JP3015897B2 - 植栽装置の構築方法 - Google Patents

植栽装置の構築方法

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    • Y02BCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO BUILDINGS, e.g. HOUSING, HOUSE APPLIANCES OR RELATED END-USER APPLICATIONS
    • Y02B80/00Architectural or constructional elements improving the thermal performance of buildings
    • Y02B80/32Roof garden systems

Landscapes

  • Cultivation Of Plants (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、建造物の屋上や屋根
等で植物を栽培するために設けられる植栽装置の構築方
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、建造物の屋上やその他の空間に大
規模に植物を植栽し、都市部における無機的な空間の緑
化を図る試みが盛んになされるようになっている。この
ような時、多くの場合は、建造物等のスラブ面の防水層
上に押えのコンクリート層を形成し、この上に、植栽層
として、砂、砂利等からなる砂利層と、客土層を順次積
層して植物を植栽するようにしている。
【0003】しかしながら、植物にとって十分な保水
性、排水性を得るためには、防水層にかなりの土砂を導
入する必要があり、しかもコンクリート層はかなりの重
量を有するため、これらの重量が建造物に悪影響を及ぼ
すという問題がある。そこで、本出願人は、先に、図9
に示すような保水性、排水性に優れた軽量の植栽装置を
提案している。
【0004】この植栽装置は、建造物の屋上等に形成さ
れているスラブ面Sに防水層aを固定すると共に、この
防水層aの上面に、不織布等を有する保水材c1と、凹
部c21及び凸部c22を有するドレイン板c2等とか
らなる保水給排水手段cを設け、さらにこの保水給排水
手段cの上方に砂利層d1及び客土層d2からなる植栽
層dを積層したものとなっており、前記保水給排水手段
等cによって適正な保水性、排水性を得られるものとな
っている。このため、排水を考慮して設けられていたコ
ンクリート層が不要となると共に、保水性の向上によっ
て植栽層も草木の根毛の長さなどを考慮した必要最小限
の厚さに設定することが可能となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従って、図9に示す植
栽装置においては、装置全体が軽量化され、建造物に対
する悪影響を回避し得るという優れた機能を有している
が、その反面、軽量であるが故に強力な風が吹く場所や
地域等においては、配置位置がずれたり、吹き飛ばされ
たりする可能性があり、使用環境によっては設置状態の
安定性にやや不安を伴うという問題があった。
【0006】また、現在では、屋上等の水平な面だけで
なく、屋根等のような傾斜した面にも植栽を施したいと
するユーザーの要請もあり、このような要請に応じて上
記装置を適用した場合には、設置状態はさらに不安定に
なる。
【0007】この発明は上記従来技術の問題点に着目し
てなされたもので、軽量で、優れた保水性、排水性を有
すると共に、傾斜した面等にも安定な設置状態を得るこ
とができる植栽装置の提供を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】この発明は、建造物等に
おける所要の植栽面上に防水層を固定すると共に、この
防水層の上方に保水給排水手段、砂利層及び客土層等を
順次積層してなる植栽装置において、前記各層の中の少
なくとも砂利層より上方に植物の根毛が通過可能な寸法
の網目を有する網材を敷設すると共に、前記網材と防水
