JP2004353333A - 制振構造体及び制振方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高い制振性を発揮可能な制振構造体及び制振方法を提供する。
【解決手段】複数の土のうSが各々独立した状態で上下方向に少なくとも2層で積層されてなる制振構造体Dである。各土のうSは、粒状物と、粒状物を内部に充填し、粒状物の自重又は外力によって撓み得るとともに、伸び難い材質からなる袋体とからなる。
【選択図】 図11

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は制振構造体及び制振方法に関する。本発明の制振構造体及び制振方法は、線路、道路、工事現場等による環境振動の抑制や建築物の地震対策等に用いて好適である。
【0002】
【従来の技術】
発明者は特許文献1に地盤補強構造物及び地盤補強工法を開示した。同文献開示の地盤補強構造物は複数の土のうが上下方向に少なくとも2層で積層され、かつ水平方向に整列されてなるものであり、各土のうは紐で結ばれたり、シートで包まれたりして実質的に一体にされている。
【0003】
この地盤補強構造物は、沈下が少なく、高い強度と大きな極限支持力を発揮する。このため、その地盤補強構造物を地盤に敷設し、その地盤補強構造物上に建築物を形成する地盤補強工法を採用すれば、たとえその地盤が軟弱であったとしても、その建築物を強固に支持することが可能になる。
【0004】
また、発明者は、そのような地盤補強構造物が交通振動や地震動の減衰効果を有することを発見し、そのような地盤補強構造物を地盤に施設し、その地盤補強構造物上に建築物を形成する制振性改善方法も同文献に開示した。この制振性改善方法によれば、建築物の制振性を大幅に改善することが可能になる。また、発明者は、このように各土のうを実質的に一体にした状態で配置することにより、建物の振動を減衰できることも報告した(非特許文献1)。
【特許文献1】
特開2000−80637号公報
【非特許文献1】
松岡元ら著「『土のう』によって基礎を補強された建物の振動減衰測定」第35回地盤工学研究発表会(岐阜)、2000年6月、P.1079−1080
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、線路、道路、工事現場等による環境振動の抑制や建築物の地震対策等の要求から、制振性のより一層の向上が望まれる。
【0006】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、高い制振性を発揮可能な制振構造体及び制振方法を提供することを解決すべき課題としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
発明者らは上記課題解決のために鋭意研究を行った。この結果、上記従来の地盤補強構造物は、その上に施工される建築物の支持力の向上を主眼としたものであったことから、各土のうを紐等により実質的に一体にしていたのであるが、制振性の一層の向上のためには、各土のうが実質的に一体になった状態で積層等されるよりも、各々独立した状態で積層等された方がむしろ極めて好ましいことを発見し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
すなわち、本発明の制振構造体は、複数の土のうが各々独立した状態で上下方向に少なくとも2層で積層されてなることを特徴とする。
【0009】
発明者らの試験結果によれば、本発明の制振構造体は、上下方向に少なくとも2層で積層された土のうが各々独立した状態であるため、上からの振動を下に伝播し難く、逆に下からの振動も上に伝播し難い。個々の土のうは、自ら微小に変形することによってその振動エネルギーを吸収し、制振性を発揮するからであると考えられる。土のうの微小な変形は、土のうの中に詰められる粒状物の個々の粒子が袋体に拘束されつつ互いにその位置を変更することによって生じる。その際、個々の粒子が互いの間に生じる及び袋体との間に生じる摩擦力をもってその位置を変更することから、振動エネルギーがその摩擦力によって消費されると考えられる。
【0010】
例えば、複数の土のうが上下方向で2層以上積層された制振構造体上に振動を発する発振源を設ける場合、各土のうは重力によって上下に積層されていることから、上側の土のうが自ら微小に変形することによってその振動エネルギーを吸収し、順次下側の土のうも同様の作用を奏することによるものと考えられる。
【0011】
この際、従来のように、各土のうが紐等によって実質的に一体になっていると、上の土のうの微小な変形が紐等で繋がった下の土のうによって制限を受け、振動エネルギーの吸収率を抑制してしまうと考えられる。また、従来のように、各土のうが紐等によって実質的に一体になっていると、上の土のうで減少した振動エネルギーがその紐等によってそのまま下の土のうへと伝播してしまい、上下の土のうの境界で振動エネルギーを減少させることができないとも考えられる。これに対し、本発明の制振構造体は、上下の土のうが独立しているため、上の土のうの微小な変形が下の土のうによって制限を受けず、振動エネルギーを効果的に吸収できると考えられる。また、上下の土のうが独立しているため、上下の土のうの境界でも振動エネルギーを減少させることができるとも考えられる。
【0012】
こうして、本発明の制振構造体は高い制振性を発揮する。このため、この制振構造体によって、線路、道路、工事現場等による環境振動の抑制や建築物の地震対策等の要求を従前以上に満足させることが可能となる。
【0013】
本発明の制振構造体は、土のうと土のうとの隙間に介在させた間詰め材によりその隙間が埋められていることが好ましい。間詰め材としては、土のうの中詰め材と同様の粒状物を採用することができる。
【0014】
本発明の制振構造体は、複数の土のうが各々独立した状態で水平方向に整列されてなることが好ましい。発明者らの試験結果によれば、本発明の制振構造体は、水平方向に整列された土のうも各々独立した状態であれば、横からの振動をその横に伝播し難い。個々の土のうは、上述したように、自ら微小に変形することによってその振動エネルギーを吸収し、制振性を発揮するからであると考えられる。
