JP4243822B2 - イソシアヌレート化合物とその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本願発明は、反応性分子や反応性高分子の架橋剤、あるいは添加剤として有用な化合物に関するものであり、例えばプラスチックレンズ、光ファイバー、機能性フィルムなどの高屈折率光学用材料、さらにはゴム用の加硫剤、インキ、建築用シーリング剤、封止剤、接着剤の原料として好適に用いることのできる、1,3−オキサチオラン−2−チオン環を分子中に3つ有するイソシアヌレート化合物及びその製造方法と、このイソシアヌレート化合物から得られるトリチオールイソシアヌレート化合物及びその製造方法とに関する。
【0002】
【従来の技術】
有機高分子材料は、軽量で、加工が容易であることから、近年はプラスチックレンズ、光ファイバー、機能性フィルムなどの光学材料として幅広く利用されているが、重要な光学特性の一つである屈折率が無機高分子材料に比べて低いだけでなくアッベ数で表される色収差が大きいため、利用範囲に制限を受けるという欠点を有している。
【0003】
一方、無機高分子材料は、耐熱性、力学物性、耐薬品性などの性能及び屈折率の高さでは有機高分子材料より優れているが、重量が重く、容易に成形できないという欠点を有している。
【0004】
従来の有機高屈折率材料の設計としては、高屈折率化を達成する為に芳香環、ハロゲン、硫黄の導入が広く検討されている。しかしながら骨格に芳香環を導入した場合には芳香環の配向性の高さが原因で複屈折が生じ易くなり、透明性が損なわれることが知られている。また、芳香環の吸収波長は比較的可視光部の近くに有るために、アッベ数が小さくなる。すなわち、色収差が大きくなることが問題であった。これは、異常分散と呼ばれる吸収波長付近での屈折率の極大化が原因で有り、一般的にも良く知られている。そのため芳香環を含有しない分子設計が必要であるが、これまでに高屈折率で、芳香環を持たない有機材料はあまり多くない。
【0005】
また、一般的に無機高分子材料の屈折率は1.46〜1.92、アッベ数25〜80と広い範囲の特性を有するが、有機材料は高屈折率材料は1.65前後であり、アッベ数も40を越える大きいものはほとんど知られていない。有機高屈折率材料はアッベ数と屈折率の組み合わせにより所望の特性を引き出すよう設計されているが、現在は幅広い光学特性の材料が手に入りにくいことが問題となっている。このような背景から、有機高屈折率材料においても屈折率及びアッベ数について多種の光学特性の品揃えが切望されており、その為に新規な有機高屈折率材料あるいはその原料が市場から求められている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本願発明は、上記市場の要求を満たすため、透明性を損なわずに、かつ高いアッベ数を有する有機高屈折率材料の原料、硬化剤、あるいは高分子改質剤として有用な化合物を提供するものである。詳しくは、第一発明である、1,3−オキサチオラン−2−チオン環を分子中に3つ有する新規なイソシアヌレート化合物とその製造方法、及び第二発明である、このイソシアヌレート化合物から得られるトリチオールイソシアヌレート化合物とその製造方法の提供である。
【0007】
【課題を解決するための手段】
第一発明として、第1実施態様は、式(1)
【0008】
【化12】
Figure 0004243822
【0009】
(式中、Rは水素原子又はメチル基を示す。)
で表されるイソシアヌレート化合物である。
【0010】
第2実施態様は、式(1)のRが水素原子である第1実施態様に記載のトリス(1,3−オキサチオラン−2−チオン−5−イルメチル)イソシアヌレートである。
【0011】
第3実施態様は、式(1)のRがメチル基である第1実施態様に記載のトリス(5−メチル−1,3−オキサチオラン−2−チオン−5−イルメチル)イソシアヌレートである。
【0012】
第4実施態様は、式(2)
【0013】
【化13】
Figure 0004243822
【0014】
(式中、Rは水素原子又はメチル基を示す。)
で表されるトリグリシジルイソシアヌレート化合物と二硫化炭素とを反応させることを特徴とする式(1)
【0015】
【化14】
Figure 0004243822
【0016】
(式中、Rは水素原子又はメチル基を示す。)
で表されるイソシアヌレート化合物の製造方法である。
【0017】
第5実施態様は、トリグリシジルイソシアヌレート化合物と二硫化炭素とを反応させる際にアルカリ金属ハロゲン化物、アルカリ土類金属ハロゲン化物、有機塩基、アルカリ金属水酸化物及びオニウム塩からなる群から選ばれる少なくとも一つの化合物を触媒として用いることを特徴とする第4実施態様に記載のイソシアヌレート化合物の製造方法である。
【0018】
第6実施態様は、トリグリシジルイソシアヌレート化合物と二硫化炭素とを反応させる際に、触媒としてアルカリ金属ハロゲン化物、アルカリ土類金属ハロゲン化物、有機塩基、アルカリ金属水酸化物及びオニウム塩からなる群から選ばれる少なくとも一つの化合物と、二硫化炭素とをあらかじめ混合し、ついでトリグリシジルイソシアヌレート化合物を添加することを特徴とする第4実施態様及び第5実施態様に記載のイソシアヌレート化合物の製造方法である。
【0019】
次に第2発明として、第7実施態様は、式(1)
【0020】
【化15】
Figure 0004243822
【0021】
(式中、Rは水素原子又はメチル基を示す。)
で表されるイソシアヌレート化合物とアミノ基、イミノ基、水酸基及びチオール基からなる群から選ばれる少なくとも1つの官能基を有する化合物とを反応させて得られるトリチオールイソシアヌレート化合物である。
【0022】
第8実施態様は、イソシアヌレート化合物とアミノ基を少なくとも1つを有する化合物とを反応させて得られる第7実施態様に記載のトリチオールイソシアヌレート化合物である。
【0023】
第9実施態様は、イソシアヌレート化合物と炭素数1〜6のアルキル基(該アルキル基は、炭素数1〜4のアルコキシ基及び炭素数の2〜8のジアルキルアミノ基からなる群から選ばれた異種又は同種の1個以上の置換基により任意に置換されていても良い。)を有する第一級アミンとを反応させて得られる第7実施態様又は第8実施態様に記載のトリチオールイソシアヌレート化合物である。
【0024】
第10実施態様は、イソシアヌレート化合物とベンジルアミンとを反応させて得られる第7実施態様又は第8実施態様に記載のトリチオールイソシアヌレート化合物である。
【0025】
第11実施態様は、イソシアヌレート化合物と炭素数1〜6のアルキル基を有する第ニ級ベンジルアミンとを反応させて得られる第7実施態様又は第8実施態様に記載のトリチオールイソシアヌレート化合物である。
【0026】
第12実施態様は、イソシアヌレート化合物と炭素数1〜6のアルケ二ル基を有する第一級アミンとを反応させて得られる第7実施態様又は第8実施態様に記載のトリチオールイソシアヌレート化合物である。
【0027】
第13実施態様は、式(1)
【0028】
【化16】
Figure 0004243822
【0029】
(式中、Rは水素原子又はメチル基を示す。)
で表されるイソシアヌレート化合物とアミノ基、イミノ基、水酸基及びチオール基からなる群から選ばれる少なくとも1つの官能基を有する化合物とを反応させることを特徴とするトリチオールイソシアヌレート化合物の製造方法である。
【0030】
第14実施態様は、イソシアヌレート化合物とアミノ基を少なくとも1つを有する化合物とを反応させる第13実施態様に記載のトリチオールイソシアヌレート化合物の製造方法である。
【0031】
第15実施態様は、イソシアヌレート化合物と炭素数1〜6のアルキル基(該アルキル基は、炭素数1〜4のアルコキシ基及び炭素数の2〜8のジアルキルアミノ基からなる群から選ばれた異種又は同種の1個以上の置換基により任意に置換されていても良い。)を有する第一級アミンとを反応させる第13実施態様又は第14実施態様に記載のトリチオールイソシアヌレート化合物の製造方法である。
【0032】
第16実施態様は、イソシアヌレート化合物とベンジルアミンとを反応させる第13実施態様又は第14実施態様に記載のトリチオールイソシアヌレート化合物の製造方法である。
【0033】
第17実施態様は、イソシアヌレート化合物と炭素数1〜6のアルキル基を有する第二級ベンジルアミンとを反応させる第13実施態様又は第14実施態様に記載のトリチオールイソシアヌレート化合物の製造方法である。
【0034】
第18実施態様は、イソシアヌレート化合物と炭素数1〜6のアルケ二ル基を有する第一級アミンとを反応させる第13実施態様又は第14実施態様に記載のトリチオールイソシアヌレート化合物の製造方法である。
【0035】
【発明を実施するための最良の形態】
第一発明である、1,3−オキサチオラン−2−チオン環を分子中に3つ有するイソシアヌレート化合物は、式(1)
【0036】
【化17】
Figure 0004243822
【0037】
(式中、Rは水素原子又はメチル基を示す。)
で表される。式(1)中において、Rが水素原子の場合は、トリス(1,3−オキサチオラン−2−チオン−5−イルメチル)イソシアヌレートを表し、Rがメチル基の場合はトリス(5−メチル−1,3−オキサチオラン−2−チオン−5−イルメチル)イソシアヌレートを表す。
【0038】
第一発明の製造方法について、以下に具体的に説明する。
【0039】
トリグリシジルイソシアヌレート化合物1モルに対し二硫化炭素3モル以上、好ましくは3〜10モル、さらに好ましくは3〜5モルを使用して製造することができる。ここで使用されるトリグリシジルイソシアヌレート化合物は、式(2)
【0040】
【化18】
Figure 0004243822
【0041】
(式中、Rは水素原子又はメチル基を示す。)
で表される。式(2)中において、Rが水素原子の場合は、トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレートを示し、Rがメチル基の場合はトリス(2−メチル−2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレートを示す。
【0042】
