JP7143852B2 - 制御装置、制御方法、プログラム - Google Patents
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Description
これらのヘッドフォンにおいてスピーカ近辺にマイクロフォンを配置するものが知られている。マイクロフォンによっては周囲環境音が集音されるが、このマイクロフォン入力音声信号は、例えば音楽等の聴取時のノイズキャンセル処理に用いられたり、あるいは周囲音声を音楽等と合わせてスピーカ出力したりするためなどに用いられている。
下記特許文献1では、周囲音を解析して、その結果に基づいてノイズ低減信号生成における信号特性が切り替えられるようにした技術が開示されている。
例えばあるアルゴリズムで周囲音声に応じてゲイン制御やフィルタの通過帯域制御等により信号特性を変化させることでハウリング抑制動作等を行うことはできる。ところが周囲音声状況によっては、当該アルゴリズムでは適切な結果が得られなかったり、信号特性制御としての誤動作が生じ易くなったりするなどの問題が生ずることがある。
そこで本開示では、周囲音声の解析結果により、単に信号特性を切り替えるのではなく、信号特性の変化のさせ方を切り替えることで、より適切な信号特性制御を実行できるようにする技術を提供する。
この制御装置は、マイクロフォン入力された音声をスピーカ出力する音声処理系に対して音声信号特性を変化させる制御を行う。この場合に、音声信号特性を変化させる制御として複数の制御方式を選択的に実行可能とし、かつ実行する制御方式を周囲音声の解析結果により選択する。制御方式とは、特定の目的のための音声信号特性制御のアルゴリズムであり、音声信号特性の変化のさせ方としての手法を指す。従ってある目的のための音声信号特性の変化のさせ方が複数可能とされ、その1つが選択されて実行されるということである。つまり制御装置は、周囲音声の解析結果により、単に信号特性を切り替えるのではなく、信号特性の変化のさせ方を切り替えるものである。
例えばマイクロフォンとスピーカの位置関係やループ経路の状態、ユーザの挙動などによりハウリングが生ずる。特性制御部は、ハウリングを抑制するための音声信号特性の制御方式を複数実行可能であり、解析部の周囲音声の状況の解析結果により、複数のうちのどの制御方式を用いるかを選択するようにする。
前記第1処理は、前記マイクロフォンにより入力された音声信号についての検出レベルが第1閾値を超えていることを条件の1つとしてハウリング抑制のための信号特性制御を実行するもので、前記第2処理は、前記マイクロフォンにより入力された音声信号についての検出レベルが前記第1閾値より高い第2閾値を超えていることを条件の1つとしてハウリング抑制のための信号特性制御を実行するものであることが考えられる。
これは第1処理は周囲の騒音レベルが比較的小さく、比較的静かな場合に発動するハウリング抑制処理であり、第2処理は周囲の騒音レベルが比較的高い場合に発動するハウリング抑制処理とするためである。
即ち第1処理は第1閾値を超えてハウリング発生と判定される場合に、音声レベルが上昇しているときに、所定量のゲインダウンなどのハウリング抑制指示を行う。
即ち第2処理では、騒音環境下において入力音声レベルが第2閾値を超える場合に、一時的な大レベルか、ハウリングによる継続的なレベル上昇かを判定し、ハウリングと考えられる場合にハウリング抑制指示を行うようにする。
即ちフィルタ処理によりハウリングしやすい特定の帯域(第1の帯域、第2の帯域)の信号レベルを抽出し、第1閾値又は第2閾値との比較対象とする。なお第1の帯域と第2の帯域は同じ帯域でもよいし、第1処理、第2処理に応じたチューニングにより異なる場合もある。
即ちフィルタ処理によりハウリングしやすい特定の帯域(第1の帯域、第2の帯域)の信号を抽出したうえでエンベロープ検波を行って、そのエンベロープレベルを第1閾値又は第2閾値と比較する。
騒音判定用閾値を、周囲が静かな環境か、騒音環境下を判別するための閾値として適切な値に設定する。例えば入力音声が騒音判定用閾値を超えることで制御方式が切り替えられるようにする。
例えば入力された音声信号のうちでハウリング帯域を抽出し、その信号レベルを騒音判定用閾値と比較する。
即ちフィルタ処理によりハウリングしやすい特定の帯域の信号を抽出したうえでエンベロープ検波を行って、そのエンベロープレベルを騒音判定用閾値と比較する。
つまり騒音判定用閾値<第1閾値<第2閾値とする。
即ち解析部では、特性制御部における第1処理でハウリング発生を判定するための信号帯域と共通の信号帯域のレベルにより、周囲環境の判定を行う、
例えばLチャネル/Rチャネルのステレオマイクロフォンで周囲音声を入力する場合、解析は、L/Rチャネルともに入力音声が騒音判定用閾値を超えることで騒音環境下と判定し、騒音環境下に適した制御方式を選択する。
例えばL/Rチャネルともに入力音声が騒音判定用閾値以下となることが所定時間継続したら、騒音環境から脱したと判定し、静かな環境に適した制御方式を選択する。
つまり周囲音声の解析結果により、信号特性の変化のさせ方(音声信号特性制御のアルゴリズム)を切り替える。
本技術に係るプログラムは、上記各手順の処理をコンピュータ装置に実行させるプログラムである。これによりマイクロコンピュータ等の演算処理装置により本開示の制御装置を実現できる。
なお、ここに記載された効果は必ずしも限定されるものではなく、本開示中に記載されたいずれかの効果であってもよい。
<1.ヘッドフォン及びオーディオプレイヤの構成例>
<2.第1の実施の形態の制御装置構成>
<3.ハウリング抑制処理>
<4.第2の実施の形態の制御装置構成>
<5.ヘッドフォン及びオーディオプレイヤでの適用例>
<6.まとめ及び変形例>
実施の形態の制御装置1を有する音声再生システムとしてのヘッドフォン100とオーディオプレイヤ200の構成を図1に示す。
このヘッドフォン100とオーディオプレイヤ200による音声再生システムは、ユーザがヘッドフォン100を装着することで、オーディオプレイヤ200で再生される音楽等を聴取できるものである。さらにヘッドフォン100からは、周囲音声も音楽等とともに出力されてユーザに聴取される。つまりユーザが音楽を聴きながら外部の音も自然に聞くことができるシステムとしている。
