JP2002054832A - 空調装置 - Google Patents

空調装置

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JP2002054832A
JP2002054832A JP2000239853A JP2000239853A JP2002054832A JP 2002054832 A JP2002054832 A JP 2002054832A JP 2000239853 A JP2000239853 A JP 2000239853A JP 2000239853 A JP2000239853 A JP 2000239853A JP 2002054832 A JP2002054832 A JP 2002054832A
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Yasutaka Murakami
泰隆 村上
Toshiaki Yoshikawa
利彰 吉川
Yoshihiro Tanabe
義浩 田邊
Tatsuo Seki
辰夫 関
Fumio Matsuoka
文雄 松岡
Shigeki Onishi
茂樹 大西
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 冷房又は除湿運転を室内設定温・湿度と室内
空気との関係から自動的に切換えて快適な空調を実現す
る空調装置を得る。 【解決手段】 圧縮機、室外熱交換器、第1の冷媒流量
調整装置、第1室内熱交換器、第2の冷媒流量調整装
置、第2室内熱交換器が順次配管で接続され、室内を空
調する空調装置において、制御手段が、前記室内温度と
前記室内設定温度よりも高い所定温度とを比較し、この
比較結果で前記第1室内熱交換器を蒸発器として機能さ
せたり、凝縮器として機能させたりして前記空調装置の
冷房又は除湿運転モードを制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は室内の湿度を適正
に維持する空調装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の空調装置は、室内熱交換器を2つ
に分け、この2つに分けた両室内熱交換器を共に蒸発器
として機能させ、冷房運転を実行したり、或いは、この
両室内熱交換器のうち冷媒下流側を蒸発器とし、上流側
を凝縮器として機能させ、除湿運転(所謂ドライ運転)
を実行したりする。
【0003】次に、このような従来の空調装置の除湿運
転としては、特開平6−137711に示されるものが
あり、このものは室内設定温度と検出温度との差に応じ
て、即ち検出温度が設定温度より高い時には、室外ファ
ンの速度を増大させ、検出温度が設定温度より低い時に
は、室外ファンの速度を減ずるように室外熱交換器のフ
ァンを制御しながら、更に、室内設定湿度と検出湿度と
の差に応じて、即ち検出湿度が設定湿度より高い時には
圧縮機の能力が増大するように圧縮機の能力(回転数)
を制御するものであった。
【0004】従って、このような除湿運転中に圧縮機の
能力を湿度差に応じて制御しているものでは、室内湿度
が余り変化しないで室内温度(室内顕熱負荷)が急変し
たような場合には、圧縮機の能力が制御されずに室外熱
交換器ファンのみが制御されるため、顕熱負荷の急変に
対応して空調装置の能力を追従させることができなかっ
た。
【0005】即ち、特に、除湿運転においては、圧縮機
の能力を潜熱負荷(蒸発温度低下)に応じて制御してい
るため、顕熱負荷と潜熱負荷とからなる空調負荷変動時
に、顕熱負荷と潜熱負荷がほほ連動して変化している時
には良いが、連動していない時には、室内空気の状態を
速やかに安定状態(設定空気状態)になかなか近づける
