JP3403592B2 - 含硫エポキシ化合物及び含硫エポキシ樹脂 - Google Patents

含硫エポキシ化合物及び含硫エポキシ樹脂

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JP3403592B2
JP3403592B2 JP28389196A JP28389196A JP3403592B2 JP 3403592 B2 JP3403592 B2 JP 3403592B2 JP 28389196 A JP28389196 A JP 28389196A JP 28389196 A JP28389196 A JP 28389196A JP 3403592 B2 JP3403592 B2 JP 3403592B2
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治道 青木
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は新規な含硫エポキシ
化合物とその製造方法ならびに当該含硫エポキシ化合物
を用いて得られる樹脂とその製造方法に関する。
【0002】本発明のエポキシ化合物は合成樹脂原料、
プラスチックレンズ用樹脂原料、医農薬原料及び中間
体、エポキシ樹脂塗料原料、接着剤原料、半導体封止剤
原料など広範な用途を有する。
【0003】
【従来の技術】光学用途用樹脂は従来からポリメチルメ
タクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ジエチレン
グリコールビスアリルカーボネート樹脂等が用いられて
きた。
【0004】これらの中でプラスチックレンズ用途に最
も広く用いられているのはジエチレングリコールビスア
リルカーボネート樹脂であるが、この樹脂は屈折率が
1.50と低く、レンズに用いた場合に、コバ厚、中心
厚が増し外観の悪化及び重量の増大を招いていた。
【0005】そのために、より高い屈折率を有し、ジエ
チレングリコールビスアリルカーボネート樹脂の持つ欠
点を改良した素材が求められ、特公平5−4404号公
報には芳香環にハロゲンを導入した樹脂が開示されてい
る。ところがこの樹脂では屈折率は1.60と高くなる
ものの、比重が1.37と高くなる欠点を有している。
しかも、これらの樹脂は耐熱性や耐衝撃性の物性面で必
ずしも満足のいくものではなかった。
【0006】またイソシアナート化合物とチオール化合
物の重合により構成されるチオウレタン樹脂は高屈折率
であるがアッベ数とのバランス面でさらなる改良が求め
られている。
【0007】ところで、一般にエポキシ樹脂は耐衝撃性
の面で優れた特性を有している。光学用途での応用につ
いては一分子中に二個以上のエポキシ基を有するエポキ
シ化合物と一分子中に二個以上のチオール基を有するチ
オール化合物を注型重合することによりレンズを製造す
る方法が国際公開番号WO89/10575に開示され
ている。このレンズは高屈折率かつ低分散であるが耐衝
撃性の面で満足のいくものではなかった。すなわちエポ
キシ樹脂において屈折率、耐衝撃性の両面で優れた特性
を応用、実用化することは遅れていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の問題点
を解決するため高屈折率、低分散かつ耐衝撃性に優れた
樹脂を与える新規なエポキシ化合物ならびにエポキシ化
合物を重合または他の硬化剤と共重合させることにより
得られる樹脂を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは前記課題を
解決すべく鋭意検討を行ってきた。その結果、新規な含
硫エポキシ化合物を見いだし、本発明に至った。
【0010】即ち、本発明は式(I)
【化4】 で表される含硫エポキシ化合物及びその製造法及び式
(I)で表される化合物または式(I)で表される化合
物と1種以上の硬化剤を重合触媒の存在下、重合させる
ことを特徴とする樹脂の製造法及び樹脂に関するもので
ある。
【0011】
【発明の実施の形態】式(I)で表される化合物は、
1,2−ビス[(2−メルカプトエチル)チオ]−3−
メルカプトプロパンと式(II)で表される化合物を、
【化5】 (式中、XはBrまたはClを示す。) 1,2−ビス[(2−メルカプトエチル)チオ]−3−
メルカプトプロパンと式(II)化合物に不活性な有機
溶媒または水中または有機溶媒と水の混合溶媒中、無機
塩基の存在下、反応させることにより得られる。