但し、もちろんヘッドフォン100がオーディオプレイヤ200から着脱不能に接続されている形態も有り得る。
Lユニット5Lには、Lチャネルの音声出力のためのスピーカ7Lが設けられ、またマイクロフォン6Lが設けられている。即ちマイクロフォン/スピーカ一体型のユニットとされる。
Rユニット5Rには、Rチャネルの音声出力のためのスピーカ7Rが設けられ、またマイクロフォン6Rが設けられている。こちらもマイクロフォン/スピーカ一体型のユニットとされる。
マイクロフォン6L、6Rによって、ヘッドフォン100を装着したユーザの周囲の音声が集音される。
ヘッドフォン100のマイクロフォン6L、6Rからは周囲音声としての音声信号SL1,SR1が出力され、マイクアンプ21に入力される。
マイクアンプ21ではLチャネル/Rチャネルの音声信号SL1,SR1をそれぞれ扱い易い電圧まで上昇させる増幅を行う。
増幅された各音声信号SL1,SR1は、それぞれ次段のA/D変換器22によってデジタルデータ化される。デジタルデータとしての各チャネルの音声信号を、音声信号SL2,SR2として示している。
加算部25にはまた音源部3からの音声信号SL4,SR4が供給されている。
加算部25では、Lチャネルについて音声信号SL3と音声信号SL4を加算し、またRチャネルについて音声信号SR3と音声信号SR4を加算して、それぞれの加算結果を音声信号SL5,SR5として出力する。
なお音源部3には、図示していないが音楽再生用のアンプが備えられており、音声信号SL4,SR4についての音量調整は、ユーザ操作等に応じて当該アンプで行うことができる。加算部25では、音源部3において音量調整された音声信号SL4、SR4を、音声信号SL3、SR3と加算していることになる。
これにより、スピーカ7L、7Rから、音楽等と周囲音が混合した音声出力が行われ、ユーザに聴取される。つまりユーザは音楽を聴きながら外部の音を自然に聞くことができる。
さらに外部の音を自然に再生するためにフィルタ23やアンプ24のゲインを適切に調整する必要がある。
音声処理部2では、各部でこのような点を考慮した適切な設定がされていることで、違和感のない周囲音声出力をユーザに提供できるようにしている。
より具体的には、特性制御部12は、ハウリング抑制のための音声信号特性の制御方式の複数を選択的に実行可能とされている。即ちハウリング抑制のための音声信号特性制御のアルゴリズムを複数有し、これらを選択的に実行可能とされている。つまり信号特性の変化のさせ方を切り替えることができる。
解析部11は、マイクロフォン6L、6Rにより入力された音声(図1の例では音声信号SL2,SR2)を解析し、解析結果により特性制御部12で音声処理部2に対して実行する制御方式(ハウリング抑制のための処理アルゴリズム)を選択する。
特性制御部12は、切替信号CSに応じて、実行する音声信号特性の制御方式を切り替える。そして音声信号SL2,SR2を入力して、ハウリングが生じる場合に、それを抑制するためにアンプ24に対してLチャネルの指示信号CL、Rチャネルの指示信号CRを出力する。ここではゲイン指示信号とする。
アンプ24では、指示信号CLに応じてLチャネルのゲイン制御等を行う。また指示信号CRに応じてRチャネルのゲイン制御等を行う。
なお、この実施の形態ではハウリング抑制のための音声信号特性の制御として、アンプ24に対してゲイン指示を行うものとするが、後述するように例えばフィルタ23への指示信号も考えられる。
特性制御部12には、第1処理部121、第2処理部122が設けられている。なお第1処理部121、第2処理部122は、ソフトウエアプログラムにより構成される、ハウリング抑制のための処理アルゴリズムを示すものである。但しこれらがそれぞれハードウエア回路として構成されても良い。
但し、Lチャネル処理部122L、Rチャネル処理部122Rにおけるハウリング検知手法や指示信号CL2、CR2の指示内容は、第1処理部のLチャネル処理部121L、Rチャネル処理部121Rのハウリング検知手法や指示信号CL1、CR1の指示内容とは異なる。
特性制御部12は、切替信号CSに応じて、第1処理部121,第2処理部122のいずれが機能するかを切り替えることになる。第1処理部121が選択されている期間は、第1処理部121からの指示信号CL1,CR1が、図1の指示信号CL、CRとしてアンプ24に出力される。第2処理部122が選択されている期間は、第2処理部122からの指示信号CL2,CR2が、図1の指示信号CL、CRとしてアンプ24に出力される。
第1の実施の形態の制御装置1の構成をより詳細に示す。
図3は、図2における第1処理部121,第2処理部122,及び解析部11における処理機能(ソフトウエアにより実現される演算機能)を図示したものである。
またRチャネル処理部121Rとしても同様に、帯域フィルタ51、エンベロープ検波部52、第1形状フィルタ53、第1抑制御信号生成部54を有する。
エンベロープ検波部52は、帯域フィルタ51の出力について適切な期間のピークホールド処理を行い、包絡線信号(エンベロープ)を生成して出力する。
なおハウリング発生時のエンベロープの傾きはヘッドフォンごとに異なるため、ヘッドフォンの機種毎、或いは個体毎に測定して決めることが望ましい。
詳しくは後述するが、第1抑制制御信号生成部54は、エンベロープ信号が設定した第1閾値th1を超えているときに、アンプ24のゲインを小さく一律ステップで下げていくように指示信号CL1(又はCR1)を出力する。
Rチャネル処理部121Rは、音声信号SR2を監視して、Rチャネルでのハウリング発生時にハウリング抑制のためのゲイン低下を指示する指示信号CR1を出力する。指示信号CR1はアンプ24のRチャネルゲインの制御信号となる。
つまり第1処理部121は、Lチャネル、Rチャネルに対し、それぞれ独立して同様のハウリング抑制処理を行う。
またRチャネル処理部122Rとしても同様に、帯域フィルタ61、エンベロープ検波部62、第2形状フィルタ63、第2抑制御信号生成部64を有する。
なおハウリングの特性と抑制の仕方を考慮して、第1処理部121の帯域フィルタ51と第2処理部122の帯域フィルタ61は適切に調整することが望ましい。
エンベロープ検波部62は、帯域フィルタ61の出力について適切な期間のピークホールド処理を行い、包絡線信号(エンベロープ)を生成して出力する。
