JP4241443B2 - 音声信号処理装置、音声信号処理方法 - Google Patents
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Description
そこで、音量補正のための制御としては、歪みの防止効果と、聴感上充分とされる音量感が得られることの両立が図られるようにして適正に行われることが求められる、ということになる。また、例えばこのような音量補正のためのアルゴリズムとしても、回路規模やプログラム量に応じたメモリ使用量等を考慮すると、できるだけ簡略なものとされることが好ましい。
つまり、音量可変操作に応じて設定される音声信号のレベル値である音量操作対応レベル値をαとし、この音量操作対応レベル値αについての補正量をβとして、入力される音声信号を、レベルα+βの音声信号として出力するレベル可変手段と、上記レベル可変手段から出力される音声信号が、一定以上のレベルであるか否かを、一定時間間隔ごとに検出するレベル検出手段と、上記音声信号のレベルα+βが過大とみなされる状態である、上記レベル検出手段により上記一定以上のレベルであるとの検出結果が所定回数以上連続して得られたことを判別した場合には、3段階以上による所定の段階数の範囲において、これまでの補正量βに対して一定の単位補正量を加算して得られる新たな補正量βを設定し、上記音声信号のレベルα+βが過大とみなされない状態である、上記レベル検出手段により上記一定以上のレベルであるとの検出結果が得られる回数が、所定の連続回数に対して所定以下の割合であることを判別した場合には、3段階以上による所定の段階数の範囲において、これまでの補正量βに対して一定の単位補正量を減算して得られる新たな補正量βを設定する、補正量設定手段と、現在の上記音量操作対応レベル値αと上記補正量設定手段により設定される補正量βとにより制御用信号レベル値α+βを求め、上記入力される音声信号が上記制御用信号レベル値α+βに対応するレベルの音声信号として出力されるように上記レベル可変手段を制御するレベル制御手段とを備えることとした。
このような構成では、先ず、音量補正がどのようにしてはたらくのかは、音声信号レベルが過大な状態であるかどうかと、単位補正量の設定により決まることになる。
また、補正量設定手段(手順)は、レベル可変手段から出力された後の音声信号のレベルに基づいて、レベル可変手段(手順)から出力される音声信号のレベルを変更するための補正量を設定するようにしている。つまり、レベル可変手段(手順)に対するフィードバック制御を行っているが、これは、音量可変操作に応じてレベル可変手段(手順)が設定した音声信号レベルに対して、補正量設定手段(手順)及びレベル制御手段(手順)によるレベル可変制御が有効になるということを意味する。
また、本発明は、上記のようにして、補正量設定手段(手順)及びレベル制御手段(手順)によるレベル可変手段(手順)に対するレベル可変制御はフィードバック制御となっていることで、例えば音量可変操作による音声信号レベルの変化などに反応して、適切に補正が行われることになるものであり、これによっても、聴感上有利とされる音量補正効果が得られることとなる。
先ず、この図に示す音響再生装置においては、音声ソース入力部1が備えられている。この音声ソース入力部1は、音響再生すべき音源(音声ソース)を入力、取得する部位とされる。
そして、この場合には、音声ソース入力部1を成す部位として、CDドライブ部11とDVDドライブ部12を備えるものとされる。CDドライブ部11は、装填されたオーディオCD(Compact Disc)に対する再生を行って、セレクタ2に対してデジタルオーディオ(音声)信号を出力するようにされる。また、DVDドライブ部12は、装填されたDVD(Digital Versatile Disc)を再生する。例えば映像/音声コンテンツが記録されるDVDでは、ビデオ(映像)信号及びオーディオ信号を再生時間を同期させた形式で、例えばMPEG2フォーマットなどにより圧縮符号化して記録している。ここでの、DVDドライブ部12では、このようなDVDに対する読み出しを行って、ビデオ信号に対応するデータとオーディオ信号に対応するデータを取得するようにされる。これらビデオ信号のデータとオーディオ信号のデータうち、ビデオ信号に対応するデータは、ここでは図示していない、復調処理回路系に対して入力されるようになっている。この復調処理回路系の処理によって、ビデオ信号のデータについて、上記圧縮符号化のフォーマットに対応する復調処理が行われて、デジタルビデオ信号が得られることとなる。また、オーディオ信号のデータは、セレクタ2に対して出力される。
なお、ここでは、音声ソース入力部1における各ドライブ部の動作などは、システム制御部6により制御されるようになっている。
先ず、入力されたオーディオ信号が、例えばDVDドライブ部12にて再生されたオーディオ信号のデータであり、元からマルチチャンネルに対応しているものである場合には、先ず、圧縮符号化に対する復調処理を実行し、この復調処理の出力として、各チャンネルに対応するデジタルオーディオ信号を得るようにされる。
また、CDから再生されたデジタルオーディオ信号などをはじめとして、例えば元はL(左),R(右)の2チャンネルのフォーマットであったり、モノラルのフォーマットであるような信号である場合には、所定の信号処理を行うことで、入力されたオーディオ信号から、各チャンネルに対応するデジタルオーディオ信号を擬似的に生成して得るようにされる。
そして、これらデジタルオーディオ信号(S_FL,S_FR,S_FC,S_SL,S_SR,S_SW1,S_SW2)は、それぞれ、各チャンネルごとに対応して設けられるデジタルオーディオ信号処理ブロック(4_FL,4_FR,4_FC,4_SL,4_SR,4_SW1,4_SW2)に対して入力されるようになっている。
そして、これらデジタルオーディオ信号処理ブロック(4_FL,4_FR,4_FC,4_SL,4_SR,4_SW1,4_SW2)にて信号処理が施されたデジタルオーディオ信号は、相互の信号出力タイミングが適正なものとなるようにして調整されたうえで、各チャンネルに対応するパワーアンプブロック(5_FL,5_FR,5_FC,5_SL,5_SR,5_SW1,5_SW2)に対して入力される。
また、デジタルオーディオ信号処理ブロック(4_FL,4_FR,4_FC,4_SL,4_SR,4_SW1,4_SW2)の各々は、同一とされる所定のサンプリング周波数及び量子化ビットによるデジタルオーディオ信号を出力するものとされる。
