JP4248675B2 - 勾配屋根の緑化システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、勾配屋根の緑化システムに関する。
【0002】
【従来の技術及び課題】
環境緑化の一環として、勾配のある屋根を緑化する場合、排水機能を損なわせたり、屋根面を水分等で腐食させてしまうようなことがあってはならない。また、緑化の施工が厄介であっては普及しにくいので、施工を容易に行いうるものであることも必要である。
【0003】
本発明は、そのような要請に答えることができる勾配屋根の緑化システムを提供することを課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記の課題は、勾配屋根が、傾斜方向と直交する横方向に山部と谷部を交互に繰り返す波形屋根からなり、この勾配屋根上に、植物の植えられた低背な板状の複数の緑化ユニットが、屋根の勾配に合わせて傾斜状態にされ、互いに隣接して並べられて、取り付けられていることを特徴とする勾配屋根の緑化システムによって解決される。
【0005】
この勾配屋根緑化システムでは、波形の勾配屋根を対象としているから、その上に緑化ユニットを並べて取り付けても、波形谷部内を通じて水分等をスムーズに流下させていくことができて排水機能を損なわせず、しかも、通気性が良く屋根を腐食させにくい。排水、通気面で、屋根それ自体を改変する必要もないかあるいは少ない。
【0006】
加えて、緑化ユニットを屋根上に並べて取り付けていくだけでよく、施工が容易である。しかも、屋根の勾配に合わせて傾斜状態にして取り付けていけばよいので、簡素な構造の取付け手段を用いて取付けを行うことができる。更に、緑化ユニットは、低背な板状のものであるから、その取扱いや運搬、取付けも容易に行うことができる。
【0007】
前記緑化ユニットは、植物と、平面マット状の培地材と、該マット状培地材を保持する低背の側壁をもったベース板とにより構成されているのがよい。マット状の培地材を用いるから、屋根の勾配で、培地が流れ去って減ってしまったり、なくなってしまうということがなく、また、平面マット状培地材は、これをベース板の側壁にて適正な位置に位置決め保持することができ、屋根の勾配でずれ動いてしまうこともない。更に、培地材は平面マット状であり、ベース板は低背の側壁を有するから、ベース板に対するマット材の取付け、取外しも容易に行うことができる。
【0008】
植物としては、芝等のグランドカバー類が用いられるのが、緑化ユニットを軽量にする上で好ましい。
【0009】
前記緑化ユニットに、波形勾配屋根の谷部内に突出される部分が備えられ、この部分が波形屋根の谷部内に突出されることで、緑化ユニットが、屋根の傾斜方向と直交する横方向において位置決めされるものとなされている場合は、緑化ユニットを屋根上の所定の位置に容易にセッティングしていくことができ、施工が容易になる。また、谷部内に突出させるぶん、緑化ユニット内の容積を大きく確保するというようなことも必要に応じて行え、低背な緑化ユニットでありながら、培地材の量を増やしたり、保水量を多く確保するというようなことなども可能となる。
【0010】
また、各緑化ユニットに対し、灌水用の給水口が、傾斜方向上端側に位置して備えられている場合は、屋根の勾配による流下作用で、各緑化ユニットを、少ない灌水手段にて効率良く灌水していくことができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1及び図2に示す実施形態において、1は勾配屋根、2…は緑化ユニットである。
【0012】
勾配屋根1は、傾斜方向と直交する横方向に山部3aと谷部3bを交互に繰り返す波形の屋根からなる。実施形態では、金属製の折版3を用いた勾配屋根である。なお、その他の波形金属板屋根や、また、波形スレート屋根を対象とすることも可能である。
【0013】
緑化ユニット2は、低背な板状のもので、例えば、図2(ハ)に示すように、低背な周側壁4aをもった平面視方形状のベース板4と、該ベース板4内にしっくりと嵌まる平面マット状の培地材5と、培地材5に植えられた植物6とからなる。