第2抑制制御信号生成部64は、第2形状フィルタ63からの出力を連続して、一定時間受けた場合に、即座にアンプのゲインを大きくゲインダウンさせる指示信号CL2(又はCR2)を生成する。
Rチャネル処理部122Rは、音声信号SR2を監視して、Rチャネルでのハウリング発生時にハウリング抑制のためのゲイン低下を指示する指示信号CR2を出力する。指示信号CR2はアンプ24のRチャネルゲインの制御信号となる。
このように第2処理部122も、Lチャネル、Rチャネルに対し、それぞれ独立して同様のハウリング抑制処理を行う。
周囲音解析フィルタ71は、音声信号SL2(又はSR2)について、所定の帯域成分を抽出するバンドパスフィルタである。解析部11は周囲の騒音レベルに応じて特性制御部12の第1処理部121の処理(第1処理)と、第2処理部122の処理(第2処理)を切り替える処理を行うものであるため、周囲音解析フィルタ71は、騒音レベルの判定に適切な帯域を抽出する。
エンベロープ検波部72は、周囲音解析フィルタ71の出力について適切な期間のピークホールド処理を行い、包絡線信号(エンベロープ)を生成して出力する。
特に本実施の形態では、エンベロープレベルが騒音判定用閾値thCを越えたら騒音環境であると判定して、特性制御部12に第1処理から第2処理に切り替える切替信号CSを出力する。
タイマ部74は、所定の時間条件を計数する。判定部73はタイマ部74のタイムカウントに応じても切替信号CSを出力する。特に本実施の形態では、第2処理が機能しているときに、エンベロープレベルが騒音判定用閾値thC以下となった状態が所定時間継続したら、静かな環境になったと判定し、特性制御部12に第2処理から第1処理に切り替える切替信号CSを出力する。
以上の図3の機能構成を備える制御装置1におけるハウリング抑制処理について詳しく説明する。
そこで、外部の音を制御装置1に入力し、特性制御部12はハウリングと思われる音声信号を検出した際に、アンプ24のゲインを下げることによって、ハウリングが大きくならないように抑制する。
ただ、これだけだと、マイクロフォン6L、6Rから入力された音声信号に対して、一律のハウリング抑制手法を取ることしかできないため、誤動作が多くなってしまう。そこで、周囲音解析部によって、周囲の騒音レベルを把握し、騒音レベルごとに適切なハウリング抑制手法を選択することによって、誤動作を少なくする。
しかしこの場合、騒音環境下だと、レベル増加に対して敏感に反応しすぎて誤動作を生ずることがある。そこで騒音環境下では、騒音環境下に適した第2処理部122によるハウリング抑制処理(第2処理)に切り替えるようにする。第2処理は、周囲音によるレベル上昇とハウリングによるレベル上昇を区別するとともに、ハウリングと判定したときは大きくゲインを下げることでハウリングを抑制するものとしている。
図4には横軸を時間、縦軸を音圧レベルとして、エンベロープ検波部52から出力される音声信号SL2(又はSR2)のエンベロープEを示している。
破線のレベルは第1閾値th1を示す。第1閾値th1は例えば67dBSPLとする。
但し、第1形状フィルタで求められる傾きから、現在のエンベロープレベルが前回(1ms前)のエンベロープレベルよりも0~4dB上昇していることをゲインダウン指示を行う条件とする。
例えば図4において時点T1,T2,T3・・・がそれぞれ1ms間隔のタイミングとすると、時点T1,T2,T3,T4では、エンベロープレベルが第1閾値th1を越えており、かつ前回より0~4dB上昇しているため、これら各時点で1dBのゲインダウンを指示する指示信号CL又はCRをアンプ24に出力することになる。これにより、ハウリングが生じたと判定される際に迅速にハウリング抑制を行う。
なお時点T5,T6は、エンベロープレベルが第1閾値th1を越えているが、前回より0~4dB上昇という状態ではないため1dBのゲインダウン指示は行わない。このときは既に、それまでのゲインダウンでハウリングが抑制されつつあると考えられるためである。この場合に更なるゲインダウン指示は行わないことで、過剰にアンプ24のゲインが下げられてスピーカ出力音を不自然な状態とすることを避けている。
ステップS103で特性制御部12は、今回レベル値LVc1を第1閾値th1と比較し、LVc1>th1であればステップS104に進み、LVc1>th1でなければステップS106に進む。
つまりエンベロープレベルが第1閾値th1を越え、かつ前回より0~4dB上昇という条件により1dBゲインダウンの制御が行われることになる。
従って1ms毎に、第1閾値th1とエンベロープ傾きによるハウリング発生と判定されればゲインダウン制御が行われる。これによりハウリングの特性に近い音を速やかにゲインダウンさせることができる。つまりハウリング発生時に速やかにハウリングを抑制できる。
ただし、この第1処理のように速やかな抑制制御を重視すると、駅や繁華街など、人が多い場所での騒音環境下では、第1帯域フィルタ51と第1形状フィルタ53の処理を通過してしまう雑音が高頻度で発生してしまうため、誤動作としてゲインダウンを行ってしまい易い状態となる。
そこでもう1つのハウリング抑制制御処理として、特性制御部12は第2処理を実行可能とされている。
図6、図7も図4と同様に横軸を時間、縦軸を音圧レベルとして、エンベロープ検波部62から出力される音声信号SL2(又はSR2)のエンベロープEを示している。
破線のレベルは第2閾値th2を示す。ここでは第2閾値th2は、第1閾値th1より高いレベル、例えば72dBSPLとする。
ステップS203で特性制御部12は、今回レベル値LVc2を第2閾値th2と比較し、LVc2>th2であればステップS204に進み、LVc2>th2でなければステップS208に進む。
一方ステップS208に進んだ場合、特性制御部12はカウント値CTをリセットしてステップS209に進む。
特性制御部12はCT≧NであればステップS207に進み、CT≧NでなければステップS209に進む。
つまりエンベロープレベルが第2閾値th2を越え、かつ2dB低下が観測されない状態がNカウント期間継続する(Nカウントに至までステップS208でリセットされない)という条件によりハウリング抑制制御が行われる。
これによりハウリング発生に対する応答性は第1処理より若干悪くなるが、ノイズをハウリングとして判定することによる誤動作は低減される。