パワーアンプブロック(5_FL,5_FR,5_FC,5_SL,5_SR,5_SW1,5_SW2)では、上記のようにして、各チャンネルに対応するデジタルオーディオ信号を入力してD級増幅動作を行って、それぞれ、スピーカ(SP_FL,SP_FR,SP_FC,SP_SL,SP_SR,SP_SW1,SP_SW2)を駆動する。これにより、スピーカ(SP_FL,SP_FR,SP_FC,SP_SL,SP_SR,SP_SW1,SP_SW2)の各々からは、対応するチャンネルの音声が出力されることになる。そして、このときに、各スピーカ(SP_FL,SP_FR,SP_FC,SP_SL,SP_SR,SP_SW1,SP_SW2)が適切な位置関係により配置されていれば、リスニングポジションとされる位置においては、良好なバランスによりサラウンド音声を聴取できることになる。
また、パワーアンプブロック(5_FL,5_FR,5_FC,5_SL,5_SR,5_SW1,5_SW2)についての所要の動作も、システム制御部6により制御可能とされている。
また、システム制御部6に対しては、ユーザインターフェイス部7が接続されている。このユーザインターフェイス部7は、ユーザが音響再生装置の動作を操作するために設けられる各種の操作子(リモートコントローラ及びそのための受信部なども含む)と、音響再生装置の動作状態などをはじめとする所要の情報を表示により提示する表示部(表示部を構成する表示デバイスは特に限定されない)7b等などの、いわゆるユーザインターフェイスとして機能する部位を総括して示している。
ユーザインターフェイス部7としては、所定の操作子に対して行われた所定操作に応じた操作コマンドをシステム制御部6に対して出力する。システム制御部6は、この入力された操作コマンドに応答して所要の制御処理を実行するようにされる。また、システム制御部6は、画像表示のための表示制御処理を実行する。これにより、表示部7bにおいて必要な内容の表示が行われる。なお、表示部7bを構成する表示デバイスは特に限定されるべきものではない。
このような音量コントロールは、システム制御部6が実行する。システム制御部6には、音量操作子7aに対して行われた操作に応じて、音量の増減量を指示する操作コマンドが入力される。システム制御部6は、この操作コマンドに応じて、デジタルオーディオ信号処理ブロック(4_FL,4_FR,4_FC,4_SL,4_SR,4_SW1,4_SW2)の各々から出力されるオーディオ信号について、同等の音量の増減が得られるように制御を行なう。このためには、例えば、デジタルオーディオ信号処理ブロック(4_FL,4_FR,4_FC,4_SL,4_SR,4_SW1,4_SW2)の各々に対して、音声信号レベルの増減を指示する制御信号を共通に出力するようにされる。
また、音量操作子7aとしては、例えばダイヤル的な操作子とされて回転操作が可能なもの、あるいは、いわゆるアップ/ダウンキーの組み合わせによるものなどをはじめ、各種考えることができる。また、表示部7bに表示されるGUI画面に対する所定操作により、音量操作子7aとしての機能が実現できるようにしてもよい。つまり、音量操作子としての操作子のタイプと、これに応じた操作態様などは特に限定されるべきものではない。
また、この図1に示す実施の形態の音響再生装置の構成はあくまでも基本的な一例を示しているに過ぎないものであり、実際としては、必要に応じた機能部位を追加したり、また、所要部位が適宜変更されるなどしても構わないものである。
デジタルフィルタ51に対しては、デジタルオーディオ信号処理ブロック4から出力される、所定のサンプリング周波数及び量子化ビット数によるデジタルオーディオ信号が入力される。そして、デジタルフィルタ51では、入力されるデジタルオーディオ信号について、元のサンプリング周波数に対する所定倍のサンプリング周波数によりリサンプリングを行う、いわゆるオーバーサンプリング等をはじめとする所要のデジタル信号処理を施す。このようにしてデジタルフィルタ51にて信号処理が施されたデジタルオーディオ信号は、ΔΣ変調器52に対して出力される。
増幅出力部54は、周知のようにして、PWM信号をスイッチングして増幅するスイッチング増幅回路と、この増幅出力を音声信号波形とするためのローパスフィルタとから成る。スイッチング増幅回路は、例えば高電圧でスイッチングを行うことのできるNチャンネルのパワーMOS−FETを備えて構成することができる。また、ローパスフィルタは、周知のようにして、インダクタ及びコンデンサを備えて形成したLCローパスフィルタが採用される。
増幅出力部54においては、先ず、PWM変調器53から入力されたPWM信号についてスイッチング増幅回路がスイッチングを行って増幅し、ローパスフィルタに通過させるようにして増幅動作を行うようにされる。これにより、スピーカSPには、音声信号波形の駆動電流が流れることになり、スピーカSPからは例えば音声が出力されることになる。
先に図1により説明したように、音声ソース入力部1において入力取得される音声ソースとしてのデジタルオーディオ信号はセレクタ2において選択され、後段に出力される結果、最終的に音声として出力されるようになっている。つまり、セレクタ2におけるデジタルオーディオ信号(つまり音声ソース)の選択は、音響再生装置におけるいわゆるファンクション切換の動作に相当する。つまり、ユーザとしては、例えば図1に示す構成の場合であれば、CD、DVD、外部入力(外部アナログオーディオ信号)などの間でファンクションの切り換えのための所定操作をユーザインターフェイス部7に対して行うようにされる。この操作に応じて、システム制御部6は、指定されたファンクション(音声ソース)に対応するデジタルオーディオ信号がセレクタ2にて選択出力されるように制御を実行する。
ここで、デジタルオーディオ信号のレベルは、ファンクションごとに異なっている場合がある。具体例として、オーディオCDの信号レベルは最大で0dBであるが、外部アナログオーディオ信号を元とするデジタルオーディオ信号は、これよりも一般に低い。このような信号レベル差が或る程度以上大きいような場合において、ファンクションを切り換えることとすれば、この切り換えに応じて再生出力される音量にも大きな差が出てくることとなって、例えば聴感上好ましくないなどの不都合が生じる。
そこで、レベル切換部41では、上記したようなファンクション間でのオーディオ信号レベルの差が一定以内となるようにして補正されるように、切り換えられたファンクションに応じてオーディオ信号レベルを、所定量シフトさせるようにしてレベル切り換えを行うようにされる。
