JP4249858B2 - 樹脂乾燥装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、射出成形機の成形材料である樹脂ペレット等の乾燥に用いられる樹脂乾燥装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、樹脂成形の成形材料である樹脂ペレット中に水分が含まれていると、成形時の加熱でその水分が気化し、成形品の品質低下や不良品を発生させる。そのため、成形前に射出成形機に供給すべき樹脂ペレットに乾燥処理が施されている。この乾燥処理は加熱によるが、その加熱温度が水分の蒸発温度である100℃を越えると、樹脂ペレットに色調変化等の不都合を生じさせることがある。このため、従来から樹脂ペレットの乾燥処理には、一定の減圧下に樹脂ペレットを置いて加熱し、色調変化等の劣化防止が図られてきた。
【0003】
この樹脂の減圧、乾燥処理には、減圧手段に真空ポンプ、加熱手段にヒータが使用されており、処理槽に乾燥すべき樹脂を入れて減圧処理及び加熱処理を行っている。この処理槽への樹脂の補給、乾燥した樹脂の排出、成形機への樹脂の供給には搬送手段としてブロワーによる空気圧が使用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、樹脂を乾燥させる処理槽内は、樹脂の取り出し及び装填、乾燥時には一定の減圧状態に維持するため、気密性の高いシャッターが用いられており、そのシャッター部分にはOリングやパッキン等で気密性の維持が図られている。これらOリングやパッキン等はシャッター板の開閉によって磨耗し、所定の気密性を維持できる耐用時間には限界がある。また、樹脂の供給管路には可撓管が使用されるが、この可撓管は折り曲げ等によって閉塞され、樹脂搬送の障害になるおそれがある。
【0005】
このように、樹脂乾燥装置には、気密性低下、樹脂搬送障害等の異常が発生するおそれがあり、これらの異常発生及びその修復は作業者の勘によって克服する必要があった。
【0006】
従来、これらの異常発生箇所を特定するため、各所にセンサ等を配置することが考えられてきたが、処理槽のように、センサの設置が気密性保持を損なう原因になること、気密性保持と解除とを繰り返す場合には異常か否かの判定が厄介であること、制御手段との配線が煩雑化すること等の不都合があり、また、可撓管の樹脂搬送の障害に対し、センサによる可撓管の異常の発見は困難であること等の不都合があった。
【0007】
そこで、本発明は、制御動作の推移から異常発生及びその発生箇所の特定を実現し、安定した樹脂乾燥処理を実現した樹脂乾燥装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の樹脂乾燥装置は、樹脂(樹脂ペレット2)を減圧状態で加熱乾燥する乾燥処理手段(乾燥処理槽4、ヒータ60、64、ヒートパイプ62、真空ポンプ70)、樹脂取出し手段(貯留槽8、ブロワー18、送気管26、開閉板88、90、供給管112、吸気管114)、樹脂補給手段(ペレットタンク6、補給管14)及び制御手段(制御装置200、制御演算部202、タッチパネルスイッチ204)を備えて、乾燥処理手段からの乾燥樹脂の取り出し、乾燥処理手段への樹脂の補給、減圧及び加熱の制御動作の推移を監視し、異常発生の検出及び異常箇所の特定を行い、それを報知するものである。このようにしたことで、最小限にセンサを抑え、異常発生の検知及び異常箇所を特定でき、樹脂の安定した乾燥処理を実現することができる。
【0009】
