JP5717120B2 - 多官能チオールと金属化合物との重縮合反応による金属錯体ならびに有機−無機ハイブリッド材料 - Google Patents

多官能チオールと金属化合物との重縮合反応による金属錯体ならびに有機−無機ハイブリッド材料 Download PDF

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本発明は、金属錯体ならびに有機−無機ハイブリッド材料に関するものであり、さらに詳しくは、多官能チオールと金属化合物との重縮合反応による金属錯体ならびに有機−無機ハイブリッド材料に関するものである。
近年、ハイブリッド化によりそれぞれが単独でもつ特性を併せもつ機能性材料を得ることを目的として、ハイブリッド材料に関する研究が盛んに行われている。有機−無機ハイブリッド材料で言えば、有機物の柔軟性や加工性と、無機物の耐久性や熱安定性等がそれぞれから獲得できる特性である。
このようなハイブリッド材料は、様々な優れた特性を生かし、光学材料、電子材料、医療機器等の広い分野において使用されている。最近では、単なる有機物と無機物との混合物から、分子レベルで両構造がハイブリッド化した材料が注目されており、これらは、屈折性、誘電性、分散性、透明性等に優れる場合もある。このように、ハイブリッド化する構造をより化学結合レベルにまで掘り下げていくことで、これまでは達成できなかった機能の発現が期待されている。
従来、有機−無機ハイブリッド材料としては、アルコキシシランを用いて、加水分解と縮合を繰り返すことにより、ケイ素−酸素結合を繰り返し単位とするポリシロキサン(非特許文献1)、シラノール基による水素結合等の分子間力を利用して有機構造を導入したもの(非特許文献2)等が知られている。
特開2003−119193号公報
有機・無機ハイブリッドと組織再生材料, 谷原正夫, アイピーシー 有機・無機ナノ複合材料の新局面, 吉田隆, NTS A. Suzuki, D. Nagai, B. Ochiai, T. Endo, J. Polym. Sci.: Part A: Polym. Chem, 2004, 42, 5983-5989 A. Suzuki, D. Nagai, B. Ochiai, T. Endo, Macromolecules, 2004, 37, 8823-8824
しかしながら、上記したような従来の有機−無機ハイブリッド材料には、無機原子や有機構造の自由度、あるいは、耐久性、機械特性、屈折性、誘電性、分散性、透明性等の諸物性においてさらに改善の余地も残されている。このような背景において、従来とは異なる観点に基づく新規な有機−無機ハイブリッド材料の合成法を確立することは重要である。
本発明は、以上の通りの事情に鑑みてなされたものであり、各種の分野への応用が期待できる新規な金属錯体ならびに有機−無機ハイブリッド材料を提供することを課題としている。特に、本発明においては、種々の樹脂に分散させることで樹脂に所望の特性を付与することが可能な金属錯体を提供すると共に、当該金属錯体を樹脂に分散して得られる有機−無機ハイブリッド材料を提供することを課題としている。
本発明の金属錯体は、下記式(I):
Figure 0005717120
(式中、R1〜R5は、水素原子、C1-C40飽和脂肪族炭化水素基、C1-C40不飽和脂肪族炭化水素基、C1-C40脂環式炭化水素基、C1-C40芳香族炭化水素基、C1-C40芳香族複素環基、C1-C40ヘテロ原子含有基、およびこれらにハロゲン原子、水酸基、アミノ基、C1-C6アルキル基、C2-C6アルケニル基、C1-C6アルコキシ基、C2-C6アルコキシカルボニル基、C6-C10アリールオキシ基、C2-C8ジアルキルアミノ基、およびC2-C8アシル基から選ばれるいずれかの置換基を導入したものを示す。R6は、イソシアヌル酸残基、C1-C40飽和脂肪族炭化水素残基、C1-C40不飽和脂肪族炭化水素残基、C1-C40脂環式炭化水素残基、C1-C40芳香族炭化水素残基、C1-C40芳香族複素環残基、C1-C40ヘテロ原子含有残基、およびこれらにハロゲン原子、水酸基、アミノ基、C1-C6アルキル基、C2-C6アルケニル基、C1-C6アルコキシ基、C2-C6アルコキシカルボニル基、C6-C10アリールオキシ基、C2-C8ジアルキルアミノ基、およびC2-C8アシル基から選ばれるいずれかの置換基を導入したものを示す。nは2〜6の整数を示す。Mはアルミニウム、チタン、亜鉛、ジルコニウム、スズ、鉛、ビスマス、ランタン、およびハフニウムから選ばれる金属イオンを示す。)で表される構成単位からなり、構成単位同士が硫黄原子Sと金属イオンMとの結合により連結している。