例えばファンクションごとのオーディオ信号レベル差はほぼ決まっていることから、ファンクションごとに対応して必要となるシフトレベルも予め決定しておくことができる。そこで、例えばシステム制御部6は、ファンクション切り換えのための制御(つまりセレクタ2に対する制御)を実行するのに応じて、レベル切換部41に対して制御信号Sc1を出力することで、切り換えたファンクションに応じた信号レベルのシフトを指示するようにされる。レベル切換部41では、制御信号Sc1による指示に応じたシフトレベルを設定して、入力されるデジタルオーディオ信号についてレベルシフトを行って出力するようにされる。なお、実際にレベルをシフトするためには、例えばレベル切換部41は、シフトするレベルに応じてゲイン設定を変更するなどの処理を実行すればよい。このようにしてレベルシフトが行われる結果、音量操作子7aによる操作音量を固定とした条件での、ファンクションの切り換えに応じた再生音量は、一定範囲内に収めることが可能になる。
レベルコントロール部42は、基本的な動作として、音量操作子7aに対して行われた音量アップ/ダウンの操作に応じたシステム制御部6の制御に従って、入力されたデジタルオーディオ信号のレベル(ゲイン)を増加或いは減少させるための信号処理を実行する。
また、特に本実施の形態では、このレベルコントロール部42から出力されるデジタルオーディオ信号のレベル状態についてシステム制御部6が所定の条件判断を行うようにされている。そして、この条件判断結果に応じた制御に従って、レベルコントロール部42における実際の設定レベルを可変するようにされている。これは、例えば音量操作子7aに対する操作などによって音量が或る程度以上大きくされたのに応じて、過大入力となって音声に歪みが生じないようにすることを目的とする音量制御(音量補正制御)となる。システム制御部6は、上記音量操作子7aに対する操作に応じたレベル可変制御、及び音量補正制御のためのレベル可変制御を、レベルコントロール部42に対して制御信号Sc2を出力することにより行うようにされる。つまり、制御信号Sc2としては、例えばレベルの増減ステップを指示するものとされ、レベルコントロール部42は、この制御信号Sc2が示す増減ステップに対応して、入力されるデジタルオーディオ信号に対するレベル可変処理を行うようにされる。
この場合においては、レベルコントロール部42にてレベル設定されたデジタルオーディオ信号は、パワーアンプブロック5に対して入力されることとなっている。なお、必要に応じて、レベルコントロール部42の出力とパワーアンプブロック5の入力との間に何らかの信号処理系が介在するような実際の構成とされても構わないものである。
オーバーフロー検出部43は、パワーアンプブロック5に入力されるデジタルオーディオ信号がオーバーフローしているか否かについて検出を行う。
ここでのオーバーフローは、デジタルオーディオ信号処理のための演算結果の状態として、その信号レベルがいわゆる桁あふれとなっていることを指す。従って、このようなオーバーフローとされているデジタルオーディオ信号をパワーアンプブロック5に入力した場合には、過大入力となって出力音声が歪む状態となり得る。つまり、本実施の形態としては、パワーアンプブロック5に入力されるべきオーディオ信号が過大となって歪みが生じる状態となるか否かについての検出を、このオーディオ信号がデジタル形式であることに基づいて、オーバーフローの状態にあるか否かを検出することで行なっているものである。
そこで、システム制御部6は、リセット信号として制御信号Sc3を出力可能とされており、オーバーフロー検出部43は、この制御信号Sc3の入力に応じたタイミングで、検出フラグflgをリセットするようにされる。
この図においては、複数のレベルコントロール部42と複数のオーバーフロー検出部43が示されている。図3に示したように、レベルコントロール部42及びオーバーフロー検出部43は、デジタルオーディオ信号処理ブロック4に備えられるものであり、デジタルオーディオ信号処理ブロック4は、チャンネルごとに対応して備えられる。従って、レベルコントロール部42とオーバーフロー検出部43についても、それぞれ、チャンネルごとに対応して設けられることになる。これに応じて、図4においては、7つの各チャンネル(FL,FR,FC,SL,SR,SW1,SW2)ごとに対応して、各チャンネルごとのレベルコントロール部(42_FL,42_FR,42_FC,42_SL,42_SR,42_SW1,42_SW2)と、同じく各チャンネルごとのオーバーフロー検出部(43_FL,43_FR,43_FC,43_SL,43_SR,43_SW1,43_SW2)が示される。
また、先に図3に示した論理和演算回路8の実際としては、図4に示すようにして、第1論理和演算回路8−1と、第2論理和演算回路8−2との2つが備えられる。
つまり、先ず第1論理和演算回路8−1に対しては、フルレンジチャンネル群(FL,FR,FC,SL,SR)に対応するオーバーフロー検出部(43_FL,43_FR,43_FC,43_SL,43_SR)の各々から出力される検出フラグ(flg_FL,flg_FR,flg_FC,flg_SL,flg_SR)が入力される。
第1論理和演算回路8−1では、これら検出フラグ(flg_FL,flg_FR,flg_FC,flg_SL,flg_SR)の論理和を演算して得られる出力を、システム制御部6側が読み込むべき検出フラグflg_Hとして、システム制御部6の検出入力ポートPt1に対して出力する。
このことから、検出フラグflg_Hはフルレンジチャンネル群に対応し、検出フラグflg_Lはサブウーファーチャンネル群に対応しており、システム制御部6では、これらの検出フラグflg_H,flg_Lについて、検出入力ポートPt1,Pt2をスキャンして取り込むことで、そのフラグ状態を認識できることになる。
また、同様にして、第2論理和演算回路8−2では、サブウーファーチャンネル(SW1,SW2)の少なくとも何れか一方において、オーバーフロー検出部43によりオーバーフローであることが検出されるのに応じて、演算出力である検出フラグflg_Lを、"0"から"1"の出力に切り換える。
また、システム制御部6は、検出フラグflg_Hを読み込むごとに、例えばその直後とされるタイミングで制御信号(リセット信号)Sc3_Hを出力するようにされる。図4に示すようにして、制御信号(リセット信号)Sc3_Hは、システム制御部6の1つの出力ポートからオーバーフロー検出部(43_FL,43_FR,43_FC,43_SL,43_SR)に対して分岐して入力されるようになっており、従って、オーバーフロー検出部(43_FL,43_FR,43_FC,43_SL,43_SR)は、制御信号(リセット信号)Sc3_Hの出力に応じて同時タイミングでリセットされることになる。
