JP4233240B2 - 射出発泡成形方法、並びにそれに適した射出成形機および樹脂組成物 - Google Patents

射出発泡成形方法、並びにそれに適した射出成形機および樹脂組成物 Download PDF

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Description

【0001】
本発明は、物理発泡剤を射出成形機に注入し、溶融した熱可塑性樹脂と混合し、射出発泡成形する方法、並びにそれに適した射出成形機に関する。更に詳しくは、昇圧ポンプ等の装置を用いることなく、物理発泡剤を貯蔵圧より低い圧で射出成形機のシリンダーに注入し、溶融樹脂と混合し、射出にあたり金型内のキャビティーの容積を膨張させることにより発泡体を得る方法、並びにそれに適した射出成形機に関する。
【0002】
【従来の技術】
熱可塑性樹脂を用いた射出成形方法において、材料削減、軽量化等を目的として発泡を行うことが従来から検討されてきた。射出発泡成形を行う方法として、材料の熱可塑性樹脂に、アゾジカルボン酸アミドなどの熱分解型の化学発泡剤を直接ペレットにまぶすか、マスターバッチとして使用する方法が知られている。
【0003】
このような化学発泡剤は、手軽に入手でき、通常のインライン型射出成形機で使用可能であることから、射出発泡成形では広く用いられてきた。しかし、化学発泡剤をペレットにまぶす場合、熱可塑性樹脂に対して1〜5重量%と多量の発泡剤が必要であることに加えて、成形機のホッパーの中で、粉状の発泡剤とペレットが分離し、発泡ムラの原因となることがあった。また、マスターバッチの場合、それを製造するときに、押出機内の熱により化学発泡剤の一部が分解してしまうため、射出発泡成形時に発生するガス量の効率が悪かった。
【0004】
さらに、化学発泡剤は高価であり、材料費の高騰原因となっている。中には、一酸化炭素などの有害なガスを発生するものもある。さらに、化学発泡剤の分解残査が射出成形機のシリンダー内に長期間滞留し、それが不定期的に成形品表面に現れるため、外観を損なうこともあった。
化学発泡剤に代えて、プロパン、窒素ガス、二酸化炭素などを発泡剤として用いる物理発泡も提案されている。特に、ポリスチレンペーパーなどの製造には、これら物理発泡剤を使用した押出発泡が広く使用されている。この押出発泡法では、押出機シリンダーの途中より孔を設け、シリンダ−内に物理発泡剤が圧入される(例えば、特開平7−16450、特開平8−81590など)。押出発泡成形の場合、原料樹脂の供給量と物理発泡剤の供給量を一定比率に保つことで、安定した寸法および発泡倍率の製品が得られる。
【0005】
ところが、物理発泡剤を射出成形に用いるインライン型射出成形の場合、シリンダーに孔を設け、物理発泡剤を注入しても、シリンダーの中をスクリューが前後に移動し、樹脂を可塑化し計量して射出するために、注入孔の位置とスクリューの位置関係は押出成形機のように常に一定ではなく、スクリューの位置によっては、物理発泡剤が注入出来ない場合が生じる。
【0006】
このように射出成形機への物理発泡剤の安定供給は、押出成形に比べて遙かに難しかった。そのため、射出発泡法の改善提案も行われてきた。
例えば、樹脂を射出成形機に輸送するときに物理発泡剤が揮発し難いように、物理発泡剤として有機溶剤を用いる方法として、有機溶剤と樹脂の混合物を間欠的に射出成形機へ供給する方法(特公昭46−2184)や、押出機を用いて有機溶剤と熱可塑性樹脂を混合後、直接金型内に注入する方法(特開平6−41344)が提案されている。
【0007】
これらの方法では、有機溶剤を使用するため、防爆設備への改造が必要であった。また、押出機より直接金型内に注入する場合には、押出機から連続して溶融樹脂が供給されるので、製品取り出し時に樹脂が発泡しながら系外に廃出されるため、成形された製品に廃出樹脂が付着する恐れがあり不良品の発生率が高いという問題がある。
【0008】
一方、超臨界状態の物理発泡剤を、樹脂に含浸させた後、発泡させる方法が提案されている。この技術はマイクロセルラー発泡技術として知られている(米国特許5,158,986(日本国特許2625576号)、米国特許4,473,665など)。このマイクロセルラー発泡技術では、発泡体のセル径をセル破壊が起こる大きさより小さくすることによって、発泡製品であるのに耐衝撃強さが維持できる製品が提供される。
【0009】
このような超臨界状態の発泡剤を、射出発泡成形方法に適用するために、超臨界物理発泡剤の注入方法及び成形方法の改良が提案されている。
例えば、溶融樹脂に物理発泡剤を飽和させた後、過飽和で不安定状態になるように操作し、発泡剤が気化しないように加圧(カウンタープレッシャー)されたキャビティー内に射出し、続いてキャビテイー内の容積を膨張(コアバック)させることによってマイクロセルラー発泡体を得ることが提案されている(米国特許4,473,665、米国特許5,334,356)。
【0010】
マイクロセルラー発泡体を得る射出成形方法では、物理発泡剤を飽和状態になるように大量に溶融樹脂に溶解させる必要があり、物理発泡剤を射出成形機シリンダー内で超臨界状態になるように高圧で、場合によっては加温して供給する必要があり、加えて高い樹脂圧に打ち勝つ圧力で物理発泡剤を注入するため昇圧ポンプなどが必要となる。また、スクリューの移動に対応して、シリンダーへ設けられた物理発泡剤注入孔を開閉し、かつ昇圧ポンプの動きを制御するシステムが必要であり、多数のセンサーと情報処理のためのシステムも必要となるので、設備が複雑で高価となる。
【0011】
さらに、金型内においては、キャビティーを加圧(カウンタープレッシャー)したり、コアバックする場合、金型の金属面同士を密着させて、高圧のガスを漏れないようにシールする必要があるが、通常の射出成形機の型締め力では難しいため、通常はゴムなどのパッキンによりガスの密封度を保つことになるが、加熱されるため徐々に磨耗するため多量の製品生産は難しかった。
【0012】
また、キャビティー内の気密性を高める結果、射出時にカウンタープレッシャー用のガスがキャビティーから抜けず、ガス溜まりを発生してしまい、そのために製品の端にへこんだ部分ができるため製品外観を低下させるおそれがあった。
【0013】
また、特開平11−34129、特開平11−34130、WO98/31521では、インラインスクリュを有する射出成形機のシリンダーの途中から、物理発泡剤を射出成形機シリンダー内で超臨界状態になるように高圧で供給することが提案されている。高圧で物理発泡剤を注入するには、昇圧ポンプが必要であり、複雑で高価な設備が必要となる。
【0014】
物理発泡剤の注入を、スクリューの動きと無関係に行える方法も提案されている。例えば、特開平8−258096には、スクリューの軸方向に設けた穴を通して、スクリューの先端位置から物理発泡剤を注入し、溶融樹脂と混合することを提案している。この方法では、該注入穴に溶融樹脂が逆流することを防止するため通気性の焼結金属などが用いられているので、物理発泡剤が焼結金属を通過するときに圧力損失が発生するため、更に高圧で物理発泡剤を注入する必要がある。また、特開平8−85128では、射出成形機のホッパーとシリンダーの間にチャンバーを設け、チャンバー内で二酸化炭素などの物理発泡剤を加圧下で十分に含浸させて後、シリンダー内に送り、射出発泡成形を行う方法を提案している。室温付近の温度で、短時間で樹脂に物理発泡剤を含浸することは難しく、工業的な連続生産には向かない。
【0015】
溶融樹脂への物理発泡発泡剤の注入を連続的に行い、溶融樹脂を射出成形機シリンダー内に供給し、計量時以外は、樹脂をアキュムレーターに貯蔵するかまたは系外に放出することによって、間欠的な射出成形に対応できる方法が提案されている(特開平10−230528、特開平10−24436)。この方法によれば、物理発泡剤の注入を、金型の動作及びスクリューの動きに連動して行う必要はないが、昇圧のためのポンプを使用するので、製造装置が高価となり、また溶融樹脂を系外に放出すると材料の収率が低下するため、安価な発泡製品の製造への適用は難しかった。
【0016】
上記課題を解決するため、本発明者等は、鋭意研究を重ねた結果、本発明に到達した。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ポンプなどの昇圧設備を必要とせずに低圧で射出成形機のシリンダーへの物理発泡剤注入ができ、金型動作およびスクリューの動きに対応した物理発泡剤の注入が可能であり、かつ金型を高圧に保つことなく射出発泡でき、外観良好で、高発泡倍率の射出発泡製品を得ることができる射出発泡方法を提供することを目的とする。また、それらの射出発泡方法に適した射出成形機を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明は、第1段目の最後の溝の深さL1と二段目の最初の溝の深さL2の比L2/L1が、1.2〜6の範囲にある二段圧縮スクリューを有する射出成形機を用いて、シリンダー途中から物理発泡剤を供給する熱可塑性樹脂の射出発泡成形において、
(1)気体状態である二酸化炭素または窒素からなる物理発泡剤を、貯蔵タンクから貯蔵圧力の80%以下に減圧された圧力で、射出成形機シリンダー内との圧力差により供給し、(2)該物理発泡剤の供給を、スクリューを射出方向へ最も前進させた時の、射出方向にスクリューの二段目の開始点からスクリュー外径の9倍の長さまでの範囲で行い、かつ(3)射出成形機の金型のキャビティー内を大気圧にし、射出充填後、キャビティー内の容積を膨張させ発泡体を得る射出発泡成形方法を提供する。