また、本発明の金属錯体は、下記式(II):
Figure 0005717120
(式中、R1〜R5は、水素原子、C1-C40飽和脂肪族炭化水素基、C1-C40不飽和脂肪族炭化水素基、C1-C40脂環式炭化水素基、C1-C40芳香族炭化水素基、C1-C40芳香族複素環基、C1-C40ヘテロ原子含有基、およびこれらにハロゲン原子、水酸基、アミノ基、C1-C6アルキル基、C2-C6アルケニル基、C1-C6アルコキシ基、C2-C6アルコキシカルボニル基、C6-C10アリールオキシ基、C2-C8ジアルキルアミノ基、およびC2-C8アシル基から選ばれるいずれかの置換基を導入したものを示す。R6は、イソシアヌル酸残基、C1-C40飽和脂肪族炭化水素残基、C1-C40不飽和脂肪族炭化水素残基、C1-C40脂環式炭化水素残基、C1-C40芳香族炭化水素残基、C1-C40芳香族複素環残基、C1-C40ヘテロ原子含有残基、およびこれらにハロゲン原子、水酸基、アミノ基、C1-C6アルキル基、C2-C6アルケニル基、C1-C6アルコキシ基、C2-C6アルコキシカルボニル基、C6-C10アリールオキシ基、C2-C8ジアルキルアミノ基、およびC2-C8アシル基から選ばれるいずれかの置換基を導入したものを示す。nは2〜6の整数を示す。)で表される多官能チオール化合物と、アルミニウム、チタン、亜鉛、ジルコニウム、スズ、鉛、ビスマス、ランタン、およびハフニウムから選ばれるいずれかの金属の塩化物、臭化物、ヨウ化物、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、ラウリル酸塩、C1-C20アルキル化物、またはシュウ酸塩とを反応させて得られるものである。
本発明の有機−無機ハイブリッド材料は、上記の金属錯体からなる。
本発明によれば、各種の分野への応用が期待できる新規な金属錯体ならびに有機−無機ハイブリッド材料が提供される。
本発明に係る金属錯体においては、各構成単位に硫黄原子と金属原子を安定的に含有することができると共に、金属錯体を分散させる樹脂に応じてR〜Rで示される原子群を選択することで、当該金属錯体を種々の樹脂に高密度で均一に分散させた有機−無機ハイブリッド材料を提供することが可能となる。これにより、従来は樹脂中への分散が困難であった金属原子について、樹脂中への安定的な分散が可能になり、樹脂の特性改善と機能付与が可能になる。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明の金属錯体は、上記式(I)で表される構成単位からなる。本発明の金属錯体においては、所定の位置にチオール基とC=S結合が存在する。式(I)で示される構造でチオール基とC=S結合が配置されることで、チオール基の水素原子と置換して種々の金属原子が硫黄原子と結合を形成すると共に、C=S結合が存在することにより当該結合を安定化して、各構成単位内に金属原子を安定的に包含することが可能となる。また、構成単位に含まれるR1〜R5について、金属錯体を分散させる樹脂に応じて適宜の原子群を選択して設けることで、金属錯体を高密度で樹脂に分散させることが可能になる。
式(I)において、R1〜R5は、金属錯体を分散させる樹脂や、樹脂に付加する特性に応じて選択されるものであり、水素原子、C1-C40、好ましくはC1-C20飽和脂肪族炭化水素基、C1-C40、好ましくはC1-C20不飽和脂肪族炭化水素基、C1-C40、好ましくはC1-C20脂環式炭化水素基、C1-C40、好ましくはC1-C20芳香族炭化水素基、C1-C40、好ましくはC1-C20芳香族複素環基、C1-C40、好ましくはC1-C20ヘテロ原子含有基、およびこれらにハロゲン原子、水酸基、アミノ基、C1-C6アルキル基、C2-C6アルケニル基、C1-C6アルコキシ基、C2-C6アルコキシカルボニル基、C6-C10アリールオキシ基、C2-C8ジアルキルアミノ基、およびC2-C8アシル基から選ばれるいずれかの置換基を導入することができる。
