JP4232212B2 - 空気調和装置の運転制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、空気調和装置の運転制御装置に関し、特に、多変数制御を行う運転制御装置に係るものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、この種の空気調和装置には、特公平8−6952号公報に開示されているように、圧縮機と凝縮器と膨張弁と蒸発器とが順に接続されて冷房運転を行う冷媒回路を備え、蒸発器で室内に供給する空気を所定温度に冷却するようにしているものがある。
【0003】
更に、上記蒸発器の吹き出し空気温度と、蒸発器の出口における冷媒の過熱度とを検出し、この空気温度と過熱度とが目標値になるようにコントローラが圧縮機容量と膨張弁開度とを制御している。
【0004】
このコントローラは、圧縮機容量と膨張弁開度を制御入力とし、且つ空気温度と冷媒過熱度を制御出力とする冷媒回路の動的モデルに基づいて、空気温度と冷媒過熱度と該空気温度及び冷媒過熱度の各目標値に対する偏差の累積値とを入力とし、圧縮機容量と膨張弁開度とを出力とする最適レギュレータとして構成され、上記空気温度と冷媒過熱度が目標値になるように圧縮機及び膨張弁を制御している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、空気調和装置は非線形特性を有している。即ち、空調運転状態を表し運転制御の目標値となる目的変数と、運転制御に際して実際に操作する制御変数との関係は非線形である。その一方、ダイナミックモデルを設定する際には、この制御変数と目的変数との非線形な関係を線形近似する必要がある。従って、1つのダイナミックモデルに基づく制御パラメータによって求めた制御変数の制御量のみを用いて装置の運転制御を適切に行うことができないという問題があった。
【0006】
具体的に、圧縮機の運転周波数を制御変数とし、冷媒の蒸発温度を目的変数として運転制御を行う場合、図8に示すように、この両者は非線形な関係にあるため、上記蒸発温度を所定量変化させるのに必要な運転周波数の制御量は一定ではない。例えば、運転周波数30Hz、蒸発温度8℃の運転状態において蒸発温度を1℃低下させて7℃にする場合、運転周波数を10Hz増加させればよいのに対し、運転周波数70Hz、蒸発温度4℃の運転状態において蒸発温度を1℃低下させて3℃にする場合、運転周波数を40Hz増加させなければならない。
【0007】
一方、上述のような制御を行う場合、ダイナミックモデルを設定する際に制御変数である圧縮機の運転周波数と目的変数である冷媒の蒸発温度との関係を線形近似する必要がある。従って、例えば、運転周波数30Hz、蒸発温度8℃の運転状態を基準に線形近似を行ってダイナミックモデルを設定し、該ダイナミックモデル基づく制御パラメータを用いると、蒸発温度を1℃変化させるのに必要な運転周波数の制御量は10Hzと算出される。つまり、該制御パラメータを用いると、装置の運転状態が運転周波数30Hz、蒸発温度8℃の場合であっても、運転周波数70Hz、蒸発温度4℃の場合であっても、蒸発温度を1℃低下させるための運転周波数の制御量は10Hzと算出される。このため、運転周波数70Hz、蒸発温度4℃から蒸発温度を1℃低下させるのには運転周波数を40Hz増加させる必要があるにもかかわらず、10Hzしか増加しないため、確実な装置の運転制御を行うことができないという問題があった。
【0008】
また、従来は、上記のような問題に対して、装置の運転状態を、制御変数と目的変数の変化量との関係が線形であると見なしうる複数の制御範囲に分割し、各制御範囲に対してそれぞれダイナミックモデルを設定して制御パラメータを与えるという対策がなされていた。
【0009】
しかしながら、上述のような空気調和装置の運転制御はマイコンにより行われるのが一般的であるが、制御範囲と同数の制御パラメータを用いて空調運転を制御しようとすると、これら複数の制御パラメータを全てマイコンに記憶させておく必要があり、この結果、マイコンに搭載するメモリの容量が増大し、運転制御装置の構成が複雑化するという問題があった。
【0010】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたもので、必要なメモリの容量を増大させることなく空気調和装置の運転制御を確実に行うことを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
−発明の概要−
本発明は、1つのダイナミックモデルに基づいて求めた制御量を、空調運転状態に基づく制御変数と目的変数との非線形特性に対応した値となるように補正するようにしている。
【0012】
−解決手段−
具体的に、図1に示すように、請求項1記載の発明が講じた手段は、先ず、運転容量の可変な圧縮機(21) と熱源側熱交換器(23) と開度の可変な膨張弁(EV) と利用側熱交換器(31) とが順に接続された冷媒回路(12) を備え、空調運転を行う空気調和装置を前提としている。そして、上記圧縮機(21) における冷媒の吐出温度を検出して出力する第1検出手段(Th-2) と、上記利用側熱交換器(31) における冷媒の相変化に関する物理量を検出して出力する第2検出手段(Th-n) と、上記圧縮機(21) における目標吐出温度を導出して出力する第1導出手段(51) と、上記利用側熱交換器(31) における冷媒の相変化に関する目標物理量を出力する第2導出手段(52) とが設けられている。
【0013】
加えて、上記第1検出手段(Th-2) の検出吐出温度と第1導出手段(51) の目標吐出温度との吐出温度偏差、及び上記第2検出手段(Th-n) の検出物理量と第2導出手段(52) の目標物理量との物理量偏差を、空調運転状態に基づく制御変数と目的変数との非線形特性に対応した値に補正し、補正後の吐出温度偏差及び物理量偏差を出力する偏差補正手段(57) と、上記偏差補正手段(57) で補正された吐出温度偏差及び物理量偏差を2入力とする一方、圧縮機容量及び膨張弁開度を制御入力とし、且つ吐出温度と利用側熱交換器(31) における冷媒の相変化に関する物理量とを制御出力とする冷媒回路(12) の単一のダイナミックモデルに基づいて圧縮機容量と膨張弁開度の制御量を導出し、該圧縮機容量及び膨張弁開度を2出力とし、上記圧縮機(21) に容量指令信号を、膨張弁(EV) に開度指令信号をそれぞれ出力する多変数制御手段(53) とが設けられている。
【0014】
また、請求項2記載の発明が講じた手段は、請求項1記載の発明において、偏差補正手段(57) を、圧縮機容量の現在値に基づいて補正係数を導出し、該補正係数を吐出温度偏差及び物理量偏差に乗じて補正を行うように構成するものである。
【0015】
また、請求項3記載の発明が講じた手段は、先ず、運転容量の可変な圧縮機(21) と熱源側熱交換器(23) と開度の可変な膨張弁(EV) と利用側熱交換器(31) とが順に接続された冷媒回路(12) を備え、空調運転を行う空気調和装置を前提としている。そして、上記圧縮機(21) における冷媒の吐出温度を検出して出力する第1検出手段(Th-2) と、上記利用側熱交換器(31) における冷媒の相変化に関する物理量を検出して出力する第2検出手段(Th-n) と、上記圧縮機(21) における目標吐出温度を導出して出力する第1導出手段(51) と、上記利用側熱交換器(31) における冷媒の相変化に関する目標物理量を出力する第2導出手段(52) とが設けられている。
【0016】
加えて、上記第1検出手段(Th-2) の検出吐出温度と第1導出手段(51) の目標吐出温度との吐出温度偏差、又は上記第2検出手段(Th-n) の検出物理量と第2導出手段(52) の目標物理量との物理量偏差のうち何れか一方の偏差が入力し、該偏差を空調運転状態に基づく制御変数と目的変数との非線形特性に対応した値に補正して出力する偏差補正手段(57) と、上記吐出温度偏差及び物理量偏差のうち偏差補正手段(57) により補正されない偏差と、上記偏差補正手段(57) から出力される補正された偏差とを2入力とする一方、圧縮機容量及び膨張弁開度を制御入力とし、且つ吐出温度と利用側熱交換器(31) における冷媒の相変化に関する物理量とを制御出力とする冷媒回路(12) の単一のダイナミックモデルに基づいて圧縮機容量と膨張弁開度の制御量を導出し、該圧縮機容量及び膨張弁開度を2出力とし、上記圧縮機(21) に容量指令信号を、膨張弁(EV) に開度指令信号をそれぞれ出力する多変数制御手段(53) が設けられている。
【0017】
また、請求項4記載の発明が講じた手段は、請求項3記載の発明において、偏差補正手段(57) を、圧縮機容量の現在値に基づいて補正係数を導出し、該補正係数を偏差補正手段(57) に入力する偏差に乗じて補正を行うように構成するものである。
【0018】
また、図2に示すように、請求項5記載の発明が講じた手段は、運転容量の可変な圧縮機(21) と熱源側熱交換器(23) と開度の可変な膨張弁(EV) と利用側熱交換器(31) とが順に接続された冷媒回路(12) を備え、空調運転を行う空気調和装置を前提としている。そして、上記圧縮機(21) における冷媒の吐出温度を検出して出力する第1検出手段(Th-2) と、上記利用側熱交換器(31) における冷媒の相変化に関する物理量を検出して出力する第2検出手段(Th-n) と、上記圧縮機(21) における目標吐出温度を導出して出力する第1導出手段(51) と、上記利用側熱交換器(31) における冷媒の相変化に関する目標物理量を出力する第2導出手段(52) とが設けられている。
【0019】
加えて、上記第1検出手段(Th-2) の検出吐出温度と第1導出手段(51) の目標吐出温度との偏差及び、上記第2検出手段(Th-n) の検出物理量と第2導出手段(52) の目標物理量との偏差を2入力とする一方、圧縮機容量及び膨張弁開度を制御入力とし、且つ吐出温度と利用側熱交換器(31) における冷媒の相変化に関する物理量とを制御出力とする冷媒回路(12) の単一のダイナミックモデルに基づいて導出した圧縮機容量と膨張弁開度の制御量を2出力とする多変数制御手段(53) と、上記多変数制御手段(53) から出力される圧縮機容量と膨張弁開度の制御量を、空調運転状態に基づく制御変数と目的変数との非線形特性に対応した値に補正し、補正された圧縮機容量及び膨脹弁開度の制御量に基づいて上記圧縮機(21) に容量指令信号を、膨張弁(EV) に開度指令信号をそれぞれ出力する信号補正手段(58) とが設けられている。
【0020】
また、請求項6記載の発明が講じた手段は、請求項5記載の発明において、信号補正手段(58) を、圧縮機容量の現在値に基づいて補正係数を導出し、該補正係数を圧縮機容量と膨張弁開度の制御量に乗じて補正を行うように構成するものである。
【0021】