層とを連結する連結部材を設けたものである。また、防
水層、保水給排水手段、網材、に連結部材を挿通し、こ
れら各部材によってユニット部を形成しておき、連結部
材に挿通された網材を保水給排水手段から所定距離上昇
させ、網材と保水給排水手段との間の連結部材を埋設す
るうようにして砂利層を形成するようにして、植栽装置
の設置作業能率を向上させようとするものである。
【0009】
【作用】この発明においては、砂利層より上方に敷設し
た網材が連結部材を介して防水層に固定されているた
め、ずれや脱落等が発生し易い砂利層もこの網材によっ
て確実に定位置に保持される。従って、屋根等のような
傾斜した面にも安定して設置することができ、安定性、
安全性は大幅に向上する。また、上記のように連結部材
を防水層、保水給排水手段、網材に挿通させることでユ
ニット部を構成しておき、連結部材が挿通された網材を
保水給排水手段から所定距離上昇させ、網材と保水給排
水手段との間の連結部材を埋設するようにして砂利層を
形成するようにすれば、砂利層の形成時に連結部材が砂
利層の中に完全に埋もれてその位置がわからなくなるこ
ともなく、作業を能率的に行うことができる。
【0010】
【発明の実施例】以下、この発明の実施例を図1ないし
図6に基づき説明する。図において、Aは建造物の屋上
のコンクリートスラブS面に貼着される防水層であり、
この防水層Aの上面には、植物の毛根等の防水層への進
出を防止するための樹脂製のルートガードBが張設され
ている。
【0011】C1は前記ルートガードBの上面に積層さ
れる樹脂マット、C2はこの樹脂マットC1上に重合す
る繊維マットであり、この繊維マットC2は後述のよう
に過剰水分に含浸されて水分を貯留保持するようになっ
ている。C3は樹脂製のドレイン板で、全面にわたり円
錐台形状の凸部C31とほぼ円錐形状の凹部C32が交
互に連続して多数形成され、凸部C31の平面頂部は透
水孔C31aを有している。
【0012】C4は後述の植栽層Dとドレイン板C3と
の間に介装される不織布等のフィルタ層で、植栽層Dの
土砂等がドレイン板方向に流出するのを防止するように
なっており、以上C1〜C4によって保水給排水手段C
が構成されている。D1は前記フィルタ層C4上に設け
られる砂利層、D2はこの砂利層D1の上方に積層され
る客土層であり、これら砂利層D1と客土層D2とによ
って各種植物等が植立される植栽層Dが構成される。
【0013】Eは砂利層D1と客土層D2との間に介装
した網材であり、この網材Eは植栽層Dに植えられた草
木の根毛が十分に通過し得る寸法の網目を有している。
Fは前記網材Eと防水層Aとを複数の箇所で上下に連結
する連結部材としてのステンレス製の針金である。この
針金Fは下端部が前記防水層Aに係止されると共に、上
端部がルートガードB,保水給排水手段Cを貫通して網
材Eに係止されている。この実施例では、前記連結部材
としてステンレス製の針金を用いており、ヘアピン上に
屈曲させた中間部分を防水手段Aに挿通・係止させると
共に、保水給排水手段Cを貫通させた両端部を前記網材
Eに係止させたものとなっている。なお、針金Fはドレ
イン板C3に形成した透水孔C31aに挿通されてい
る。
【0014】次に、上記構成に基づいて、この実施例の
作用を説明する。植栽層Dに対する降水、あるいは撤水
により、水の一部は、植栽層Dに含浸保持され、他はフ
ィルタ層C4を通過してドレイン板C3に落下して凹部
C32に貯留される(図3参照)。
【0015】ドレイン板C3に至る水Lの量が多く、凹
部C32において収容しきれない場合、水Lは凸部C3
1の頂部に設けた透水孔C31aを通り、繊維マットC
2において吸収され保持される。なお、供給される水の
量が、上記の吸収量を越える時は、水Lは凹部C32に
よって形成される通路を通って適宜排水されるようにな
っている。
【0016】そして、植栽層Dにおける水Lの保持量が
減少して乾燥するような場合には、保水層の繊維マット
C2に保持された水が水蒸気Lgとしてドレイン板C3
の凸部C31の透水孔C31aを通り植栽層Dに到達し