ことができず、スピーディに快適な空調状態にできなか
った。特に、検出湿度設定湿度との差が大きい時には、
室温が下りすぎるという傾向となるため、余分なエネル
ギーが必要であった。
【0006】また、冷房運転においては、冷房運転中に
室内温度を下げるという目的から圧縮機の能力を室内温
度(顕熱負荷)に応じて制御するようにし、除湿運転中
には室内湿度に応じて制御しているため、冷房時と除湿
時における圧縮機能力の制御のやり方が相違し、複雑な
ものとなっていた。
【0007】また、従来空調装置の他の除湿運転例とし
ては、特開平10−197028に示されるものがあ
り、このものは室内湿度が目標範囲以下の時に、圧縮機
と室外ファンの能力を小さくし、即ち室内温度(顕熱負
荷)に関わらず小さくしながら、室内温度と蒸発器温度
との差に応じて室内ファンの能力を制御し、また、室内
湿度が目標範囲以上の時には、室内温度(顕熱負荷)に
関わらず室外流量調整弁を開いて室内流量調整弁を閉じ
る方向に制御して、室外流量調整弁を全開にしても目標
湿度範囲以内に入らない時は、圧縮機と室外ファンの能
力を大きくしながら、室内温度と蒸発器温度との差に応
じて室内ファンの能力を制御するようにしている。
【0008】しかし、このものも冷房運転中は室内温度
(顕熱負荷)を主に考慮して制御し、除湿運転中は室内
湿度(潜熱負荷)に応じて制御しているため、制御が複
雑になるだけでなく、特に、除湿運転におては、最適潜
熱比(最適除湿効率)のみを考慮して制御しているため
に、室内をスピーディに快適な空調状態にすることが難
しいものであった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】以上説明したように、
従来の空気調和装置においては、冷房運転時や、除湿運
転時に顕熱負荷のみを考慮して空調しているため、顕熱
負荷と潜熱負荷とからなる空調負荷変動時に、室内空気
の状態を速やかに設定空気状態になかなか近づけること
ができず、スピーディに室内を快適な空調状態にするこ
とができないという問題点があった。
【0010】また、圧縮機の能力を冷房運転中には室内
温度(顕熱負荷)に応じて制御し、除湿運転に中は室内
湿度(潜熱負荷)に応じて制御しているため、制御が複
雑になるという問題点があった。
【0011】この発明は係る問題点を解消するためにな
されたものであり、室内負荷(顕熱負荷と潜熱負荷)の
変動に対応してスピーディに室内を快適な空調状態にす
る信頼性の高い空調装置を得ることを目的とする。
【0012】また、簡単な制御機構で、冷房運転時と除
湿運転時共に顕熱負荷と潜熱負荷に対応して制御する経
済的で、信頼性の高い空調装置を得ることを目的とす
る。
【0013】
【課題を解決するための手段】この発明に係る空調装置
は、圧縮機、室外熱交換器、第1の冷媒流量調整装置、
第1室内熱交換器、第2の冷媒流量調整装置、第2室内
熱交換器が順次配管で接続され、室内を空調する空調装
置において、制御手段が、前記室内温度と前記室内設定
温度よりも高い所定温度とを比較し、この比較結果で前
記第1室内熱交換器を蒸発器として機能させたり、凝縮
器として機能させたりして前記空調装置の冷房又は除湿
運転モードを制御するものである。
【0014】また、前記制御手段が、前記室内温度の降
下時における該室内温度が前記所定温度以下になるまで
は、前記第1室内熱交換器を蒸発器として機能させ、そ
の所定温度よりも低くなった時は、凝縮器として機能さ
せるものである。
【0015】また、前記制御手段が、前記所定温度より
も降下した前記室内温度の上昇時における該室内温度が
前記所定温度よりも高い第2の所定温度以上になるまで
は、前記第1室内熱交換器を凝縮器として機能させ、そ
