JP4252262B2 - 露光用転写マスクの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子ビーム等の荷電粒子ビームによる露光に用いられる露光用転写マスクの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体デバイスの製造においては、パターン形成にリソグラフィー技術が用いられているが、このようなリソグラフィー技術としては、従来より、マスクを用いた縮小投影光リソグラフィー技術が主流である。しかしながら、このような縮小投影光リソグラフィー技術では、高いスループットが得られるものの、数千万円から1億円という極めて高価なマスクセットが必要であり、半導体産業において汎用LSIから少量多品種生産が主流のシステムLSIへの転換が進められている今日、このような高いマスクコストを回収することは困難である。また、マスク製造期間も1ヶ月と長く、短TAT(turn−around time)が必須のシステムLSIでは致命傷となる。
【0003】
このような問題を解決する次世代のリソグラフィー技術として電子ビーム直接描画技術が注目されている。この電子ビーム直接描画技術は、従来の縮小投影光リソグラフィー技術のような高価なマスクを用いることなく0.15μm以下の微細パターンが形成可能であることから、マスクにともなう上記問題点を解決することができる。しかし、電子ビーム直接描画技術は、スループットが低いという欠点がある。
【0004】
電子ビームリソグラフィー技術におけるスループット向上を実現可能な技術として、キャラクタープロジェクション(CP)方式が提案されている。この技術は、繰り返し出現するキャラクターパターンを形成した多数のセルを有するCPアパーチャーマスクと称される露光用転写マスクを作成しておき、繰り返しパターン部分において、このCPアパーチャーマスクの特定のキャラクターパターンに選択的に電子線を照射して半導体ウエハ上にパターン露光する技術である。これにより、従来の可変成形描画方式等において多数のショット数を要したパターンを一度の照射で露光することができるので、描画速度を著しく上昇させることができ、スループットを大幅に向上させることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このようなキャラクタープロジェクション方式は、予めCPアパーチャーマスクに種々のキャラクターパターンを形成したセルを多数有する構造を採用するため、パターンを変更したい場合や、一部のセルに不具合がある場合等、CPアパーチャーマスク自体を一から製造する必要があり、CPアパーチャーマスクのコストや納期の面で問題がある。
【0006】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであって、キャラクタープロジェクション法において、パターンを変更したい場合や、一部のセルに不具合がある場合等に対応が可能な露光用転写マスクの製造方法を提供することを目的とする。
【0013】
【発明を解決するための手段】
本発明は、所定パターン形状の開口が形成された複数のセルを備えたマスク部を有し、前記マスク部は、一または複数のセルを有する一または複数のブロックと、前記ブロックを支持する支持部と、前記ブロックと前記支持部とを接着し、かつ除去可能な接着部材とを有し、前記支持部の各々は、前記ブロックを位置決めし、前記接着部材により前記ブロックが接着されるストッパ部と、該ストッパ部を支持し、前記ブロックの一部と重なるように設けられた梁部とを有し、前記いずれかのセルに荷電粒子ビームが照射された際にそのパターンに応じて荷電粒子ビームを透過し、被処理基板にそのセルのパターンを転写し、被処理基板上に露光パターンを形成する露光用転写マスクを製造する露光用転写マスクの製造方法であって、素材の一方側の面をドライエッチングして前記複数のブロックおよび前記ストッパ部を形成する工程と、前記素材の反対側の面に対し機械加工とエッチングとを併用して前記梁部を形成する工程と、前記接着部材としてカーボンを含有するものを用いて前記ストッパ部と前記ブロックとを連結する工程と、エッチングにより前記ストッパ部と前記ブロックとの接続部を前記接着部材のみとして前記ブロックを交換可能にする工程と、を有することを特徴とする露光用転写マスクの製造方法を提供する。
【0014】