て適宜水分を補給することになる(図4参照)。なお、
各凸部C31の内側部分は、相互に連通しているため、
常時は、通気路となり植物の根に新鮮な空気が供給され
ることになり(図5矢符参照)各種の病害虫を防止する
ことができる。
【0017】このように、この実施例においては、適正
な保水性、排水性が得られるため、植栽層の厚さを植物
の毛根の長さを考慮した必要最小限の厚さに抑えること
ができ、建物に対する加重負担を大幅に軽減することが
できるが、さらに軽量でありながらもその設置状態は極
めて安定したものとなる。
【0018】すなわち、防水層Aの中で位置ずれの発生
し易い砂利層D1が、防水層Aに連結された網材Eによ
って押えられるため、図6に示すように、装置を傾斜し
た壁面S等に取り付けた場合、あるいは強風にされされ
た場合などにも植栽層Dが当初の設置位置からずれ落ち
たり、吹き飛ばされたりすることはなく、壁面に対し堅
固に設置される。また、客土層D2は網材Eによって押
えられていないが、客土層D2には粘性があるためずれ
が生じにくく、しかも植栽された植物の毛根が網材Eや
砂利層D1に絡んで一体化するため、客土層D2もその
他の層と共に定位置に保持される。
【0019】なお、図6において防水層は水平面hに対
して傾斜したコンクリートスラブ面Sに接着されると共
に、ボルトBLによって複数箇所を固定される。また、
FTはボルトBLによる固定位置に貼着されるフラッシ
ングテープ、W1はコンクリートスラブ面Sの周縁部に
突設した保持部材であり、この保持部材Wは本実施例に
おける装置の側端部を覆うようになっている。
【0020】ところで、上記実施例においては、防水層
A,ルートガードB,樹脂マットC1,繊維マットC
2,ドレイン板C3,フィルタ層C4,及び網材E等に
予め針金Fを挿通してユニット部Yを構成しており、こ
れによって設置工事における作業の能率化を図ってい
る。
【0021】すなわち、上記のようにユニット部Yを構
成した場合には、防水層Aを固定した後、図2の一点鎖
線に示すように上方に保持しながらフィルタ層C4の上
に砂利peを送り込んで適当な厚さになるまで砂利層D
1を形成し、次いで連結部材によって保水給排水手段、
砂利層、網材を連結し、その後、網材Eの上に土砂eを
送り込んで客土層D2を形成すれば良く、このようにし
て砂利層D1を形成することにより、針金Fが砂利層D
1の中に完全に埋もれてしまうこともなくなり、手際よ
く網材Eとの係合作業を行うことができるため、能率的
に作業を進めることができる。
【0022】なお、上記実施例においては、網材Eを砂
利層D1と客土層D2との間に介装した場合を示した
が、網材Eは砂利層D1の上であれば良く、客土層D2
の中に敷設することも可能であり、さらにまた、網目の
大きさによっては、客土層D2の上面に敷設することも
可能である。この外、植栽層Dの中の上下異なる位置に
複数枚の網材を介装し、これらを針金F等の連結部材に
よって連結しても良い。
【0023】一方、網材と防水層とを連結する連結部材
としては、上記のような針金F以外のものを適用するこ
とも可能である。例えば、防水層と網材とを樹脂性の線
材、あるいは帯状部材等によって連結しても良く、さら
には、棒状部材を用いることも可能である。但し、棒状
部材を用いる場合には、これが歩行の妨げとならないよ
うに柔軟性を有するものを用いることが望ましい。
【0024】また、連結部材としては、図7及び図8に
示すようなものを用いることも可能である。ここに示す
連結部材は、図8に示す係止板Gと、この係止板Gと網
材Eとを結ぶ長尺体としての針金Fとからなり、係止板
Gは、防水層Aの上面に固定される底面部G1に垂直に
立ち上がる立上り部G2を形成したものとなっている。
また、ここでは前記立上り部G2の上端部に水平に屈曲
する屈曲部G2aが形成され、さらにこの屈曲部G2a
に、針金Fを挿通させるための挿通孔G2a1が形成さ
れている。
【0025】そして、この連結部材を使用する場合に
は、まず、立上り部G2が各ドレイン板C3,C3……
の間から突出するように配置し、その底面部G1を防水
