JP4236140B2 - 液体加熱装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばフライヤー、茹麺機等の液体加熱装置に係わり、特に液槽内の液体を効率良く加熱し得る液体加熱装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の液体加熱装置としてのフライヤーは、例えば実開昭61−52152号公報に開示されている。このフライヤー1は、図7及び図8に示すように、本体2の上部に設けられた液槽3を有し、この液槽3内の高さ方向の略中間位置には、一端側3a(本体2の前方側)から他端側3b(本体2の後方側)に向けて貫通する4本の円筒形状の排気管4が水平状態で配置されている。この排気管4内には、左右に傾斜して排気管4内を交互に十字形状に貫通する接続管5a、5bが、長手方向に所定の間隔を有して取り付けられている。
【0003】
また、液槽3の一端側3aの下部には、液槽3の前部を形成する水平壁6と垂直壁7及び水平壁6の前端に連設されたカバー8等からなる燃焼室9が設けられ、この燃焼室9内にはガスバーナ10が配置されている。さらに、液槽3の排気管4下方の底部3cは前方側が低くなるように傾斜し、その前端部にはドレーンコック11が設けられると共に、このドレーンコック11下方の本体2内には、排油函12が配置されている。
【0004】
そして、このフライヤー1は、ガスバーナ10の燃焼で発生する燃焼ガスが燃焼室9内に充満すると、液槽3の水平壁6を直接加熱して液槽3内の例えば油13を加熱すると共に、燃焼ガスが排気管4内に進入して図8の矢印の如くその内部を流通し、排気筒14から外部に排気される。
【0005】
この時、4本の排気管4が液槽3内に水平状態で配置されていることから、この排気管4内を流通する燃焼ガスによって液槽3内の油13が加熱されると共に、排気管4内に設けられた接続管5a、5bの熱伝導によっても液槽3内の油13が加熱される。これにより、液槽3の排気管4より上部が高温部を形成し、排気管4より下部が低温部を形成して、高温部の油13によって揚げ物が排気管4の上部に配置された網15で低温部への落下が防止されつつ揚げられることになる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このフライヤー1にあっては、液槽3下部に4本の円筒形状の排気管4を水平状態で配置すると共に、この排気管4内に十字形状に接続管5a、5bを交互に合計6本配置している構造であるため、排気管4内を流通する燃焼ガスの排気管4に対する伝熱面積が小さく、ガスバーナ10で液槽3内の油13を効率良く加熱することができず、フライヤー1として十分な熱効率を得ることが困難であるという問題点があった。
【0007】
また、排気管4内を流通する燃焼ガスの温度は、排気管4の燃焼室9側の入口が最も高く排気筒14側の出口が最も低くなるが、上記のフライヤー1にあっては、排気管4内の直径方向でその長手方向に沿って略一定の間隔で合計6本の接続管5a、5bが設けられているのみであるため、排気管4内の燃焼ガスの温度勾配に沿った熱伝導を得ることが難しく、液槽3の特に前後方向における油13の温度に差が生じ易いという問題点があった。さらに、熱交換部を形成する排気管4部に圧力損失が発生し易いため、その外形寸法が大きくなり清掃性やメンテナンス性の面でも劣るという問題点があった。
【0008】