本発明において、前記支持部は、前記ブロックを囲むように設けられ、前記接着部材は、前記ブロックの周囲の全周または複数箇所に設けられる構成とすることができる。また、前記ブロックは、前記マスク部内の最外周のブロックに外接する円が最小になるように配置されていることが好ましい。さらに、前記ブロックは、同数ずつの正方形のセルが正方形に配置されていることが好ましい。さらにまた、前記ブロックおよび支持部はシリコンで構成されることが好ましい。さらにまた、前記素材は、表面近傍にSiO2膜が形成され、これにより表層Si部と本体Si部とに分離されたSOIウエハであり、前記複数のブロックおよび前記ストッパ部は、前記表層Si部に形成され、前記梁部は、前記本体Si部に形成され、前記ブロックを交換可能にする工程は、前記SiO2膜を前記ストッパ部と前記梁部との接合部を除いてエッチング除去するようにすることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の露光用転写マスクが適用されるキャラクタープロジェクション(CP)方式の電子線露光装置を示す模式図である。
【0016】
電子ビームを射出する電子銃1の下方には、矩形アパーチャー3が形成された成形アパーチャーマスク2が配置されている。その下方には、繰り返し出現する種々のキャラクターパターンが形成された多数のセル5を有する本発明の露光用転写マスクとして機能するCPアパーチャーマスク4が配置されている。CPアパーチャーマスク4の下方には、パターン露光される半導体ウエハ6がステージ(図示せず)上に配置されている。
【0017】
このようなCP方式の電子線露光装置においては、電子銃1から射出された電子ビームEBが成形アパーチャーマスク2の矩形アパーチャー3を通過して成形ビームSBとなり、この成形ビームSBがCPアパーチャーマスク4の所定のキャラクターパターンが形成されたセル5に選択的に照射される。CPアパーチャーマスク4を通過して生成されるビームパターンBPは、その下方の半導体ウエハ6上にパターン7として縮小投影される。
【0018】
このようなCP方式の電子線露光装置を用いることにより、1つのキャラクターパターンを一度の照射で露光することができるため、多数のショットを要した従来の可変成形描画方式に比較して描画速度を著しく高くすることができる。
【0019】
次に、上述のCP方式の電子線露光装置に適用される本実施形態のCPアパーチャーマスクについて説明する。図2は本発明の一実施形態に係るCPアパーチャーマスクを示す平面図、図3はその断面図である。
【0020】
CPアパーチャーマスク10は、繰り返し出現する互いに異なるキャラクターパターンが形成された400個のセル12が形成されたマスク部11と、このマスク部11を支持するとともにホルダーのガイドとしての機能を有するガイド部13とを有している。
【0021】
マスク部11は、100個のセル12ごとに正方形をなす4つのブロック14に分割されており、これらブロック14ごとに交換可能となっている。ブロック14の周囲には、ブロック14を位置決めするストッパ部15が設けられており、ストッパ部15とブロック14とは、カーボンを含む接着部材16により接着されている。ストッパ部15は、SiO2からなる接続部19を介して梁部17により支持されている。したがって、ストッパ部15および梁部17は、各ブロック14の支持部として機能する。なお、接着部材16は、図2では、ブロック14の全周に設けられているが、図4に示すように、ブロック14の周囲を複数箇所で接着するようにしてもよい。
【0022】
ブロック14はシリコン製の膜状体21に100個のセル12に対応するキャラクターパターン22が形成されてなっている。ストッパ部15および梁部17もシリコンで形成されており、マスク部11は後述するようにシリコンウエハをエッチングおよび機械加工することにより形成される。
【0023】
このようなCPアパーチャーマスク10は、成形アパーチャーマスクの矩形アパーチャーで成形された成形ビームSBが所定のセル12に選択的に照射され、そのキャラクターパターンを通過して生成されたビームパターンを半導体ウエハ上に縮小投影する。
【0024】
なお、1つのCPアパーチャーマスクのセルの数は400個に限らない。また、後述するように、1つのブロックに含まれるセルの数も100個に限定されることはない。
【0025】
次に、このようなCPアパーチャーマスク10の製造方法について説明する。図5および図6は、CPアパーチャーマスク10の製造工程を説明するための断面図であり、図5は表面加工工程を示し、図6は裏面加工工程を示す。
【0026】
まず、図5の(a)〜(f)を参照して表面加工工程について説明する。