層Aに固定した後、屈曲部G2aの挿通孔G2a1に針
金Fを挿通し、その針金Fの上端部を網材Eに係止させ
れば良く、これによって網材Eは防水層Aに連結され
る。このように、この連結部材を用いた場合には、ドレ
イン板C3より上方に位置する立上り部G2に対して針
金Fを挿通・係止させれば良いため、最下位にある防水
層Aに、直接、針金を挿通・係止させる場合に比べて設
置作業が容易になると共に、防水層Aに穴をあける必要
がないため、防水性が損なわれる虞もない。
【0026】また、上記実施例においては、保水給排水
手段をC1〜C4の部材によって構成したが、樹脂マッ
トC1及びフィルタ層C4を削除することも可能であ
り、また、繊維マットC2のみあるいは、ドレイン板C
3のみを設けることも可能であり、本発明に適用する保
水給排水手段は特に上記実施例に示したものに限定され
ない。また、ルートガードB等も必要に応じて削除可能
である。
【0027】
【発明の効果】以上説明したとおり、この発明に係る植
栽装置は、植栽層を構成する客土層、砂利層の中の少な
くとも砂利層以上に網材を敷設し、その網材を連結部材
によって屋上や屋根等の建造物の上に固定された防水層
に連結するようにしたため、強風が吹く場所、地域等に
おいても植栽層が吹き飛ばされる虞はなく、また屋根等
の傾斜した面に設置した場合に植栽層の位置ずれ、脱落
等が発生したりすることもなくなり、堅固な設置状態を
得ることができる。さらに、防水層に固定した連結部材
を保水給排水手段及び網材に挿通させておくことによっ
てユニット部を構成すれば、設置工事等において、植栽
層を形成するに際し、連結部材が植栽層の中に埋没して
しまうこともなく、効率良く設置工事を行うことがで
き、工事費の削減が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例を示す縦断面図である。
【図2】防水層と連結部材と保水給排水手段と網材とに
よって形成されたユニット部と、このユニット部に砂利
層、客土層を形成する手順を示す側面図である。
【図3】ドレイン板により水が保持された状態を示す斜
視図である。
【図4】ドレイン板から植栽層へ水蒸気が排出された状
態を示す図斜視図である。
【図5】ドレイン板の下方で空気が流通する状態を示す
斜視図である。
【図6】植栽装置を建造物の傾斜した壁面に取り付けた
状態を示す一部切欠縦断側面図である。
【図7】係止板と長尺体とからなる連結部材によって網
材と防水層が連結された植栽装置を示す縦断側面面図で
ある。
【図8】図7に示した連結部材を示す斜視図である。
【図9】従来の植栽装置を示す概略縦断側面図である。
【符号の説明】
A 防水層 C 保水給排水手段 D 植栽層 D1 砂利層 D2 客土層 E 網材 F 針金(連結部材) Y ユニット部

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 建造物等における所定の植栽面上に防水
    層を固定すると共に、この防水層の上方に保水給排水手
    段、砂利層、客土層、及び前記砂利層より上方に設けら
    れる網材等を順次積層し、防水層と網材とを連結する連
    結部材によって建造物等に固定される植栽装置の構築方
    法であって、 防水層、保水給排水手段、網材、に連結部材を挿通し、
    これら各部材によってユニット部を構成する工程、 このユニット部を建造物等の植栽面上に固定する工程、 連結部材が挿通された網材を保水給排水手段から所定距
    離上昇させ、網材と保水給排水手段との間の連結部材を
    埋設するようにして砂利層を形成する工程、 次いで、防水層から保水給排水手段、砂利層を経て挿通
    された連結部材の先端部を網材に係止固定し保水給排水
    手段、砂利層、防水層の締結する工程、 網材の上方に客土層を形成し、客土層を網材および砂利
    層に保持させる工程、 以上の工程からなる植栽装置の構築方法。
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