原料としてトリグリシジルイソシアヌレート、すなわちトリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレートを使用した場合には、得られるイソシアヌレート化合物は、トリス(1,3−オキサチオラン−2−チオン−5−イルメチル)イソシアヌレート[1,3,5−トリス(1,3−オキサチオラン−2−チオン−5−イルメチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオン]である。
【0043】
原料として式(2)中においてRがメチル基である、トリス(2−メチル−2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレートを使用した場合には、得られるイソシアヌレート化合物は、トリス(5−メチル−1,3−オキサチオラン−2−チオン−5−イルメチル)イソシアヌレート[1,3,5−トリス(5−メチル−1,3−オキサチオラン−2−チオン−5−イルメチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオン]である。
【0044】
原料として使用されるトリグリシジルイソシアヌレート化合物はどの様な方法によって製造されたものでも構わないが、トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレートは、日産化学工業(株)製のTEPIC(商品名)として市販品で容易に入手することができる。さらに、日産化学工業(株)製の高純度品として市販されているTEPIC−S(商品名)を使用することで副反応が抑えられ、トリス(1,3−オキサチオラン−2−チオン−5−イルメチル)イソシアヌレートの純度の高いものが高収率で得られるので好ましい。
【0045】
また、高融点型として市販されているTEPIC−H(商品名)を使用することにより、熱分解温度の高いトリス(1,3−オキサチオラン−2−チオン−5−イルメチル)イソシアヌレートが得られるので好ましい。この原料に用いるTEPIC−Hは、トリグリシジルイソシアヌレートの光学活性体である、(2R,2’R,2’’R)−トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレートと(2S,2’S,2’’S)−トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレートが一対をなす一般にβ型といわれる結晶性の高い高融点の結晶を与える化合物であり、例えば欧州特許公開第0952155号明細書(対応特許公報:特開2000−007672号公報)に記載のように製造することができる。このβ型トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレートから誘導されるトリス(1,3−オキサチオラン−2−チオン−5−イルメチル)イソシアヌレートは、他の異性体と比較して各種有機溶媒に対する溶解度が低く、一液型の組成物にした場合には、保存中に反応が進行する速度が遅いために優れた保存安定性を与える。このようにして原料にトリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレートの高融点型の結晶である、(2R,2’R,2’’R)−トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレートと(2S,2’S,2’’S)−トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレートを原料に用いることによって、高融点かつ低溶解度の(1R,1’R,1’’R)−トリス(1,3−オキサチオラン−2−チオン−5−イルメチル)イソシアヌレートと(1S,1’S,1’’S)−トリス(1,3−オキサチオラン−2−チオン−5−イルメチル)イソシアヌレートの1:1混合物が得られる。
【0046】
さらに、原料として欧州特許公開第1061080号明細書(対応特許公報:特開平11−315078号公報)に記載の光学活性なトリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレートを用いることで、その対応する光学活性体のトリス(1,3−オキサチオラン−2−チオン−5−イルメチル)イソシアヌレートを製造することができる。例えば(2R,2’R,2’’R)−トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレートを原料として用いた場合は、(1R,1’R,1’’R)−トリス(1,3−オキサチオラン−2−チオン−5−イルメチル)イソシアヌレートが得られる。
【0047】
原料としてトリス(2−メチル−2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレートを用いた場合に得られるトリス(5−メチル−1,3−オキサチオラン−2−チオン−5−イルメチル)イソシアヌレートの場合も上記のような同様な光学活性体が存在する。例えば、(2R,2’R,2’’R)−トリス(2−メチル−2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレートを原料として用いた場合は、(1R,1’R,1’’R)−トリス(5−メチル−1,3−オキサチオラン−2−チオン−5−イルメチル)イソシアヌレートが得られる。
【0048】
二硫化炭素としては、二硫化炭素の等価化合物として1,3−オキサチオラン−2−チオンあるいはその化合物などを用いることもできる。この場合は、平衡反応により系内で二硫化炭素が発生し、この二硫化炭素とイソシアヌレート化合物とが反応して目的物が得られるものと考えられる。
【0049】
第一発明では、トリグリシジルイソシアヌレート化合物と二硫化炭素とを反応させる際にアルカリ金属ハロゲン化物、アルカリ土類金属ハロゲン化物、有機塩基、アルカリ金属水酸化物及びオニウム塩から選ばれる少なくとも一つの化合物を触媒として用いることによって効率的に、1,3−オキサチオラン−2−チオン環を分子中に3つ有するイソシアヌレート化合物を製造することができる。
【0050】
以下、第一発明のイソシアヌレート化合物の製造に使用される触媒を具体的に例示する。
【0051】
アルカリ金属ハロゲン化物としては、塩化リチウム、臭化リチウムなどのハロゲン化リチウム、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウムなどのハロゲン化ナトリウム、塩化カリウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウムなどのハロゲン化カリウム等が挙げられる。アルカリ土類金属ハロゲン化物としては、塩化マグネシウム、臭化マグネシウムなどのハロゲン化マグネシウム、塩化カルシウム、臭化カルシウムなどのハロゲン化カルシウム等が挙げられる。有機塩基としては、反応には関与せず一般的に塩基性を示す有機化合物ならどの様な化合物を用いても差し支えない。例えばトリエチルアミン、ジエチルイソプロピルアミン、ジメチルベンジルアミンなどに代表されるアルキルアミン類や、ヘキサメチレンテトラミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、ピペリジン、ピペラジン、N−メチルピペリジン、N,N’−ジメチルピペラジン、ピリジン、イミダゾールなどの環状アミン類等、さらにナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、カリウム t−ブトキシドなどに代表されるアルカリ金属アルコキシドが挙げられる。
【0052】
アルカリ金属水酸化物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどが挙げられる。
【0053】
オニウム塩としては、例えばアンモニウム塩、ホスホニウム塩、アルソニウム塩、スチボニウム塩、オキソニウム塩、スルホニウム塩、セレノニウム塩、スタンノニウム塩、ヨードニウム塩が例示される。また第一発明で使用されるオニウム塩は、例えばアンモニウム塩、ホスホニウム塩、アルソニウム塩、スチボニウム塩、オキソニウム塩、スルホニウム塩、セレノニウム塩、スタンノニウム塩、ヨードニウム塩が例示される。代表的な化合物を挙げると第4級アンモニウム塩としては、例えばハロゲン化トリメチルベンジルアンモニウム、ハロゲン化トリエチルベンジルアンモニウム、ハロゲン化トリオクチルメチルアンモニウム、ハロゲン化トリブチルベンジルアンモニウム、ハロゲン化トリメチルベンジルアンモニウムなどが挙げられる。また、第4級ホスホニウム塩として、例えばハロゲン化テトラn−ブチルホスホニウム、ハロゲン化テトラn−プロピルホスホニウムなどのハロゲン化テトラアルキルホスホニウム、ハロゲン化トリエチルベンジルホスホニウムなどのハロゲン化トリアルキルベンジルホスホニウム、ハロゲン化トリフェニルメチルホスホニウム、ハロゲン化トリフェニルエチルホスホニウムなどのハロゲン化トリフェニルモノアルキルホスホニウム、ハロゲン化トリフェニルベンジルホスホニウム、ハロゲン化テトラフェニルホスホニウム、ハロゲン化トリトリルモノアリールホスホニウム、あるいはハロゲン化トリトリルモノアルキルホスホニウムが挙げられる。オニウム塩としては、第4級アンモニウム塩、第4級ホスホニウム塩が特に好ましい。第4級アンモニウム塩は、しめった酸化銀の作用又は水酸化ナトリウムを作用させるか、あるいは陰イオン交換樹脂で処理することによって対イオンのハロゲンイオンがヒドロキシルイオン(OH)に置換され強塩基性を示し第4級アンモニウム塩基となることが知られているが、これらも好ましい有機塩基として使用することができる。
【0054】
触媒は、2種以上を組み合わせて用いることもでき、使用量としてはトリグリシジルイソシアヌレート化合物1モルに対して触媒全体で0.001〜0.3モル、特に好ましくは0.01〜0.15モルで使用することができる。
【0055】
