JP4235739B2 - 即席食品容器の湯切孔付蓋材 - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、焼そばなど即席食品の密封包装に使用する容器の蓋材に関するものであり、特に乾燥状態の即席食品を柔らかくほぐすために注入する熱湯を排出するための湯切孔を備えた即席食品容器の湯切孔付蓋材に関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来の即席食品容器の湯切孔付蓋材は、例えば、図１の側断面図、図２の平面図に示すように、表面シート（２０）を外面側にして、その内面側（食品側）に複合シート（１０）を重ね合わせ積層したシート状の蓋（例えば円形状）であり、その蓋の外周円弧部分からその内側にかけて一部領域の前記複合シート（１０）と表面シート（２０）との重ね合わせ内面には、易剥離剤（剥離ニス）を塗布することにより形成された易剥離層（３０）による易剥離領域（Ｌ１）を備え、それ以外の該複合シート（１０）と表面シート（２０）との重ねあわせ内面には、接着された状態の接着領域（Ｌ２）を備えていて、表面シート（２０）の易剥離領域（Ｌ１）と接着領域（Ｌ２）の境界線にミシン目（２２）を施してあるものである。
【０００３】
そして、易剥離領域（Ｌ１）内における複合シート（１０）に１個乃至数個の湯切孔（１２）が穿設（実用上衛生面等を考慮して湯切孔（１２）周辺をハーフカットとして、使用時に穿設する場合が多い）されている。
【０００４】
上記のような構造の即席食品容器の湯切孔付蓋材（１）は、図３に示すように、即席食品を入れた容器（２）の上端部にある開口フランジ部（２ａ）接着シールして容器（２）を密封包装することにより即席食品を密封包装した即席食品容器となるものである。
【０００５】
上記のようして即席食品を密封包装した容器（２）は、図２に示す接着領域（Ｌ２）側の蓋材外周にあるプルタブ（１３）を引っ張り上げて、容器（２）のフランジ部（２１）から接着領域（Ｌ２）側の複合シート（１０）を部分的に剥がして開口し、その開口部より熱湯を注入した後、蓋材外周にあるプルタブ（１３）を再度フランジ部（２１）の外側に折り込むようにして施蓋し、数分間放置して容器の中にある即席食品（図示せず）を柔らかくほぐす。
【０００６】
その後、図４に示すように、易剥離領域の外周にあるプルタブ（１４）を引っ張り上げて、表面シート（２０）に施されたミシン目（２２）を破りながら易剥離領域（Ｌ１）の表面シート（２０）を複合シート（１０）から剥がし、複合シート（１０）の易剥離領域（Ｌ１）に穿設された湯切孔（１２）を露出させ、容器（２）を傾けながら、中にある湯を湯切孔（１２）から排出することができるようになっている。
【０００７】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の即席食品容器の湯切孔付蓋材（１）を構成する易剥離層（３０）として、従来は、ニトロセルロース（硝化綿）系樹脂もしくはウレタン系樹脂やポリアミド系樹脂等の熱可塑性樹脂あるいはそれらの混合樹脂を主成分とする剥離ニスの塗布によって形成していたが、即席食品容器の湯切孔付蓋材の生産において表面シート（２０）の開封性（剥離強度）の管理幅を２０ｇ〜４０ｇと狭い範囲で管理生産する必要があり、よって安定した蓋材の生産性に欠け、その結果として、湯切り操作時の表面シート（２０）の剥離に際し、表面シート（２０）の開封性（剥離性）が不安定で、かつ軽い開封性（剥離性）が得られないという問題点があった。
【０００８】
本発明は、かかる従来技術の問題点を解決するものであり、その課題とするところは、湯切りを必要とする焼きそば等即席食品容器の蓋材において、湯切孔を露出させるための表面シートの剥離が軽く、安定してできる即席食品容器の湯切孔付蓋材を提供することにある。
【０００９】
【課題を解決するための手段】