【0015】
例えば、複数の土のうが上下方向で2層以上積層され、かつ水平方向にも整列された制振構造体を仮定し、この制振構造体上に振動を発する発振源を設ける場合、その制振構造体の上層の土のうが下層の複数の土のうに跨って載置されているのであれば、上側の土のうが自ら微小に変形することによってその振動エネルギーを吸収し、順次下側及び横の土のうも同様の作用を奏することによるものと考えられる。
【0016】
一方、例えば、複数の土のうが上下方向で2層以上積層され、かつ水平方向にも整列された制振構造体を仮定し、この制振構造体上に振動を発する発振源を設ける場合、その制振構造体の上層の土のうが下層の複数の土のうに跨って載置されていないのであれば、発明者らの試験結果によれば、水平方向の振動は水平方向に接触する土のうに直接伝播しない。この場合、水平方向の土のうが互いに接触していても、接触していないくても、横の土のうは同程度の振動を生じるだけである。発振源を設けた制振構造体における上下に積層された土のうからなるブロックでは、ブロックの最下面までに振動が減衰され、その最下面が重力によって接する地盤を介して隣のブロックに弱い振動しか伝播されないこととなる。
【0017】
これらの際、従来のように、各土のうが紐等によって実質的に一体になっていると、横の土のうの微小な変形が紐等で繋がったその横の土のうによって制限を受け、振動エネルギーの吸収率を抑制してしまうと考えられる。また、従来のように、各土のうが紐等によって実質的に一体になっていると、横の土のうで減少した振動エネルギーがその紐等によってそのままその横の土のうへと伝播してしまい、左右の土のうの境界で振動エネルギーを減少させることができないとも考えられる。これに対し、本発明の制振構造体は、左右の土のうが独立しているため、横の土のうの微小な変形がその横の土のうによって制限を受けず、振動エネルギーを効果的に吸収できると考えられる。また、左右の土のうが独立しているため、左右の土のうの境界でも振動エネルギーを減少させることができるとも考えられる。
【0018】
このため、紐等で連結する等、一体化させずに、上層の土のうは下層の複数の土のうに跨って載置されていることが好ましい。例えば、この制振構造体上に振動を発する発振源を設ける場合、より下層であり、かつより水平方向に離れた位置において、発振源の振動を極めて小さくすることができる。また、これにより制振構造体やこの上に施工され得る建築物の支持力を向上させることができる。
【0019】
本発明の制振構造体を構成する各土のうが全て略同一の形状を有する必要性は必ずしもない。ただ、複数の土のうが略同一の形状であれば、本発明の制振構造体の制振性を予測し易い。また、複数の土のうを略同一の形状とすれば、土のうを構成する袋体の大量生産が可能になり、土のう、ひいては制振構造体の生産コスト又は制振方法を具体化した施工のコストの面で好ましい。
【0020】
各土のうが略同一の形状を有する場合、上層の土のうは下層の2個の土のうに略等しく跨って載置され得る。この場合、上層の土のうの振動はその土のう及び下層の土のうとの境界によって減衰されつつ、下層の2個の土のうに規則的に配分される。これにより、予測可能に制振性を向上させることができる。また、各土のうが略同一の形状を有するため、土のう、ひいては制振構造体の生産コスト又は施工のコストの面で好ましい。さらに、これにより制振構造体やこの上に施工され得る建築物の支持力を向上させることができる。
【0021】
また、各土のうが略同一の形状を有する場合、上層の土のうは下層の4個の土のうに略等しく跨って載置され得る。この場合、上層の土のうの振動はその土のう及び下層の土のうとの境界によって減衰されつつ、下層の4個の土のうに規則的に配分される。これにより、予測可能に制振性をさらに大きく向上させることができる。また、各土のうが略同一の形状を有するため、土のう、ひいては制振構造体の生産コスト又は施工のコストの面で好ましい。さらに、これにより制振構造体やこの上に施工され得る建築物の支持力を向上させることができる。
【0022】
本発明において、各土のうとは、粒状物と、該粒状物を内部に充填し、該粒状物の自重又は外力によって撓み得るとともに、伸び難い材質からなる袋体とからなるものをいう。
【0023】
土のうの中詰め材として用いる粒状物としては、(1)土、砂、礫、火山堆積物等の天然粒状物、(2)砕石、コンクリート廃材、アスファルト廃材、タイル廃材、瓦廃材、木炭廃材等の天然物や人工物を粒状に加工した加工粒状物、スラグ等のゴミの熱処理後の粒状物、(3)EPS(発泡スチロール)等のプラスチック球、金属球、セラミックス球、ガラス球等の人工粒状物を採用することができる。土、砂、礫、砕石等の現地発生土を粒状物として採用することとすれば、袋体を現地に持ち込み、現地においてその袋体に現地発生土を充填するだけで土のうを得ることができ、土のうの搬送コストを省くことができる。コンクリート廃材、アスファルト廃材、タイル廃材、瓦廃材等の建築廃材を粒状物として採用することとすれば、建築廃材の有効利用が実現される。木炭の粒状物を採用することとすれば、土のうを軽量化し、高透水性や水の浄化特性を付与することができる。EPS(発泡スチロール)等の軽量な粒状物を採用することとすれば、土のうの軽量化を実現することができる。火山堆積物を粒状物として採用することとすれば、処分に困っている火山堆積物の有効利用が実現される。
【0024】
袋体とは、粒状物を内部に充填し、粒状物の自重又は外力によって撓み得るとともに、伸び難い材質からなるものをいう。袋体としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等の合成繊維や天然繊維製の織布や不織布又は合成樹脂製のシートからなるものを採用することができる。安価なポリエチレン又はポリプロピレン製の織布からなる袋体を採用することが好ましい。この袋体であれば、日光(紫外線)さえ遮断すれば、地下水のような水が存在する状態でも、土のうは優れた耐久性を発揮する。
【0025】
