JP3670152B2 - 熱交換器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、給湯装置等の熱交換器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、給湯装置等において、例えば特開平10−325610号公報に開示された熱交換フィンが使用されている。図3はこの熱交換フィンが使用された熱交換器の断面図である。図3に示す熱交換器では、複数枚の熱交換フィンaが重ねられるように整列されて燃焼缶体bの内部に配置されている。熱交換フィンaにはその上部、下部にそれぞれ上部水管c、c、‥、下部水管d、d、‥が貫通して設けられている。熱交換フィンaの下方にはバーナeが設けられている。
【0003】
熱交換フィンaは、略下半部が左右両辺を燃焼缶体bの内壁に沿わせた略長方形状で略上半部が上方に狭小する略台形状のフィン基板fが備えられている。フィン基板fには、その左右両辺の略上半部、略下半部に沿ってそれぞれフィン基板fに対して垂直に折り曲げられた折曲片g、hが設けられている。また、フィン基板fを底辺から下部水管dを避けながら上部水管cに向かって垂直方向に切り欠いた切欠部i、i、‥が設けられている。熱交換フィンaは、折曲片gと燃焼缶体bの内壁との間の略三角形状の隙間に置かれたロウ材Rにより、折曲片hにおいて燃焼缶体bの内壁にロウ付けされる。
【0004】
前記構成の熱交換器においては、バーナeの燃焼排気の熱が直接的に又は熱交換フィンaを介して間接的に上部水管c、c、‥及び下部水管d、d、‥に伝達され、これらの水管を流れる水が昇温される。ところが、上部水管cは下部水管dよりもバーナeから遠く、上部水管cには熱交換フィンaに熱を奪われてその温度が低下した燃焼排気が接触するため結露が生じ易い。かかる結露を防止するため、燃焼缶体bの内壁近傍を上昇する燃焼排気が折曲片gにより熱交換フィンaの上部水管cに向かって誘導される。燃焼缶体bの内壁近傍を上昇する燃焼排気はバーナeの外周縁から上昇してくるフレッシュエアの混合比が高いためその露点温度が低く、かかる露点温度の低い燃焼排気を接触させることで上部水管cでの結露が抑制されている。また、切欠部iを設けたことで燃焼排気が上部水管cに到達するまでの間に熱交換フィンaで損失する熱量が抑えられるため、高温の燃焼排気を接触させることによっても上部水管cの結露が抑制されている。
【0005】
しかし、切欠部iを大きくするほど燃焼排気の熱損失が少なくなり水管cの結露が防止される反面、熱交換フィンaの面積が小さくなるため熱交換効率が低下する。このため水管cを流れる水を効率よく昇温させることが困難となるおそれがある。そこで、切欠部iを設けて失われた熱交換フィンaの面積を補填すべく、折曲片gと燃焼缶体bの内壁との略三角形状の隙間を埋めるようにフィン基板fを拡張することが考えられる。
【0006】
この場合、熱交換フィンの左右両辺は全長にわたり燃焼缶体bの内壁に沿う略長方形状となるが、熱交換フィンの左右両辺を全長にわたって燃焼缶体bの内壁に当接させると、以下のような場合には不都合が生じる。燃焼缶体bの上部にはバーナeの燃焼排気を排出するためダクトが取り付けられる。そこで、例えば実開平6−22743号公報に開示されたように排気経路の入口が熱交換フィンaの左右いずれか一方に偏っているダクトを使用することが考えられる。この場合、図3において燃焼排気が燃焼缶体内を左右何れか一方に偏って上昇する。このため、燃焼排気の熱が熱交換フィンの上部の左右いずれか一方の側に集中し、この熱が伝達された部分で燃焼缶体が過剰に高温となって耐久性が低下するおそれがある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
