JP2727046B2 - ヒノキチオールの回収方法 - Google Patents

ヒノキチオールの回収方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、植物成分の回収方法に
関する。更に詳しくは、植物体からヒノキチオール等の
有用成分を回収する方法において、水蒸気蒸留時に生ず
る水溶液あるいは水抽出液から植物成分を合成吸着剤、
陰イオン交換樹脂、又は活性炭を用いて吸着、脱着させ
て回収する方法に関する。
【0002】
【従来の技術・発明が解決しようとする課題】各種植物
に含まれる植物成分の中には有用物質が数多く存在す
る。例えば、ヒノキチオールは、安全性の高い食品用防
腐剤、抗菌剤として有用なものである。従来、ヒバ、タ
イワンヒノキ等の樹木からヒノキチオールを含む油を取
り出す方法としては、これらの樹木のオガクズやチップ
から水蒸気蒸留や溶剤抽出によって行われている。中で
も主に行われている水蒸気蒸留法ではヒノキチオールを
含む油を、共に留出する水溶液と分離して製造してい
る。しかし、留出水には油と同じ程度のヒノキチオール
量が含まれているにもかかわらず、この留出水はほとん
ど利用されないで廃棄されているのが現状である。その
理由は留出水に含まれるヒノキチオールを回収する有効
な技術が、未だ発見されていないからである。
【0003】これは、ヒノキチオールの場合のみに限ら
れない。即ち、植物体にはフェノール性水酸基やカルボ
キシル基を有する植物成分があるが、これらの植物成分
を水蒸気蒸留や煮沸などによって回収する場合において
も当てはまる場合が多い。例えば、大量に生じる留出水
その他の水溶液中には植物体の有用成分が溶解している
にもかかわらず、その回収が煩雑であるとして利用され
ず、廃棄されている場合が多い。これらの成分の量は、
ヒノキチオールの場合ヒバ材水蒸気蒸留の留出水または
残渣に含まれる水溶液中、通常50〜200ppm程度
であり、またフェノール性水酸基やカルボキシル基を有
する植物成分の場合、水溶液に対して数10ppm〜数
%の濃度であるが、水分量が多いため水溶解成分(植物
成分)の量は無視できない量となる。
【0004】このような水溶液中に含まれる植物成分を
有機溶剤などを用いて抽出すると、大量の水溶液に対し
てかなりの量の危険な有機溶剤を使用することが必要で
あるし、抽出、濃縮装置も大型のものが必要となる。ま
た、塩基や酸を用いて水溶液から化学反応によって回収
する方法もあるが、多量の抽出溶剤を使用する必要があ
り、中和廃水等が生じることから、これらを処理する施
設も設置しなければならない。
【0005】従って、これらの煩雑な問題を解決する方
法としては、簡単な小型装置を用いて、用いる溶剤の量
も少なくし、化学反応による廃水等が生じない系とする
方法が理想とされる。一方、水溶液からの植物成分の吸
着に用いられる吸着剤としてはシリカゲル、活性白土な
どが従来から知られているが、いずれも吸着効果が低
く、活性白土は目づまりして使いにくいといった問題が
ある。
【0006】従って、本発明の目的は、ヒノキチオール
等の植物成分を含有する水溶液から、植物成分を効率良
く工業的に有利に回収する方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記の課
題を解決できる植物成分の回収方法を開発すべく種々検
討した。その結果、植物成分を含有する、植物体の水蒸
気蒸留の留出水、残渣に含まれる水溶液を、合成吸着
剤、陰イオン交換樹脂、または活性炭を充填した塔の中
に流して植物成分を吸着させ、次いで溶剤や再生剤で樹