の第2の所定温度を越えた時は、蒸発器として機能させ
るものである。
【0016】また、前記制御手段が、前記室内設定温度
が予め設定された温度以下か以上かを判断し、この判断
結果で前記室内設定温度が予め設定された温度以下にな
った時、前記第1室内熱交換器の機能を制御するもので
ある。
【0017】また、圧縮機、室外熱交換器、第1の冷媒
流量調整装置、第1室内熱交換器、第2の冷媒流量調整
装置、第2室内熱交換器が順次配管で接続され、室内を
空調する空調装置において、制御手段が、前記第1室内
熱交換器が凝縮器として機能する除湿運転モード、又は
蒸発器として機能する冷房運転モードに関わらず、前記
室内温度と前記室内設定温度との温度差に基づいて前記
圧縮機の能力を制御するものである。
【0018】また、前記制御手段が、前記温度差が同じ
温度差において、前記冷房運転モードの圧縮機の能力に
対する前記除湿運転モードの圧縮機の能力をほぼ半分程
度の能力で制御するものである。
【0019】また、前記制御手段が、前記除湿運転モー
ドにおける前記室内温度が前記室内設定温度の所定温度
範囲以内の時、前記室内湿度と前記室内設定湿度との湿
度差に基づいて、前記室内湿度が前記室内設定湿度より
も上昇してその湿度差が拡大するにしたがって前記室外
熱交換器の能力をダウンするように制御するものであ
る。
【0020】また、前記制御手段が、前記除湿運転モー
ドにおける前記室内温度が前記室内設定温度の所定温度
範囲以内の時、前記室内湿度と前記室内設定湿度との湿
度差に基づいて、前記室内湿度が前記室内設定湿度より
も降下してその湿度差が拡大するしたがって前記室外熱
交換器の能力をアップするように制御するものである。
【0021】また、前記制御手段が、前記除湿運転モー
ドにおける前記室内温度が前記室内設定温度の所定温度
範囲外の時、前記室内温度と前記室内設定温度との温度
差に基づいて、前記室内温度が前記室内設定温度よりも
上昇してその温度差が拡大するにしたがって前記室外熱
交換器の能力をアップするように制御するものである。
【0022】また、前記制御手段が、前記除湿運転モー
ドにおける前記室内温度が前記室内設定温度の所定温度
範囲外の時、前記室内温度と前記室内設定温度との温度
差に基づいて、前記室内温度が前記室内設定温度よりも
降下してその温度差が拡大するにしたがって前記室外熱
交換器の能力をダウンするように制御するものである。
【0023】また、前記制御手段が、前記室内温度が前
記室内設定温度に近づくにしたがって該設定温度をオー
バシュートしないようにPID手段等で前記圧縮機の能
力を制御するものである。
【0024】また、前記制御手段が、前記室内温度が前
記室内設定温度よりも低い所定温度以下になった時、前
記圧縮機能力の出力を停止するものである。
【0025】また、圧縮機、室外熱交換器、第1の冷媒
流量調整装置、第1室内熱交換器、第2の冷媒流量調整
装置、第2室内熱交換器が順次配管で接続され、室内を
空調する空調装置において、制御手段が、前記室内設定
温・湿度に対する前記室内空気の顕熱負荷と潜熱負荷の
割合である顕熱比線を求め、この求めた結果に基づいて
前記圧縮機又は、及び前記室外熱交換器の能力を制御す
るものである。
【0026】また、前記制御手段が、前記室内空気のそ
の後の顕熱負荷と潜熱負荷の割合が前記求めた顕熱比の
所定範囲内にあるかないかを判断し、前記顕熱負荷と潜
熱負荷の割合が前記所定範囲内にない時、前記室内設定
温・湿度に対する前記室内空気のその後の顕熱負荷と潜
熱負荷との変化割合から前記求めた顕熱比線を修正し、
この修正した顕熱比線によって前記求めた顕熱比線上に
戻るようにしたものである。
【0027】また、前記制御手段が、前記修正顕熱比線
で前記求めた顕熱比線上に戻るようにする時、前記室内