前記背景に鑑みて本発明は、水管での結露防止、熱交換効率の低下防止及び燃焼缶体の耐久性低下防止が可能な熱交換器を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための本発明の熱交換器は、水管が貫通して設けられるとともに燃焼缶体内に複数枚が整列されて設置される熱交換フィンを備えた熱交換器であって、前記熱交換フィンは、左右両辺が全長にわたり前記燃焼缶体の内壁に沿う略長方形状のフィン基板と、前記フィン基板の左右両辺の略上半部に沿って該フィン基板に対して垂直に折り曲げられて設けられ、前記燃焼缶体の内壁から離反する第1の折曲片と、前記フィン基板の左右両辺の略下半部に沿って該フィン基板に対して垂直に折り曲げられて設けられ、前記燃焼缶体の内壁にロウ付けされる第2の折曲片とから構成され、前記水管のうち前記フィン基板の上部を貫通する上部水管に向かって該フィン基板を底辺から切り欠いて切欠部が設けられていることを特徴とする。
【0009】
前記熱交換器においては、熱交換フィンは、第1の折曲片が燃焼缶体の内壁から離反した状態で、第2の折曲片で燃焼缶体とロウ付けされている。このため、熱交換フィンの上部から燃焼缶体の内壁への熱伝達を防止することができる。また、第1の折曲片により熱交換フィンの上部に上昇してきた燃焼排気と燃焼缶体の内壁との接触を防止することができる。従って、燃焼排気が熱交換フィンの上部の左右いずれか一方の側に集中した場合、この集中した燃焼排気の熱が燃焼缶体に伝わるのを防止することができる。そして、燃焼缶体が部分的に過剰に高温となり、その耐久性が低下するのを防止することができる。
【0010】
また、切欠部が設けられているため燃焼排気の熱が上部水管に到達するまでの熱損失が抑制されるため、上部水管には十分に高温の燃焼排気を接触させて上部水管での結露発生を防止することができる。さらに、フィン基板が左右両辺が全長にわたり前記燃焼缶体の内壁に沿う略長方形状とされている。従って、切欠部が設けられた分だけ失われた熱交換フィンの面積がフィン基板の上部の両辺部において補填されている。このため、熱交換効率の低下を防止することができ、ひいては水管を流れる水を効率よく昇温させることができる。
【0011】
熱交換フィンを第2の折曲片で燃焼缶体の内壁にロウ付けするためには、第1の折曲片と燃焼缶体との隙間の最下方にロウ材を設置することが考えられる。この場合、ロウ付けに必要な量に応じた大きさのロウ材を設置する隙間が第1の折曲片と燃焼缶体の内壁との間に確保されている必要がある。しかし、前述のように熱交換フィンの上部から燃焼缶体への熱伝達防止、及び、熱交換フィンの面積補填のため、熱交換フィンの左右両辺の略上半部は燃焼缶体に対して離反させつつもできるだけ接近させることが好ましい。
【0012】
そこで、前記構成の熱交換器において、前記熱交換フィンには前記第2の折曲片と前記フィン基板とを連続して切り欠いて、ロウ材が設置されるロウ材用切欠部が設けられ、該熱交換フィンは該ロウ材用切欠部に設置されたロウ材により前記第2の折曲片において前記燃焼缶体の内壁にロウ付けされているとよい。かかる構成の熱交換器においては、ロウ材用切欠部にロウ材を設置することができ、このロウ材により熱交換フィンを第2の折曲片で燃焼缶体の内壁にロウ付けすることができる。従って、ロウ材を設置するために第1の折曲片と燃焼缶体の内壁との間のスペースを確保する必要はない。このため、熱交換フィンの左右両辺の略上半部を燃焼缶体に対して離反させつつも可能な限り接近させるように熱交換フィンの略上半部を拡張することができる。
【0013】
前記構成の熱交換器において、前記ロウ材用切欠部は、前記フィン基板の内方から前記第2の折曲片に向かって下に傾斜する傾斜縁を有していてもよい。この場合、ロウ材用切欠部に設置されて溶融されたロウ材を、傾斜縁に沿って第2の折曲片と燃焼缶体の内壁との間に確実に流し込むことができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の熱交換器について図面を参照しながら説明する。図1は本実施形態の熱交換器の断面図であり、図2は本実施形態の熱交換器に使用される熱交換フィンの要部の斜視図である。