【0014】
ベース板4は、プラスチック、軽量金属、樹脂木材などからなり、高さ寸法は、例えば5cm程度と低背である。ベース板4の折版流れと直交する横方向における寸法は、折版3の隣り合う山部間の間隔寸法を考慮し、その整数倍ピッチでベース板を配置していけるものに設計されているのがよい。底板には、図示しないが、排水孔が設けられている。
【0015】
培地材5としては、例えば、ロックウールフェルトやヤシ繊維マット、木チップマット、バークマット、そのほか、不織布などによる袋に軽量土壌を詰めたもの、あるいは、繊維状立体シート(例えば、特開平8−228600号、特開平10−108545号などに記載のもの)など、種々のものが用いられてよい。このマット状培地材5は、ベース板4内に設置され、ベース板4の周側壁4aに保持されて、位置ずれを起こすことなくベース板4に保持される。
【0016】
植物6は、例えば、芝、ハーブ、苔類など、グランドカバー類が、緑化ユニットの重量化を生じさせないので好ましい。なかでも、芝については、ベランダやバルコニー、屋上などの緑化に用いられる薄型の置き敷きタイプの各種芝ユニットが開発、提供されており、技術面での対処や実用化が比較的容易であるなどの理由から好適に用いられる。緑化ユニット2は、屋根1の強度上、植物6も含めた重量が50Kg以下になるようにするのがよい。
【0017】
緑化は、勾配屋根1の折版3上に、複数の緑化ユニット2を、屋根1の勾配に合わせて傾斜状態にし、互いに隣接させて屋根1の傾斜方向及び/又は傾斜方向と直交する横方向に並べて取り付けることで達せられる。緑化ユニット2…の取付けは、各ユニットのベース板4…を屋根1上に取り付けたのち、取り付けられた各ベース板4…に、植物6の植えられたマット状培地材5…をセットしていくというようにして行われてもよいし、あるいは、ベース板4と培地材5と植物6を一体的に組み合わせた状態で屋根上に取り付けていくというようにして施工が行われてもよいし、都合の良い各種方法で行われてよい。植物は種などの状態で培地材5に仕込んでおくようにしてもよい。
【0018】
緑化ユニット2…の取付けは、図1及び図2に示すように、屋根折版3の山部3aの頂面と、緑化ユニット2の下面とを面ファスナー7にて接合したり、あるいは、図示しないが、面ファスナー7に変えて両面テープを用いて接合したりすることで、簡易に行うことができ、折版2の漏水の心配もない。折版屋根1の軒先側には、安全用の滑止め8を取り付けておくとよい。
【0019】
あるいはまた、図3に示すように、上下逆向きにしたハット形型材9を屋根1の傾斜方向と直交する横方向に向けて屋根1にボルト10などで留め、この型材9にて、緑化ユニット2の傾斜方向における前部と後部を保持させるという取付けがなされてもよい。ハット形型材9は、短尺品であってもよいし、長尺品であってもよい。緑化ユニット2は、この型材9そのものによって、屋根1の傾斜方向にずれ動くのを規制され、しかも、型材9のつば9aが緑化ユニット2の前部、後部の上面側に張り出すことで浮き上がりも規制される。ハット形型材9を用いた取付けでは、その左右のつば部9a,9aに、屋根の傾斜方向に隣り合って並べられる両緑化ユニット2,2を一度に保持させることができて、施工が容易である。なお、緑化ユニット2の取付けは、屋根1上に緑化ユニット2…をセットしたのち、ハット形型材9を屋根1に取り付けるというように行われてもよいし、あるいは、屋根1上に取り付けられたハット形型材9のつば部9a下に緑化ユニット2の縁部を滑り込ませてセットするというようにして行われてもよい。
【0020】
また、図4に示すように、胴縁材11…を、屋根1上にその傾斜方向と直交する横方向に向けてボルト10などで取り付け、この胴縁材11…上に、緑化ユニット2をビス12などでとめるという取付けがなされてもよい。胴縁材11は、各緑化ユニット2の下面側において、屋根傾斜方向における少なくとも2箇所に存在させることで、緑化ユニット2を安定良く取り付けることができる。屋根1に胴縁材11を取り付けたのち、胴縁材11に緑化ユニット2を取り付けるという簡単な作業で取付けを行っていける。