【0012】ここで用いられる有機溶媒としては、ベン
ゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素化合物
またはメタノール、エタノール、n−プロパノール、i
−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、s
ec−ブタノール等の低級アルコールまたはテトラヒド
ロフラン、ジエチルエーテルなどのエーテル類、ジクロ
ロメタン、クロロホルム、四塩化炭素等の脂肪族塩化物
などであり、これら1種類または2種類以上を混合して
用いることもできる。好ましくはベンゼン、トルエン、
キシレン、メタノール、エタノールなどである。
【0013】次に用いられる無機塩基の例としては、水
酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、
水酸化バリウムなどの水酸化アルカリ金属及び水酸化ア
ルカリ土類金属、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸
カルシウム、炭酸バリウムなどの炭酸化アルカリ金属及
び炭酸化アルカリ土類金属、炭酸水素ナトリウム、炭酸
水素カリウムまたナトリウムメトキシド、ナトリウムエ
トキシドなどの金属アルコキシドであり、好ましくは水
酸化ナトリウム、水酸化カリウムである。
【0014】反応温度は−20℃〜反応溶媒の還流温度
であり、好ましくは0℃〜25℃である。
【0015】反応時間は温度により異なるが、通常10
分〜100時間である。反応時の圧力は常圧〜10at
mで、好ましくは常圧近傍である。また、反応を促進さ
せるため4級アンモニウム塩を加えることもできる。用
いる4級アンモニウム塩としては、塩化テトラメチルア
ンモニウム、臭化テトラメチルアンモニウム、ヨウ化テ
トラメチルアンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニ
ウム、臭化テトラエチルアンモニウム、臭化テトラ−n
−ブチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウムハイ
ドロゲンサルフェート、ヨウ化テトラ−n−ブチルアン
モニウム、塩化トリエチルベンジルアンモニウム、臭化
トリメチルフェニルアンモニウム等である。
【0016】次に各々の原料、無機塩基、4級アンモニ
ウム塩の使用量については、1,2−ビス[(2−メル
カプトエチル)チオ]−3−メルカプトプロパン1.0
モルに対して、式(II)の化合物を1.0モル〜1
5.0モル用いる。好ましくは2.70モル〜3.90
モルである。1,2−ビス[(2−メルカプトエチル)
チオ]−3−メルカプトプロパン1.0モルに対して、
無機塩基を1.0モル〜15.0モル用いる。好ましく
は2.70モル〜7.50モルである。また4級アンモ
ニウム塩の量は1,2−ビス[(2−メルカプトエチ
ル)チオ]−3−メルカプトプロパン1.0モルに対し
て、0.001モル〜1.5モル用いる。好ましくは
0.01モル〜0.15モルである。
【0017】上記の方法で得られた反応液から、反応物
を得る方法としては抽出法、脱溶媒法等がある。ここで
抽出法に用いる溶媒としては、酢酸エチル、酢酸−n−
ブチル、酢酸イソブチル、メチルエチルケトン、ジエチ
ルエーテル、ジイソプロピルエーテル、四塩化炭素、塩
化メチレン、クロロホルム、ベンゼン、トルエン、キシ
レン、n−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、
n−アミルアルコール等および反応に用いた有機溶媒で
ある。
【0018】上記方法にて得られた式(I)で表される
化合物の精製法については、蒸留法、カラム精製法、水
洗法、酸洗法等を用いることが出来る。
【0019】さらに本発明においては、また1,2−ビ
ス[(2−メルカプトエチル)チオ]−3−メルカプト
プロパンと式(II)で表される化合物から式(II
I)
【化6】 (式中、XはBrまたはClを示す。)で表される化合
物を製造後、単離あるいは単離することなく、無機塩基
と反応させ式(I)で表される化合物を製造することも
できる。
【0020】式(III)で表される化合物は1,2−
ビス[(2−メルカプトエチル)チオ]−3−メルカプ
トプロパンと式(II)で表される化合物を1,2−ビ
ス[(2−メルカプトエチル)チオ]−3−メルカプト
プロパンと式(II)化合物に不活性な有機溶媒または