【0019】
本発明はまた、前記射出充填後、金型内の金属板を後退させることによりキャビティー内の容積を膨張させて発泡体を得る射出発泡成形方法を提供する。
【0020】
前記射出成形機の二段圧縮スクリューの、第1段目の最後の溝の深さL1と二段目の最初の溝の深さL2の比L2/L1が、1.2〜6の範囲にある前記射出発泡成形方法は、本発明の好ましい態様である。
【0021】
前記物理発泡剤が貯蔵圧力より80%以下に減圧されている前記の射出発泡成形方法は、本発明の好ましい態様である。
【0022】
射出成形機への物理発泡剤注入部に樹脂逆止弁が設られている前記の射出発泡成形方法は、本発明の好ましい態様である。
【0023】
物理発泡剤が二酸化炭素、窒素、アルゴンのいずれかである前記の射出発泡成形方法は、本発明の好ましい態様である。
【0024】
本発明は、(1)気体状態である二酸化炭素または窒素の貯蔵タンク、(2)第1段目の最後の溝の深さL1と二段目の最初の溝の深さL2の比L2/L1が、1.2〜6の範囲にある二段圧縮スクリュー、(3)スクリューを射出方向へ最も前進させた時の、スクリューの二段目の開始点から射出方向にスクリュー外径の9倍の長さまでの範囲に、二酸化炭素または窒素を昇圧する装置を含まない二酸化炭素または窒素供給部を有するシリンダー、および(4)キャビティー内の容積を膨張させうる金型
を有する熱可塑性樹脂用射出成形機を提供する。
【0025】
また本発明は、熱可塑性樹脂に、発泡核剤として平均粒径0.5〜10μmの無機フィラーを該樹脂に対して0.1〜5重量%、及び/又は、化学発泡剤またはその分解物を、未分解物に換算して0.01〜1重量%含ませた樹脂組成物を用いる射出発泡成形方法を提供する。
【0026】
前記無機フィラーがタルク、シリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウムのいずれかである樹脂組成物を用いる射出発泡成形方法は、本願発明の好ましい態様である
【0027】
化学発泡剤がポリカルボン酸と炭酸水素塩の0.1:0.9〜0.9〜0.1の混合物またはその分解物である前記の樹脂組成物を用いる射出発泡成形方法は、本願発明の好ましい態様である
【0028】
化学発泡剤がクエン酸と炭酸水素ナトリウムの混合物またはその分解物である前記の樹脂組成物を用いる射出発泡成形方法は、本願発明の好ましい態様である
【0029】
熱可塑性樹脂に、発泡核剤として平均粒径0.5〜10μmの無機フィラーを該樹脂に対して0.1〜5重量%、及び/又は、化学発泡剤またはその分解物を、未分解物に換算して0.01〜1重量%含ませた組成物は、前記の射出発泡成形方法に適した樹脂組成物である。
【0030】
また本発明は、前記の射出発泡成形方法に適した樹脂組成物を用いて、射出成形機の金型のキャビテイ容積を計量樹脂量よりも低くし、物理発泡剤と混合した溶融樹脂を射出しながらキャビテイー容積を広げて充填する射出発泡成形方法を提供する。
【0031】
【発明の実施の形態】
本発明の射出発泡方法について以下、詳細に説明する。
本発明の射出成形方法は、第1段目の最後の溝の深さL1と二段目の最初の溝の深さL2の比L2/L1が、1.2〜6の範囲にある二段圧縮スクリューを有する射出成形機を用いて、シリンダー途中から物理発泡剤を供給する熱可塑性樹脂の射出発泡成形において、(1)気体状態である二酸化炭素または窒素からなる物理発泡剤を、貯蔵タンクから貯蔵圧力の80%以下に減圧された圧力で、射出成形機シリンダー内との圧力差により供給し、(2)該物理発泡剤の供給を、スクリューを射出方向へ最も前進させた時の、射出方向にスクリューの二段目の開始点からスクリュー外径の9倍の長さまでの範囲で行い、かつ(3)射出成形機の金型のキャビティー内をほぼ大気圧などの低い圧力にし、射出充填後、キャビティー内の容積を膨張させ発泡体を得る射出発泡成形方法である。
【0032】
本発明では、キャビティー内に樹脂を射出して充填した後、適度な時間を置き、キャビティー内容積を膨張させる。膨張させる好ましい方法としてはキャビテーの壁を構成する金属板を移動させる方法(コアバック法)を挙げることができる。金型取り付け盤の可動盤側に移動する方法が最も簡単である。
【0033】
キャビティー内に一度に樹脂を充満させて、成形品表面にスキン層を作ることにより、固い製品形状を得ることで、製品内部に発泡状態が不均一で、大きなセル径の泡の発生があっても、外観上目立たなくなるという利点を生む。このため、従来技術が提案しているように、使用する物理発泡剤が気化しないようにキャビティー内を加圧する必要はない。したがって、カウンタープレッシャーなどキャビティー内を高圧に保つ必要はなく、低圧下で成形でき、大気圧下であってもよい。
【0034】
そのため、金型に圧力維持のためのゴム製パッキンを設ける必要もなく、金型の隙間をシールする必要もない。さらに、複数の金属板により金型を組み立てた物であれば、樹脂充填時にキャビティ内に存在した空気は樹脂がキャビティ内に広がる時に金属板の隙間から自由に抜けるので、金型内にエアー溜まりを生じず、エアー溜まりによる外観不良の心配がない。
【0035】
本発明で用いる射出成形機の型締め機構としては、直圧式、電動式のものが、コアバック時の速度などを精密に制御できるので好適に使用できる。また、トグル式などのコアバックが難しい型締め機構のものは、型締め力を解除した後、バネなどの機構により、コアバックさせることにより使用が可能である。可動盤方向以外へのコアバックであっても、適当な油圧、電動装置、バネなどを用いてキャビティー側面の金属板を移動させることによってコアバックが可能となる。例えば、箱状のもので底にゲートを設け、底の方向にコアバックした場合、側面はほとんど発泡しない。
【0036】
このような製品の場合、底面と直行する方向にコアバックする時、ほとんど同時に、残りの側面4方向とコアバックすることにより、5方向すべてで発泡が可能である。
【0037】
可動盤以外の方向へのコアバックは、型締めシリンダーに対してT字、又はY字の油圧シリンダーを用いることが可能である。このように、カウンタープレッシャーを行わないため、複雑に金型金属板をコアバックさせる機械も容易に設計することができる。
【0038】
また、コンテナなどの箱状の物で有れば、可動盤側のみのコアバックにより底面、側面と別々に成形した後、組み立て箱にすることも可能であり、そのようにして製造されたコンテナなどは荷物の運搬が終了したら、分解しかさばらない形状で回収可能である。また、箱状のもので有れば、展開図のような形状に射出し、可動盤側へコアバックして成形し、製品を取り出した後、必要時に組み立てて使用可能である。
【0039】
さらに、このような折り畳み部分が発生する場合、折り畳まれる線状部分を樹脂が完全に固化しない内に、金型の突き出し機構などを用い、発泡部を押しつぶし、折り癖を付けることで、組み立て作業が容易になり、かつ折り曲げ部分の強度も増加し繰り返し使用に耐える箱を成形することができる。
【0040】
本発明では、発泡倍率および外観性能は、射出される樹脂の温度、射出速度、射出終了からコアバック開始までの待ち時間、コアバック量、コアバック速度、コアバック終了後の冷却時間などによって適宜制御することができる。また、コアバックは、数段階に分けて行うことも可能であり、それにより高発泡、微セル製品が得られる。
【0041】
本発明の射出発泡成形では、金型内に溶融樹脂が注入された時に金型と接する部分の樹脂は内部の樹脂に比べ早く固化する。そのため、未発泡のスキン層が発生し、その剛性で製品形状を維持する。このスキン層の厚みは、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.3mm以上、さらに好ましくは0.5mm以上が望ましい。
【0042】
これらの厚みのスキン層を形成するためのコアバックのタイミングは、樹脂の種類、発泡剤の種類、金型温度、樹脂温度により異なるが、例えば二酸化炭素を物理発泡剤として用い、通常のポリプロピレンを用いた場合には、射出完了後から0.5〜3秒程度が好ましい。射出完了後からコアバックまでの時間が、短すぎると十分な厚みのスキン層が生成せず、長すぎると樹脂の固化が進行して、コアバックしても十分な発泡倍率が得られない。
【0043】
コアバック時のコア移動速度も、製品厚み、樹脂の種類、発泡剤の種類、金型温度、樹脂温度により異なるが、例えば二酸化炭素を物理発泡剤として用い、通常のポリプロピレンを用いた場合、0.01〜2mm/min程度が好ましい。コア移動の速度が、遅過ぎるとコアバックの途中で樹脂が固化し、十分な発泡倍率が得られず、速すぎるとセルの発生・成長がコアの移動に追随せず、セルが破壊し外観良好なものが得られない。
【0044】
金型温度は、使用する樹脂の成形に通常用いられる金型温度で十分であり、製品厚みが薄いもの、発泡倍率が高いものを得る場合は、通常の金型温度より高めに設定すると良い。本発明で得られる製品の厚みと発泡倍率としては、樹脂の種類、物理発泡剤の種類・添加量、金型温度、樹脂温度などにより異なるが、例えば二酸化炭素を物理発泡剤として用い、通常のポリプロピレンを用いた場合、0.1〜100mm程度の厚みで、発泡倍率1〜5倍程度のものが得られる。