飽和脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、iso-ペンチル基、sec-ペンチル基、neo-ペンチル基、tert-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基等のC1-C40、好ましくはC1-C20アルキル基等が挙げられる。
不飽和脂肪族炭化水素基としては、例えば、ビニル基、アリル基等のC2-C40、好ましくはC2-C20アルケニル基、エチニル基等のC2-C40、好ましくはC2-C20アルキニル基等が挙げられる。
脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、ノルボルニル基等のC3-C40、好ましくはC3-C20シクロアルキル基、シクロヘキセニル基等のC3-C40、好ましくはC3-C20シクロアルケニル基等が挙げられる。
芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等のC6-C40、好ましくはC6-C20アリール基、ベンジル基、フェネチル基等のC7-C40、好ましくはC7-C20アリールアルキル基等が挙げられる。
芳香族複素環基としては、例えば、ピロリル基、フラニル基、チエニル基、イミダゾリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、ピラゾリル基、ピリジル基、ピリダジル基、ピリミジル基等のC4-C40、好ましくはC4-C20の単環または多環の複素環基等が挙げられる。
ヘテロ原子含有基としては、例えば、エーテル結合含有基、チオエーテル結合含有基、カルボニル基含有基、エステル結合含有基、アミド結合含有基等のC2-C40、好ましくはC2-C20ヘテロ原子含有基等が挙げられる。
R6は、イソシアヌル酸残基、C1-C40、好ましくはC1-C20飽和脂肪族炭化水素残基、C1-C40、好ましくはC1-C20不飽和脂肪族炭化水素残基、C1-C40、好ましくはC1-C20脂環式炭化水素残基、C1-C40、好ましくはC1-C20芳香族炭化水素残基、C1-C40、好ましくはC1-C20芳香族複素環残基、C1-C40、好ましくはC1-C20ヘテロ原子含有残基、およびこれらにハロゲン原子、水酸基、アミノ基、C1-C6アルキル基、C2-C6アルケニル基、C1-C6アルコキシ基、C2-C6アルコキシカルボニル基、C6-C10アリールオキシ基、C2-C8ジアルキルアミノ基、およびC2-C8アシル基から選ばれるいずれかの置換基を導入したものである。
これらの残基はn価の基であり、その具体例としては、R1〜R5において上記に例示した1価の基に対応するものが挙げられる。
nは2〜6、好ましくは2〜4の整数を示す。
Mは金属イオンを示し、金属錯体を分散させることにより樹脂に付与したい特性に応じた金属イオンを選択して用いることができる。特に、本発明に係る金属錯体を樹脂の屈折率向上剤として用いる場合には、金属錯体を樹脂に分散させた際に可視光域に吸収帯を生じない金属イオンとしてアルミニウム、チタン、亜鉛、ジルコニウム、スズ、鉛、ビスマス、ランタン、およびハフニウムから選ばれる金属イオンを用いることが望ましい。
なお、以上において上記式(I)について説明したが、これらの事項は上記式(II)についても同様である。
上記に例示した中でも、R6がイソシアヌル酸残基であり、ここから3つのチオカルボニル基をもつチオウレタン構造とチオール構造をともに有する有機構造を併せもつトリチオール化合物は、合成が簡便であり、金属錯体の合成も進行し易い。この場合、好ましいR4およびR5の組み合わせは、一方が水素原子で他方がC4-C30アルキル基またはC7-C30アラルキル基であり、より好ましくは、一方が水素原子で他方がC8-C20アルキル基である。炭素数が少な過ぎると、亜鉛化合物等の金属化合物との反応において不溶性の化合物や難溶性の化合物が生じる傾向があり、炭素数が大き過ぎると、金属錯体を樹脂に分散した際の屈折率の向上効果が小さくなる。さらに、以上の場合において好ましいR1、R2、R3は水素原子であり、その他の構造では原料の入手が困難である場合がある他、金属錯体を樹脂に分散した際の屈折率の向上効果が小さくなる場合がある。