最初に、図5の(a)に示すように、SOIウエハ31を準備する。このSOIウエハ31は、その表面近くにSiO2膜32が形成され、これにより表層Si部31aと本体Si部31bとに分離されている。SOIウエハ全体の厚さは725μm程度あれば十分である。表層Si部31aの厚さは電子ビームを完全に遮断できる厚さが必要で、5eV程度の電子ビームを使用する場合は、およそ2μm以上必要である。また、SiO2膜は現在実用化されているサブミクロン程度の厚さで十分である。
【0027】
次いで、図5の(b)に示すように、表層Si部31aの上面にTEOS膜33を成膜し、その上にフォトレジスト膜34を形成し、フォトリソグラフィー工程によりフォトレジスト膜34に、所定のパターンを形成する。引き続き、図5の(c)に示すように、フォトレジスト膜34をマスクとしてTEOS膜33をドライエッチングし、さらに図5の(d)に示すようにフォトレジスト膜34をアッシングして除去する。また、パターニングにおいては、電子線描画を用いてパターニングしてもよく、その場合は電子線用レジストをTEOS膜33の上に塗布し、電子線描画でパターンを形成する。引き続き、電子線用レジストをマスクとしてTEOS膜33をエッチングし、さらに電子線用レジストを酸素プラズマアッシングを用いてアッシング除去する。
【0028】
その後、図5の(e)に示すように、TEOS膜33をマスクとして表層Si部31aをエッチングして図3に対応するパターン22を形成する。このときSiO2膜32がストッパ層として機能する。パターン形成後、図5の(f)に示すように、TEOS膜33をアッシングするとともに、パターン保護膜35を形成する。
【0029】
次に、図6の(a)〜(e)を参照して裏面加工工程について説明する。
図6の(a)に示すように、表面加工が終了したウエハを上下逆にして配置する。次いで、図6の(b)に示すように、ドリル加工、ブラスト加工などの機械加工で、本体Si部31bの梁部形成予定部分以外の部分に深穴37を形成する。この深穴は500μm以上の深さが好ましく、600μm以上がさらに好ましい。引き続き、図6の(c)に示すように、ドライエッチングにより本体Si部31bの梁部形成予定部分以外の部分を完全に除去して梁部17を形成する。
【0030】
その後、図6の(d)に示すように、パターン保護膜35を除去し、ブロック14の分離予定部分を接着部材16で固定する。その後、図6の(e)に示すように、ウエットエッチングにより接続部19を残してSiO2膜32を除去することにより、図3に示す状態の交換可能なブロック14を有するCPアパーチャーマスク10が形成される。
【0031】
このように、表面にドライエッチングによりマスクパターンを形成し、裏面を機械加工とエッチング(ドライ、ウェット)を併用し加工することにより、迅速にCPアパーチャーマスクを製造することができる。
【0032】
次に、このようなCPアパーチャーマスク10のパターンを交換する方法について図7を参照して説明する。
本実施形態においては、互いに異なるキャラクターパターンが形成されたセル12を100個まとめて交換可能なブロック14としているので、このブロック14を交換することにより所望のパターンの交換を実現する。
【0033】
まず、図3に示す状態のCPアパーチャーマスク10において、図7の(a)に示すように、交換しようとするブロック14の接着部材16をアッシング等により除去してブロック14を分離し、梁部17の上に落下させる。
【0034】
次いで、図7の(b)に示すように、分離したブロック14を除去し、図7の(c)に示すように、所望のパターンを含む新たなブロック14′をストッパ部15により位置決めしつつ梁部17の上に置く。この場合、新たなブロック14′は、本実施形態で述べた方法と同様の製造方法により予め準備しておけばよい。
【0035】
その後、図7の(d)に示すように、梁部17上の新たなブロック14′とストッパ部15とを接着部材で接着する。この場合に、新たなブロック14′の配置高さが、最初のブロック14よりも接合部19の厚さだけ低くなるが、その厚さは通常サブミクロン程度であるから、露光には全く影響を与えない。
【0036】
このように、交換しようとするパターンを有するブロック14を接着している接着部材16をアッシングにより除去し、次いで、そのブロック14を取り外し、取り外されたブロック14に対応する位置に存在する梁部17の上にストッパ部15により位置決めしつつ新たなブロック14′を載置し、その後、新たなブロック14′とストッパ部15とを接着部材16で接着するという極めて現実的な方法でブロック14を交換することによりパターン交換を実現することができるので、パターン交換を容易に実現することができる。
