JP4234905B2 - S−アルキルシステインの製造方法 - Google Patents

S−アルキルシステインの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、S−アルキルシステインの製造方法に関し、より詳細には、システインのメルカプト基をアルキル化することによってS−アルキルシステインを製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
S−アルキルシステインは公知の化合物で、多くの文献に記載されている。
例えば、S−メチルシステインはWO97/14430(ファルマシア・アンド・アップジョン社)において、ペプチドやタンパク質の抗酸化剤として権利請求されており、またはS−メチルシステインは肝臓疾患の治療に用いられている〔ケミカルアブストラクト106,169054p(1987年)〕。米国特許第3940542号(Oreal S.A.)では、S−メチルシステインが経口抗脂漏剤として用いられている。
ブラウン(Brown)らは、S−エチルシステインが抗結核剤として用いられることを記載している[J.Am.Chem.Soc.,76,3860(1954年)]。
又、S−アルキルシステインは薬理活性を有する化合物群の製造用の合成中間体として用いることもできる。
特に、S−メチルシステインは、例えば抗高血圧剤(EP266950−ファイザー社、EP254032−シェーリング社)、抗ウイルス剤(米国特許第5644028号−ジャパンエナジーコーポレーション)、抗血栓剤(WO95/28420−コルバスインターナショナル社)、又はメタロプロテアーゼ阻害剤(WO96/11209−カイロサイエンス社)の合成に用いられる。
【0003】
S−アルキルシステインの製造方法に関し、数種類の方法が文献に記載されている。
これらの中で、システインのメルカプト基をアルキル化する方法が特に注目される。
例えば、D.H.ホワン(Hwang)らは、L−システイン塩酸塩をヨウ化メチルとナトリウムエトキシドでメチル化してS−メチル−L−システインを製造する方法を記載しており、ここで前記ナトリウムエトキシドは、アルコール溶媒中で金属ナトリウムとエタノールとからその場で(in situ)生成させている[J.Org.Chem.,50,1264(1985年)]。
【0004】
M.フランケル(Frankel)らは、水性アルコール溶媒中、塩基として作用する水酸化ナトリウムと、メチル化試薬として作用するヨウ化メチルの存在下で、L−システインをSchotten−Baumann反応によりS−メチル化する方法を記載している[J.Chem.Soc.,1390(1960年)]。
別法としてはH.ザハン(Zahan)らが、エタノール中でヨウ化メチルと炭酸水素ナトリウムを用いてメチル化反応を実施する方法を記載している[ケミカルアブストラクト、49、6834e]。
【0005】
しかしながら、ヨウ化メチルは毒性が強く、高価で、しかも処理から出る廃水中に、廃棄するのが難しい元素状のヨウ素を生成するため、大規模用途に最適な試薬とは言い難い。
【0006】
M.D.アムストロング(Amstrong)らによる類似の合成方法では、L−シスチンを金属ナトリウムと液体アンモニアで還元してin situでL−システインを調製し、そのL−システインを臭化エチルにてS−エチル化することによりS−エチル−L−システインを調製している[J.Org.Chem.,16,749(1951年)]。この方法は、毒性の強いアルキル化試薬を使用することに加え、液体アンモニアを安全に保管し使用するための特殊な工程と設備を要するので、工業的な観点からは前述した方法よりも不利であることは明らかである。
【0007】
文献に記載されている他の方法は、他のメチル化試薬を用いている。
例えば、フォン・デュ・ヴィニョー(V.Du Vigneaud)らは、水酸化バリウムの存在下で硫酸ジメチルを使用する方法を記載しているが[J.Biol.Chem.,105,481(1934年)]、硫酸ジメチルも同様に毒性が高い。K.ヤマウチ(Yamauchi)[Tet.Lett.,1199(1977年)]は、pH8のリン酸トリメチル水溶液を使用する方法を記載しているが、このアルキル化試薬も、吸入、皮膚接触、経口摂取すると有毒であるうえに、この合成法では基質の一部がラセミ化(7.5%)してしまう。