また、請求項7記載の発明が講じた手段は、運転容量の可変な圧縮機(21) と熱源側熱交換器(23) と開度の可変な膨張弁(EV) と利用側熱交換器(31) とが順に接続された冷媒回路(12) を備え、空調運転を行う空気調和装置を前提としている。そして、上記圧縮機(21) における冷媒の吐出温度を検出して出力する第1検出手段(Th-2) と、上記利用側熱交換器(31) における冷媒の相変化に関する物理量を検出して出力する第2検出手段(Th-n) と、上記圧縮機(21) における目標吐出温度を導出して出力する第1導出手段(51) と、上記利用側熱交換器(31) における冷媒の相変化に関する目標物理量を出力する第2導出手段(52) とが設けられている。
【0022】
加えて、上記第1検出手段(Th-2) の検出吐出温度と第1導出手段(51) の目標吐出温度との偏差及び、上記第2検出手段(Th-n) の検出物理量と第2導出手段(52) の目標物理量との偏差を2入力とする一方、圧縮機容量及び膨張弁開度を制御入力とし、且つ吐出温度と利用側熱交換器(31) における冷媒の相変化に関する物理量とを制御出力とする冷媒回路(12) の単一のダイナミックモデルに基づいて導出した圧縮機容量と膨張弁開度の制御量を2出力とする多変数制御手段(53) と、上記多変数制御手段(53) から出力される圧縮機容量と膨張弁開度の制御量のうち何れか一方の制御量が入力し、該制御量を空調運転状態に基づく制御変数と目的変数との非線形特性に対応した値に補正し、該補正された制御量を出力する信号補正手段(58) とを設け、上記多変数制御手段(53) から出力され、且つ信号補正手段(58) により補正されない制御量と、信号補正手段(58) から出力される補正された制御量との指令信号に基づき、上記圧縮機(21) と膨張弁(EV) とを制御するように構成するものである。
【0023】
また、請求項8記載の発明が講じた手段は、請求項7記載の発明において、信号補正手段(58) を、圧縮機容量の現在値に基づいて補正係数を導出し、該補正係数を信号補正手段(58) に入力された制御量に乗じて補正を行うように構成するものである。
【0024】
また、請求項9記載の発明が講じた手段は、請求項1乃至8の何れか1記載の発明において、利用側熱交換器(31) における冷媒の相変化に関する物理量を蒸発温度又は凝縮温度とし、利用側熱交換器(31) における冷媒の相変化に関する目標物理量を目標蒸発温度又は目標凝縮温度とするものである。
【0025】
−作用−
請求項1記載の発明では、先ず、第1検出手段(Th-2) 及び第2検出手段(Th-n) が出力する検知信号を取り込み、第1導出手段(51) が目標吐出温度を算出し、第2導出手段(52) が利用側熱交換器(31) における冷媒の相変化に関する目標物理量を算出する。そして、この目標吐出温度と第1検出手段(Th-2) の検出吐出温度との吐出温度偏差を算出すると共に、目標物理量と第2検出手段(Th-n) が検出する利用側熱交換器(31) の冷媒の相変化に関する検出物理量との物理量偏差を算出する。
【0026】
その後、偏差補正手段(57) は、上記吐出温度偏差及び物理量偏差を、空調運転状態に基づく制御変数と目的変数との非線形特性に対応した値に補正し、補正後の吐出温度偏差及び物理量偏差とを出力する。そして、多変数制御手段(53) は、ダイナミックモデルに基づき、偏差補正手段(57) で補正された吐出温度偏差及び物理量偏差を2入力とし、圧縮機容量と膨張弁開度の制御量を導出し、圧縮機容量及び膨張弁開度を2出力とし、圧縮機(21) に容量指令信号である周波数指令信号を、膨張弁(EV) に開度指令信号をそれぞれ出力して空調運転を制御する。
【0027】
また、請求項2記載の発明では、偏差補正手段(57) は、空調運転状態を表す圧縮機容量の現在値に基づいて補正係数を導出し、この補正係数を吐出温度偏差及び物理量偏差に乗ずることによって補正を行う。
【0028】
また、請求項3記載の発明では、先ず、第1検出手段(Th-2) 及び第2検出手段(Th-n) が出力する検知信号を取り込み、第1導出手段(51) が目標吐出温度を算出し、第2導出手段(52) が利用側熱交換器(31) における冷媒の相変化に関する目標物理量を算出する。そして、この目標吐出温度と第1検出手段(Th-2) の検出吐出温度との吐出温度偏差を算出すると共に、目標物理量と第2検出手段(Th-n)が検出する利用側熱交換器(31) の冷媒の相変化に関する検出物理量との物理量偏差を算出する。
【0029】
その後、偏差補正手段(57) は、上記吐出温度偏差又は物理量偏差のうち何れか一方が入力され、入力された偏差を空調運転状態に基づく制御変数と目的変数との非線形特性に対応した値に補正して出力する。そして、多変数制御手段(53)は、上記吐出温度偏差及び物理量偏差のうち、偏差補正手段(57) で補正された一方の偏差と補正されない他方の偏差とを2入力とし、ダイナミックモデルに基づいて圧縮機容量と膨張弁開度の制御量を導出し、圧縮機容量及び膨張弁開度を2出力とし、圧縮機(21) に容量指令信号である周波数指令信号を、膨張弁(EV) に開度指令信号をそれぞれ出力して空調運転を制御する。
【0030】
また、請求項4記載の発明では、偏差補正手段(57) は、空調運転状態を表す圧縮機容量の現在値に基づいて補正係数を導出し、この補正係数を吐出温度偏差又は物理量偏差のうち何れか一方の偏差に乗ずることによって補正を行う。
【0031】
また、請求項5記載の発明では、先ず、第1検出手段(Th-2) 及び第2検出手段(Th-n) が出力する検知信号を取り込み、第1導出手段(51) が目標吐出温度を算出し、第2導出手段(52) が利用側熱交換器(31) における冷媒の相変化に関する目標物理量を算出する。そして、この目標吐出温度と第1検出手段(Th-2) の検出吐出温度との吐出温度偏差を算出すると共に、目標物理量と第2検出手段(Th-n)が検出する利用側熱交換器(31) の冷媒の相変化に関する物理量との物理量偏差を算出する。
【0032】
その後、多変数制御手段(53) は、ダイナミックモデルに基づき、冷媒吐出温度の偏差と物理量温度の偏差を2入力とし、圧縮機容量と膨張弁開度の制御量を導出し、2出力として出力する。そして、信号補正手段(58) は、上記圧縮機容量と膨張弁開度の制御量を、空調運転状態に基づく制御変数と目的変数との非線形特性に対応した値に補正し、補正後の圧縮機容量と膨張弁開度の制御量に基づいて圧縮機(21) に容量指令信号である周波数指令信号を、膨張弁(EV) に開度指令信号をそれぞれ出力して空調運転を制御する。
【0033】
また、請求項6記載の発明では、信号補正手段(58) は、空調運転状態を表す圧縮機容量の現在値に基づいて補正係数を導出し、この補正係数を圧縮機容量及び膨張弁開度に乗ずることによって補正を行う。
【0034】
また、請求項7記載の発明では、先ず、第1検出手段(Th-2) 及び第2検出手段(Th-n) が出力する検知信号を取り込み、第1導出手段(51) が目標吐出温度を算出し、第2導出手段(52) が利用側熱交換器(31) における冷媒の相変化に関する目標物理量を算出する。そして、この目標吐出温度と第1検出手段(Th-2) の検出吐出温度との吐出温度偏差を算出すると共に、目標物理量と第2検出手段(Th-n)が検出する利用側熱交換器(31) の冷媒の相変化に関する物理量との物理量偏差を算出する。
【0035】
その後、多変数制御手段(53) は、ダイナミックモデルに基づき、冷媒吐出温度の偏差と物理量温度の偏差を2入力とし、圧縮機容量と膨張弁開度の制御量を導出し、2出力として出力する。また、信号補正手段(58) は、上記圧縮機容量と膨張弁開度の制御量のうち何れか一方の制御量を、空調運転状態に基づく制御変数と目的変数との非線形特性に対応した値に補正して出力する。そして、運転制御装置は、上記圧縮機容量と膨張弁開度の制御量のうち、信号補正手段(58) で補正された一方の制御量と、補正されない他方の制御量とに基づいて圧縮機(21) に容量指令信号である周波数指令信号を、膨張弁(EV) に開度指令信号をそれぞれ出力して空調運転を制御する。
【0036】
また、請求項8記載の発明では、信号補正手段(58) は、空調運転状態を表す圧縮機容量の現在値に基づいて補正係数を導出し、この補正係数を圧縮機容量又は膨張弁開度のうち何れか一方に乗ずることによって補正を行う。
【0037】
また、請求項9記載の発明では、第2検出手段(Th-n) が冷媒の相変化に関する物理量として、冷房運転時には冷媒の蒸発温度を、暖房運転時には冷媒の凝縮温度を検出する一方、第2導出手段(52) が冷媒の相変化に関する目標物理量として、冷房運転時には冷媒の目標蒸発温度を算出し、暖房運転時には冷媒の目標凝縮温度を算出する。そして、第2検出手段(Th-n) での検出蒸発温度又は検出凝縮温度と、第2導出手段(52) での目標蒸発温度又は目標凝縮温度との偏差を用いて導出された値に基づき、上記圧縮機(21) への容量指令信号と、膨張弁(EV) への開度指令信号とが出力される。
【0038】
【発明の効果】
以上のように、請求項1記載の発明では、偏差補正手段(57) で補正した上記吐出温度偏差と物理量偏差とに基づいて多変数制御手段(53) が圧縮機(21) の運転周波数と膨張弁(EV) の開度とを算出するようにしている。ここで、冷媒回路(12) での加えた操作に対して得られる応答、即ち、制御変数の制御量に対する目的変数の変動量は、その時点における空調運転状態によって定量的には異なるものの定性的にはほぼ同じ挙動を示す。従って、制御変数を操作する方向は単一のダイナミックモデルに基づく多変数制御手段(53) により求める一方、この多変数制御手段(53) へ入力される上記吐出温度偏差と物理量偏差をあらかじめ上記非線形特性に応じて補正することによって、制御変数である圧縮機容量と膨張弁開度の制御量を非線形特性に対応した値に補正することができる。この結果、多変数制御手段(53) のダイナミックモデルが単一であっても、目的変数と制御変数との非線形特性に対応した制御変数の制御量を算出することができ、制御装置の構成を簡略化することができる。
【0039】
尚、請求項5記載の発明では、請求項1記載の発明が多変数制御手段(53) への入力値を補正することによって制御変数の制御量を補正するようにしたのに代えて、多変数制御手段(53) への入力値は補正せずに出力値を補正することによって制御変数の制御量を補正するようにしたものであって、請求項1記載の発明で得られる効果と同様の効果が得られる。
【0040】
また、請求項3の発明では、請求項1記載の発明が吐出温度偏差及び物理量偏差を補正するようにしたのに代えて、上記吐出温度偏差又は物理量偏差のうち何れか一方のみを補正し、請求項7の発明では、請求項5記載の発明が圧縮機容量と膨張弁開度の制御量を補正するようにしたのに代えて、上記圧縮機容量と膨張弁開度の制御量のうち何れか一方のみを補正するようにしている。このため、上記両発明によれば、1つの偏差又は制御量の補正のみによって非線形特性に対応した制御が可能な場合には、偏差補正手段(57) 又は信号補正手段(58) の構成を簡略化することができる。
【0041】
また、請求項2、4、6又は8記載の発明によれば、空調運転状態に大きな影響を及ぼす圧縮機容量に基づいて制御変数の制御量を補正することができ、この結果、該制御量の補正を確実に行うことができる。