粒状物の粒径は、袋体が織布や不織布である場合の目の細かさ等によって適宜選択され得る。ただ、粒状物は2種以上の粒径をもつものであることが好ましい。粒状物が単一の粒径をもつものであれば、個々の粒子の接点が減少して個々の粒子間の隙間が比較的大きくなることから、個々の粒子間に生じる摩擦力が低下し、制振性の点で懸念がある。これに対し、粒状物が2種以上の粒径をもつものであれば、個々の粒子の接点が増加して個々の粒子間の隙間が比較的小さくなることから、個々の粒子間に生じる摩擦力が増加し、制振性の点で好ましい。また、地中に制振構造体を設ける場合、粒状物が粗い大きな粒径をもつものであれば、表面張力によって地中の水分が制振構造体を上昇することを防止し易く、その上に設けられる建築物の防水効果や寒冷地での凍上防止効果も発揮する。
【0026】
本発明の制振構造体は以下の本発明の制振方法に具体化可能である。
【0027】
本発明の制振方法は、地中に上記制振構造体を設け、この制振構造体上に振動を発する発振源を設けることを特徴とする。
【0028】
この制振方法によれば、発振源の振動を制振構造体によって減衰できるため、制振構造体の外部への振動の伝播を制限することができる。この制振方法は、発振源として例えば線路、道路、工事現場等が該当する場合、制振構造体上にそれら発振源を施工する形態により具体化され得る。
【0029】
また、本発明の制振方法は、地中に上記制振構造体を設け、この制振構造体上に振動の制限を望む静置体を設けることを特徴とする。
【0030】
この制振方法によれば、制振構造体の外部に振動を発する発振源があったとしても、その振動を制振構造体によって減衰できるため、制振構造体上の静置体への振動の伝播を制限することができる。この制振方法は、発振源として例えば線路、道路、工事現場等が該当する場合、制振構造体上に住居等の建築物を施工する形態により具体化され得る。また、将来の地震に備え、制振構造体上に住居等の建築物を施工することも有効である。
【0031】
さらに、本発明の制振方法は、地中に上記制振構造体を設け、振動を発する発振源と該振動の制限を望む静置体とを該制振構造体により離反することを特徴とする。
【0032】
この制振方法によれば、制振構造体の外部に振動を発する発振源があったとしても、その振動を中間の制振構造体がバリアーとなって減衰できるため、他の外部の静置体への振動の伝播を制限することができる。この制振方法は、発振源として例えば線路、道路、工事現場等が該当する場合、それら発振源と住居等の建築物との間に制振構造体を施工する形態により具体化され得る。また、将来の地震に備え、住居等の建築物の周囲に制振構造体を施工することも有効である。
【0033】
発振源とは、振動を発するものであり、上記線路、道路、工事現場、震源の他、振動を生じる機械等も含まれる。また、静置体とは、振動の制限を望むものであり、上記住居等の建築物の他、振動を好まない機械等も含まれる。なお、地中とは、土や砂の中ばかりでなく、地中に敷設した基礎となるコンクリートの中も含む。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した実施形態1〜4を図面を参照しつつ説明する。
【0035】
(実施形態1)
実施形態1では、発明者である松岡元が図1及び図4〜8に示す制振構造体D1〜D4による振動負荷の低減効果を確認した。すなわち、複数の土のうを建築物の基礎下に各々独立した状態で上下方向に少なくとも2層積層するとともに、水平方向に整列すると、建築物の支持力の増大とともに、交通振動等の環境振動が低減する。ここでは、そのような制振構造体D1を対象とし、その振動低減のメカニズムを探るために行なったいくつかの室内振動計測実験の結果を示す。
【0036】
「試験1」
図1は、コンクリートからなる地盤B上に土のう1〜5を上下方向に5層で積層した制振構造体D1の鉛直方向の振動低減効果について調べたものである。各土のう1〜5は、砂及び礫からなる粒状物と、この粒状物を内部に充填するポリエチレン製の織布である袋体とからなる。各土のう1〜5の寸法は、長さ40cm、幅40cm、高さ8cmである。粒状物は、砂及び礫の粒径をもつものである。
【0037】
図示のように、下から順の土のう1〜5の間には、小さなひずみゲージ型の加速度センサ(鉛直方向の加速度を計測)C1〜C4が4個挟まれている。また、最も上層の土のう5上には、ある加速度で振動を生じる発振源Vを載置している。発振源Vは、路盤の締固めに用いられる電動式プレートコンパクター(質量28kg、振動数6Hz)である。
【0038】
この場合、発振源Vが523galの加速度で振動を生じた場合、最も上のセンサC4では355galの加速度で振動が計測され、その下のセンサC3では195galの加速度で振動が計測され、その下のセンサC2では124galの加速度で振動が計測され、その下のセンサC1では46galの加速度で振動が計測された。この結果より、1個の土のう1〜5を伝わる毎に大略半分程度に加速度が低減することがわかる。例えば、下から4層目の土のう4の上面から、下から2層目の土のう2の下面までは、50%×50%×50%≒13%の割合で加速度が低減することがわかる。
【0039】
一方、図2に示すように、上下の土のう1〜5の境界を自由にするため、各土のう1〜5に充填されている粒状物をダンボール箱6に高さ32cmで詰め、上記と同様の試験を行なった。粒状物上にはセンサC4を挟んで1個の土のう5だけを載置した。また、粒状物内には、各土のう1〜5の高さと同じく、8cm毎にセンサC1〜C3を3個設けている。ダンボール箱6の長さ及び幅は55cmである。
【0040】
この場合、発振源Vが788galの加速度で振動を生じた場合、最も上のセンサC4では173galの加速度で振動が計測され、その下のセンサC3では147galの加速度で振動が計測され、その下のセンサC2では119galの加速度で振動が計測され、その下のセンサC1では99galの加速度で振動が計測された。この結果より、粒状物をダンボール箱6に詰めただけでは、8cm×3=24cm隔てても、57%しか加速度が低減しないことがわかる。
【0041】