【0037】
次に、このようなパターン交換のためのブロック交換を実現可能なブロック固定部の寸法例について説明する。
上述のようなブロック交換を実現するためには、ストッパ部およびブロック接着のためのマージン等、従来のCPアパーチャーマスクには必要がなかったものが付加されるが、この付加部分を極力少なくしつつ、ブロック交換の際の誤差を考慮してブロック固定部の寸法を決定することが重要である。
【0038】
まず、ブロック14とストッパ部15とを複数箇所で接着する場合について図8を参照して説明する。
ブロック14を構成する膜状体(メンブレン)21の厚さは電子ビームを遮断できる程度の厚さである。5eV程度の電子ビームを使用する場合、およそ2μm程度あれば十分である。接続部19の厚さはサブミクロン程度あれば十分であり、SOIウエハの実績から0.2μmである。
【0039】
また、ストッパ部15とブロック14との間の距離をaとし、梁部17とブロック14との重なり部分の幅をbとすると、ブロック交換の際に新たなブロックが最大ずれたときのマージンを考慮してa:b=1:2とする。aのぶれはメンブレン厚さの10%として2μmに対して0.2μmである。これは、表面加工のドライエッチングにおいて、TEOS膜をマスクにして表層Siをドライエッチングする際、エッチングするSiの側壁にアンダーカットと呼ばれる、TEOS膜下にエッチング部分が回り込む現象が発生することがあり、この回り込み量(アンダーカット量)は、表層Si厚さの10%(片側5%)程度であるからである。アンダーカット量がaの2〜5%であればアンダーカット量分のぶれを吸収することができる。したがって、アンダーカット量が0.2μmのときはa=4〜10μmとなるので、これを考慮してa=5μmと設定する。このときb=10μmである。
【0040】
さらに、ブロック14とストッパ部15とを複数箇所で接着する場合には、図6の(e)に示すように、SiO2膜32をウエットエッチして接続部19を形成する際に、エッチング液がストッパ部15の下に回り込む。このときb=10μmの部分のSiO2膜32をエッチする半分の量5μmがストッパ部15の両側においてエッチング液の回り込みによってエッチングされる。ストッパ部の強度保持のため、ストッパ部15の幅:残存したSiO2膜32の幅(つまり接続部19の幅)=5:4とするとストッパ部15の幅は50μmとなる。
【0041】
次に、ブロック14とストッパ部15とを全面で接着する場合について図9を参照して説明する。
この場合には、メンブレンの厚さ、接続部19の厚さ、aおよびbの幅については図8と同様であるが、SiO2膜32をウエットエッチして接続部19を形成する際に、エッチング液がストッパ部15の下に回り込まないので、ストッパ部15の幅が異なる。すなわち、この場合には、aのアンダーカット0.2μmがストッパ部17の幅の数%となるようにストッパ部15の幅を決定する。そして、0.2μmが2%であるとするとストッパ部15の幅は10μmとなる。ウェットエッチのエッチングレートがおよそ0.1μm/minとすると、接続部19の幅は8μm以上に制御可能であるので、ストッパ部の強度は十分保持できる。
【0042】
次に、1つのブロック14のセル12の個数を変化させた場合のブロック14の配置およびその際の寸法について説明する。
CPアパーチャーマスクにおいては、電子ビームの偏向を極力小さくする必要があり、そのためにはマスク部11内の最外周のブロックに外接する円が最小になるようにブロック14を配置することが好ましい。また、スペアのブロックの作りやすさや、CPアパーチャーマスクに高密度でセル12を配置することを考慮すると、ブロック14が正方形となるようにセル12が配置されていることが好ましい。
【0043】
ここでは、これらの点を考慮して、1個のCPアパーチャーマスクに400個の正方形のセル12を配置し、かつ1つのブロック14が正方形となるようにセル12を配置した場合について示す。すなわち、1つのブロック14に配置されるセル12の数は、1、4、16、25、100、400の6種類とした。また、1つのセル12の大きさは一辺が20μmとした。電子ビームの大きさは□20μm+αであるから、ブロック14内でのセルとセルとの間の幅を5μmとした。
【0044】