また、Nカウントとなるまで抑制を待機するので、第1処理の実行時よりはハウリングによる音圧レベルが増大するが、騒音環境下であればユーザは外部の大きな音に耳が慣れているため、ハウリング音が比較的大きくなっても耳への負担は少ない。或いはユーザはハウリングに気づきにくい。つまり騒音環境下であれば第2処理もユーザの耳への負担は第1処理と同程度となる。
これにより第2処理は騒音環境下に適したハウリング抑制処理となる。
上記例では第2閾値th2(72dBSPL)以上で7ms期間上昇し続けた場合に、即座にアンプのゲインを大きく下げるが、ゲインの下げ量は、誤動作感とのトレードオフになるので、ハウリングが止められる最低限の下げ量でも良い。これは、ヘッドフォンごとに異なるため、バラツキも考慮して決めることが望ましい。
なお、電源オン後の初期状態では、特性制制御部12では第1処理を行う状態に設定されているとし、図9はその状態からの解析部11の処理とする。
最初は第1処理が選択されているため、解析部11はステップS302に進む。ステップS302で解析部11は、Lチャネルの音声信号SL2についてエンベロープ検波部72で得られたエンベロープレベルが、騒音判定用閾値thCを越えているか否かを判定する。騒音判定用閾値thCは、例えば60dBSPLとする。これは一例であるが、騒音判定用閾値thCは、第1閾値th1、第2閾値th2のいずれよりも低いレベルであることが望ましい。
Lチャネルのエンベロープレベルが騒音判定用閾値thCを越えていればステップS303に進み、解析部11は、Rチャネルの音声信号SR2についてエンベロープ検波部72で得られたエンベロープレベルが、騒音判定用閾値thCを越えているか否かを判定する。Rチャネルのエンベロープレベルが騒音判定用閾値thCを越えていなければ騒音環境下ではないとしてステップS301に戻る。
つまり、Lチャネル、Rチャネルのいずれか一方でも、騒音判定用閾値thCを越えていなければ、比較的静かな環境にあるとして、第1処理の状態を継続する。
なお説明上、解析部11が特性制御部12に切替信号CSを出力するとしているが、実際には制御装置1はマイクロコンピュータ等の情報処理装置であり、解析部11、特性制御部12はソフトウエアにより実現される機能である。このため例えば切替信号CSは、所定レジスタにセットされるフラグ情報として設定され、特性制御部12としての処理において当該フラグ情報を参照することで、第1処理/第2処理が選択されるものとなることが想定される。
ステップS310で解析部11はタイマ部74のカウント値が所定時間(例えば200msとする)以上となっているか否かを確認する。
タイマ部74のタイムカウントが200msに達していなければ、解析部11はステップS312に進み、Lチャネルの音声信号SL2についてエンベロープ検波部72で得られたエンベロープレベルが、騒音判定用閾値thCを越えているか否かを判定する。
またLチャネルのエンベロープレベルが騒音判定用閾値thCを越えていればステップS313に進み、解析部11は、Rチャネルの音声信号SR2についてエンベロープ検波部72で得られたエンベロープレベルが、騒音判定用閾値thCを越えているか否かを判定する。Rチャネルのエンベロープレベルが騒音判定用閾値thCを越えていなければ騒音環境下ではなくなった可能性があるとして、ステップS315でタイマ部74のカウント値をカウントアップする。
つまり、Lチャネル、Rチャネルのいずれか一方でも、騒音判定用閾値thCを越えていなければ、比較的静かな環境に戻った可能性があるとして、タイマ部74の計数を進める。
一方、Lチャネル、Rチャネルのいずれもが騒音判定用閾値thCを越えていれば、解析部11はステップS314でタイマ部74のカウントをリセットする。
静かな環境では第1処理でハウリング抑制が行われ、帯域フィルタ51、エンベロープ検波部52、第1形状フィルタ53を通過した音が67dBSPL(第1閾値th1)を超えると、超えている間は、即座にゲインを少しずつ下げ続ける。
この時、実際にハウリングであれば、ハウリングを67dBSPL程度で抑制できるが、騒音によるエンベロープレベルの上昇だった場合は、外音のゲインが変化し、違和感となる。
第1処理の第1閾値th1が67dBSPLで、騒音判定用閾値thCが60dBSPLなので、第1処理のハウリング抑制機能が動き始める前に、第2処理に切り替えることができる。
なお、従って解析部11における周囲音解析フィルタ71については、帯域フィルタ51と似た(又は同一の)通過帯域特性にしておくと、第1処理で誤動作する帯域のみで騒音レベルを判定することができ、無用に第2処理に切り替えることがなくなる。
なお、この場合、意図的に両耳を手で覆い、ハウリングさせたような場合に、静かな環境でも騒音検知により、第2処理に切り替わり、耳への負担が大きくなってしまう場合がある。これに対処するには、特定の周波数で音が大きくなるというハウリングの特徴を生かして、Lチャネル、Rチャネル共にその特徴を有していた場合はハウリングと判定し、即座に第1処理に戻し、ハウリングを小さい音で抑制するようにすることも考えられる。
第2処理から第1処理に戻すための所定時間長(タイマ部74による騒音が収まってからの経過時間)は、第1処理のチューニングとのバランスで決める。
逆に騒音が小さい場合は、第2処理に切り替わっている時間が短く、頻度も低くなるため、確率的にも耳への負担が抑えられる。
このように、静かな環境では第1処理でハウリングを小さく抑制し、騒音環境下では、騒音検知と第2処理を用いて、騒音レベルに応じて、ハウリングと騒音の相対レベルと、第2処理に切り替わっている時間と頻度を変化させることによって、ハウリングによる耳への負担を上手くコントロールすることができる。
図10により第2の実施の形態の制御装置1の構成例を示す。なお、図3と同一部分は同一符号を付して重複説明を避ける。
帯域フィルタ15L、15RはそれぞれLチャネル、Rチャネルの音声信号SL2,SR2について、図3の帯域フィルタ51、61及び周囲音解析フィルタ71として機能する。
即ち帯域フィルタ15Lの出力は、Lチャネルのエンベロープ検波部52、62、72に供給され、帯域フィルタ15Rの出力は、Rチャネルのエンベロープ検波部52、62、72に供給される。