水中または有機溶媒と水の混合溶媒中、無機塩基の存在
下、反応させることにより得られる。
【0021】ここで用いられる有機溶媒としては、ベン
ゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素化合物
またはメタノール、エタノール、n−プロパノール、i
−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、s
ec−ブタノール等の低級アルコールまたはテトラヒド
ロフラン、ジエチルエーテルなどのエーテル類、ジクロ
ロメタン、クロロホルム、四塩化炭素等の脂肪族塩化物
などであり、これら1種類または2種類以上を混合して
用いることもできる。好ましくはベンゼン、トルエン、
キシレン、メタノール、エタノールなどである。
【0022】次に用いられる無機塩基の例としては、水
酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、
水酸化バリウムなどの水酸化アルカリ金属及び水酸化ア
ルカリ土類金属、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸
カルシウム、炭酸バリウムなどの炭酸化アルカリ金属及
び炭酸化アルカリ土類金属、炭酸水素ナトリウム、炭酸
水素カリウムまたはナトリウムメトキシド、ナトリウム
エトキシドなどの金属アルコキシドであり、好ましくは
水酸化ナトリウム、水酸化カリウムである。
【0023】反応温度は−20℃〜反応溶媒の環流温度
であり、好ましくは0℃〜25℃である。
【0024】反応時間は温度により異なるが、通常10
分〜100時間である。反応時の圧力は常圧〜10at
mで、好ましくは常圧近傍である。また、反応を促進さ
せるため4級アンモニウム塩を加えることもできる。用
いる4級アンモニウム塩としては、塩化テトラメチルア
ンモニウム、臭化テトラメチルアンモニウム、ヨウ化テ
トラメチルアンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニ
ウム、臭化テトラエチルアンモニウム、臭化テトラ−n
−ブチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウムハイ
ドロゲンサルフェート、ヨウ化テトラ−n−ブチルアン
モニウム、塩化トリエチルベンジルアンモニウム、臭化
トリメチルフェニルアンモニウム等である。
【0025】次に各々の原料、無機塩基、4級アンモニ
ウム塩の使用量については、1,2−ビス[(2−メル
カプトエチル)チオ]−3−メルカプトプロパン1.0
モルに対して、式(II)の化合物を1.0モル〜1
5.0モル用いる。好ましくは2.70モル〜3.90
モルである。また無機塩基の量は1,2−ビス[(2−
メルカプトエチル)チオ]−3−メルカプトプロパン
1.0モルに対して、0.001モル〜3.0モル用い
る。好ましくは0.01モル〜0.15モルである。ま
た4級アンモニウム塩の量は1,2−ビス[(2−メル
カプトエチル)チオ]−3−メルカプトプロパン1.0
モルに対して、0.001モル〜1.5モル用いる。好
ましくは0.01モル〜0.15モルである。
【0026】上記の方法で得られた反応液から、反応物
を得る方法としては抽出法、脱溶媒法等がある。ここで
抽出法に用いる溶媒としては、酢酸エチル、酢酸−n−
ブチル、酢酸イソブチル、メチルエチルケトン、ジエチ
ルエーテル、ジイソプロピルエーテル、四塩化炭素、塩
化メチレン、クロロホルム、ベンゼン、トルエン、キシ
レン、n−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、
n−アミルアルコール等および反応に用いた有機溶媒で
ある。
【0027】上記方法にて得られた式(III)で表さ
れる化合物の精製法については、蒸留法、カラム精製
法、水洗法、酸洗法等を用いることが出来る。
【0028】次に式(I)で表される化合物は式(II
I)で表される化合物を式(III)と不活性な有機溶
媒または水中または有機溶媒と水の混合溶媒中、無機塩
基と反応させる方法によっても得ることができる。その
際、用いる式(III)の化合物は単離したものあるい
は単離しないものいずれも用いることができる。
【0029】ここで用いられる有機溶媒としては、ベン
ゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素化合物