【0042】
また、請求項9記載の発明によれば、冷媒の相変化に関する物理量として、冷媒の相変化温度を用いることができる。従って、第2検出手段(Th-n) での検出蒸発温度又は検出凝縮温度と、第2導出手段(52) での目標蒸発温度又は目標凝縮温度との偏差を用いて導出された値に基づき、上記圧縮機(21) への容量指令信号と、膨張弁(EV) への開度指令信号とを出力することができ、空調運転制御を確実に行うことができる。
【0043】
【発明の実施の形態1】
以下、本発明の実施形態1を図面に基づいて詳細に説明する。
【0044】
図3に示すように、本実施形態における空気調和装置(10) は、一台の室外ユニット(20) に対して一台の室内ユニット(30) が接続されたいわゆるセパレートタイプの空気調和装置である。
【0045】
上記室外ユニット(20) は、インバータ(2v) により運転周波数(運転容量) を可変に調節されるスクロールタイプの圧縮機(21) と、冷房運転時に図中実線の如く、暖房運転時に図中破線の如く切換わる四路切換弁(22) と、冷房運転時に凝縮器として、暖房運転時に蒸発器として機能する熱源側熱交換器である室外熱交換器(23) と、冷媒を減圧するための膨張回路(24) とを備えており、上記室外熱交換器(23) には室外ファン(Fo) が設けられている。
【0046】
また、室内ユニット(30) は、冷房運転時に蒸発器として、暖房運転時に凝縮器として機能する利用側熱交換器である室内熱交換器(31) が配置され、上記室内熱交換器(31) には室内ファン(Fr) が設けられている。
【0047】
そして、上記圧縮機(21) と四路切換弁(22) と室外熱交換器(23) と膨張回路(24) と室内熱交換器(31) とは、冷媒配管(11) により順次接続され、冷媒が循環して熱移動を行う冷媒回路(12) が構成されている。
【0048】
上記膨張回路(24) は、ブリッジ状の整流回路(2a) と、該整流回路(2a) に接続された一方向通路(2b) とを備え、該一方向通路(2b) には、上流側に位置して液冷媒を貯溜する受液器(2c) と、下流側に位置する膨張機構である開度調整自在な電動膨張弁(EV) とが直列に配置されている。
【0049】
上記整流回路(2a) は、逆止弁(CV) をそれぞれ備えた第1流入路(2d) と第1流出路(2e) と第2流入路(2f) と第2流出路(2g) とがブリッジ状に接続されて構成されている。
【0050】
上記第1流入路(2d) は、室外熱交換器(23) から一方向通路(2b) に向う冷媒流れを形成し、また、第1流出路(2e) は、一方向通路(2b) から室内熱交換器(31)に向う冷媒流れを形成している。上記第2流入路(2f) は、室内熱交換器(31) から一方向通路(2b) に向う冷媒流れを形成し、また、第2流出路(2g) は、一方向通路(2b) から室外熱交換器(23) に向う冷媒流れを形成している。
【0051】
上記整流回路(2a) における一方向通路(2b) の接続点の間には、キャピラリチューブ(CP) を有する液封防止通路(2h) が設けられ、該液封防止通路(2h) は、圧縮機(21) の停止時における液封を防止している。尚、上記キャピラリチューブ(CP) の減圧度は、電動膨張弁(EV) よりも十分大きくなるように設定され、通常運転時における電動膨張弁(EV) による冷媒流量調節機能を維持するように構成されている。
【0052】
上記受液器(2c) の上部と、常時低圧液ラインとなる一方向通路(2b) における電動膨張弁(EV) より下流側との間には、開閉弁(SV) が設けられて受液器(2c) 内のガス冷媒を抜くバイパス通路(2i) が電動膨張弁(EV) をバイパスするように接続されている。
【0053】
上記空気調和装置(10) にはセンサ類が設けられている。つまり、上記圧縮機(21) の吐出管には、該圧縮機(21) の吐出側の冷媒吐出温度T2を検出する第1検出手段である吐出管センサ(Th-2) が配置され、室外ユニット(20) の空気吸込口には、室外空気温度である外気温度Taを検出する外気温センサ(Th-a) が配置され、室外熱交換器(23) には、冷房運転時には冷媒凝縮温度Tcとなり、暖房運転時には冷媒蒸発温度Teとなる室外冷媒温度Tgを検出する室外熱交換センサ(Th-g)
が配置されている。
【0054】
また、上記室内ユニット(30) の空気吸込口には、室内空気温度(吸込空気温度) である室内温度Trを検出する室温センサ(Th-r) が配置され、室内熱交換器(31) には、冷房運転時には冷媒蒸発温度Teとなり、暖房運転時には冷媒凝縮温度Tcとなる室内冷媒温度Tnを検出する第2検出手段である室内熱交換センサ(Th-n) が配置されている。
【0055】
また、上記圧縮機(21) の吐出管には、高圧冷媒圧力が過上昇すると動作する高圧カット用の高圧圧力スイッチ(HS) が配置され、上記圧縮機(21) の吸入管には、低圧冷媒圧力が過低下すると動作する低圧カット用の低圧圧力スイッチ(LS)
が配置されている。
【0056】
そして、上記各センサ(Th-2〜Th-n) 及び各圧力スイッチ(HS,LS) の出力信号は、コントローラ(50) に入力され、該コントローラ(50) は、圧縮機(21) 、室外ファン(Fo) 、電動膨張弁(EV) 及び室内ファン(Fr) 等を入力信号に基づいて制御し、空調運転を実行するように構成されている。
【0057】
上述した冷媒回路(12) において、冷房運転時には、室外熱交換器(23) で凝縮して液化した液冷媒が第1流入路(2d) を通って受液器(2c) に貯溜され、電動膨張弁(EV) で減圧した後、第1流出路(2e) を経て室内熱交換器(31) で蒸発して圧縮機(21) に戻る循環となる一方、暖房運転時には、室内熱交換器(31) で凝縮して液化した液冷媒が第2流入路(2f) を通って受液器(2c) に貯溜され、電動膨張弁(EV) で減圧した後、第2流出路(2g) を経て室外熱交換器(23) で蒸発して圧縮機(21) に戻る循環となる。
【0058】
−制御システム構成−
上記コントローラ(50) は、図4に示すように、本発明の特徴として、第1導出手段である第1温度算出部(51) と、第2導出手段である第2温度算出部(52) と、偏差補正手段である偏差補正部(57) と、多変数制御手段である多変数制御器(53) とを備え、圧縮機(21) 及び電動膨張弁(EV) に対してそれぞれ周波数指令信号及び開度指令信号を出力するように構成されている。
【0059】
上記第1温度算出部(51) は、圧縮機(21) の目標吐出温度Tkを導出して出力するように構成されている。つまり、該第1温度算出部(51) は、室内熱交換センサ(Th-n) が検出する室内冷媒温度Tnと、室外熱交換センサ(Th-g) が検出する室外冷媒温度Tgと、圧縮機(21) の運転周波数Hzと、外気温センサ(Th-a) が検出する外気温度Taとが入力し、次式に基づいて目標吐出温度Tkを導出している。
【0060】
【数1】
【0061】
上記第2温度算出部(52) は、室内熱交換器(31) の冷房運転時の目標蒸発温度及び暖房運転時の目標凝縮温度を導出して目標冷媒温度Tn-setを出力するように構成されている。つまり、加算器(54) が室内温度Trの設定温度Tsと室温センサ(Th-r) が検出する室内(13) の空気温度である室内温度Trとより室温偏差ΔTrを算出している。そして、上記第2温度算出部(52) は、加算器(54) が算出した室温偏差ΔTrが入力し、冷房運転時は次式に基づいて目標蒸発温度である目標冷媒温度Tn-setを導出している。
【0062】
【数2】
【0063】
また、上記第2温度算出部(52) は、室温偏差ΔTrに基づき、暖房運転時は次式に基づいて目標凝縮温度である目標冷媒温度Tn-setを導出している。
【0064】
【数3】
【0065】
上記第1温度算出部(51) が算出した目標吐出温度Tkは第1偏差算出部(55) に入力されている。該第1偏差算出部(55) は、吐出管センサ(Th-2) が検出する吐出温度T2が入力して目標吐出温度Tkと検出吐出温度T2との偏差を導出するように構成されている。
【0066】
また、上記第2温度算出部(52) が算出した目標冷媒温度Tn-setは第2偏差算出部(56) に入力されている。該第2偏差算出部(56) は、室内熱交換センサ(Th-n) が検出する室内冷媒温度Tnが入力して目標冷媒温度Tn-setと検出冷媒温度Tnとの偏差を導出するように構成されている。
【0067】
上記偏差補正部(57) には、第1偏差算出部(55) が算出した吐出温度T2の偏差ΔT2と、上記第2偏差算出部(56) が算出した室内冷媒温度Tnの偏差ΔTn(ΔTe,ΔTc) と、圧縮機(21) の運転周波数Hzが入力されている。そして、偏差補正部(57) は、圧縮機(21) の運転周波数Hzの1次関数として与えられた吐出温度T2の偏差ΔT2の補正係数及び室内冷媒温度Tnの偏差ΔTn(ΔTe,ΔTc) の補正係数を算出し、各補正係数をそれぞれ偏差ΔT2,ΔTn(ΔTe,ΔTc) に乗じて補正後の偏差ΔT2',ΔTn'(ΔTe',ΔTc') を導出し、出力するように構成されている。
【0068】
つまり、上記偏差補正部(57) は、冷房運転時において、次式に基づいて補正後の偏差ΔT2',ΔTn'(ΔTe',ΔTc') を導出している。
【0069】
【数4】
【0070】
また、上記偏差補正部(57) は、暖房運転時において、次式に基づいて補正後の偏差ΔT2',ΔTn'(ΔTe',ΔTc') を導出している。
【0071】
【数5】
【0072】
そして、上記各補正係数は、コントローラ(50) から圧縮機(21) 及び電動膨張弁(EV) に対してそれぞれ出力される周波数指令信号及び開度指令信号が、冷媒回路(12) における制御変数と目的変数との非線形特性に応じた信号となるように上記偏差ΔT2,ΔTn(ΔTe,ΔTc) を補正するものであって、上記各補正係数を算出するために用いる1次関数の各定数 a〜h は、試験等によって予め同定され、多変数制御器(53) のダイナミックモデルを設定する際に基準とした空調運転状態での圧縮機(21) の運転周波数Hzに対しては各補正係数が「1」となるように定められている。即ち、この状態では、上記偏差ΔT2,ΔTn(ΔTe,ΔTc) と補正後の偏差ΔT2',ΔTn'(ΔTe',ΔTc') とが等しくなる。
【0073】
尚、本実施形態では、上記補正係数を圧縮機(21) の運転周波数Hzの1次関数として与えるようにしたが、関数の形は1次関数に限られず、どのような形の関数として与えてもよい。また、運転周波数Hzに限られず、空調運転状態を表現する値であればどのような値の関数として与えてもよい。この空調運転状態を表現する値としては、例えば、膨張弁開度、冷媒蒸発(凝縮) 温度、圧縮機の吐出(吸入) 温度、室内(室外) 空気温度、冷媒蒸発(凝縮) 圧力、圧縮機の吐出(吸入) 圧力、空調負荷、熱交換器出口での過熱度(過冷却度) などが考えられる。
【0074】