【0045】
通常のポリプロピレンにエチレン−プロピレンゴム、エチレンーブテンゴム、エチレン−オクテンゴム、スチレン−ブテンブロックゴムなどのゴムや低密度ポリエチレンを適量加えたものは、厚肉で、高発泡で、セル径の均一な製品を得ることが容易である。また、高分子量の成分をホモ部に有するポリプロピレン、微架橋させたポリプロピレンもまた同様に厚肉で、高発泡で、セル径の均一な製品を得ることが容易である。これらの改質されたポリプロピレンであれば、製品厚み200mm程度、発泡倍率10倍程度の製品を得ることも可能である。また、結晶性の樹脂に比べ、非晶性のポリスチレン系樹脂、ポリカーボネートなどは発泡倍率20倍近い製品が製造可能である。
【0046】
本発明によれば、成形品内部のセル形状、セル密度、発泡倍率に多少の分布が発生しても、スキン層の平滑性と剛性により良外観の発泡製品が得られる。本発明では、独立気泡の製品を得る場合は、平均セル径は、0.01〜1mm程度であるが、製品形状や製品の用途によっては、数mmのセル径であっても、そのセルの一部が連通したものであっても問題ない。
【0047】
高発泡製品の場合、セルは、共に会合し連通化し、製品中は中空状態になるが、空洞化した中に柱として樹脂の延伸された支柱が存在するため、高度に軽量化され、強固な剛性を有する製品を製造することが可能である。これら高発泡品はダンボールなどの代替え品、浮きなどに最適である。
【0048】
また、本発明では、通常の射出成形で用いられるホットランナーやシャットオフノズル、シャットオフゲートなどを利用することもできる。ホットランナーは、ランナーなどの発生を押さえ材料の収率を高めことができる。シャットオフノズル、シャツトオフゲートは、製品取り出し時などに溶融樹脂中の物理発泡剤が気化する圧力でキャビティ内に樹脂が漏れるために次に成形する製品を汚染することを防くことができる。シャツトオフノズルは、射出成形機のスクリュー先端に、シャットオフゲートは金型内に設けることができる。
【0049】
キャビティーの容積がシャットオフノズルから製品ゲートまでの容積に比べて小さすぎる場合、または、ゴム、エラストマーのように樹脂の固化温度が低く、ゲート、ランナー部分の樹脂の固化が遅い樹脂の場合、キャビティー内の容積を増加させて発泡させると、シャットオフノズルからゲート間に充填している樹脂がキャビティー内に流入し易く、製品の外観不良、発泡倍率の低下が発生する場合がある。このような場合は、ゲートとしてフィルムゲートを採用する、ビンゲートの場合にはゲートの周囲に段差を設けることが好ましい。
また、ゲート穴を小さくし、超音波で振動させることにより、射出時の流動性を高め、射出終了後のゲートシールまでの時間を短くする方法や、シャットオフノズルが閉じた直後シャットオフノズルからゲート間の樹脂圧が急激に低下するよう射出直後、シャットオフノズル付近の樹脂流路の容積を僅かに増加させるなどの方法も好ましい。
【0050】
図1は、本発発明の実施形態の一例としてホットランナーとシャットオフゲートを持つ金型の例を示している。本発明の射出発泡方法は、従来未発泡射出で行われていた射出方法への応用も可能である。
【0051】
例えば、キャビテイーの可動盤側に皮、布、熱可塑性エラストマーの表皮などをセットし、金型を開いた状態にし、キャビティー内に発泡させながら射出し、これを型締し、キャビティー全体に樹脂を展開した後、再度コアバックする(射出プレス)方法は、自動車のドアトリム、ピラーなどの表皮付き軽量化内装材の製造に利用することができる。
【0052】
また、多層射出成形の適用例として、物理発泡剤を含ませない熱可塑性エラストマーを射出し、および/または物理発泡剤を含む熱可塑性エラストマーを射出して本発明により発泡させ、次にポリプロピレンなどの基材樹脂を本発明の方法により射出発泡させ、自動車用表皮付き軽量化内装材の製造にも応用できるできる。さらに、金属などを金型にセットした後、本発明の方法で射出発泡(インサート成形)することも可能である。
【0053】
また、型締め力を弱め、キャビテイ容積を計量樹脂量よりも低く押さえた状態にし、物理発泡剤と混合した溶融樹脂を射出しながら射出圧でキャビテイー容積を広げてゆき(射出圧縮方法)、射出が完了した後コアバックさせると、射出開始時の短い時間で製品表面にスキン層が形成され、物理発泡剤が成形品の表面で急激に気化して生じるフラッシュ・シルバーなどの不具合を非常に低く押さえるため、通常のソリッド成型品と同等の外観品質を有する製品が得られる。
【0054】
さらに、ドンブリ容器状の金型を制作し取り付け、型を開いた状態で発泡させながら射出した後、型を閉じキャビティー全体に発泡樹脂を展開した後、コアバックすることにより、発泡倍率が高くならない容器の壁の部分にも発泡した樹脂が回り、側面も発泡したドンブリ容器が得られ、軽量であるためにインスタント食品の容器などに最適である。
【0055】
本発明では、成形品内部のセル形状、セル密度、発泡倍率などが多少ばらついても、その影響を受け難いため、物理発泡剤が混合された溶融樹脂についての制限が少ない。そのため、従来技術で提唱されているような物理発泡剤を溶融樹脂に非常に均一分散する必要はない。
【0056】
本発明では、射出成形機スクリューのデザインには何ら制限がない。本発明では、射出成形機スクリューとして、多段圧縮スクリュー、好ましくは二段スクリュー多段圧縮スクリューの使用が推奨される。二段目を攪拌能力には劣るが、溶融樹脂の送り能力に優れた圧縮溝付き(羽付き)スクリューを使用することができる。
【0057】
本発明では、樹脂の送り能力に優れるため、第一段目の圧縮スクリュー部分が終了した次の溝を深くし、樹脂圧を急激に低下させる。この減圧された部分では、溶融樹脂は、飢餓状態となり、樹脂が存在しない空洞が発生し、この空洞部分に、貯蔵圧力よりも減圧した、好ましくは貯蔵圧力に対して80%以下に減圧した物理発泡剤を供給する。
【0058】
図1を参考にし射出発泡成形機を説明する。射出発泡成形機には、射出成形機シリンダー7および射出成形機二段圧縮シリンダー8が備えられている。射出成形機シリンダーは、ヒーター12により加熱される。物理発泡剤は、物理発泡剤ボンベ13、発泡剤供給配管14により、ボンベバルブ15、減圧弁16、逆止弁17を経て、物理発泡剤注入孔18からシリンダーに注入される。
一段目の圧縮部は9の部分であり、第二段目の圧縮部は10の部分である。
【0059】
図1は、スクリューが射出方向へ最も前進した時の図である。一段目の圧縮部9は、ホッパー19から供給されたペレットを前方に送るため、スクリュー溝は深く、通常第一段目の前方までほぼ均等にスクリュー溝が浅くなるか、一定の領域までスクリュー溝が一定の部分が続いた後、スクリュー溝が浅くなることにより、樹脂が圧縮され樹脂中の空気が後方に抜ける。
【0060】
それに続いて、11では急激にスクリュー溝が深くなり、スクリュー溝間の容積が膨張し、溶融樹脂の他に気体が注入可能な空間が出来る。これを減圧部分11と呼ぶ。この部分も通常第一段目の圧縮部と同様に第二段目の圧縮部の前方までほぼ均等にスクリュー溝が浅くなるか、一定の領域までスクリュー溝が一定の部分が続いた後、スクリュー溝が浅くなることにより、樹脂が圧縮される。物理発泡剤注入孔は、スクリューが射出方向に最も前進した状態で、第二段目圧縮部の開始部分からスクリュー外径(D)の9倍の長さ(9D)、すなわち、第二段目圧縮部の0〜9D部、好ましくは0〜3D部に位置するように設けることが好ましい。
【0061】
0Dよりも後方、すなわち第一段目圧縮部では、物理発泡剤がホッパー口、スクリューの後方のグランド部分から飛散し発泡剤として活用されない。9D部より前方では、それに続く物理発泡剤との混合を行う領域、樹脂を圧縮する領域が続くため、スクリュー全体のL/Dが非常に長くなりすぎ、射出成形機のスクリューとしての強度に劣り、且つ、射出成形機全体の寸法も大きくなるので効率的でない。
【0062】
樹脂は、射出成形機ノズル6から、ホットランナー5、シャットオフバルブ4を経て金型コア(移動側)1および金型シェル(固定側)2を有する金型のキャビティ3に射出される。
【0063】
図2は、この物理発泡剤注入孔周囲部分を拡大した図である。圧縮部分10の溝とスクリューの羽21により、溶融樹脂は、前方に送られるため、減圧部分11に樹脂が存在しない空間が発生する。減圧部分11には、物理発泡剤注入孔18が設けられ、物理発泡剤が物理発泡剤供給配管20から注入される。
【0064】
図1及び図2の状態では、空洞部分の圧力はあまり高くなく、低圧で注入可能である状態にある。この状態を実現するには、第一段目の最後のスクリュー溝深さL1と第二段目の最初のスクリュー溝深さL2の比L2/L1が1.2〜6の範囲、好ましくは2.5〜4.5の範囲にあることが望ましい。
【0065】
また、第一段目圧縮部9と第二段目圧縮部10は、樹脂の送り能力、混合能力を考慮し適宜、1条、2条または3条にすることが可能である。第一段目、第二段目の圧縮部の溝深さなどのデザインは、上記に記載の範囲であれば、市販のベント付き射出成形機ベント部分の耐圧構造を補強し使用することができる。また、スクリューのみベント付きタイプにし、シリンダーは、通常タイプに物理発泡剤注入孔を設けたものであってもよい。
【0066】