またはメタノール、エタノール、n−プロパノール、i
−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、s
ec−ブタノール等の低級アルコールまたはテトラヒド
ロフラン、ジエチルエーテルなどのエーテル類、ジクロ
ロメタン、クロロホルム、四塩化炭素等の脂肪族塩化物
などであり、これら1種類または2種類以上を混合して
用いることもできる。好ましくはベンゼン、トルエン、
キシレン、メタノール、エタノールなどである。
【0030】次に用いられる無機塩基の例としては、水
酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、
水酸化バリウムなどの水酸化アルカリ金属及び水酸化ア
ルカリ土類金属、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸
カルシウム、炭酸バリウムなどの炭酸化アルカリ金属及
び炭酸化アルカリ土類金属、炭酸水素ナトリウム、炭酸
水素カリウムまたナトリウムメトキシド、ナトリウムエ
トキシドなどの金属アルコキシドであり、好ましくは水
酸化ナトリウム、水酸化カリウムである。
【0031】反応温度は−20℃〜反応溶媒の還流温度
であり、好ましくは0℃〜25℃である。
【0032】反応時間は温度により異なるが、通常10
分〜100時間である。反応時の圧力は常圧〜10at
mで、好ましくは常圧近傍である。また、反応を促進さ
せるため4級アンモニウム塩を加えることもできる。用
いる4級アンモニウム塩としては、塩化テトラメチルア
ンモニウム、臭化テトラメチルアンモニウム、ヨウ化テ
トラメチルアンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニ
ウム、臭化テトラエチルアンモニウム、臭化テトラ−n
−ブチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウムハイ
ドロゲンサルフェート、ヨウ化テトラ−n−ブチルアン
モニウム、塩化トリエチルベンジルアンモニウム、臭化
トリメチルフェニルアンモニウム等である。
【0033】次に各々の無機塩基、4級アンモニウム塩
の使用量については、式(III)の化合物1.0モル
に対して、無機塩基を1.0モル〜15.0モル用い
る。好ましくは2.70モル〜7.50モルである。ま
た4級アンモニウム塩の量は式(III)の化合物1.
0モルに対して、0.001モル〜1.5モル用いる。
好ましくは0.01モル〜0.15モルである。
【0034】上記の方法で得られた反応液から、反応物
を得る方法としては抽出法、脱溶媒法等がある。ここで
抽出法に用いる溶媒としては、酢酸エチル、酢酸−n−
ブチル、酢酸イソブチル、メチルエチルケトン、ジエチ
ルエーテル、ジイソプロピルエーテル、四塩化炭素、塩
化メチレン、クロロホルム、ベンゼン、トルエン、キシ
レン、n−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、
n−アミルアルコール等および反応に用いた有機溶媒で
ある。
【0035】さらに得られた式(I)で表される化合物
の精製法については、蒸留法、カラム精製法、水洗法、
酸洗法等を用いることが出来る。
【0036】次に本発明の含硫エポキシ樹脂は、式
(I)で表される化合物を重合触媒の存在下、必要に応
じて加熱処理を行うことにより得ることが出来る。
【0037】また式(I)で表される化合物と他種のエ
ポキシ化合物を重合触媒の存在下、必要に応じて加熱処
理を行い、樹脂を得ることが出来る。
【0038】他種のエポキシ化合物としてはビスフェノ
ール型エポキシ化合物、エチレングリコール変性ビスフ
ェノール型エポキシ化合物、アリシックジエポキシアセ
タール、アリシックジエポキシアジペート、アリシック
ジエポキシカルボキシレート、ビニルシクロヘキセンジ
エポキシドなどの脂肪族エポキシ化合物、ジグリシジル
フタレート、ジグリシジルテトラヒドロフタレート、ジ
グリシジルヘキサヒドロフタレート、ジメチルグリシジ
ルフタレート、ジメチルグリシジルヘキサヒドロフタレ
ート、などのグリシジルエステル系エポキシ化合物。
【0039】テトラグリシジルジアミノジフェニルメタ
ン、トリグリシジル−パラアミノフェノール、トリグリ
シジル−メタアミノフェノール、ジグリシジルアニリ
ン、ジグリシジルトルイジン、テトラグリシジルメタキ
シレンジアミン、ジグリシジルトリブロムアニリン、テ