一方、上記多変数制御器(53) は、偏差補正部(57) において吐出温度T2の偏差ΔT2及び室内冷媒温度Tnの偏差ΔTn(ΔTe,ΔTc) に上記補正係数を乗じて得られた補正後の偏差ΔT2',ΔTn'(ΔTe',ΔTc') を2入力としている。更に、該多変数制御器(53) は、圧縮機容量及び膨張弁開度を制御入力とし、且つ吐出温度T2及び室内冷媒温度Tnを制御出力とする冷媒回路(12) のダイナミックモデルに基づいて圧縮機容量と電動膨張弁開度の制御量ΔHz,ΔEvを導出し、該圧縮機容量及び電動膨張弁開度を2出力とし、上記圧縮機(21) に容量指令信号である周波数指令信号を、電動膨張弁(EV) に開度指令信号をそれぞれ出力するように構成されている。
【0075】
つまり、上記多変数制御器(53) は、冷房運転時において、次式に基づいて圧縮機(21) の周波数制御量ΔHzと電動膨張弁(EV) の開度制御量ΔEvを導出している。
【0076】
【数6】
【0077】
また、上記多変数制御器(53) は、暖房運転時において、次式に基づいて圧縮機(21) の周波数制御量ΔHzと電動膨張弁(EV) の開度制御量ΔEvを導出している。
【0078】
【数7】
【0079】
そして、上記吐出温度T2が目標吐出温度Tkに、室内冷媒温度Tnが目標冷媒温度Tn-setにそれぞれなるように、圧縮機(21) の運転周波数が周波数指令信号に基づき変更されると共に、電動膨張弁(EV) の開度が開度指令信号に基づき変更される。
【0080】
−多変数制御の設計−
ここで、上記多変数制御器(53) の設計手順について説明する。尚、この設計手順については、冷房運転を対象に説明し、室内冷媒温度Tnは室内熱交換器(31)
の蒸発温度Teで示している。
【0081】
先ず、空気調和装置(10) の特性、つまり、冷媒回路(12) の特性は、次式で表される。
【0082】
【数8】
【0083】
但し、Aは4×4の行列、Bは4×2の行列、Cは2×4の行列、Dは2×2の行列、xは状態ベクトル、uは[Hz,Ev]T 、yは[Te,T2]T である。
【0084】
次に、定常偏差をなくするために入力uに積分器を追加すると、仮想的な空気調和装置の特性は、次式で表される。
【0085】
【数9】
【0086】
但し、上式のAa,Ba,Ca,及びxa は、次式で表される。
【0087】
【数10】
【0088】
この時、二乗和の関数Jは、次式で表される。
【0089】
【数11】
【0090】
この関数JのQ及びRは重み行列であり、関数Jを最小にする入力uは、次式で与えられることが知られている。
【0091】
【数12】
【0092】
但し、上式のPは、次式の正定解である。
【0093】
【数13】
【0094】
一方、仮想的な空気調和装置の状態ベクトルxaは、直接に測定することができないため、カルマンフィルタによって次式から求める。
【0095】
【数14】
【0096】
但し、カルマンゲインLは、仮想的な空気調和装置の特性を次式で表されるとすると、
【0097】
【数15】
【0098】
次式で与えられる。
【0099】
【数16】
【0100】
また、上式のPL は、次式の正定解である。
【0101】
【数17】
【0102】
そして、入力uは、次式の通りであるので、
【0103】
【数18】
【0104】
上記[6]式は、次式[7]の通りとなる。
【0105】
【数19】
【0106】
上記入力uに追加した積分器は実際には存在しないため、制御器側で実装する必要がある。このため、上記[7]式に積分器を追加すると、次式[8]の通りとなる。
【0107】
【数20】
【0108】
更に、実際には、上記[7]式を適当なサンプリング時間で離散化し、また、入力と出力とをそれぞれ摂動分に変更すると、上記[4]及び[4']に対応する次式が得られる。
【0109】
【数21】
【0110】
上記多変数制御器(53) は、上述したように構築されたダイナミックモデルに基づいて圧縮機(21) の運転周波数Hzと電動膨張弁(EV) Evの開度とを制御することになる。
【0111】
−空調の制御動作−
次に、上記コントローラ(50) による空調の制御動作について図5〜図7の制御フローに基づき説明する。
【0112】
先ず、空調運転を開始すると、図5のステップST1において、初期設定を行った後、ステップST2に移り、室内制御タイマをリセットしてスタートさせる。その後、ステップST3に移り、サブルーチンにおける圧縮機(21) の運転等を行って室内温度Trを制御した後、ステップST4に移り、室温制御タイマがタイムアップしたか否かを判定する。
【0113】
上記室温制御タイマがタイムアップするまで、上記ステップST4からステップST5に移り、所定時間待機した後、上記ステップST4に戻り、上述の判定を行う。そして、上記室温制御タイマがタイムアップすると、上記ステップST4からステップST2に戻り、室内制御タイマをリセットしてスタートさせた後、ステップST3の室内温度Trを制御し、この動作を繰り返す。
【0114】
次に、上記ステップST3のサブルーチンの制御動作について図6に基づき説明すると、先ず、ステップST21において、吐出管センサ(Th-2) や室温センサ(Th-r) や室内熱交換センサ(Th-n) などが出力する検知信号を取り込み、ステップST22において、現在冷房運転を実行しているか否かを判定する。
【0115】
冷房運転を行っている場合、上記ステップST22からステップST23に移り、目標吐出温度Tk及び目標蒸発温度である目標冷媒温度Tn-setを算出する。つまり、第1温度算出部(51) が、[1]式に基づいて目標吐出温度Tkを算出する。また、加算器(52) が室内温度Trの設定温度Tsと室温センサ(Th-r) が検出する室内温度Trとより室温偏差ΔTrを算出し、この室温偏差ΔTrが第2温度算出部(52) に入力しているので、該第2温度算出部(52) が、[2]式に基づいて目標蒸発温度である目標冷媒温度Tn-setを算出する。
【0116】
続いて、ステップST24に移り、第1偏差算出部(55) が、目標吐出温度Tkと、吐出管センサ(Th-2) が検出する吐出温度T2との偏差ΔT2を算出すると共に、第2偏差算出部(56) が、目標冷媒温度Tn-setと、室内熱交換センサ(Th-n) が検出する室内冷媒温度Teとの偏差ΔTeを算出する。
【0117】
次に、ステップST25に移り、偏差補正部(57) は、[3]式に基づいて、第1偏差算出部(55) 及び第2偏差算出部(56) がそれぞれ算出した偏差ΔT2,ΔTeに、圧縮機(21) の運転周波数Hzから求めた補正係数(a×Hz+b,c×Hz+d) を乗じて、補正後の各偏差ΔT2',ΔTe'を算出する。
【0118】
その後、ステップST26に移り、多変数制御器(53) は、[4]式又は[9]式で表されるダイナミックモデルに基づき、上記偏差補正部(57) が算出した各偏差ΔT2',ΔTe'を2入力とし、圧縮機容量と電動膨張弁開度の制御量ΔHz,ΔEvを導出する。そして、ステップST27に移り、上記多変数制御器(53) は、圧縮機容量及び電動膨張弁開度を2出力とし、圧縮機(21) に周波数指令信号を、電動膨張弁(EV) に開度指令信号をそれぞれ出力して図5のメインルーチンに戻り、上述の動作を繰り返して冷房運転を制御する。
【0119】
一方、暖房運転時は、上記ステップST22の判定がNOとなって、図7のステップST31に移り、上記ステップST23に対応して、目標吐出温度Tk及び目標凝縮温度である目標冷媒温度Tn-setを算出する。つまり、第1温度算出部(51) 及び第2算出部が、[1]式及び[2']式に基づいて目標吐出温度Tk及び目標凝縮温度である目標冷媒温度Tn-setを算出する。
【0120】
続いて、ステップST32に移り、上記ステップST24に対応して、第1偏差算出部(55) が、目標吐出温度Tkと、吐出管センサ(Th-2) が検出する吐出温度T2との偏差ΔT2を算出すると共に、第2偏差算出部(56) が、目標冷媒温度Tn-setと、室内熱交換センサ(Th-n) が検出する室内冷媒温度Tcとの偏差ΔTcを算出する。
【0121】
次に、ステップST33に移り、上記ステップST25に対応して、偏差補正部(57) は、[3']式に基づいて、第1偏差算出部(55) 及び第2偏差算出部(56) がそれぞれ算出した偏差ΔT2,ΔTcに、圧縮機(21) の運転周波数Hzから求めた補正係数(e×Hz+f,g×Hz+h) を乗じて、補正後の各偏差ΔT2',ΔTc'を算出する。
【0122】
その後、ステップST34に移り、上記ステップST26に対応して、多変数制御器(53) は、[4']式又は[9]式で表されるダイナミックモデルに基づき、上記偏差補正部(57) が算出した各偏差ΔT2',ΔTc'を2入力とし、圧縮機容量と電動膨張弁開度の制御量ΔHz,ΔEvを導出する。そして、ステップST35に移り、上記ステップST27に対応して、上記多変数制御器(53) は、圧縮機容量及び電動膨張弁開度を2出力とし、圧縮機(21) に周波数指令信号を、電動膨張弁(EV) に開度指令信号をそれぞれ出力して図5のメインルーチンに戻り、上述の動作を繰り返して暖房運転を制御する。
【0123】
−実施形態1の効果−
以上のように、本実施形態によれば、上記偏差補正部(57) で補正した各偏差ΔT2',ΔTc'に基づいて多変数制御器(53) が圧縮機(21) の運転周波数と膨張弁(EV) の開度とを算出するようにしている。この結果、多変数制御器(53) のダイナミックモデルが単一であっても、目的変数と制御変数との非線形特性に対応した制御変数の制御量を算出することができ、コントローラ(50) の構成を簡略化することができる。
【0124】
つまり、制御変数である圧縮機(21) の運転周波数Hzと目的変数である冷媒蒸発温度Teとが、例えば図8に示すような非線形な関係を有する場合において、運転周波数Hzが30Hzの空調運転状態を基準に多変数制御器(53) を構成すると、この多変数制御器(53) は、第2偏差算出部(56) が算出した偏差ΔTe=1degの入力に対しては、圧縮機周波数制御量ΔHz=10ヘルツを出力するように構成される。そして、運転周波数Hzが30Hzの場合は、偏差補正部(57) が補正係数「1」を偏差ΔTe=1degに乗じて補正後の偏差ΔTe'=1degを導出し、これに基づいて多変数制御器(53) が圧縮機周波数制御量ΔHz=10ヘルツを出力する一方、運転周波数Hzが70Hzの場合は、偏差補正部(57) が補正係数「4」を偏差ΔTe=1degに乗じて補正後の偏差ΔTe'=4degを導出し、これに基づいて多変数制御器(53) が圧縮機周波数制御量ΔHz=40ヘルツを出力する。従って、制御変数と目的変数の非線形特性に対応した制御変数の制御量を確実に算出することができる。
【0125】
【発明の実施の形態2】
本実施形態2は、上記実施形態1が、偏差補正部(57) を設けて目的変数の偏差ΔT2,ΔTeを補正し、この補正後の偏差ΔT2',ΔTe'に基づいて多変数制御器(53) が制御変数の制御量を算出するようにしたのに代えて、信号補正部(58) を設け、目的変数の偏差ΔT2,ΔTeに基づいて多変数制御器(53) が算出した制御変数の制御量をこの信号補正部(58) によって補正するようにしたものであって、コントローラ(50) 以外の構成は、実施形態1と同様である。