【0015】
図1及び図2に示した本実施形態の熱交換器において、熱交換フィン1には、その上部、下部にそれぞれ上部水管2a、2a、‥、下部水管2b、2b、‥が貫通して設けられている。熱交換フィン1は複数枚が重ねられるように整列されて略方形筒状の燃焼缶体3の内部に配置されている。燃焼缶体3の下方にはバーナ4が設けられている。燃焼缶体3の上部外壁にはフランジ5が設けられ、フランジ5にはバーナ4の燃焼排気が排出されるダクト6が取り付け箇所でかしめて取り付けられている。ダクト6の排気経路7の入口は図1の右側に偏って形成されており、バーナ4の燃焼排気は矢印のように燃焼缶体3内を右に偏って上昇する。
【0016】
熱交換フィン1は、その左右両辺が全長にわたり燃焼缶体3の内壁に沿う略長方形状に形成されたフィン基板8を備えている。熱交換フィン1には、フィン基板8の左右両辺の略上半部、略下半部に沿ってそれぞれフィン基板8に対して垂直に折り曲げられた第1の折曲片9、第2の折曲片10が設けられている。熱交換フィン1は、第1の折曲片9が燃焼缶体3の内壁から離反し、第2の折曲片10で燃焼缶体3の内壁にロウ付けされている。熱交換フィン1には、フィン基板8の上辺の左右両端部に沿ってフィン基板8に対して垂直に折り曲げられ、第1の折曲片9に連続する第3の折曲片11も設けられている。熱交換フィン1の上部にはフィン基板8を部分的に切り出して左右方向に延びる略U字形に起立させたブレード12が複数設けられている。フィン基板8のブレード12、12、‥を切り出した位置にはフィン基板8の表裏を連通させる連通孔13、13、‥が熱交換フィン1には、上部水管2aに向かって、下部水管2bを避けながらフィン基板8を底辺から垂直方向に切り欠いた切欠部14、14、‥が設けられている。また、第2の折曲片10の上部とフィン基板8とを連続して切り欠いてロウ材用切欠部15が設けられ、ロウ材用切欠部15はフィン基板8の内方から第2の折曲片10に向かって下に傾斜する傾斜縁16を有している。なお、ロウ材用切欠部15を設けるにあたって第2の折曲片10はその幅方向に部分的に切り欠かれているが、これは第2の折曲片10の強度を確保するためである。
【0017】
前記構成の熱交換器において、熱交換フィン1を燃焼缶体3にロウ付けするとき、熱交換フィン1が複数枚重ねられるように整列され、その整列方向に沿って棒状のロウ材(図示せず)がロウ材用切欠部15に設置される。この状態で熱交換フィン1が燃焼缶体3の所定位置に設置され、続く加熱により溶融したロウ材が第2の折曲片10と燃焼缶体3の内壁との隙間に流れ込む。このとき、溶融したロウ材をフィン基板8の内方から第2の折曲片10に向かって下方に傾斜した傾斜縁16に沿って前記隙間に確実に流し込むことができる。そして、熱交換フィン1は、第1の折曲片9が燃焼缶体3の内壁から離反した状態で第2の折曲片10において燃焼缶体3の内壁にロウ付けされる。
【0018】
前記熱交換器の使用時には、バーナ4の燃焼排気の熱が上部水管2a及び下部水管2bに直接的に又は熱交換フィン1を介して間接的に伝達され、これにより上部水管2a、下部水管2bを流れる水が昇温される。前述したようにバーナ4の燃焼排気は、図1に矢印で示すように燃焼缶体3内を右に偏って上昇した後、ダクト6の排気経路7を介して外部に排出される。従って、図1に示した熱交換器においては、燃焼排気が集中する熱交換フィン1の右側上部が他の部分よりも高温となる。
【0019】
しかし、前述のように熱交換フィン1は、第1の折曲片9が燃焼缶体3の内壁から離反した状態で第2の折曲片10で燃焼缶体3にロウ付けされている。このため、熱交換フィン1の上部から燃焼缶体3への熱伝達を防止することができる。また、第1の折曲片9及び第3の折曲片11により熱交換フィン1の上部に上昇してきた燃焼排気と燃焼缶体3の内壁との接触を防止することができる。従って、熱交換フィン1の右側上部に集中した燃焼排気の熱が燃焼缶体3に伝わるのを防止することができる。このため、燃焼缶体3が部分的に過剰に高温となり、その耐久性が低下するのを防止することができる。
