JP4257945B2 - 天然系テイストフレーバーおよびそれで賦香された食品 - Google Patents

天然系テイストフレーバーおよびそれで賦香された食品 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、天然系テイストフレーバーおよびそれで賦香された食品に関する。
【0002】
【従来の技術】
チーズを製造する過程で大量の副産物としてホエイが生成される。ホエイは各種の用途に利用されてはいるが、再利用率は未だ不十分であり、大量のホエイが食品廃棄物として処分されている。ホエイの有効利用について、本出願人はホエイを吸着剤と接触させたのち、エチルアルコール溶液を用いて吸着成分を該吸着剤から溶出して乳製品フレーバーを得る技術を出願した(特願2001−370821)。該技術により呈味性に優れたフレーバーが得られたが、更なる呈味性の向上を求めて鋭意研究を行った。
また、ホエイ等の蛋白の酵素分解処理物をフレーバー付与剤として用いる場合、酵素分解で生じる苦味ペプチド由来の苦味問題がある。この問題を解決するために、プロテアーゼ処理後、麹酵素により熟成させる技術があるが(特許文献1)、製造工程が煩雑であり、熟成に15日間を要しており、十分とは言えない。また、乳清蛋白質(ホエイ)のプロテアーゼ処理物および乳脂のリパーゼ処理物を有効成分として含有する飲食品の風味改良剤が提案されているが、2種の処理物を製造しなければならず、更に乳清蛋白質(ホエイ)のプロテアーゼ処理物には苦味があり、十分とは言えない(特許文献2)。
この苦みを除去する技術として、加水分解液を吸着性樹脂で処理する方法がある。しかし、これら技術は、苦み成分を樹脂に吸着させ、加水分解液は樹脂を通過させて、苦みのないペプチド混合物を得るものである(特許文献3、4)。
【0003】
本出願の発明に関する先行技術文献としては次のものがある。
【特許文献1】
特許第2674695号公報
【特許文献2】
特開平9−37735号公報
【特許文献3】
特開2001−95496号公報
【特許文献4】
特開平5−276896号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ホエイを原料とした、食品に共通する”おいしさ”成分として食品にコク味やボリューム感などを付与し、脱脂粉乳臭のマスキングや耐熱性にも優れた天然系テイストフレーバーとその製造法およびそれで賦香された食品を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ホエイの蛋白質分解酵素処理物を吸着剤と接触させたのち、エチルアルコール溶液を用いて、該吸着剤に吸着した吸着成分を該吸着剤から溶出させて得られる天然系テイストフレーバーおよび前記天然系テイストフレーバーで賦香された食品である。また、本発明は、ホエイを蛋白質分解酵素で分解処理し、得られた酵素分解処理物を吸着剤と接触させたのち、エチルアルコール溶液を用いて該吸着剤に吸着した吸着成分を該吸着剤から溶出することを特徴とする天然系テイストフレーバーの製造法である。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に用いられるホエイは特に限定はない。産業上の利用の観点からは、各種のチーズ製造の過程でカードを分離した後に廃棄物として残る水性成分(乳清)を使用するのが好ましいが、ヨーグルトおよびカゼインの製造時に生じるホエイを使用することも可能である。尚、チーズ等の製造に用いられる原料乳は、特に限定されるものではなく、例えば牛乳、山羊乳、羊乳、水牛乳、ロバ乳等が挙げられる。
前記チーズには、モッツアレラチーズ、カラージチーズ、クリームチーズ等の非熟成タイプ、ブルーチーズ、カマンベールチーズ、ゴルゴンゾーラチーズ等のカビ熟成タイプ、パルメザンチーズ、ゴーダチーズ、チェダーチーズ等の細菌熟成タイプが挙げられる。またホエイには、加工したホエイ粉末、ホエイ蛋白質濃縮物(WPC)、ホエイ蛋白質分離物(WPI)等の各溶液も用いられる。
更に、牛乳・脱脂乳を40〜50℃に加温後、UF膜(例えば分画分子量5万)で濃縮したプレチーズに乳酸菌を添加して発酵させるナチュラルチーズの製造過程において、前記UF膜を通過したホエイがある。通常の前記のチーズホエイは、使用する乳酸菌の種類や発酵程度、チーズの種類等によって、得られるホエイの品質が変動することがあるが、このUF膜通過ホエイは、品質が安定している為、好ましく用いることができる。