請求項1に係る本発明の樹脂乾燥装置は、樹脂(樹脂ペレット2)を減圧下で加熱することにより乾燥させる乾燥処理手段(乾燥処理槽4、ヒータ60、64、ヒートパイプ62)と、前記乾燥処理手段を減圧させる減圧手段(真空ポンプ70)と、前記乾燥処理手段の減圧状態を監視する圧力スイッチ(76)と、前記乾燥処理手段の温度を検出する温度センサ(58、66、68)と、前記乾燥処理手段を開閉する開閉板を備え、この開閉板を開いて前記乾燥処理手段から乾燥した樹脂を取り出す樹脂取出し手段(貯留槽8、ブロワー18、送気管26、開閉板88、90、供給管112、吸気管114)と、前記乾燥処理手段を開閉する開閉機構(34)を備え、この開閉機構を開いて前記乾燥処理手段に前記樹脂を補給する樹脂補給手段(ペレットタンク6、補給管14)と、前記開閉板の開閉を監視する開閉板センサ(近接センサ98、100、102、104)と、前記開閉機構の開閉を監視する開閉機構センサ(近接センサ42、44)と、前記乾燥処理手段の乾燥処理、前記樹脂取出し手段の前記開閉板の開閉、又は前記樹脂補給手段の前記開閉機構の開閉を制御するとともに、前記乾燥処理手段からの乾燥樹脂の取り出しを前記開閉板センサの検出出力、前記乾燥処理手段への前記樹脂の補給を前記開閉機構センサの検出出力、前記乾燥処理手段の減圧を前記圧力スイッチの検出出力、前記乾燥処理手段の加熱の推移を前記温度センサの検出出力を監視して異常発生を検出し、かつその異常箇所を前記検出出力から特定し、異常発生又は異常箇所を表す出力を発生する制御手段(制御装置200、制御演算部202、タッチパネルスイッチ204)とを備えたことを特徴とする。
【0010】
即ち、乾燥処理手段、樹脂取出し手段又は樹脂補給手段は制御手段によって制御されるが、乾燥処理手段からの乾燥樹脂の取り出し、乾燥処理手段への樹脂の補給、減圧及び加熱の制御動作の推移を監視することにより異常発生が検出されるとともに、その異常の態様から異常箇所を特定することができる。そこで、制御動作の推移によって検出された異常発生、異常の態様から特定された異常箇所を表す出力を発生させ、その出力から異常発生及び異常箇所を知ることができ、迅速な対応が可能となり、事故の発生を未然に防止できる。
【0011】
請求項2に係る本発明の樹脂乾燥装置は、前記制御手段が発生した報知出力を受けて前記異常発生又は前記異常箇所を報知する報知手段を備えたことを特徴とする。即ち、制御手段から制御動作の推移によって検出された異常発生、異常の態様から特定された異常箇所を表す出力により報知出力を発生させ、その報知出力を以て報知手段に異常発生又は異常箇所を報知させることにより、管理者はその報知により異常発生又は異常箇所を容易に知ることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面に示した実施形態を参照して詳細に説明する。
【0013】
図1は本発明の樹脂乾燥装置の一実施形態を示し、図2及び図3は乾燥処理槽の排出部側の構成を示している。この樹脂乾燥装置は、乾燥すべき樹脂である樹脂ペレット2を乾燥処理手段である乾燥処理槽4にペレットタンク6から導き、乾燥後の樹脂ペレット2を貯留槽8から射出成形機10側に供給する。
【0014】
乾燥すべき樹脂ペレット2を入れる乾燥処理槽4には樹脂ペレット2の補給手段が設けられ、乾燥処理槽4の上部側には補給すべき樹脂ペレット2を貯める補給槽としてのホッパー12が設けられている。このホッパー12はペレットタンク6と補給管14を介して連結され、補給管14の中途部には外気を吸引する吸引器16が設けられている。また、ホッパー12には送吸気手段であるブロワー18が吸引管20を介して連結され、吸引管20の途上には開閉弁22及びフィルタ24が設けられ、ブロワー18の排気側には送気管26、排気管28及び開閉弁30、32が設けられている。即ち、ペレットタンク6及びブロワー18等は、乾燥処理槽4に対して樹脂ペレット2を補給する樹脂補給手段を構成している。したがって、開閉弁30を閉じ、開閉弁22、32を開いて通気路を形成し、ブロワー18を駆動してホッパー12内を負圧にすると、補給管14に吸引器16を通して空気が流れるので、ペレットタンク6から樹脂ペレット2が吸い込まれてホッパー12に装填される。矢印a、b、cは空気の流れ、dは樹脂ペレット2及び空気の流れを示す。
【0015】