脂等を処理して植物成分を回収するという簡便で効率の
良い、回収率の高い方法を見いだし、本発明を完成する
に至った。
【0008】即ち、本発明の要旨は、 (1) ヒノキチオールを含有する樹木の水蒸気蒸留に
より生ずる留出水及び/又は残渣に含まれる水溶液を用
いて、合成樹脂からなる合成吸着剤、陰イオン交換樹脂
又は活性炭に前記留出水又は前記水溶液中のヒノキチオ
ールを吸着させ、溶剤を用いて脱着させることを特徴と
するヒノキチオールの回収方法、 (2) 合成吸着剤が、スチレン−ジビニルベンゼン系
共重合樹脂、アクリルエステル樹脂、又はポリスチレン
系樹脂である前記(1)記載の回収方法、 (3) 陰イオン交換樹脂が、スチレン−ジビニルベン
ゼン系共重合樹脂、アクリルエステル樹脂、ポリスチレ
ン系樹脂、又はメタクリルエステル樹脂である前記
(1)記載の回収方法、に関する。
【0009】本発明の植物成分の回収方法は、特に限定
されるものではないが、例えばヒバを原料としてヒノキ
チオールを回収する場合、各種の樹木の水溶性成分の中
から、フェノール性水酸基やカルボキシル基を有する有
用成分を回収する場合等に使用される。
【0010】本発明において用いられる植物体として
は、ヒバ、ヒノキ、スギ、コウヤマキ、クロモジ、マ
ツ、その他一般の樹木の材と葉、及び薬草等の草木植物
である。これらは粉砕され、あるいは切断されて水蒸気
蒸留あるいは煮沸によって水溶性成分が抽出される。回
収すべき植物成分がヒノキチオールである場合、主にヒ
バ材が用いられるが、該ヒバ材の種類としては扁柏、紅
檜、ハイネズ、ネズコ、ヒバ、青森ヒバ、ヒノキアスナ
ロ、アテ、タイワンヒノキなどが挙げられる。回収すべ
き植物成分がフェノール性水酸基やカルボキシル基を有
するものである場合、ヒバ、ヒノキ、スギ、コウヤマ
キ、マツの材、およびイチョウ、茶の葉等が植物体とし
て使用される。本発明においては、これらの植物体の水
蒸気蒸留の留出水および/または残渣に含まれる水溶液
が原料として使用され、留出水または残渣に含まれる水
溶液をそれぞれ単独で用いてもよく、またこれらを混合
して用いてもよい。水蒸気蒸留は常法により行われ、特
に条件は限定されるものではない。
【0011】本発明では、吸着剤として合成吸着剤、陰
イオン交換樹脂または活性炭が用いられる。用いられる
合成吸着剤としては、スチレン−ジビニルベンゼン系共
重合樹脂、アクリルエステル樹脂、ポリスチレン系樹脂
等の合成樹脂が用いられる。例えば、オルガノ(株)製
の樹脂XAD−2、XAD−4、XAD−7、XAD−
16、XAD−2000また、三菱化成(株)製のダイ
ヤイオンHP−10、−20、−21、−30、−4
0、−50およびセパーズSP−800、SP−90
0、SP−206、SP−207などが挙げられる。
【0012】陰イオン交換樹脂としては、スチレン−ジ
ビニルベンゼン系共重合樹脂、アクリルエステル樹脂、
ポリスチレン系樹脂、メタクリルエステル樹脂が用いら
れる。例えば、オルガノ(株)製のIRA−900、I
RA−35、IRA−21、IRA−94Sまた、三菱
化成(株)製のダイヤイオンPA−306、PA−30
8、PA−312、PA−316、PA−318などが
挙げられる。いずれもスチレン−ジビニルベンゼン系共
重合樹脂、ポリスチレン系樹脂、メタクリルエステル樹
脂、アクリルエステル樹脂からなる樹脂を用いたが、他
社製のものも同様に使用可能である。活性炭は、実施例
において和光純薬(株)製のものを用いたが、他社製の
ものも使用可能である。
【0013】前記の合成吸着剤や活性炭を用いて植物成
分を吸着した場合は、吸着後溶剤で抽出することより、