以上は、動物性ホエイを例示したが、豆乳等の植物性ホエイも用いることができる。
【0007】
本発明に用いられる蛋白質分解酵素は、プロテアーゼまたはペプチターゼとも呼ばれ、ペプチド結合の加水分解反応を触媒する酵素の総称である。この酵素には、セリンプロテアーゼ、シスチンプロテアーゼ、アスパルティックプロテアーゼ、金属プロテアーゼなどのエンドペプチダーゼおよびアミノペプチダーゼ、ジペプチダーゼ、ジペプジルアミノペプチダーゼ、ジペプジルカルボキシペプチダーゼ、セリンカルボキシペプチダーゼ、金属カルボキシペプチダーゼなどのエキソプチダーゼが挙げられる。これらの酵素は大部分が市販されており、容易に入手が可能である。例えば、オリエンターゼONS、オリエンターゼ20A、オリエンターゼ90N、オリエンターゼ10NL、ヌクレイシン(以上、阪急バイオインダストリー社製)、トリプシン、フレーバーザイム1,000L、アルカラーゼ2.4L、ニュートラーゼ0.5L(以上、ノボノルディスクバイオインダストリー社製)、コクラーゼP(三共社製)、パパインW−40、ブロメラインF、プロレザー、パンクレアチンF、プロテアーゼM「アマノ」、プロテアーゼA「アマノ」、プロテアーゼN「アマノ」、プロテアーゼP「アマノ」、ウマミザイムG、ヌクレアーゼ「アマノ」(以上、天野エンザイム社製)、ビオプラーゼSP−15FG、パパイン、デナチームAP、デナプシン10P(以上、ナガセケムテックス社製)、プロチンAY−10、プロチンNY−10、サモアーゼY−10(大和化成社製)などが挙げられる。
本発明においては、蛋白質分解酵素に加えて乳糖分解酵素を併用するのが好ましい。乳糖分解酵素は、ラクターゼあるいはβガラクトシダーゼとも呼ばれ、乳糖の加水分解反応を触媒する酵素の総称である。この酵素は市販されているので、容易に入手が可能である。例えば、ラクターゼF(天野エンザイム社製)、ラクトレスL−3、ラクトレスL−10(以上、大和化成社製)などが挙げられる。
【0008】
蛋白質分解酵素は単独でも用いられるが、2種以上組み合わせて用いるのが良い。特に好ましくは、パンクレアチンF、トリプシン等の動物由来の酵素、ブロメラインF、パパイン等の植物由来の酵素およびウマミザイムG、プロテアーゼM等の微生物由来の酵素をそれぞれ少なくとも1つを含む3種以上の酵素を組み合わせて用いるのが、うま味、コク味およびボリューム感が増大する点で良い。
また、乳糖分解酵素の併用は、すっきりとした甘味及びすっきりとしたコク味が向上する点で良い。また酵素は一度に添加しても良いが、2〜3回に分けて添加し、酵素反応を行っても良い。
【0009】
蛋白質分解酵素の使用量は、酵素の種類あるいは酵素活性などによって異なるが、ホエイ中の蛋白質1gに対して一般に約100unit〜約500万unit、好ましくは約1,000unit〜約100万unitの範囲内を例示することができる。また、併用する乳糖分解酵素の使用量は、ホエイ中の乳糖1gに対して一般に約0〜約1万unit、好ましくは約0〜約1,000unitであり、また蛋白質分解酵素unitに対しては、約0〜約10unit%、好ましくは約0〜約0.1unit%の範囲内を例示することができる。
【0010】
ホエイを前記の酵素で分解処理する場合、ホエイと酵素とを混合するが、これらの混合順序は特に限定されない。ホエイはそのまま、あるいは濃縮したものなどあらゆる形態で用いられ、特に限定はされない。酵素処理条件は、温度、約20℃〜約60℃、処理時間、約1時間〜約24時間が適当である。なお、PH条件も酵素反応が進行する限り特に限定されないが、好ましい範囲としてPH約4〜9が挙げられる。前記酵素処理において、ホエイは酵素の作用を受けてペプチド、遊離アミノ酸等に分解される。
酵素処理終了後、酵素処理液は、例えば75〜100℃に加熱して酵素を失活させることが好ましい。得られた酵素処理液は、濾過、遠心分離などの方法により変性蛋白質などの固形物から分離される。
【0011】