なお、図3の構成の場合は、図10の構成に比べて構成が複雑(処理負担の増大)という点は不利であるが、帯域フィルタ51、61及び周囲音解析フィルタ71をそれぞれ個別にチューニングすることで、より精密な制御が可能になるという利点がある。
図11、図12により、以上の制御装置1の適用例を説明する。
図11Aは、上記図1で示したヘッドフォン100とオーディオプレイヤ200に相当する例である。即ち制御装置1はオーディオプレイヤ200側に設けられている。
この場合、ヘッドフォン100側にLユニット5L、Rユニット5Rに加え、音声処理部2と制御装置1が配置され、オーディオプレイヤ200側は音源部3が配置される例である。オーディオプレイヤ200からはヘッドフォン100の音声処理部2に対して音楽等の音声信号(図1における音声信号SL4,SR4)が有線又は無線で送信される。ヘッドフォン100側では、音声処理部2がLユニット5L、Rユニット5Rに設けられた図示しないマイクロフォンからの音声信号について必要な処理を行い、その音声信号(図1における音声信号SL3,SR3)を、オーディオプレイヤからの音声信号と加算する。そして必要な処理を行った後、Lユニット5L、Rユニット5Rに設けられた図示しないスピーカから音声出力させる。この構成の場合も制御装置1は図1に示した場合と同様に上述した解析部11,特性制御部12としての機能を発揮することができる。
この図11A、図11Bのように、制御装置1はヘッドフォン100とオーディオプレイヤ200のいずれに内蔵されてもよい。
また図示しないが制御装置1は、ヘッドフォン100とオーディオプレイヤ200とは別体の機器とされてもよい。
Lチャネルヘッドフォン/プレイヤ300LとRチャネルヘッドフォン/プレイヤ300Rは別体とされる。
Lチャネルヘッドフォン/プレイヤ300Lには、Lユニット5L、Lチャネルの音声処理部2L、Lチャネルの制御装置1L、音源部3、通信部8を有する。
Rチャネルヘッドフォン/プレイヤ300Rには、Rユニット5R、Rチャネルの音声処理部2R、Rチャネルの制御装置1R、通信部9を有する。
制御装置1Lは、Lユニット5Lのマイクロフォンにより集音された周囲音を入力し、上述した解析部11,特性制御部12としての処理を行う。
制御装置1Rは、Rユニット5Rのマイクロフォンにより集音された周囲音を入力し、上述した解析部11,特性制御部12としての処理を行う。
このように、Lチャネルヘッドフォン/プレイヤ300LとRチャネルヘッドフォン/プレイヤ300Rが別体とされて機器においても本技術の制御装置1をそれぞれ搭載することで、外部環境に応じて選択される制御方式でハウリング抑制を行うことができる。
以上の実施の形態によれば次のような効果が得られる。
実施の形態の制御装置1は、マイクロフォン6L,6Rにより入力された音声をスピーカ7L、7Rで出力するための音声処理部2に対して、音声信号特性の制御方式として複数の制御方式を選択的に実行することができる特性制御部12と、マイクロフォン6L,6Rにより入力された音声を解析し、解析結果により特性制御部12で音声処理部2に対して実行する制御方式を選択する解析部11とを備える。
即ち制御装置1は、音声信号特性を変化させる制御として複数の制御方式(特定の目的のための音声信号特性制御のアルゴリズムであり、例えば上述の第1処理、第2処理)を選択的に実行可能とし、かつ実行する制御方式を周囲音声の解析により選択する。つまり周囲音声状況に応じて単に音声信号特性を切り替えるのではなく、音声信号特性の変化のさせ方を切り替える。これにより、マイクロフォン入力された周囲の音声状況に応じて、音声信号特性の変化のさせ方を選択することができ、周囲の音声状況に対応したスピーカ出力を実現できる。
なお、実施の形態では、ハウリング抑制のための音声信号特性の変化のさせ方である第1処理、第2処理を切り替える例を示したが、ハウリング抑制以外を目的とする音声信号特性の制御以外にも多様な制御例が考えられる。
例えばユーザにとって適切なスピーカ出力や快適なスピーカ出力を実現するために、フィルタ23における通過帯域の可変制御のアルゴリズムを複数実行可能とし、これを周囲音解析結果に応じて選択してもよい。
また音声信号のブースト/アッテネートの帯域やレベルを可変するアルゴリズムを複数実行可能とし、これを周囲音解析結果に応じて選択してもよい。
またノイズキャンセルのための外来音としての音声信号特性を可変するアルゴリズムを複数実行可能とし、これを周囲音解析結果に応じて選択してもよい。
これにより、マイクロフォン入力された周囲の音声状況に応じて、適切なハウリング抑制のための制御方式を選択することができ、周囲の音声状況に対応して適切にハウリング防止処理を実行しながらのスピーカ出力を実現できる。
特に、周囲音の特性によって、ハウリング抑制の手法が切り替えられるため、ハウリングの大きさや誤動作に対して、より高品位にハウリングを抑制することが出来る。
またヘッドフォン100を使って、外音をより自然に再生するためのシステムでは、遅延時間を短くしたり、聴感フィルタを調整したり、マイクロフォン6L、6Rとスピーカ7L、7Rの距離を短くしたりと、ハウリングに対して不利な状況が生じる。この不利な状況において実施の形態の技術では実用レベルに解決することができ、外音をより自然に再生することができる。
なお、実施の形態のように2つの制御方式にかかわらず、例えば第1処理、第2処理、第3処理のように3以上の制御アルゴリズムを切り替えることができるようにし、周囲音に応じてより精密に制御方式を選択しても良い。
またハウリング抑制のための音声信号特性の制御としてアンプ24のゲイン制御を行う例で述べたがハウリングの止め方としては他の制御も考えられる。
例えばフィルタ23への通過帯域可変指示として、ハウリング帯域を通過させないような指示信号CL、CRを出力することも考えられる。或いは帯域毎にアンプ処理を行う構成を設け、ハウリング帯域のみ減衰制御を指示するような指示信号CL、CRを出力することも考えられる。
さらに音声処理部2において音声信号に遅延を発生させることなどにより、ハウリングを抑制しても良い。
特に騒音の多い環境下では、ハウリングと誤検出してしまう環境音が生ずる可能性が高い。そこで第2閾値th2を第1閾値th1より高くすることで、ハウリング発生判定を厳しくし、誤動作としてのハウリング抑制が行われてしまうことを低減できるようにしている。即ち第1処理は周囲の騒音レベルが比較的小さく、比較的静かな場合に発動するハウリング抑制処理であり、第2処理は周囲の騒音レベルが比較的高い場合に発動するハウリング抑制処理として好適なものとなる。