【0008】
S−アルキルシステインの合成法を記載した文献のほとんどは、非常に厳しい反応条件を用いず、許容可能な時間内でアルキル化反応を終了させるために、化学量論量を超えるアルキル化試薬を用いている。
【0009】
上述した方法に共通する欠点は、かなりの量の塩、例えばヨウ化物や硫酸塩が生成することである。そのヨウ化物や硫酸塩は反応そのものに由来するものと、最終処理段階における過剰のアルキル化試薬の分解に由来するものとがある。従って、非常に溶解性の高いS−メチルシステイン等のS−アルキルシステインを水性溶媒から単離することはとりわけ面倒で、収率が不十分になる場合もある。
【0010】
さほど一般的なメチル化試薬ではないが、化学式RMe2SIで表わされるスルホニウム塩を用い、システインをS−メチル化してS−メチルシステインを調製する方法をK.ヤマウチ(Yamauchi)が記載している[J.Chem.Soc.Perkin Trans.I,1941(1983年)]。このアルキル化試薬は簡単な熱分解操作と塩素化された溶媒による抽出で容易に除去できるが、市販されていないため実用性の観点から注目されてない。
【0011】
よってこれらのアルキル化試薬は、高い毒性または危険性を有し、高価で、また反応溶媒中に相当な量の塩の生成が不可避であるため、最終水溶性生成物を単離するための工程が複雑となる。さらに排水の廃棄が困難なうえ、基質の部分的なラセミ化を伴い、ある種の試薬は市場で入手するのが難しい。これらの理由から、文献に記載されているS−アルキルシステインの製造方法を工業規模に応用することが困難になっている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らの知る限りでは、ジアルキルカーボネートを用いてS−アルキル化反応によりS−アルキルシステインを製造する方法はどの文献にも記載されていない。
本発明者らは、無害で、入手しやすく且つ安価な試薬を用い、ラセミ化が起こらない反応条件下でシステインをS−アルキル化してS−アルキルシステインを製造する、とりわけ工業規模に適用するのに適した製造方法を見出した。
【0013】
よって本発明は、次式(I)
【0014】
【化4】
Figure 0004234905
【0015】
(式中、Rは直鎖又は分岐のC1〜C4アルキル基であり、アスタリスク(星印)を付した炭素原子は不斉炭素原子を示す)で表わされるS−アルキルシステインの製造方法であって、次式(II)
【0016】
【化5】
Figure 0004234905
【0017】
(式中、R1は水素原子、直鎖若しくは分岐のC1〜C6脂肪族アシル基、アリールカルボニル基、アルコキシカルボニル基又はアリールオキシカルボニル基を示し、それらに含まれるアルキル部分は、置換されていてもよい直鎖又は分岐のC1〜C4アルキル基であり、R2は水素原子、置換されていてもよい直鎖若しくは分岐のC1〜C6アルキル基又は置換されていてもよいベンジル基を示し、アスタリスクを付した炭素原子は上記と同義である)で表わされる化合物を、適切な有機若しくは無機塩基の存在下、次式(III)
【0018】
【化6】
Figure 0004234905
【0019】
(式中、Rは前記と同義である)で表わされるジアルキルカーボネートで処理し、そして、R1とR2の一方又は両方が水素以外である場合は、任意に加水分解を行うことを特徴とするS−アルキルシステインの製造方法を提供するものである。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明に係る方法は容易に実施することができ、有毒な試薬を用いることなく、出発化合物である式(II)の化合物に対し良好な収率で式(I)で表わされるS−アルキルシステインを得ることができる。
【0021】
本発明に係る方法におけるアルキル化反応は、式(II)で表わされる化合物と、式(III)で表わされるジアルキルカーボネートとを反応させることにより実施される。
【0022】
式(II)で表わされる出発化合物は公知の化合物で、市販されているか、或いは、例えばM.D.アムストロング(Amstrong)らの方法[J.Org.Chem.,16,749(1951年)]に従って容易に製造できる。