第一発明のイソシアヌレート化合物の製造で使用される溶媒としては反応に対して不活性であればよく、代表的な溶媒を例示すると、非プロトン性の極性溶媒で知られているN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどのアミド類、ジメチルスルホキシドなどの硫黄化合物、あるいはシクロヘキサノンなどが挙げられる。その他の溶媒としてはトルエン、クロロベンゼンなどの芳香族炭化水素類、ジオキサン、ジメトキシエタン、テトラヒドロフランなどのエーテル類、ジクロロエタン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、アセトニトリルなどのニトリル類、ニトロエタン、ニトロベンゼンなどのニトロ化合物、酢酸エチルなどのエステル類、あるいはこれらの混合物が用いられる。また、反応に関与しない条件下でメタノール、エタノール、イソプロパノール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノールなどのアルコール類の溶媒も用いることができる。
【0056】
第一発明のイソシアヌレート化合物の製造方法は、実施される反応温度として、溶媒を使用した際の反応温度は−(マイナス)78℃から溶媒の沸点の間で行うことができる。好ましくは、0℃から100℃の範囲で行われる。
【0057】
第一発明のイソシアヌレート化合物の製造方法として、トリグリシジルイソシアヌレート化合物と、二硫化炭素と、触媒と、必要に応じて溶媒とを同時に混合して製造するもできるが、トリグリシジルイソシアヌレート化合物と、触媒と、必要に応じて溶媒とをあらかじめ反応器中に入れた後に、二硫化炭素を滴下する方法によって製造することもできる。しかしながら、より好ましい製造方法としては、トリグリシジルイソシアヌレート化合物と二硫化炭素とを反応させる際に、触媒としてアルカリ金属ハロゲン化物、アルカリ土類金属ハロゲン化物、有機塩基、アルカリ金属水酸化物及びオニウム塩からなる群から選ばれる少なくとも一つの化合物と、二硫化炭素と、必要に応じて溶媒とをあらかじめ混合し、ついでトリグリシジルイソシアヌレート化合物を添加する方法が挙げられる。この方法によってイソシアヌレート化合物を製造することにより、反応中の副反応が起こりにくくなるために、得られるイソシアヌレート化合物の純度が高くなるのである。
【0058】
上記に示した製造法により得られたイソシヌレート化合物は、不純物である原料や触媒さらには副生物を取り除くために洗浄、再結晶あるいは再沈精製により高純度化が可能である。高純度化に使用される洗浄用の溶媒としては、得られたイソシアヌレート化合物に対しては溶解度が低く、不純物を溶解する溶媒が好ましく、例えば、水やメタノール、エタノールなどのアルコール類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類などが挙げられる。また、再沈精製する際は、一旦溶解可能な溶媒、例えばジメチルスルホキシド、シクロヘキサノン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミドなどの極性溶媒中に溶解した後でメタノールなどのアルコール中へ投入し、析出した結晶を濾別することによって不純物を取り除くことが出来る。この様にして高純度化されたイソシアヌレート化合物は、熱分解温度が向上し、反応によって着色していた場合はある程度脱色が可能である。
【0059】
第一発明により得られたイソシアヌレート化合物は、分子量に占める硫黄含有量が大きいので高い屈折率を有し、それ自身を他の材料系へ添加剤として使用することでも高屈折率な有機材料とすることができる。例えば、透明性の樹脂であるアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニルなどと混合して高屈折率な材料を与えることができる。
【0060】
第一発明のイソシアヌール酸化合物の好ましい使用方法としては、上記のように樹脂やその他単量体化合物と単に物理混合するだけでなく化学反応によって結合させることにより接着性や光学特性などに優れた材料とすることができる。これは、イソシアヌレート化合物中の官能基である1,3−オキサチオラン−2−チオン−5−イルメチル基又は5−メチル−1,3−オキサチオラン−2−チオン−5−イルメチル基などと反応性を示す活性水素含有の反応性化合物を用いることによって達成される。活性水素としての好ましい官能基としては、例えば、アミノ基、イミノ基、水酸基、チオール基が挙げられる。反応性化合物として樹脂を用いた場合は、アミノ基、イミノ基、水酸基及びチオール基からなる群から選ばれる少なくとも1つの官能基を有する樹脂を用いることによって、第一発明のイソシアヌレート化合物は架橋剤として作用し、接着性や光学特性などに優れた材料とすることができる。この場合に使用される樹脂を例示すると、例えば、上述の透明性の樹脂であるアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニルなどへアミノ基、イミノ基、水酸基、チオール基を導入することによって好適な樹脂とすることが出来る。
【0061】
第二発明のトリチオールイソシアヌレート化合物は、第一発明のイソシアヌレート化合物とこの化合物の官能基部位である1,3−オキサチオラン−2−チオン−5−イルメチル基又は5−メチル−1,3−オキサチオラン−2−チオン−5−イルメチル基と反応性を示す活性水素含有の反応性化合物とを反応させることによって得られる。
【0062】
上記反応は、反応させる際にトリス(1,3−オキサチオラン−2−チオン−5−イルメチル)イソシアヌレートの製造時に用いられるアルカリ金属ハロゲン化物、アルカリ土類金属ハロゲン化物、有機塩基、アルカリ金属水酸化物、オニウム塩などの触媒を用いても良い。また、アミノ基やイミノ基を有する化合物と反応させる際には、アミノ基、イミノ基を有する化合物を過剰量用いることによってそれ自身が触媒としても作用し、反応が促進される。これらの反応を行う際は溶媒は用いなくても良いが、有機溶媒中で分散あるいは溶解して反応を行うことが好ましい。
【0063】
アミノ基やイミノ基を有する化合物とトリス(1,3−オキサチオラン−2−チオン−5−イルメチル)イソシアヌレートとを反応させた場合、上記の触媒作用によって一部あるいは完全にトリス(1,3−オキサチオラン−2−チオン−5−イルメチル)イソシアヌレートと付加反応が起こり、チオカーバメート化合物としてトリチオールイソシアヌレート化合物が生成する。
【0064】
ここでは、アミノ基、イミノ基、水酸基及びチオール基からなる群から選ばれる少なくとも1つの官能基を有する反応性化合物とを反応させることによって得られるトリチオールイソシアヌレート化合物として、式(3)で表される化合物が挙げられる。
【0065】
【化19】
Figure 0004243822
【0066】
(式中、Rは水素原子又はメチル基を示す。XはNHR基、NR基、OR基又はSR基を示す。ここで前記置換基式中のR、R、R、R及びRは、それぞれ水素原子、炭素数1〜6のアルキル基(該アルキル基は、炭素数1〜4のアルコキシ基及び炭素数の2〜8のジアルキルアミノ基からなる群から選ばれた異種又は同種の1個以上の置換基により任意に置換されていても良い。)、炭素数1〜6のアルケニル基又はベンジル基を示す。)
次に反応生成物について具体的な化学構造を用いて説明する。
【0067】
トリス(1,3−オキサチオラン−2−チオン−5−イルメチル)イソシアヌレートとアミノ基を有する化合物とで得られるトリチオールイソシアヌレート化合物は、式(4)で表される。
【0068】
【化20】
Figure 0004243822
【0069】
トリス(1,3−オキサチオラン−2−チオン−5−イルメチル)イソシアヌレートとイミノ基を有する化合物との反応物は、式(5)で表される。
【0070】
【化21】
Figure 0004243822
【0071】
トリス(1,3−オキサチオラン−2−チオン−5−イルメチル)イソシアヌレートと水酸基を有する化合物との反応物は、式(6)で表される。
【0072】
【化22】
Figure 0004243822
【0073】
トリス(1,3−オキサチオラン−2−チオン−5−イルメチル)イソシアヌレートとチオール基を有する化合物との反応物は、式(7)で表される。
【0074】
【化23】
Figure 0004243822
【0075】
これら式(4)〜(7)中のR、R、R、R及びRは、それぞれ反応させるアミノ基、イミノ基、水酸基及びチオール基からなる群から選ばれる少なくとも1つの官能基を有する化合物に対応するものであり、R、R、R、R及びRがそれぞれメチル基の場合は、対応する原料はアミノ基の場合はメチルアミン、イミノ基の場合はジメチルアミン、水酸基の場合はメチルアルコール、チオール基の場合はメチルチオールである。
【0076】
第二発明の製造方法について、以下に具体的に説明する。
【0077】
原料として使用されるトリス(1,3−オキサチオラン−2−チオン−5−イルメチル)イソシアヌレート化合物はどの様な方法によって製造されたものでも構わないが、トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート(日産化学工業(株)製のTEPIC(商品名)として市販品で容易に入手することができる)から、本願発明記載のように容易に製造できる。さらに、日産化学工業(株)製の高純度品として市販されているTEPIC−S(商品名)から製造した、トリス(1,3−オキサチオラン−2−チオン−5−イルメチル)イソシアヌレートは純度が高いので好ましい。また、高融点型として市販されているTEPIC−H(商品名)から製造したトリス(1,3−オキサチオラン−2−チオン−5−イルメチル)イソシアヌレートも使用することができる。さらに、原料として特開平11−315078号公報に記載の光学活性なトリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレートから製造した、光学活性体なトリス(1,3−オキサチオラン−2−チオン−5−イルメチル)イソシアヌレートも原料として使用することができる。例えば(2R,2'R,2''R)−トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレートから製造したものは、3つの不斉炭素が全てRの立体配置を有しているトリス(1,3−オキサチオラン−2−チオン−5−イルメチル)イソシアヌレートであり、得られるトリチオールイソシアヌレ−トも3つの不斉炭素が全てRの立体配置を有しているものが得られる。
【0078】
第二発明で使用される活性水素含有の反応性化合物として、アミノ基、イミノ基、水酸基及びチオール基からなる群から選ばれる少なくとも1つの官能基を有する化合物を以下に例示する。
【0079】