同様にして、システム制御部6は、検出フラグflg_Lを読み込むごとに、例えばその直後とされるタイミングで制御信号(リセット信号)Sc3_Lを出力する。この制御信号(リセット信号)Sc3_Lも、システム制御部6の1つの出力ポートからオーバーフロー検出部(43_SW1,43_SW2)に対して分岐して入力されているから、オーバーフロー検出部(43_SW1,43_SW2)は、制御信号(リセット信号)Sc3_Lの出力に応じて同時タイミングでリセットされることになる。
先ず、システム制御部6がレベルコントロール部42に対してレベル制御を行うのにあたっては、システム制御部6がレベルコントロール部42に対して、デジタルオーディオ信号に与えるべき信号レベルを指示するようにされるが、この信号レベルを決定する処理について説明しておく。
図5は、システム制御部6による、信号レベル決定のための処理を模式的に示している。
システム制御部6では、先ず、音量操作対応レベル値設定を行うこととしている。この音量操作対応レベル値設定の処理は、音量操作子7aに対して行われた操作のみに応じて、つまり、音量操作子7aに対する操作に応じて得られる音量操作情報のみに基づいて、レベルコントロール部42にて設定されるべき音量操作対応レベル値αを決定するようにされる。
また、システム制御部6は、実際にレベルコントロール部42から出力されるデジタルオーディオ信号のレベルに基づいて、つまり、先に図4により説明した検出フラグflg_H,flg_Lに基づいて、レベル補正のための補正量に相当する、レベル補正値(β)を設定する。
システム制御部6では、このようにして得られた音量操作対応レベル値α及びレベル補正値βについて、音量操作対応レベル値αに対してレベル補正値βを加算するようにして、制御用信号レベル値(α+β)を得るようにされる。そして、この制御用信号レベル値(α+β)によりデジタルオーディオ信号の出力が行われるように制御信号Sc2を出力して、レベルコントロール部42に対する制御を行なう。
以降の説明から分かるように、第1条件を満たした状態となるのに応じては、そのときのレベル補正値βの絶対値を所定単位量増加させ、第2条件を満たした状態となるのに応じて、そのときのレベル補正値βの絶対値を所定単位量低下させるようにしている。
そして、これら第1条件と第2条件が満たされたか(成立したか)否かについての判定は、例えば図6及び図7に示すようにして、検出フラグflg_H,flg_Lの読み込み結果に基づいて行うようにされる。
図4により述べたように、システム制御部6は、検出入力ポートPt1について50msec間隔でスキャンを行って、検出フラグflg_Hを読み込むとともに、この直後とされるタイミングで、フルレンジチャンネル群に対応するオーバーフロー検出部(43_FL,43_FR,43_FC,43_SL,43_SR)をリセットするようにしている。同様にして、システム制御部6は、検出入力ポートPt2についても50msec間隔でスキャンを行い、検出フラグflg_Lを読み込むとともに、この直後とされるタイミングで、サブウーファーチャンネル群に対応するオーバーフロー検出部(43_SW1,43_SW2)をリセットする。
そして、各時点t(n)において読み込まれた検出フラグflg_H又はflg_Lの値が"0"又は"1"により示されている。
図6において、時点t(0)のタイミングでは、検出フラグflg_Hの値として"0"を読み込んでいるが、その50msec後の時点t(1)では、読み込み値が"1"に変化したとする。そして、以降の時点t(2)〜時点t(20)の各タイミングにおいても、読み込み値は、全て"1"であったとする。検出フラグflg_Hの読み込み値が"1"である状態は、これまでの説明からも理解されるように、フルレンジチャンネル群において、少なくともいずれか1つのチャンネルのオーディオ信号レベルがオーバーフロー状態にあることを示している。なお、このような状態については、以降、アクティブ状態ということにする。
先ず、検出フラグflg_Hは、フルレンジチャンネル群(FL,FR,FC,SL,SR)ごとに対応する複数の検出フラグ(flg_FL,flg_FR,flg_FC,flg_SL,flg_SR)の論理和となる。従って、検出フラグflg_Hの読み込み結果として、図6に示すようにアクティブ状態が連続して20回得られたとする場合において、1回ごとのアクティブ状態は、1以上のいずれかのチャンネルに対応する検出フラグflgが"1"となっていれば得られるものであるといえる。また、特定の1つのチャンネルに対応する検出フラグflgが"1"を継続させなくとも、他のいずれかのチャンネルに対応する検出フラグflgが"1"となっていれば、全体として、アクティブ状態が20回連続するという結果は得られるということがいえる。
このことから、検出フラグflg_Hに基づいて第1条件についての判定を行なうということは、フルレンジチャンネル群(FL,FR,FC,SL,SR)の個々のチャンネルではなく、フルレンジチャンネル群の全体的な傾向として、アクティブ状態に在るか否かを判定しているものであるということがいえる。
逆の言い方をすれば、フルレンジチャンネル群全体としてアクティブ状態の傾向にあるか否かについての判定を行うために、先ずは、これらフルレンジチャンネル群を成す各チャンネルに対応する検出フラグflgの論理和を取るようにしており、さらに、条件判定のために例えば1秒(20回)という比較的長い検出期間(多めの検出回数)を設定することとしているものである。
このことから、本実施の形態のようにマルチチャンネルの構成を採った場合において、第1条件が満たされる状態では、サラウンド音声全体としてみた場合の傾向として、過大レベルによる歪みが生じる状態にある、ということを意味しているといえる。
なお、この図においても、時点t(n)は、50msec間隔による検出フラグの読み込み、及びオーバーフロー検出部43のリセットタイミングである。
つまり、或る連続する単位回数(単位時間)による検出フラグflg_H(flg_L)の読み込み結果として、アクティブ状態を示す検出値となった回数(総合時間)が、単位回数(単位時間)に対して20%以内となっている結果が示されているものである。
本実施の形態において、第2条件は、検出フラグflg_Hと検出フラグflg_Lの両者について、この図7に示す読み込み結果が得られたとされるときに満たされるものとなる。