また、本発明に用いられる吸着剤には、活性炭、カーボンブラック、珪藻土、多孔性重合樹脂またはシリカゲル等が挙げられるが、これらの中でも多孔性重合樹脂が好ましい。多孔性重合樹脂としては、例えば、イオン交換樹脂や無官能基型合成吸着樹脂が挙げられるが、これらの中でも無官能基型合成吸着樹脂が好ましい。イオン交換樹脂としては、強酸性と弱酸性の陽イオン交換樹脂並びに強塩基性と弱塩基性の陰イオン交換樹脂が挙げられる。また、無官能基型合成吸着樹脂としては、スチレン・ジビニルベンゼン系とメタクリル酸エステル系等がある。本発明のフレーバーを好ましく得るのに用いられる市販の無官能基型合成吸着樹脂としては、ダイヤイオンHP、SPシリーズやアンバーライトXADシリーズ等が挙げられる。
尚、限外濾過やゲル濾過等は吸着・脱着の原理でなく、細孔の通過速度の原理が働いているので、本発明の吸着剤には該当しない。
【0012】
これらの吸着剤とホエイ酵素処理液を接触させる方法としては特に限定はなく、例えばカラムに吸着剤を充填し、ホエイ酵素処理液を通液させる方法(以下、カラム法ともいう)あるいはタンクにホエイ酵素処理液と吸着剤とを入れ攪拌して接触させる方法(以下、バッチ法ともいう)等がある。しかしながら繰り返し使用できる点からカラム法が好ましい。前記吸着剤とホエイ酵素処理液を接触させる場合の温度は、特に限定はないが約25℃以下が好ましく、ホエイ酵素処理液は水で希釈して用いても良い。
【0013】
更に、カラム法でのホエイ酵素処理液の通液速度は、空間速度SV=1〜200の範囲が好ましい。なお、SVとは、1時間に樹脂容積の何倍の容量の処理物を流すかを示した値である。必要により上部から加圧あるいは下部から吸引しても良いが、このときの加圧は1平方センチ当たり1kg、減圧の場合は100mmHgを限度とするのが、製造上好ましい。また、バッチ法の場合、吸着剤とホエイ酵素処理液との接触時間は、吸着剤の種類と量等によって異なるが一般的には1〜5時間で十分である。吸着剤の使用量はホエイ酵素処理液の固形分重量の1/2〜1/20が好ましい。
【0014】
ホエイ酵素処理液との接触が終了した吸着剤は、バッチ法においては濾過等でホエイ酵素処理液と分離された後、水で洗浄され、カラム法においても水を通液することにより洗浄される。洗浄時の水の使用量は吸着剤量の2〜10倍程度である。この洗浄は、蛋白質等の成分を除去して、製造時の取り扱い上の操作性を確保するために行われる。
【0015】
次に吸着剤に吸着した吸着成分は溶液中に溶出されて本発明の天然系テイストフレーバーが得られる。吸着成分を溶出するのに用いられる溶液は、エチルアルコールを主とする溶液であれば特に限定はないが、中でもエチルアルコールと水との混合溶液、該溶液とプロピレングリコールまたはグリセリンとの混合溶液が好ましい。特に好ましくは、エチルアルコールと水との混合溶液で、エチルアルコールの重量%(以下、%ともいう)が20〜99%の溶液、好ましくは30〜60%の溶液を用いるのが良い。
【0016】
エチルアルコール溶液の溶出液の使用量には特に限定はないが、通液したホエイ酵素処理液量の10分の1乃至300分の1が好ましい。
以上からわかるように、吸着剤に吸着した吸着成分を該吸着剤から溶出する方法は、疎水クロマトグラフィー(逆相系クロマトグラフィーの一種とも理解される)が好ましく、特に無官能基型合成吸着樹脂を用いた疎水クロマトグラフィーが好ましい。
得られた本発明のフレーバーは、香気を有する茶黄色の液体であり、一般的に本フレーバー中の固形分は0.5〜6.0%、蛋白質は0.4〜4.0%であった。
【0017】
本発明のフレーバーは、苦みや蛋白分解物特有の不快な味が無くなると共に、非常に優れた低アレルギー性を示し、また、本発明のフレーバーは、食品に共通する”おいしさ”成分として食品にコク味やボリューム感などを付与すると共に、フレーバーのトップをおしあげるエンハンス効果をも併せて兼ね備えている。また高甘味度甘味料の後味のマスキングやエチルアルコールに由来した刺激味のマスキング効果をも有し、更には耐熱性にも優れている。
本発明の製造法によれば、吸着剤に吸着した苦みや蛋白分解物特有の不快な味は溶出せず、前記の有用な酵素処理物およびテイストフレーバー部分のみを溶出させることができ、極めて有用な技術である。
更にまた、本発明の方法によれば、食品廃棄物のリサイクル利用に寄与しつつ、付加価値の高い天然系テイストフレーバーが安価にかつ比較的簡便に得られる
【0018】