アミノ基を有する化合物としては、第一級アミンが挙げられる。その例として、炭素数1〜6のアルキル基(該アルキル基は、炭素数1〜4のアルコキシ基及び炭素数の2〜8のジアルキルアミノ基からなる群から選ばれた異種又は同種の1個以上の置換基により任意に置換されていても良い。)を有する第一級アミンとして、メチルアミン、エチルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、アミノシクロヘキサン、メトキシエチルアミン、エトキシエチルアミン3−メトキシプロピルアミン、3−エトキシプロピルアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、3−(ジエチルアミノ)プロピルアミン、3−(ジブチルアミノ)プロピルアミンなどが挙げられる脂肪族モノアミン類、炭素数1〜6のアルケニル基を有する第一級アミンとして、アリルアミンなどが挙げられる不飽和アルキルアミン類、アニリン、ベンジルアミン、フェネチルアミンなどの芳香族モノアミン類、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどの脂肪族ジアミン類、フェニレンジアミン、キシリレンジアミンなどの芳香族ジアミン類などが例示される。
【0080】
イミノ基を有する化合物としては、第二級アミンが挙げられる。その例として、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン、ジヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミンなどの脂肪族モノアミン類、ジフェニルアミン、ジベンジルアミンなどの芳香族モノアミン類、炭素数1〜6のアルキル基を有する第二級ベンジルアミンとして、N−メチルベンジルアミン、N−エチルベンジルアミン、N−ブチルベンジルアミン、N−ペンチルベンジルアミン、N−ヘキシルベンジルアミンなどが挙げられる。その他三官能以上のアミンやヘテロ環などで置換されたアミンも使用することができ、例えばメラミン、グアナミン、イミダゾール類なども使用することができる。また、アミン類として、1,3−オキサチオラン−2−チオン環と反応性を示す活性水素含有の反応性化合物として、イソシアヌール酸も用いることができる。
【0081】
水酸基を有する化合物としては、メタノール、エタノール、ヘキサノール、2−エチル−ヘキサノールなどの脂肪族モノアルコール類、フェノール、ナフトールなどの芳香族モノアルコール類、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコールなどのグリコール類、さらには三官能以上の化合物として、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールなども使用することができる。
【0082】
チオール基を有する化合物としては、メタンチオール、エタンチオール、ヘキサンチオール、2−エチル−ヘキサンチオールなどの脂肪族モノチオール類、ベンゼンチオール、ナフタレンチオールなどの芳香族モノチオール類、エチレンジチオール、プロピレンジチオール、ネオペンチルジチオールなどのジチオール類なども使用することができる。
【0083】
さらに、アミノ基、イミノ基、水酸基、チオール基などを組み合わせて分子中に2つ以上有する化合物も使用することができ、例えばモノエタノールアミン、ジエタノールアミンなどのアミノアルコール類や、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ヘキサメチレンテトラミンなどのポリアミン類が挙げられる。第二発明は、上記に例示した化合物に限定されるものではなく、これらは反応に関与しない範囲でハロゲン、ニトロ基などで置換されていても良く、分子中にエステル、エーテル、スルフィド(−S−)などの結合基が有っても良い。
【0084】
また、第二発明で用いられるアミノ基、イミノ基、水酸基及びチオール基からなる群から選ばれる少なくとも1つの官能基を有する化合物としてこれら官能基を分子中に2つ以上有する化合物を用いると架橋反応によって溶媒に不溶のゲルが生成する。これらは、架橋ゲル中にチオール基を有した反応性の架橋ゲルとして得られ、この反応性架橋ゲルはさらにこのチオール基と反応する反応性化合物と反応することによって様々な機能を修飾をすることが可能である。
【0085】
第二発明ではイソシアヌレート化合物とアミノ基、イミノ基、水酸基、チオール基などとの反応では、必要に応じて、ルイス酸、オニウム塩、無機塩基、有機塩基、アルカリ金属水素化物、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属ハロゲン化物、アルカリ土類金属ハロゲン化物、有機酸などの触媒を用いて、トリチオールイソシアヌレ−ト化合物を製造することができる。
【0086】
第二発明のトリチオールイソシアヌレート化合物の製造に使用される触媒を以下に具体的に例示する。
【0087】
ルイス酸としては、例えば塩化アルミニウム、塩化スズ、四塩化チタン、三弗化ホウ素エーテレート、トリイソプロポキシアルミニウム、イッテルビウムトリフラートなどが挙げられる。アルカリ金属ハロゲン化物としては、塩化リチウム、臭化リチウムなどのハロゲン化リチウム、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウムなどのハロゲン化ナトリウム、塩化カリウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウムなどのハロゲン化カリウムなどが挙げられる。
【0088】
アルカリ土類金属ハロゲン化物としては、塩化マグネシウム、臭化マグネシウムなどのハロゲン化マグネシウム、塩化カルシウム、臭化カルシウムなどのハロゲン化カルシウムなどが挙げられる。有機塩基としては、反応には関与せず一般的に塩基性を示す有機化合物ならどの様な化合物を用いても差し支えない。例えばトリエチルアミン、ジエチルイソプロピルアミン、ジメチルベンジルアミンなどに代表されるアルキルアミン類や、ヘキサメチレンテトラミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、ピペリジン、ピペラジン、N−メチルピペリジン、N,N'−ジメチルピペラジン、ピリジン、イミダゾールなどの環状アミン類など、さらにナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、カリウム t−ブトキシドなどに代表されるアルカリ金属アルコキシドが挙げられる。
【0089】
アルカリ金属水酸化物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどが挙げられる。
【0090】
アルカリ金属水素化物としては、水素化ナトリウム、水素化カリウムなどが挙げられる。
【0091】
無機塩基としては、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸水素カリウムなどが挙げられる。
【0092】
オニウム塩としては、例えばアンモニウム塩、ホスホニウム塩、アルソニウム塩、スチボニウム塩、オキソニウム塩、スルホニウム塩、セレノニウム塩、スタンノニウム塩、ヨードニウム塩が例示される。また本願発明で使用されるオニウム塩は、例えばアンモニウム塩、ホスホニウム塩、アルソニウム塩、スチボニウム塩、オキソニウム塩、スルホニウム塩、セレノニウム塩、スタンノニウム塩、ヨードニウム塩が例示される。代表的な化合物を挙げると第4級アンモニウム塩としては、例えばハロゲン化トリメチルベンジルアンモニウム、ハロゲン化トリエチルベンジルアンモニウム、ハロゲン化トリオクチルメチルアンモニウム、ハロゲン化トリブチルベンジルアンモニウム、ハロゲン化トリメチルベンジルアンモニウムなどが挙げられる。また、第4級ホスホニウム塩として、例えばハロゲン化テトラn−ブチルホスホニウム、ハロゲン化テトラn−プロピルホスホニウムなどのハロゲン化テトラアルキルホスホニウム、ハロゲン化トリエチルベンジルホスホニウムなどのハロゲン化トリアルキルベンジルホスホニウム、ハロゲン化トリフェニルメチルホスホニウム、ハロゲン化トリフェニルエチルホスホニウムなどのハロゲン化トリフェニルモノアルキルホスホニウム、ハロゲン化トリフェニルベンジルホスホニウム、ハロゲン化テトラフェニルホスホニウム、ハロゲン化トリトリルモノアリールホスホニウム、あるいはハロゲン化トリトリルモノアルキルホスホニウムが挙げられる。オニウム塩としては、第4級アンモニウム塩、第4級ホスホニウム塩が特に好ましい。第4級アンモニウム塩は、しめった酸化銀の作用又は水酸化ナトリウムを作用させるか、あるいは陰イオン交換樹脂で処理することによって対イオンのハロゲンイオンがヒドロキシルイオン(OH−)に置換され強塩基性を示し第4級アンモニウム塩基となることが知られているが、これらも好ましい有機塩基として使用することができる。
【0093】
触媒は、2種以上を組み合わせて用いることもでき、使用量としては第一発明で得られたイソシアヌレート化合物1モルに対して触媒全体で0.001〜0.3モル、特に好ましくは0.01〜0.15モルで使用することができる。
【0094】
また、アミノ基やイミノ基を有する化合物と反応させる際には、アミノ基、イミノ基を有する化合物を過剰量用いることによって、反応が促進されるので好ましい。イソシアヌレ−ト化合物1モルに対してアミノ基やイミノ基を有する化合物は3モル以上、好ましくは3〜20モル、更に好ましくは3〜10モル使用することが好ましい。
【0095】
第二発明のトリチオールイソシアヌレート化合物の製造で使用される溶媒としては反応に対して不活性であればよく、代表的な溶媒を例示すると、非プロトン性の極性溶媒で知られているN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどのアミド類、ジメチルスルホキシドなどの硫黄化合物、あるいはシクロヘキサノンなどが挙げられる。その他の溶媒としてはトルエン、クロロベンゼンなどの芳香族炭化水素類、ジオキサン、ジメトキシエタン、テトラヒドロフランなどのエーテル類、ジクロロエタン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、アセトニトリルなどのニトリル類、ニトロエタン、ニトロベンゼンなどのニトロ化合物、酢酸エチル等のエステル類、あるいはこれらの混合物が用いられる。また、反応に関与しない条件下でメタノール、エタノール、イソプロパノール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノールなどのアルコール類の溶媒も用いることができる。