【0023】
式(II)におけるR1とR2が水素以外である場合は、従来法に従い、対応するシステインのアミノ基とカルボキシル基を保護することにより、式(II)で表わされる出発化合物を調製することができる。
【0024】
式(II)で表わされる化合物のR1とR2は、本発明に係る方法の反応条件に適合するものであれば、当業者が従来よく用いているアミノ基とカルボキシル基の保護基の中から選択して用いた保護基であることができる。
【0025】
カルボキシル基の保護基として好ましいものとしては、置換されていてもよい直鎖又は分岐のC1〜C6アルコールのエステル、例えばメチルエステル、エチルエステル、n―プロピルエステル、イソプロピルエステル、n―ブチルエステル、sec−ブチルエステル、イソブチルエステル、tert−ブチルエステル、イソペンチルエステル、tert−ペンチルエステル、neo−ペンチルエステル、シクロペンチルエステル、ヘキシルエステル、シクロヘキシルエステル又はベンジルエステルが挙げられる。
【0026】
アミノ基の保護基である各種R1の中で好ましいものは、式R3CO−で表わされるアシル基(式中、R3は水素基、直鎖若しくは分岐のC1〜C5アルキル基又は置換されていてもよいアリール基であって、例えばホルミル基、アセチル基又はベンゾイル基)と、R4OCO―で表わされるカルバメート(式中、R4は直鎖若しくは分岐のC1〜C4アルキル基又は置換されていてもよいアリール基で、例えばメトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基)である。
【0027】
本発明方法では、式(II)の化合物のR2が水素で、R1が水素以外であることが好ましく、R2が水素でR1がアセチル基であることがより好ましい
【0028】
有機化学における保護基の使用、特にカルボキシル基とアミノ基の保護および脱保護に通常用いられる実験条件の一般的参照のために、セオドラ・ダブリュー・グリーン(Theodra W. Greene)とピーター・ジー.エム.・ワッツ(Peter G.M.Wuts)による「Protective Groups in Organic Synthesis」John Wiley & Sons,Inc.,第二版(1991年)を参照されたい。
【0029】
式(II)の化合物は、R1が水素である場合、そのアミノ基に鉱酸、好ましくは塩酸を作用させて塩の形態にすることができる。
【0030】
式(III)の化合物は、例えばジメチルカーボネートやジエチルカーボネート等のジアルキルカーボネートを表わす。式(III)で表わされるジアルキルカーボネートは公知の化合物で、市販されている。
【0031】
式(III)の化合物と式(II)の化合物はモル比III:IIが0.5:1〜4:1として使用するのが好ましい。より好ましくは、式(III)の化合物と式(II)の化合物のモル比は1.5:1〜2.5:1である。
【0032】
アルキル化反応は、アルキルアミン、アリールアミン、塩基性窒素含有芳香族化合物等の有機塩基、アルカリ若しくはアルカリ土類金属の水酸化物、水素化物若しくは炭酸塩等の無機塩基、又は例えばアルカリ若しくはアルカリ土類金属のアルコキシド等の有機金属誘導体の存在下で、塩基性媒質中で行なう。
【0033】
好ましい塩基の例として、式RONaで表わされるナトリウムアルコキシド(式中、Rは上記と同義)が挙げられる。
【0034】
アルコキシドの残基Rは、反応に用いられる式(III)で表わされるジアルキルカーボネートの残基Rと同じであることが好ましく、例えばジメチルカーボネートでメチル化する場合にはナトリウムメトキシドを選択するのが好ましい。
【0035】
式RONaで表わされるアルコキシドは、任意に、金属ナトリウムと、対応するアルコールROHとを反応させてin situで調製することができる。
【0036】
塩基と式(II)で表わされる化合物のモル比は、出発物質である式(II)で表わされる化合物中の、塩を形成することのできる基の数によって異なるが、その比は1:1〜5:1であることが好ましい。その比が2:1〜3:1であることがより好ましい。
【0037】