そこで、本出願人は、このような問題点を解決する液体加熱装置として、排気管の略垂直な側面壁内面に、その長手方向に沿って断面コ字形状やL字形状に形成され所定間隔のスリットを有するフィンを一体的に固着した液体加熱装置(特願平10−333147号参照)を提案した。この液体加熱装置によれば、所定形状に設定されたフィンによって、従来例に比較して十分な熱効率を得ることができるのの、その後の鋭意研究により、排気管から排気される排気温度を十分に低くすることが難しいという新たな課題が判明した。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑み上記問題点と新たな課題を同時に解決することを目的としてなされたものであって、その目的は、液槽内に設けられる排気管の熱交換率を高めて、装置自体に十分な熱効率が得られると共にその排気温度を低くし得る液体加熱装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成すべく、本発明のうち請求項1記載の発明は、液槽の下部の一方側にバーナが配置された燃焼室を設けると共に、液槽内にその一方側から他方側に向けて垂直な一対の側面壁を有する複数の筒状の排気管を水平状態で配置し、前記燃焼室内の燃焼ガスを排気管内に流通させて液槽内の液体を加熱する液体加熱装置において、前記排気管の両側面壁の内面に、燃焼ガスの流通方向である長手方向の略全域に亘って固着される固着部と該固着部の上下端部から水平方向に突出状態で一体形成された一対の側壁部からなる断面コ字状のフィンを固着すると共に、該フィンの両側壁部に前記長手方向と直交する所定間隔の複数のスリットを形成し、該スリット間の両側壁部を前記流通方向に向けて下流側が低くなる如く傾斜させることにより、フィン内を流れる燃焼ガスを下流側に向けて下方に指向させる燃焼ガス誘導手段を設けたことを特徴とする。
【0011】
このように構成することにより、バーナの燃焼によって発生する燃焼ガスは、燃焼室内から排気管内に進入して排気管内を流通し、この流通中において、排気管の左右もしくは一方の側面壁内面に固着されているフィンを加熱する。このフィンの加熱によって、排気管に対する燃焼ガスの熱の伝熱面積が大幅に大きくなると共に、フィンの側壁部が筒状の排気管の略垂直な側面壁内面に略水平状態で設けられかつフィンがスリットを有していることから、燃焼ガスが排気管の上部に閉じ込められることがなくなり、燃焼ガスの排気管内における流通が良好となってフィンの長手方向全域で熱交換が良好に行われる。
【0012】
また、フィンは、水平方向に突出した側壁部に長手方向と直交するスリットが形成され、このスリット間の両側壁部を燃焼ガスの流通方向に向けて下流側が低くなる如く傾斜させて、フィン内を流れる燃焼ガスを下流側に向けて下方に指向させる燃焼ガス誘導手段を有することから、燃焼ガスが下方に向けて誘導されつつ下流側に流れる。この時、フィンの側壁部内面を流れる高温の燃焼ガスは、スリット部分においてフィンの側壁部外面を流れてくる低温の燃焼ガスと混合撹拌される状態となり、この燃焼ガスが次のフィンの側壁部に沿って下方に流れる。つまり、燃焼ガスが傾斜した側壁部で常に下方に向かう作用を受けつつ流れ、この燃焼ガスの流れがフィンの長手方向に亘って繰り換えされることによって、排気管の長手方向の全域において十分な熱交換が行われ、排気管から排気される排気温度も低くなる。さらに、フィンの固着部が排気管の燃焼ガスの流通方向である長手方向の略全域に亘る長さを有し、かつこの固着部の上下端部に側壁部が一体形成されることから、1つのフィンに多数の傾斜した側壁部やスリットを一体形成でき、フィン自体の構成が簡略化されると共に、フィンの排気管内面への固着が容易となる。
【0013】
また、請求項2記載の発明は、前記排気管が、一対の傾斜面を有する正面視三角形状の上面壁と、この上面壁に連設された一対の前記側面壁を有する管体を備えることを特徴とし、請求項3記載の発明は、前記管体が、1枚のプレートの内面で前記両側面壁に相当する部分にフィンの固着部を予め固着し、前記上面壁の中間部分等を折り曲げてプレートの両端部を当接させることにより、正面視五角形状に形成されていることを特徴とする。このように構成することにより、液槽内で揚げられた揚げ糟等が排気管の傾斜した上面壁に沿って自動的に下方に流下することから、排気管上に揚げ糟等が堆積することがなくなり、排気管の加熱効率の低下が防止されると共に、排気管自体の清掃性が向上する。また、フィンが固着された1枚のプレートを折り曲げることにより管体を形成できて、その組付作業を容易に行うことができる。
【0014】