本発明に於いて上記課題を達成するために、まず請求項１の発明では、複合シートと表面シートとが所定の形状領域に易剥離剤を塗布することにより形成された易剥離層による易剥離領域と接着領域とに区画されて互いに積層接着され、前記易剥離領域内における複合シートに１個乃至数個の湯切孔が形成された即席食品容器の湯切孔付蓋材において、前記易剥離領域を形成する易剥離層はワックス５重量％〜９５重量％を含有してなり、前記蓋材で閉蓋された即席食品容器内に注入した熱湯によって前記易剥離層に含有されたワックスがブリードすることで前記複合シートと前記易剥離領域の表面シートとの接着強度を低下させて、前記易剥離領域の表面シートを複合シートから剥がすようにしたことを特徴とする即席食品容器の湯切孔付蓋材としたものである。
【００１０】
また、請求項２の発明では、前記ワックスが、ポリエチレン系ワックス、ポリエステル系ワックス、脂肪酸アミド系ワックスもしくはこれらの混合物である請求項１記載の即席食品容器の湯切孔付蓋材としたものである。
【００１１】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図面を用いながら説明する。
本発明の即席食品容器の湯切孔付蓋材は、図１および図２に示すように、複合シート（１０）と表面シート（２０）とが所定の形状領域に易剥離剤を塗布することにより形成された易剥離層（３０）による易剥離領域（Ｌ１）と接着領域（Ｌ２）とに区画されて互いに積層接着され、例えば易剥離領域（Ｌ１）と接着領域（Ｌ２）の境界線に相当する表面シート（２０）にミシン目（２２）が施され、前記易剥離領域（Ｌ１）内における複合シート（１０）に１個乃至数個の湯切孔（１２）が形成された即席食品容器の湯切孔付蓋材（１）において、前記易剥離層（３０）を形成する易剥離剤（剥離ニス）が、５重量％〜９５重量％のワックスを含有してなり、そのワックスが、ポリエチレン系ワックス、ポリエステル系ワックス、脂肪酸アミド系ワックスもしくはこれらの混合物でなるものである。
【００１２】
また、図２に示すように、表面シート（２０）には、易剥離領域（Ｌ１）と接着領域（Ｌ２）との境界線に沿って切離し可能なミシン目（２２）を施すか、場合によっては折り可能な折り罫（図示せず）が施されている。
【００１３】
図３に示すように、上記の即席食品容器の湯切孔付蓋材（１）を即席食品（図示せず）が充填されている容器（２）のフランジ部（２１）にヒートシールし、焼きそば等の即席食品容器とするもので、上記のような本発明の即席食品容器の湯切孔付蓋材（１）では、図４に示すように、容器（２）内に熱湯を注いで数分間放置して容器（２）の中にある即席食品（図示せず）を温めて柔らかくほぐし、易剥離領域（Ｌ１）の外周にあるプルタブ（１４）を引っ張り上げて、表面シート（２０）に施されたミシン目（２２）を破りながら易剥離領域（Ｌ１）の表面シート（２０）を複合シート（１０）から剥がし、複合シート（１０）の易剥離領域（Ｌ１）に穿設された湯切孔（１２）を露出させるが、その際に、図１に示す易剥離層（３０）にワックスを含有させることによって、即席食品を柔らかくほぐすための熱湯の熱によって、含有されているワックス分がブリード（しみ出る現象）し、複合シート（１０）の外面（即席食品側と反対面）との接着強度が低下し、軽い剥離性が得られるようになるものである。
【００１４】
ニトロセルロース（硝化綿）等でなる従来の剥離ニスに対する上記ワックス（ポリエチレン系ワックス等）の含有率が５重量％に満たないと、熱による軽い（易）剥離性が得られず、９５重量％を越えると複合シート（１０）と表面シート（２０）の常温での接着強度に極端な低下をもたらすので好ましくない。
【００１５】
本発明の即席食品容器の湯切孔付蓋材を構成する表面シート（２０）としては、その表面が印刷適性に優れている必要があるため、紙が主体となり例えば米坪量１２７．９ｇ／ｍ2 の片面アート紙、両面アート紙が好ましく、他に同程度の厚さのコート紙、上質紙なども用いられ、合成紙でも良く、剥離のための引っ張りで所定の部分以外で破れたりしないように上記紙類に合成樹脂フィルムをラミネートしたものなどを用いることもできる。