【0096】
第二発明のトリチオールイソシアヌレート化合物を製造する際に、特にアミノ基を分子中に有する化合物と組成物にする際には、上記の溶媒の中でもケトン類の溶媒、例えばシクロヘキサノン、アセトン、メチルエチルケトンなどを用いると着色する場合もあり、好ましくない場合もある。
【0097】
第二発明で実施される反応温度としては溶媒を使用した際の反応温度は−(マイナス)78℃から溶媒の沸点の間で行うことができる。好ましくは、0℃から100℃の範囲で行われる。
【0098】
また、生成するチオールのジスルフィドへの酸化反応も促進するので、窒素やアルゴン等の不活性ガス中で反応を行うことが好ましい。これらの反応を行う際は溶媒は用いなくても良いが、有機溶媒中で分散あるいは溶解して反応を行うことが好ましい。
【0099】
第二発明のトリチオールイソシアヌレート化合物である式(4)〜(7)で例示した反応生成物は、酸素雰囲気下あるいは空気中の酸素により容易に酸化重合し、ジスルフィド(−S−S−)結合を有する硬化物を与える。
【0100】
これらの反応を化学構造によって説明すると、トリス(1,3−オキサチオラン−2−チオン−5−イルメチル)イソシアヌレートに対してメチルアミンが付加反応することによって式(8)
【0101】
【化24】
Figure 0004243822
【0102】
の構造を有するトリチオールイソシアヌレート化合物が得られ、この生成物は、空気中で酸化を受けて式(9)
【0103】
【化25】
Figure 0004243822
【0104】
の単位で表されるジスルフィド構造によって結合した硬化物を与える。
【0105】
イソシアヌレート化合物は上記活性水素含有の反応性化合物と反応することによって、式(3)〜(8)で例示される通り、化合物中にチオール基が生成する。
【0106】
第二発明のトリチオールイソシアヌレート化合物の製造で使用される溶媒としては不活性であればよく、代表的な溶媒を例示すると、非プロトン性の極性溶媒で知られているN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどのアミド類、ジメチルスルホキシド等の硫黄化合物、あるいはシクロヘキサノンなどが挙げられる。その他の溶媒としてはトルエン、クロロベンゼンなどの芳香族炭化水素類、ジオキサン、ジメトキシエタン、テトラヒドロフランなどのエーテル類、ジクロロエタン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、アセトニトリル等のニトリル類、ニトロエタン、ニトロベンゼンなどのニトロ化合物、酢酸エチル等のエステル類、あるいはこれらの混合物が用いられる。また、反応に関与しない条件下でメタノール、エタノール、イソプロパノール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノールなどのアルコール類の溶媒も用いることができる。
【0107】
第二発明のトリチオールイソシアヌレート化合物を製造する際に、特にアミノ基を分子中に有する化合物と組成物にする際には、上記の溶媒の中でもケトン類の溶媒、例えばシクロヘキサノン、アセトン、メチルエチルケトンなどを用いると着色する場合もあり、好ましくない場合もある。
【0108】
第二発明で実施される反応温度としては溶媒を使用した際の反応温度は−(マイナス)78℃から溶媒の沸点の間で行うことができる。好ましくは、0℃から100℃の範囲で行われる。
【0109】
また、第二発明で得られるトリチオールイソシアヌレート化合物は、化合物中のチオール基と反応する官能基を分子中に2つ以上有する化合物と混合することにより架橋反応によって硬化物が得られる。この官能基を例示すると、例えばイソシアナート(−N=C=O)、チオイソシアナート(−N=C=S)、酸無水物、酸クロリド、ハロゲン化アルキル、エポキシ基が挙げられる。具体的には、ヘキサメチレンジイソシアネ−ト、トルイルジイソシアネ−ト、イソホロンジイソシアネ−ト、ジフェニルメタンジイソシアネ−トなどのジイソシアネ−ト類、テレフタル酸ジクロリドなどの酸クロリド類、キシリレンジクロリド、キシリレンジブロミド等のハロゲン化アルキル類、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、N,N−ジグリシジルアニリン等のグリシジル化合物が挙げられる。
【0110】
トリチオールイソシアヌレート化合物の架橋反応では、必要に応じて、オニウム塩、無機塩基、有機塩基等の触媒を用いることができる。
【0111】
その具体的を例示する。有機塩基としては、反応には関与せず一般的に塩基性を示す有機化合物ならどの様な化合物を用いても差し支えない。例えばトリエチルアミン、ジエチルイソプロピルアミン、ジメチルベンジルアミンなどに代表されるアルキルアミン類や、ヘキサメチレンテトラミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、ピペリジン、ピペラジン、N−メチルピペリジン、N,N'−ジメチルピペラジン、ピリジン、イミダゾールなどの環状アミン類等、さらにナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、カリウム t−ブトキシドなどに代表されるアルカリ金属アルコキシドが挙げられる。
【0112】
無機塩基としては、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸水素カリウムなどが挙げられる。
【0113】
オニウム塩としては、例えばアンモニウム塩、ホスホニウム塩、アルソニウム塩、スチボニウム塩、オキソニウム塩、スルホニウム塩、セレノニウム塩、スタンノニウム塩、ヨードニウム塩が例示される。また本願発明で使用されるオニウム塩は、例えばアンモニウム塩、ホスホニウム塩、アルソニウム塩、スチボニウム塩、オキソニウム塩、スルホニウム塩、セレノニウム塩、スタンノニウム塩、ヨードニウム塩が例示される。代表的な化合物を挙げると第4級アンモニウム塩としては、例えばハロゲン化トリメチルベンジルアンモニウム、ハロゲン化トリエチルベンジルアンモニウム、ハロゲン化トリオクチルメチルアンモニウム、ハロゲン化トリブチルベンジルアンモニウム、ハロゲン化トリメチルベンジルアンモニウムなどが挙げられる。また、第4級ホスホニウム塩として、例えばハロゲン化テトラn−ブチルホスホニウム、ハロゲン化テトラn−プロピルホスホニウムなどのハロゲン化テトラアルキルホスホニウム、ハロゲン化トリエチルベンジルホスホニウムなどのハロゲン化トリアルキルベンジルホスホニウム、ハロゲン化トリフェニルメチルホスホニウム、ハロゲン化トリフェニルエチルホスホニウムなどのハロゲン化トリフェニルモノアルキルホスホニウム、ハロゲン化トリフェニルベンジルホスホニウム、ハロゲン化テトラフェニルホスホニウム、ハロゲン化トリトリルモノアリールホスホニウム、あるいはハロゲン化トリトリルモノアルキルホスホニウムが挙げられる。オニウム塩としては、第4級アンモニウム塩、第4級ホスホニウム塩が特に好ましい。第4級アンモニウム塩は、しめった酸化銀の作用又は水酸化ナトリウムを作用させるか、あるいは陰イオン交換樹脂で処理することによって対イオンのハロゲンイオンがヒドロキシルイオン(OH−)に置換され強塩基性を示し第4級アンモニウム塩基となることが知られているが、これらも好ましい有機塩基として使用することができる。
【0114】
触媒は、2種以上を組み合わせて用いることもでき、使用量としては第一発明で得られたイソシアヌレート化合物1モルに対して触媒全体で0.001〜0.3モル、特に好ましくは0.01〜0.15モルで使用することができる。
【0115】
トリチオールイソシアヌレート化合物の架橋反応は無溶媒が望ましいが、必要に応じて溶媒を使用しても良い。使用される溶媒としては、反応に対して不活性であればよく、代表的な溶媒を例示すると、非プロトン性の極性溶媒で知られているN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどのアミド類、ジメチルスルホキシド等の硫黄化合物、トルエン、クロロベンゼンなどの芳香族炭化水素類、ジオキサン、ジメトキシエタン、テトラヒドロフランなどのエーテル類、ジクロロエタン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、アセトニトリル等のニトリル類、ニトロエタン、ニトロベンゼンなどのニトロ化合物、酢酸エチル等のエステル類、あるいはこれらの混合物が用いられる。また、反応に関与しない条件下でメタノール、エタノール、イソプロパノール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノールなどのアルコール類、トリエチルアミン、ピリジンなどのアミン類の溶媒も用いることができる。
【0116】
以上、第一発明のイソシアヌレート化合物や第二発明のトリチオールイソシアヌレート化合物は、組成物として硬化剤や添加剤として用いた場合に、化合物自身の分子量に占める硫黄含有量が大きいので高い屈折率を有する材料を与えるのが特徴である。さらにイソシアヌレート化合物は、単独でも塩基性物質を触媒として重合することが可能である。
【0117】
そして、第一発明のイソシアヌレート化合物や第二発明のトリチオールイソシアヌレート化合物は、その骨格自体にベンゼン環を有しないために長波長域の紫外吸収が少なく、比較的大きなアッベ数となり色収差が小さく優れた光学材料用原料として用いることが出来る。また、硬化剤として使用した場合は、得られる構造が3次元の架橋構造になるので等方性に優れ、そのために複屈折性が小さくなり優れた透明性を与える。
【0118】
また、トリス(1,3−オキサチオラン−2−チオン−5−イルメチル)イソシアヌレートは、溶媒に対する溶解度が比較的低いために反応性置換基を有する高分子と共に一液型の反応性混合液体として長時間保存できる特徴を有する。中でも特に日産化学工業製のTEPIC−H(商品名:β型トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート)から得られるトリス(1,3−オキサチオラン−2−チオン−5−イルメチル)イソシアヌレートは、他の異性体と比較して溶媒に対する溶解性が低い特徴を有している。