トラグリシジルンビスアミノメチルシクロヘキサンなど
のグリシジルアミン化合物、トリグリシジルイソシアネ
ートなどの複素環式エポキシ化合物などである。
【0040】また用いる重合触媒としては、1,8−ジ
アザビシクロ〔5,4,0〕−7−ウンデセン、トリエ
チレンジアミン、N,N’−ジメチルピペラジン、ピリ
ジン、ピコリン、トリエチルアミンなどの三級アミン、
三フッ化ホウ素、トリフルオロメタンスルホン酸などの
ルイス酸、酸およびそれらの塩などである。
【0041】重合時には必要に応じて、加熱を行うこと
もできる。加熱温度は25℃〜170℃であり好ましく
は25℃〜130℃である。加熱時間は10分〜100
時間であり好ましくは10分〜5時間である。
【0042】また他の硬化剤との共重合化も可能であ
る。硬化剤としてはエチレンジアミン、ジエチレントリ
アミン、トリエチレンテトラミンイソフォロンジアミ
ン、キシリレンジアミンなどの脂肪族アミン、メタフェ
ニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノ
ジフェニルスルフォンなどの芳香族アミン、ドデセニル
無水コハク酸、ポリアジピン酸無水物、ポリアゼライン
酸無水物などの脂肪族酸無水物、メチルテトラヒドロ無
水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ヘキサ
ヒドロ無水フタル酸などの脂環式酸無水物、無水フタル
酸、無水トリメリット酸、無水ピロメッリト酸などの芳
香族酸無水物、無水ヘット酸、テトラブロモ無水フタル
酸などのハロゲン系酸無水物、ジシアンジアミドなどの
塩基性活性水素化合物、イミダゾール化合物、1,2−
ビス[(2−メルカプトエチル)チオ]−3−メルカプ
トプロパン、ビスメルカプトエチルスルヒドなどのポリ
メルカプタン系硬化剤、トリレンジイソシアネートなど
のイソシアネート化合物などである。
【0043】さらに必要に応じて内部離型剤、光安定
剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、染色剤、充填剤などを
加えることができる。
【0044】また本発明によってレンズを製造する場合
は、通常、注型重合法が好適である。具体的には式
(I)で表される含硫エポキシ化合物または式(I)で
表される化合物と1種以上の硬化剤に重合触媒を加えて
混合し、この混合液を必要に応じて適当な方法で脱泡を
行った後、モールド中に注入し、25℃〜170℃の温
度にて重合させる。この際、重合後の離型性を容易にす
るため、モールドに公知の離型処理を施して、あるいは
内部離型剤を添加してもかまわない。このようにして得
られる本発明にかかる含硫エポキシ系樹脂は無色透明
で、高屈折率、低分散、耐衝撃性に優れた特徴を有して
おり眼鏡レンズ、カメラレンズ等の光学素材材料やグレ
ージング材料として好適である。また本発明にかかるレ
ンズは必要に応じて反射防止、高硬度付与、耐磨耗性向
上、防曇性付与、あるいはファッション性付与等の改良
を行うため、表面研磨、帯電防止処理、ハードコート処
理、無反射コート処理、染色処理、調光処理等の物理的
あるいは化学的処理を施すことが出来る。
【0045】
【実施例】次に実施例を挙げて本発明化合物の製造法を
具体的に説明する。尚、樹脂の耐衝撃性試験は直径3c
m、厚さ1.5mmの試料を作成し、127cmの高さ
より所定の重量の鉄球を落下し、割れなかったものを
○、割れたものを×とした。
【0046】実施例1 1,2−ビス[(2−メルカプトエチル)チオ]−3−
メルカプトプロパン33.8g(0.13モル)とメタ
ノール1000ml、水酸化ナトリウム15.6g
(0.39モル)を、3lの反応フラスコに仕込み、完
全に溶解するまで撹拌した。次にエピクロルヒドリン3
7.8g(0.409モル)を室温下、1時間かけて滴
下した。その後、室温で3時間撹拌した。その後、10
時間、室温にて撹拌した。次に水300mlを加え、エ
バポレーターで脱溶媒した。冷却後、酢酸エチル200
mlを加え抽出した。これを2回繰り返した後0.1N
塩酸水溶液100mlで洗浄後、飽和食塩水100ml
で洗浄後エバポレーターで脱溶媒し4,7,10,13
−テトラチア−9−(2−チア−4−ペンテンオキサイ
ド)−1,15−N−ヘキサデカジエンジオキサイドを
16.7g得た。(収率30%) IRνneatcm-1:2990,1412 NMR(270MHz,CDCl3)δppm:2.5
5〜3.20(28H,m).