植物成分を回収することができる。ここで抽出に用いる
溶剤としては、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、メタノ
ール、エタノール、プロパノール、酢酸エステル、アセ
トン、メチルエチルケトン、エーテル類など広い範囲の
有機溶剤の使用が可能である。
【0014】一方、陰イオン交換樹脂を用いた場合は、
例えばヒノキチオールを脱着する場合には再生用アルカ
リ剤で処理し、水溶液層に移った例えばヒノキチオール
Na塩を酸性にもどした後に、溶剤で抽出するといった
操作が必要である。ここで用いられる再生用アルカリ剤
としては、4〜10%NaOH水溶液等が挙げられ、ま
た、抽出に用いる溶剤としては、前記と同様なものが挙
げられる。
【0015】本発明による、留出水および/または残渣
に含まれる水溶液、あるいは煮沸水から植物成分を含む
油を回収する方法の利点としては、第1にこれらの樹脂
が水溶液中の微量のヒノキチオール、フェノール性水酸
基やカルボキシル基をもつ化合物等を効率良く吸着する
(75%以上の吸着率)こと、第2に吸着が飽和状態に
なった樹脂の充填塔に、樹脂容積の2〜5倍の抽出用の
溶剤を流せばほとんどの吸着された成分が流し出されて
抽出され、樹脂は吸着能力を回復することができる。ヒ
ノキチオール、フェノール類等の成分を溶解した抽出液
から濃縮することによって高含量の回収油を得ることが
できる。第3に樹脂はこの方法によって10回以上リサ
イクル使用することができるので、樹脂のコストに占め
る割合は製品に対して低くなる。第4にこの方法は装置
的にコンパクトにできるので、設備投資額も少なくてす
むという利点がある。
【0016】1回の溶剤抽出をするまでに樹脂が吸着す
る植物成分の量は、ヒノキチオールを例にとると、樹脂
50ccあたりヒノキチオール0.4g〜2g程度であ
り、樹脂の種類や水溶液中のヒノキチオール濃度によっ
て異なるが、樹脂は通常10〜100回リサイクルでき
るので、10回で4〜20g、100回で40〜200
gのヒノキチオールを回収できる。
【0017】次に本発明において、合成吸着剤を用いる
場合の操作方法を述べる。まず樹脂を筒状の充填塔に詰
め、植物成分を含む水溶液を適当な流量でポンプで送っ
て充填塔の樹脂層を通過させる。時々樹脂層を通過した
水溶液を一定量とり、一定量の有機溶剤(トルエン、ク
ロロホルム等)と振盪して抽出し、抽出液をGC分析し
て目的物質の吸着能力が低下していないかを確認する。
また、目的物質のUV極大吸収波長を測定し、原液水溶
液と樹脂層通過水の相方の吸光度の差から吸着の飽和状
態を調べることができる。例えばヒバの成分ヒノキチオ
ールの水溶液の処理水の場合、処理水に塩化第二鉄水溶
液を加えて、ヒノキチオール−鉄錯体の発色をUV45
8nm吸光度で測定することができる(あらかじめヒノ
キチオール−FeCl3 錯体の検量線を作っておく)。
【0018】処理水中の植物成分の含量が、通常10〜
20ppm以下になると吸着能力が低下してきたと考え
られるので、植物成分を含む水溶液の送液を止め、充填
塔に前記のような溶剤を通常充填物の2〜3倍量ゆっく
り流し、目的物質を溶出した溶剤をタンクに導く。植物
成分がヒノキチオールである場合、含量が40〜50p
pmになると吸着能力が低下し、溶剤の流入量も充填物
の2〜5倍量とする。これで樹脂の吸着能力が回復され
るので、続いて水溶液を充填層に流すことができる。な
お、樹脂に対して流す留出水、残渣水、煮沸水の量は、
樹脂50ccあたり300g/hr〜3kg/hrが適