まず、ブロック14が1個のセル12から構成されている場合について、ブロック14およびブロック固定部の寸法を図10に示す。なお、ここでは、接着部材16をブロック14の周囲の複数箇所に設けた場合の寸法を示す(以下、同じ)。図示するように、この場合には、1つのブロック14およびブロック固定部を含めて一辺が110μmとなる。これを正方形配置した場合には、一辺が2120μm、外接円の直径は2998.1μmであり、図11のように擬多角形配置した場合には、外接円の直径は2536.2μmとなり擬多角形配置をすることによりマスク部11の外接円の直径が最小となる。
【0045】
ブロック14が4個のセル12から構成されている場合について、ブロック14およびブロック固定部の寸法を図12に示す。図示するように、この場合には、1つのブロック14およびブロック固定部を含めて一辺が135μmとなる。これを正方形配置した場合には、一辺が1270μm、外接円の直径は1796.1μmであり、図13のように擬多角形配置した場合には、外接円の直径は1573.9μmとなり擬多角形配置をすることによりマスク部11の外接円の直径が最小となる。なお、図12においても、接着部材をブロック14の周囲の複数箇所に設けた場合の寸法を示しているが、接着部材は省略している。以下の図14,16,18,20も同様である。
【0046】
ブロック14が16個のセル12から構成されている場合について、ブロック14およびブロック固定部の寸法を図14に示す。図示するように、この場合には、1つのブロック14およびブロック固定部を含めて一辺が185μmとなる。これを正方形配置した場合には、一辺が845μm、外接円の直径は1195μmであり、図15のように擬多角形配置した場合には、外接円の直径は1219.5μmとなり、正方形配置配置をすることによりマスク部11の外接円の直径が最小となる。
【0047】
ブロック14が25個のセル12から構成されている場合について、ブロック14およびブロック固定部の寸法を図16に示す。図示するように、この場合には、1つのブロック14およびブロック固定部を含めて一辺が210μmとなる。これを図17に示すように正方形配置した場合には、一辺が760μm、外接円の直径1074.8μmとなり、擬多角形配置した場合の外接円の直径1187.1μmよりも小さくなる。したがって、正方形配置の場合にマスク部11の外接円の直径が最小となる。
【0048】
ブロック14が100個のセル12から構成されている場合について、ブロック14およびブロック固定部の寸法を図18に示す。図示するように、この場合には、1つのブロック14およびブロック固定部を含めて一辺が335μmとなる。この場合には、ブロック14の数が4個であるから、図19に示すように正方形配置した場合に外接円の直径が最小となることが明らかである。この際の正方形は一辺が590μm、外接円の直径は834.4μmとなる。
【0049】
ブロック14が400個のセル12から構成されている場合について、ブロック14およびブロック固定部の寸法を図20に示す。この場合には、ブロック14が1個であるから、ブロック14およびブロック固定部の寸法がマスク部11の寸法となり、正方形の一辺が505μm、外接円の直径が714.2μmとなる。
【0050】
この結果をまとめると、表1のようになる。表1に示すように、当然のことながら、1ブロックのセルの数が増加するに従って、最小外接円の直径が小さくなり、電子ビームの偏向距離が小さくなる。また、ハンドリング性が良好となる。この点を考慮すると25、100、400セル/ブロックが選択肢となるが、現実のハンドリングを考慮すると100、400セル/ブロックが好ましい。しかし、1ブロックのセルの数が増加するほど、一度に交換するセルの数が多くなり、交換する必要のないセルを交換する数も多くなることから、ブロックを交換するメリットが減少する。この点を考慮すると、400セル/ブロックはブロックの交換メリットが小さい。したがって、これら全てを考慮すると100セル/ブロックが好ましい。
【0051】
【表1】
【0052】
以上の例では、同数ずつの正方形のセル12を正方形になるように配置してブロック14を構成したが、正方形以外の矩形のセルをほぼ同数ずつほぼ正方形になるように配置してもよい。また、セルの形状は矩形に限定されず、他の形状であってもよい。さらに、すべてのブロックのセルの数が同じでなくてもよいし、一つのブロック内のセルの配置は正方形に限定されるものではない。さらにまた、以上の例では、一つのブロック14内にセル12が縦横同数ずつ配置されていたが、セルが縦横異なる数で配置されてもよい。マスク部11が円形のときが中心から外周までの距離が常に等しく電子ビームの偏向距離が最も小さくなると考えられるから、図21のように、マスク部11を略円形にして、中央に円形のブロック14aを配置し、その周囲に扇形のブロック14bを9つ配置するようにすることも考えられる。