ホッパー12の下側には乾燥処理槽4の上部側の気密性保持が可能な開閉機構34が設けられ、この開閉機構34の開閉に応じて樹脂ペレット2が乾燥処理槽4に補給される。開閉機構34は、エアシリンダ36を駆動手段とする開閉板38を備えており、開閉板38の移動によって開閉機構34を介してホッパー12と連結筒40との間が遮断又は開通する。遮断時、開閉機構34の開閉板38は、乾燥処理槽4の上部側を密封し、その密封、即ち、気密性を保持するための構成は図示しないが、Oリングやパッキン等を用いている。矢印eは開閉板38の移動方向を示している。この開閉板38の移動は開閉検出手段としての近接センサ42、44で検出される。連結筒40は、開閉機構34を介してホッパー12を乾燥処理槽4に支持する支持手段であって、その周囲面には樹脂ペレット2を検出する手段として近接センサ46が設けられている。
【0016】
そして、乾燥処理槽4は、樹脂ペレット2を下方に案内するため、底面側を円錐状とした円筒形であって、外装体48の内部に内槽50を備えたものである。内槽50には、補給される樹脂ペレット2を乾燥処理槽4内に均一に分散させる手段として第1の成層器52と、樹脂ペレット2が乾燥処理槽4の中央部分のみから落下して周囲部分が残留するような不都合を防止するために樹脂ペレット2を乾燥処理槽4内に均等に保持するための手段として第2の成層器54が設けられている。各成層器52、54は上下方向に連結されており、その連結筒56の周面部には温度センサ58が取り付けられている。また、内槽50内には、樹脂ペレット2の乾燥処理手段における加熱手段である複数のヒータ60及びヒートパイプ62が設置され、内槽50の外面には乾燥処理手段における加熱手段としてヒータ64、内槽50の内壁面には壁面温度を検出する温度センサ66、68が設置されている。また、各成層器52、54の外面部は熱伝導面を構成している。
【0017】
内槽50には乾燥処理手段における減圧手段である真空ポンプ70が通気管72を通して接続されており、通気管72にはフィルタ74及び圧力スイッチ76が設けられている。圧力スイッチ76は、乾燥処理槽4内の減圧状態を監視し、所定の減圧状態に移行したとき、それを表すスイッチ出力を発生する。矢印fは、減圧時の空気の排出を示している。また、内槽50内には真空破壊弁78が通気管80を介して接続されており、真空破壊弁78が導通したとき、乾燥処理槽4内は外気の流入により大気圧に復帰する。
【0018】
この乾燥処理槽4の排出口82には、乾燥処理槽4から乾燥した樹脂ペレット2を取り出す樹脂取出し手段が設けられている。即ち、排出口82には、連結部84を介して貯留槽8が設けられ、図2及び図3に示すように、連結部84は第1及び第2の開閉手段として開閉板88、90を備えており、開閉支持体85と連結部84の内壁部との間にはOリング87、89が設けられて気密性が保持されている。
【0019】
開閉支持体85には、図2に示すように、排出口82に開放されて樹脂ペレット2を咬み込むための凹部として切欠き凹部91が形成されており、開閉板88が閉じられた際にその端面部側は切欠き凹部91の下側に当たり、切欠き凹部91の内部に樹脂ペレット2が入り、その落下が防止される。
【0020】
また、開閉支持体85の内部には、開閉板88、90の間に空間部92が形成されている。開閉板88はエアシリンダ94を、開閉板90はエアシリンダ96を駆動手段とし、個別に連結部84を開閉する。開閉板88の移動は開閉検出手段としての近接センサ98、100、開閉板90の移動は開閉検出手段としての近接センサ102、104で個別に検出される。矢印gは開閉板88の開閉移動、hは開閉板90の開閉移動を示している。また、開閉板88、90の間に形成された空間部92には、内部へ空気を漏洩させるリーク管106が設けられ、このリーク管106はリークバルブ108によって開閉され、外気流入量の調節により、乾燥処理槽4内を所定の圧力に調整することができる。矢印iは空気の流入を示す。
【0021】
開閉板88は、その開時間によって落下させる樹脂ペレット2の量を設定する計量手段を構成し、また、図3に示すように、開閉板90は、閉じられたとき、連結部84を通して乾燥処理槽4の排出口82を密封し、気密保持手段として機能する。即ち、開閉板88、90は、共に排出口82を開閉する機能を有し、前者が樹脂ペレット2の通過を制限し、後者が気密保持を行うものであり、開閉機能の分担を図っている。