さらに、第一段目圧縮部のスクリュー部において、最後の0.5〜2D部をスクリュー間の距離が短い形状にし、スクリューの溝間が完全に溶融樹脂で充満されるように設計したものでは、第一段目圧縮部のスクリューの後方に物理発泡剤が逃げることを防止する効果が大きい。
【0067】
スクリューが 図1及び2の状態から射出方向とは反対方向に後退しだした場合(計量・可塑化工程)、可塑化された樹脂が圧縮部分9から減圧部分11に供給される。供給された溶融樹脂は、物理発泡剤注入孔18より注入された物理発泡剤と適度に混合される。この場合、特に微分散が必要ではなく、溶融樹脂への発泡剤が発泡剤の圧力、樹脂が混練される剪断により巻き込まれた状態でよい。
【0068】
また、溶融樹脂で溝が完全に満たされるスクリュー先端までは、溝の中の未混合物理発泡剤が占める空間の多くは、大きな泡が連結しているかまたは大きい塊となったものであり、お互いに圧力を及ぼし合う距離にある。その部分の物理発泡剤の圧力は、概ね等しく、概ね均等な圧力の物理発泡剤が、溶融樹脂と溝を構成する羽21によって、前方へ輸送されながら、除々に溶融樹脂中に混練分散し、射出発泡時には問題ない程度の物理発泡剤の混合が達成される。さらにスクリューが後退すると、圧縮部10のスクリュー圧縮により、樹脂圧は高まる。
【0069】
本発明の射出発泡成形法に適した射出成形機の好ましい態様は、(1)気体状態である物理発泡剤貯蔵タンク、(2)二段圧縮スクリュー、(3)スクリューを射出方向へ最も前進させた時の、スクリューの二段目の開始点から射出方向にスクリュー外径の9倍の長さまでの範囲に、該物理発泡剤を昇圧する装置を含まない物理発泡剤供給部を有するシリンダー、および(4)キャビティ内の容積を膨張させうる金型を有する熱可塑性樹脂用射出成形機である。
【0070】
前記射出成形機の二段圧縮スクリューの、第1段目の最後の溝の深さL1と二段目の最初の溝の深さL2の比L2/L1が、1.2〜6の範囲にあること射出成形機は、射出成形機の好ましい態様である。
【0071】
さらに、前記物理発泡供給部に、樹脂逆止弁が設けられている射出成形機もまた射出成形機の好ましい態様である。
【0072】
射出成形機が、非発泡製品の生産に併用するなどの理由から、スクリュー計量位置の幅内に低圧部分が収まらない場合は、物理発泡剤注入孔に溶融樹脂が物理発泡剤の配管に侵入しないように逆止弁を取り付けるとよい。図1、図2には、逆止弁17を取り付けた態様が示されている。また、図3は樹脂圧が物理発泡剤の注入圧より上昇した場合の例を示している。樹脂圧が物理発泡剤の供給圧より高くなると逆止弁17が作用し、物理発泡剤の供給が停止する。逆止弁17の作用により溶融樹脂は物理発泡剤配管内に侵入しない。しかし、後方(ホッパー側)に存在する未混合物理発泡剤が、溶融樹脂と混合され送られてくるため、射出発泡時に問題となるような物理発泡剤の溶解不足はない。なお、図3中の矢印は樹脂の流れ方向を示す。
【0073】
図4は、第二段目圧縮部10を数溝間にわたり平面模式図にしたものである。溶融樹脂中に無数の発泡により構成される物理発泡剤の溜まり22は、溝間に攪拌用のピンなどがないため、物理発泡剤の圧力とスクリューの羽による剪断により、樹脂と混合され、前方へ送られる。スクリューが後退し、樹脂圧が高くなり、逆止弁が閉じ、物理発泡剤の供給が停止しても、22の物理発泡剤の溜まりが存在する限り、溶融樹脂と物理発泡剤の混合は連続して続き、前方に物理発泡剤が混合した樹脂が供給される。本発明では、供給される物理発泡剤の圧力は高くないため、溶融樹脂への溶解は遅く、溜まり22が消失する迄の時間は十分に長い。なお、図4中の矢印は樹脂の流れ方向を示す。
【0074】
したがって、逆止弁17により、物理発泡剤の供給が停止しても、物理発泡剤の溜まり22が存在する限り、しばらくは、溶融樹脂と物理発泡剤の混合は連続して続き、前方に物理発泡剤が混合した樹脂が供給される。また、可塑化・計量が終了し、スクリューが停止すれば、溶融樹脂と物理発泡剤の混合は一時停止するが、ほぼ一定濃度に物理発泡剤が混合した溶融樹脂がスクリュー中に蓄えられているので、発泡製品の射出成形には何ら問題はない。
【0075】
従って、本発明によれば、スクリューの移動により、シリンダー内への物理発泡剤の供給は間欠的に行われるが、可塑化・計量時間の間、溶融樹脂と物理発泡剤の混合物は連続し供給され、射出発泡時に、外観等問題になるような発泡剤濃度の不均一性は生じない。
【0076】
本発明で用いる発泡剤としては、通常の物理発泡剤であれば特に問題ない。例えばメタノール、エタノール、プロパン、ブタン、ペンタンなどの低沸点有機溶剤の蒸気;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、フロン、三フッ化窒素などのハロゲン系不活性溶剤の蒸気;二酸化炭素、窒素、アルゴン、ヘリウム、ネオン、アスタチンなどの不活性ガスが挙げられる。
【0077】
これらの中で、蒸気にする必要が無く、安価で、環境汚染、火災の危険性が極めて少ない二酸化炭素、窒素、アルゴンがもっとも優れている。物理発泡剤の貯蔵方法としては、小規模な生産で有れば、二酸化炭素、窒素などをボンベに入った状態で使用し、射出成形機に減圧弁を通して供給出来る。
【0078】
大規模に発泡製品を製造する設備であれば、液化二酸化炭素、液化窒素などの貯蔵タンクを設置し、熱交換機を通し、気化し、配管を通し、減圧弁により射出成形機に供給する。
【0079】
また、液状の物理発泡剤の場合、本発明で定義する貯蔵圧力とは、気化し減圧弁に供給する圧力を言う。貯蔵圧力としては、0.13〜100MPaの範囲が好ましく、圧力が低すぎると減圧して射出成形機に注入できず、また、圧力が高すぎると、貯蔵設備の耐圧強度を高くする必要から、設備が大型化し、また、配管の破裂事故等の際被害が大きくなり安全上好ましくない。
【0080】
本発明の射出発泡成形方法の好ましい具体的態様の一つとして以下のもの挙げることができる。
(1)物理発泡剤を貯蔵タンクから貯蔵圧力に対して80%以下に減圧し、射出成形機シリンダー途中の孔からシリンダー内との圧力差により、連続的または間欠的に物理発泡剤が供給され、(2)該シリンダー内に、溝間の容積を射出方向に対して序々に減少させ圧縮し、射出方向へ樹脂を送る機構を段階で行う二段圧縮スクリューを有し、第1段目の最後の溝深さL1と二段目の最初の溝深さL2の比L2/L1が1.2〜6の範囲にあり、(3)スクリューを射出方向へ最も前進させた時に、物理発泡剤注入孔の位置がスクリューの二段目の始まりより前方方向へスクリュー外径の9倍の長さの範囲にあり、(4)金型のキャビティー内を大気圧にし、射出充填後、キャビティー内の容積を膨張させ発泡体を得る射出発泡成形方法。
【0081】
本発明で、通常の未発泡状態で射出成形可能な熱可塑性樹脂であれば特に制限なく使用できる。熱可塑性樹脂の例として、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、環状ポリエチレンなどのポリエチレン;エチレン−スチレン共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのエチレン系共重合体;ホモポリプロピレン;エチレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、オクテンなどのαオレフィンとプロピレンのランダム共重合体;エチレン−プロピレンブロック共重合体などのポリプロピレンブロック共重合体;ポリブテン、ポリメチルペンテンなどのオレフィン樹脂;ポリブチレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、天然ゴム、熱可塑性ポリウレタン、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−ブテンゴム、エチレン−オクテンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、クロロプレンゴムなどのゴム・エラストマー;また、架橋ゴム・エラストマーであっても射出成形が可能な程度の架橋のもの、ポリプロピレン、鉱物油などで流動性を改良したものでも可能である。
【0082】
さらに、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂などのスチレン系樹脂は、高発泡に適している。ポリ塩化ビニル、高ニトリル樹脂、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチルポリカーボネートなどの非晶性樹脂、更にエンジニアプラスチック類にも適用可能である。
【0083】
例えば、ポリメチルペンテン、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンオキシド、ポリアセタール、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルフォン、ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、液晶ポリマー、ポリイミド、、ポリ−p−フェニレンテレフタレー、ポリスルフォンなどが挙げられる。
【0084】
また、ポリ乳酸や澱粉などをポリオレフィンに混合した生分解性樹脂の発泡体は、廃棄後短時間で分解可能である。
【0085】