即ち第1処理は第1閾値th1を超えてハウリング発生と判定される場合に、ハウリングレベルが上昇しているときに所定量のゲインダウンなどのハウリング抑制指示を行う。
音声信号レベルが上昇している期間(例えば1ms前より所定dB以上上昇しているなどとした期間)にハウリング抑制指示を行うことで、過度なゲイン低下等の制御とはならないようにすることができる。換言すれば音声レベルが下降しているとき(ハウリング抑制が機能しているとき)に、過度に抑制制御を行うことがない。これによりスピーカ出力音について自然な聴感を維持できる。
なお実施の形態の説明上、0~4dBの上昇の場合、上昇傾向と判定するものとしたが、これは一例で、レベルが大きく低下していない限り、上昇状態にあると判定してもよい。例えばレベルが2dBより大幅に低下していなければ、上昇状態が維持されていると判定することも考えられる。或いは上昇がない(前回との差が0dBの場合)は、上昇傾向ではなくなったと判定してもよい。
即ち第2処理では、騒音環境下において入力音声レベルが第2閾値th2を超える場合に、一時的な大レベルか、ハウリングによる継続的なレベル上昇かを判定し、ハウリングと考えられる場合にハウリング抑制指示を行う。
騒音環境下では、ハウリングと誤検出するような大レベル入力が発生しやすい。但し発生する大レベルの音声は、単発的な音声であって、ハウリングのように継続的にレベルが上昇していくものではないことが多い。そこで、雑音としての大レベル入力とハウリングを区別するために、第2閾値th2を超え、かつある程度の時間継続してレベル上昇状態(レベル低下が検知されない)場合に、ハウリング抑制指示を行うことで、ノイズによってハウリング抑制が行われてしまうという誤動作を回避できる。
なお、第2閾値th2が第1閾値th1より高く、また第2処理では所定期間(例えば7カウント期間)の大レベル継続によりハウリング判定を行うことで、第2処理の実行中にハウリングが生ずると、ユーザは第1処理の実行中に比べて大きなレベルのハウリング音を聞くことが考えられる。換言すればハウリングのレベルだけでいえば、ハウリングを知覚しやすいことになってしまう。ところが、第2処理は騒音環境下で行われ、ユーザが大きな音に比較的慣れている状態である。このため、ハウリングによる耳への負担も第1処理の場合と同程度であり、或いはハウリングの知覚しにくさも第1処理の場合と同程度となる。従って第2閾値が高いことや、所定期間の大レベル継続を条件とすることは問題とはならず、逆に、誤動作防止効果を適切に発揮できることになる。
なお実施の形態の説明上、2dBを越えるレベル低下があったときに、一時的な雑音であってハウリングではないと判定するものとしたが、これは一例である。どの程度のレベル低下により雑音と判定するかは、多様に考えられる。
なお、第1の帯域と第2の帯域(つまり帯域フィルタ51、61の通過帯域)は同一の帯域としてもよく、その場合、第2の実施の形態(図10)で示したように、第1処理用の帯域フィルタ処理と第2処理用の帯域フィルタ処理を共通化できる。これは構成の簡易化が望まれる場合に好適なものとなる。
即ち帯域フィルタ51、61とエンベロープ検波部52、62の処理により、ハウリングしやすい特定の帯域の信号を抽出したうえでエンベロープ検波を行って、そのエンベロープレベルを第1閾値th1又は第2閾値th2と比較する。
これによりハウリングが起こりやすい帯域のレベル判定を、第1閾値又は第2閾値との比較結果により精度良くできる。従ってハウリング発生判定精度が向上し、音声処理系に対してハウリング抑制のための指示を的確に出力できる。
これにより例えば周囲音声が比較的静かな状態と騒音の多い状態とで、それぞれ適合した制御方式を選択し、特性制御部12における制御方式を適宜切り替えることができる。
具体的には、実施の形態の第1処理は、比較的静かな環境においてハウリングをなるべく小さいレベルのうちから抑制し、ユーザにハウリングをほとんど感じさせない処理である。また第2処理は、騒音環境において周囲ノイズによるハウリング抑制の誤動作を少なくし、且つハウリング発生の際には即座にハウリングを抑える処理である。従って音声信号レベルと騒音判定用閾値の比較により騒音環境になったと判定したときには、第2方式に切り替えることで、周囲の騒音に対応した誤動作の少ないハウリング抑制が実現される。逆に騒音環境でなくなることを検知して、第1方式に切り替えることで、ハウリングに対して反応よく抑制を行い、不自然さのない周囲音声出力ができるような処理が実現される。
これによりハウリングが生ずる帯域、換言すればハウリングと誤判定しやすい帯域において、騒音レベルを判定することができ、これによりハウリング抑制制御方式の選択を的確に行うことができる。
例えばハウリング帯域以外で騒音レベルが大きくても、実施の形態の場合、特性制御部12において誤動作としてのハウリング抑制は生じにくい。このような場合に、第1処理から第2処理に切り替える必要は無いといえる。解析部11が、ハウリング帯域を対象として制御方式を選択することで、第2処理への無用な切替が生じないことになる。
これによりハウリングが起こりやすい帯域での周囲音声レベル判定を精度良くできる。従って例えば第1処理、第2処理のような複数の制御方式の選択精度が向上し、周囲環境に応じて的確なハウリング抑制を実現できる。
つまり騒音判定用閾値thC<第1閾値th1<第2閾値th2とする。
これにより、第1処理でハウリング抑制の信号特性制御が実行される前の段階で、第2処理に切り替えることができる。
即ち解析部11の周囲音解析フィルタ71の通過信号帯域を帯域フィルタ51の通過信号帯域と同じとする。
これにより第1処理において騒音によるハウリング抑制の誤動作が生じる可能性が高い帯域のみで周囲状況(騒音環境か否か)を判定できる。従って、第1処理で誤動作を生じ易いときに適切に第2処理に切り替えるようにすることができ、ハウリング抑制動作精度を向上させることができる。
全チャネル(LチャネルとRチャネル)が騒音判定用閾値thCを越えることによれば、ハウリングではなくて周囲音声成分が大きなレベルとなっている可能性が高い。つまり全チャネルで判定することで騒音環境となったか否かの判定精度を上げることができる。