空気のその後の顕熱負荷と潜熱負荷との変化割合が継続
されるものであるかないかを判断し、継続されないと判
断した時は、前記修正顕熱比線を前記室内設定温・湿度
に対する前記室内空気のその後の顕熱負荷と潜熱負荷と
の割合から求めて制御するものである。
【0028】また、前記制御手段が、前記修正顕熱比線
で前記求めた顕熱比線上に戻るようにする時、前記室内
空気のその後の顕熱負荷と潜熱負荷との変化割合が継続
されるものであるかないかを判断し、継続されると判断
した時は、この継続される顕熱負荷と潜熱負荷との変化
割合を加味して前記室内設定温・湿度に対する前記修正
顕熱比線を求めて制御するものである。
【0029】また、圧縮機、室外熱交換器、第1の冷媒
流量調整装置、第1室内熱交換器、第2の冷媒流量調整
装置、第2室内熱交換器が順次配管で接続され、室内を
空調する空調装置において、制御手段が、前記第1室内
熱交換器が凝縮器として機能する除湿運転モード、又は
蒸発器として機能する冷房運転モードに関わらず、前記
室内空気のエンタルピと前記室内設定空気のエンタルピ
とのエンタルピ差に基づいて前記圧縮機又は、及び前記
室外熱交換器の能力を制御するものである。
【0030】また、圧縮機、室外熱交換器、第1の冷媒
流量調整装置、第1室内熱交換器、第2の冷媒流量調整
装置、第2室内熱交換器が順次配管で接続され、室内を
空調する空調装置において、制御手段が、前記第1室内
熱交換器が凝縮器として機能する除湿運転モード、又は
蒸発器として機能する冷房運転モードに関わらず、前記
室内空気の湿球温度と前記室内空気の設定湿球温度との
差に基づいて前記圧縮機又は、及び前記室外熱交換器の
能力を制御するものである。
【0031】
【発明の実施の形態】実施の形態1.以下本発明の実施
の形態1を図1から6を用いて説明する。なお、図1は
この実施の形態1の空調装置における概略冷媒回路図で
あり、この図において、1は圧縮機、2は四方弁、3は
室外熱交換器、4は第1の冷媒流量調整装置である室外
電子膨張弁、5は第1室内熱交換器、6は第2の冷媒流
量調整装置である室内電子膨張弁、7は第2室内熱交換
器(再熱熱交換器)、8は室外熱交換器3の室外ファ
ン、9は第1室内熱交換器5及び第2室内熱交換器7の
室内ファンであり、符号1から7までは順次配管で接続
されて冷凍サイクルが構成されている。
【0032】また、この図の10は圧縮機1の吐出冷媒
温度を検知する吐出温度センサ、11は室外熱交換器中
間の冷媒温度(冷房運転時の凝縮冷媒飽和温度)を検知
する中間温度センサ、12は第1室内熱交換器5の冷房
・除湿運転時の入口冷媒温度を検出する第1入口温度セ
ンサ、13は第2室内熱交換器7の冷房・除湿運転時の
入口冷媒温度(冷房運転時の蒸発冷媒飽和温度)を検出
する第2入口温度センサ、14は室内空気の温度を検知
する室温センサ、15は室内空気の相対湿度を検知する
湿度センサである。
【0033】また、16は上記10から15までの各セ
ンサの検出結果から、圧縮機1の駆動、室外ファン8の
駆動、室内ファン9の駆動、室外電子膨張弁4の開度、
室内電子膨張弁6の開度を演算して制御する計測制御装
置であり、17は室外ユニット、18は室内ユニットで
あり、また、19は使用者が希望の室内温度、相対湿度
を設定し、この設定情報を計測制御装置16に伝送する
リモコンである。
【0034】なお、圧縮機1はインバータ装置等で周波
数が可変されて能力制御されるような構造になってお
り、また、室外ファン8も室内ファン9もその回転数が
可変されるように回転数可変手段を具備し、風量を変化
させることができるようになっている。
【0035】次に、このように構成された空調装置の動
作について説明する。まず、冷房運転時には、室内電子