さらに、熱硬化樹脂であっても、射出成形可能な粘度のモノマー、プレポリマー、架橋剤などを単体又は混合し、本発明の方法により、射出発泡させた後、金型内でまたは金型より取り出して、加熱などの方法により架橋させることも可能である。またさらに、この加熱架橋時に残留している物理発泡剤によって及び/又は発泡セル内の熱膨張効果によって発泡倍率を高めることも可能である。発泡後に架橋させたものは圧縮復元性などの機械物性に優れる。
【0086】
特に、架橋後の硬さがゴム状またはエラストマー状のもので有れは、金型キヤヒティー内への射出発泡後、キャビティーの増加容積率を0.1〜50%に抑えて、金型を加熱し材料を架橋させた後に金型から取り出せば、製品内部に残留する物理発泡剤によって、容積がキャビティー容積増加後のよりもさらに10〜500%増加した発泡体を得ることも可能である。
【0087】
また、成形性、機械物性などを改質するためにブレンドした物であっても良い。特に、スチレン−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−ブテンゴム、エチレン−オクテンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴムなどのゴムとポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂とブレンドした物は発泡した場合のセル径が均一になり望ましい。
【0088】
さらに、リサイクルペット、リサイクルポリプロピレン、リサイクルポリスチレンなどの再生樹脂も使用することができる。
【0089】
これらの樹脂、ゴム・エラストマーは、必要に応じて、熱安定剤、耐候剤、耐光剤、難燃剤、静防剤、防菌剤、カーボンブラック、顔料などの添加剤、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウムマグネシウムウイスカ、チタン酸カリウムウイスカ、ガラス繊維を加え改質したものであっても良い。
【0090】
これらの樹脂の粘度としては、その指標となるMFR(メルトフローレート)の測定条件が各種の樹脂で異なるため、一定ではないが、通常の射出グレードとして販売、使用されているもので有れば特に問題ない。例えば、ポリプロピレンの場合、2〜100g/10分(230℃)が好適に使用できる。また、分子量分布が広いポリプロピレンであれば、MFRが3程度で有ってもMFR10程度である通常のポリプロピレンの流動性に相当するので、好ましく使用できる。
【0091】
本発明では、発泡核剤を添加すると、発泡製品のセル径を均一化し、製品外観を高める効果が見られる。樹脂に溶解した物理発泡剤は、ミクロ的に不均一な部分が発生するとセル生成核となり易い。そのため、用いることの出来る発泡剤の種類としては、微粒子のもの、反応分解により発生した分子などが発泡核剤として利用出来るものを挙げることができる。
【0092】
微粒子としては、無機物質として、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、硫酸バリウム、マイカ、クレー、ワラストナイト、シリカ、アルミナ、酸化鉄、酸化チタン、マグネシア、カーボンブラック、グラファイトなどの無機フィラーが挙げられる。無機系微粒子の平均粒径としては、0.5〜10μmのものが好ましい。これらを樹脂中での分散を良くするために、疎水性に表面処理したものは更に分散性に優れる。
【0093】
添加量としては、原料樹脂に対して、0.1〜5重量%が好ましい。また、成形機のホッパーの汚染、製品表面への粉の付着、スクリューの摩耗を考慮して例えば発泡核剤量が5〜50重量%の樹脂、ワックス、ゴムを基材としたマスターバッチに加工して使用することも出来る。
【0094】
反応による核剤としては、化学発泡剤が挙げられる。化学発泡剤は、射出成形機のシリンダー中で分解し、その発泡残査が発泡核剤となりうる。
化学発泡剤としては、例えばアゾジカルボン酸アミド、オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド、アゾビスイソブチロニトリル、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、パラトルエンスルホニルヒドラジドなどが挙げられる。また、クエン酸、シュウ酸、フマル酸、フタル酸、リンゴ酸、酒石酸、シクロヘキサン1、2ジカルボン酸、ショウノウ酸、エチレンジアミン四酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、ニトリロ酸などのポリカルボン酸と、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素ナトリウムアルミニウム、炭酸水素カリウムなどの無機炭酸化合物の混合物や、クエン酸ニ水素ナトリウム、シュウ酸カリウムなどのポリカルボン酸の塩が挙げられる。
【0095】
特にポリオレフィンに対してポリカルボン酸と無機炭酸化合物併用が好ましく、特にクエン酸と炭酸水素ナトリウムを併用した物に微セル化効果、すなわち多量の発泡核を生成する効果があり、外観良好な発泡製品が得られる。
【0096】
また、クエン酸と炭酸水素ナトリウムの併用物の核化効果は非常に優れており、例えば、タルクを10〜30重量%含むポリプロピレン組成物は、既に十分な核化効果が見られるが、クエン酸と炭酸水素ナトリウムの併用物を更に添加することで、更に微セル化効果が見られる。
【0097】
これらの化学発泡剤の添加量としては、原料樹脂に対して、0.01〜1重量%が好ましい。0.01重量%未満では、十分な核化効果が得られず、1重量%を超える量では、分解物が目やにとなり製品を汚染する場合がある。これらの化学発泡剤は、平均粒径1〜100μmの粒子に加工し、原料樹脂にまぶして使用出来るが、射出成形時に材料にまぶして使用出来る。
【0098】
また、尿素、水酸化亜鉛、酸化亜鉛、酸化鉛、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムなどの助剤とブレンドしても良い。更に、成形機のホッパーの汚染、製品表面への粉の付着を考慮して、樹脂を基材としたマスターバッチとして加工し使用できる。また、一度化学発泡剤を添加し、ペレット化により化学発泡剤を分解させたものであっても良く、更に予め、高濃度の化学発泡剤を分解させ、その残渣を添加しても良い。化学発泡剤残渣の添加量は、未分解物に換算して0.01〜1重量%が好ましい。
【0099】
本発明によれば、ボンベ等に貯蔵された市販の物理発泡剤を減圧弁により、低圧力、一定圧力で射出成形機に供給するため、従来のポンプ等を用い加圧し射出成形機に物理発泡剤を供給する方法に比べ、物理発泡剤供給装置が単純・安価であり、且つ、物理発泡剤配管にボンベ圧以上の圧力が生じることがなく、事故が発生し難く、万一、事故が発生しても被害も少ない。
【0100】
また、物理発泡剤注入圧とシリンダー内の空洞部の圧力差により、物理発泡剤の供給が開始または、停止し、複雑な機構を必要としない。すなわち、ポンプで注入する方法に比べ、金型の動き、スクリューの動きと連動して、ポンプを動かすような大がかりな電気的・機械的に装置を必要とせず、従来の射出成形機が僅かな改造で使用出来る。また、金型内は、射出前は、大気圧下にした状態で良く、カウンタープレッシャー等の装置も必要でなく、型内の空気は、金型を構成する金属板の隙間から逃げるため、空気溜まり等による外観不良も発生し難い。
【0101】
また、本発明では、ゴム弾性を示さない通常の熱可塑性樹脂の場合、発泡倍率は、ほぼ金型のコアバック量で決定されるため、物理発泡剤の混合比が多少変動しても一定寸法の製品が得られ品質の安定性に優れる。
【0102】
本発明で生産出来る発泡製品例を用途別に示すと以下のようなものが挙げられる。
文房具、OA機器:ファイル、マウスパット、鉛筆・ボールペン等の軸、ホチキス、レターケース、ナイフ鋏の取っ手、金庫、パソコン、プリンター、外付けMO等のハウジング、椅子の背もたれ・肘掛け、ドライバーの柄など。
電気製品:冷蔵庫、テレビ、ビデオ、エアコンのハウジング、スピーカーコーン、マイク、ソナー、レーダー、パラボラアンテナ、エアコン室外機、ファンの羽、風力発電機の羽、炊飯器・ジャー・ポットの蓋など。
【0103】
自動車関連:アームレスト、ヘッドレスト、フロアーマット、サイドモール、吸音材、ガソリンフロート、バンパー、ドアハンドル、グローブボックス、フレッシュエアーアウトレット、コンソールボックス、天井材、ホイルキャップ、ピラー、インツルーメントパネル、エアーバックカバー、レバー類、エアークリーナーケース、レゾネーター、カウルトップガーニッシュ、デフガーニッシュー、ドアトリム、スポイラーなど。
【0104】
物流分野:樹脂パレット、コンテナ、プラスチックダンボール、CD・DVD郵送用ケース、鞄の取っ手、緩衝材など。
【0105】
土木・建築分野:エアコン等の断熱パイプ、コンクリートパネル、屋上断熱材、排水マス、クッション床材、畳芯材、襖、システムキッチンの木材代替え材、風呂桶の蓋、簀の子、ゴミ箱、ベンチ・テーブルの板など。
スポーツ分野:スポーツシューズのソール類、サンダル、スリッパ、プロテクター、水着カップ、ゴルフパック、ライフジャケット、ビート板にも適用出来る。
【0106】
農業・水産用分野:植木鉢、漁網の浮き、防舷材、水難救命具、オイルフェンスの浮きなど。