更に、アルキル化反応は、任意に少量の水の存在下で、好適な有機溶媒の存在下で行なわれる。有機溶媒の例としては、塩化メチレン、クロロホルム、トリクロロエタン等の塩素含有溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;トリエチルアミン、ピリジン等の脂肪族、芳香族又はヘテロ芳香族アミン;酢酸エチル等のエステル;アセトンやメチルエチルケトン等のケトン;ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、N−メチルピロリドン等の双極性非プロトン溶媒;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のジアルキルカーボネート;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール等の低級アルコール;又はこれらの混合物が挙げられる。実用性を考慮すると低級アルコールを用いることが好ましい。
【0038】
特に、アルキル化反応に用いるジアルキルカーボネートと同じアルキル残基Rを有するアルコールが好ましい。例えば、ジメチルカーボネートを用いて式(II)で表わされる化合物をメチル化する場合は、メタノール中で反応を行なうことが好ましい。
【0039】
反応温度は一般に室温から反応混合物の還流温度の間であるが、還流温度が好ましい。
【0040】
本発明方法は、出発物質である式(II)で表わされる化合物がジスルフィドに酸化されるのを防止するために不活性雰囲気中で実施されることが好ましい。
【0041】
式(I)で表わされる化合物と式(II)で表わされる化合物は不斉炭素原子を有する。本発明方法は、出発物質として式(II)で表わされるL−またはD−システインを出発物質として用いて実施することができ、キラル中心に対するラセミ化が顕著に起こることなく式(I)で表わされるS−アルキルシステインを得ることができる。
【0042】
本発明方法によれば、式(I)で表わされる最終化合物は、式(II)で表わされる出発化合物をアルキル化し、そしてR1とR2とが水素以外である場合は次いで保護基を除去することにより製造される。脱保護反応は、化合物の光学的純度を確実に保存する手順を用いて行なわれる。
【0043】
本発明方法は、S−メチルシステイン又はS−エチルシステインの製造に用いることが好ましく、S−メチル−L−システインの製造に用いることがより好ましい。
【0044】
本発明の方法の実用上好ましい実施態様によれば、室温の不活性雰囲気下で、式(II)で表わされる化合物(R1はアセチル基、R2は水素)を、ナトリウムアルコキシドとジアルキルカーボネートのアルコール溶液中に、該溶液を攪拌しながら加える。次いで反応混合物を反応が終了するに必要な時間、還流温度で加熱した後、室温に冷却して、鉱酸で適切に処理する。水相から適切な有機溶媒で抽出することによって、保護基を有する式(I)で表わされる化合物が得られる。続いて、従来法に従って脱保護反応を行うと、式(I)で表わされる最終化合物を得る。
【0045】
本発明方法は適用が容易で、穏やかな反応条件下でも式(I)で表わされるS−アルキルシステインを高収率で得ることができる。
【0046】
本発明方法による注目すべき利点は、従来用いられてきたヨウ化アルキルや硫酸アルキル等のアルキル化試薬の代わりにジアルキルカーボネートを使用することにある。前記のアルキル化試薬は毒性が強いため、工業的に使用する場合特別な配慮とコストのかかる安全対策を要するのに対し、ジアルキルカーボネートは無毒で取り扱いが容易な試薬である。更に、ヨウ化アルキルや硫酸アルキルを使用する方法では、最終生成物は相当な量の、対応する塩との混合物として得られ、上述したようにそれらは本来溶解特性を有するため、精製工程が非常に困難である。
【0047】
それとは対照的に、本発明方法ではジアルキルカーボネートをアルキル化試薬として用いるため、酸性媒質中で最終処理を行なう際に、唯一の副生成物として無水炭酸塩が生成する。この反応媒質中で生成する塩は、本方法に使用する塩基と酸のみから生成するものであって、アルキル化試薬の分解で生成するものではない。
【0048】
従って、適切な酸性化媒質を選択することによって生成する塩の量が大幅に低減されるだけでなく、好ましくない塩の生成を避けることができ、化学量論量を超える量の試薬が用いられた場合でも精製操作が容易になる。
【0049】