当と考えられるが、状況によって更に少量でも多量でも
良い。
【0019】陰イオン交換樹脂を用いる場合は、特にヒ
ノキチオールに対して有効であり、処理水の残ヒノキチ
オール含量が上昇してくると、前記のような再生用アル
カリ剤を流し、処理後のアルカリ液に例えばソーダ塩と
して溶けているヒノキチオールを、希硫酸、希塩酸など
で中和してフリーとし、溶剤で抽出することによりヒノ
キチオール含有油が得られる。再生した樹脂は合成吸着
剤の場合と同様に再度使用することができる。樹脂に対
して流す留出水および/または残渣に含まれる水溶液の
量は、前記の合成吸着剤の場合と同様である。
【0020】また、活性炭による吸着と溶剤による脱着
は、常法により行うことができるが、ヒノキチオールの
吸着・脱着能力は共に合成吸着剤に比して一般に劣る。
しかし、他の植物成分を良く吸着する、安価であると言
った点から、有効な方法として使用することができる。
【0021】本発明の植物成分の回収方法は、留出水お
よび/または残渣に含まれる水溶液から植物成分を回収
するに際し、留出水および/または残渣に含まれる水溶
液から植物成分を合成吸着剤、陰イオン交換樹脂、また
は活性炭のいずれを用いて行ってもよいが、これらの2
種以上の方法を適宜組み合わせて行ってもよい。例え
ば、留出水および/または残渣に含まれる水溶液から植
物成分を合成吸着剤で回収し、得られた回収液をさらに
陰イオン交換樹脂にかけるなどして高純度の植物成分回
収液を得ることができる。同様に、例えば留出水および
/または残渣に含まれる水溶液から植物成分を合成吸着
剤で回収し、次いで活性炭による吸着と脱着を行っても
よい。
【0022】また、本発明においては、これらの方法に
よって植物成分を吸着、脱着させて回収する工程を有す
るものであればよく、さらに他の回収方法、例えば水溶
液からの目的物の溶剤抽出等の公知の方法と適宜組み合
わせて行ってもよい。
【0023】以上の方法により回収された植物成分につ
いて抗菌試験を行った結果、ヒノキ、スギ、コウヤマキ
などの水溶性の植物成分が、ヒバから得られる成分であ
るヒノキチオールと共に抗菌性成分を含んでいることを
示した。また、該植物成分は殺ダニ性、殺虫性、血圧降
下作用その他の生理活性も有していた。
【0024】
【実施例】以下、実施例、比較例および試験例により本
発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施
例等によりなんら限定されるものではない。
【0025】実施例1 吸着樹脂XAD−7(オルガノ(株)製)50ccをメ
タノール100ccで洗浄後、直径3.2cm、高さ6
cmの充填塔に詰め、ヒバ水蒸気蒸留留出水をポンプで
連続滴下した(滴下量1.0kg/30min)。留出
水中のヒノキチオールは140ppmであり、最初の処
理水1kgの残ヒノキチオール量は22ppm、6kg
目の残ヒノキチオール量は27ppmと上昇した。そこ
で樹脂にメタノール150ccを30分かけてゆっくり
流すと赤色のメタノール溶液が得られた。メタノールを
流した後の樹脂は吸着力が回復しており、留出液滴下を
再開すると7kg目は残ヒノキチオール22.5pp
m、12kg目は28ppmとなった。このような操作
を同様にさらに18回繰り返すと120kg目の処理水
の残ヒノキチオール量は45ppmとなった。20回分
の抽出メタノール溶液を集め濃縮すると35.54gの
赤色油が得られ、そのヒノキチオール重量%は36%で
あった。この実験での留出水120kgからのヒノキチ
オール回収率は回収油中のヒノキチオール量でみると7
6%となる。
【0026】処理水中の残存ヒノキチオールは、処理水