図9の例では、LチャネルとRチャネルが共に騒音判定用閾値thCを越えることで第2処理に切替を行うようにしたが、これにより騒音環境を適切に判定し、騒音環境下で誤動作の少ない第2処理が実行されることになる。
全チャネル(LチャネルとRチャネル)が騒音判定用閾値thC以下となることが所定時間継続するという条件で判定することで、いずれのチャネルもハウリングが発生しておらず、かつ騒音環境から脱したと判定する判定精度を上げることができる。これにより適切に第1処理に復帰させることができる。
図9の例では、LチャネルとRチャネルが共に騒音判定用閾値thC以下となる状態が200ms以上継続したら、第1処理に切替を行うようにしたが、これにより静かな環境を適切に判定し、それに適した第1処理が実行されることになる。なお200ms継続というのは一例にすぎず、他の時間長で判定をおこなってもよい。
解析部11による周囲音解析は、騒音のレベル以外の解析結果により制御方式の切替をおこなってもよい。例えば周囲音の周波数特性の解析により、騒音状況か否かを判定して制御方式の切替制御をするなどである。
また特にハウリング帯域を通過する帯域フィルタ51、61、周囲音解析フィルタ71は設けず、可聴帯域を広く通過するフィルタを設けてもよい。
帯域フィルタ51、61、周囲音解析フィルタ71はバンドパスフィルタはなく、目的に応じてローパスフィルタ、ハイパスフィルタとされる場合もある。
例えば音声信号に与えるゲインが大きくなるほどハウリングは発生しやすいため、それを考慮してパラメータ変更を行うことや、抑制手法、解析手法の切り替えを行うことは好適となる。
第2処理についても同様である。
このようなプログラムを提供することにより、本実施の形態の制御装置1の実現が容易となる。
また、このようなプログラムは、リムーバブル記録媒体からパーソナルコンピュータ等にインストールする他、ダウンロードサイトから、LAN(Local Area Network)、インターネットなどのネットワークを介してダウンロードすることもできる。
(1)
マイクロフォンにより入力された音声をスピーカ出力するための音声処理系に対して、音声信号特性の制御方式として複数の制御方式を選択的に実行することができる特性制御部と、
前記マイクロフォンにより入力された音声を解析し、解析結果により前記特性制御部で前記音声処理系に対して実行する制御方式を選択する解析部と、を備えた
制御装置。
(2)
前記特性制御部は、ハウリング抑制のための音声信号特性の制御方式の複数を、選択的に実行可能とされている
上記(1)に記載の制御装置。
(3)
前記特性制御部は、ハウリング抑制のための音声信号特性の制御方式として、少なくとも第1処理と第2処理が実行可能であり、
前記第1処理は、前記マイクロフォンにより入力された音声信号についての検出レベルが第1閾値を超えていることを条件の1つとしてハウリング抑制のための信号特性制御を実行するもので、
前記第2処理は、前記マイクロフォンにより入力された音声信号についての検出レベルが前記第1閾値より高い第2閾値を超えていることを条件の1つとしてハウリング抑制のための信号特性制御を実行するものである
上記(2)に記載の制御装置。
(4)
前記第1処理は、前記検出レベルが前記第1閾値を超えて、かつ上昇傾向と判定されるときに、前記音声処理系にハウリング抑制のための指示を出力する処理である
上記(3)に記載の制御装置。
(5)
前記第2処理は、前記検出レベルが前記第2閾値を超えて、かつ所定期間、所定レベル幅より大きいレベル低下が検出されない場合に、前記音声処理系にハウリング抑制のための指示を出力する処理である
上記(3)又は(4)に記載の制御装置。
(6)
前記第1処理では、前記マイクロフォンにより入力された音声信号における第1の帯域成分の信号レベルを、前記第1閾値と比較し、
前記第2処理では、前記マイクロフォンにより入力された音声信号における第2の帯域成分の信号レベルを、前記第2閾値と比較する
上記(3)乃至(5)のいずれかに記載の制御装置。
(7)
前記第1処理では、前記マイクロフォンにより入力された音声信号における第1の帯域成分の信号のエンベロープレベルを、前記第1閾値と比較し、
前記第2処理では、前記マイクロフォンにより入力された音声信号における第2の帯域成分の信号のエンベロープレベルを、前記第2閾値と比較する
上記(3)乃至(5)のいずれかに記載の制御装置。
(8)
前記解析部は、
前記マイクロフォンにより入力された音声信号レベルと騒音判定用閾値の比較結果を、前記特性制御部の制御方式の選択処理に用いる
上記(1)乃至(7)のいずれかに記載の制御装置。
(9)
前記解析部は、
前記マイクロフォンにより入力された音声信号における所定の帯域成分の信号レベルと騒音判定用閾値の比較結果を、前記特性制御部の制御方式の選択処理に用いる
上記(1)乃至(7)のいずれかに記載の制御装置。
(10)
前記解析部は、
前記マイクロフォンにより入力された音声信号における所定の帯域成分の信号のエンベロープレベルと騒音判定用閾値の比較結果を、前記特性制御部の制御方式の選択処理に用いる
上記(1)乃至(7)のいずれかに記載の制御装置。
(11)
前記解析部は、
前記マイクロフォンにより入力された音声信号レベルと、前記第1閾値より低い騒音判定用閾値との比較結果を、前記特性制御部の前記第1処理と前記第2処理の選択処理に用いる
上記(3)乃至(7)のいずれかに記載の制御装置。
(12)
前記解析部は、
前記マイクロフォンにより入力された音声信号における前記第1の帯域成分の信号レベルと騒音判定用閾値の比較結果を、前記特性制御部での前記第1処理から前記第2処理への切替の判定に用いる
上記(6)に記載の制御装置。
(13)
前記解析部には、複数のマイクロフォンにより得られる複数チャネルの音声信号が入力されるとともに、
前記解析部は、各チャネルの音声信号レベルが、全て騒音判定用閾値を越えている場合に、前記特性制御部の制御方式の切替指示を行う
上記(1)乃至(12)のいずれかに記載の制御装置。
(14)
前記解析部には、複数のマイクロフォンにより得られる複数チャネルの音声信号が入力されるとともに、
前記解析部は、各チャネルの音声信号レベルが、全て所定時間以上、騒音判定用閾値以下となった場合に、前記特性制御部の制御方式の切替指示を行う