【0047】実施例2 1,2−ビス[(2−メルカプトエチル)チオ]−3−
メルカプトプロパン33.8g(0.13モル)とメタ
ノール150ml、水酸化ナトリウム0.15g(0.
0038モル)を1lの反応フラスコに入れ、完全に溶
解するまで撹拌した。次にエピクロロヒドリン37.9
g(0.41モル)を室温下、1時間かけて滴下した。
その後、室温で3時間撹拌した。エバポレーターで脱溶
媒後、シリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル:n
−ヘキサン=1:3)で分離し1,2−ビス[(1,4
−ジチア−6−ヒドロキシ−7−クロロ)−n−ヘプチ
ル]−3−[(1−チア−3−ヒドロキシ−4−クロ
ロ)−n−ブチル]プロパンを52.4g得た。(収率
75%) IRνneatcm-1:3402,1425 NMR(270MHz,CDCl3)δppm:2.7
0〜3.10(22H,m),3.60〜3.75(6
H,m),3.95〜4.05(3H,m)
【0048】実施例3 実施例2に示した1,2−ビス[(1,4−ジチア−6
−ヒドロキシ−7−クロロ)−n−ヘプチル]−3−
[(1−チア−3−ヒドロキシ−4−クロロ)−n−ブ
チル]プロパン52.4g(0.0975モル)とトル
エン600ml、水酸化ナトリウム21.2g(0.5
31モル)を1000mlの水に溶かした水酸化ナトリ
ウムを3lの反応フラスコに仕込んだ。次にテトラ−n
−ブチルアンモニウムブロマイド2.4gを加え、室温
で3時間撹拌した。酢酸エチル500mlを加え抽出し
た。さらにこれを2回繰り返した後、0.1N塩酸水溶
液300mlで洗浄後、飽和食塩水100mlで洗浄
し、エバポレーターで脱溶媒し、4,7,10,13−
テトラチア−9−(2−チア−4−ペンテンオキサイ
ド)−1,15−N−ヘキサデカジエンジオキサイドを
31.3g得た。(収率75%)
【0049】実施例4 1,2−ビス[(2−メルカプトエチル)チオ]−3−
メルカプトプロパン33.8g(0.13モル)とメタ
ノール150ml、水酸化ナトリウム0.15g(0.
0038モル)を500mlの反応フラスコに仕込み、
完全に溶解するまで撹拌した。次にエピクロルヒドリン
37.8g(0.409モル)を室温下、1時間かけて
滴下した。その後、室温で3時間撹拌した。その後、1
0時間、室温にて撹拌した。次にエバポレーターで脱溶
媒後の反応物をトルエン400mlに溶解し、1000
mlの水に溶かした水酸化ナトリウム22.7g(0.
567モル)と共に3lの反応フラスコに装入した。次
に、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド2.4
gを加え、室温で3時間撹拌した。酢酸エチル500m
lを加え抽出した。これを2回繰り返した後0.1N塩
酸水溶液300mlで洗浄後、飽和食塩水100mlで
洗浄後エバポレーターで脱溶媒し4,7,10,13−
テトラチア−9−(2−チア−4−ペンテンオキサイ
ド)−1,15−N−ヘキサデカジエンジオキサイドを
23.4g得た(収率42%)。
【0050】実施例5 実施例1に示した4,7,10,13−テトラチア−9
−(2−チア−4−ペンテンオキサイド)−1,15−
N−ヘキサデカジエンジオキサイド10.0gとトリエ
チルアミン0.1g、内部離型剤としてZelec−U
N0.01gを撹拌したものを100mlのガラス製サ
ンプル管に入れ、120℃で1時間オーブン加熱し、無
色の樹脂を得た。 nd=1.63 νd=39.0 耐衝撃性試験 100g=○
【0051】実施例6 実施例1に示した4,7,10,13−テトラチア−9
−(2−チア−4−ペンテンオキサイド)−1,15−
N−ヘキサデカジエンジオキサイド10.0gと4−メ
チルヘキサヒドロフタル酸無水物7.9gとトリエチル
アミン0.1g、内部離型剤としてZelec−UN
0.1gを撹拌したものを100mlのガラス製サンプ
ル管に入れ、120℃で2時間オーブン加熱し、淡黄色
の樹脂を得た。 nd=1.55 νd=50.1
【0052】実施例7 実施例1に示した4,7,10,13−テトラチア−9
−(2−チア−4−ペンテンオキサイド)−1,15−
N−ヘキサデカジエンジオキサイド10.0gと1,2
−ビス[(2−メルカプトエチル)チオ]−3−メルカ