【００１６】
また、複合シート（１０）としては、図１に示すように、容器内面側（図面では下側）から順に、シーラントとなる熱可塑性樹脂層（１６）、アルミニウム箔層（１７）、サンドラミによるポリエチレン等樹脂層（１８）からなるが、特に最内層である熱可塑性樹脂層（１６）が容器とのヒートシール適性の優れた熱可塑性樹脂を用いる必要があり、例えば低密度ポリエチレン樹脂、中密度ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン−プロピレン共重合体などが挙げられ、適宜フィルムとしてもしくは溶融押し出しラミネート用として用いることができる。
【００１７】
本発明の即席食品容器の湯切孔付蓋材（１）は、熱湯を注いで柔らかくほぐし、湯切りしてから食する即席焼きそばや即席生麺などの容器の蓋として、好適に用いることができる。
【００１８】
【実施例】
次に実施例により、本発明を具体的に説明する。
〈実施例１〉
表面シート（２０）として米坪量１２７．９ｇ／ｍ2 の片面アート紙（アートコート面を表面側として）の裏面に、ニトロセルロース（硝化綿）５０重量部に、ポリエチレン系ワックスを５０重量部をブレンドした易剥離剤を易剥離領域（Ｌ１）に塗布乾燥した。
【００１９】
続いてアルミニウム箔の両面に、シーラントとなる低密度ポリエチレンフィルムをラミネートしたもののアルミニウム面と、上記で得られた表面シート（２０）の易剥離層（３０）面との間に溶融した低密度ポリエチレン樹脂を押し出し、サンドラミネートして蓋材の積層体を得た。
【００２０】
上記で得られた積層体の複合シート（１０）の易剥離領域（Ｌ１）に３個以上の湯切孔（１２）を穿設し、同時に表面シート（２０）の易剥離領域（Ｌ１）と接着領域（Ｌ２）の境界線上にミシン目（２２）を施し、蓋形状に打ち抜いて即席食品容器の湯切孔付蓋材（１）を得た。
【００２１】
〈比較例１〉
易剥離層（３０）をニトロセルロース（硝化綿）を主成分とする剥離ニスで塗布して得た以外は、実施例１と同様にして即席食品容器の湯切孔付蓋材を得た。
【００２２】
実施例１および比較例１で得られた即席食品容器の湯切孔付蓋材（１）のシーラント面を容器（２）のフランジ部（２１）にヒートシール温度１３０℃、シール圧力１ｋｇ／ｃｍ2 でシールし、容器に各温度の湯を注ぎ、各湯温における複合シート（１０）と表面シート（２０）の間の剥離強度を表１に示した。
【００２３】
【表１】
【００２４】
表１より、実施例１の蓋材では、湯温７０℃〜８５℃における表面シート（２０）の軽い剥離が得られ、常温に近い湯温では比較的強い接着力を要していた。これに対し、比較例１の蓋材では、熱湯を注いでもその剥離強度（接着力）が変わらず常温における接着力と同程度で剥離し難いものであった。
従って、易剥離層（３０）を得るための剥離強度の管理幅を例えば上限を６０〜７０ｇ／１５ｍｍとしても熱湯による熱で十分な軽い剥離強度となるものであって、生産性に優位な易剥離層（３０）とすることができた。
【００２５】
【発明の効果】
本発明は以上の構成であるから、下記に示す如き効果がある。
即ち、複合シートと表面シートとが所定の形状領域に易剥離剤を塗布することにより形成された易剥離層による易剥離領域と接着領域とに区画されて互いに積層接着され、易剥離領域と接着領域の境界線に相当する表面シートにミシン目が施され、前記易剥離領域内における複合シートに１個乃至数個の湯切孔が形成された即席食品容器の湯切孔付蓋材において、前記易剥離層を形成する易剥離剤（剥離ニス）が、５重量％〜９５重量％のワックスを含有してなり、そのワックスが、ポリエチレン系ワックス、ポリエステル系ワックス、脂肪酸アミド系ワックスもしくはこれらの混合物でなるものとしたので、易剥離領域の表面シートを複合シートから剥がし、複合シートの易剥離領域に穿設された湯切孔を露出させるに際し、即席食品を柔らかくほぐすための熱湯の熱によって、含有されているワックス分がブリード（しみ出る現象）し、複合シートの外面（即席食品側と反対面）との接着強度が低下し、表面シートの軽い剥離性を得ることができる。