【0021】
上記の設置状態において、水分等は、折版3の谷部3b内を通じてスムーズに流下していくことができて排水は良好に行われ、しかも、谷部3b内は通気されて屋根折版3を腐食させにくい。
【0022】
図5には、緑化ユニットの他の例を示す。この緑化ユニット2には、その下面に、折版3の谷部3b内に突出する部分14が備えられており、この突出部分14を谷部3b内に突出させることで、緑化ユニット2が屋根の傾斜方向と直交する横方向において位置決め状態にセットされるようになされている。この突出部分14の存在により、各緑化ユニット2…を屋根1上の所定の位置に容易にセットしていくことができる。また、突出部分を利用してユニット内の容積を広くすることも必要に応じて可能であり、そうすることによって各ユニット2における保水量を多くすることができる。
【0023】
図6に示す実施形態は、緑化システムに灌水手段を備えさせたものである。パイプの周側壁に給水口としての給水孔を設けた灌水パイプ15が、各緑化ユニット2において、その傾斜方向における上端側に位置して備えられている。各緑化ユニット2において、灌水パイプ15から供給される水は、ユニット2内を上端側から下端側に向けて流下していき、それにより、ユニット内全体に効率良く水が行きわたる。灌水パイプ15は、緑化ユニット2のベース板4の側壁4aに設けた切欠き16や孔を通じて培地材5の内部に通してもよいし、クリップ17で保持して培地材5の上方に備えられていてもよい。
【0024】
【発明の効果】
以上の次第で、本発明の勾配屋根の緑化システムは、上記のような構成を有するものであるから、排水機能を損なわせず、屋根の腐食もしにくい。しかも、施工も容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】勾配屋根緑化システムの実施形態を示すもので、図(イ)は平面図、図(ロ)は側面図である。
【図2】図(イ)は同正面図、図(ロ)は変形例の正面図、図(ハ)は緑化ユニットの断面図である。
【図3】緑化ユニットの他の取付け構造を示す側面図である。
【図4】更に他の取り付け構造を示すもので、図(イ)は側面図、図(ロ)は正面図である。
【図5】図(イ)及び図(ロ)はそれぞれ他の実施形態を示す正面図である。
【図6】更に他の実施形態を示すもので、図(イ)は平面図、図(ロ)は側面図である。
【符号の説明】
1…波形の勾配屋根
2…緑化ユニット
3…折版
4…ベース板
5…培地材
6…植物
14…突出する部分
15…灌水パイプ
Claims (4)
- 勾配屋根が、傾斜方向と直交する横方向に山部と谷部を交互に繰り返す折版屋根からなり、
植物が植えられ、低背な方形板状をし、屋根の傾斜方向と直交する横方向における寸法が、折版の隣り合う山部間の間隔寸法の2倍以上の寸法のものからなる、複数の緑化ユニットが、前記折版勾配屋根上に、屋根の勾配に合わせて傾斜状態にされ、互いに隣接して屋根の傾斜方向及び/又は傾斜方向と直交する横方向に並べられ、前記屋根折版の山部の頂面部を下面部の設置面とするようにして取り付けられており、かつ、
前記各緑化ユニットには、その下面に、折版の谷部内に突出することで、緑化ユニットを屋根の傾斜方向と直交する横方向において位置決めする位置決め用の突出部分が備えられていることを特徴とする勾配屋根の緑化システム。 - 前記緑化ユニットが、低背な周側壁をもった平面視方形状のベース板と、該ベース板内にしっくりと嵌まる平面視マット状の培地材と、培地材に植えられた植物とにより構成されている請求項1に記載の勾配屋根の緑化システム。
- 前記植物が、芝等のグランドカバー類からなる請求項1又は2に記載の勾配屋根の緑化システム。
- 各緑化ユニットに対し、灌水用の給水口が、傾斜方向上端側に位置して備えられている請求項1乃至3のいずれか一に記載の勾配屋根の緑化システム。
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