JP4235390B2 - 戸の錠箱の構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、戸の錠箱の構造に関し、特にデッドボルトからの側圧力に強い戸の錠箱の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば水平回転式戸の内壁面に取り付けられている錠前(当業者は「面付錠」と称している。)の錠箱は、普通一般に一側開口を有するケース身と、このケース身に固定的に取り付けられる蓋体とから成る。前記ケース身には、デッドボルトを始めとし、デッドボルトを案内する部材、デッドボルトが戸枠側の受け金具に係合した時にデッドボルトをロックするストッパー片、デッドボルトのロックを解消させて該デッドボルトを引き戻すサムターンなどが装着される。一方、蓋体は戸の内壁面に対面して取り付けられるので、蓋体側には戸の外壁面に突出するシリンダーが位置する(面付錠では、室内側からケース身の外壁やサムターンが見える)。
【0003】
ところで、図1は実施形態の一例を示す模式図であるが、今仮に戸の内壁面に錠機構を有する錠箱が固定され、一方、戸枠側に端面アングル状の受け金具が固定されている場合に於いて、デッドボルトの施錠時、泥棒が室外側からバールを用いてデッドボルトに強度の側圧力をかけると、当該側圧力はケース身のデッド窓を形成する縁部に集中的にかかる。その結果、特に上下の角の縁部分が対角線方向に切り裂け、デッドボルトの側壁に直接押圧される縁部が、ケース身の幅広垂直壁の外壁面から膨れ上がるような格好で変形してしまうという問題点があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の第1の目的は、室外側からデッドボルトに強度の側圧力がかかったとしても、ケース身のデッド窓を形成する縁部が容易に裂けない(縁部が強靭な)戸の錠箱の構造を提案することである。第2の目的は、デッドボルトにかかる強度の側圧力をケース身のデッド窓を形成する縁部以外に分散化させることである。第3の目的は、デッドボルトにかかる強度の側圧力をケース身のみならず蓋体にも分散拡大することである。第4の目的は、第1の目的を前提として、かつ、デッドボルトに交差した側圧力が錠箱のデッド窓の縁辺に集中してかかるのを防止することができる錠前用デッドボルトの構造を提供することである
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の戸の錠箱の構造は、一側開口を有するケース身と、このケース身に固定的に取り付けられる蓋体とから成る戸の錠箱に於いて、前記ケース身のアングル部分を基準として交差する垂直壁の内壁面にデッドボルトにかかる側圧を直接的に受ける側圧受板21を添着し、この側圧受板は、ケース身の幅広の前記垂直壁の内壁面に固定される垂直板状の固定板部と、この固定板部に直交方向に連設すると共に、ケース身の前方側壁の内壁面に対面し、かつ、デッドボルト用の案内窓を有する垂直板状の囲い板部とから成り、前記側圧受板には、前記ケース身に形成された被係合部に係合する係止突片が設けられていることを特徴とする。
【0006】
【発明の実施の形態】
図1乃至図6は、本発明の第1実施例を示す各説明図である。まず、模式的な図1を参照に実施形態を簡単に説明する。aは戸、bは戸の内壁面、cは戸枠、dは受け金具、1は戸aに取り付けられる錠箱である。戸aは、例えば建物の出入口に取り付けられる回転式扉である。また錠箱1は、水平回転式戸aの内壁面bに固定的に取り付けられる。錠箱1は、普通一般に、一側開口を有する弁当箱状のケース身2と、このケース身2に固定的に取り付けられる蓋体3とから成る。
【0007】
しかして、図1ではケース身2の外壁やサムターンeが見える。これに対して蓋体3は戸aの内壁面bに対面しているので室内側からは見えない。そして、蓋体3から突出したシリンダーfは、戸aの外壁面側に位置している。
【0008】
次に、図2乃至図6を参照にして前記ケース身2の各部位について説明する。5は蓋体3と対向する幅広垂直壁、6は幅広垂直壁5の一端部と直交する前方側壁、7は幅広垂直壁5の他端部と直交する(或いは前方側壁6と対向する)後方側壁、8は上端部と直交する上方側壁、9は幅広垂直壁5の下端部と直交する下方側壁である。したがって、前方側壁6、後方側壁7、上方側壁8、下方側壁9は、錠箱1の周側壁ということになる。
【0009】
錠箱1にはデッドボルト10が組み込まれる。本実施例では発明の特定要件に関係のない錠機構(ラッチボルト、ラッチ用窓、取り付け孔、軸孔なども含む)は省略する。
【0010】
そこで、次に本発明の特徴部分について説明する。21はケース身2の幅広垂直壁5の垂直内壁面5aと前方側壁6の垂直内壁面6aの両方に固定され、かつ、デッドボルト10に室外側から図示しないバールなどによってかかる側圧力を直接受ける断面アング状の側圧受板である。この側圧受板21は硬質の金属で形成されている。