【００２６】
即ち常温では、必要他程度の接着力を持ち熱湯の熱によって接着力を低下させることができる易剥離層としたので、易剥離層の形成工程での管理幅を大きくとることができ、生産性向上にも寄与するものである。
【００２７】
従って本発明は、即席焼きそばや生麺等の如き熱湯を注いでほぐし、湯切りを行った後食する即席食品容器の湯切孔付蓋材において、優れた実用上の効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の即席食品容器の湯切孔付蓋材の一実施の形態を側断面で表した説明図である。
【図２】本発明の即席食品容器の湯切孔付蓋材の一実施の形態を平面で表した説明図である。
【図３】本発明の即席食品容器の湯切孔付蓋材を容器と一体化した一実施の形態を側断面で表した説明図である。
【図４】本発明の即席食品容器の湯切孔付蓋材の表面シートを剥離した一実施の形態を説明する斜視図である。
【符号の説明】
１‥‥即席食品容器の湯切孔付蓋材
２‥‥容器
１０‥‥複合シート
１２‥‥湯切孔
１３‥‥接着領域のプルタブ
１４‥‥易剥離領域の表面シートプルタブ
１６‥‥熱可塑性樹脂層
１７‥‥アルミニウム箔層
１８‥‥ポリエチレン樹脂層
２０‥‥表面シート
２１‥‥フランジ部
２２‥‥ミシン目
３０‥‥易剥離層
Ｌ１‥‥易剥離領域
Ｌ２‥‥接着領域
【発明の属する技術分野】
本発明は、焼そばなど即席食品の密封包装に使用する容器の蓋材に関するものであり、特に乾燥状態の即席食品を柔らかくほぐすために注入する熱湯を排出するための湯切孔を備えた即席食品容器の湯切孔付蓋材に関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来の即席食品容器の湯切孔付蓋材は、例えば、図１の側断面図、図２の平面図に示すように、表面シート（２０）を外面側にして、その内面側（食品側）に複合シート（１０）を重ね合わせ積層したシート状の蓋（例えば円形状）であり、その蓋の外周円弧部分からその内側にかけて一部領域の前記複合シート（１０）と表面シート（２０）との重ね合わせ内面には、易剥離剤（剥離ニス）を塗布することにより形成された易剥離層（３０）による易剥離領域（Ｌ１）を備え、それ以外の該複合シート（１０）と表面シート（２０）との重ねあわせ内面には、接着された状態の接着領域（Ｌ２）を備えていて、表面シート（２０）の易剥離領域（Ｌ１）と接着領域（Ｌ２）の境界線にミシン目（２２）を施してあるものである。
【０００３】
そして、易剥離領域（Ｌ１）内における複合シート（１０）に１個乃至数個の湯切孔（１２）が穿設（実用上衛生面等を考慮して湯切孔（１２）周辺をハーフカットとして、使用時に穿設する場合が多い）されている。
【０００４】
上記のような構造の即席食品容器の湯切孔付蓋材（１）は、図３に示すように、即席食品を入れた容器（２）の上端部にある開口フランジ部（２ａ）接着シールして容器（２）を密封包装することにより即席食品を密封包装した即席食品容器となるものである。
【０００５】
上記のようして即席食品を密封包装した容器（２）は、図２に示す接着領域（Ｌ２）側の蓋材外周にあるプルタブ（１３）を引っ張り上げて、容器（２）のフランジ部（２１）から接着領域（Ｌ２）側の複合シート（１０）を部分的に剥がして開口し、その開口部より熱湯を注入した後、蓋材外周にあるプルタブ（１３）を再度フランジ部（２１）の外側に折り込むようにして施蓋し、数分間放置して容器の中にある即席食品（図示せず）を柔らかくほぐす。
【０００６】
その後、図４に示すように、易剥離領域の外周にあるプルタブ（１４）を引っ張り上げて、表面シート（２０）に施されたミシン目（２２）を破りながら易剥離領域（Ｌ１）の表面シート（２０）を複合シート（１０）から剥がし、複合シート（１０）の易剥離領域（Ｌ１）に穿設された湯切孔（１２）を露出させ、容器（２）を傾けながら、中にある湯を湯切孔（１２）から排出することができるようになっている。
