛性を付与しつつ、同時に地震時等における耐震性を付与することができる。
<アンカー構造用充填材料>
本発明の無機粒体材料は、又、アンカー構造用充填材料としても好ましく用いることができる。本発明の無機粒体材料からなるアンカー構造用充填材料(以下、単に「アンカー構造用充填材料」とも言う)は、上記の通り、チキソトロピー流体に近く粘性が高いことから、鋼棒等の周辺にこのアンカー構造用充填材料を充填してなる係止部を形成することにより、鋼棒等の引き抜きに対する引張抵抗力を発揮する。
本発明の無機粒体材料は、又、アンカー構造用充填材料としても好ましく用いることができる。本発明の無機粒体材料からなるアンカー構造用充填材料(以下、単に「アンカー構造用充填材料」とも言う)は、上記の通り、チキソトロピー流体に近く粘性が高いことから、鋼棒等の周辺にこのアンカー構造用充填材料を充填してなる係止部を形成することにより、鋼棒等の引き抜きに対する引張抵抗力を発揮する。
本発明によれば、主材料とする無機粒体の粒径と粒度分布、及び、間隙比を上記範囲に特定することによって、当該主材料に水分と混和剤を添加したのみの単純な組成でありながら、優れた引張抵抗力を有するアンカー構造用充填材料を得ることができる。このことは、当業者といえども従来公知のいかなる知見からも容易には想到することができない全く新しい知見であり、本発明のアンカー構造用充填材料は、従来公知のアンカー構造用充填材料の中に比類すべきものが全く存在しない新規なアンカー構造用充填材料である。尚、本明細書における「アンカー構造用充填材料」は、アンカー構造におけるアンカー定着部や、その他の支持抗定着部等、引張り抵抗力が求められる構造部分を形成するために用いられる充填材料全般を含む概念である。
以上説明した本発明のアンカー構造用充填材料は、例えば、アンカーボルト等のアンカー部材を係止するために、当該アンカー部材周辺の隙間空間に充填することにより、廉価で安定性の高いアンカー構造を形成することができる。
図10は、本発明のアンカー構造用充填材料によるアンカー構造の形成例を模式的に示す図である。コンクリート構造物5の表面に設けられた挿入孔に配置されたアンカーボルト4の周辺の隙間空間に本発明のアンカー構造用充填材料を充填することにより、アンカー構造10におけるアンカー係止部1Eが形成されている。本発明の無機粒体材料からなるアンカー係止部1Eは、廉価な材料でありながら、十分な引張り抵抗力を発揮しうるものであるため、アンカー構造10の好ましい性能を保持したまま、その経済性を向上させることができる。
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。但し、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
先ず、以下の材料を用いて、下記表1に示す配合割合の無機粒体材料を作製した。
〔材料〕
無機粒体:石灰石粉(石灰石を粉砕して得た粉末(炭酸カルシウム粉末))、75μmの篩を通過する粒子を70質量%以上含有するもの。
水
混和剤:高性能減水剤
〔材料〕
無機粒体:石灰石粉(石灰石を粉砕して得た粉末(炭酸カルシウム粉末))、75μmの篩を通過する粒子を70質量%以上含有するもの。
水
混和剤:高性能減水剤
[免振材料としての適性試験]
実施例の無機粒体材料について、免振材料としての適性を検証した。
実施例の無機粒体材料について、免振材料としての適性を検証した。
(免振効果と剛性回復効果)
本発明の無機粒体材料の免振材料としての免振効果と剛性回復の効果を検証するため、繰返し三軸試験を行った。実施例1の無機粒体材料で、φ50mm×h100mmの供試体を作製した後、周波数0.1Hzの繰返し軸変位(波形:正弦波)を片振幅せん断ひずみが2%程度となるまで連続して載荷した。載荷前、載荷直後、及び載荷後30分経過後のせん断弾性係数比(Gn/G0)を、それぞれ、地震前、地震直後、及び地震後30分経過後のせん断弾性係数比(Gn/G0)として測定した。結果は、下記表2の通りであった。尚、比較例の無機粒体材料について上記と同じ試験を行ったが、チキソトロピー性のない比較例の無機粒体材料については、実施例のような剛性回復が期待できず、地震前、地震直後、及び地震後30分経過後において、せん断弾性係数比(Gn/G0)について、実施例ほどの大幅な変動は観察されなかった。