そして、このような状態に対応する図7に示す読み込み結果が、先ず、検出フラグflg_Hについて得られたということは、フルレンジチャンネル群(FL,FR,FC,SL,SR)の音声全体の傾向として、上記安全な音量状態にあるということになる。同様にして、図7に示す読み込み結果が、検出フラグflg_Lについて得られたのであれば、サブウーファーチャンネル群(SW1,SW2)の音声全体の傾向として、上記安全な音量状態にあるということになる。従って、検出フラグflg_H,flg_Lの両者について図7に示す読み込み結果となる、第2条件を満足する状態では、フルレンジチャンネル群とサブウーファーチャンネル群のいずれについても、安全な音量状態が得られているということになる。
先ず、本実施の形態の音響再生装置のメイン電源がオフ状態からオン状態になったときには、レベル補正値設定の動作についてはオフ状態を設定する。従って、このときにおけるレベル補正値βには0が設定される。また、レベル補正値設定動作がオフの状態を、次に説明する補正ステップの一段階としてみ場合には、「補正レベル0」の段階にあると見ることができる。
ただし、メイン電源がオンとなって以降、音量操作子7aに対する操作に応じてのレベルコントロール部42に対するレベルコントロールは行われる。つまり、システム制御部6は、音量操作子7aに対する操作に応じて入力される音量操作情報に基づいて、図5に示した音量操作対応レベル値αの設定を行い、レベルコントロール部42に対するレベル設定制御を実行するようにされる。
そして、この段階では、レベル補正値β=0であるから、システム制御部6としては、実質的に、操作対応ステップ値αのみに基づいて、レベルコントロール部42に対するレベル設定制御を行うようにされる。つまり、このときには、音量操作子7aに対する操作がそのまま反映されるようにして、レベルコントロール部42におけるレベル可変が行われ、出力音声の音量変化についても、音量操作子7aに対する操作そのものに応じたものとなる。
そして、さらに補正ステップ3による制御状態のもとで第1条件が満たされたのであれば補正ステップ4に移行し、同様にして、補正ステップ3にて設定されるレベル補正値β=−3dBから−1dBを加算したレベル補正値β=−4dBを設定する。
なお、例えばこの最終段階の補正ステップ16による制御状態において、仮に第1条件が満たされたとしても、これ以上の補正ステップは無いことから、補正ステップ16による制御状態を維持する。
ただし、この最終段階の補正ステップ16に対応するレベル補正値は、仮に最大音量とするための音量操作子7aに対する操作が行われたとしても、聴感として歪みが音質劣化として認識されたり、また、回路やスピーカを破壊する可能性があるような過大入力の状態にはならないことが保証されるようにして設定されている。
そして、この補正ステップ14以降も同様であり、そのときの補正ステップnによる制御状態のもとで第2条件を満足すると、これより1段階下の補正ステップn−1に移行するようにされる。また、これに伴って、レベル補正値βは、−1dBずつの減算となるようにして設定変更されていくことで、1dBずつ減少していくようにされ、レベル減衰効果として段階的に弱まっていく。
なお、このレベル補正値設定がオフの状態において、第2条件を満足したとしても、例えばレベルを増加させる傾向で補正を行うようなことはせずに、このレベル補正を行わないままの状態を維持する。
先ず、ファンクション(音声ソース)の切り換えや、ファンクションがCD再生であるときに、CDの入れ換えがあった場合には、それまでの補正ステップの段階数にかかわらず、レベル補正値設定の動作をオフとする状態に移行するようにされる。
ファンクションの切り換えや、CDの入れ換えに際しては、その前後で音声ソースそのもののレベルが異なる場合がある。このような場合に、ファンクション切り換え後若しくはCDの入れ換え後においても、ファンクション切り換え前若しくはCDの入れ換え前の補正ステップが有効になっていると、必要以上に小さな音声で再生出力されてしまうような不都合が生じる。そこで、上記のようにして、ファンクション切り換えやCDの入れ換えが行われた場合に対応しては、レベル補正値設定の動作をオフとして初期状態としておけば、上記のような不都合を回避できることになる。
また、メイン電源がオフ状態とされた場合には、例えば、レベルコントロール部42には電源が供給されないことで動作が停止するようにされている。つまり、実質的に、レベル補正値設定の動作はオフ(補正ステップ0)となる。
つまり、上記のようにしてCDなどに記録されるデジタルオーディオ信号は、最大レベルとして0dBが設定されているのが一般的である。ただし、このレベルのままで再生出力すると、実際に音声として出力されるレベルも小さいものとなってしまう。そこで、実際においては、或る一定のゲインを与えてレベルを高くシフトしておいたうえで、再生出力させることがしばしば行われる。本実施の形態の実際としては、CDをはじめ、最大レベルとして0dBが設定されている音声ソースがファンクションとして選択されたときには、例えば図3に示したレベル切換部41により、15dBのレベルシフトを行うようにしている。そこで、この場合のレベル補正としては、これに対応させて、最大で−16dBによるレベル低減が行われるようにすることで、最大の補正ステップ(16)による音量補正が行われている状態では、確実に安全な補正状態が得られるようにしているものである。また、音量補正制御がかけられるときの聴感上自然な出力音声の減衰が得られることと、制御アルゴリズムの簡易さなどのバランスを考慮して、補正ステップの段階に応じたレベルの単位補正量を、1dBで一定としたことに応じて、−1dBから−16dBまでに対応して補正ステップ1〜補正ステップ16までの16段階で区切ることとしたものである。
従って、図8に示されるレベル補正の段階数、及び段階遷移に応じたレベル補正量などは、実際に応じて適宜変更されて構わない。
図9に示す処理において、ステップS101では、現在の音量操作対応レベル値αに応じて、音量表示のための表示制御を実行することとしている。
これは、換言すれば、補正ステップの変更に伴ってレベル補正値βが変更されることで実際の音量(α+βに対応)が変化したとしても、この変化は、音量表示には反映されないということを意味する。つまり、音量表示は、ユーザによる音量操作子7aに対する操作に応じてのみ変化し、補正ステップの変更に伴って実際の音量が変化しても、音量表示が示すレベルについては変化が無いようにされている。
これに対して、ステップS103において現在の音量操作対応レベル値αが最大値ではないとして否定の判別結果が得られた場合には、ステップS104に進んで、現在設定されている音量操作対応レベル値αについて1インクリメントして、ステップS101の処理に戻るようにされる。