プトプロパン6.1gとトリエチルアミン0.1g、内
部離型剤としてZelec−UN0.1gを撹拌したも
のを100mlのガラス製サンプル管に入れ、120℃
で2時間オーブン加熱し、淡黄色の樹脂を得た。 nd=1.67 νd=35.9 耐衝撃性試験 100g=○
【0053】実施例8 実施例1に示した4,7,10,13−テトラチア−9
−(2−チア−4−ペンテンオキサイド)−1,15−
N−ヘキサデカジエンジオキサイド30.0gとトリエ
チルアミン0.3g、内部離型剤としてZelec−U
N0.03gを撹拌し均一溶液とし、十分に脱泡したも
のをガラスモールドとガスケットよりなるモールド型中
に注入した。120℃で3時間オーブン加熱し、無色の
マイナスレンズを得た。 nd=1.63 νd=39.0 耐衝撃性試験は中心厚1.5mmのマイナスレンズを作
成し、127cmの高さより所定の重量の鉄球を落下
し、割れなかったものを○、割れたものを×とした。1
14g=○
【0054】比較例1 エチレングリコールジグリシジルエーテル10.0gと
トリエチルアミン0.1g、内部離型剤としてZele
c−UN0.01gを撹拌したものを100mlのガラ
ス製サンプル管に入れ、120℃で2時間オーブン加熱
し、淡黄色の樹脂を得た。 nd=1.50 νd=61.3
【0055】比較例2 ビニルシクロヘキセンジエポキシド10.0gとテトラ
キス(2ーメルカプトエチルチオメチル)メタン4.4
gとトリエチルアミン0.05g、内部離型剤としてZ
elec−UN0.01gを撹拌したものを100ml
のガラス製サンプル管に入れ、50℃で2時間オーブン
加熱し、淡黄色の樹脂を得た。 nd=1.64 νd=44.0 耐衝撃性試験 100g=×
【0056】
【発明の効果】本発明に係る4,7,10,13−テト
ラチア−9−(2−チア−4−ペンテンオキサイド)−
1,15−N−ヘキサデカジエンジオキサイドを見出
し、該化合物を重合してなる高屈折率の樹脂を提供する
ことが出来た。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07D 303/00 - 303/34 C08G 59/32 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式(I) 【化1】 で表される含硫エポキシ化合物。
  2. 【請求項2】 1,2−ビス[(2−メルカプトエチ
    ル)チオ]−3−メルカプトプロパンと請式(II)で
    表される化合物 【化2】 (式中、XはBrまたはClを示す。)を無機塩基の存
    在下、反応させることを特徴とする請求項1記載の式
    (I)で表される含硫エポキシ化合物の製造法。
  3. 【請求項3】 1,2−ビス[(2−メルカプトエチ
    ル)チオ]−3−メルカプトプロパンと請求項2記載の
    式(II)で表される化合物を無機塩基の存在下、反応
    させ式(III)で表される化合物を製造後、 【化3】 (式中、Xは式(II)に同じ。)単離あるいは単離す
    ることなく、無機塩基の存在下、反応させることを特徴
    とする請求項1記載の式(I)で表される含硫エポキシ
    化合物の製造法。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の式(I)で表される化合
    物を重合触媒の存在下、重合させることを特徴とする樹
    脂の製造法。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載の製造法で得られる樹
    脂。
  6. 【請求項6】 請求項1に記載の式(1)で表わされる
    化合物と脂肪族アミン、芳香族アミン、脂肪族酸無水
    物、脂環式酸無水物、芳香物酸無水物、ハロゲン系酸無
    水物、塩基性活性水素化合物、イミダゾール化合物、ポ
    リメルカプタン系硬化剤、イソシアネート化合物の一種
    以上の硬化剤を重合触媒存在下、重合させる樹脂の製造
    方法。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載の製造法で得られる樹
    脂。
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