さらに、請求項4記載の発明は、前記フィンが、その側壁部の面積が下流側に向かうに従い大きくなる如く設定されていることを特徴とする。このように構成することにより、フィンの側壁部の面積が燃焼ガスの温度勾配に応じて設定されることから、燃焼ガスの温度をこのフィンを介して液体に効率的に伝熱することができて、装置自体に十分な熱効率が得られる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態の一例を図面に基づいて詳細に説明する。
図1〜図6は、本発明に係わる液体加熱装置をフライヤーに適用した場合の一実施例を示し、図1がその正面方向からの概略断面図、図2が側面方向からの要部の概略断面図、図3が排気管の正面図、図4が図3のA−A線に沿った断面図、図5が図3のB−B線に沿った断面図、図6が図4のC部の拡大断面図である。なお、図7及び図8と同一部位には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0018】
図1及び図2に示すように、フライヤー1の本体2上部に配設される液槽3内の網15下方には、2本の排気管20が液槽3の略一端側3aから他端側3bに向けて略水平状態で配置されている。この排気管20は、例えばステンレス製で形成された管体21と、その管体21の内面に水平方向に突出する状態でそれぞれ固着された例えば銅製のフィン22とで形成されている。
【0019】
そして、前記管体21とフィン22は次のようにして形成されている。すなわち、管体21は、図3に示すように、一対の傾斜面を有する略三角形状の上面壁21aと、この上面壁21aの両側に連設された両側面壁21b、21cと、この両側面壁21b、21cに連設された下面壁21dとで、正面視略五角形状に形成されている。
【0020】
また、フィン22は、図3〜図6に示すように、断面略コ字状に形成されて固着部22aと一対の側壁部22b、22cを有し、固着部22aが管体21の側面壁21b、21c内面に、所定の間隔t(図3参照)を有してロウ付け等で固着されることにより、側壁部22bが管体21の中心に向かって略水平方向に突出している。そして、フィン22の側壁部22bの先端は所定の間隔T(図3参照)を有する如く設定されており、このフィン22によって、各フィン22の側壁部22b間に燃焼ガスの流路23が形成されると共に、隣り合うフィン22の側壁部22b間、及び最上位や最下位と側壁部22aと管体21の上面壁21aや下面壁21d間等にも流路24が形成されている。
【0021】
また、フィン22の一対の側壁部22bには、その長手方向の所定間隔(一定もしくは徐々に大きくなったり小さくなる間隔)位置に、略固着部22aまで達するか固着部22aまで達しない所定深さで所定幅のスリット25が多数形成されている。このスリット25によって、フィン22の反りが防止されると共に後述する如く熱交換された燃焼ガスの排気通路が形成され、さらに各側壁部22bの傾斜を可能にしている。さらに、フィン22の側壁部22bの高さ(すなわち伝熱面積)は、一端側から他端側に向かって例えば直線状に大きくなるように形成されている。
【0022】
すなわち、図5に示すように、フィン22の、燃焼室9側に位置する燃焼ガスの入口側の側壁部22bの高さh1が、排気筒14側に位置する燃焼ガスの出口側(排気側)の側壁部22bの高さh2より小さく(h1<h2)となるように形成されている。なお、このフィン22の側壁部22bの高さは、直線状に変化させる他に、各スリット25で分割された各側壁部22bが段階状に変化したり、全体として曲線状に変化させることもでき、この変化は、管体21内の長手方向における温度勾配に応じて設定される。
【0023】
また、フィン22の各側壁部22bは、スリット25の上流側が下方に位置し下流側が上方に位置することによって、スリット25で分割された側壁部22bが右下がり方向に所定角度傾斜した状態で形成されている。すなわち、図6に示すように、スリット25の上流側の下端(側壁部22bの下流側22b−B)とスリット25の下流側の下端(直下流側の側壁部22bの上流側22b−A)間にh3=2mmの段差が設定され、この段差h3に対応して各側壁部22bが右下がり方向に傾斜している。