上記(1)乃至(13)のいずれかに記載の制御装置。
(15)
マイクロフォンにより入力された音声を解析し、解析結果により、前記マイクロフォンにより入力された音声をスピーカ出力するための音声処理系に対する音声信号特性の制御方式を複数の制御方式のうちから選択する手順と、
選択された制御方式により、音声処理系に対する音声信号特性の制御を行う手順と、を制御装置が実行する制御方法。
(16)
マイクロフォンにより入力された音声を解析し、解析結果により、前記マイクロフォンにより入力された音声をスピーカ出力するための音声処理系に対する音声信号特性の制御方式を複数の制御方式のうちから選択する処理と、
選択された制御方式により、音声処理系に対する音声信号特性の制御を行う処理と、
をコンピュータ装置に実行させるプログラム。
Claims (12)
- マイクロフォンにより入力された音声をスピーカ出力するための音声処理系に対して、音声信号特性の制御方式として複数の制御方式を選択的に実行することができる特性制御部と、
前記マイクロフォンにより入力された音声を解析し、解析結果により前記特性制御部で前記音声処理系に対して実行する制御方式を選択する解析部と、を備え、
前記特性制御部は、ハウリング抑制のための音声信号特性の制御方式の複数を、選択的に実行可能とされ、ハウリング抑制のための音声信号特性の制御方式として、少なくとも第1処理と第2処理が実行可能であり、
前記第1処理は、前記マイクロフォンにより入力された音声信号についての検出レベルが第1閾値を超えていることを条件の1つとしてハウリング抑制のための信号特性制御を実行するもので、
前記第2処理は、前記マイクロフォンにより入力された音声信号についての検出レベルが前記第1閾値より高い第2閾値を超えていることを条件の1つとしてハウリング抑制のための信号特性制御を実行するものであり、
前記解析部は、前記マイクロフォンにより入力された音声信号レベルと、前記第1閾値より低い騒音判定用閾値との比較結果を、前記特性制御部の前記第1処理と前記第2処理の選択処理に用いる
制御装置。 - 前記第1処理は、前記検出レベルが前記第1閾値を超えて、かつ上昇傾向と判定されるときに、前記音声処理系にハウリング抑制のための指示を出力する処理である
請求項1に記載の制御装置。 - 前記第2処理は、前記検出レベルが前記第2閾値を超えて、かつ所定期間、所定レベル幅より大きいレベル低下が検出されない場合に、前記音声処理系にハウリング抑制のための指示を出力する処理である
請求項1に記載の制御装置。 - 前記第1処理では、前記マイクロフォンにより入力された音声信号における第1の帯域成分の信号レベルを、前記第1閾値と比較し、
前記第2処理では、前記マイクロフォンにより入力された音声信号における第2の帯域成分の信号レベルを、前記第2閾値と比較する
請求項1に記載の制御装置。 - 前記第1処理では、前記マイクロフォンにより入力された音声信号における第1の帯域成分の信号のエンベロープレベルを、前記第1閾値と比較し、
前記第2処理では、前記マイクロフォンにより入力された音声信号における第2の帯域成分の信号のエンベロープレベルを、前記第2閾値と比較する
請求項1に記載の制御装置。 - 前記解析部は、
前記マイクロフォンにより入力された音声信号における所定の帯域成分の信号レベルと騒音判定用閾値の比較結果を、前記特性制御部の制御方式の選択処理に用いる
請求項1に記載の制御装置。 - 前記解析部は、
前記マイクロフォンにより入力された音声信号における所定の帯域成分の信号のエンベロープレベルと騒音判定用閾値の比較結果を、前記特性制御部の制御方式の選択処理に用いる
請求項1に記載の制御装置。 - 前記解析部は、
前記マイクロフォンにより入力された音声信号における前記第1の帯域成分の信号レベルと騒音判定用閾値の比較結果を、前記特性制御部での前記第1処理から前記第2処理への切替の判定に用いる
請求項4に記載の制御装置。 - 前記解析部には、複数のマイクロフォンにより得られる複数チャネルの音声信号が入力されるとともに、
前記解析部は、各チャネルの音声信号レベルが、全て騒音判定用閾値を越えている場合に、前記特性制御部の制御方式の切替指示を行う
請求項1に記載の制御装置。 - 前記解析部には、複数のマイクロフォンにより得られる複数チャネルの音声信号が入力されるとともに、
前記解析部は、各チャネルの音声信号レベルが、全て所定時間以上、騒音判定用閾値以下となった場合に、前記特性制御部の制御方式の切替指示を行う
請求項1に記載の制御装置。 - マイクロフォンにより入力された音声信号レベルと、第1閾値より低い騒音判定用閾値との比較結果用いて、前記マイクロフォンにより入力された音声をスピーカ出力するための音声処理系に対するハウリング抑制のための音声信号特性の制御方式を、少なくとも前記マイクロフォンにより入力された音声信号についての検出レベルが前記第1閾値を超えていることを条件の1つとしてハウリング抑制のための信号特性制御を実行する第1処理による制御方式と、前記マイクロフォンにより入力された音声信号についての検出レベルが前記第1閾値より高い第2閾値を超えていることを条件の1つとしてハウリング抑制のための信号特性制御を実行する第2処理による制御方式のうちから選択する手順と、
選択された制御方式により、音声処理系に対する音声信号特性の制御を行う手順と、
を制御装置が実行する制御方法。 - マイクロフォンにより入力された音声信号レベルと、第1閾値より低い騒音判定用閾値との比較結果を用いて、前記マイクロフォンにより入力された音声をスピーカ出力するための音声処理系に対するハウリング抑制のための音声信号特性の制御方式を、少なくとも前記マイクロフォンにより入力された音声信号についての検出レベルが前記第1閾値を超えていることを条件の1つとしてハウリング抑制のための信号特性制御を実行する第1処理による制御方式と、前記マイクロフォンにより入力された音声信号についての検出レベルが前記第1閾値より高い第2閾値を超えていることを条件の1つとしてハウリング抑制のための信号特性制御を実行する第2処理による制御方式のうちから選択する処理と、
選択された制御方式により、音声処理系に対する音声信号特性の制御を行う処理と、
をコンピュータ装置に実行させるプログラム。
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