他方、図3に示すように、上下の土のう1〜5の境界をさらに自由にするため、同様の粒状物の山を高さ32cm、峰幅60cm、裾幅150cmで築き、上記と同様の試験を行なった。粒状物の山の上にはセンサC4を挟んで1個の土のう5だけを載置した。また、粒状物の山の内部には、各土のう1〜5の高さと同じく、8cm毎にセンサC1〜C3を3個設けている。
【0042】
この場合、発振源Vが774galの加速度で振動を生じた場合、最も上のセンサC4では290galの加速度で振動が計測され、その下のセンサC3では199galの加速度で振動が計測され、その下のセンサC2では136galの加速度で振動が計測され、その下のセンサC1では113galの加速度で振動が計測された。この結果より、粒状物を山にしただけでは、8cm×3=24cmのうちに39%しか加速度が低減しないことがわかる。
【0043】
図1に示す制振構造体D1は、図2の構造体と比べて4倍以上、図3の構造体と比べても3倍、振動が低減することがわかる。この理由の一つとして、各土のう1〜5が上下方向の振動を受けると、土のう1〜5自身が平たくなったり、戻ったり(拡幅したり、縮小したり)する微小な変形を行い、振動エネルギーを減衰しやすいためではないかと考えている。このことは、例えば、コンクリート製の板の上に発振源Vを置くと、かえって振動が増幅されることと比べれば理解されるであろう。このように土のう1〜5のしなやかさには様々な利点があるのである。
【0044】
「試験2」
図4〜7は、コンクリートからなる地盤B上に土のう11〜14を上下方向に4層積層したブロックB1と、土のう21〜24を上下方向に4層積層したブロックB2とを隣接させてなる制振構造体D2、D3を用意し、各土のう11〜14、21〜24の水平方向の振動低減効果を調べる振動実験結果を示したものである。図示のように、ブロックB1の下から順の土のう11〜14の間には、上記と同様のセンサC11〜C13が3個挟まれている。また、ブロックB1の最も上層の土のう14上には、60Hzの発振源V1又は6Hzの発振源V2を載置している。発振源V1(質量25kg)、V2(質量28kg)は、路盤の締固めに用いられる電動式プレートコンパクターである。他方、ブロックB2の下から順の土のう21〜24の間にはセンサC21〜C23が3個挟まれ、最も上層の土のう24上にはセンサC24が載置されている。各土のう11〜14、21〜24は上記試験1と同様のものである。
【0045】
図4に示す制振構造体D2では、両ブロックB1、B2を水平方向に接触させ、一方のブロックB1上に60Hzの発振源V1を載置している。図5の制振構造体D3では、両ブロックB1、B2を水平方向に接触させず、一方のブロックB1上に60Hzの発振源V1を載置している。また、図6の制振構造体D2では、両ブロックB1、B2を水平方向に接触させ、一方のブロックB1上に6Hzの発振源V2を載置している。図7の制振構造体D3では、両ブロックB1、B2を水平方向に接触させず、一方のブロックB1上に6Hzの発振源V2を載置している。いずれの制振構造体D2、D3も、複数の土のう11〜14、21、24が上下方向で2層以上積層され、かつ水平方向にも整列されたものではあるが、上層の土のうSが下層の複数の土のうSに跨って載置されてはいない。
【0046】
図4の制振構造体D2においては、発振源V1が9036galの加速度で振動を生じた場合、ブロックB1の最も上のセンサC13では15464galの加速度で振動が計測され、その下のセンサC12では7977galの加速度で振動が計測され、その下のセンサC11では4302galの加速度で振動が計測された。また、ブロックB2の最も上のセンサC24では490galの加速度で振動が計測され、その下のセンサC23では167galの加速度で振動が計測され、その下のセンサC22では59galの加速度で振動が計測され、その下のセンサC21では49galの加速度で振動が計測された。
【0047】
また、図5の制振構造体D3においては、発振源V1が9457galの加速度で振動を生じた場合、ブロックB1の最も上のセンサC13では15053galの加速度で振動が計測され、その下のセンサC12では8467galの加速度で振動が計測され、その下のセンサC11では3949galの加速度で振動が計測された。また、ブロックB2の最も上のセンサC24では480galの加速度で振動が計測され、その下のセンサC23では167galの加速度で振動が計測され、その下のセンサC22では69galの加速度で振動が計測され、その下のセンサC21では49galの加速度で振動が計測された。
【0048】
一方、図6の制振構造体D2においては、発振源V2が598galの加速度で振動を生じた場合、ブロックB1の最も上のセンサC13では353galの加速度で振動が計測され、その下のセンサC12では167galの加速度で振動が計測され、その下のセンサC11では88galの加速度で振動が計測された。また、ブロックB2の最も上のセンサC24では29galの加速度で振動が計測され、その下のセンサC23では19galの加速度で振動が計測され、その下のセンサC22では10galの加速度で振動が計測され、その下のセンサC21でも10galの加速度で振動が計測された。
【0049】
また、図7の制振構造体D3においては、発振源V2が637galの加速度で振動を生じた場合、ブロックB1の最も上のセンサC13では402galの加速度で振動が計測され、その下のセンサC12では176galの加速度で振動が計測され、その下のセンサC11では86galの加速度で振動が計測された。また、ブロックB2の最も上のセンサC24では29galの加速度で振動が計測され、その下のセンサC23では19galの加速度で振動が計測され、その下のセンサC22では10galの加速度で振動が計測され、その下のセンサC21でも10galの加速度で振動が計測された。
【0050】