【0024】
このフィン22の傾斜した側壁部22bによって燃焼ガス誘導手段が形成され、後述する如く燃焼ガスが常に下方に指向しつつ下流側に流れることになる。なお、図6に示すフィン22の各寸法は、例えばフィン22の全長が294mmの状態において、各側壁部22bの長さがL=13.5mmでスリット25の幅がW=3mmに設定されている。
【0025】
このフィン22は、例えば次のようにして製造される。すなわち、先ず、所定の外形形状に切断された1枚のプレート26(図3参照)を用意し、このプレート26の前記側面壁21b、21c内面に相当する部分に、フィン22の固着部22aをそれぞれ固着する。このフィン22のプレート26への固着は、図4に示すスポット箇所27をスポット溶接して仮止めし、その後、フィン22とプレート26の接合角部に図示しない銅ロウを配置し、この銅ロウを加熱して溶融させることによって行われる。なお、フィン22のプレート26への固着は、ロウ付けに限らず、フィン22やプレート26の材質等に応じてシーム溶接、高周波溶接等の適宜の固着手段が採用される。
【0026】
プレート26にフィン22を固着したら、図示しない折曲治具(型)を、管体21の上面壁21aの中間部分に相当するプレート26の内面に押し当て、図3の二点鎖線で示すように、プレート26を矢印イ方向に徐々に折り曲げる。したがって、管体21の両側面壁21b内面に固着されたフィン22の側壁部22b先端の間隔Tは、少なくとも折曲治具が挿脱し得るように、折曲治具の幅より大きく設定されることになる。このプレート26の折り曲げによって、その端部26a、26bが当接し、この状態で端部26a、26bを例えばスポット溶接で仮止めし、その後、銅ロウ等で固着することにより排気管20が製造される。
【0027】
次に、上記フライヤー1の動作について説明する。先ず、液槽3内に所定量の液体としての食用油等の油13を入れ、ブンゼン式ガスバーナ等からなるガスバーナ10を燃焼させる。このガスバーナ10の燃焼によって発生する燃焼ガスは、液槽3の水平壁6を直接加熱すると共に、燃焼ガスが排気管20の入口から進入して排気管20内を流通し、排気筒14から外部に排気される。排気管20内を流通する燃焼ガスは、フィン22で形成される流路23、24内を矢印ロ、ハ(図4及び図5参照)の如く流通すると共に、フィン22の外側部分を矢印ニの如く流通し、特にフィン22で形成される流路23、24内を流通する燃焼ガスによってフィン22自体の温度が高められる。
【0028】
この時、フィン22自体が断面コ字状に形成されて伝熱面積が大きく設定されていることから、燃焼ガスでフィン22の側壁部22b等が加熱されて、フィン22の温度が効果的に高められ、このフィン22の熱が固着部22aを介して管体21に伝熱されて排気管20が加熱される。また、フィン22を加熱することによって熱交換された燃焼ガスは、傾斜した側壁部22aに沿って流れ、その多くがスリット25部分を通過してフィン22の次の側壁部22b内に浸入し、その一部はフィン22のスリット25を介して上昇して流路24内に進入し、上方に位置するフィン22の下部側の側壁部22bを加熱する。
【0029】
すなわち、温度の高い燃焼ガスはその上昇作用によりフィン22の上部側の側壁部22bの内面に沿って流れ、温度の低い燃焼ガスはフィン22の下部の側壁部22b側を流れることになるが、この時、側壁部22bが下流側に向けて傾斜しているため、スリット25部分において、温度の高い燃焼ガスと温度の低い燃焼ガスとが混合撹拌されつつ下流側に流れることになる。つまり、図6に示すように、温度が高く上部の傾斜した側壁部22b内面に沿って矢印ヘの如く流れてスリット25内を上昇しようとする燃焼ガスと、温度が低く傾斜した側壁部22b外面に沿って流路24内を矢印トの如く流れてくる燃焼ガスが、スリット25部分で合流される。