更に、本発明の方法において、式(II)で表わされる化合物の単一の立体異性体形態のものを出発物質として用いると顕著なラセミ化が起こらず、光学純度の高い式(I)で表わされる化合物が得られる。
【0050】
【実施例】
以下、本発明の実施例に基づいて説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0051】
実施例1
L−システインからS−メチル−L−システインの製造
機械式攪拌器、温度計および還流冷却器を取り付けた容量2Lの二重ジャケット反応容器を窒素雰囲気に保ち、室温で、メタノール(700g)とL−システインヒドロクロリド一水和物(175.5g;1mol)を仕込んだ。
混合物を攪拌して溶解した後、濃度30%w/wのナトリウムメトキシドのメタノール溶液(540g;3mol)を15分間で滴下した。温度は自然に昇温させた。溶液の滴下中に固体が析出した。
得られた懸濁液にジメチルカーボネート(180g;2mol)を加え、混合物を還流温度で24時間加熱した。
20〜30℃に冷却した後、無水炭酸塩の生成を抑制し、そして温度を40℃未満に保ちながら、32%w/w塩酸水溶液(230g;2mol)を滴下した。
滴下終了後、反応混合物中の溶媒を減圧留去し、粗生成物(320g)を得た。
得られた固体を氷酢酸(1300g)に加え、得られた懸濁液を攪拌しながら90〜100℃で約1時間保持した。
不溶の固体を90〜100℃でろ過により除去し、フィルタを90〜100℃に予熱した氷酢酸(80g)で洗浄した。
ろ液を減圧濃縮し、得られた固体残渣(290g)にメタノール(1000g)を加えた。生成した懸濁液を室温で2時間攪拌した後、ろ過した。固体をメタノール(150g)で2回洗浄し、湿った生成物(130g)を得、そして40℃で16時間減圧乾燥し、乾燥S−メチル−L−システイン(76g)を得た。
1H−NMR法(内部標準:ジメチルスルホキシド):純度約92%
モル収率(L−システインに対し):約52%
この生成物は、塩化ナトリウムから、酢酸での処理を繰り返すことにより精製可能である。
【0052】
実施例2
N−アセチル−L−システインからN−アセチル−S−メチル−L−システイン の製造
機械式攪拌器、温度計および還流冷却器を取り付けた容量1.5Lの二重ジャケット反応容器を窒素雰囲気に保ち、室温で、30%w/wのナトリウムメトキシドのメタノール溶液(360g;2mol)とジメチルカーボネート(180g;2mol)を仕込んだ。この溶液に、室温で攪拌しながら、N−アセチル−L−システイン(163g;1mol)を加え、添加中に自然に昇温させた。得られた溶液を1時間還流温度で加熱した後、25〜30℃に冷却した。
反応混合物に、水(500g)を一度に加え、得られた溶液に32%w/wの塩酸(230g;2mol)を無水炭酸塩の生成を抑制する速度で徐々に加えた。
得られた溶液を約50〜60℃に加熱し、残留溶液が約650mlになるまで減圧濃縮した。
残留溶液を20〜30℃に冷却し、酢酸エチル(500g)で抽出し、水相を酢酸エチル(2×250g)で再度抽出した。
有機相を合一して最高温度70℃で減圧濃縮し、酢酸エチル含量が5%未満の油状残渣(184g)を得た。この残渣はそのまま次のステップに使用できる。
【0053】
1H−NMR法:純度約95%(内部標準:ジメチルスルホキシド)
モル収率:約98%。
【0054】
機械的攪拌器、温度計、還流冷却器および滴下漏斗を取り付けた容量1Lの二重ジャケット反応容器を窒素雰囲気下に保ち、48%w/wの臭化水素酸(338g;2mol)を仕込んだ。この混合物を105±5℃で約3時間加熱した後、温度を60〜70℃で溶解が完了するまで加熱して調製した、水(90g)中のN−アセチル−S−メチル−L−システイン溶液(約95%w/w、184g;1mol)を加えた。
添加終了後、溶液を105℃で1時間保持した。
溶液を30〜40℃に冷却し、温度を60〜70℃未満に保ちながら、30%w/wの水酸化ナトリウム水溶液(270g;2mol)を滴下した。
得られた溶液にL4Sコール(coal;2g)とセライト(6g)を、60〜70℃で15分間攪拌しながら加えた。
混合物をろ過し、反応容器とフィルタを水(20ml)で洗浄した。