本発明の金属錯体は、数平均分子量Mnが、好ましくは1000〜100000、より好ましくは1500〜20000である。数平均分子量と重量平均分子量との比(Mw/Mn)が、好ましくは1.0〜5.0、より好ましくは1.0〜2.0である。
なお、これらはテトラヒドロフランもしくはN,N−ジメチルホルムアミドを溶出溶媒とするサイズ排除クロマトグラフィーにより測定することができる。
そして本発明の金属錯体は、上記の構成単位同士が硫黄原子Sと金属イオンMとの結合により連結している。ここで、本発明の金属錯体は、式(I)の構成単位からなるものであるが、チオール構造(−SH)が一部残存している場合や、これと等価な末端構造を有する場合も包含される。
また、「構成単位同士が硫黄原子Sと金属イオンMとの結合により連結している」とは、主として式(I)のチオール残基同士の−S−M−S−の結合を意味するが、これに加えて、その一部がチオカルボニル基(=S)により代替されていてもよい。すなわち=S−M−S−の形態の分子内または分子間結合が存在していてもよい。
本発明の金属錯体が、チオールと金属化合物の反応によって、硫黄と金属との間に結合を生じて生成していることは、核磁気共鳴(NMR)スペクトルや赤外吸収(IR)スペクトルから確認することができ、金属錯体中に金属が含まれていることはエネルギー分散型X線分光測定により確認できる。
この金属錯体は、たとえば、任意の樹脂中に分散させることが可能であり、分散相の粒子径が5〜10nm程度のナノレベルの有機−無機ハイブリッド材料を得ることができる。このようにほぼ均一なナノ粒子として有機−無機ハイブリッド材料を得ることができる場合には、樹脂に分散した際に光散乱を起こしにくくなる。
本発明の金属錯体は、上記のチオカルボニル基をもつチオウレタン構造とチオール構造をともに有する式(II)の化合物と金属化合物とを反応させて合成することができる。金属化合物としては、アルミニウム、チタン、亜鉛、ジルコニウム、スズ、鉛、ビスマス、ランタン、またはハフニウムの塩化物、臭化物、ヨウ化物、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、ラウリル酸塩、C1-C20のアルキル化物、シュウ酸塩等が挙げられる。中でも、金属錯体の透明性や高屈折性の点等を考慮すると、亜鉛、スズ、鉛の酢酸塩が好ましい。
式(II)の化合物と金属化合物との重縮合による合成反応は、例えば、金属化合物を溶媒中に溶解させて行うことができる。温度、圧力、時間等の反応条件は原料等に応じて特に限定されないが、例えば、常温から100℃、常圧、1〜24時間で行うことができる。なお、チオールは特に塩基性下で酸化カップリングによりジスルフィド結合を形成し易いことから、窒素雰囲気中の中性もしくは弱塩基性の条件下で反応を進行させることが好ましい。
上記式(II)のR6がイソシアヌル酸残基の場合、この多官能チオール化合物は、環状ジチオカーボネートを経由し次のようにして合成することができる(特許文献1、非特許文献3、4参照)。この環状ジチオカーボネートは、臭化リチウムを触媒とした二硫化炭素と三官能性エポキシドとの反応により得られる(非特許文献3)。この反応は室温等の温和な条件下でも高選択的かつ定量的に進行し、硫黄を容易に有機化合物に導入できる。
環状ジチオカーボネートの原料であるエポキシドは、様々な多官能体が入手可能であるため、これらを環状ジチオカーボネートに変換できれば、安定な多官能チオールの前駆体として利用できる。
そして、この環状ジチオカーボネートへのアミンの求核付加により三官能性チオールが得られる(非特許文献4)。以上の一連の反応により、多官能性チオールを簡便に合成することができる。また、アミンのもつ官能基によって得られるチオールの特性も変わるため、用途に応じた多官能チオール化合物を合成することも可能である。