【0030】
この温度の異なる燃焼ガスの合流により両燃焼ガスがスリット25部分で混合撹拌され、この混合撹拌された燃焼ガスの多くが矢印チの如く次の傾斜した側壁部22b間に浸入し、スリット25内を矢印リの如く上昇する燃焼ガスの量が少なくなる。この動作が各フィン22の長手方向に沿った各スリット25部分で行われることにより、同一のフィン22において、長手方向の一端側と他端側の温度差が少なくなり、排気管20における熱交換率を高めることができて、例えば側壁部22bを傾斜させないフィンの場合に比較して、後述する如く排気管20の排気温度を低くすることができる。
【0031】
また、フィン22で形成される流路23、24内を流れる燃焼ガスは、前述したように各流路23、24に流れ込んだ燃焼ガスの多くがその流路23、24を下流側まで流れると共に、フィン22の側壁部22bが略水平方向に突出して設けられて流路23、24が上下方向に区画されていることから、各流路23、24内を燃焼ガスがそれぞれ良好に流通し、燃焼ガスのフィン22内への閉じ込め(滞留)が防止されることになる。
【0032】
そして、フィン22を介して管体21が加熱されることにより排気管20が加熱されて、この排気管20の外側面が接している油13が所定温度まで加熱されると共に、フィン22の伝熱面積の温度勾配に応じた設定や側壁部22bの傾斜による流路23、24内の温度の制御によって、排気管20の長手方向における加熱温度が均一化され、液槽3の全域において油13が略均一な温度となり、この油13によって揚げ物が良好な状態でかつ効率的に揚げられる。
【0033】
このように、上記実施例のフライヤー1によれば、液槽3内に配設される排気管20の側面壁21b、21c内面に複数本のフィン22が長手方向に固着されているため、このフィン22の側壁部22bによって、排気管20の伝熱面積を例えば上記実施例のフィン22が無い場合に比較して約3倍〜5倍大きくすることができて、排気管20内を流通する燃焼ガスの温度をフィン22を介して排気管20に良好に伝熱することができる。
【0034】
特に、フィン22の長手方向に沿って所定間隔でスリット25を設けると共に、フィン22の側壁部22bが、スリット25の上流側となる側壁部22bの下流側22b−Bの位置が低く、スリット25の下流側となる次の側壁部22bの上流側22b−Aの位置が高くなるように傾斜しているため、スリット25部分において温度の高い燃焼ガスと温度の低い燃焼ガスを混合撹拌させつつ次の側壁部22b内に流す、すなわち高温の燃焼ガスを側壁部22bによって常に下方に指向させつつ流すことができて、フィン22で形成される各流路23、24の全域に燃焼ガスを良好に流通させることができる。
【0035】
また、排気管20を正面視略五角形状に形成してその側面壁21b、21c内面に、側壁部22bが水平方向に突出する如くフィン22を固着しているため、フィン22で熱交換された燃焼ガスが、後方から送られてくる高温の燃焼ガスをフィン22内に閉じ込めることなく各流路23、24内を流通させることができると共に、フィン22の長手方向における高さが入口側から出口側に向かうに従い高くなるように設定されているため、燃焼ガスの温度の低い出口側の伝熱面積をより大きくすることができる等、排気管20に温度勾配に応じた伝熱面積を得ることができる。
【0036】
これらのことから、排気管20における熱交換率を十分に高めることができ、例えば排気管20から排気される温度を従来例等に比較して、下記表1に示す如く低くすることが可能になる。なお、表1において、比較例1は図7及び図8に示す従来例と略同等のフライヤーであり、比較例2は特願平10−333147号の構成を採用したフライヤーを示している。
【0037】
【表1】
【0038】
この表1から、略同一のインプットに対して、油の温度が室温から180℃まで立ち上がる時間と、ガス消費量及び排気温度において、本発明の実施例が優れており、特に排気温度においては、排気管20の本数が半分であるにも係わらず、比較例1の半分以下となっていることがわかる。