得られた水溶液を、内部温度60〜70℃で攪拌可能な粘稠物が得られるまで減圧濃縮し、残留容積約220mlを得た。
この混合物を約60℃で攪拌しながらメタノール(580g)を加えると析出物が生成した。混合物を20℃で2時間冷却し、更にその2時間後にろ過した。
得られた固体をメタノール(40g)で2回洗浄し、湿った生成物(151g)を得た。この生成物を40〜50℃で16時間減圧乾燥し、S−メチル−L−システイン(109g)を得た。
【0055】
1H−NMR法:純度84%(内部標準:ジメチルスルホキシド)
臭化物(銀滴定):15%
【0056】
次いで固体をメタノール(300ml)に懸濁し、窒素雰囲気下、還流温度で1時間加熱した。
得られた混合物を20℃で2時間冷却し、同温で更に2時間保持した後、ろ過した。
得られた固体をメタノール(15g)で2回洗浄し、湿った生成物(94g)を40〜50℃で16時間減圧乾燥し、高純度のS−メチル−L−システイン(88g)を得た。
【0057】
1H−NMR法:純度99%(内部標準:ジメチルスルホキシド)
臭化物(銀滴定):0.2%
[α]20 D=−29.7°(C=1、H2O)
モル収率(出発物質であるNアセチル−L−システインから計算):64.5%
【0058】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の製造方法は、安定で安価で取り扱いが容易で、且つ市販されており、無毒で、反応終了後に酸で容易に分解することが可能で除去も容易な試薬を用いることにより、特に工業規模での応用に適するものである。

Claims (13)

  1. 次式(I)
    Figure 0004234905
    (式中、Rは直鎖又は分岐のC1〜C4アルキル基であり、アスタリスクを付した炭素原子は不斉炭素原子を示す)で表わされるS−アルキルシステインの製造方法であって、次式(II)
    Figure 0004234905
    (式中、R1は水素原子、直鎖若しくは分岐のC1〜C6脂肪族アシル基、アリールカルボニル基、アルコキシカルボニル基又はアリールオキシカルボニル基を示し、それらに含まれるアルキル部分は、置換されていてもよい直鎖又は分岐のC1〜C4アルキル基であり、R2は水素原子、置換されていてもよい直鎖若しくは分岐のC1〜C6アルキル基又は置換されていてもよいベンジル基を表わし、アスタリスクを付した炭素原子は上記と同義である)で表わされる化合物を、適切な有機又は無機塩基の存在下、次式(III)
    Figure 0004234905
    (式中、Rは前記と同義である)で表わされるジアルキルカーボネートで処理し、そしてR1とR2の一方又は両方が水素以外の場合は、任意に加水分解を行なうことを特徴とするS−アルキルシステインの製造方法。
  2. 前記式(III)で表わされる化合物がジメチルカーボネート又はジエチルカーボネートである請求項1に記載の方法。
  3. 前記式(III)で表わされる化合物と前記式(II)で表わされる化合物を0.5:1〜4:1のモル比で用いる請求項1に記載の方法。
  4. 前記式(III)で表わされる化合物と前記式(II)で表わされる化合物を1.5:1〜2.5:1のモル比で用いる請求項1に記載の方法。
  5. 塩基と式(II)で表わされる化合物を1:1〜5:1のモル比で用いる請求項1に記載の方法。
  6. 塩基と式(II)で表わされる化合物を2:1〜3:1のモル比で用いる請求項5に記載の方法。
  7. 塩基が式RONaで表わされるアルコキシドである請求項1に記載の方法。
  8. 塩基がナトリウムメトキシドである請求項7に記載の方法。
  9. 溶媒が低級アルコールである請求項1に記載の方法。
  10. 溶媒がメタノールである請求項9に記載の方法。
  11. 式(II)中、R1が直鎖又は分岐のC1〜C6脂肪族アシル基である化合物の反応を含む請求項1に記載の方法。
  12. 式(II)中、R1がアセチル基である化合物の反応を含む請求項11に記載の方法。
  13. 適切な有機又は無機塩基の存在下で、N−アセチル−システインをジメチルカーボネートで処理し、次いでN−アセチル基を加水分解するS−メチルシステインの製造方法。
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