本発明によれば、チオールと金属との親和性を利用して、従来の有機−無機ハイブリッド材料にはない新規な態様での金属とのハイブリッド化を行うことが可能となり、これにより得られる有機−無機ハイブリッド材料は、光学特性等の諸物性に優れた機能性材料として様々な分野で応用が期待できる。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
<合成例1> トリス-(2,3-エポキシプロピル)イソシアネートと二硫化炭素による三官能性五員環ジチオカーボナートの合成
ナスフラスコにトリス-(2,3-エポキシプロピル)イソシアネート(TEPIC, 2.98g, 10.0mmol)、二硫化炭素(3.6 ml, 60 mmol)、触媒として臭化リチウム(0.044 g, 0.050 mmol, 5.0 mol%)、アセトニトリル(10 ml)を入れ、室温で24時間撹拌した。反応終了後、濾過により沈殿物を回収し、クロロホルムで洗浄後、減圧乾燥し、白色固体を得た(2.28g, 4.34mmol, 44 %)。
<合成例2> 三官能性五員環ジチオカーボネートとオクタデシルアミンとの反応によるトリチオールの合成
ナスフラスコに合成例1で得た三官能性五員環ジチオカーボネート(1.05g, 2.00mmol)、オクタデシルアミン(1.62g, 6.02mmol)、THF(5ml)を入れ、窒素雰囲気下、室温で24時間撹拌した。反応終了後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:[酢酸エチル/ヘキサン]=[1/10])により精製し、溶媒を留去後、白色固体を得た(2.03g, 1.52mmol, 76.0%)。得られた白色固体は[化3]の左項に記載するオクタデシル基を持つトリチオールであることを確認した。
<実施例1> 金属錯体の合成
次のスキームに従って金属錯体を合成した。
Figure 0005717120
試験管に酢酸亜鉛(0.055g, 0.30mmol)、ジオキサン(5ml)を加えて、窒素雰囲気下で熱を加えながら撹拌して酢酸亜鉛を溶解させた。溶解後、ナスフラスコに移し、合成例2で合成したオクタデシル基を持つトリチオール(0.268g, 0.201mmol) を加え、窒素雰囲気下で、24時間、60℃で撹拌した。反応終了後、揮発成分を留去し、残留物をTHFに溶かして、メタノールによる沈殿精製を行った。回収後、冷却したジエチルエーテルで洗浄し、減圧乾燥して白色の亜鉛錯体を得た (0.131g)。エネルギー分散型X線分光分析により求めた亜鉛錯体中のイオウと亜鉛の存在比は1:3.5であった(理論値1:4.0)。また、得られた白色固体をNMR、IR等により測定した結果を[表1]に示す。これらの測定結果より、得られた白色固体は[化3]の右項に記載する構造を有するものと推察される。
Figure 0005717120
上記実施例1において、金属錯体を合成する際の温度と溶媒(ジオキサン)の量を変更して合成した結果を表2に示す。
Figure 0005717120
なお、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)は次の条件で測定した。
ポンプ:RI検出器 : Tosoh HLC-8220 GPC
カラム:Tosoh TSK-gels super AW5000、super AW4000、super AW3000
溶離液:THF (flow late 1.0 ml/min at 40 ℃)
検量線:Polystylene Standard
[表2]に示すように、金属錯体を合成する際の温度や溶媒の量を適宜変更することで、得られる亜鉛錯体の分子量を調整することができる。
<実施例2>
[表2]のRun2で合成した亜鉛錯体0.1gとポリメタクリル酸メチル0.2gをクロロホルム2mLに溶解させ、乾燥させてフィルムを作製した。得られたフィルムは均一で無色透明であり、亜鉛錯体が樹脂中に微細に均一分散していることが推察された。フィルムの屈折率をアタゴ社製デジタルアッベ屈折計DR-A1を用いて測定したところ、nDは1.53であった。
<比較例1>
ポリメタクリル酸メチル0.2gをクロロホルム2mLに溶解させ、乾燥させてフィルムを作製した。フィルムの屈折率を実施例1と同様に測定したところ、nDは1.49であった。