ステップS106において、現在設定されている音量操作対応レベル値αが最小値であるとして肯定の判別結果が得られた場合には、ステップS107をスキップしてそのままステップS101の処理に戻るようにされる。これに対して、ステップS106にて否定の判別結果が得られた場合には、ステップS107に進むことで、現在設定されている音量操作対応レベル値αについて1デクリメントして、ステップS101の処理に戻るようにされる。このステップS107の処理を経た場合には、音量操作に対応して設定される音量レベルは最小のままで変更が無く、また、音量表示が示す音量レベルも最小のままで変化しない。
また、ステップS103により音量操作対応レベル値αが1ステップずつ増加されるごとに、ステップS101の処理に戻るようにされていることで、例えば表示部7bにおける音量表示も、この音量操作対応レベル値αのステップ増加に応じたレベル増加を示すようにして変更されることになる。
同様にして音量ダウンのための操作が行われたときには、その操作回数、操作継続時間に応じて、音量操作対応レベル値αが最小値以内の範囲であるかぎり、ステップS105→ステップS106→S107→S101の処理が繰り返されることになるから、上記操作回数、操作継続時間に応じて、ステップS105の実行が繰り返された回数に応じて、音量操作対応レベル値αの値が減少されるようにして、音量操作対応レベル値αの設定が行われる。
また、ステップS105により音量操作対応レベル値αが1ステップずつ減少された場合にも、ステップS101の処理に戻るようにされているから、表示部7bにおける音量表示も、この音量操作対応レベル値αのステップ減少に応じたレベル低減を示すようにして変更される。このようにして、音量表示が示す音量レベルは、最小から最大の範囲内でユーザが行った音量操作子7aに対する操作に応じて変化するものとなる。
先ず、ステップS201においては、メイン電源がオフとされている状態において、メイン電源がオンとされるのを待機している。メイン電源のオン/オフ状態は、例えばユーザインターフェイス部7において備えられるものとされる、メイン電源オン/オフのための操作子に対する操作に応じて切り換わるようにされている。メイン電源がオフの状態では、例えばシステム制御部6としてのマイクロコンピュータ(及びリモートコントローラの受信部など)などのように、スタンバイ電源が供給されている部位のみが動作可能な、いわゆるスタンバイ状態である。
そして、メイン電源がオンとされたことに応じてステップS201において肯定結果が得られたとされると、ステップS202以降の、メイン電源がオンとされた状態での処理が実行される。
例えば、メイン電源がオフとされるのに応じては、そのときの所要の各種設定値を、例えば不揮発性の記憶領域(例えばフラッシュメモリ、ハードディスクなど)に記憶保持しておくようにされるが、このような動作、あるいはこのような動作によって得られた情報をラストメモリという。次にメイン電源がオン状態となったときに、このラストメモリの情報を参照して、各種の設定を行うようにすれば、前回のメイン電源オン状態と同じ設定環境が得られることとなる。
本実施の形態では、このようなラストメモリの1つとして、音量操作対応レベル値αも記憶保持することとされている。ステップS202では、このラストメモリの音量操作対応レベル値αを読み込んで保持するようにされる。
なお、このステップS204によるレベルコントロール部42に対する制御は、制御信号Sc2によるものであり、各チャンネルのレベルコントロール部42に対して共通に行うものとなる(図4参照)。
そして、ステップS205において所定時間(50msec)が経過したとして肯定の判別結果が得られるごとに、ステップS206以降の処理が実行される。
なお、この図では、ステップS206における検出フラグflg_H,flg_Lの取り込みタイミング、つまり、検出入力ポートPt1,Pt2のスキャンタイミングの実際は、例えばクロックに従った所定タイミングにより順次的に行われるものとされて構わない。同様にして、ステップS207における、オーバーフロー検出部43のリセットタイミング、つまり、制御信号Sc3_H,Sc3_Lのポートからの出力タイミングの実際についても、クロックに従った所定タイミングにより順次的に行われるものとされてよい。
ステップS209においては、現在設定されている補正ステップの段階を示す変数nについて、nが最大値(図8の例では16が最大値となる)であるか否かについての判別を行なう。ここで、変数nは最大値であるとして肯定の判別結果が得られた場合には、次に説明するステップS210をスキップしてそのままステップS204の処理に戻るようにされる。つまり、このときには補正ステップは既に最終段階にまで至っているので、これ以上の補正ステップの段階を進めることはせずに、これまでの補正ステップを維持するようにされる。なお、前述もしたように、最終段階による補正ステップの状態では、出力音声は問題となるような歪みが生じない程度に音量補正されることになるので、実際としては、このステップS209において肯定結果が得られることはほとんどない。
ステップS210においては、これまで設定されていた補正ステップnについて1インクリメントした段階数を設定する。つまり、補正ステップについて1段階進めるようにされる。これに応じて、例えば図8に示すようにして、これまで設定されていたレベル補正値βについては、単位補正量である−1dBが加算された新規の値が設定されることになる。
このステップS210の処理が実行されると、ステップS204の処理に戻るようにされる。
このステップS212において肯定結果が得られた場合には、これよりも補正ステップの段階を戻すことが出来ないので、補正ステップの変更を行うことなく、そのままステップS204に進むようにされる。
これに対して。ステップS212において否定結果が得られた場合には、ステップS213の処理に進む。
この結果、レベルコントロール部42から出力されるオーディオ信号としては、常に、音量操作子7aに対する操作に応じて設定されるレベル(音量操作対応レベル値αに基づく)に対して、補正ステップに対応する補正量(レベル補正値βに基づく)により補正したレベルにより出力されることになる。
先ず、ステップS214においては、ファンクションの切り換えが行われたか否かについての判別が行われており、また、このステップS214において否定結果が得られた場合には、次のステップS215により、CDの入れ換え(ファンクションモードがCDである場合において)が行われたか否かについて判別している。