本発明の無機粒体材料の免振材料としての免振効果と剛性回復の効果を検証するため、繰返し三軸試験を行った。実施例1の無機粒体材料で、φ50mm×h100mmの供試体を作製した後、周波数0.1Hzの繰返し軸変位(波形:正弦波)を片振幅せん断ひずみが2%程度となるまで連続して載荷した。載荷前、載荷直後、及び載荷後30分経過後のせん断弾性係数比(Gn/G0)を、それぞれ、地震前、地震直後、及び地震後30分経過後のせん断弾性係数比(Gn/G0)として測定した。結果は、下記表2の通りであった。尚、比較例の無機粒体材料について上記と同じ試験を行ったが、チキソトロピー性のない比較例の無機粒体材料については、実施例のような剛性回復が期待できず、地震前、地震直後、及び地震後30分経過後において、せん断弾性係数比(Gn/G0)について、実施例ほどの大幅な変動は観察されなかった。
表2より、本発明の免振材料を用いた免振構造体は、地震による振動等を受けた場合に、せん断弾性係数比が0.1未満に低下して、振動を減衰させることが可能な状態となり、且つ、振動停止後には、自発的に剛性が十分に回復するものであることが分かる。
(ひずみ力に対する耐久性)
次に実施例1〜4及び比較例の免振構造の供試体について、三軸圧縮試験を行い、応力−ひずみ曲線からひずみ増加に対する耐久性を調べた。試験結果をグラフ化したものを図2に示す。
次に実施例1〜4及び比較例の免振構造の供試体について、三軸圧縮試験を行い、応力−ひずみ曲線からひずみ増加に対する耐久性を調べた。試験結果をグラフ化したものを図2に示す。
図2より、本発明の免振材料を用いた免振構造体は、限界間隙比に近いことから、正のダイレイタンシー効果が顕著であり、ひずみ増加に伴って免振構造体内部に負圧が発生する。そのため,大ひずみ領域でも免振構造体が破壊されることがなく、ひずみ増大に対する耐久性に優れるものであることが分る。尚、比較例の無機粒体材料について上記と同じ試験を行ったが、チキソトロピー性がなく限界間隙比近くまで達していない比較例の無機粒体材料については、過剰間隙水圧が負圧となることはなく、免振構造体は試験後すぐに破壊状態に至った。
(振動低減効果)
実施例1の無機粒体材料について、遠心模型実験を行い、振動低減効果を検証した。遠心模型実験は、実施例1の無機粒体材料を、幅700mm×奥行220mm×高さ70mmのせん断土槽に設置し、免振構造の供試体とした後、レベル2地震相当の地震波を入力した。振動低減効果は、地盤底面からの入力加速度と、地表面での応答加速度を測定することで評価した。試験結果をグラフ化したものを図3に示す。図3の(a)は、地盤底面で測定した入力加速度、同(b)は、地表面での応答加速度を示すグラフである。尚、図3のグラフは、7Hzの振動における実験結果をグラフ化したものであるが、同様の試験を2〜14Hzの周波数域において行ってもほぼ同様の振動低減効果を得られることが確認されている。
実施例1の無機粒体材料について、遠心模型実験を行い、振動低減効果を検証した。遠心模型実験は、実施例1の無機粒体材料を、幅700mm×奥行220mm×高さ70mmのせん断土槽に設置し、免振構造の供試体とした後、レベル2地震相当の地震波を入力した。振動低減効果は、地盤底面からの入力加速度と、地表面での応答加速度を測定することで評価した。試験結果をグラフ化したものを図3に示す。図3の(a)は、地盤底面で測定した入力加速度、同(b)は、地表面での応答加速度を示すグラフである。尚、図3のグラフは、7Hzの振動における実験結果をグラフ化したものであるが、同様の試験を2〜14Hzの周波数域において行ってもほぼ同様の振動低減効果を得られることが確認されている。
図3より、本発明の免振材料を用いた免振構造体は地震による震動の減衰効果の高いものであることが分る。又、地震等の低周波振動のみならず交通振動等の高周波振動に対しても幅広く振動低減効果を発揮しうる物であることが分る。
(経年耐久性)
実施例1の無機粒体材料について、三軸圧縮試験を行い、経年耐久性を検証した。三軸圧縮試験は、実施例1の無機粒体材料で、φ50mm×h100mmの供試体を作製し、作製直後と6ヶ月間の20℃封緘養生後の各供試体の力学特性を評価した。又、更に、無機粒体として一般的な砂質土として扱われる豊浦砂を用い、比較例の供試体として同様の試験を行った。尚、上記の豊浦砂は、SiO2:92.6%、Al2O3:3.7%、その他(Fe2O3、CaO、MgO、有機物)からなるものであり、粒径75μm以下の無機粒子を0.1%程度含んでなり、間隙比が0.78程度の無機粒体材料である。試験結果をグラフ化したものを図4に示す。
実施例1の無機粒体材料について、三軸圧縮試験を行い、経年耐久性を検証した。三軸圧縮試験は、実施例1の無機粒体材料で、φ50mm×h100mmの供試体を作製し、作製直後と6ヶ月間の20℃封緘養生後の各供試体の力学特性を評価した。又、更に、無機粒体として一般的な砂質土として扱われる豊浦砂を用い、比較例の供試体として同様の試験を行った。尚、上記の豊浦砂は、SiO2:92.6%、Al2O3:3.7%、その他(Fe2O3、CaO、MgO、有機物)からなるものであり、粒径75μm以下の無機粒子を0.1%程度含んでなり、間隙比が0.78程度の無機粒体材料である。試験結果をグラフ化したものを図4に示す。