これらの結果より、土のうS同士を接触させなくても、横の土のうSに振動が伝わることがわかるが、これはブロックB1、B2の下の地盤Bを通して振動が伝わっていることを意味している。そこで、地盤Bを通して伝わる横の土のうSの加速度を減算すべく、図4及び図6の制振構造体D2におけるブロックB2の各計測値から図5及び図7の制振構造体D3におけるブロックB2の各計測値を引く。すると、図4の制振構造体D2においては、ブロックB2の最も上のセンサC24では+10gal、その下のセンサC23では±0gal、その下のセンサC22では−10gal、その下のセンサC21では±0galの差があるだけである。また、図6の制振構造体D2においては、ブロックB2の最も上のセンサC24では±0gal、その下のセンサC23でも±0gal、その下のセンサC22でも±0gal、その下のセンサC21でも±0galの差となる。
【0051】
この結果から、図4の制振構造体D2において、やや差があるのは、1G(980gal)のひずみゲージ型加速度センサによる±1%の範囲の誤差であると考えられる。これにより、発振源V1、V2の乗っているブロックB1から横のブロックB2の土のうSへは、たとえ接触していても、直接的には振動がほとんど伝わらないことがわかる。図4の制振構造体D2において、発振源V1、V2の乗っているブロックB1の上に水を入れたコップを置くと、水がコップから飛び出しそうになる程激しく揺れるのに、横の接触しているブロックB2の上では、コップ内の水面にわずかに水紋が生じる程度であった。なお、素手で触るだけでなく、頬ずりもしてみたが、その振動低減は明確であった。このことは、大地震であってもヘリコプターに乗っていたら振動を感じないことを想起させる程に、極めて興味深い実験事実と言えよう。
【0052】
「試験3」
図8は、コンクリートからなる地盤B上に複数の土のうSを千鳥配置した制振構造体D4の振動低減の様子を示す。各土のうSは略同一の形状を有し、下から3層目以上の上層の土のうSは下層の2個の土のうSに略等しく跨って載置されている。この制振構造体D4では、図示のように、下から3層目で水平方向に整列する土のう31、32の下面に上記と同様のセンサC31、C32、C33、C34が2個づつ設けられており、下から3層目で土のう31、32に跨る土のう33の下面にセンサC35、C36が2個設けられており、土のう33に水平方向で整列する土のう34の下面にセンサC37が1個設けられており、下から4層目で土のう33、34に跨る土のう35の下面にセンサC38、C39が2個設けられており、最も上層の土のう36の下面にセンサC40が1個設けられている。センサC40、C39、C37、C34は同一鉛直方向に位置し、センサC38、C36、C33は同一鉛直方向に位置し、センサC35、C32は同一鉛直方向に位置している。また、最も上層の土のう36上には、6Hzの発振源V2を載置している。各土のうSは上記試験1、2と同様のものである。
【0053】
この場合、センサC40では328galの加速度で振動が計測された。そして、その下のセンサC39では205galの加速度で振動が計測され、その下のセンサC37では93galの加速度で振動が計測され、その下のセンサC34では43galの加速度で振動が計測された。また、センサC39の隣のセンサC38では64galの加速度で振動が計測され、その下のセンサC36では34galの加速度で振動が計測され、その下のセンサC33では25galの加速度で振動が計測された。さらに、センサC36の隣のセンサC35では22galの加速度で振動が計測され、その下のセンサC32では9galの加速度で振動が計測された。センサC32の隣のセンサC31では10galの加速度で振動が計測された。
【0054】
ここで、試験1の結果より、鉛直方向には高さ8cmの土のうSの1層毎に50%振動が低減し、水平方向には約20cm離れ、40%が低減すると仮定し、振動低減の様子を試算する。なお、試験2の結果より、横に隣接する土のうS間には直接振動が伝わらないものとする。これにより、センサC40の328galを始点とし、鉛直下向きには土のうSの1層毎に半分の164gal、82gal、41galとし、水平横向きにはその164galの4割で66galとし、その66galを鉛直下向きに半分ずつの33gal、16galとしていった。以下、同様にして容易に計算できる。図8の制振構造体D4の実測値と、この試算値とを比較すると、上述のセンサの誤差の範囲で、両者はほぼ対応していることがわかり、興味深い。
【0055】
以上の振動計測の結果より、土のうSの持つ個別性(バラバラの袋状物であること)や柔軟性(しなやかさ)が利点となって、極めて特異な振動低減効果を有することがわかった。これらの利点をうまく活用すれば、有用な振動低減工法を生み出すことができよう。
【0056】
(実施形態2)
実施形態2では、発明者である松岡元が図9、11〜12に示す制振構造体D5〜D7の有する極めて効果的な振動低減効果を利用して、発振源と、振動の伝搬経路との関係による振動低減法を提案した。そして、実物の土のうSを用いた施工現場での振動計測により、上記の制振構造体D5〜D7を用いた振動低減法の有効性を確認した。
【0057】
1.発振源での対策工
(a)施工概要
図9(A)、(B)に発振源での振動抑制を目的とした制振構造体D5の施工概要図を示す。現地発生土を粒状物として用いた複数の土のうSを用意し、土からなる地盤B上にこれらを千鳥配置で4層(8行×8列、9行×9列、10行×10列、11行×11列)積みにした制振構造体を施工した。上層の土のうSは下層の4個の土のうSに略等しく跨って載置されている。各土のうSの寸法は、長さ40cm、幅40cm、高さ10cmである。粒状物は、現地発生土であるため、2種以上の粒径をもつものである。
【0058】
この制振構造体D5上に発振源Vを設置し、図9(A)、(B)に示す測線に沿って、振動レベル計を40cmずつ移動させ、計測を行った。発振源Vは、路盤の締固めに用いられるエンジン式プレートコンパクター(質量60kg、振動数90Hz)である。
【0059】
(b)計測結果
振動計測結果を図10に示す。実線は、制振構造体D5を施工した場所のすぐ隣で、原地盤Bの距離減衰を計測した結果である。図10より、制振構造体D5上の発振源Vによる振動減衰は、原地盤Bの距離減衰よりも大きくなっている。さらに、制振構造体D5を越えて原地盤Bに移るところでは、振動レベルに10dB以上の有意な差が生じた。この結果より、制振構造体D5に直接発振源Vを載せて発振させる場合には、極めて効果的な振動低減効果があることがわかる。