本発明に係る亜鉛錯体を分散させた実施例2では、分散相を含まない比較例1と比較して屈折率が向上することが明らかである。これは本発明に係る亜鉛錯体においては、通常の樹脂に比較して高い屈折率を示す硫黄原子、亜鉛原子が含まれているため、これらの原子が均一に樹脂中に存在することにより樹脂全体の屈折率が向上するものである。

Claims (3)

  1. 下記式(I):
    Figure 0005717120
    (式中、R1〜R5は、水素原子、C1-C40飽和脂肪族炭化水素基、C 2 -C40不飽和脂肪族炭化水素基、C 3 -C40脂環式炭化水素基、C 6 -C40芳香族炭化水素基、C 4 -C40芳香族複素環基、C1-C40ヘテロ原子含有基、およびこれらにハロゲン原子、水酸基、アミノ基、C1-C6アルキル基、C2-C6アルケニル基、C1-C6アルコキシ基、C2-C6アルコキシカルボニル基、C6-C10アリールオキシ基、C2-C8ジアルキルアミノ基、およびC2-C8アシル基から選ばれるいずれかの置換基を導入したものを示す。R6は、イソシアヌル酸残基、C1-C40飽和脂肪族炭化水素残基、C 2 -C40不飽和脂肪族炭化水素残基、C 3 -C40脂環式炭化水素残基、C 6 -C40芳香族炭化水素残基、C 4 -C40芳香族複素環残基、C1-C40ヘテロ原子含有残基、およびこれらにハロゲン原子、水酸基、アミノ基、C1-C6アルキル基、C2-C6アルケニル基、C1-C6アルコキシ基、C2-C6アルコキシカルボニル基、C6-C10アリールオキシ基、C2-C8ジアルキルアミノ基、およびC2-C8アシル基から選ばれるいずれかの置換基を導入したものを示す。nは2〜6の整数を示す。Mはアルミニウム、チタン、亜鉛、ジルコニウム、スズ、鉛、ビスマス、ランタン、およびハフニウムから選ばれる金属イオンを示す。)で表される構成単位からなり、構成単位同士が硫黄原子Sと金属イオンMとの結合により連結している金属錯体。
  2. 下記式(II):
    Figure 0005717120
    (式中、R1〜R5は、水素原子、C1-C40飽和脂肪族炭化水素基、C 2 -C40不飽和脂肪族炭化水素基、C 3 -C40脂環式炭化水素基、C 6 -C40芳香族炭化水素基、C 4 -C40芳香族複素環基、C1-C40ヘテロ原子含有基、およびこれらにハロゲン原子、水酸基、アミノ基、C1-C6アルキル基、C2-C6アルケニル基、C1-C6アルコキシ基、C2-C6アルコキシカルボニル基、C6-C10アリールオキシ基、C2-C8ジアルキルアミノ基、およびC2-C8アシル基から選ばれるいずれかの置換基を導入したものを示す。R6は、イソシアヌル酸残基、C1-C40飽和脂肪族炭化水素残基、C 2 -C40不飽和脂肪族炭化水素残基、C 3 -C40脂環式炭化水素残基、C 6 -C40芳香族炭化水素残基、C 4 -C40芳香族複素環残基、C1-C40ヘテロ原子含有残基、およびこれらにハロゲン原子、水酸基、アミノ基、C1-C6アルキル基、C2-C6アルケニル基、C1-C6アルコキシ基、C2-C6アルコキシカルボニル基、C6-C10アリールオキシ基、C2-C8ジアルキルアミノ基、およびC2-C8アシル基から選ばれるいずれかの置換基を導入したものを示す。nは2〜6の整数を示す。)で表される多官能チオール化合物と、アルミニウム、チタン、亜鉛、ジルコニウム、スズ、鉛、ビスマス、ランタン、およびハフニウムから選ばれるいずれかの金属の塩化物、臭化物、ヨウ化物、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、ラウリル酸塩、C1-C20アルキル化物、またはシュウ酸塩とを反応させて得られる金属錯体。
  3. 請求項1または2の金属錯体からなる有機−無機ハイブリッド材料。
JP2010108776A 2010-05-10 2010-05-10 多官能チオールと金属化合物との重縮合反応による金属錯体ならびに有機−無機ハイブリッド材料 Active JP5717120B2 (ja)

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