【0022】
そして、貯留槽8は、射出成形機10側のホッパー110と供給管112を介して連結されるとともに、送気管26を通してブロワー18と連結されている。即ち、ブロワー18及び供給管112等によって乾燥処理槽4の樹脂ペレット2を取り出し、射出成形機10へ供給する樹脂取出し及び供給手段が構成されている。また、ホッパー110とブロワー18の吸引側とは吸気管114を通して連結されており、この吸気管114には開閉弁116が設けられている。即ち、開閉弁22、32を閉じ、開閉弁30、116を開くことにより、供給管112と吸気管114を通して閉回路を構成し、ブロワー18を駆動すると、貯留槽8から乾燥後の樹脂ペレット2がホッパー110内に導かれ、装填される。ホッパー110の下側には樹脂タンク118が設けられ、この樹脂タンク118にホッパー110から樹脂ペレット2が供給され、樹脂成形に供される。矢印j、lは空気、矢印kは樹脂ペレット2及び空気の流れを示している。樹脂タンク118には、樹脂ペレット2の有無を検出する検出手段である近接センサ120が設けられている。
【0023】
次に、図4は、樹脂乾燥装置の制御部を示している。即ち、この制御部は、乾燥処理槽4の乾燥処理としての減圧及び加熱の制御動作、乾燥処理槽4への樹脂ペレット2の補給、乾燥処理槽4から乾燥した樹脂ペレット2の取出し、この実施形態では射出成形機10への樹脂ペレット2の供給制御、これら制御動作の推移を監視して異常の発生を検出し、その異常態様から異常箇所を特定し、異常発生及び異常箇所を表す出力を発生する制御手段を構成する。即ち、制御部では、乾燥処理手段としてのヒータ60、ヒートパイプ62及び真空ポンプ70等、樹脂補給手段としてのペレットタンク6及びブロワー18等、樹脂取出し手段としてのブロワー18及び供給管112等の故障等の異常発生、予め指定された動作異常に対応する運転停止又は運転継続の判定、その判定に基づく制御動作を実行するものである。この制御部にはマイクロコンピュータを用いた制御手段としての制御装置200が設けられており、この制御装置200には、制御動作を行う制御演算部202が設けられている。制御演算部202とタッチパネルスイッチ204は連係されている。
【0024】
制御演算部202には、CPU206、計測のためのTIMER208、COUNTER210、各種制御指令、演算値を一次記憶するRAM212、CPU206の制御プログラム、設定データを格納したROM214、各種設定データや故障等の異常発生及びその箇所等を記憶する不揮発記憶手段としてのEEPROM216等が設けられている。また、各種センサ入力を受ける複数の入力ポート218、220、226、228、アクチュエータへの駆動出力を送出する複数の出力ポート230、232、234、236、238、240、242、270を備えている。即ち、入力ポート218には検出回路244を通して温度センサ58、66、68が接続されている。入力ポート220には、検出回路246を通して近接センサ42、44、46、98、100、102、104、120、また、入力ポート226には、検出回路252を通して圧力スイッチ76が接続されている。また、出力ポート230、232、234、236、238、240には駆動回路254、256、258、260、262、264が接続され、それぞれに真空ポンプ70、ブロワー18、ヒータ60、64、エアシリンダ36、94、96、開閉弁22、30、32、116、真空破壊弁78が接続されている。また、出力ポート242には報知手段として音声回路266を介してスピーカー268が接続されている。
【0025】