本発明のフレーバーは、これを単独で使用することも可能であり、またベース香料として他の香料と組み合わせて使用することも可能である。すなわち、使用について種々の組み合わせが考慮できることが本発明品の利点である。前記他の香料としては、例えば、ストロベリーやアップル等のフルーツ系フレーバー、シトラス系フレーバー、バニラ系フレーバー、コーヒー系フレーバー、洋酒系フレーバー、発泡酒・ビール系フレーバー、紅茶・ウーロン茶・緑茶などの茶系フレーバーまたは茶フレーバー等が挙げられる。本発明のフレーバーの他の香料への添加量は、0.1〜10%が好ましい。
【0019】
本発明のフレーバーは、単独でまたは他の香料と組み合わせて食品に用いられる。例えば、飲料類として果実飲料類、炭酸飲料類、茶系飲料類(紅茶・ウーロン茶・緑茶など)、コーヒー飲料類、機能性飲料;酒類として洋酒類(ワイン・ウイスキー・ブランデー・ラム、ジン、リキュールなど)、清酒類、発泡酒・ビール類;菓子類として、キャンディー・デザート類、チューインガム類、チョコレート類、焼き菓子・ベーカリー類、冷菓類(アイスクリーム類、シャーベット類、アイスキャンディー類);スープ類;食肉加工品類;水産加工品類;調理食品類;冷凍食品類;調味料類;電子レンジ食品類;たばこ等が挙げられる。
前記食品に対する本発明のフレーバーの添加量は、食品の種類や剤形によって異なるが、例えば0.00001〜1%、好ましくは0.0001〜0.1%の範囲を例示することができる。また、本発明のフレーバー中の固形分換算での添加量として0.001〜100ppm、好ましくは0.01〜10ppmの範囲を例示することができる。
【0020】
【実施例】
以下、実施例によりこの発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれにより制限されるものではない。
【0021】
試験例1 推定分子量分布の測定方法
ゲル濾過HPLCを用いて、本発明のテイストフレーバーのクロマトグラムを描いた。そのゲル濾過カラムは、TSK−GEL G2000SWXL(東ソー社製。内径7.8mm、長さ300mm)を用いて、0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)を含む45%アセトニトリルの移動相により流速0.5ml/分で溶出した。検出器は、紫外分光光度計を用いて、210nmの吸光度で検出した。データ解析は、GPCソフトウエア(島津製作所製)を使用した。分子量マーカーとしてβ―ラクトグロブリン、α―ラクトアルブミン、ヒトインシュリン、バシトラシン、グルタチオンおよびグリシンの分子量(対数目盛)と溶出時間から得られた分子量分布の検量線から、分子量10,000、5,000、1,000、500および100に相当する溶出時間を求めた。
【0022】
実施例1
固形分5.5%、蛋白質0.4%、糖分3.5%、PH6.2のUF膜通過ホエイ(オーム乳業製。殺菌済み)4kgを5Lコルベンに仕込んで、攪拌しながら50℃になるまで加温した。なお、攪拌は、100rpmで行った。そのコルベンにブロメラインF(天野エンザイム製)0.3g(24万unit)、トリプシン(ノボザイム製)0.3g(37万unit)、ウマミザイムG(天野エンザイム製)0.3g(20unit)およびラクターゼF(天野エンザイム製)0.03g(300unit)を加えて、15時間の酵素反応を行った。その後、熱失活して、その温度を室温まで下げた。
三菱化学製ダイヤイオンHP-20充填剤40mlを内径3.5cm、高さ52cmのガラスカラムに充填し、イオン交換水、95%エチルアルコール(95AL、以下同様)、イオン交換水の順で各々200mlづつ流して、充填剤を洗浄した。次に、上記の酵素分解物を空間速度SV=50でカラムに通液した後、イオン交換水120mlで洗浄し、59AL120mlで吸着成分を溶出させて、本発明のフレーバーである溶出液40gを得た。本発明のフレーバー中の固形分は1.4%、蛋白質は0.9%であった。
【0023】
本発明のフレーバーのゲル濾過HPLCによるクロマトグラムを図1に示す。図1から、分子量1,000〜5,000と分子量500〜1,000と分子量100〜500の比率は、3:2:5であり、その平均分子量は400であった。
【0024】
比較例1