【０００７】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の即席食品容器の湯切孔付蓋材（１）を構成する易剥離層（３０）として、従来は、ニトロセルロース（硝化綿）系樹脂もしくはウレタン系樹脂やポリアミド系樹脂等の熱可塑性樹脂あるいはそれらの混合樹脂を主成分とする剥離ニスの塗布によって形成していたが、即席食品容器の湯切孔付蓋材の生産において表面シート（２０）の開封性（剥離強度）の管理幅を２０ｇ〜４０ｇと狭い範囲で管理生産する必要があり、よって安定した蓋材の生産性に欠け、その結果として、湯切り操作時の表面シート（２０）の剥離に際し、表面シート（２０）の開封性（剥離性）が不安定で、かつ軽い開封性（剥離性）が得られないという問題点があった。
【０００８】
本発明は、かかる従来技術の問題点を解決するものであり、その課題とするところは、湯切りを必要とする焼きそば等即席食品容器の蓋材において、湯切孔を露出させるための表面シートの剥離が軽く、安定してできる即席食品容器の湯切孔付蓋材を提供することにある。
【０００９】
【課題を解決するための手段】
本発明に於いて上記課題を達成するために、まず請求項１の発明では、複合シートと表面シートとが所定の形状領域に易剥離剤を塗布することにより形成された易剥離層による易剥離領域と接着領域とに区画されて互いに積層接着され、前記易剥離領域内における複合シートに１個乃至数個の湯切孔が形成された即席食品容器の湯切孔付蓋材において、前記易剥離領域を形成する易剥離層はワックス５重量％〜９５重量％を含有してなり、前記蓋材で閉蓋された即席食品容器内に注入した熱湯によって前記易剥離層に含有されたワックスがブリードすることで前記複合シートと前記易剥離領域の表面シートとの接着強度を低下させて、前記易剥離領域の表面シートを複合シートから剥がすようにしたことを特徴とする即席食品容器の湯切孔付蓋材としたものである。
【００１０】
また、請求項２の発明では、前記ワックスが、ポリエチレン系ワックス、ポリエステル系ワックス、脂肪酸アミド系ワックスもしくはこれらの混合物である請求項１記載の即席食品容器の湯切孔付蓋材としたものである。
【００１１】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図面を用いながら説明する。
本発明の即席食品容器の湯切孔付蓋材は、図１および図２に示すように、複合シート（１０）と表面シート（２０）とが所定の形状領域に易剥離剤を塗布することにより形成された易剥離層（３０）による易剥離領域（Ｌ１）と接着領域（Ｌ２）とに区画されて互いに積層接着され、例えば易剥離領域（Ｌ１）と接着領域（Ｌ２）の境界線に相当する表面シート（２０）にミシン目（２２）が施され、前記易剥離領域（Ｌ１）内における複合シート（１０）に１個乃至数個の湯切孔（１２）が形成された即席食品容器の湯切孔付蓋材（１）において、前記易剥離層（３０）を形成する易剥離剤（剥離ニス）が、５重量％〜９５重量％のワックスを含有してなり、そのワックスが、ポリエチレン系ワックス、ポリエステル系ワックス、脂肪酸アミド系ワックスもしくはこれらの混合物でなるものである。
【００１２】
また、図２に示すように、表面シート（２０）には、易剥離領域（Ｌ１）と接着領域（Ｌ２）との境界線に沿って切離し可能なミシン目（２２）を施すか、場合によっては折り可能な折り罫（図示せず）が施されている。
【００１３】