【0107】
食品包装材分野:通い箱、インスタントラーメンの容器、コンビニ弁当箱、ドンブリ鉢、食品トレー、パッキン、ガラス製牛乳瓶の蓋、コルク代替え材、茶碗、皿、まな板等が挙げられ、医療分野では、血液輸送用容器、枕、健康マットなど。
【0108】
【実施例】
以下に、実施例、比較例を用いて本発明をより詳細に説明する。しかしながら、本発明はこれらの例によって何ら制限されるものではない。
【0109】
なお、本発明実施例では、各測量は以下の方法によって行なった。
(1)物理発泡剤の添加量:物理発泡剤のボンベを射出成形機に減圧弁を介して接続し、使用する樹脂を成形時のシリンダー設定温度と射出時のスクリュー回転速度で、金型に射出せずに系外に連続的に放出させ、消費した物理発泡剤の量は、ボンベの重量減少量から求め、物理発泡剤の注入圧力と注入量の関係を求めた検量線より求めた。
【0110】
(2)発泡倍率:製品のスキン層を含めた比重より求めた。
(3)平均セル径:発泡体の発泡部断面を顕微鏡で観察し、10〜20個のセル径の平均値とした。また、セル径が製品厚みを超える場合、ゲートより50mm以上離れた部分のセルの製品厚み方向と直交する方向の寸法をセル径とした。
【0111】
(4)最大セル径:平均セル径を求めた中で最大の大きさのものとした。
(5)スキン層厚み:製品の可動盤側、固定盤側の平均値とした。
(6)メルトフローレート(MFR):ASTM 1238−65T に従い、荷重2.16kgで、その都度表示した所定の温度で測定した。
【0112】
(実施例1〜3)
射出成形機として東芝機械 IS−450GS−27A(型締め力450トン、直圧式型締め方式)に、L/Dが27で、スクリュー外径が69.8mmであり、第一段の圧縮部がL/Dで14D(ホッパー下から 溝深さ7.3mmのフラット部が9Dで、続く5Dは溝深さが7.3mmから3.1mmまで均等に減少する部分である)で、第二段の圧縮部が13D(溝深さ11mmフラット部が7D、溝深さが11mmから5mmまで均等に減少する部分が6D)であるスクリューを取り付けた。スクリューにおける溝間の距離は一定であった。射出方向に最も前進した時に第二段目圧縮部2D部の所に相当するシリンダー部に内径2mmの物理発泡剤注入孔を設け、さらにその外側に逆止弁を設けた。また、シリンダー先端にはシャットオフノズルの機構を有している。 物理発泡剤として市販のボンベにより供される二酸化炭素を用い、減圧弁とシリンダーに取り付けた逆止弁を通じシリンダー内に注入できる機構を設けた。二酸化炭素のボンベの圧力は7.2MPaであり、減圧弁により射出成形機への給圧力を3MPaに保った。二酸化炭素注入量は樹脂に対し1重量%であった。
【0113】
射出用金型として、製品寸法が95mm×340mmであって、キャビティの間隙(製品厚み)を成形機の油圧で微調整でき、溶融樹脂を製品中央よりダイレクトゲートにより射出する構造の金型を成形機に取り付け、金型温度50℃、金型冷却時間60秒、射出時の樹脂温度230℃になるように設定した。 成形材料として、ブロックポリプロピレンJ704ZA((株)グランドポリマー製、MFR:5g/10分(230℃))を用いた。
【0114】
射出時に金型に溶融樹脂が未発泡でキャビテイー間隙にフル充填になるように設定した。射出終了からコアバック開始までの間は1秒であり、コアバック速度は1mm/secとした。射出時、コアバック開始時およびコアバック終了時における金型のキャビティー内の間隙は表1に示した。
【0115】
上記の条件で、射出発泡成形を行った。平均セル径が大きく、フラッシュー・シルバーの発生はあったが、製品形状に問題はなく、流通用パレットなどの外観があまり重視されない製品であれば利用できるものであった。
物理発泡剤のボンベ圧、注入圧、添加量、キャビティー間隙、発泡製品の製品厚み、発泡倍率、平均セル径、最大セル径、スキン層厚み、平滑性、フラッシュ・シルバー発生状況を表1に示す。
【0116】
(比較例1)
実施例1において、キャビティーの間隙を4mmとし、コアバックを行わない以外は同様にして、樹脂をキャビティー内に射出した。
射出と同時に発泡しながら樹脂がキャビティー内に広がり、キャビティーの容積の約75%まで発泡したが末端部は、ショット毎に形が変化し、末端部の外観は悪く、製品価値はなかった。
【0117】
(比較例2)
実施例1において、射出成形機のシリンダーを、スクリュー第二段目の開始部分から12Dの部分に、実施例1と同様に物理発泡剤注入用の孔を設け、更に逆止弁を設けたものに取り替えた。
実施例1と同様の条件で二酸化炭素を注入しようとしたが樹脂圧が高く、まったく注入できなかった。結果を表1に示す。
【0118】
(比較例3)
実施例1において、射出成形機のスクリューを、第一段の圧縮部がL/Dで14D(ホッパー下から9Dが溝深さ7.3mmのフラット部で、続く5Dは溝深さが7.3mmから3.1mmまで均等に減少している)で、第二段の圧縮部が13D(7Dが溝深さ3.5mmフラット部で、続く6Dは溝深さが3.5mmから3.1mmまで均等に減少している)のスクリューに取り替えた。物理発泡剤注入位置等は、実施例1と同様にした。二酸化炭素を実施例1と同様に注入しようとしたが、樹脂圧が高くまったく注入できなかった。結果を表1に示す。
【0119】
【表1】
Figure 0004233240
【0120】
(実施例 4〜6)
ポリプロピレンに、発泡核剤としてクエン酸を0.04重量%、および炭酸水素ナトリウムを0.06重量%まぶした以外は、実施例1〜3と同様にして射出発泡を行った。実施例1〜3に比べ、セル径は均一で、微セル化した。実施例1〜3に比べて、平均セル径は小さく、外観性能がより優れていた。
物理発泡剤のボンベ圧、注入圧、添加量、キャビティー間隙、発泡製品の製品厚み、発泡倍率、平均セル径、最大セル径、スキン層厚み、平滑性、フラッシュ・シルバー発生状況を表2に示す。実施例1〜3に比べて、平均セル径は小さく、外観性能がより優れていた。
【0121】
(比較例4)
キャビティーの間隙を4mmとし、コアバックを行わない以外は、実施例4と同様にし、キャビティー内に射出した。射出と同時に発泡しながら樹脂がキャビティー内を広がり、キャビティーの容積の約75%まで発泡したが、末端部はショット毎に形が変化し、外観は悪く、製品価値はなかった。
外観性能は、比較例1に比べて変わらず、クエン酸、炭酸水素ナトリウムを加えた効果は認められなかった。
物理発泡剤のボンベ圧、注入圧、添加量、キャビティー間隙、発泡製品の製品厚み、発泡倍率、平均セル径、最大セル径、スキン層厚み、平滑性、フラッシュ・シルバー発生状況を表2に示す。
【0122】
【表2】
Figure 0004233240
【0123】
(実施例 7〜9)
実施例4〜6において、射出時のキャビティー間隙を1mmとし、型締め圧力を射出時に無くし、キャビティー内に樹脂を射出後、射出圧力でコアバックするほかは、実施例4〜6と同様にして成形を行った。
実施例4〜6に比べ、フラッシュー、シルバーの発生はなく、ソリッド品の場合と同等の外観性能であった。
物理発泡剤のボンベ圧、注入圧、添加量、キャビティー間隙、発泡製品の製品厚み、発泡倍率、平均セル径、最大セル径、スキン層厚み、平滑性、フラッシュ・シルバー発生状況を表3に示す。
【0124】
【表3】
Figure 0004233240
【0125】
(実施例 10〜12)
実施例7〜9において、ポリプロピレンとクエン酸または炭酸水素ナトリウムを、同じ比率で混合し、50mmベント付き単軸押出機を用いて、220度でベントにより脱泡しながらペレット化したものとして用いるほかは、実施例7〜9と同様にして発泡製品を得た。
シルバー、フラッシューの発生は無く、実施例7〜9と同等の外観性能を有していた。
物理発泡剤のボンベ圧、注入圧、添加量、キャビティー間隙、発泡製品の製品厚み、発泡倍率、平均セル径、最大セル径、スキン層厚み、平滑性、フラッシュ・シルバー発生状況を表4に示す。
【0126】
【表4】
Figure 0004233240
【0127】
(実施例 13〜17)
実施例7において、コアバック後のキャビテイ間隙を4mmに固定し、クエン酸および炭酸水素ナトリウムの添加量と、二酸化炭素の添加量を表5のように変えたほかは、実施例7と同様に発泡製品を得た。
物理発泡剤のボンベ圧、注入圧、添加量、キャビティー間隙、発泡製品の製品厚み、発泡倍率、平均セル径、最大セル径、スキン層厚み、平滑性、フラッシュ・シルバー発生状況を表5に示す。
【0128】
【表5】
Figure 0004233240
【0129】
(実施例 18〜20)
実施例7〜9において、物理発泡剤として二酸化炭素を窒素に代え、その注入圧力を4MPa、添加量を0.7重量%としたほかは、実施例7〜9と同様にして発泡製品を得た。
実施例7〜9と比べ僅かに、フラッシュ・シルバーが観察された。
物理発泡剤のボンベ圧、注入圧、添加量、キャビティー間隙、発泡製品の製品厚み、発泡倍率、平均セル径、最大セル径、スキン層厚み、平滑性、フラッシュ・シルバー発生状況を表6に示す。
【0130】
【表6】
Figure 0004233240
【0131】
(実施例 21〜23)
実施例7〜9において、発泡核剤として、クエン酸をおよび炭酸水素ナトリウムに代えて、タルク(平均粒径10μm)を1重量%添加したほかは、実施例7〜9と同様にして発泡製品を得た。