図4より、本発明の免振材料を用いた免振構造体は、経年劣化の影響を受けない保守容易性に優れるものであることが分る。又、一般的な無機粒体材料からなる構造体と比較して振動の減衰効果が高いものであることも分る。
[アンカー構造用充填材料としての適性試験]
実施例の無機粒体材料について、アンカー構造用充填材料としての適性を検証した。
実施例の無機粒体材料について、アンカー構造用充填材料としての適性を検証した。
(引張り抵抗力)
本発明の無機粒体材料のアンカー構造用充填材料としての引張り抵抗力を検証する試験を行った。実施例1の無機粒体材料を、幅450mm×奥行300mm×高さ100mmの型枠内に充填し、直径50mm長さ30mmの円柱状の鋼棒を、上記材料充填直後に材料中に挿入した。挿入後10分経過後に引き抜き試験を行い、引張り抵抗力を測定した。試験結果をグラフ化したものを図5に示す。試験は2回繰り返し行い、それぞれグラフ上で系列1、2と示した。尚、その他の無機粒体材料に関して、通常の無機粒体材料は締固めを併用しない場合は粘着力等がなく引張抵抗力を全く発揮しないことから、その他の無機粒体材料は比較対象外とした。
本発明の無機粒体材料のアンカー構造用充填材料としての引張り抵抗力を検証する試験を行った。実施例1の無機粒体材料を、幅450mm×奥行300mm×高さ100mmの型枠内に充填し、直径50mm長さ30mmの円柱状の鋼棒を、上記材料充填直後に材料中に挿入した。挿入後10分経過後に引き抜き試験を行い、引張り抵抗力を測定した。試験結果をグラフ化したものを図5に示す。試験は2回繰り返し行い、それぞれグラフ上で系列1、2と示した。尚、その他の無機粒体材料に関して、通常の無機粒体材料は締固めを併用しない場合は粘着力等がなく引張抵抗力を全く発揮しないことから、その他の無機粒体材料は比較対象外とした。
図5より、本発明の無機粒体材料は、アンカー構造用充填材料としても好ましく用いることができるものであることが分る。
1A、1B、1C 免振構造体
1D 充填材料
1E アンカー係止部
2 地中構造物
3 免振部材
4 アンカーボルト
5 コンクリート構造物
10 アンカー構造
G 地面
1D 充填材料
1E アンカー係止部
2 地中構造物
3 免振部材
4 アンカーボルト
5 コンクリート構造物
10 アンカー構造
G 地面
Claims (3)
- 免振材料が、可撓性を有する袋体又は筒体に充填されてなる免振部材であって、
前記袋体又は前記筒体が、面状補強材料を構成していて、
前記免振材料が、
粒径75μm以下の無機粒子を70%以上含んでなり、
間隙比が0.3以上0.6以下であり、
混和剤を0.08%以上10%以下含有する無機粒体材料からなる、免振部材。 - 前記無機粒子が石灰石粉である請求項1に記載の免振部材。
- 請求項1又は2に記載の免振部材を地盤上に敷設する軟弱地盤の表層処理方法。
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JP2018006490A JP6469900B2 (ja) | 2018-01-18 | 2018-01-18 | 免振部材 |
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JP2018006490A JP6469900B2 (ja) | 2018-01-18 | 2018-01-18 | 免振部材 |
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JP2014114687A Division JP6279978B2 (ja) | 2014-06-03 | 2014-06-03 | 無機粒体材料 |
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JP2018006490A Active JP6469900B2 (ja) | 2018-01-18 | 2018-01-18 | 免振部材 |
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- 2018-01-18 JP JP2018006490A patent/JP6469900B2/ja active Active
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