【0119】
【実施例】
次に実施例により、本発明の内容を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるべきものではない。以下実施例にて採用した実験分析手法を説明する。
【0120】
〔質量分析法(MASS)〕
実施例で用いた方法はFD法(フィールド脱着法)を採用した。FD法装置は、日本電子(株)社製SX−102を用いた。
【0121】
〔プロトン核磁気共鳴法(H−NMR)〕
実施例で採用した反応生成物の同定法は、H−NMR装置としてVARIAN社製INOVA400、測定溶媒として重水素化ジメチルスルホキシド又は重水素化クロロホルム、基準物質としてテトラメチルシランを用いた。
【0122】
〔融点測定、熱分析条件〕
各実施例で採用した融点測定方法は、熱分析装置としてセイコーインスツルメンツ(株)社製TG/DTA320Uを用い、吸熱開始温度を融点とした。
【0123】
〔Tg測定条件〕
各実施例で採用したTg測定方法は、熱分析装置として(株)リガク社製DSC8230を用いて測定した。
【0124】
〔純度測定条件〕
各実施例で採用した純度測定条件は、液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて行った。使用した機器は、日本分光(株)社製の液体クロマトグラフィー装置を用いて、検出器としてUV検出器(型番UV−1575)を用いてUV280nmで検出した。使用したカラムはGLサイエンス(株)社製ODS−3(4.6mm×250mm)、オーブン温度40℃、溶離液にアセトニトリル/水=1.5:1、内部標準物質に4−t−ブチル−トルエンを用いて純度測定を行った。
【0125】
〔分子量測定条件〕
各実施例で採用した分子量測定条件は、ゲルパーミッションクロマトグラフィー(GPC)を用いて行った。使用した機器は、(株)センシュ−科学社製SSC−7200の装置を用いて、ポリスチレン換算して求めた。溶離液はDMFで測定を行った。
【0126】
〔屈折率、アッベ数測定〕
実施例9〜10で採用した屈折率測定方法は、多入射角分光エリプソメトリとしてジェー・エー・ウーラム・ジャパン(株)製DUV−VASEを用い、屈折率(n)は589nmの屈折率を測定し、アッベ数(υ)は、以下の式により算出した。
【0127】
υ=(n−1)/(n−n
ここで式中、nは656nmの屈折率を、nは589nmの屈折率を、そしてnは486nmの屈折率を表す。
【0128】
実施例1
トリス(1,3−オキサチオラン−2−チオン−5−イルメチル)イソシアヌレートの製造
温度計、攪拌機の付いた反応フラスコ中にトリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート〔TEPIC−S(商品名):日産化学工業(株)製、高純度品〕を10g、二硫化炭素を9.2g、触媒として臭化リチウムを0.43g、溶媒としてテトラヒドロフランを20mL入れ、室温で24時間撹拌した。その後反応液を水中へ投入し、沈殿を濾過してメタノールで洗浄した。得られた結晶を真空下で50℃で乾燥して淡黄色粉末状のトリス(1,3−オキサチオラン−2−チオン−5−イルメチル)イソシアヌレートが17.4g得られた。HPLCにて純度を測定したところ93.4%であった。
【0129】
MASS(M):525(C15H15N3O6S6)
H−NMR(ppm、DMSO−d):3.7〜4.0(m,6H)、4.2〜4.4(m,6H)、5.3〜5.5(m,3H)
融点(℃):196(分解)
実施例2
トリス(1,3−オキサチオラン−2−チオン−5−イルメチル)イソシアヌレートの製造
温度計、攪拌機の付いた反応フラスコ中に二硫化炭素を9.2g、触媒として臭化リチウムを0.43g、溶媒としてテトラヒドロフランを20mL入れ、室温で5分程度撹拌し、続いて反応容器中へトリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート〔TEPIC−S(商品名):日産化学工業(株)製、高純度品〕10gを1時間以上かけてゆっくりと添加し、添加終了後、室温で24時間撹拌した。反応終了後、反応液を水中へ投入し、沈殿を濾過してメタノールで洗浄した。得られた結晶を真空下で50℃で乾燥して淡黄色粉末状のトリス(1,3−オキサチオラン−2−チオン−5−イルメチル)イソシアヌレートが17.8g得られた。HPLCにて純度を測定したところ97.3%であった。
【0130】
MASS(M):525(C15H15N3O6S6)
H−NMR(ppm、DMSO−d):3.7〜4.0(m,6H)、4.2〜4.4(m,6H)、5.3〜5.5(m,3H)
融点(℃):197(分解)
実施例3
トリス(1,3−オキサチオラン−2−チオン−5−イルメチル)イソシアヌレートの製造
温度計、攪拌機の付いた反応フラスコ中に二硫化炭素を138.4g、触媒として臭化リチウムを6.45g、溶媒としてアセトニトリルを300mL入れ、室温で5分程度撹拌し、続いて反応容器中へトリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート〔TEPIC−S(商品名):日産化学工業(株)製、高純度品〕150gを5時間以上かけてゆっくりと添加し、添加終了後、室温で24時間撹拌した。反応終了後、反応液を水中へ投入し、沈殿を濾過してメタノールで洗浄した。得られた結晶を真空下で50℃で乾燥して淡黄色粉末状のトリス(1,3−オキサチオラン−2−チオン−5−イルメチル)イソシアヌレートが265.1g得られた。HPLCにて純度を測定したところ97.1%であった。
【0131】
MASS(M):525(C15H15N3O6S6)
H−NMR(ppm、DMSO−d):3.7〜4.0(m,6H)、4.2〜4.4(m,6H)、5.3〜5.5(m,3H)
融点(℃):197(分解)
実施例4
トリス(1,3−オキサチオラン−2−チオン−5−イルメチル)イソシアヌレートの製造
温度計、攪拌機の付いた反応フラスコ中に二硫化炭素を9.2g、触媒として塩化リチウムを0.21g、溶媒としてテトラヒドロフランを20mL入れ、室温で5分程度撹拌し、続いて反応容器中へトリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート〔TEPIC−S(商品名):日産化学工業(株)製、高純度品〕10gを1時間以上かけてゆっくりと添加し、添加終了後、室温で24時間撹拌した。反応終了後、反応液を水中へ投入し、沈殿を濾過してメタノールで洗浄した。得られた結晶を真空下で50℃で乾燥して淡黄色粉末状のトリス(1,3−オキサチオラン−2−チオン−5−イルメチル)イソシアヌレートが17.9g得られた。HPLCにて純度を測定したところ98.1%であった。
【0132】
MASS(M):525(C15H15N3O6S6)
H−NMR(ppm、DMSO−d):3.7〜4.0(m,6H)、4.2〜4.4(m,6H)、5.3〜5.5(m,3H)
融点(℃):197(分解)
実施例5
トリス(1,3−オキサチオラン−2−チオン−5−イルメチル)イソシアヌレートの製造
温度計、攪拌機の付いた反応フラスコ中に二硫化炭素を9.2g、触媒として臭化リチウムを0.43g、溶媒としてメチルイソブチルケトンを20mL入れ、室温で5分程度撹拌し、続いて反応容器中へトリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート〔TEPIC−S(商品名):日産化学工業(株)製、高純度品〕10gを1時間以上かけてゆっくりと添加し、添加終了後、室温で24時間撹拌した。反応終了後、反応液を水中へ投入し、沈殿を濾過してメタノールで洗浄した。得られた結晶を真空下で50℃で乾燥して淡黄色粉末状のトリス(1,3−オキサチオラン−2−チオン−5−イルメチル)イソシアヌレートが17.3g得られた。HPLCにて純度を測定したところ95.2%であった。
【0133】
MASS(M):525(C15H15N3O6S6)
H−NMR(ppm、DMSO−d):3.7〜4.0(m,6H)、4.2〜4.4(m,6H)、5.3〜5.5(m,3H)
融点(℃):197(分解)
実施例6
トリス(5−メチル−1,3−オキサチオラン−2−チオン−5−イルメチル)イソシアヌレートの製造
温度計、攪拌機の付いた反応フラスコ中にトリス(2−メチル−2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート(日産化学工業(株)製)を10g、二硫化炭素を8.1g、触媒として臭化リチウムを0.38g、溶媒としてテトラヒドロフランを20mL入れ、室温で24時間撹拌した。その後反応液からTHFを50℃減圧下で留去して淡黄色のトリス(5−メチル−1,3−オキサチオラン−2−チオン−5−イルメチル)イソシアヌレートが得られた。
【0134】
MASS(M):567(C18H21N3O6S6)
実施例7
トリス(5−メチル−1,3−オキサチオラン−2−チオン−5−イルメチル)イソシアヌレートの製造
温度計、攪拌機の付いた反応フラスコ中に二硫化炭素を1.13g、THF6mL、NaOMeメタノール溶液(28%)を0.1g加えた。室温で10分攪拌後、1,3,5−トリス(2−メチル−2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート(日産化学工業(株)製)1.4gを加え、室温で3日攪拌した。反応終了後、水20mLを加え固体を濾取し、水で充分洗浄後、得られた結晶を真空下で50℃で乾燥して、薄黄色固体のトリス(5−メチル−1,3−オキサチオラン−2−チオン−5−イルメチル)イソシアヌレートが2.3g得られた。
【0135】
MASS(M):567(C18H21N3O6S6)
H−NMR(ppm、DMSO−d):1.6(s,9H)、3.7〜4.0(m,6H)、4.2〜4.4(m,6H)
実施例8
高融点型トリス(1,3−オキサチオラン−2−チオン−5−イルメチル)イソシアヌレート〔(1R,1’R,1’’R)−トリス(1,3−オキサチオラン−2−チオン−5−イルメチル)イソシアヌレートと(1S,1’S,1’’S)−トリス(1,3−オキサチオラン−2−チオン−5−イルメチル)イソシアヌレートの1:1混合物〕の製造