物理発泡剤のボンベ圧、注入圧、添加量、キャビティー間隙、発泡製品の製品厚み、発泡倍率、平均セル径、最大セル径、スキン層厚み、平滑性、フラッシュ・シルバー発生状況を表7に示す。
【0132】
【表7】
Figure 0004233240
【0133】
(実施例 24〜27)
実施例7〜9において、樹脂をハイインパクトポリスチレン H238(日本ポリスチレン社製 MFR:16g/10分(200℃))またはABS樹脂 クラスチックTMGA−501(日本エイアンドエル社製 MFR:32g/10分(200℃))に代えて、発泡核剤として、クエン酸と炭酸水素ナトリウム、またはタルクを用い、金型温度が50℃、金型冷却時間が60秒、射出時の樹脂温度が230℃になるように設定し、コアバック量を表8のように変えた以外は、実施例7〜9と同様にして発泡製品を得た。
樹脂、物理発泡剤のボンベ圧、注入圧、添加量、キャビティー間隙、発泡製品の製品厚み、発泡倍率、平均セル径、最大セル径、スキン層厚み、平滑性、フラッシュ・シルバー発生状況を表8に示す。
【0134】
【表8】
Figure 0004233240
【0135】
(実施例28および29)
熱可塑性樹脂として、オレフィン系熱可塑性エラストマー、エチレン含量が78モル%で、ヨウ素価13、ムーニー粘度[MLl+4(100℃)]が140であるエチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体100重量部に鉱物油系軟化剤(出光興産社製ダイナプロセスオイルPW−380)40重量部をブレンドした油展EPDMペレット60重量部と、エチレン含量が8重量%で、メルトフローレートが10g/10分(230℃)のプロピレン・エチレンブロック共重合体ペレット25重量部と、エチレン含量が97重量%で、メルトフローレートが10g/10分(190℃)のエチレン・4−メチル−1−ブテン共重合体ペレット15重量部と、1,3−ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン0.2重量部とジビニルベンゼン0.2重量部の混合物溶液とを、タンブラーブレンダーにより混合し、この溶液を混合ペレットの表面に均一に付着させ、このペレットを2軸押出機(東芝機械社製TEM−50)を用いて230℃で押出して、動的な熱処理を行い、ゲル含量が95重量%の架橋された熱可塑性エラストマーとしたものを使用した。
【0136】
実施例7〜9において、樹脂を上記で得られた熱可塑性エラストマーに変え、金型温度が50℃、金型冷却時間が60秒、射出時の樹脂温度が230℃になるように設定し、射出終了からコアバック開始までの時間を2.0秒とし、コアバック量を表9のように変えた以外は、実施例7〜9と同様にして発泡製品を得た。型から取り出すと型の寸法より大きい形状のものが得られた。
物理発泡剤のボンベ圧、注入圧、添加量、キャビティー間隙、発泡製品の製品厚み、発泡倍率、平均セル径、最大セル径、スキン層厚み、平滑性、フラッシュ・シルバー発生状況を表9に示す。
【0137】
【表9】
Figure 0004233240
【0138】
(実施例 30および31)
実施例7〜9において、樹脂として、再生PET(市場回収品 ポリエチレン10重量%,ポリプロピレン20重量%混合品)を用い、発泡核剤としてタルクを1重量%用い、金型温度が50℃、金型冷却時間が60秒、射出時の樹脂温度が270℃になるように設定し、射出終了からコアバック開始までの時間を0.5秒とし、コアバック量を表10のように変えた以外は、実施例7〜9と同様にして発泡製品を得た。
物理発泡剤のボンベ圧、注入圧、添加量、キャビティー間隙、発泡製品の製品厚み、発泡倍率、平均セル径、最大セル径、スキン層厚み、平滑性、フラッシュ・シルバー発生状況を表10に示す。
【0139】
【表10】
Figure 0004233240
【0140】
(実施例 32〜34)
実施例7〜9において、熱可塑性樹脂として高密度ポリエチレン ハイゼックスTM2100J(三井化学社製 MFR:6g/10分g/10分(190℃))、エチレン−メタクリル酸共重合体 ニュクレルTMN1525(三井デュポンケミカル社製 MFR:25g/10分(190℃)、メタクリル酸量 15重量%)とポリエチレン−メタクリル酸アイオノマー樹脂 ハイミランTM1650(三井デュポンケミカル社製 MFR:5g/10分(190℃)、亜鉛イオンタイプ)を表11の組成でブレンドし、金型温度、35℃、金型冷却時間60秒、射出時の樹脂温度180℃になるように設定し、射出終了からコアバック開始までの時間を1.0秒とした以外は、実施例7〜9と同様にして発泡製品を得た。
樹脂、物理発泡剤のボンベ圧、注入圧、添加量、キャビティー間隙、発泡製品の製品厚み、発泡倍率、平均セル径、最大セル径、スキン層厚み、平滑性、フラッシュ・シルバー発生状況を表11に示す。
【0141】
【表11】
Figure 0004233240
【0142】
(実施例35〜37)
樹脂としてグランドポリプロTMJ739((株)グランドポリマー製 ブロックポリプロピレン MFR:90g/10分(230℃)) にエチレン−αオレフィンゴム タフマーTMH3530"(三井化学社製 MFR:35g/10分(190℃))を20重量部添加し36mm二軸押出機にて200℃でペレット化したもの(MFR:70g/10分(230℃))を用い、金型として、縦横が550×300mmで、可動盤側に凸面を有する深さ50mmの長方形船底形状の金型(ホットランナー付き(200℃に設定)、2点シャットオフゲート付き)を取り付け、可動盤側に表皮材(発泡ポリプロピレンよりなるスポンジ層(厚み 2mm)と熱可塑性エラストマーシート表皮(厚み 0.5mm)よりなる。熱可塑性エラストマーシート表皮側が可動盤側)を置き、射出時の金型温度が50℃、金型冷却時間が80秒、射出時の樹脂温度が230℃になるように設定し、物理発泡剤として二酸化炭素を使用した。射出開始時のキャビティ間隙を10mmにし、射出後直ちに2mmまで間隙を狭め、射出1秒後に4mmまでコアバックした。
物理発泡剤のボンベ圧、注入圧、添加量、キャビティー間隙、発泡製品の製品厚み、発泡倍率、平均セル径、最大セル径、スキン層厚み、表皮材の皺、表皮材のふくれを表12に示す。
【0143】
【表12】
Figure 0004233240
【0144】
(実施例38)
金型として、どんぶり容器(口部の直径140mm、底部の直径110mm、高さ80mm 底の部分にダイレクトゲート付き、底のキャビティ間隙1mmの時、側面のキャビティー間隙1mm)の金型を取り付け、樹脂としてグランドポリプロTMJ707((株)グランドポリマー製 ブロックポリプロピレン MFR:23g/10分(230℃)) を用い、金型温度が50℃、金型冷却時間が60秒、樹脂温度が220℃に設定し、射出開始時のギャビティ間隙を0.4mmにし、1mmまで射出しながら間隙を広げた後、2mmまでコアバックした。射出終了からコアバック開始までの時間を0.5秒とした。物理発泡剤として二酸化炭素を使用した。
物理発泡剤のボンベ圧、注入圧、添加量、キャビティー間隙、側面部、底部の発泡製品の製品厚み、発泡倍率、平均セル径、最大セル径、スキン層厚み、平滑性、フラッシュ・シルバー発生状況を表13に示す。
【0145】
(実施例39)
射出時に金型を20mm開けた状態で実施例38と同じ計量位置で射出後、直ちに金型キャビティ間隙が1.6mmになるまで金型を閉じた後、2mmまでコアバックした。金型締めからコアバックまでの時間は0.2秒とした。実施例38に比べどんぶりの側面部の発泡倍率が高かった。
物理発泡剤のボンベ圧、注入圧、添加量、キャビティー間隙、側面部、底部の発泡製品の製品厚み、発泡倍率、平均セル径、最大セル径、スキン層厚み、平滑性、フラッシュ・シルバー発生状況を表13に示す。
【0146】
【表13】
Figure 0004233240
【0147】
(実施例40および41)
樹脂としてグランドポリプロTMJ709W((株)グランドポリマー製 ブロックポリプロピレン MFR:55g/10分(230℃))、金型として、 図5に示す形状の弁当箱の金型を取り付け、フイルムゲートを用い、射出開始時のギャビティ間隙を0.2mmに設定し、射出終了からコアバック開始までの時間を0.5秒とし、0.4mmまたは0.6mmまでコアバックした。射出時の金型温度、70℃、金型冷却時間50秒、射出時の樹脂温度230℃になるように設定した。
図5の弁当箱の金型には、フィルムゲート23、おかずを詰める部分24、曲げ強さ向上のための凹凸25、仕切部分26、曲げ強さ向上のための凹凸27、ご飯を詰める部分28が設けられている。
物理発泡剤のボンベ圧、注入圧、添加量、キャビティー間隙、発泡製品の製品厚み、発泡倍率、平均セル径、最大セル径、スキン層厚み、平滑性、フラッシュ・シルバー発生状況を表14に示す。
【0148】
【表14】
Figure 0004233240
【0149】
(実施例42および43)
樹脂としてグランドポリプロTMJ705((株)グランドポリマー製 ブロックポリプロピレン MFR:10g/10分(230℃))金型として、図6に示す形状のA4ファイルの金型を取り付け、フアイルの背表紙の部分から射出した。図6のファイルの金型には、ファイル表紙部29、背表紙部30、ゲート31、ヒンジ部32、金具取り付け部分33が設けられている。