【0126】
−制御システム構成−
上記コントローラ(50) は、図9に示すように、本発明の特徴として、第1導出手段である第1温度算出部(51) と、第2導出手段である第2温度算出部(52) と、多変数制御手段である多変数制御器(53) と、信号補正手段である信号補正部(58) とを備えている。
【0127】
上記第1温度算出部(51) 、第2温度算出部(52) 、第1偏差算出部(55) 及び第2偏差算出部(56) は、実施形態1と同様に構成されている。
【0128】
上記多変数制御器(53) は、第1偏差算出部(55) が算出した吐出温度T2の偏差ΔT2と、上記第2偏差算出部(56) が算出した室内冷媒温度Tnの偏差ΔTn(ΔTe,ΔTc) とを2入力としている。更に、該多変数制御器(53) は、圧縮機容量及び膨張弁開度を制御入力とし、且つ吐出温度T2及び室内冷媒温度Tnを制御出力とする冷媒回路(12) のダイナミックモデルに基づいて導出した圧縮機容量と電動膨張弁開度の制御量ΔHz,ΔEvを2出力とするように構成されている。
【0129】
つまり、上記多変数制御器(53) は、実施形態1と同様に、冷房運転時において、[4]式に基づいて圧縮機(21) の周波数制御量ΔHzと電動膨張弁(EV) の開度制御量ΔEvを導出する一方、暖房運転時において、[4']式に基づいて圧縮機(21)
の周波数制御量ΔHzと電動膨張弁(EV) の開度制御量ΔEvを導出している。
【0130】
上記信号補正部(58) には、多変数制御器(53) が導出した圧縮機容量と電動膨張弁開度の制御量ΔHz,ΔEvと、圧縮機(21) の運転周波数Hzとが入力されている。そして、信号補正部(58) は、圧縮機(21) の運転周波数Hzの1次関数として与えられた圧縮機容量の制御量ΔHzの補正係数及び電動膨張弁開度の制御量ΔEvの補正係数を算出し、各補正係数をそれぞれ制御量ΔHz,ΔEvに乗じて補正後の制御量ΔHz',ΔEv'を導出し、この補正後の制御量ΔHz',ΔEv'に基づいて上記圧縮機(21) に容量指令信号を、膨張弁(EV) に開度指令信号をそれぞれ出力するように構成されている。
【0131】
つまり、上記信号補正部(58) は、冷房運転時において、次式に基づいて補正後の制御量ΔHz',ΔEv'を導出している。
【0132】
【数22】
【0133】
また、上記信号補正部(58) は、暖房運転時において、次式に基づいて補正後の制御量ΔHz',ΔEv'を導出している。
【0134】
【数23】
【0135】
そして、上記各補正係数は、圧縮機(21) 及び電動膨張弁(EV) に対してそれぞれ出力される周波数指令信号及び開度指令信号が、冷媒回路(12) における制御変数と目的変数との非線形特性に応じた信号となるように上記制御量ΔHz,ΔEvを補正するものであって、上記各補正係数を算出するために用いる1次関数の各定数 i〜r は、試験等によって予め同定され、多変数制御器(53) のダイナミックモデルを設定する際に基準とした空調運転状態での圧縮機(21) の運転周波数Hzに対しては各補正係数が「1」となるように定められている。即ち、この状態では、上記制御量ΔHz,ΔEvと補正後の制御量ΔHz',ΔEv'とが等しくなる。
【0136】
尚、本実施形態では、上記補正係数を圧縮機(21) の運転周波数Hzの1次関数として与えるようにしたが、関数の形は1次関数に限られず、どのような形の関数として与えてもよい。また、運転周波数Hzに限られず、空調運転状態を表現する値であればどのような値の関数として与えてもよい。空調運転状態を表現する値としては、実施形態1と同様の値が考えられる。
【0137】
そして、上記吐出温度T2が目標吐出温度Tkに、室内冷媒温度Tnが目標冷媒温度Tn-setにそれぞれなるように、圧縮機(21) の運転周波数が周波数指令信号に基づき変更されると共に、電動膨張弁(EV) の開度が開度指令信号に基づき変更される。
【0138】
−多変数制御の設計−
上記多変数制御器(53) の設計手順については、上記実施形態1と同様である。
【0139】
−空調の制御動作−
次に、上記コントローラによる空調の制御動作について図5、図10及び図11の制御フローに基づき説明する。
【0140】
空調運転時の制御動作は、基本的に図5に示したフローに従って、上記実施形態1と同様に行われるが、ステップST3のサブルーチンの制御動作が実施形態1と異なる。
【0141】
次に、上記ステップST3のサブルーチンの制御動作について図10に基づき説明すると、ステップST41及びステップST42では、図6に示した実施形態1のフローのステップST21及びステップST22に対応して同様の動作を行い、ステップST42で現在冷房運転を実行しているか否かを判定する。
【0142】
冷房運転を行っている場合、上記ステップST42からステップST43に移り、ステップST43及びステップST44では、実施形態1のフローのステップST23及びステップST24に対応して同様の動作を行い、ステップST44において、第1偏差算出部(55) が、目標吐出温度Tkと、吐出管センサ(Th-2) が検出する吐出温度T2との偏差ΔT2を算出すると共に、第2偏差算出部(56) が、目標冷媒温度Tn-setと、室内熱交換センサ(Th-n) が検出する室内冷媒温度Teとの偏差ΔTeを算出する。
【0143】
次に、ステップST45に移り、多変数制御器(53) は、[4]式又は[9]式で表されるダイナミックモデルに基づき、第1偏差算出部(55) が算出した偏差ΔT2と第2偏差算出部(56) が算出した偏差ΔTeとを2入力とし、圧縮機容量と電動膨張弁開度の制御量ΔHz,ΔEvを導出する。
【0144】
その後、ステップST46に移り、信号補正部(58) は、[10]式に基づいて、多変数制御器(53) が導出した圧縮機容量と電動膨張弁開度の制御量ΔHz,ΔEvに、圧縮機(21) の運転周波数Hzから求めた補正係数(i×Hz+j,k×Hz+m) を乗じて、補正後の各制御量ΔHz',ΔEv'を算出する。そして、ステップST47に移り、上記信号補正部(58) は、上記補正後の各制御量ΔHz',ΔEv'に基づき、圧縮機(21) に周波数指令信号を、電動膨張弁(EV) に開度指令信号をそれぞれ出力してメインルーチンに戻り、上述の動作を繰り返して冷房運転を制御する。
【0145】
一方、暖房運転時は、上記ステップST42の判定がNOとなって、図11のステップST51に移り、ステップST51及びステップST52では、上記ステップST43及びステップST44に対応した動作を行い、ステップST52において、第1偏差算出部(55) が、目標吐出温度Tkと、吐出管センサ(Th-2) が検出する吐出温度T2との偏差ΔT2を算出すると共に、第2偏差算出部(56) が、目標冷媒温度Tn-setと、室内熱交換センサ(Th-n) が検出する室内冷媒温度Tcとの偏差ΔTcを算出する。
【0146】
次に、ステップST53に移り、上記ステップST45に対応して、多変数制御器(53) は、[4']式又は[9]式で表されるダイナミックモデルに基づき、第1偏差算出部(55) が算出した偏差ΔT2と第2偏差算出部(56) が算出した偏差ΔTcとを2入力とし、圧縮機容量と電動膨張弁開度の制御量ΔHz,ΔEvを導出する。
【0147】
その後、ステップST54に移り、上記ステップST46に対応して、信号補正部(58) は、[10']式に基づいて、多変数制御器(53) が導出した圧縮機容量と電動膨張弁開度の制御量ΔHz,ΔEvに、圧縮機(21) の運転周波数Hzから求めた補正係数(n×Hz+p,q×Hz+r) を乗じて、補正後の各制御量ΔHz',ΔEv'を算出する。そして、ステップST55に移り、上記ステップST47に対応して、上記信号補正部(58) は、上記補正後の各制御量ΔHz',ΔEv'に基づき、圧縮機(21) に周波数指令信号を、電動膨張弁(EV) に開度指令信号をそれぞれ出力してメインルーチンに戻り、上述の動作を繰り返して暖房運転を制御する。
【0148】
−実施形態2の効果−
以上のように、本実施形態によれば、多変数制御器(53) が圧縮機容量と電動膨張弁開度の制御量ΔHz,ΔEvを導出する一方、信号補正部(58) が該制御量ΔHz,ΔEvを補正して補正後の各制御量ΔHz',ΔEv'を算出すると共に、これに基づいて圧縮機(21) の運転周波数と膨張弁(EV) の開度とを算出するようにしている。この結果、多変数制御器(53) のダイナミックモデルが単一であっても、目的変数と制御変数との非線形特性に対応した制御変数の制御量を算出することができ、コントローラ(50) の構成を簡略化することができる。
【0149】
【発明の実施の形態3】
本実施形態は、コントローラ(50) の偏差補正部(57) の構成を変更したものであって、上記実施形態1が、第1偏差算出部(55) が算出した吐出温度T2の偏差ΔT2と、第2偏差算出部(56) が算出した室内冷媒温度Tnの偏差ΔTn(ΔTe,ΔTc)との双方を補正するようにしたのに代えて、第2偏差算出部(56) が算出した室内冷媒温度Tnの偏差ΔTn(ΔTe,ΔTc) のみを補正するようにしている。そして、本実施形態の偏差補正部(57) 及び多変数制御器(53) 以外の部分については、上記実施形態1と同様に構成されている。
【0150】
具体的に、上記偏差補正部(57) には、第2偏差算出部(56) が算出した室内冷媒温度Tnの偏差ΔTn(ΔTe,ΔTc) と、圧縮機(21) の運転周波数Hzとが入力されている。そして、偏差補正部(57) は、圧縮機(21) の運転周波数Hzの1次関数として与えられた室内冷媒温度Tnの偏差ΔTn(ΔTe,ΔTc) の補正係数を算出し、この補正係数を偏差ΔTn(ΔTe,ΔTc) に乗じて補正後の偏差ΔTn'(ΔTe',ΔTc') を導出して出力するように構成されている。
【0151】
つまり、上記偏差補正部(57) は、冷房運転時において、次式に基づいて補正後の偏差ΔTe'を導出している。
【0152】
【数24】
【0153】
また、上記偏差補正部(57) は、暖房運転時において、次式に基づいて補正後の偏差ΔTc'を導出している。
【0154】
【数25】
【0155】
そして、上記補正係数は、コントローラ(50) から圧縮機(21) 及び電動膨張弁(EV) に対してそれぞれ出力される周波数指令信号及び開度指令信号が、冷媒回路(12) における制御変数と目的変数との非線形特性に応じた信号となるように上記偏差ΔTn(ΔTe,ΔTc) を補正するものであって、上記各補正係数を算出するために用いる1次関数の各定数(a1,b1,e1,f1)は、上記実施形態1の場合と同様に、試験等によって予め同定されている。尚、上記実施形態1と同様に、補正係数を与える関数の形は1次関数に限られず、また、圧縮機の運転周波数Hzに限られず、空調運転状態を表現する値であればどのような値の関数として与えてもよい。