【0060】
2.伝搬経路での対策工
(a)施工概要
振動を伝搬経路で遮断する方法として、図11(A)、(B)に示す対策工を施工した。土からなる地盤Bの表面から深さ60cmの位置に土のうSを千鳥に3層積み(9行×9列、10行×10列、11行×11列)、第1制振構造体d61を設置した。さらに、表面波によって伝わる振動を遮断するため、地盤Bの表面まで、土のうSをさらに千鳥に3層積み(2行×8列、3行×8列、4行×8列)、バリアーとしての第2制振構造体d62を配置した。こうして、第1制振構造体d61及び第2制振構造体d62からなる制振構造体D6を施工した。
【0061】
また、図12(A)、(B)に示すように、土からなる地盤Bの表面から深さ30cmの位置に土のうSを千鳥に3層だけ積み(2行×8列、3行×8列、4行×8列)、バリアーとしての第2制振構造体D7のみを配置した。
【0062】
発振源Vには、同じエンジン式プレートコンパクター(質量60kg、振動数90Hz)を使用した。計測器は振動レベル計を使用し、40cmずつ移動させて計測を行った。
【0063】
(b)振動計測結果
伝搬経路での対策工の振動計測結果を図13に示す。ここで、実線で表したプロットは、図11に示した対策工のうちの第2制振構造体d62を取り除き、第1制振構造体d61上に厚さ30cmの土のみを施工した場合の計測結果である。これを地盤Bの距離減衰として比較を行った。図13より、第2制振構造体d62を超え、原地盤Bに移る位置で振動が大きく減衰されており、土のみの場合と比較して、第2制振構造体d62を施工した場合の方がより効果的な振動低減効果が得られた。
【0064】
また、第2制振構造体D7のみを施工した場合の振動計測結果を図14に示す。こちらは、発振源Vを第2制振構造体D7から▲1▼80cm離した場合、▲2▼120cm離した場合について、計測を行ったが、いずれの場合も第2制振構造体D7を通過後、振動レベルが大きく減少しており、対策工から数m離れたところで地盤Bの距離減衰よりも十数dB低い測定値が得られた。以上より、振動の中間遮断を目的とした対策工を行う場合、伝搬経路に制振構造体を配置すると効果的であることが確認された。
【0065】
(実施形態3)
制振構造体は極めて効果的な振動低減効果を有する。そこで、実施形態3では、発明者である松岡元が交通振動の分野への応用を図るため、試験道路での実物大実験を行った。その結果、制振構造体を下層路盤部(あるいは上層路床部)に設置すると共に、表面波を遮断する制振構造体を設けることによって、高い振動低減効果を示すことがわかった。なお、今回は交通振動の代わりに、電動式及びエンジン式のプレートコンパクターを発振源として用いた。
【0066】
1.対策工の検討
試験道路での実験を行う前に、対策工の検討のため、鉛直積み及び千鳥積みの防振対策工としての制振構造体を施工し、振動計測を行った。
【0067】
(a)鉛直積みの制振構造体の施工概要と振動計測結果
まず、図15に示す制振構造体D8を施工し、振動計測を行った。この制振構造体D8では、鉛直下向きに伝搬する振動を遮断するため、土からなる地盤Bの地表から24cmの深さに土のうSを4層(7行×7列、7行×7列)設置し、第1制振構造体d81とした。さらに、水平方向に伝搬する振動を遮断するため、第1制振構造体d81上に鉛直3層積みの土のうSを2行又は2列でコの字型に配置し、第2制振構造体d82とした(図15のハッチング部分)。各土のうSの寸法は、長さ40cm、幅40cm、高さ8cmである。粒状物は、現地発生土であるため、2種以上の粒径をもつものである。
【0068】
発振源Vには、エンジン式プレートコンパクター(質量60kg、周波数90Hz)と電動式プレートコンパクター(質量25kg、周波数60Hz)とを使用した。測定は、図15に示すように、対策工の中央で振動を発生させ、第2制振構造体d82を挟んで水平3方向に向かって測線をとり、各方向へ伝播する振動を振動レベル計で測定した。また、振動は定常振動とみなし、一つのセンサを測線に沿って振源から40cmずつ移動させながら計測を行った。
【0069】
発振源Vに電動式プレートコンパクターを用いた場合の振動計測結果を図16に示す。実線は、対策工のすぐ近くで計測した地盤Bの距離減衰の値である。鉛直積みの第2制振構造体d82はコの字型に施工されているので、図15に示すように、3方向に測線をとり、計測を行った。対策工内から発振した場合と、地盤Bの距離減衰とを比較すると、3方向の測線いずれにおいても、第2制振構造体d82を超える付近から振動レベルが大きく減少していることがわかる。対策工から数m離れた所では、十数dBという大きな差が見られた。
【0070】
(b)千鳥積みの制振構造体の施工概要と振動計測結果
次に、図17に示すす制振構造体D9を施工し、振動計測を行った。この制振構造体D9では、上記第1制振構造体d81と同様の第1制振構造体D91上において、第2制振構造体d92の形状を千鳥配置で3層積み(最上部から7行×2列、7行×3列、7行×4列)に変更し、コの字型ではなく、直線型とした。測定は、鉛直積みの第2制振構造体d82の場合と同じ条件で行った。
【0071】
千鳥積みの第2制振構造体d92の場合の振動計測結果を図18及び図19に示す。図18は電動式プレートコンパクターを用いた場合の振動計測結果であり、図19はエンジン式プレートコンパクターを用いた場合の振動計測結果である。図18及び図19より、鉛直積みの場合と同様、第2制振構造体d92を超える付近から振動レベルが大きく減少していることがわかる。電動式プレートコンパクターの場合は約15dB、電動式より振動の大きいエンジン式プレートコンパクターの場合にも、約10dB、地盤Bの距離減衰より振動が低減する結果となった。
【0072】
2.試験道路での実験
(a)施工概要
これまで述べた実験結果に基づき、試験道路での実物大実験を行った。道路の表層付近に施工することを想定し、図20に示すように、土からなる地盤Bの地表から20cmの深さに土のうSを鉛直積みで4層設置し、第1制振構造体d101とした。また、前記の実験結果より、第2制振構造体d102は千鳥配置とし、地表まで届くよう2層(最上部から7行×2列、7行×3列)設置した。こうして、第1制振構造体d101及び第2制振構造体d102からなる制振構造体D10を施工した。