50gにメタノール50gを加え、0.02モル塩化第
二鉄水溶液2.0gを加え、島津自記分光光度記UV−
240、458nmで吸光度を測定し、同じく高純度ヒ
ノキチオールにメタノール50g、水50g、0.02
モル塩化第二鉄水溶液を加えて作った検量線を用いて定
量した。検量線をつくるときメタノールを混ぜるのはヒ
ノキチオール結晶を水に溶かしにくいからである。回収
油中のヒノキチオールの定量は内標としてアニソールま
たはジフェニルエーテルを用い、GCで測定した。GC
条件:島津GC−14A:FID、カラムULBON−
HR−1701キャピラリーカラム25m×0.25m
m、He2.0ml/min、スプリツト比1:50、
60〜260℃、昇温8℃/min、260℃30分、
Det.,Inj.280℃、H2 0.5kg/c
2 、Air0.5kg/cm2
【0027】実施例2〜6 実施例2〜6は表1に示す合成吸着剤を用いる以外は実
施例1と同様に行った。その結果を表1に併せて示す。
用いた樹脂は50cc、ヒバ水蒸気蒸留の留出水中のヒ
ノキチオールは140ppmであった。
【0028】
【表1】
【0029】その結果、いずれの場合も留出水中のヒノ
キチオールの75%以上を油中に回収し、樹脂を10回
以上リサイクルして使用できる結果を示している。
【0030】実施例7〜12 実施例7〜12は陰イオン交換樹脂50ccを用いて実
施例1と同じ装置で行った結果を示す。ヒバ水蒸気蒸留
の留出水中のヒノキチオールは120ppmであった。
陰イオン交換樹脂にかけるに際して、予めNaOH水溶
液などを用いて規定の前処理を行った。ヒノキチオール
吸着後はNaOH水溶液などの再生剤処理をしてアルカ
リ水層に移ったヒノキチオールナトリウム塩を6N−H
2 SO4または6N−HCl水溶液でpH2〜4に調整
し、次いでトルエンまたは酢酸エチルで抽出し、濃縮し
て回収油を得た。その結果を表2に示す。
【0031】
【表2】
【0032】その結果、いずれの場合も留出水中のヒノ
キチオールの約30%程度を回収することができた。
【0033】実施例13および比較例1、2 活性炭(クロマト用:和光純薬製)50ccを円筒充填
塔に充填し、ヒバ水蒸気蒸留の留出水1.0kgを滴下
して、実施例1と同様に充填物からメタノールでヒノキ
チオールを抽出し、濃縮して回収油を得た。留水中のヒ
ノキチオールは120ppmであった。また、同様にし
て、活性炭の代わりにシリカゲル、活性白土(いずれも
和光純薬製)を円筒充填塔に充填して、ヒノキチオール
の回収を行った。これらの結果を表3に併せて示す。そ
の結果、活性炭は油分の吸着量は比較的良いが、回収油
中のヒノキチオール含量が合成吸着剤などに比べると3
分の1程度であった。これに対し、シリカゲル、活性白
土を用いた場合はそれぞれ10分の1、5分の1程度で
あった。
【0034】実施例14 ヒバ材水蒸気蒸留の残渣と共に残る水溶液を合成吸着剤
XAD−2000を用いて、実施例2と同様にしてヒノ
キチオールの回収を行った。残渣に含まれる水溶液中の
ヒノキチオールは80ppmであった。得られた結果を
表3に併せて示す。
【0035】
【表3】
【0036】実施例15 ヒノキオガクズの水蒸気蒸留留出水20kgを実施例1
と同様にして、XAD−2000 50ccを詰めた充
填塔に連続滴下した(滴下量 1kg/30min)。
処理水及び原水(被処理水)を100gとり、それぞれ
にトルエンあるいはクロロホルム100gを加え、分液
ロート中で振盪して抽出した。抽出溶剤を無水硫酸ナト
リウム上で乾燥して濃縮し、1gの溶液に調製して0.