前記UF膜通過ホエイを、実施例1と全く同じ条件で酵素反応を行い、その後、熱失活して、その温度を室温まで下げてホエイの酵素処理液を得た。
【0025】
比較例2
前記UF膜通過ホエイを、実施例1と全く同じ条件で酵素反応を行って得た酵素処理液を、実施例1と全く同じ条件でガラスカラムに通液して、ホエイ酵素処理液のカラム通過液を得た。
【0026】
実施例2
前記UF膜通過ホエイ20kgを30Lタンクに仕込んで、攪拌しながら50℃になるまで加温した。なお、攪拌は、120rpmで行った。そのタンクにブロメラインF(天野エンザイム製)6g(480万unit)、プロテアーゼM(天野エンザイム製)6g(3万3000unit)およびウマミザイムG(天野エンザイム製)6g(420unit)を加えて、4時間の酵素反応を行った。その後、熱失活して、その温度を室温まで下げた。
三菱化学製ダイヤイオンHP-20充填剤200mlを95AL200mlに浸せき後、内径4.8cm、高さ25cmのステンレスカラムに充填し、95AL400ml、精製水600mlを流して、充填剤を洗浄した。次に、上記の酵素分解物を空間速度SV=48でカラムに通液した後、精製水600mlで洗浄し、30AL600mlで吸着成分を溶出させて、本発明のホエイの酵素処理物であり、また本発明のフレーバー220gを得た。
【0027】
実施例3
前記UF膜通過ホエイ2kgを3Lコルベンに仕込んで、攪拌しながら50℃になるまで加温した。なお、攪拌は、110rpmで行った。そのコルベンにブロメラインF(天野エンザイム製)0.67g(50万unit)を加えて1時間反応し、更に、ウマミザイムG(天野エンザイム製)0.67g(45unit)を加えて1時間反応し、更に、ラクターゼF(天野エンザイム製)0.07g(700unit)を加えて、1時間の酵素反応を継続した。その後、熱失活して、その温度を室温まで下げた。
三菱化学製ダイヤイオンHP-20充填剤20mlを内径2.2cm、高さ52cmのガラスカラムに充填し、イオン交換水、95AL、イオン交換水の順で各々100mlづつ流して、充填剤を洗浄した。次に、上記の酵素分解物を空間速度SV=49でカラムに通液した後、イオン交換水60mlで洗浄し、59AL60mlで吸着成分を溶出させて、本発明のフレーバー22gを得た。
【0028】
実施例4
実施例1で得られたフレーバーを緑茶エッセンス香料に1%添加し、下記表1に示す処方により緑茶ドリンクを調整して、無添加系(本発明のフレーバーは用いず、緑茶エッセンス香料を0.0505Kg用いた同様の緑茶ドリンク)を対照にして5名でパネルテストを行った。その結果、本発明の緑茶ドリンクは、ふくよかな甘味、旨味が増強されると共に、風味全体がリフトアップされ好ましいト評価された。
なお、比較例1で得たホエイの酵素処理液のみを、表1に示す処方中の実施例1のフレーバーに代えて使用した場合、力価が弱く改善効果は全く認められなかった。また、苦味があり、丸みやまろやかさを付加することができなかった。また、比較例2のホエイ酵素処理液のカラム通過液を表1に示す処方中の実施例1の フレーバーに代えて使用した場合、呈味、香気共に力価が弱い為に改善効果は余り認められなかった。更に、比較例1および比較例2は、水溶液の為に菌発生の危険があって、殺菌する必要があるなどの問題があった。
【0029】
【表1】
Figure 0004257945
尚、緑茶抽出液は、茶葉1.2KgをビタミンCのNa塩0.015Kgと共に65℃の熱水30リットルで抽出した。
【0030】
実施例5
実施例2で得られたフレーバーを、緑茶フレーバーに5%添加し、市販の緑茶ペットボトル(香料無添加品)に0.2%賦香して、6名のパネリストで評価した。その結果、旨味、甘味およびまろやかさを付与した高級感のあるお茶に仕上げることができるばかりか、そのフレーバーのエンハンス効果にも優れている事が分かった。
【0031】
実施例6
実施例2で得られたフレーバーを、5%インスタントコーヒー液に0.5%賦香して、耐熱試験(115℃、15分間加熱)後に3名のパネリストで評価した。その結果、本発明のフレーバーを添加しない比較例に較べて、呈味性が向上していると同時に耐熱性も有する事が判明した。
【0032】
実施例7