また、入力ポート228及び出力ポート270には、タッチパネルスイッチ204が接続されており、このタッチパネルスイッチ204は、制御指令入力、設定入力、異常表示、動作情報等を階層的に画像として表示し、その画像にて指定された入力位置をスイッチとして受け付ける手段である。このタッチパネルスイッチ204には画像の階層表示、スイッチ入力位置制御等を行うCPU272、制御データを一時記憶するRAM274、画像データを格納するEEPROM等からなる画像メモリ276、CPU272の制御プログラム、設定データを格納したROM278、入力回路280、出力回路282、液晶駆動回路284、検出回路286より構成され、液晶駆動回路284には液晶表示を行う表示器288が、また、検出回路286には液晶画面に設けられたスイッチ290が接続されている。液晶駆動回路284及び表示器288は報知手段を構成する。
【0026】
以上の構成において、樹脂乾燥装置の動作を説明する。
【0027】
図5は、この樹脂乾燥装置の動作を示すフローチャートである。タッチパネルスイッチ204のスイッチ290の操作により制御装置200の運転を開始すると、ステップS1では乾燥モードに移行し、乾燥処理槽4内が減圧され、加熱乾燥が行われる。
【0028】
ステップS2ではスイッチ290により樹脂ペレット2の補給モードが選択されたか否かを判定し、樹脂補給モードが選択されたとき、ステップS3に移行して、樹脂補給モードが実行される。ステップS4ではスイッチ290により樹脂供給・補給モードが選択されたか否かを判定し、樹脂供給・補給モードが選択されたときは、ステップS5に移行し、樹脂供給・補給モードを実行する。
【0029】
ステップS6ではスイッチ290により樹脂供給モードが選択されたか否かを判定し、樹脂供給モードが選択されたときは、ステップS7の樹脂供給モードに移行する。ステップS8では乾燥処理槽4内に樹脂ペレット2が残留しているか否かを判定し、樹脂ペレット2が無ければ運転を停止する。
【0030】
したがって、この樹脂乾燥装置の制御動作には、乾燥モード、樹脂補給モード、樹脂供給・補給モード及び樹脂供給モードがある。
【0031】
乾燥モードは、乾燥処理槽4に充填された樹脂ペレット2を減圧下で加熱し、乾燥するモードである。即ち、乾燥処理槽4に樹脂ペレット2が装填されると、真空ポンプ70を駆動して乾燥処理槽4を減圧状態に保持する。即ち、開閉板88を閉じるとともに、開閉板38、90を閉じて乾燥処理槽4を密閉状態にし、真空ポンプ70を作動させて乾燥処理槽4内を減圧し、ヒータ60、64により樹脂ペレット2を加熱して乾燥を行う。真空ポンプ70の作動に伴い、リーク管106から外気が乾燥処理槽4内に流入し、乾燥処理槽4内は50〜100torr程の減圧状態に保持される。樹脂ペレット2から発生した蒸気は真空ポンプ70の吸引によりリーク管106から流入する外気とともに、矢印fで示すように、外部に排出される。乾燥処理槽4内は減圧により水の蒸発温度が低下する。これにより、ヒータ60、64の加熱温度を樹脂ペレット2の変色が生じない温度以下に保持することができる。真空ポンプ70を停止し、真空破壊弁78を動作させることにより乾燥処理槽4内を大気圧に回復させることができる。
【0032】
次に、樹脂補給モードは、乾燥処理槽4へ未乾燥の樹脂ペレット2を装填するモードである。即ち、この制御動作では、開閉板38を開き、開閉弁30、116を閉じるとともに、開閉弁22、32を開いて、補給管14、吸引管20、排気管28よりなる空気通路を形成し、ブロワー18の動作により、ペレットタンク6から樹脂ペレット2をホッパー12に導き、乾燥処理槽4に補給する。近接センサ46が樹脂ペレット2を検知するまでブロワー18を動作させる。乾燥処理槽4内に樹脂ペレット2が充填されたとき、開閉板38を閉じて真空乾燥を実行する。なお、ブロワー18は所定時間毎に数回に分けて動作させる間欠動作とし、所定時間内に所定回数だけブロワー18を動作させても、近接センサ46が樹脂ペレット2を検知しない場合には、ペレットタンク6内が空であると判定し、その判定出力に基づく報知出力としてスピーカー268から警報音を発し、又は、表示器288にその旨を表示する。
【0033】