温度計、攪拌機の付いた反応フラスコ中に高融点型のトリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート〔TEPIC−H(商品名):日産化学工業(株)製、高純度品〕を10g、二硫化炭素を9.2g、触媒として臭化リチウムを0.43g、溶媒としてテトラヒドロフランを20mL入れ、室温で24時間撹拌した。その後反応液をメタノール中へ投入し、沈殿を濾過してさらにメタノールで洗浄した。得られた結晶を真空下で50℃で乾燥して微黄色粉末のトリス(1,3−オキサチオラン−2−チオン−5−イルメチル)イソシアヌレートが17.2g得られた。HPLCにて純度を測定したところ91.4%であった。
【0136】
MASS(M):525(C15H15N3O6S6)
融点(℃):223(分解)
実施例9
トリチオールイソシアヌレート化合物〔トリス(1,3−オキサチオラン−2−チオン−5−イルメチル)イソシアヌレートのメチルアミン付加物〕の合成及び酸化硬化物であるポリジスルフィドフィルムの合成。
【0137】
実施例1で得られたトリス(1,3−オキサチオラン−2−チオン−5−イルメチル)イソシアヌレート1gをN−メチル−2−ピロリドン10gに懸濁し、40%メチルアミン−メタノール溶液を2g加えて室温で30分間撹拌した。反応生成物をマススペクトルにより確認した結果、618(C18H30N6O6S6、M)のトリス(1,3−オキサチオラン−2−チオン−5−イルメチル)イソシアヌレートのメチルアミン3モル付加物が生成していることを確認した。
【0138】
続いて、この得られた無色透明の反応溶液を0.2μm径のフィルターで濾過し、4インチのシリコンウエハー上に毎分2500回転で1分間スピンコートして、その後ホットプレート上で120℃で5分間加熱硬化した。得られた硬化物はIRスペクトルにより帰属を行い、2600〜2550cm−1付近のS−H伸縮振動の消失と1560cm−1付近のチオカーバメート由来のC=S伸縮振動によりトリチオールイソシアヌレート化合物の酸化硬化物であるポリジスルフィドフィルムであることを確認した。ここで得られたフィルムの膜厚は約800Åであり屈折率(n)は1.62、アッベ数(υ)は33であった。
【0139】
実施例10
トリチオールイソシアヌレート化合物〔高融点型トリス(1,3−オキサチオラン−2−チオン−5−イルメチル)イソシアヌレートのメチルアミン付加物〕の合成及び酸化硬化物であるポリジスルフィドフィルムの合成。
【0140】
原料のトリス(1,3−オキサチオラン−2−チオン−5−イルメチル)イソシアヌレートとして実施例8で得られた高融点型トリス(1,3−オキサチオラン−2−チオン−5−イルメチル)イソシアヌレート化合物を用いた以外全て実施例9と同様の方法により製造した。反応生成物をマススペクトルにより確認した結果、618(C18H30N6O6S6、M)の高融点型トリス(1,3−オキサチオラン−2−チオン−5−イルメチル)イソシアヌレートのメチルアミン3モル付加物が生成していることを確認した。続いて実施例9と同様の方法によりポリジスルフィドフィルムの合成を行い、物性の測定を行った。得られたフィルムの膜厚は約800Åであり屈折率(n)は1.63、アッベ数(υ)は24であった。
【0141】
実施例11
トリス(1,3−オキサチオラン−2−チオン−5−イルメチル)イソシアヌレートとブチルアミンによるトリチオールイソシアヌレート化合物の合成
実施例1で得られたトリス(1,3−オキサチオラン−2−チオン−5−イルメチル)イソシアヌレート1gをテトラヒドロフラン10gに懸濁し、ブチルアミンを0.5g加えて、窒素雰囲気下、室温で一晩撹拌した。反応終了後、溶媒を留去して無色泡状化合物1.45gが得られた。
【0142】
MASS(M):744(C27H48N6O6S6)
H−NMR(ppm、CDCl):0.8〜1.0(t,9H)、1.3〜1.7(m,12H)、1.86(bs,3H)、2.7〜3.0(m,6H)、3.0〜3.6(m,6H)、4.0〜4.5(m,6H)、5.5〜6.1(m,3H)、6.8〜7.1(m,3H)
実施例12
トリス(1,3−オキサチオラン−2−チオン−5−イルメチル)イソシアヌレートとベンジルアミンによるトリチオールイソシアヌレート化合物の合成
実施例1で得られたトリス(1,3−オキサチオラン−2−チオン−5−イルメチル)イソシアヌレート5.26gをテトラヒドロフラン10mLに懸濁し、ベンジルアミンを3.85g加えて窒素雰囲気下室温で一晩撹拌した。反応終了後、溶媒を留去して無色泡状化合物8.95gが得られた。
【0143】
MASS(M):846(C36H42N6O6S6)
H−NMR(ppm、CDCl):1.71(bs,3H)、2.6〜2.9(m,6H)、3.9〜4.9(m,12H)、5.6〜5.9(m,3H)、7.2〜7.6(m,18H)
実施例13
トリス(1,3−オキサチオラン−2−チオン−5−イルメチル)イソシアヌレートとN−メチルベンジルアミンによるトリチオールイソシアヌレート化合物の合成
実施例1で得られたトリス(1,3−オキサチオラン−2−チオン−5−イルメチル)イソシアヌレート2.63gをテトラヒドロフラン5mLに懸濁し、N−メチルベンジルアミンを1.84g加えて窒素雰囲気下、室温で一晩撹拌した。反応終了後、溶媒を留去して薄黄色泡状化合物4.5gが得られた。
【0144】
MASS(M):888(C39H48N6O6S6)
H−NMR(ppm、CDCl):1.62(bs,3H)、2.7〜3.4(m,15H)、3.8〜4.5(m,6H)、4.5〜5.2(m,6H)、5.7〜6.1(m,3H)、7.1〜7.5(m,15H)
実施例14
トリス(1,3−オキサチオラン−2−チオン−5−イルメチル)イソシアヌレートとアリルアミンによるトリチオールイソシアヌレート化合物の合成
実施例1で得られたトリス(1,3−オキサチオラン−2−チオン−5−イルメチル)イソシアヌレート2.1gをテトラヒドロフラン5mLに懸濁し、アリルアミンを0.77g加えて窒素雰囲気下、室温で一晩撹拌した。反応終了後、溶媒を留去して無色泡状化合物2.78gが得られた。
【0145】
MASS(M):696(C24H36N6O6S6)
H−NMR(ppm、CDCl):1.65(bs,3H)、2.7〜3.1(m,6H)、3.7〜4.6(m,12H)、5.1〜5.4(m,6H)、5.6〜6.1(m,6H)、6.6〜7.4(m,3H)
実施例15
トリス(1,3−オキサチオラン−2−チオン−5−イルメチル)イソシアヌレートと2−エトキシエチルアミンによるトリチオールイソシアヌレート誘導体の合成
実施例1で得られたトリス(1,3−オキサチオラン−2−チオン−5−イルメチル)イソシアヌレート1.05gをテトラヒドロフラン5mLに懸濁し、2−エトキシエチルアミンを0.56g加えて窒素雰囲気下、室温で一晩撹拌した。反応終了後、溶媒を留去して薄黄色高粘凋化合物1.56gが得られた。
【0146】
MASS(M):792(C27H48N6O9S6)
H−NMR(ppm、CDCl):1.20(t,9H)、1.79(bs,3H)、2.7〜3.0(m,6H)、3.4〜3.9(m,18H)、4.0〜4.5(m,6H)、5.6〜6.1(m,3H)、6.9〜7.6(m,3H)
実施例16
トリス(1,3−オキサチオラン−2−チオン−5−イルメチル)イソシアヌレートとN,N−ジメチルエチレンジアミンによるトリチオールイソシアヌレート誘導体の合成
実施例1で得られたトリス(1,3−オキサチオラン−2−チオン−5−イルメチル)イソシアヌレート1.05gをテトラヒドロフラン5mLに懸濁し、N,N−ジメチルエチレンジアミンを0.56g加えて窒素雰囲気下、室温で一晩撹拌した。反応終了後、溶媒を留去して無色泡状化合物1.56gが得られた。
【0147】
MASS(M):789(C27H51N9O6S6)
H−NMR(ppm、CDCl):1.86(bs,3H)、2.1〜2.6(m,24H)、2.7〜3.1(m,6H)、3.1〜3.9(m,6H)、3.9〜4.6(m,6H)、5.7〜6.1(m,3H)、7.7〜8.4(m,3H)
応用例1
トリス(1,3−オキサチオラン−2−チオン−5−イルメチル)イソシアヌレートのベンジルアミン付加物3アセチル体の合成
実施例12で得られたトリス(1,3−オキサチオラン−2−チオン−5−イルメチル)イソシアヌレートベンジルアミン3モル付加物1.6gをテトラヒドロフラン10mLに懸濁し、無水酢酸0.5gとピリジン0.5gを滴下して窒素雰囲気下室温で一晩撹拌した。反応終了後、溶媒を留去し、水とクロロホルムを加え溶媒抽出、濃縮して2.64gの粗物が得られた。これをカラム(溶媒:クロロホルム)精製して1.73gの目的物が無色泡状物として得られた。
【0148】
MASS(M):972(C42H48N6O9S6)
H−NMR(ppm、CDCl):1.65(bs,3H)、2.2〜2.4(m,9H)、3.0〜3.5(m,6H)、3.8〜4.9(m,12H)、5.6〜6.1(m,3H)、7.2〜7.4(m,15H)
応用例2
トリス(1,3−オキサチオラン−2−チオン−5−イルメチル)イソシアヌレートのベンジルアミン付加物3ベンジル体の合成
実施例12で得られたトリス(1,3−オキサチオラン−2−チオン−5−イルメチル)イソシアヌレートベンジルアミン3モル付加物1.55gをテトラヒドロフラン15mLに懸濁し、ベンジルブロミド0.96gとトリエチルアミン1mLを滴下して、窒素雰囲気下室温で一晩撹拌した。反応終了後、不溶物を除去し、濃縮して2.0gの粗物が無色泡状物として得られた。これをカラム(溶媒:クロロホルム)精製して1.4gの目的物が得られた。
【0149】
MASS(M):972(C42H48N6O9S6)
H−NMR(ppm、CDCl):2.5〜2.9(m,6H)、3.6〜3.9(m,6H)、3.9〜4.8(m,12H)、5.7〜6.1(m,3H)、7.1〜7.6(m,33H)
応用例3
トリス(1,3−オキサチオラン−2−チオン−5−イルメチル)イソシアヌレートのベンジルアミン付加物3ベンゾイル体の合成
実施例12で得られたトリス(1,3−オキサチオラン−2−チオン−5−イルメチル)イソシアヌレートベンジルアミン3モル付加物0.86gをテトラヒドロフラン5mLに懸濁し、ベンゾイルクロリド0.42gとトリエチルアミン0.6mLを滴下して、窒素雰囲気下室温で一晩撹拌した。反応終了後、不溶物を除去し、濃縮して得られた粗物をカラム(溶媒:クロロホルム)精製して1.1gの目的物が無色泡状物として得られた。