【0053】
なお、本発明は上記実施形態に限定されることなく種々変形可能である。例えば、上記実施形態では、SOIウエハからマスク部を作製したが、これに限るものではない。また、ストッパ部とブロックとをカーボン含有接着部材で接着して、交換する際にアッシングにより接着部材を除去するようにしたが、他の方法、例えば薬剤等で除去可能な接着部材を用いてもよい。
【0054】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、所定パターン形状の開口が形成された複数のセルを備えたマスク部を有し、前記マスク部は、一または複数のセルを有する一または複数のブロックと、前記ブロックを支持する支持部と、前記ブロックと前記支持部とを接着し、かつ除去可能な接着部材とを有し、前記支持部の各々は、前記ブロックを位置決めし、前記接着部材により前記ブロックが接着されるストッパ部と、該ストッパ部を支持し、前記ブロックの一部と重なるように設けられた梁部とを有し、前記いずれかのセルに荷電粒子ビームが照射された際にそのパターンに応じて荷電粒子ビームを透過し、被処理基板にそのセルのパターンを転写し、被処理基板上に露光パターンを形成する露光用転写マスクを製造するにあたり、素材の一方側の面をドライエッチングして前記複数のブロックおよび前記ストッパ部を形成する工程と、前記素材の反対側の面に対し機械加工とエッチングとを併用して前記梁部を形成する工程と、前記接着部材としてカーボンを含有するものを用いて前記ストッパ部と前記ブロックとを連結する工程と、エッチングにより前記ストッパ部と前記ブロックとの接続部を前記接着部材のみとして前記ブロックを交換可能にする工程とを有するので、迅速に露光用転写マスクを製造することができる。このような露光用転写マスクは、パターンを変更したい場合や一部のパターンに不具合がある場合に、その部分を含むブロックを交換すればよい。このため、新たな露光用転写マスクを製造する必要がなく、新たな露光用転写マスクのコストや納期等の問題を解消することができる。また、接着部材を除去するだけで当該ブロックを取り外すことができ、そこに新たなブロックを取り付ければよいので、ブロックの交換を容易に行うことができる。また、前記支持部が、前記ブロックを位置決めし、前記接着部材により前記ブロックが接着されるストッパ部と、該ストッパ部を支持し、前記ブロックの一部と重なるように設けられた梁部とを有する構造であるため、従前のブロックを取り外した後の新たなブロックを梁部に載せることができ、ストッパにより位置決めされるので、新たなブロックを容易に取り付けることができる。
【0055】
また、交換しようとするパターンを有するブロックを接着している接着部材をアッシングにより除去し、次いで、そのブロックを取り外し、取り外されたブロックに対応する位置に存在する梁部の上に新たなブロックを載置し、その後、新たなブロックとストッパ部とを接着部材で接着することにより露光用転写マスクのパターンを交換するので、露光用転写マスクのパターン交換を現実的かつ容易に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の露光用転写マスクが適用されるキャラクタープロジェクション(CP)方式の電子線露光装置を示す模式図。
【図2】本発明の一実施形態に係るCPアパーチャーマスクを示す平面図。
【図3】本発明の一実施形態に係るCPアパーチャーマスクを示す断面図。
【図4】本発明の一実施形態に係るCPアパーチャーマスクにおいて、ブロックとストッパ部との間の複数箇所を接着部材で接着した状態を示す図。
【図5】CP方式の電子線露光装置に適用される本実施形態のCPアパーチャーマスクの表面加工工程を示す断面図。
【図6】CP方式の電子線露光装置に適用される本実施形態のCPアパーチャーマスクの裏面加工工程を示す断面図。
【図7】CP方式の電子線露光装置に適用される本実施形態のCPアパーチャーマスクのブロック交換の手順を説明する断面図。
【図8】パターン交換のためのブロック交換を実現可能なブロック固定部の寸法例を示す断面図。
【図9】パターン交換のためのブロック交換を実現可能なブロック固定部の寸法例を示す断面図。