図３に示すように、上記の即席食品容器の湯切孔付蓋材（１）を即席食品（図示せず）が充填されている容器（２）のフランジ部（２１）にヒートシールし、焼きそば等の即席食品容器とするもので、上記のような本発明の即席食品容器の湯切孔付蓋材（１）では、図４に示すように、容器（２）内に熱湯を注いで数分間放置して容器（２）の中にある即席食品（図示せず）を温めて柔らかくほぐし、易剥離領域（Ｌ１）の外周にあるプルタブ（１４）を引っ張り上げて、表面シート（２０）に施されたミシン目（２２）を破りながら易剥離領域（Ｌ１）の表面シート（２０）を複合シート（１０）から剥がし、複合シート（１０）の易剥離領域（Ｌ１）に穿設された湯切孔（１２）を露出させるが、その際に、図１に示す易剥離層（３０）にワックスを含有させることによって、即席食品を柔らかくほぐすための熱湯の熱によって、含有されているワックス分がブリード（しみ出る現象）し、複合シート（１０）の外面（即席食品側と反対面）との接着強度が低下し、軽い剥離性が得られるようになるものである。
【００１４】
ニトロセルロース（硝化綿）等でなる従来の剥離ニスに対する上記ワックス（ポリエチレン系ワックス等）の含有率が５重量％に満たないと、熱による軽い（易）剥離性が得られず、９５重量％を越えると複合シート（１０）と表面シート（２０）の常温での接着強度に極端な低下をもたらすので好ましくない。
【００１５】
本発明の即席食品容器の湯切孔付蓋材を構成する表面シート（２０）としては、その表面が印刷適性に優れている必要があるため、紙が主体となり例えば米坪量１２７．９ｇ／ｍ2 の片面アート紙、両面アート紙が好ましく、他に同程度の厚さのコート紙、上質紙なども用いられ、合成紙でも良く、剥離のための引っ張りで所定の部分以外で破れたりしないように上記紙類に合成樹脂フィルムをラミネートしたものなどを用いることもできる。
【００１６】
また、複合シート（１０）としては、図１に示すように、容器内面側（図面では下側）から順に、シーラントとなる熱可塑性樹脂層（１６）、アルミニウム箔層（１７）、サンドラミによるポリエチレン等樹脂層（１８）からなるが、特に最内層である熱可塑性樹脂層（１６）が容器とのヒートシール適性の優れた熱可塑性樹脂を用いる必要があり、例えば低密度ポリエチレン樹脂、中密度ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン−プロピレン共重合体などが挙げられ、適宜フィルムとしてもしくは溶融押し出しラミネート用として用いることができる。
【００１７】
本発明の即席食品容器の湯切孔付蓋材（１）は、熱湯を注いで柔らかくほぐし、湯切りしてから食する即席焼きそばや即席生麺などの容器の蓋として、好適に用いることができる。
【００１８】
【実施例】
次に実施例により、本発明を具体的に説明する。
〈実施例１〉
表面シート（２０）として米坪量１２７．９ｇ／ｍ2 の片面アート紙（アートコート面を表面側として）の裏面に、ニトロセルロース（硝化綿）５０重量部に、ポリエチレン系ワックスを５０重量部をブレンドした易剥離剤を易剥離領域（Ｌ１）に塗布乾燥した。
【００１９】
続いてアルミニウム箔の両面に、シーラントとなる低密度ポリエチレンフィルムをラミネートしたもののアルミニウム面と、上記で得られた表面シート（２０）の易剥離層（３０）面との間に溶融した低密度ポリエチレン樹脂を押し出し、サンドラミネートして蓋材の積層体を得た。
【００２０】
上記で得られた積層体の複合シート（１０）の易剥離領域（Ｌ１）に３個以上の湯切孔（１２）を穿設し、同時に表面シート（２０）の易剥離領域（Ｌ１）と接着領域（Ｌ２）の境界線上にミシン目（２２）を施し、蓋形状に打ち抜いて即席食品容器の湯切孔付蓋材（１）を得た。
【００２１】
〈比較例１〉
易剥離層（３０）をニトロセルロース（硝化綿）を主成分とする剥離ニスで塗布して得た以外は、実施例１と同様にして即席食品容器の湯切孔付蓋材を得た。
【００２２】
実施例１および比較例１で得られた即席食品容器の湯切孔付蓋材（１）のシーラント面を容器（２）のフランジ部（２１）にヒートシール温度１３０℃、シール圧力１ｋｇ／ｃｍ2 でシールし、容器に各温度の湯を注ぎ、各湯温における複合シート（１０）と表面シート（２０）の間の剥離強度を表１に示した。
【００２３】
【表１】