次に、樹脂供給・補給モードは、乾燥処理槽4で乾燥処理した樹脂ペレット2を計量して射出成形機10に供給し、それによる不足分をペレットタンク6から乾燥処理槽4に補給するモードである。射出成形機10の成形作業が進み、樹脂タンク118の樹脂ペレット2が消費されたことを近接センサ120が検知すると、乾燥処理槽4内を大気圧に戻し、開閉板38、90を開くとともに、開閉板88を所定時間だけ開き、乾燥処理槽4内の樹脂ペレット2を貯留槽8に自由落下させる。貯留槽8への落下量、即ち、供給量は、開閉板88の開時間を変えることにより調整することができる。そして、開閉弁22、32を閉じ、開閉弁30、116を開いて送気管26、供給管112、吸気管114の空気循環路を形成し、ブロワー18を所定時間動作させて空気圧力により貯留槽8の樹脂ペレット2を樹脂タンク118に供給する。近接センサ120により樹脂ペレット2の蓄積が検出されないときには、再度、開閉板90、88を開き、ブロワー18を動作させて樹脂ペレット2を供給状態にする。その後、開閉板38を開き、近接センサ46が樹脂ペレット2を検出するまで補給状態とする。
【0034】
次に、樹脂供給モードは、乾燥処理槽4内の樹脂ペレット2が無くなるまで射出成形機10に樹脂ペレット2を供給するモードである。この供給動作は前述の通りである。なお、所定時間内に所定回数だけ樹脂ペレット2の供給を行っても、近接センサ120が検出しなければ、乾燥処理槽4内が空であると判定して供給及び乾燥運転を停止する。
【0035】
次に、異常の検出動作について説明すると、図4に示す制御部において、以下の異常検出を行う。
【0036】
a 圧力スイッチ76の異常検出
真空ポンプ70の動作開始前に圧力スイッチ76が減圧信号を出力したときは「圧力スイッチ異常」等のメッセージを表示又は音声にて報知し、圧力スイッチ76の交換を指示する。
【0037】
b 減圧異常の検出
真空ポンプ70の動作を開始し、所定時間経過後に圧力スイッチ76により所定の圧力まで減圧されないときは、真空ポンプ70を停止し、真空破壊弁78を動作させ、開閉板38、88、90を数回開閉させた後、再び真空ポンプ70を動作させて減圧を開始する。これらの動作を数回実行して圧力スイッチ76により乾燥処理槽4が減圧されない場合、「真空異常」等のメッセージを表示又は音声により報知して真空ポンプ70又は開閉板38、88、90の気密維持のためのパッキン、Oリング87、89等の交換を指示する。
【0038】
c 開閉板38、88、90の異常検出
エアシリンダ36、94、96を動作させて開閉板38、88、90を開閉し、近接センサ42、44、98、100、102、104より信号が検出されないときは、該当する開閉板38、88、90を数回開閉し、開閉検出信号が出力されたか否かを判定する。開閉検出信号が得られなければ「開閉板(38)の開異常」、「開閉板(38)の閉異常」、「開閉板(88)の開異常」、「開閉板(88)の閉異常」、「開閉板(90)の開異常」、「開閉板(90)の閉異常」等のメッセージを表示又は音声により報知する。
【0039】
d ヒータ60、64の異常検出
温度センサ58、66、68によりヒータ60、64による温度上昇を検出し、所定時間経過しても温度上昇が確認されなければ、「ヒータ断線異常」等のメッセージを表示又は音声により報知する。
【0040】
e 過熱異常検出
温度センサ58、66、68によりヒータ60、64の加熱による温度上昇が所定温度を越えたときは「ヒータ過熱異常」等のメッセージを表示又は音声により報知する。
【0041】
f 温度センサ58、66、68の異常検出
温度センサ58、66、68の出力値を受けることにより、検出回路244にて断線等の異常を監視する。温度センサ58、66又は68の断線が検出されたときは、「温度センサ(58、66又は68)の異常」等のメッセージを表示又は音声にて報知する。
【0042】
g 樹脂供給異常の検出
開閉板88、90を開いて貯留槽8に樹脂ペレット2を供給し、ブロワー18を作動させて近接センサ120からの出力信号を確認する。出力信号が検出されないとき、開閉板88、90の開閉とブロワー18を数回動作させ、出力信号が検出されなければ「樹脂供給異常」等のメッセージを表示又は音声にて報知し、ブロワー18の異常、又は、送気管26、供給管112、吸気管114等の閉塞を報知する。