これらステップS214又はステップS215のいずれかについて、肯定の判別結果が得られた場合にはステップS203の処理に戻るようにされる。これにより、図8により説明したように、ファンクション切り換え、又はファンクションモードがCDである場合においてCDの入れ換えが行われた場合には、レベル補正値設定がオフとされることで、レベル補正値βについてのリセットが行われるようにされる。
このステップS217において、トラックの変更は無いとして否定の判別結果が得られた場合には、そのままステップS204の処理に戻るようにされるが、トラックの変更があったとして、肯定の判別結果が得られた場合には、ステップS213の処理を実行してからステップS204に戻るようにされる。これにより、CDのトラックの変更があった場合には、補正ステップが1段階戻されることとなり、従って、レベルコントロール部42から出力されるオーディオ信号レベルとしても−1dB減算されたものとなる。
例えばトラックの開始部分に相当する楽曲の冒頭あたりでは、いきなり大きなレベルとなることは可能性として少なく、また、小さなレベル状態のことも実際に多い。このために、トラック再生開始時直前の補正ステップの設定のままでは、トラックの開始部分の再生音量が小さくなりすぎてしまうような不都合が生じ得る。上記ステップS217からステップS213の処理に至るシーケンスは、このような不都合を回避することを考慮して行うこととしているものである。
仮に、補正ステップnに応じて補正されたオーディオ信号レベル(α+β)に基づいて音量表示を行うこととすると次のような不都合が生じる。
例えばユーザが音量操作子7aを操作して相当に大きな音を出力させていたとする。このときに音量補正機能がはたらいたとすれば、ユーザは音量操作を行っていないのに音量表示の示す音量レベルは低下していくというように、ユーザインターフェイスとしては、好ましくない動作となってしまう。そこで、本実施の形態としては、上記のように構成することで、このような不都合を回避しているものである。
ここで、図3により説明したように、本実施の形態の音量補正制御系の全体構成としては、レベルコントロール部42の出力についてのオーバーフローの有無の検出結果に基づいた、レベルコントロール部42に対する制御の系となっており、従って、フィードバックによる制御系が形成されている。また、レベルコントロール部42の主たる機能は、音量操作に応じたオーディオ信号のレベル設定である。
従って、本実施の形態としては、音量操作が行われた結果として、オーディオ信号レベルが過大となったような場合に、音量を抑制する方向に音量補正がはたらくように動作することとなる。
これに対して、本実施の形態では、音声ソースそのもののレベルが比較的大きいものであっても、そのときの音量設定によっては、特に過大入力とならないような状態なのであれば、音量レベルの抑制は効かないことになる。
これにより、例えば同程度の音量操作レベルで同じ音声ソースを再生させた場合には、本実施の形態のほうが不用意に音量抑制されることが無い分、例えば音量感の豊かな良好な音質によって聴くことができる。
これに対して本実施の形態のような補正レベル値設定のためのアルゴリズムであれば、上記している従来の場合と比較して、より簡易なプログラム構成となる。これにより、音量補正制御のためのプログラムを記憶させておくROMの容量についても、より少なくすることが可能になる。
例えば、上記した条件判断に要する時間についてはより短いものとして、オーディオ信号レベルの状態に対してより速く反応させるようにして、いわゆるリミッタに近いレベル制御動作が得られるように構成することも可能である。しかしながら、この場合には、例えばユーザが歪みが生じることを承知で大きな音量を出させようと思って音量操作を行ったとしても、音量抑制が早期から効くために、聴感としては、自分が行った音量操作の操作量に対して、実際の音量は非常に小さいと感じることになる。これは、例えばユーザにとっては、音質的に迫力が無いという否定的な印象を持つことにつながる。
これに対して、本実施の形態の場合であれば、ユーザが大きな音量を出させようと思って音量操作を行ってしばらくは、この音量操作にほぼ応じて大きくなった音量による出力が行われることになる。これにより、ユーザが、例えば聴感上迫力が無いという不満を感じることはない。そして、例えば数秒間にわたって、パワーアンプに対する入力がオーバーフローしないレベル状態にまでレベル低減されていくことで、回路、スピーカなどが保護されることになる。また、このレベル低減も長時間により徐々に段階的に行われることで、例えば不自然な音量変化としてユーザに認識されることも無い。
例えば、上記実施の形態では、図6及び図7に示した第1条件及び第2条件の判定にあたり、オーディオ信号出力についてのオーバーフローの有無をその基準としている。これは、オーディオ信号がデジタルであることで、過大入力とみなされる所定レベル以上となる状態を、オーバーフローの状態に対応させることができるからである。つまり、本実施の形態としては、例えばオーディオ信号の過大入力な状態とみなされるような所定レベル以上であるか否かについての判定結果を得るのにあたっては、オーバーフロー検出以外の手段も採用可能である。例えば実際にオーディオ信号のレベルを検出して、この検出レベルと閾値とを比較することに基づいて、過大入力とされる一定以上のレベル状態であると判定するような構成とすることも可能である。
また、第1条件及び第2条件の判定に用いる、検出フラグflg_H,Flg_Lのサンプルタイミングについては、50msecごととされているが、これ以外のサンプルタイミングであっても構わない。また、第1条件及び第2条件についての判定期間は、例えばそれぞれほぼ1秒間、3秒間とされているが、この判定期間の時間長についても、適宜変更されてよい。また、このことから、第1条件及び第2条件を満たすと判定するための要素についても、図6及び図7により説明した内容に限定されるべきではない。