【0156】
一方、上記多変数制御器(53) は、第1偏差算出部(55) が算出した吐出温度T2の偏差ΔT2と、偏差補正部(57) において室内冷媒温度Tnの偏差ΔTn(ΔTe,ΔTc)に上記補正係数を乗じて得られた補正後の偏差ΔTn'(ΔTe',ΔTc') とを2入力としている。更に、該多変数制御器(53) は、圧縮機容量及び膨張弁開度を制御入力とし、且つ吐出温度T2及び室内冷媒温度Tnを制御出力とする冷媒回路(12) のダイナミックモデルに基づいて圧縮機容量と電動膨張弁開度の制御量ΔHz,ΔEvを導出し、該圧縮機容量及び電動膨張弁開度を2出力とし、上記圧縮機(21) に容量指令信号である周波数指令信号を、電動膨張弁(EV) に開度指令信号をそれぞれ出力するように構成されている。その他の構成は、上記実施形態1の多変数制御器(53) と同様である。
【0157】
−空調の制御動作−
次に、上記コントローラ(50) による空調の制御動作について図5、図12及び図13の制御フローに基づき説明する。
【0158】
先ず、空調運転を開始すると、上記実施形態1とほぼ同様に、図5のフローに示すように動作する。その際、ステップST3のサブルーチンの制御動作のみが、上記実施形態1と異なる。
【0159】
次に、上記ステップST3のサブルーチンの制御動作について図12に基づき説明すると、ステップST21からステップST24までは、上記実施形態1と同様に動作する。
【0160】
続いて、ステップST25'に移り、偏差補正部(57) は、[11]式に基づいて、第2偏差算出部(56) が算出した偏差ΔTeに、圧縮機(21) の運転周波数Hzから求めた補正係数(a1×Hz+b1) を乗じて、補正後の偏差ΔTe'を算出する。
【0161】
その後、ステップST26'に移り、多変数制御器(53) は、[4]式又は[9]式で表されるダイナミックモデルに基づき、上記第1偏差算出部(55) が算出した吐出温度T2の偏差ΔT2、及び偏差補正部(57) が算出した補正後の偏差ΔTe'を2入力とし、圧縮機容量と電動膨張弁開度の制御量ΔHz,ΔEvを導出する。そして、ステップST27に移り、上記多変数制御器(53) は、圧縮機容量及び電動膨張弁開度を2出力とし、圧縮機(21) に周波数指令信号を、電動膨張弁(EV) に開度指令信号をそれぞれ出力して図5のメインルーチンに戻り、上述の動作を繰り返して冷房運転を制御する。
【0162】
一方、暖房運転時は、上記ステップST22の判定がNOとなって、図13のステップST31に移り、ステップST31からステップST32までは、上記実施形態1と同様に動作する。
【0163】
続いて、ステップST33'に移り、上記ステップST25'に対応して、偏差補正部(57) は、[11']式に基づいて、第2偏差算出部(56) が算出した偏差ΔTcに、圧縮機(21) の運転周波数Hzから求めた補正係数(e1×Hz+f1) を乗じて、補正後の偏差ΔTc'を算出する。
【0164】
その後、ステップST34'に移り、上記ステップST26'に対応して、多変数制御器(53) は、[4']式又は[9]式で表されるダイナミックモデルに基づき、上記第1偏差算出部(55) が算出した吐出温度T2の偏差ΔT2、及び上記偏差補正部(57) が算出した補正後の偏差ΔTc'を2入力とし、圧縮機容量と電動膨張弁開度の制御量ΔHz,ΔEvを導出する。そして、ステップST35に移り、上記ステップST27に対応して、上記多変数制御器(53) は、圧縮機容量及び電動膨張弁開度を2出力とし、圧縮機(21) に周波数指令信号を、電動膨張弁(EV) に開度指令信号をそれぞれ出力して図5のメインルーチンに戻り、上述の動作を繰り返して暖房運転を制御する。
【0165】
−実施形態3の効果−
従って、本実施形態によれば、上記室内冷媒温度Tnの偏差ΔTn(ΔTe,ΔTc) のみを補正することによって冷媒回路(12) における制御変数と目的変数との非線形特性に対応した運転制御が可能な場合には、偏差補正部(57) において偏差ΔTn(ΔTe,ΔTc) のみを補正するようにして、該偏差補正部(57) の構成を簡素化することができる。この結果、上記コントローラ(50) の構成を更に簡素化することができる。尚、偏差補正部(57) における上記偏差ΔTn(ΔTe,ΔTc) の補正によって得られる効果は、上記実施形態1の効果と同様である。
【0166】
【発明の実施の形態4】
本実施形態は、コントローラ(50) の偏差補正部(57) の構成を変更したものであって、上記実施形態1が、第1偏差算出部(55) が算出した吐出温度T2の偏差ΔT2と、上記第2偏差算出部(56) が算出した室内冷媒温度Tnの偏差ΔTn(ΔTe,ΔTc) との双方を補正するようにしたのに代えて、第1偏差算出部(55) が算出した吐出温度T2の偏差ΔT2のみを補正するようにしている。そして、本実施形態の偏差補正部(57) 及び多変数制御器(53) 以外の部分については、上記実施形態1と同様に構成されている。
【0167】
具体的に、上記偏差補正部(57) には、第1偏差算出部(55) が算出した吐出温度T2の偏差ΔT2と、圧縮機(21) の運転周波数Hzとが入力されている。そして、偏差補正部(57) は、圧縮機(21) の運転周波数Hzの1次関数として与えられた吐出温度T2の偏差ΔT2の補正係数を算出し、各補正係数を偏差ΔT2に乗じて補正後の偏差ΔT2'を導出して出力するように構成されている。
【0168】
つまり、上記偏差補正部(57) は、冷房運転時において、次式に基づいて補正後の偏差ΔT2'を導出している。
【0169】
【数26】
【0170】
また、上記偏差補正部(57) は、暖房運転時において、次式に基づいて補正後の偏差ΔT2'を導出している。
【0171】
【数27】
【0172】
そして、上記補正係数は、コントローラ(50) から圧縮機(21) 及び電動膨張弁(EV) に対してそれぞれ出力される周波数指令信号及び開度指令信号が、冷媒回路(12) における制御変数と目的変数との非線形特性に応じた信号となるように上記偏差ΔT2を補正するものであって、上記各補正係数を算出するために用いる1次関数の各定数(c1,d1,g1,h1)は、上記実施形態1の場合と同様に、試験等によって予め同定されている。尚、上記実施形態1と同様に、補正係数を与える関数の形は1次関数に限られず、また、圧縮機の運転周波数Hzに限られず、空調運転状態を表現する値であればどのような値の関数として与えてもよい。
【0173】
一方、上記多変数制御器(53) は、第2偏差算出部(56) が算出した室内冷媒温度Tnの偏差ΔTn(ΔTe,ΔTc) と、偏差補正部(57) において吐出温度T2の偏差ΔT2に上記補正係数を乗じて得られた補正後の偏差ΔT2'とを2入力としている。更に、該多変数制御器(53) は、圧縮機容量及び膨張弁開度を制御入力とし、且つ吐出温度T2及び室内冷媒温度Tnを制御出力とする冷媒回路(12) のダイナミックモデルに基づいて圧縮機容量と電動膨張弁開度の制御量ΔHz,ΔEvを導出し、該圧縮機容量及び電動膨張弁開度を2出力とし、上記圧縮機(21) に容量指令信号である周波数指令信号を、電動膨張弁(EV) に開度指令信号をそれぞれ出力するように構成されている。その他の構成は、上記実施形態1の多変数制御器(53) と同様である。
【0174】
−空調の制御動作−
次に、上記コントローラ(50) による空調の制御動作について図5、図14及び図15の制御フローに基づき説明する。
【0175】
先ず、空調運転を開始すると、上記実施形態1とほぼ同様に、図5のフローに示すように動作する。その際、ステップST3のサブルーチンの制御動作のみが、上記実施形態1と異なる。
【0176】
次に、上記ステップST3のサブルーチンの制御動作について図14に基づき説明すると、ステップST21からステップST24までは、上記実施形態1と同様に動作する。
【0177】
続いて、ステップST25''に移り、偏差補正部(57) は、[12]式に基づいて、第1偏差算出部(55) が算出した偏差ΔT2に、圧縮機(21) の運転周波数Hzから求めた補正係数(c1×Hz+d1) を乗じて、補正後の偏差ΔT2'を算出する。
【0178】
その後、ステップST26''に移り、多変数制御器(53) は、[4]式又は[9]式で表されるダイナミックモデルに基づき、上記第2偏差算出部(56) が算出した室内冷媒温度Tnの偏差ΔTe、及び偏差補正部(57) が算出した補正後の偏差ΔT2'を2入力とし、圧縮機容量と電動膨張弁開度の制御量ΔHz,ΔEvを導出する。そして、ステップST27に移り、上記多変数制御器(53) は、圧縮機容量及び電動膨張弁開度を2出力とし、圧縮機(21) に周波数指令信号を、電動膨張弁(EV) に開度指令信号をそれぞれ出力して図5のメインルーチンに戻り、上述の動作を繰り返して冷房運転を制御する。
【0179】
一方、暖房運転時は、上記ステップST22の判定がNOとなって、図15のステップST31に移り、ステップST31からステップST32までは、上記実施形態1と同様に動作する。
【0180】
続いて、ステップST33''に移り、上記ステップST25''に対応して、偏差補正部(57) は、[12']式の上段の式に基づいて、第1偏差算出部(55) が算出した偏差ΔT2に、圧縮機(21) の運転周波数Hzから求めた補正係数(g1×Hz+h1) を乗じて、補正後の各偏差ΔT2'を算出する。
【0181】
その後、ステップST34''に移り、上記ステップST26''に対応して、多変数制御器(53) は、[4']式又は[9]式で表されるダイナミックモデルに基づき、第2偏差算出部(56) が算出した室内冷媒温度Tnの偏差ΔTc、及び偏差補正部(57) が算出した補正後の偏差ΔT2'を2入力とし、圧縮機容量と電動膨張弁開度の制御量ΔHz,ΔEvを導出する。そして、ステップST35に移り、上記ステップST27に対応して、上記多変数制御器(53) は、圧縮機容量及び電動膨張弁開度を2出力とし、圧縮機(21) に周波数指令信号を、電動膨張弁(EV) に開度指令信号をそれぞれ出力して図5のメインルーチンに戻り、上述の動作を繰り返して暖房運転を制御する。
【0182】
−実施形態4の効果−
従って、本実施形態によれば、上記吐出温度T2の偏差ΔT2のみを補正することによって冷媒回路(12) における制御変数と目的変数との非線形特性に対応した運転制御が可能な場合には、偏差補正部(57) において偏差ΔT2のみを補正するようにして、該偏差補正部(57) の構成を簡素化することができる。この結果、上記コントローラ(50) の構成を更に簡素化することができる。尚、偏差補正部(57) における上記偏差ΔT2の補正によって得られる効果は、上記実施形態1の効果と同様である。
【0183】
【発明の実施の形態5】
本実施形態は、コントローラ(50) の信号補正部(58) の構成を変更したものであって、上記実施形態2が、多変数制御器(53) が導出した圧縮機容量と電動膨張弁開度の制御量ΔHz,ΔEvの双方を補正するようにしたのに代えて、多変数制御器(53) が導出した圧縮機容量の制御量ΔHzのみを補正するようにしている。そして、本実施形態の信号補正部(58) 以外の部分については、上記実施形態2と同様に構成されている。