【0039】
また、表1に示すように排気管20の本数を、比較例1及び比較例2の4本から半分の2本に減らすことができるため、部品コストの低減が図れて安価なフライヤー1が得られると共に、2本の排気管20間に比較的大きな隙間を形成することができるため、この隙間を利用して液槽3の底部3cに堆積した揚げ糟等を除去でき、排気管20が4本配置される場合のように特殊な清掃具を使用することなく、液槽3の清掃作業を極めて簡単かつ短時間に行うことができる。
【0040】
またさらに、排気管20の管体21の上面壁21aが略三角形状の一対の傾斜面で形成されているため、揚げ糟がこの傾斜面を伝わって自動的に液槽3の底部3cに落下し、揚げ糟の堆積による排気管20の加熱効率の低下を防ぐことができると共に、排気管20自体の清掃作業が容易に行える。また、フィン22が断面コ字状に形成されているため、その形状を簡略化することができて、フィン22自体の製造が容易に行えると共に、多数の側壁部22bとスリット25が固着部22aに一体化された所定長さのフィン22の固着面22aを、プレート26の所定位置に固着すること等によって管体21を組み付けできるため、組付作業も容易となる。
【0041】
また、排気管20からの排気温度を低くすることができるため、排気筒14に対する熱対策が簡略化されて排気筒14自体の構成が簡素化されると共に、本体2の外表面の温度を低くすることができて、安全性を向上させることができる。また、ガス消費量を少なくすることができて、省エネ化を図ることもでき、これのことから、フライヤー1自体をより安価に形成することが可能になる。
【0042】
なお、上記実施例においては、フィン22を固着部22aと傾斜する一対の側壁部22bとで一体形成しこれを管体21の長手方向の略全域に固着して排気管20を構成したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば下流側が低くなる如く傾斜した側壁部22bを有する所定長さの複数のフィン22を、管体21の長手方向に隙間(スリット)を介して連設状態で固着しても良いし、予め側壁部22bが傾斜する如くスリット25を介して形成された複数のフィン22を管体21の長手方向に隙間(スリット)を介して連設固着することにより、排気管20を構成することもできる。
【0043】
また、上記実施例においては、フィン22を断面コ字形状に形成したが、断面L字形状のフィンを使用することもできるし、排気管20の上面壁21aの傾斜面も、略三角形状に限らず円弧形状等の適宜の傾斜面で形成することができる。さらに、本発明に係わる液体加熱装置としてはフライヤー1に限らず、茹麺機等の所定の液体を加熱する各種液体加熱装置に適用することができるし、上記実施例における排気管20に固着されるフィン22の数、側壁部22bの長さや高さ寸法(傾斜角度)あるいはスリット25の幅、液槽3自体の形状、ガスバーナ10の形態及びその配設位置等も一例であって、本発明に係わる各発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることはいうまでもない。
【0044】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1記載の発明によれば、排気管の両側面壁の内面に断面コ字状のフィンを固着し、このフィンにスリットを形成してフィン間の両側壁部を燃焼ガスの流通方向に向けて下流側が低くなる如く傾斜させることにより、フィン内を流れる燃焼ガスを下流側に向けて下方に指向させる燃焼ガス誘導手段を有するため、フィンに沿って流れる高温の燃焼ガスと低温の燃焼ガスを、スリット部分で混合撹拌させつつ常に下方に指向させて下流側に良好に流通させることができ、排気管における熱交換率を高めることができて、装置自体に十分な熱効率が得られると共に排気管からの排気温度を低くすることができる。また、フィンの固着部が排気管の長手方向の略全域に亘る長さを有し、かつこの固着部に多数の側壁部が一体形成されているため、フィン自体の構成を簡略化して安価に形成することができると共に、フィンの排気管内面への固着が簡単となり組付作業を容易に行うことができる。