表１より、実施例１の蓋材では、湯温７０℃〜８５℃における表面シート（２０）の軽い剥離が得られ、常温に近い湯温では比較的強い接着力を要していた。これに対し、比較例１の蓋材では、熱湯を注いでもその剥離強度（接着力）が変わらず常温における接着力と同程度で剥離し難いものであった。
従って、易剥離層（３０）を得るための剥離強度の管理幅を例えば上限を６０〜７０ｇ／１５ｍｍとしても熱湯による熱で十分な軽い剥離強度となるものであって、生産性に優位な易剥離層（３０）とすることができた。
【００２５】
【発明の効果】
本発明は以上の構成であるから、下記に示す如き効果がある。
即ち、複合シートと表面シートとが所定の形状領域に易剥離剤を塗布することにより形成された易剥離層による易剥離領域と接着領域とに区画されて互いに積層接着され、易剥離領域と接着領域の境界線に相当する表面シートにミシン目が施され、前記易剥離領域内における複合シートに１個乃至数個の湯切孔が形成された即席食品容器の湯切孔付蓋材において、前記易剥離層を形成する易剥離剤（剥離ニス）が、５重量％〜９５重量％のワックスを含有してなり、そのワックスが、ポリエチレン系ワックス、ポリエステル系ワックス、脂肪酸アミド系ワックスもしくはこれらの混合物でなるものとしたので、易剥離領域の表面シートを複合シートから剥がし、複合シートの易剥離領域に穿設された湯切孔を露出させるに際し、即席食品を柔らかくほぐすための熱湯の熱によって、含有されているワックス分がブリード（しみ出る現象）し、複合シートの外面（即席食品側と反対面）との接着強度が低下し、表面シートの軽い剥離性を得ることができる。
【００２６】
即ち常温では、必要他程度の接着力を持ち熱湯の熱によって接着力を低下させることができる易剥離層としたので、易剥離層の形成工程での管理幅を大きくとることができ、生産性向上にも寄与するものである。
【００２７】
従って本発明は、即席焼きそばや生麺等の如き熱湯を注いでほぐし、湯切りを行った後食する即席食品容器の湯切孔付蓋材において、優れた実用上の効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の即席食品容器の湯切孔付蓋材の一実施の形態を側断面で表した説明図である。
【図２】本発明の即席食品容器の湯切孔付蓋材の一実施の形態を平面で表した説明図である。
【図３】本発明の即席食品容器の湯切孔付蓋材を容器と一体化した一実施の形態を側断面で表した説明図である。
【図４】本発明の即席食品容器の湯切孔付蓋材の表面シートを剥離した一実施の形態を説明する斜視図である。
【符号の説明】
１‥‥即席食品容器の湯切孔付蓋材
２‥‥容器
１０‥‥複合シート
１２‥‥湯切孔
１３‥‥接着領域のプルタブ
１４‥‥易剥離領域の表面シートプルタブ
１６‥‥熱可塑性樹脂層
１７‥‥アルミニウム箔層
１８‥‥ポリエチレン樹脂層
２０‥‥表面シート
２１‥‥フランジ部
２２‥‥ミシン目
３０‥‥易剥離層
Ｌ１‥‥易剥離領域
Ｌ２‥‥接着領域
Claims (2)
- 複合シートと表面シートとが所定の形状領域に易剥離剤を塗布することにより形成された易剥離層による易剥離領域と接着領域とに区画されて互いに積層接着され、前記易剥離領域内における複合シートに１個乃至数個の湯切孔が形成された即席食品容器の湯切孔付蓋材において、
前記易剥離領域を形成する易剥離層はワックス５重量％〜９５重量％を含有してなり、前記蓋材で閉蓋された即席食品容器内に注入した熱湯によって前記易剥離層に含有されたワックスがブリードすることで前記複合シートと前記易剥離領域の表面シートとの接着強度を低下させて、前記易剥離領域の表面シートを複合シートから剥がすようにしたことを特徴とする即席食品容器の湯切孔付蓋材。 - 前記ワックスが、ポリエチレン系ワックス、ポリエステル系ワックス、脂肪酸アミド系ワックスもしくはこれらの混合物である請求項１記載の即席食品容器の湯切孔付蓋材。
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