【0020】
切欠部14が設けられて燃焼排気の熱が上部水管2aに到達するまでの熱損失が抑制されるため、上部水管2aに十分に高温の燃焼排気を接触させて結露発生を防止することができる。また、燃焼缶体3の内壁近傍を上昇する燃焼排気はバーナ4の外周縁の外側から上昇してくるフレッシュエアの混合比が大きく、露点温度が比較的低い。この燃焼缶体3の内壁近傍の燃焼排気がブレード12にぶつかって生じる乱流に乗って上部水管2aに接触されるため、上部水管2aでの結露が防止される。
【0021】
フィン基板8が左右両辺が全長にわたり燃焼缶体3の内壁に沿う略長方形状とされている。また、熱交換フィン1に設けられたロウ材用切欠部15にロウ材(図示せず)を設置することができ、このロウ材により熱交換フィン1を第2の折曲片10で燃焼缶体3の内壁にロウ付けすることができる。従って、ロウ材を設置するために第1の折曲片9と燃焼缶体3の内壁との間のスペースを確保する必要はない。このため、熱交換フィン1の左右両辺の略上半部を燃焼缶体に対して離反させつつも可能な限り接近させるように熱交換フィン1の略上半部を拡張することができる。これにより、切欠部14が設けられた分だけ失われた熱交換フィン1の面積がフィン基板8の上部の両辺部において補填され、熱交換フィン1の熱交換効率の低下が防止される。また、燃焼排気がブレード12にぶつかりながら上昇するとともに、連通孔13を介してフィン基板8の一方の面から他方の面に沿って流れることで熱交換フィン1が燃焼排気の熱をより効率よく受け取る。以上により本実施形態の熱交換器においては上部水管2a、下部水管2bを流れる水を効率よく昇温させることができる。
【0022】
なお、前述したように燃焼缶体3の上部外壁に設けられたフランジ5にダクト6がかしめて取り付けられるが、このかしめにより燃焼缶体3の上部が内側にたわむように変形する場合がある。この場合、第1の折曲片9と燃焼缶体3の内壁との隙間によりこの変形が受け止められ、燃焼缶体3の変形のストレスが熱交換フィン1に加えられる事態を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態の熱交換器の断面図
【図2】本実施形態の熱交換器に使用される熱交換フィンの要部の斜視図
【図3】従来の熱交換器の断面図
【符号の説明】
1‥熱交換フィン、2a‥上部水管、2b‥下部水管、3‥燃焼缶体、8‥フィン基板、9‥第1の折曲片、10‥第2の折曲片、14‥切欠部、15‥ロウ材用切欠部、16‥傾斜縁

Claims (3)

  1. 水管が貫通して設けられるとともに燃焼缶体内に複数枚が整列されて設置される熱交換フィンを備えた熱交換器であって、前記熱交換フィンは、前記フィン基板の左右両辺が全長にわたり前記燃焼缶体の内壁に沿う略長方形状のフィン基板と、前記フィン基板の左右両辺の略上半部に沿って該フィン基板に対して垂直に折り曲げられて設けられ、前記燃焼缶体の内壁から離反する第1の折曲片と、左右両辺の略下半部に沿って該フィン基板に対して垂直に折り曲げられて設けられ、前記燃焼缶体の内壁にロウ付けされる第2の折曲片とから構成され、前記水管のうち前記フィン基板の上部を貫通する上部水管に向かって該フィン基板を底辺から切り欠いて切欠部が設けられていることを特徴とする熱交換器。
  2. 前記熱交換フィンには前記第2の折曲片と前記フィン基板とを連続して切り欠いて、ロウ材が設置されるロウ材用切欠部が設けられ、該熱交換フィンは該ロウ材用切欠部に設置されたロウ材により前記第2の折曲片において前記燃焼缶体の内壁にロウ付けされていることを特徴とする請求項1記載の熱交換器。
  3. 前記ロウ材用切欠部は、前記フィン基板の内方から前記第2の折曲片に向かって下に傾斜する傾斜縁を有することを特徴とする請求項2記載の熱交換器。
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