【0045】
また、請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加え、液槽内で揚げられた揚げ糟等を排気管の傾斜した上面壁に沿って下方に自動的に流下させることができて、排気管上に揚げ糟等が堆積することがなくなり、排気管の加熱効率の低下が防止されると共に、排気管自体の清掃性を向上させることができる。
【0046】
また、請求項3記載の発明によれば、請求項2記載の発明の効果に加え、フィンが固着された1枚のプレートを折り曲げることにより管体を形成できて、その組付作業を容易に行うことができる。
【0047】
また、請求項4記載の発明によれば、請求項1ないし3記載の発明の効果に加え、フィンの側壁部の面積が燃焼ガスの温度勾配に応じて設定されているため、燃焼ガスの温度をこのフィンを介して液体に効率的に伝熱することができて、装置自体に十分な熱効率を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる液体加熱装置をフライヤーに適用した場合の一実施例を示す正面方向からの概略断面図
【図2】同その側面方向からの要部の概略断面図
【図3】同排気管の正面図
【図4】同図3のA−A線に沿った断面図
【図5】同図3のB−B線に沿った断面図
【図6】同図4のC部の拡大断面図
【図7】従来の液体加熱装置の正面方向からの概略断面図
【図8】同その側面方向からの要部の概略断面図
【符号の説明】
1・・・・・・・・・フライヤー
3・・・・・・・・・液槽
3a・・・・・・・・一端側
3b・・・・・・・・他端側
9・・・・・・・・・燃焼室
10・・・・・・・・ガスバーナ
13・・・・・・・・油
14・・・・・・・・排気筒
15・・・・・・・・網
20・・・・・・・・排気管
21・・・・・・・・管体
21a・・・・・・・上面壁
21b、21c・・・側面壁
22・・・・・・・・フィン
22a・・・・・・・固着部
22b・・・・・・・側壁部
22b−A・・・・・上流側
22b−B・・・・・下流側
23、24・・・・・流路
25・・・・・・・・スリット
26・・・・・・・・プレート
Claims (4)
- 液槽の下部の一方側にバーナが配置された燃焼室を設けると共に、液槽内にその一方側から他方側に向けて垂直な一対の側面壁を有する複数の筒状の排気管を水平状態で配置し、前記燃焼室内の燃焼ガスを排気管内に流通させて液槽内の液体を加熱する液体加熱装置において、
前記排気管の垂直な両側面壁の内面に、燃焼ガスの流通方向である長手方向の略全域に亘って固着される固着部と該固着部の上下端部から水平方向に突出状態で一体形成された一対の側壁部からなる断面コ字状のフィンを固着すると共に、該フィンの両側壁部に前記長手方向と直交する所定間隔の複数のスリットを形成し、該スリット間の両側壁部を前記流通方向に向けて下流側が低くなる如く傾斜させることにより、フィン内を流れる燃焼ガスを下流側に向けて下方に指向させる燃焼ガス誘導手段を設けたことを特徴とする液体加熱装置。 - 前記排気管は、一対の傾斜面を有する正面視三角形状の上面壁と、この上面壁に連設された一対の前記側面壁を有する管体を備えることを特徴とする請求項1記載の液体加熱装置。
- 前記管体は、1枚のプレートの内面で前記両側面壁に相当する部分にフィンの固着部を予め固着し、前記上面壁の中間部分等を折り曲げてプレートの両端部を当接させることにより、正面視五角形状に形成されていることを特徴とする請求項2記載の液体加熱装置。
- 前記フィンは、その側壁部の面積が下流側に向かうに従い大きくなる如く設定されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の液体加熱装置。
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