【0043】
なお、実施形態では、制御装置の音声回路、表示器により音声出力又は表示出力による異常の報知を行ったが、本発明の樹脂乾燥装置は、異常報知用のリレー出力端子を別途用意し、警報手段として、パトライト、ブザー、その他の外部機器を接続して異常を報知するようにしてもよい。
【0044】
また、実施形態では、射出成形機に対する乾燥した樹脂ペレットの供給について説明したが、本発明の樹脂乾燥装置は、射出成形機以外の乾燥樹脂の供給を必要とする各種の機器に対応できるものであり、樹脂成形に限定されるものではない。
【0045】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、次の効果が得られる。
a 制御動作の推移の監視により、異常発生及び異常箇所を特定するので、乾燥処理手段の気密性低下を来すことなく、必要最低限のセンサにて異常管理を行うことができる。
b 異常発生又は異常箇所を報知するので、容易に認識できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の樹脂乾燥装置の一実施形態を示す図である。
【図2】本発明の樹脂乾燥装置の部分拡大断面図である。
【図3】本発明の樹脂乾燥装置の部分拡大断面図である。
【図4】この樹脂乾燥装置の制御部を示すブロック図である。
【図5】本発明の樹脂乾燥装置の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
2 樹脂ペレット(樹脂)
4 乾燥処理槽(乾燥処理手段)
6 ペレットタンク(樹脂補給手段)
8 貯留槽(樹脂取出し手段)
14 補給管(樹脂補給手段)
18 ブロワー(樹脂取出し手段、樹脂補給手段)
20 吸引管(樹脂補給手段)
26 送気管(樹脂取出し手段)
60、64 ヒータ(乾燥処理手段)
62 ヒートパイプ(乾燥処理手段)
70 真空ポンプ(乾燥処理手段)
88、90 開閉板(樹脂取出し手段)
112 供給管(樹脂取出し手段)
114 吸気管(樹脂取出し手段)
200 制御装置(制御手段)
202 制御演算部(制御手段)
204 タッチパネルスイッチ(制御手段)
266 音声回路(報知手段)
268 スピーカー(報知手段)
284 液晶駆動回路(報知手段)
288 表示器(報知手段)

Claims (2)

  1. 樹脂を減圧下で加熱することにより乾燥させる乾燥処理手段と、
    前記乾燥処理手段を減圧させる減圧手段と、
    前記乾燥処理手段の減圧状態を監視する圧力スイッチと、
    前記乾燥処理手段の温度を検出する温度センサと、
    前記乾燥処理手段を開閉する開閉板を備え、この開閉板を開いて前記乾燥処理手段から乾燥した樹脂を取り出す樹脂取出し手段と、
    前記乾燥処理手段を開閉する開閉機構を備え、この開閉機構を開いて前記乾燥処理手段に前記樹脂を補給する樹脂補給手段と、
    前記開閉板の開閉を監視する開閉板センサと、
    前記開閉機構の開閉を監視する開閉機構センサと、
    前記乾燥処理手段の乾燥処理、前記樹脂取出し手段の前記開閉板の開閉、又は前記樹脂補給手段の前記開閉機構の開閉を制御するとともに、前記乾燥処理手段からの乾燥樹脂の取り出しを前記開閉板センサの検出出力、前記乾燥処理手段への前記樹脂の補給を前記開閉機構センサの検出出力、前記乾燥処理手段の減圧を前記圧力スイッチの検出出力、前記乾燥処理手段の加熱の推移を前記温度センサの検出出力を監視して異常発生を検出し、かつその異常箇所を前記検出出力から特定し、異常発生又は異常箇所を表す出力を発生する制御手段と、
    を備えたことを特徴とする樹脂乾燥装置。
  2. 前記制御手段が発生した報知出力を受けて前記異常発生又は前記異常箇所を報知する報知手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の樹脂乾燥装置。
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