膨張弁6の開度を全開にし、流動抵抗を小さくし、第1
室内熱交換器5、第2室内熱交換器7での圧力差を無く
し、どちらの熱交換器も蒸発器として機能するようにす
ると共に、図1の実線の方向に冷媒が流れるように四方
弁2の流路設定が行なわれる。
【0036】その結果、圧縮機1から吐出された高温高
圧のガス冷媒は四方弁2を経て凝縮器となる室外熱交換
器3で周囲の外気と熱交換され、液化凝縮された後、室
外電子膨張弁4で減圧され、二相の低圧冷媒となり、そ
の後第1室内熱交換器5から第2室内熱交換器7へ流れ
るので、この蒸発器となる第1室内熱交換器5、第2室
内熱交換器7で冷媒は室内側空気と熱交換され、室内側
空気を冷却しながその熱によって蒸発し、ガス化され、
四方弁2を介して圧縮機1へ吸入される。
【0037】一方、暖房運転においては、室内電子膨張
弁6の開度を全開にし、その流動抵抗を小さくし、第1
室内熱交換器5、第2室内熱交換器7での圧力差を無く
し、どちらも凝縮器として機能するようにすると共に、
図1の破線の方向に冷媒が流れるように四方弁2の流路
設定が行なわれる。
【0038】その結果、圧縮機1から吐出された高温高
圧のガス冷媒は凝縮器となる第2室内熱交換器7及び第
1室内熱交換器5で、室内側空気へ熱を供給して温めな
がら液化凝縮する。その後室外電子膨張弁4で減圧さ
れ、二相の低圧冷媒となり、蒸発器となる室外熱交換器
3で外気と熱交換し、蒸発してガス化された後、四方弁
2を介して圧縮機1へ吸入される。
【0039】また、除湿運転時においては、室外電子膨
張弁4の開度を冷房運転時よりも開き、室内電子膨張弁
6の開度を冷房運転時よりも絞り、流動抵抗を大きくし
て、第1室内熱交換器5内の冷媒が第2室内熱交換器7
よりも高圧、高温の状態になるようにすると共に、冷媒
が冷房運転の時と同様に図1の実線の方向に流れるよう
に、四方弁2の流路設定が行なわれる。
【0040】その結果、圧縮機1から吐出された高温高
圧のガス冷媒は四方弁3を経て凝縮器となる室外熱交換
器3で周囲の外気と熱交換され、凝縮されながら室外電
子膨張弁4で若干減圧され、その後第1室内熱交換器5
へ流入する。
【0041】なお、この時、室外電子膨張弁4の開度は
冷房運転時よりも大きく開かれているため、第1室内熱
交換器5内の冷媒は室内空気温度よりも高い温度状態と
なっており、その結果、その高温冷媒は第1室内熱交換
器5で室内側空気に熱を与えながら凝縮し、この凝縮し
た冷媒は室内電子膨張弁6で更に減圧され、二相の低圧
冷媒となり、第2室内熱交換器7で室内側空気から熱と
湿度を奪いならがら除湿冷却を行い、冷媒自身は室内空
気に温められて蒸発し、ガス化した後、四方弁2を介し
て圧縮機1へ吸入される。
【0042】一方、第1室内熱交換器5で熱を与えられ
た空気と、第2室内熱交換器7で冷却・除湿された空気
は室内ユニットの風路内で混合され、適度な温度と湿度
にされた後、即ち、例えば、図8に示すように、第2室
内熱交換器7を通過してiからPへ変化した空気と第1
室内熱交換器5を通過してiからQへ変化した空気のベ
クトル合成の結果であるR状態の空気が室内へ供給され
る。
【0043】次に、これらの除湿運転および冷房運転の
詳細制御動作について図2を用いて説明する。なお、こ
の図2は空調装置の顕熱能力(空気温度を低下させる能
力)と潜熱能力(空気湿度を低下させる能力)との容量
・割合を決定する各機器(圧縮機、ファン等)の動作関
係を示した図である。
【0044】まず、除湿運転においては、第1室内熱交
換器5からの加熱力(暖房顕熱能力)と第2室内熱交換
器7からの冷却顕熱能力及び冷却潜熱能力が室内空気に
与えられるものの、この図からも解るように、圧縮機1
の運転周波数が同一であるという条件で室外ファン8の