【0073】
発振源Vには、前記のエンジン式プレートコンパクターを使用した。測定は発振源Vの位置を固定し、振動レベル計を40cm毎に移動させて計測を行った。
【0074】
さらに、表面波のみを中間遮断することを想定し、図12に示すように、土のうSを地表から千鳥配置で3層(最上部から7行×2列、7行×3列、7行×4列)のみ配置した第2制振構造体D7も施工し、振動計測を行った。
【0075】
(b)振動計測結果
発振源Vにエンジン式プレートコンパクターを使用した場合の振動計測結果を図21及び図22に示す。図21は第1、2制振構造体d101、d102の計測結果であり、図22は第2制振構造体D7のみの計測結果である。実線は対策工を行った場所と同じ試験道路内で、通常の施工条件で施工された部分(土のうSなし)での振動計測結果であり、これを距離減衰とした。
【0076】
距離減衰と比較すると、対策工内から発振した振動は、第2制振構造体D102通過後、距離減衰より大きな減衰特性を示している。特に、図22に示すように、地表面付近に3層千鳥配置した第2制振構造体D7だけでも、5dB程度減衰しているのが見られ、興味深い。
【0077】
3.まとめ
以上の実験から、振動に対する土のうを用いた防振対策工の有効性を確認することができた。土のうSは施工形状を自由に変えられるため、振動の伝搬経路に土のうSが配置されるよう、現地にあわせて施工することにより、より大きな防振工としての効果を期待できる。今回振源に用いたプレートコンパクターは、実際の交通振動での振源と比較して、高周波・定常振動であるといった違いがあるため、今後現実に近い振源に対する検討を行っていきたい。
【0078】
(実施形態4)
実施形態4では、発明者である松岡元及び山本春行が制振構造体の繰返しせん断特性と減衰定数に関して考察した。すなわち、建物基礎に土のうSをコラム状(柱状)に配置した制振構造体Dを施工し、これにより建物基礎地盤を補強する「土のう積みコラム」の繰返しせん断特性について、実物大実験を行った。
【0079】
土のうSの積層数2層と6層との繰返しせん断試験結果から、制振構造体Dの等価減衰定数heq(以下、減衰定数heqと呼ぶ。)が約0.3という大きな値であることが分かり、制振構造体Dが高減衰構造体であることを見出した。これより、制振構造体Dによる基礎補強は、地盤支持力を増大させるだけでなく、免震効果も期待できるという利点があることが分かった。
【0080】
1.粒状物の繰返し単純せん断試験
制振構造体Dの減衰定数heqと土のうSの中詰め材として用いる粒状物だけの減衰定数heqとを比較するため、まず粒状物の繰返し単純せん断試験を行なった。使用した単純せん断試験機は、手動ギアを介してせん断力を載荷する機構になっている。供試体は、直径7cm、高さ2cmのものであり、ゴムスリーブとテフロン(登録商標)リングとによって拘束されている。試料は日光珪砂6号(平均粒径0.25mm)と白銀珪砂3号(平均粒径1.2mm)とを用いた。変位制御で試験を行ない、せん断ひずみγ(%)を0.2、0.5、1、2、3と、徐々に大きくして繰返した。垂直応力σは130kPaと310kPaとの2種類で行なった。間隙比はすべて0.94とした。試験結果の例を図23(A)、(B)に示す。図(A)は日光珪砂6号についてのσ=130kPaの試験結果であり、図(B)は白銀珪砂3号についてのσ=130kPaの試験結果である。
【0081】
2.実物の制振構造体の繰返しせん断試験
大型繰返しせん断試験機を用いて、実物の制振構造体Dの繰返しせん断試験を行なった。このせん断試験機は、垂直荷重と水平荷重とを独立に載荷できる機構になっており、載荷板がねじれたり回転したりしないように、ひし形のフレームが取り付けられている。試験はひずみ制御で行ない、粒状物の繰返しせん断試験と同じように、せん断ひずみγ(%)を0.2、0.5、1、2、3と、徐々に大きくして繰返し、垂直応力σも同様に、130kPaと310kPaとで行なった。粒状物は日光珪砂6号(平均粒径0.25mm)と白銀珪砂3号(平均粒径1.2mm)を用いた。積層数は2層と6層とで行なった。日光珪砂6号入りの土のうSを積層数6層で鉛直積みした制振構造体Dの試験結果を図24(A)、(B)に示し、白銀珪砂3号入り土のうSを積層数6層で鉛直積みした制振構造体Dの試験結果を図25(A)、(B)に示す。これらにおいて、図(A)はσ=130kPaの試験結果であり、図(B)はσ=310kPaの試験結果である。また、白銀珪砂3号入り土のうを積層数2層で鉛直積みした制振構造体Dについて、σ=130kPaで行った試験結果を図26に示す。
【0082】
3.制振構造体と粒状物との減衰定数の比較
以上の繰返しせん断試験結果から、減衰定数heqを計算し、比較した。減衰定数heqは次のように定義される。
【0083】
【数1】
heq=ΔW/(2πW)
【0084】
ここに、ΔWは1サイクルの損失エネルギー、Wは弾性ひずみエネルギーであるので、減衰定数heqは弾性ひずみエネルギーに対する損失エネルギーの比を意味する。つまり、ループの面積が大きい程、減衰定数heqは大きくなる。図27及び図28は各せん断ひずみγ毎に数1で計算した減衰定数heqを示したものである。図27は日光珪砂6号の場合の結果を示し、図28は白銀珪砂3号の場合の結果を示す。
【0085】
図27及び図28より、制振構造体Dの減衰定数heqは、せん断ひずみγが1%以上の範囲では、土のうの中詰め材である粒状物とほぼ同じか、やや大きくなることがわかる。また、せん断ひずみγが1%以下の範囲でも、粒状物のように減衰定数heqが小さくなることなく、大きな減衰性能を保つことも見られる。一般に、土はせん断ひずみγが大きい範囲では大きな減衰定数heqを持つが、コンクリート等で建物基礎を補強すると、剛性が増し、せん断ひずみγが小さくなって、減衰定数heqが小さくなると言われている。しかし、制振構造体Dはひずみの小さい範囲でも高い減衰性能を保持することがわかった。このことは、土のう同士の摩擦試験において、変位ゼロのところから大きなせん断力を示し、その後、土のう間の滑りが発生するというせん断力〜変位関係から類推されることである。