【0150】
MASS(M):1158(C57H54N6O9S6)
H−NMR(ppm、CDCl):3.2〜3.7(m,6H)、3.8〜4.9(m,12H)、5.8〜6.1(m,3H)、7.1〜7.7(m,27H)、7.7〜8.1(m,6H)
応用例4
トリス(1,3−オキサチオラン−2−チオン−5−イルメチル)イソシアヌレートのベンジルアミン付加物3フェニルチオウレタン体の合成
実施例12で得られたトリス(1,3−オキサチオラン−2−チオン−5−イルメチル)イソシアヌレートベンジルアミン3モル付加物1.6gをテトラヒドロフラン5mLに懸濁し、フェニルイソシアネ−ト0.68gを加えて窒素雰囲気下室温で一晩撹拌した。反応終了後、溶媒を濃縮して2.48gの粗物が得られた。これをカラム(溶媒:クロロホルム)精製して1.93gの目的物が無色泡状物として得られた。
【0151】
MASS(M):1203(C57H57N9O9S6)
H−NMR(ppm、CDCl):3.1〜3.5(m,6H)、3.9〜4.8(m,12H)、5.8〜6.1(m,3H)、7.0〜7.6(m,36H)
応用例5
トリス(1,3−オキサチオラン−2−チオン−5−イルメチル)イソシアヌレートのベンジルアミン3付加物とヘキサメチレンジイソシアネ−トとの反応
実施例12で得られたトリス(1,3−オキサチオラン−2−チオン−5−イルメチル)イソシアヌレートベンジルアミン3モル付加物1.7gをテトラヒドロフラン8mLに懸濁し、ヘキサメチレンジイソシアネ−トと0.5gを加えて窒素雰囲気下室温で一晩撹拌した。反応終了後、アセトニトリル50mLに反応液を加え再沈殿、乾燥して2.0gの白色固体が得られた。
【0152】
Tg:60℃、分解開始温度:203℃(5重量%減少)
数平均分子量(Mn):2200
重量平均分子量(Mw)5900
多分散度(Mw/Mn):2.66
【0153】
【発明の効果】
1,3−オキサチオラン−2−チオン環を分子中に3つ有するイソシアヌレート化合物を得ることができた。そして、そのイソシアヌレート化合物の製造方法を見出した。
【0154】
1,3−オキサチオラン−2−チオン環を分子中に3つ有するイソシアヌレート化合物は、それ自身を他の材料系へ添加剤として使用することで高屈折率な有機材料を得ることができる。また、イソシアヌレート化合物の置換基部位である1,3−オキサチオラン−2−チオン−5−イルメチル基又は5−メチル−1,3−オキサチオラン−2−チオン−5−イルメチル基と反応性を示す活性水素含有の反応性化合物である、ポリアミン、ポリオール、ポリチオール等の架橋剤として使用することもでき、この場合も有機高屈折率材料が得られる。更に、この化合物自身の性質だけでなく硬化剤や添加剤として用いた場合にも、分子量に占める硫黄含有量が大きいので高い屈折率を有する材料となる。
【0155】
第一発明のイソシアヌレート化合物は一級アミン、二級アミン、水酸基及びチオール基からなる群から選ばれる少なくとも1つの官能基を有する化合物と反応させることによってトリチオールイソシアヌレート化合物が得られる。第二発明のトリチオールイソシアヌレート化合物は、側鎖にチオール基を有する化合物であり、この化合物をポリエポキシ化合物やポリイソシアナト化合物などの硬化剤として利用することもできる。また、このリチオールイソシアヌレート化合物は、酸素によって酸化重合してポリジスルフィド構造の硬化フィルムを与える。この硬化物は比較的高い屈折率とアッベ数を有し、光学的に優れた材料となることを発見した。
【0156】
一方、イソシアヌレート化合物は、単独で塩基性物質を触媒として重合することも可能である。

Claims (16)

  1. 式(1)
    Figure 0004243822
    (式中、Rは水素原子又はメチル基を示す。)
    で表されるイソシアヌレート化合物。
  2. 式(1)のRが水素原子である請求項1に記載のトリス(1,3−オキサチオラン−2−チオン−5−イルメチル)イソシアヌレート。
  3. 式(1)のRがメチル基である請求項1に記載のトリス(5−メチル−1,3−オキサチオラン−2−チオン−5−イルメチル)イソシアヌレート。
  4. 式(2)
    Figure 0004243822
    (式中、Rは水素原子又はメチル基を示す。)
    で表されるトリグリシジルイソシアヌレート化合物と二硫化炭素とを反応させることを特徴とする式(1)
    Figure 0004243822
    (式中、Rは水素原子又はメチル基を示す。)
    で表されるイソシアヌレート化合物の製造方法。
  5. トリグリシジルイソシアヌレート化合物と二硫化炭素とを反応させる際に、アルカリ金属ハロゲン化物、アルカリ土類金属ハロゲン化物、有機塩基、アルカリ金属水酸化物及びオニウム塩からなる群から選ばれる少なくとも一つの化合物を触媒として用いることを特徴とする請求項4に記載のイソシアヌレート化合物の製造方法。
  6. トリグリシジルイソシアヌレート化合物と二硫化炭素とを反応させる際に、触媒としてアルカリ金属ハロゲン化物、アルカリ土類金属ハロゲン化物、有機塩基、アルカリ金属水酸化物及びオニウム塩からなる群から選ばれる少なくとも一つの化合物と、二硫化炭素とをあらかじめ混合し、ついでトリグリシジルイソシアヌレート化合物を添加することを特徴とする請求項4又は請求項5に記載のイソシアヌレート化合物の製造方法。
  7. 式(1)
    Figure 0004243822
    (式中、Rは水素原子又はメチル基を示す。)
    で表されるイソシアヌレート化合物と炭素数1〜6のアルキル基(該アルキル基は、炭素数1〜4のアルコキシ基及び炭素数の2〜8のジアルキルアミノ基からなる群から選ばれた異種又は同種の1個以上の置換基により任意に置換されていても良い。)を有する第一級アミン、ベンジルアミン及び炭素数1〜6のアルケニル基を有する第一級アミンからなる群から選ばれる少なくともアミノ基を1つを有する化合物とを反応させて得られる式(3)
    Figure 0004243822
    (式中、Rは水素原子又はメチル基を示す。XはNHR基を示す。ここで前記置換基式中のRは、炭素数1〜6のアルキル基(該アルキル基は、炭素数1〜4のアルコキシ基及び炭素数の2〜8のジアルキルアミノ基からなる群から選ばれた異種又は同種の1個以上の置換基により任意に置換されていても良い。)、ベンジル基又は炭素数1〜6のアルケニル基を示す。)で表されるトリチオールイソシアヌレート化合物。
  8. イソシアヌレート化合物と炭素数1〜6のアルキル基(該アルキル基は、炭素数1〜4のアルコキシ基及び炭素数の2〜8のジアルキルアミノ基からなる群から選ばれた異種又は同種の1個以上の置換基により任意に置換されていても良い。)を有する第一級アミンとを反応させて得られる請求項7に記載のトリチオールイソシアヌレート化合物。
  9. イソシアヌレート化合物とベンジルアミンとを反応させて得られる請求項7に記載のトリチオールイソシアヌレート化合物。
  10. イソシアヌレート化合物と炭素数1〜6のアルケル基を有する第一級アミンとを反応させて得られる請求項7に記載のトリチオールイソシアヌレート化合物。
  11. 式(1)
    Figure 0004243822
    (式中、Rは水素原子又はメチル基を示す。)
    で表されるイソシアヌレート化合物と炭素数1〜6のアルキル基を有する第二級ベンジルアミンとを反応させて得られる式(3)
    Figure 0004243822
    (式中、Rは水素原子又はメチル基を示す。XはNR基を示す。ここで前記置換基式中のRは、炭素数1〜6のアルキル基を示し、Rは、ベンジル基を示す。)で表されるトリチオールイソシアヌレート化合物。
  12. 式(1)
    Figure 0004243822
    (式中、Rは水素原子又はメチル基を示す。)
    で表されるイソシアヌレート化合物と炭素数1〜6のアルキル基(該アルキル基は、炭素数1〜4のアルコキシ基及び炭素数の2〜8のジアルキルアミノ基からなる群から選ばれた異種又は同種の1個以上の置換基により任意に置換されていても良い。)を有する第一級アミン、ベンジルアミン及び炭素数1〜6のアルケニル基を有する第一級アミンからなる群から選ばれる少なくともアミノ基を1つを有する化合物とを反応させることを特徴とする式(3)
    Figure 0004243822
    (式中、Rは水素原子又はメチル基を示す。XはNHR基を示す。ここで前記置換基式中のRは、炭素数1〜6のアルキル基(該アルキル基は、炭素数1〜4のアルコキシ基及び炭素数の2〜8のジアルキルアミノ基からなる群から選ばれた異種又は同種の1個以上の置換基により任意に置換されていても良い。)、ベンジル基又は炭素数1〜6のアルケニル基を示す。)で表されるトリチオールイソシアヌレート化合物の製造方法。
  13. イソシアヌレート化合物と炭素数1〜6のアルキル基(該アルキル基は、炭素数1〜4のアルコキシ基及び炭素数の2〜8のジアルキルアミノ基からなる群から選ばれた異種又は同種の1個以上の置換基により任意に置換されていても良い。)を有する第一級アミンとを反応させる請求項12に記載のトリチオールイソシアヌレート化合物の製造方法。
  14. イソシアヌレート化合物とベンジルアミンとを反応させる請求項12に記載のトリチオールイソシアヌレート化合物の製造方法。
  15. イソシアヌレート化合物と炭素数1〜6のアルケニル基を有する第一級アミンとを反応させる請求項12に記載のトリチオールイソシアヌレート化合物の製造方法。
  16. 式(1)
    Figure 0004243822
    (式中、Rは水素原子又はメチル基を示す。)
    で表されるイソシアヌレート化合物と炭素数1〜6のアルキル基を有する第二級ベンジルアミンとを反応させることを特徴とする式(3)
    Figure 0004243822
    (式中、Rは水素原子又はメチル基を示す。XはNR基を示す。ここで前記置換基式中のRは、炭素数1〜6のアルキル基を示し、Rは、ベンジル基を示す。)で表されるトリチオールイソシアヌレート化合物の製造方法。
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