2μlをとり、実施例1の条件でGC分析を行って吸着
が飽和状態になったかどうかを確認した。続いて充填塔
にアセトン150ccを30分かけてゆっくり流すと赤
色のアセトン溶液が得られた。アセトン溶液を集め濃縮
し、付着する水を分離し、トルエンに溶かして無水硫酸
ナトリウム上で乾燥して再びエバポレーターで濃縮する
と1.45gの濃赤色油が得られた。アセトンを流した
後の樹脂は吸着力が回復しており、9回前記の操作を繰
り返して得た10回分の抽出アセトン溶液を集めて濃縮
すると15gの濃赤色油が得られた。この油の成分はヒ
ノキオガクズを水蒸気蒸留して直接得られる油の成分と
異なったものであり、島津ガスクロマトグラフ質量分析
計QP−1000A型による測定の結果、ボルネオー
ル、カジノールなどのモノテルペンおよびセスキラルペ
ンアルコール、ヒノキオールなどのフェノール性水酸基
をもつ化合物およびカルボン酸類の化合物であった。
【0037】実施例16 スギオガクズ水蒸気蒸留留出水11kgを吸着樹脂XA
D−7 50ccを充填した塔に流し、実施例15と同
様に処理すると褐色油1.56gが得られた。実施例1
5と同様にして測定した結果、クリプトメリジオールな
どのセスキテルペンアルコールやスギオールなどのフェ
ノール類化合物であった。
【0038】実施例17 クロモジオガクズ水蒸気蒸留留出水16kgを吸着樹脂
ダイヤイオンHP−20 50ccを充填した塔に流
し、実施例15と同様に処理して褐色油6.8gを得
た。実施例15と同様にして測定した結果、ボルネオー
ルなどのモノテルペンアルコール類やデシレン酸などの
カルボン酸類であった。
【0039】実施例18 コウヤマキオガクズ水蒸気蒸留残渣水4kgを吸着樹脂
XAD−2000 50ccを充填した塔に流し、実施
例15と同様に処理して褐色油1.9gを得た。実施例
15と同様にして測定した結果、セドロールなどのセス
キテルペンアルコール類やイソオイゲノールなどのフェ
ノール類化合物であった。
【0040】試験例 実施例1および実施例15〜18で得られた回収油を用
いて、ペーパーディスク法により抗菌試験を行った。使
用した菌は枯草菌(IFO 3134)、大腸菌(IF
O 3366)および黒カビ(IFO 4414)であ
る。使用した培地としては枯草菌が普通寒天培地、大腸
菌はL培地、黒カビはPotato SUCROSE培
地を滅菌シャーレに20cc入れたものを用いた。ペー
パーディスクは直径8mmのものを使用した。回収油を
エタノールに溶かして500〜10,000ppmの濃
度の液を調製し、これを無菌濾過した後に、滅菌処理済
のペーパーディスクに50μlずつ含浸させ、乾燥させ
たものを検体とした。1検体を5個ずつ作成し、生じた
阻止円直径(mm)は5個の平均値とした。枯草菌、大
腸菌の場合は37℃で2日後に、黒カビの場合は24℃
で3日後に阻止円直径を測定した。その結果を表4に示
す。
【0041】
【表4】
【0042】抗菌テストの結果、実施例1で得られたヒ
バ油は高濃度のヒノキチオールを含んでおり、いずれの
菌にも強い抗菌性を示した。ヒノキ、スギ、クロモジ、
コウヤマキ油もグラム陽性菌である枯草菌には程度は弱
いが、抗菌性を有していることを示した。
【0043】
【発明の効果】本発明の方法によれば、ヒノキチオール
等の植物成分を含有する水溶液から、植物成分を簡便で
効率良くかつ高回収率で回収することができるので工業
的に有利な方法である。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヒノキチオールを含有する樹木の水蒸気
    蒸留により生ずる留出水及び/又は残渣に含まれる水溶
    液を用いて、合成樹脂からなる合成吸着剤、陰イオン交
    換樹脂又は活性炭に前記留出水又は前記水溶液中のヒノ
    キチオールを吸着させ、溶剤を用いて脱着させることを
    特徴とするヒノキチオールの回収方法。
  2. 【請求項2】 合成吸着剤が、スチレン−ジビニルベン
    ゼン系共重合樹脂、アクリルエステル樹脂、又はポリス
    チレン系樹脂である請求項1記載の回収方法。
  3. 【請求項3】 陰イオン交換樹脂が、スチレン−ジビニ
    ルベンゼン系共重合樹脂、アクリルエステル樹脂、ポリ
    スチレン系樹脂、又はメタクリルエステル樹脂である請
    求項1記載の回収方法。
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