【0184】
具体的に、上記信号補正部(58) には、多変数制御器(53) が導出した圧縮機容量と電動膨張弁開度の制御量ΔHz,ΔEvと、圧縮機(21) の運転周波数Hzとが入力されている。この信号補正部(58) は、圧縮機(21) の運転周波数Hzの1次関数として与えられた圧縮機容量の制御量ΔHzの補正係数を算出し、該補正係数を制御量ΔHzに乗じて補正後の制御量ΔHz'を導出する。そして、この補正後の制御量ΔHz'に基づいて上記圧縮機(21) に容量指令信号である周波数指令信号を出力すると同時に、多変数制御器(53) が導出した電動膨張弁開度の制御量ΔEvに基づいて上記膨張弁(EV) に開度指令信号を出力するように構成されている。
【0185】
つまり、上記信号補正部(58) は、冷房運転時において、次式に基づいて補正後の圧縮機容量の制御量ΔHz'を導出している。
【0186】
【数28】
【0187】
また、上記信号補正部(58) は、暖房運転時において、次式に基づいて補正後の圧縮機容量の制御量ΔHz'を導出している。
【0188】
【数29】
【0189】
そして、上記補正係数は、コントローラ(50) から圧縮機(21) に対して出力される周波数指令信号が、冷媒回路(12) における制御変数と目的変数との非線形特性に応じた信号となるように上記圧縮機容量の制御量ΔHzを補正するものであって、上記各補正係数を算出するために用いる1次関数の各定数(i1,j1,n1,p1)は、上記実施形態2の場合と同様に、試験等によって予め同定されている。尚、上記実施形態2と同様に、補正係数を与える関数の形は1次関数に限られず、また、圧縮機の運転周波数Hzに限られず、空調運転状態を表現する値であればどのような値の関数として与えてもよい。
【0190】
−空調の制御動作−
次に、上記コントローラ(50) による空調の制御動作について図5、図16及び図17の制御フローに基づき説明する。
【0191】
先ず、空調運転を開始すると、上記実施形態2とほぼ同様に、図5のフローに示すように動作する。その際、ステップST3のサブルーチンの制御動作のみが、上記実施形態2と異なる。
【0192】
次に、上記ステップST3のサブルーチンの制御動作について図16に基づき説明すると、ステップST41からステップST45までは、上記実施形態2と同様に動作する。
【0193】
その後、ステップST46'に移り、信号補正部(58) は、[13]式に基づいて、多変数制御器(53) が導出した圧縮機容量の制御量ΔHzに、圧縮機(21) の運転周波数Hzから求めた補正係数(i1×Hz+j1) を乗じて、補正後の制御量ΔHz'を算出する。そして、ステップST47'に移り、上記信号補正部(58) は、上記補正後の制御量ΔHz'に基づいて上記圧縮機(21) に周波数指令信号を出力すると同時に、多変数制御器(53) が導出した電動膨張弁開度の制御量ΔEvに基づいて上記膨張弁(EV) に開度指令信号を出力してメインルーチンに戻り、上述の動作を繰り返して冷房運転を制御する。
【0194】
一方、暖房運転時は、上記ステップST22の判定がNOとなって、図17のステップST51に移り、ステップST51からステップST53までは、上記実施形態2と同様に動作する。
【0195】
その後、ステップST54'に移り、信号補正部(58) は、[13']式の上段の式に基づいて、多変数制御器(53) が導出した圧縮機容量の制御量ΔHzに、圧縮機(21) の運転周波数Hzから求めた補正係数(n1×Hz+p1) を乗じて、補正後の制御量ΔHz'を算出する。そして、ステップST55'に移り、上記信号補正部(58) は、上記補正後の制御量ΔHz'に基づいて上記圧縮機(21) に周波数指令信号を出力すると同時に、多変数制御器(53) が導出した電動膨張弁開度の制御量ΔEvに基づいて上記膨張弁(EV) に開度指令信号を出力してメインルーチンに戻り、上述の動作を繰り返して暖房運転を制御する。
【0196】
−実施形態5の効果−
従って、本実施形態によれば、上記圧縮機容量の制御量ΔHzのみを補正することによって冷媒回路(12) における制御変数と目的変数との非線形特性に対応した運転制御が可能な場合には、信号補正部(58) において制御量ΔHzのみを補正するようにして、該信号補正部(58) の構成を簡素化することができる。この結果、上記コントローラ(50) の構成を更に簡素化することができる。尚、信号補正部(58) における上記制御量ΔHzの補正によって得られる効果は、上記実施形態2の効果と同様である。
【0197】
【発明の実施の形態6】
本実施形態は、コントローラ(50) の信号補正部(58) の構成を変更したものであって、上記実施形態2が、多変数制御器(53) が導出した圧縮機容量と電動膨張弁開度の制御量ΔHz,ΔEvの双方を補正するようにしたのに代えて、多変数制御器(53) が導出した電動膨張弁開度の制御量ΔEvのみを補正するようにしている。そして、本実施形態の信号補正部(58) 以外の部分については、上記実施形態2と同様に構成されている。
【0198】
具体的に、上記信号補正部(58) には、多変数制御器(53) が導出した圧縮機容量と電動膨張弁開度の制御量ΔHz,ΔEvと、圧縮機(21) の運転周波数Hzとが入力されている。この信号補正部(58) は、圧縮機(21) の運転周波数Hzの1次関数として与えられた電動膨張弁開度の制御量ΔEvの補正係数を算出し、該補正係数を制御量ΔEvに乗じて補正後の制御量ΔEv'を導出する。そして、この補正後の制御量ΔEv'に基づいて上記電動膨張弁(EV) に開度指令信号を出力すると同時に、多変数制御器(53) が導出した圧縮機容量の制御量ΔHzに基づいて上記圧縮機(21) に容量指令信号である周波数指令信号を出力するように構成されている。
【0199】
つまり、上記信号補正部(58) は、冷房運転時において、次式の下段の式に基づいて補正後の電動膨張弁開度の制御量ΔEv'を導出している。
【0200】
【数30】
【0201】
また、上記信号補正部(58) は、暖房運転時において、次式の下段の式に基づいて補正後の電動膨張弁開度の制御量ΔEv'を導出している。
【0202】
【数31】
【0203】
そして、上記補正係数は、コントローラ(50) から電動膨張弁(EV) に対して出力される開度指令信号が、冷媒回路(12) における制御変数と目的変数との非線形特性に応じた信号となるように上記電動膨張弁開度の制御量ΔEvを補正するものであって、上記各補正係数を算出するために用いる1次関数の各定数(k1,m1,q1,r1)は、上記実施形態2の場合と同様に、試験等によって予め同定されている。尚、上記実施形態2と同様に、補正係数を与える関数の形は1次関数に限られず、また、圧縮機の運転周波数Hzに限られず、空調運転状態を表現する値であればどのような値の関数として与えてもよい。その他の構成は、上記実施形態2の多変数制御器(53) と同様である。
【0204】
−空調の制御動作−
次に、上記コントローラ(50) による空調の制御動作について図5、図18及び図19の制御フローに基づき説明する。
【0205】
先ず、空調運転を開始すると、上記実施形態2とほぼ同様に、図5のフローに示すように動作する。その際、ステップST3のサブルーチンの制御動作のみが、上記実施形態2と異なる。
【0206】
次に、上記ステップST3のサブルーチンの制御動作について図18に基づき説明すると、ステップST41からステップST45までは、上記実施形態2と同様に動作する。
【0207】
その後、ステップST46''に移り、信号補正部(58) は、[14]式に基づいて、多変数制御器(53) が導出した電動膨張弁開度の制御量ΔEvに、圧縮機(21) の運転周波数Hzから求めた補正係数(k1×Hz+m1) を乗じて、補正後の制御量ΔEv'を算出する。そして、ステップST47''に移り、上記信号補正部(58) は、上記補正後の制御量ΔEv'に基づいて上記電動膨張弁(EV) に開度指令信号を出力すると同時に、多変数制御器(53) が導出した圧縮機容量の制御量ΔHzに基づいて上記圧縮機(21) に周波数指令信号を出力してメインルーチンに戻り、上述の動作を繰り返して冷房運転を制御する。
【0208】
一方、暖房運転時は、上記ステップST22の判定がNOとなって、図19のステップST51に移り、ステップST51からステップST53までは、上記実施形態2と同様に動作する。
【0209】
その後、ステップST54''に移り、信号補正部(58) は、[14']式に基づいて、多変数制御器(53) が導出した電動膨張弁開度の制御量ΔEvに、圧縮機(21) の運転周波数Hzから求めた補正係数(q1×Hz+r1) を乗じて、補正後の制御量ΔEv'を算出する。そして、ステップST55''に移り、上記信号補正部(58) は、上記補正後の制御量ΔEv'に基づいて上記電動膨張弁(EV) に開度指令信号を出力すると同時に、多変数制御器(53) が導出した圧縮機容量の制御量ΔHzに基づいて上記圧縮機(21) に周波数指令信号を出力してメインルーチンに戻り、上述の動作を繰り返して暖房運転を制御する。
【0210】
−実施形態6の効果−
従って、本実施形態によれば、上記電動膨張弁開度の制御量ΔEvのみを補正することによって冷媒回路(12) における制御変数と目的変数との非線形特性に対応した運転制御が可能な場合には、信号補正部(58) において制御量ΔEvのみを補正するようにして、該信号補正部(58) の構成を簡素化することができる。この結果、上記コントローラ(50) の構成を更に簡素化することができる。尚、信号補正部(58) における上記制御量ΔEvの補正によって得られる効果は、上記実施形態2の効果と同様である。
【0211】
【発明の他の実施の形態】
本実施形態においては、いわゆるセパレートタイプの空気調和装置(10) について説明したが、本発明は、その他の各種の空気調和装置に適用することができる。
【0212】
また、本実施形態は、冷房運転と暖房運転の双方を行うようにしたが、本発明では、冷房専用機又は暖房専用機であってもよい。その場合、冷房専用機にあっては、室内熱交換センサ(Th-n) が室内熱交換器(31) の冷媒蒸発温度Teを検出し、第2温度算出部(52) が室内熱交換器(31) の目標蒸発温度Tn-setを算出する。また、暖房専用機にあっては、室内熱交換センサ(Th-n) が室内熱交換器(31) の冷媒凝縮温度Tcを検出し、第2温度算出部(52) が室内熱交換器(31) の目標凝縮温度Tn-setを算出する。
【0213】
また、本実施形態は、室内熱交換器(31) における冷媒の相変化に関する物理量として、室内熱交換センサ(Th-n) が検出する室内冷媒温度Tnである蒸発温度及び凝縮温度を用いたが、本発明では、例えば、圧縮機(21) の吐出側と吸入側とに圧力センサを設け、室内熱交換器(31) の冷媒の相変化に関する物理量として蒸発圧力及び凝縮圧力を用いてもよい。その際、第2温度算出部(52) は、冷媒の相変化に関する目標物理量として目標蒸発圧力及び目標凝縮圧力を算出する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の構成を示すブロック図である。