例として、図6に示した第1条件が満たされた場合には、これまでの説明のようにして補正ステップを1段階ずつ進めるのに対して、図7に示した第2条件の判定は行わないことで、信号レベルが一定以下に戻っても、補正ステップを戻す動作は実行されないように構成することも考えられる。ちなみに、このようなシーケンスは、図7に示した第2条件の判定にあたって、例えば、3秒間の判定期間について無限大を設定しているものとしてみることができる。このようなシーケンスとした場合には、例えば比較的短時間のうちにソース音量が小さくなっても、これに追随して補正ステップが戻ることはないので、再び大きなソース音量に戻ったときに、以前と同じ補正ステップにより有効に音量を抑制することができる。また、このような場合において、補正ステップを1段階戻す(なお、2段階以上戻すことも考えられる)ときとは、例えば図10のステップS217により示したようにして、CDについてのトラック変更があった場合などとなる。また、図10では、ファンクション切り換え又はCDの入れ換えがあった場合などには、ステップS203に戻ることで、補正ステップを初期化しているが、上記CDのトラック変更の場合と同様にして、補正ステップを所定段階数戻すようなシーケンスとしてもよい。
このような構成に代えて、例えば、フルレンジチャンネル群に対応する検出フラグ(flg_FL,flg_FR,flg_FC,flg_SL,flg_SR)の各々と、サブウーファーチャンネル群に対応する検出フラグ(flg_SW1,flg_SW2)の各々とを、全てシステム制御部6が読み込むようにして、これらの検出フラグについての論理和を、システム制御部6内で演算する構成とすることも考えられる。
しかしながら、このような構成を採るとすれば、音量補正制御のために、システム制御部6としてのマイクロコンピュータの入力ポートが7つ必要となってしまい、有限数のポートを有効に使い回し出来なくなる可能性がある。これに対して、本実施の形態の構成を採れば、必要な入力ポートは2つで済むことになるという利点がある。また、場合によっては、論理和演算回路は1つ設けることとして、この論理和演算回路によりフルレンジチャンネル群に対応する検出フラグ(flg_FL,flg_FR,flg_FC,flg_SL,flg_SR)とサブウーファーチャンネル群に対応する検出フラグ(flg_SW1,flg_SW2)の全てを入力させる構成とすることも考えられる。この場合には、この論理和演算回路の演算出力としての1つの検出フラグのみに基づいて、システム制御部6が第1条件及び第2条件についての条件判定を行うようにされる。
Claims (5)
- 音量可変操作に応じて設定される音声信号のレベル値である音量操作対応レベル値をαとし、この音量操作対応レベル値αについての補正量をβとして、入力される音声信号を、レベルα+βの音声信号として出力するレベル可変手段と、
上記レベル可変手段から出力される音声信号が、一定以上のレベルであるか否かを、一定時間間隔ごとに検出するレベル検出手段と、
上記音声信号のレベルα+βが過大とみなされる状態である、上記レベル検出手段により上記一定以上のレベルであるとの検出結果が所定回数以上連続して得られたことを判別した場合には、3段階以上による所定の段階数の範囲において、これまでの補正量βに対して一定の単位補正量を加算して得られる新たな補正量βを設定し、
上記音声信号のレベルα+βが過大とみなされない状態である、上記レベル検出手段により上記一定以上のレベルであるとの検出結果が得られる回数が、所定の連続回数に対して所定以下の割合であることを判別した場合には、3段階以上による所定の段階数の範囲において、これまでの補正量βに対して一定の単位補正量を減算して得られる新たな補正量βを設定する、補正量設定手段と、
現在の上記音量操作対応レベル値αと上記補正量設定手段により設定される補正量βとにより制御用信号レベル値α+βを求め、上記入力される音声信号が上記制御用信号レベル値α+βに対応するレベルの音声信号として出力されるように上記レベル可変手段を制御するレベル制御手段と、
を備える音声信号処理装置。 - 上記補正量設定手段は、
さらに、上記レベル可変手段に入力される音声信号のソースそのもののレベルが異なる可能性のある変更が行われる場合に応じては、現在の補正量βを初期値とするようにされている、
請求項1に記載の音声信号処理装置。 - 上記補正量設定手段は、
さらに、上記レベル可変手段に入力される音声信号のソースの変更として、コンテンツとしての管理単位が変更される場合に応じては、これまでの補正量βから所定量による補正量βの変更を行う、
請求項1に記載の音声信号処理装置。 - 上記レベル可変手段は、互いに同期した再生時間により出力されるべき複数チャンネルの音声信号ごとに対応して複数設けられるとともに、
上記レベル可変手段から出力される各音声信号が、一定以上のレベルであるか否かを検出し、その検出結果の論理和を出力するレベル検出手段をさらに備え、
上記補正量設定手段は、
上記レベル検出手段から出力される論理和に基づいて、上記複数のレベル可変手段から出力される音声信号についてのレベルが過大とみなされる状態であるか否かの判別を行い、この判別に基づいて、これまでの補正量βに対して一定の単位補正量を加算又は減算して得た新たな補正量βを設定し、
上記レベル制御手段は、上記入力される音声信号が上記制御用信号レベル値α+βに対応するレベルの音声信号として出力されるように、上記複数のレベル可変手段のそれぞれを制御する、
請求項1に記載の音声信号処理装置。 - 音量可変操作に応じて設定される音声信号のレベル値である音量操作対応レベル値をαとし、この音量操作対応レベル値αについての補正量をβとして、入力される音声信号を、レベルα+βの音声信号として出力するレベル可変手順と、
上記レベル可変手順により出力される音声信号が、一定以上のレベルであるか否かを、一定時間間隔ごとに検出するレベル検出手順と、
上記音声信号のレベルα+βが過大とみなされる状態である、上記レベル検出手順により上記一定以上のレベルであるとの検出結果が所定回数以上連続して得られたことを判別した場合には、3段階以上による所定の段階数の範囲において、これまでの補正量βに対して一定の単位補正量を加算して得られる新たな補正量βを設定し、
上記音声信号のレベルα+βが過大とみなされない状態である、上記レベル検出手順により上記一定以上のレベルであるとの検出結果が得られる回数が、所定の連続回数に対して所定以下の割合であることを判別した場合には、3段階以上による所定の段階数の範囲において、これまでの補正量βに対して一定の単位補正量を減算して得られる新たな補正量βを設定する、補正量設定手順と、
現在の上記音量操作対応レベル値αと上記補正量設定手順により設定される補正量βとにより制御用信号レベル値α+βを求め、上記入力される音声信号が上記制御用信号レベル値α+βに対応するレベルの音声信号として出力されるように上記レベル可変手順を制御するレベル制御手順と、
を実行する音声信号処理方法。
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