【図10】1ブロックに1つのセルを搭載した際のブロックおよびブロック固定部の寸法を示す平面図。
【図11】1ブロックに1つのセルを搭載した際の外接円の直径が最小になるブロックの配置を示す平面図。
【図12】1ブロックに4つのセルを搭載した際のブロックおよびブロック固定部の寸法を示す平面図。
【図13】1ブロックに4つのセルを搭載した際の外接円の直径が最小になるブロックの配置を示す平面図。
【図14】1ブロックに16のセルを搭載した際のブロックおよびブロック固定部の寸法を示す平面図。
【図15】1ブロックに16のセルを搭載した際の外接円の直径が最小になるブロックの配置を示す平面図。
【図16】1ブロックに25のセルを搭載した際のブロックおよびブロック固定部の寸法を示す平面図。
【図17】1ブロックに25のセルを搭載した際の外接円の直径が最小になるブロックの配置を示す平面図。
【図18】1ブロックに100のセルを搭載した際のブロックおよびブロック固定部の寸法を示す平面図。
【図19】1ブロックに100のセルを搭載した際の外接円の直径が最小になるブロックの配置を示す平面図。
【図20】1ブロックに400のセルを搭載した際のブロックおよびブロック固定部の寸法を示す平面図。
【図21】ブロックを円形に配置した例を示す平面図。
【符号の説明】
1;電子銃
2;成形アパーチャーマスク
3;矩形アパーチャー
4,10;CPアパーチャーマスク
5,12;セル
6;半導体ウエハ
11;マスク部
13;ガイド部
14;ブロック
15;ストッパ部
16;接着部材
17;梁部
18;支持部
21;膜状体(メンブレン)
22;パターン
Claims (6)
- 所定パターン形状の開口が形成された複数のセルを備えたマスク部を有し、前記マスク部は、一または複数のセルを有する一または複数のブロックと、前記ブロックを支持する支持部と、前記ブロックと前記支持部とを接着し、かつ除去可能な接着部材とを有し、前記支持部の各々は、前記ブロックを位置決めし、前記接着部材により前記ブロックが接着されるストッパ部と、該ストッパ部を支持し、前記ブロックの一部と重なるように設けられた梁部とを有し、前記いずれかのセルに荷電粒子ビームが照射された際にそのパターンに応じて荷電粒子ビームを透過し、被処理基板にそのセルのパターンを転写し、被処理基板上に露光パターンを形成する露光用転写マスクを製造する露光用転写マスクの製造方法であって、
素材の一方側の面をドライエッチングして前記複数のブロックおよび前記ストッパ部を形成する工程と、
前記素材の反対側の面に対し機械加工とエッチングとを併用して前記梁部を形成する工程と、
前記接着部材としてカーボンを含有するものを用いて前記ストッパ部と前記ブロックとを連結する工程と、
エッチングにより前記ストッパ部と前記ブロックとの接続部を前記接着部材のみとして前記ブロックを交換可能にする工程と、
を有することを特徴とする露光用転写マスクの製造方法。 - 前記支持部は、前記ブロックを囲むように設けられ、前記接着部材は、前記ブロックの周囲の全周または複数箇所に設けられることを特徴とする請求項1に記載の露光用転写マスクの製造方法。
- 前記ブロックは、前記マスク部内の最外周のブロックに外接する円が最小になるように配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の露光用転写マスクの製造方法。
- 前記ブロックは、同数ずつの矩形のセルが正方形になるように配置されてなることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の露光用転写マスクの製造方法。
- 前記ブロックおよび支持部は主にシリコンで構成されることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の露光用転写マスクの製造方法。
- 前記素材は、表面近傍にSiO2膜が形成され、これにより表層Si部と本体Si部とに分離されたSOIウエハであり、
前記複数のブロックおよび前記ストッパ部は、前記表層Si部に形成され、
前記梁部は、前記本体Si部に形成され、
前記ブロックを交換可能にする工程は、前記SiO2膜を前記ストッパ部と前記梁部との接合部を除いてエッチング除去することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の露光用転写マスクの製造方法。
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