【図3】実施形態1の空気調和装置を示す冷媒回路図である。
【図4】実施形態1の制御システムを示す制御ブロック図である。
【図5】実施形態1における空調制御のメインルーチンを示す制御フロー図である。
【図6】実施形態1における冷房運転時の空調制御のサブルーチンを示す制御フロー図である。
【図7】実施形態1における暖房運転時の空調制御のサブルーチンを示す制御フロー図である。
【図8】空気調和装置における制御変数と目的変数との間の非線形特性を例示するグラフである。
【図9】実施形態2の制御システムを示す制御ブロック図である。
【図10】実施形態2における冷房運転時の空調制御のサブルーチンを示す制御フロー図である。
【図11】実施形態2における暖房運転時の空調制御のサブルーチンを示す制御フロー図である。
【図12】実施形態3における冷房運転時の空調制御のサブルーチンを示す制御フロー図である。
【図13】実施形態3における暖房運転時の空調制御のサブルーチンを示す制御フロー図である。
【図14】実施形態4における冷房運転時の空調制御のサブルーチンを示す制御フロー図である。
【図15】実施形態4における暖房運転時の空調制御のサブルーチンを示す制御フロー図である。
【図16】実施形態5における冷房運転時の空調制御のサブルーチンを示す制御フロー図である。
【図17】実施形態5における暖房運転時の空調制御のサブルーチンを示す制御フロー図である。
【図18】実施形態6における冷房運転時の空調制御のサブルーチンを示す制御フロー図である。
【図19】実施形態6における暖房運転時の空調制御のサブルーチンを示す制御フロー図である。
【符号の説明】
(10) 空気調和装置
(12) 冷媒回路
(21) 圧縮機
(23) 室外熱交換器 (熱源側熱交換器)
(31) 室内熱交換器 (利用側熱交換器)
(EV) 電動膨張弁
(Th-2) 吐出管センサ (第1検出手段)
(Th-n) 室内熱交換センサ(第2検出手段)
(Th-r) 室温センサ
(50) コントローラ
(51) 第1温度算出部 (第1導出部)
(52) 第2温度算出部 (第2導出部)
(53) 多変数制御器 (多変数制御手段)
(54) 加算器
(55) 第1偏差算出部
(56) 第2偏差算出部
(57) 偏差補正部 (偏差補正手段)
(58) 信号補正部 (偏差補正手段)
Claims (9)
- 運転容量の可変な圧縮機(21) と熱源側熱交換器(23) と開度の可変な膨張弁(EV) と利用側熱交換器(31) とが順に接続された冷媒回路(12) を備え、空調運転を行う空気調和装置において、
上記圧縮機(21) における冷媒の吐出温度を検出して出力する第1検出手段(Th-2) と、
上記利用側熱交換器(31) における冷媒の相変化に関する物理量を検出して出力する第2検出手段(Th-n) と、
上記圧縮機(21) における目標吐出温度を導出して出力する第1導出手段(51) と、
上記利用側熱交換器(31) における冷媒の相変化に関する目標物理量を出力する第2導出手段(52) と、
上記第1検出手段(Th-2) の検出吐出温度と第1導出手段(51) の目標吐出温度との吐出温度偏差、及び上記第2検出手段(Th-n) の検出物理量と第2導出手段(52) の目標物理量との物理量偏差を、空調運転状態に基づく制御変数と目的変数との非線形特性に対応した値に補正し、補正後の吐出温度偏差及び物理量偏差を出力する偏差補正手段(57) と、
上記偏差補正手段(57) で補正された吐出温度偏差及び物理量偏差を2入力とする一方、圧縮機容量及び膨張弁開度を制御入力とし、且つ吐出温度と利用側熱交換器(31) における冷媒の相変化に関する物理量とを制御出力とする冷媒回路(12) の単一のダイナミックモデルに基づいて圧縮機容量と膨張弁開度の制御量を導出し、該圧縮機容量及び膨張弁開度を2出力とし、上記圧縮機(21) に容量指令信号を、膨張弁(EV) に開度指令信号をそれぞれ出力する多変数制御手段(53) と
を備えていることを特徴とする空気調和装置の運転制御装置。 - 請求項1記載の空気調和装置の運転制御装置において、
偏差補正手段(57) は、圧縮機容量の現在値に基づいて補正係数を導出し、該補正係数を吐出温度偏差及び物理量偏差に乗じて補正を行うように構成されている
ことを特徴とする空気調和装置の運転制御装置。 - 運転容量の可変な圧縮機(21) と熱源側熱交換器(23) と開度の可変な膨張弁(EV) と利用側熱交換器(31) とが順に接続された冷媒回路(12) を備え、空調運転を行う空気調和装置において、
上記圧縮機(21) における冷媒の吐出温度を検出して出力する第1検出手段(Th-2) と、
上記利用側熱交換器(31) における冷媒の相変化に関する物理量を検出して出力する第2検出手段(Th-n) と、
上記圧縮機(21) における目標吐出温度を導出して出力する第1導出手段(51) と、
上記利用側熱交換器(31) における冷媒の相変化に関する目標物理量を出力する第2導出手段(52) と、
上記第1検出手段(Th-2) の検出吐出温度と第1導出手段(51) の目標吐出温度との吐出温度偏差、又は上記第2検出手段(Th-n) の検出物理量と第2導出手段(52) の目標物理量との物理量偏差のうち何れか一方の偏差が入力し、該偏差を空調運転状態に基づく制御変数と目的変数との非線形特性に対応した値に補正して出力する偏差補正手段(57) と、
上記吐出温度偏差及び物理量偏差のうち偏差補正手段(57) により補正されない偏差と、上記偏差補正手段(57) から出力される補正された偏差とを2入力とする一方、圧縮機容量及び膨張弁開度を制御入力とし、且つ吐出温度と利用側熱交換器(31) における冷媒の相変化に関する物理量とを制御出力とする冷媒回路(12) の単一のダイナミックモデルに基づいて圧縮機容量と膨張弁開度の制御量を導出し、該圧縮機容量及び膨張弁開度を2出力とし、上記圧縮機(21) に容量指令信号を、膨張弁(EV) に開度指令信号をそれぞれ出力する多変数制御手段(53) と
を備えていることを特徴とする空気調和装置の運転制御装置。 - 請求項3記載の空気調和装置の運転制御装置において、
偏差補正手段(57) は、圧縮機容量の現在値に基づいて補正係数を導出し、該補正係数を偏差補正手段(57) に入力する偏差に乗じて補正を行うように構成されている
ことを特徴とする空気調和装置の運転制御装置。 - 運転容量の可変な圧縮機(21) と熱源側熱交換器(23) と開度の可変な膨張弁(EV) と利用側熱交換器(31) とが順に接続された冷媒回路(12) を備え、空調運転を行う空気調和装置において、
上記圧縮機(21) における冷媒の吐出温度を検出して出力する第1検出手段(Th-2) と、
上記利用側熱交換器(31) における冷媒の相変化に関する物理量を検出して出力する第2検出手段(Th-n) と、
上記圧縮機(21) における目標吐出温度を導出して出力する第1導出手段(51) と、
上記利用側熱交換器(31) における冷媒の相変化に関する目標物理量を出力する第2導出手段(52) と、
上記第1検出手段(Th-2) の検出吐出温度と第1導出手段(51) の目標吐出温度との偏差及び、上記第2検出手段(Th-n) の検出物理量と第2導出手段(52) の目標物理量との偏差を2入力とする一方、圧縮機容量及び膨張弁開度を制御入力とし、且つ吐出温度と利用側熱交換器(31) における冷媒の相変化に関する物理量とを制御出力とする冷媒回路(12) の単一のダイナミックモデルに基づいて導出した圧縮機容量と膨張弁開度の制御量を2出力とする多変数制御手段(53) と、
上記多変数制御手段(53) から出力される圧縮機容量と膨張弁開度の制御量を、空調運転状態に基づく制御変数と目的変数との非線形特性に対応した値に補正し、補正された圧縮機容量及び膨脹弁開度の制御量に基づいて上記圧縮機(21) に容量指令信号を、膨張弁(EV) に開度指令信号をそれぞれ出力する信号補正手段(58) と
を備えていることを特徴とする空気調和装置の運転制御装置。 - 請求項5記載の空気調和装置の運転制御装置において、
信号補正手段(58) は、圧縮機容量の現在値に基づいて補正係数を導出し、該補正係数を圧縮機容量と膨張弁開度の制御量に乗じて補正を行うように構成されている
ことを特徴とする空気調和装置の運転制御装置。 - 運転容量の可変な圧縮機(21) と熱源側熱交換器(23) と開度の可変な膨張弁(EV) と利用側熱交換器(31) とが順に接続された冷媒回路(12) を備え、空調運転を行う空気調和装置において、
上記圧縮機(21) における冷媒の吐出温度を検出して出力する第1検出手段(Th-2) と、
上記利用側熱交換器(31) における冷媒の相変化に関する物理量を検出して出力する第2検出手段(Th-n) と、
上記圧縮機(21) における目標吐出温度を導出して出力する第1導出手段(51) と、
上記利用側熱交換器(31) における冷媒の相変化に関する目標物理量を出力する第2導出手段(52) と、
上記第1検出手段(Th-2) の検出吐出温度と第1導出手段(51) の目標吐出温度との偏差及び、上記第2検出手段(Th-n) の検出物理量と第2導出手段(52) の目標物理量との偏差を2入力とする一方、圧縮機容量及び膨張弁開度を制御入力とし、且つ吐出温度と利用側熱交換器(31) における冷媒の相変化に関する物理量とを制御出力とする冷媒回路(12) の単一のダイナミックモデルに基づいて導出した圧縮機容量と膨張弁開度の制御量を2出力とする多変数制御手段(53) と、
上記多変数制御手段(53) から出力される圧縮機容量と膨張弁開度の制御量のうち何れか一方の制御量が入力し、該制御量を空調運転状態に基づく制御変数と目的変数との非線形特性に対応した値に補正し、該補正された制御量を出力する信号補正手段(58) とを備え、
上記多変数制御手段(53) から出力され、且つ信号補正手段(58) により補正されない制御量と、信号補正手段(58) から出力される補正された制御量との指令信号に基づき、上記圧縮機(21) と膨張弁(EV) とを制御する
ことを特徴とする空気調和装置の運転制御装置。 - 請求項7記載の空気調和装置の運転制御装置において、
信号補正手段(58) は、圧縮機容量の現在値に基づいて補正係数を導出し、該補正係数を信号補正手段(58) に入力された制御量に乗じて補正を行うように構成されている
ことを特徴とする空気調和装置の運転制御装置。 - 請求項1乃至8の何れか1記載の空気調和装置の制御装置において、
利用側熱交換器(31) における冷媒の相変化に関する物理量は蒸発温度又は凝縮温度であり、利用側熱交換器(31) における冷媒の相変化に関する目標物理量は目標蒸発温度又は目標凝縮温度である
ことを特徴とする空気調和装置の運転制御装置。
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