【0011】
しかして、側圧受板21は、ケース身2の幅広垂直壁5の内壁面5aに溶着される垂直板状の固定板部22と、この固定板部22に直交方向に連設すると共にケース身2の前方側壁6の内壁面6aに対面し、かつ、デッドボルト用の案内窓23を有する垂直板状の囲い板部24とから成る。この側圧受板21は、デッドボルト10の側圧力をケース身のデッド窓を形成する縁部2aなど共同して直接的に受けるケース身2の補強板としての機能を果す。
【0012】
したがって、本実施例の端面L型側圧受板21の固定板部22は、図5で示すようにその折り曲げ部分21aとケース身2のデッド窓11付近の縁部(アングル部分)2aとの間に極力隙間ができないように溶着されている。
【0013】
ところで、本実施例の側圧受板21は、ケース身2のアングル部分2aを基準として交差する垂直壁の内壁面に5a,6aに単に添着されているだれではなく、さらにケース身2の強度を向上(アップ)させるために複数個の係止部25を有している。すなわち、25,25は囲い板部24の上下端部の中央部にそれぞれ突設され、かつ、ケース身2の前方側壁6のデッド窓11付近に形成された上下の被係合部(係合孔、係合溝)12にそれぞれ係合する係止突片である。
【0014】
次に蓋体3について説明する。蓋体3はケース身2の一側開口4に嵌め合わせることができる大きさに形成されている。蓋体3は矩形状に形成され、その一端部にはケース身2の前方側壁6の上下端部寄りの部位に形成された複数個の受入孔13,13にそれぞれ嵌り合う差込部14,14が突設されている。
【0015】
上記構成に於いて、側圧受板21は、デッドボルト10に対し、図4,図5の矢印Aで示すように室外側から直交方向に力が加わった時に於いて、デッドボルト10の側圧力を直接的に受けるケース身2の補強板としての機能を果す。
すなわち、今仮に泥棒が、戸aと戸枠cとの隙間gにバールを差込み、デッドボルト10に強い側圧力をかけた時、デッドボルト10の垂直側壁面10aが側圧受板21の案内窓23の縁部23aと、ケース身2のデッド窓11の縁部2aの両方にかかる。
【0016】
また同時に、ケース身2の前方側壁6には、側圧受板21の係止部25を介してデッドボルト10の側圧力がかかる。したがって、デッドボルト10に強度な側圧力がかかっても側圧受板21並びにケース身2の前方側壁6の被係合部12の縁部に側圧力が分散化し、ケース身2のデッド窓11の縁部2aのみに集中してかからない(側圧力の分散化)。
【0017】
【実施例】
第1実施例に於いて、側圧受板21の長さは、錠箱1の大きさに対応して任意に決められる。また錠箱1のケース身2がラッチボルト用の案内窓を有している場合、側圧受板21には、デッドボルト10用の案内窓23と図示しないラッチボルト用の案内窓とが離間形成される。
【0018】
次に、この欄では他の実施例を説明する。なお、他の実施例の説明にあたって、第1実施例と同一又は同様(機能が同一)の部分には、同一又は同様の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0019】
図7及び図8に示す第2実施例に於いて、第1実施例と主に異なる点は、デッドボルト10からの側圧力を蓋体3Aにも分散化するために、側圧受板21Aの囲い板部24Aの垂直端部に、蓋体3Aの一端部に形成したストッパー孔30に嵌入する係合突起31を設けたことである(側圧力の分散の拡大化)。前記係合突起31は、端面Z型形状に形成されている。これにより、図8で示すように側圧受板21Aの囲い板部24Aをケース身2の前方側壁6の内壁面6aにピッタリと合わせるようにして前記係合突起31をストッパー孔30に嵌入することができる。
【0020】
上記のように構成すると、デッドボルト10に矢印A方向の力が加わった時、デッドボルト10の側圧力によって側圧受板21Aの折り曲げ部分21a等に矢印B方向への力が作用し、その結果、側圧受板21Aの囲い板部24Aに外方向への力(ここでは「ケース身の幅広垂直壁の外壁面から膨れ上がるような力」を意味する。)が加わっても、囲い板部24Aの係合突起31が蓋体3Aのストッパー孔30に係止されるので、側圧受板21Aとケース身2と蓋体3Aの三つの部材にデッドボルト10の側圧力が分散化することになる。
【0021】
図9及び至図10は第3実施例を示す。この第3実施例は、第1実施例の目的を前提として、かつ、デッドボルトに交差した側圧力が錠箱のデッド窓の縁辺に集中してかかるのを防止することができる錠前用デッドボルトの構造を加味点に特長がある。
【0022】