【0086】
また、図28より、土のうの積層数が2層である場合と6層である場合とがほぼ同じ減衰定数heqであることがわかる。このことは、あらゆる形態の土のう積み基礎が高い減衰性能を持つことを示しており、土のう積み基礎を用いて建物を設計する場合、上部構造の設計が非常に楽になることを意味している。また、減衰定数heq=0.3という値は、設計に使われるコンクリート構造物の減衰定数heq=0.05、鋼構造物の減衰定数heq=0.02と比べると、一桁大きな値であり、その減衰性能の高さがよくわかる。
【0087】
以上のように、実施形態1〜4の制振構造体は高い制振性を発揮する。そして、この制振構造体によって、線路、道路、工事現場等による環境振動の抑制や建築物の地震対策等の要求を従前以上に満足させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1の試験1に係る制振構造体の側面図である。
【図2】実施形態1の試験1に係る他の構造体の一部断面の側面図である。
【図3】実施形態1の試験1に係る他の構造体の一部断面の側面図である。
【図4】実施形態1の試験2に係る制振構造体の側面図である。
【図5】実施形態1の試験2に係る他の制振構造体の側面図である。
【図6】実施形態1の試験2に係る他の制振構造体の側面図である。
【図7】実施形態1の試験2に係る他の制振構造体の側面図である。
【図8】実施形態1の試験3に係る制振構造体の側面図である。
【図9】実施形態2の制振構造体に係り、図(A)は側面図、図(B)は平面図である。
【図10】図9の制振構造体の計測結果を示すグラフである。
【図11】実施形態2の他の制振構造体に係り、図(A)は一部断面の側面図、図(B)は平面図である。
【図12】実施形態2の他の制振構造体に係り、図(A)は一部断面の側面図、図(B)は平面図である。
【図13】図11の制振構造体の計測結果を示すグラフである。
【図14】図12の制振構造体の計測結果を示すグラフである。
【図15】実施形態3の制振構造体に係り、図(A)は一部断面の側面図、図(B)は平面図である。
【図16】図15の制振構造体の計測結果を示すグラフである。
【図17】実施形態3の他の制振構造体に係り、図(A)は一部断面の側面図、図(B)は平面図である。
【図18】図17の制振構造体において、電動式プレートコンパクターを用いた場合の計測結果を示すグラフである。
【図19】図17の制振構造体において、エンジン式プレートコンパクターを用いた場合の計測結果を示すグラフである。
【図20】実施形態3の他の制振構造体に係り、図(A)は一部断面の側面図、図(B)は平面図である。
【図21】図20の制振構造体において、第1、2制振構造体の計測結果を示すグラフである。
【図22】図20の制振構造体において、第2制振構造体の計測結果を示すグラフである。
【図23】実施形態4に係り、図(A)は日光珪砂6号についてのσ=130kPaの試験結果を示すグラフであり、図(B)は白銀珪砂3号についてのσ=130kPaの試験結果を示すグラフである。
【図24】実施形態4における日光珪砂6号入りの土のうを積層数6層で鉛直積みした制振構造体に係り、図(A)はσ=130kPaの試験結果を示すグラフであり、図(B)はσ=310kPaの試験結果を示すグラフである。
【図25】実施形態4における白銀珪砂3号入りの土のうを積層数6層で鉛直積みした制振構造体に係り、図(A)はσ=130kPaの試験結果を示すグラフであり、図(B)はσ=310kPaの試験結果を示すグラフである。
【図26】実施形態4における白銀珪砂3号入りの土のうを積層数2層で鉛直積みした制振構造体に係り、σ=130kPaの試験結果を示すグラフである。
【図27】実施形態4に係り、日光珪砂6号のせん断ひずみと等価減衰定数との関係を示すグラフである。
【図28】実施形態4に係り、白銀珪砂3号のせん断ひずみと等価減衰定数との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1〜5、11〜14、21〜24、31〜36、S…土のう
D、D1〜D10…制振構造体(d61、d81、d91、d101…第1制振構造体、d62、d82、d92、d102…第2制振構造体)
B…地盤
V、V1、V2…発振源

Claims (9)

  1. 複数の土のうが各々独立した状態で上下方向に少なくとも2層で積層されてなることを特徴とする制振構造体。
  2. 複数の土のうが各々独立した状態で水平方向に整列されてなることを特徴とする請求項1記載の制振構造体。
  3. 上層の土のうは下層の複数の土のうに跨って載置されていることを特徴とする請求項2記載の制振構造体。
  4. 各土のうは略同一の形状を有し、上層の土のうは下層の2個の土のうに略等しく跨って載置されていることを特徴とする請求項3記載の制振構造体。
  5. 各土のうは略同一の形状を有し、上層の土のうは下層の4個の土のうに略等しく跨って載置されていることを特徴とする請求項3記載の制振構造体。
  6. 各土のうは、粒状物と、該粒状物を内部に充填し、該粒状物の自重又は外力によって撓み得るとともに、伸び難い材質からなる袋体とからなることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の制振構造体。
  7. 地中に請求項1乃至6のいずれか1項記載の制振構造体を設け、該制振構造体上に振動を発する発振源を設けることを特徴とする制振方法。
  8. 地中に請求項1乃至6のいずれか1項記載の制振構造体を設け、該制振構造体上に振動の制限を望む静置体を設けることを特徴とする制振方法。
  9. 地中に請求項1乃至6のいずれか1項記載の制振構造体を設け、振動を発する発振源と該振動の制限を望む静置体とを該制振構造体により離反することを特徴とする制振方法。
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