実施例1で得られたフレーバーを、バニラフレーバーに10%添加し、下記表2に示す処方のスウィートチョコレートに0.1%賦香して、6名のパネリストで評価した。その結果、本発明のスウィートチョコレートは、本発明のフレーバーを添加しない同様のスウィートチョコレートに較べて、コク味やボリューム感などの呈味性が付与され、フレーバーのトップを押し上げるエンハンス効果があり、油脂感のマスキングや耐熱性にも優れている事が分かった。
【0033】
【表2】
Figure 0004257945
【0034】
実施例8
実施例2で得られたフレーバーを、ビールフレーバーに1%添加し、ビール風味のチューハイ飲料(エチルアルコール5%含有の炭酸水溶液)に0.2%賦香して、6名のパネリストで評価した。その結果、ビール特有のコク味に厚みと広がりを付与し、さらにエチルアルコールに由来した刺激味をマスキングする事が判明した。
【0035】
実施例9
実施例1で得られたフレーバーを市販の発泡酒に20ppm賦香し、4名のパネリストで評価した。その結果、発泡酒にビール本来のコクとうまみを付与し、ボディ感を強化すると共に、ビールのフルーティなトップ香をエンハンスすることが分かった。
【0036】
実施例10
実施例1で得られたフレーバーを、レモンエッセンスに1%添加し、下記表3に示す処方のレモン飲料(ノンカロリー)に0.2%賦香して、3名のパネリストで評価した。その結果、高甘味度甘味料の後味のマスキング効果があって、ボディー感も付与されて優れている事を見出した。
【0037】
【表3】
Figure 0004257945
【0038】
実施例11
実施例3で得られたフレーバーを実施例7と全く同様にバニラフレーバーに10%添加し、スウィートチョコレートに0.1%賦香して評価した結果、実施例7と同様な呈味改善の効果が認められた。
【0039】
実施例12
95度1級発酵アルコールを水で希釈して7 %濃度(wt/wt)としたアルコール水に実施例1で得られたフレーバーを0.01%添加したところ、95度1級発酵アルコールに由来した舌先に感じる刺激的な辛味をマスキングしてマイルドな飲み易い味になった。
【0040】
実施例13
市販の辛口タイプ(エチルアルコール濃度7%)のレモン味チューハイに実施例2で得られたフレーバーを0.01%添加したところ、エチルアルコールに由来した刺激味を緩和してマイルドな飲み口のチューハイタイプになった。
【0041】
【発明の効果】
本発明の新規なフレーバーは、食品に共通する”おいしさ”成分として食品にコク味やボリューム感などを付与すると共に、フレーバーのトップを押し上げるエンハンス効用も併せて兼ね備えている。また高甘味度甘味料の後味のマスキングやエチルアルコールに由来した刺激味のマスキング効果をも有し、更には耐熱性にも優れている。
更にまた、本発明の方法によれば、食品廃棄物のリサイクル利用に寄与しつつ、付加価値の高い天然系テイストフレーバーが安価にかつ比較的簡便に得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例1の本発明のフレーバーの推定分子量分布を測定するためのクロマトグラムを示した図である。

Claims (6)

  1. ホエイを蛋白質分解酵素で分解処理する工程、
    得られたホエイの蛋白質分解酵素処理物を吸着剤と接触させる工程、及び、
    20〜99%のエチルアルコール溶液を用いて、該吸着剤に吸着した吸着成分を該吸着剤から溶出させる工程、
    を順に含有する、天然系テイストフレーバーの製造方法、
    ここで、前記蛋白質分解酵素は動物由来の酵素、植物由来の酵素及び微生物由来の酵素をそれぞれ少なくとも1つを含む3種以上であり、
    前記ホエイの蛋白質分解酵素による分解処理は、前記蛋白質分解酵素を使用して20〜60℃で1〜24時間行われ、
    前記吸着剤は多孔性重合樹脂である。
  2. 請求項1に記載の製造方法により得られる天然系テイストフレーバー。
  3. 固形分が0.5〜6.0%、蛋白質が0.4〜4.0%である、請求項2に記載の天然系テイストフレーバー。
  4. 請求項2または3に記載の天然系テイストフレーバーを含むフレーバー。
  5. 請求項2または3に記載の天然系テイストフレーバーで賦香された食品。
  6. 請求項4に記載のフレーバーで賦香された食品。
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