まず、デッドボルト10Aは、枠状胴体40と、この枠状胴体40の先端部40aに固定的に外嵌合するキャップ状の係合頭部41とから成る。前記枠状胴体40の挿入された先端部40aと係合頭部41の内壁面との間に設定した間隙42に板状の折り曲げ抑え片43を固定的に嵌め込んでいる。この抑え片43は、室外側から室内方向へとデッドボルトに対して工具による外圧が加わった時、換言すれば、デッドボルト10Aの垂直側壁面が側圧受板21の案内窓23の縁部23aにかかった時に、側圧受板21を介し、又は直接的にデッド窓付近の錠箱の側壁に側圧力が加わるように係合頭部41の水平壁から突出する抑え突起部分44を有している。
【0023】
しかして、前記抑え突起部分44は、本実施例では、図10で示すように下向きコ字型状に形成され、下端部は枠状胴体40の上壁に形成した貫通状の嵌合部45にしっかりと入り込んでいる。
【0024】
このように構成すると、デッドボルト10Aの強度な側圧力が、デッドボルト10Aの羽部(抑え突起部分)44を介して錠箱1の側壁(特にケース身の幅広垂直側壁)にかかるので、側圧受板21と相俟って、より強靭な錠箱を得ることができる。
【0025】
なお、前記第3実施例に於いて、デッドボルト10Aの抑え片43は、図11に示すように設計変更(シンプルな形状に)することができる。すなわち、図11のデッドボルト10Bは、枠状胴体40Bと、この枠状胴体40Bの先端部に固定的に外嵌合するキャップ状の係合頭部41Bとから成る点は、前記第3実施例と同様であるが、前記枠状胴体40Bの上壁に嵌合部45B,45Bを並列形成した点、これらの嵌合部45B,45Bに下向きコ字型の抑え片43Bの突出下端部を固定的に嵌入した点、係合頭部41Bの内壁面と枠状胴体40Bの先端部の上壁との間に間隙を設定していない点が異なる。このように構成しても、第3実施例と同様に効果を得ることができる。
【0026】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては、次に列挙するような効果がある。
(1)室外側からデッドボルトに強度の側圧力がかかったとしても、ケース身のデッド窓を形成する縁部が容易に裂けない(縁部が強靭な)戸の錠箱の構造を得ることができる。
(2)デッドボルトにかかる強度の側圧力をケース身のデッド窓を形成する縁部以外に分散化させることができる。
(3)デッドボルトにかかる強度の側圧力をケース身のみならず蓋体にも分散拡大することができる。
【図面の簡単な説明】
図1乃至図6は本発明の第1実施例を示す各概略説明図。図7及び図8は本発明の第2実施例を示す各概略説明図。図9及び図10は本発明の第1実施例に構成要件を加味した第3実施例を示す各概略説明図。図11は第3実施例の変形例を示す斜視図。
【図1】実施形態の一例を示す模式図。
【図2】分解斜視図。
【図3】図2の3−3線断面説明図。
【図4】主要部の斜視図(一部省略)。
【図5】組み合わせた状態の概略断面説明図。
【図6】図5の要部の説明図。
【図7】第2実施例の主要部の斜視図(一部省略)。
【図8】組み合わせた状態の概略断面説明図。
【図9】第1実施例に構成要件を加味した第3実施例の斜視図。
【図10】第3実施例の概略断面説明図。
【図11】第3実施例の変形例を示す斜視図。
【符号の説明】
1…錠箱、2…ケース身、2a…アングル部分(縁部)、3,3A…蓋体、4…一側開口、5…幅広垂直壁、6…前方側壁、5a,6a…垂直内壁面、7…後方側壁、8…上方側壁、9…下方側壁、10,10A,10B…デッドボルト、10a…垂直側壁面、11…デッド窓、12…被係合部、13…受入孔、14…差込部、21,21A…側圧受板、22…固定板部、23…案内窓、23a…縁部、24,24A…囲い板部、25…係止部、30…ストッパー孔、31…係合突起、40,40B…枠状胴体、41,41B…係合頭部、42…間隙、43,43B…抑え片、44…抑え突起部分、45,45B…嵌合部、A,B…矢印。
Claims (3)
- 一側開口を有するケース身と、このケース身に固定的に取り付けられる蓋体とから成る戸の錠箱に於いて、前記ケース身のアングル部分を基準として交差する垂直壁の内壁面にデッドボルトにかかる側圧を直接的に受ける側圧受板21を添着し、この側圧受板は、ケース身の幅広の前記垂直壁の内壁面に固定される垂直板状の固定板部と、この固定板部に直交方向に連設すると共に、ケース身の前方側壁の内壁面に対面し、かつ、デッドボルト用の案内窓を有する垂直板状の囲い板部とから成り、前記側圧受板には、前記ケース身に形成された被係合部に係合する係止突片が設けられていることを特徴とする戸の錠箱の構造。
- 請求項1に於いて、係止突片は、側圧受板の囲い板部の端部に形成され、一方、被係合部は、ケース身の前方側壁に形成されていることを特徴とする戸の錠箱の構造。
- 請求項1に於いて、側圧受板の囲い板部の垂直端部には、蓋体の一端部に形成したストッパー孔に嵌入する係合突起を設けたことを特徴とする戸の錠箱の構造。
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