フアイルの淵部分は、円形エッジになるように金型は、面取りしてある。コアバック開始までの時間を0.5秒とし、1.5mmまたは2mmまでコアバックし、その後、5秒後に、それぞれ1.4mmまたは1.9mmの間隙まで圧縮し、取り出し後の製品のそりを防止した。
物理発泡剤のボンベ圧、注入圧、添加量、キャビティー間隙、発泡製品の製品厚み、発泡倍率、平均セル径、最大セル径、スキン層厚み、平滑性、フラッシュ・シルバー発生状況を表15に示す。
【0150】
【表15】
Figure 0004233240
【0151】
(実施例44)
射出成形機として東芝機械IS−450GS−27A(型締め力450トン、直圧式型締め方式)にL/D27、スクリュー外径69.8mm、第一段の圧縮部がL/Dで14D(ホッバー下から9Dは、溝深さが7.3mmのフラット部で、続く5Dは、溝深さが7.3mmから3.1mmまで均等に減少する)、第二段の圧縮部が13D(7Dは、溝深さが11mmのフラット部で、続く6Dは、溝深さが11mmから5mmまで均等に減少する)ノスックリューを取りつけた。スクリューにおける溝間の距離は一定であった。射出方向に最も前進した時に第二段目圧縮部2D部の所に相当するシリンダー部に内径2mmの物理発泡剤注入孔を設け、さらにその外側に逆止弁を設けた。また、シリンダー先端にはシャットオフノズルの機構を有している。物理発泡剤として市販のボンベにより供される窒素を用い、減圧弁とシリンダーに取り付けた逆止弁を通じシリンダー内に注入できる機構を設けた。窒素のボンベの圧力は28MPaであり、減圧弁により射出成形機への給圧力を13MPaに保った。窒素注入量は樹脂に対し1重量%であった。
【0152】
射出用金型として、製品寸法が95mm×340mmであって、キャビティの間隙(製品厚み)を成形機の油圧で微調整でき、溶融樹脂を製品中央よりダイレクトゲートにより射出する構造の金型を成形機に取り付け、金型温度50℃、金型冷却時間60秒、射出時の樹脂温度250℃になるように設定した。
成形材料として、ポリ乳酸 レイシアTMH100PL(三井化学者社製、 MFR20g/10分(190℃))を用いた。発泡核剤としてクエン酸を0.04重量%、および炭酸水素ナトリウムを0.06重量%を、マスターバッチとして添加した。
金型内のキャビティ間隙を2mmに設定し、射出終了1秒後にキャビティ間隙を4mmに拡張し、発泡倍率2倍の製品を得た。物理発泡剤注入量は、10重量%であった。結果を表16に示す。
【0153】
(実施例45)
射出時のキャビティー間隙を1mmとし、型締め圧力を射出時に無くし、キャビティー内に樹脂を射出後、射出圧力でコアバックするほかは、実施例44と同様の核剤量とコアバック条件で成形を行った。
実施例44に比べ、フラッシュ、シルバーの発生はなく、ソリッド品の場合と同等の外観性能であった。結果を表16に示す。
【0154】
【表16】
Figure 0004233240
【0155】
【発明の効果】
本発明によれば、ボンベ等に貯蔵された市販の物理発泡剤を減圧弁により、低圧力、一定圧力で射出成形機に供給するため、従来のポンプ等を用い加圧し射出成形機に物理発泡剤を供給する方法に比べ、物理発泡剤供給装置が単純・安価であり、且つ、物理発泡剤配管にボンベ圧以上の圧力が生じることがなく、事故が発生し難く、万一、事故が発生しても被害も少ない。
【0156】
また、物理発泡剤注入圧とシリンダー内の空洞部の圧力差により、物理発泡剤の供給が開始または、停止し、複雑な機構を必要としない。すなわち、ポンプで注入する方法に比べ、金型の動き、スクリューの動きと連動して、ポンプを動かす様な大がかりな電気的・機械的に装置を必要とせず、従来の射出成形機が僅かな改造で使用出来る。また、金型内は、射出前は、大気圧下にした状態で良く、カウンタープレッシャー等の装置も必要でなく、型内の空気は、金型を構成する金属板の隙間から逃げるため、空気溜まり等による外観不良も発生し難い。
【0157】
また、本発明では、ゴム弾性を示さない通常の熱可塑性樹脂の場合、発泡倍率は、ほぼ金型のコアバック量で決定されるため、物理発泡剤の混合比が多少変動しても一定寸法の製品が得られ品質の安定性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の成形方法の一実施態様を示す射出発泡成形機の断面図である。
【図2】図1の射出発泡成形機の物理発泡剤注入孔周囲部分の部分断面図である。
【図3】図2の物理発泡剤注入孔に設けられた逆止弁スクリューが閉じた状態を示す部分断面図である。
【図4】スクリューの第二段目圧縮部分の溝部分を流れる溶融樹脂の状態を示すため、連続した平面図として描いた模式図である。
【図5】本発明の射出発泡成形により得られた成形品の実施例である弁当箱の平面図である。
【図6】本発明の射出発泡成形により得られた成形品の実施例であるファイルを示す平面図である。
符号の説明
1.金型コア(移動側)
2.金型シェル(固定側)
3.製品
4.シャットオフバルブ
5.ホットランナー
6.射出成形機ノズル
7.射出成形機シリンダー
8.射出成形機二段圧縮シリンダー
9.第一段目の圧縮部
10.第二段目の圧縮部
11.溶融樹脂飢餓状態による減圧部分
12.ヒーター
13.物理発泡剤ボンベ
14.発泡剤供給配管
15.ボンベバルブ
16.減圧弁
17.逆止弁
18.物理発泡剤注入孔
19.ホッパー
20.物理発泡剤供給配管
21.スクリュー羽
22.樹脂に未混合の物理発泡剤の塊。
23.フィルムゲート
24.おかずを詰める部分。
25.曲げ強さ向上のための凹凸
26.仕切部分
27.曲げ強さ向上のための凹凸
28.ご飯を詰める部分
29.ファイル表表紙
30.ファイル背表紙
31.ゲート
32.発泡後の圧縮により、発泡部が押しつぶされ成形されたヒンジ部
33.ファイリング金具取り付け部分

Claims (11)

  1. 第1段目の最後の溝の深さL1と二段目の最初の溝の深さL2の比L2/L1が、1.2〜6の範囲にある二段圧縮スクリューを有する射出成形機を用いて、シリンダー途中から物理発泡剤を供給する熱可塑性樹脂の射出発泡成形において、
    (1)気体状態である二酸化炭素または窒素からなる物理発泡剤を、貯蔵タンクから貯蔵圧力の80%以下に減圧された圧力で、射出成形機シリンダー内との圧力差により供給すること、
    (2)該物理発泡剤の供給を、スクリューを射出方向へ最も前進させた時の、射出方向にスクリューの二段目の開始点からスクリュー外径の9倍の長さまでの範囲で行うこと、および
    (3)射出成形機の金型のキャビティー内を大気圧にし、射出充填後、キャビティー内の容積を膨張させ発泡体を得ること
    を特徴とする射出発泡成形方法。
  2. 射出充填後、発泡体を得る方法として、金型内の金属板を後退させることによりキャビティー内の容積を膨張させることを特徴とする請求項1に記載の射出発泡成形方法。
  3. 射出成形機への物理発泡剤注入部に樹脂逆止弁を設けることを特徴とする請求項1または2に記載の射出発泡成形方法。
  4. (1)気体状態である二酸化炭素または窒素の貯蔵タンク
    (2)第1段目の最後の溝の深さL1と二段目の最初の溝の深さL2の比L2/L1が、1.2〜6の範囲にある二段圧縮スクリュー
    (3)スクリューを射出方向へ最も前進させた時の、スクリューの二段目の開始点から射出方向にスクリュー外径の9倍の長さまでの範囲に、二酸化炭素または窒素を昇圧する装置を含まない二酸化炭素または窒素供給部を有するシリンダー、および
    (4)キャビティー内の容積を膨張させうる金型
    を有する熱可塑性樹脂用射出成形機。
  5. 前記二酸化炭素または窒素供給部に、樹脂逆止弁が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の射出成形機。
  6. 前記熱可塑性樹脂として、熱可塑性樹脂に、発泡核剤として平均粒径0.5〜10μmの無機フィラーを該樹脂に対して0.1〜5重量%、及び/又は、化学発泡剤またはその分解物を、未分解物に換算して0.01〜1重量%含ませた樹脂組成物を用いることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の射出発泡成形方法。
  7. 前記無機フィラーがタルク、シリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウムのいずれかであることを特徴とする請求項6に記載の射出発泡成形方法。
  8. 化学発泡剤がポリカルボン酸と炭酸水素塩の0.1:0.9〜0.9〜0.1の混合物またはその分解物であることを特徴とする請求項6に記載の射出発泡成形方法。
  9. 化学発泡剤がクエン酸と炭酸水素ナトリウムの0.1:0.9〜0.9〜0.1の混合物またはその分解物であることを特徴とする請求項6または8に記載の射出発泡成形方法。
  10. 熱可塑性樹脂がポリオレフィンであることを特徴とする請求項6〜9のいずれかに記載の射出発泡成形方法。
  11. 出成形機の金型のキャビティー容積を計量樹脂量よりも低くし、物理発泡剤と混合した溶融樹脂を射出しながらキャビティー容積を広げて充填することを特徴とする請求項6〜10のいずれかに記載の射出発泡成形方法。
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