回転数を増大させ、冷却能力を増大させようとしても、
冷媒流量が余り大きく増大しないので、第1室内熱交換
器5の加熱力(暖房顕熱能力)、並びに第2室内熱交換
器7の冷却顕熱能力及び冷却潜熱能力も余り大きく増大
しない。しかし、この室外ファン8の回転数を増大によ
って室外熱交換器3の放熱能力が増大し、室外熱交換器
を出る冷媒温度は低下するため、その結果冷媒流量がほ
ぼ同じでも、第1室内熱交換器5の加熱力(暖房顕熱能
力)が低下するので、この低下した分の加熱力が冷却に
寄与する第2室内熱交換器7の冷却顕熱能力低下させな
いため、冷却に寄与する第2室内熱交換器7の冷却顕熱
能力が増加したようになり、結局、潜熱能力に対する冷
却顕熱能力を増加させたこととなる。
【0045】しかし、逆に、室外ファン8の回転数を一
定にした条件で圧縮機1の運転周波数を増大させ、能力
を増大させると、この能力の増大によって蒸発温度が大
幅に下がっても、冷媒流量が増加し、第1室内熱交換器
5の加熱力(暖房顕熱能力)、並びに第2室内熱交換器
7の冷却顕熱能力及び冷却潜熱能力も大きく増加するた
め、この増加した第1室内熱交換器5の加熱力と第2室
内熱交換器7の冷却顕熱能力とが互い打消し合うよな状
態となり、結局、冷却顕熱能力の増加よりも、潜熱能力
の方が大きく増加したこととなる。
【0046】また、除湿運転時においては、冷房運転時
と同じ圧縮機1の周波数、および室外ファン8の回転数
で制御すると第2室内熱交換器7のみが蒸発器として機
能し、第1室内熱交換器5は蒸発器として機能しないた
めに、蒸発器能力が冷房運転時よりも遥かに小さくな
り、蒸発温度が大幅に低下するため、露付や氷結が発生
しやすくなる。
【0047】従って、この発明においては、冷房運転時
と除湿運転時の潜熱能力と顕熱能力の変化割合をバラン
スさせ、除湿運転の露付や氷結を防止するために、除湿
運転時における圧縮機1の最大周波数と最小周波数を設
け、その最大周波数を冷房運転時の最大周波数よりもほ
ぼ半分程度ぐらいの低い周波数に設定し、また、圧縮機
1の低速回転数に起因する共振破損を回避するために、
除湿運転時の圧縮機1の最小周波数も予め設定された周
波数(冷房運転時の最小周波数のほぼ半分程度)に設定
する。
【0048】また、これと同様に、室外ファン8の回転
数にも最大値、最小値を設け、その最大値は室外ファン
8の最大出力によって決めると共に、その最小値は室外
ユニット17内の電子機器の冷却機能を損なわないよう
に設定している。以上のような考え方で設定すると、本
発明の冷房及び除湿運転における出力能力は図2のよう
になり、その内の除湿運転は主に斜線部分となる。
【0049】次に、上記動作構造における冷房運転と除
湿運転の運転制御を図3、4で説明する。なお、この図
3は設定温・湿度を中心点(原点)とした温湿度マップ
であり、現在の室内温・湿度がそのマップのどの地点に
あるかによって制御するための基準マップである。ま
た、図4はこの基準マップに基いて制御するフロー図で
あり、この制御では、設定温・湿度、即ち中心点(原
点)を決め、この決めた原点に対して現在の室内温・湿
度が温・湿度マップ上のどの地点にあるかを、例えば、
所定時間ΔT毎に検知し、この検知結果から圧縮機、フ
ァン等の各機器の動作を制御するものである。即ち、マ
ップ上の位置に応じて空調装置の動作を制御するもので
ある。
【0050】従って、例えば、現在の室内温度が第2の
所定温度である設定温度+2.5℃より高い領域(マッ
プ上でAゾーン)にあり、使用者が暑さを感じる領域に
ある場合、早急に室内温度を低下させる必要があると判
断して、冷却能力が大きくなるように冷房運転(第1室
内熱交換器5が蒸発器として機能する運転)を実施す
る。言い換えれば、圧縮機1の周波数を設定温度と現在
の室内温度との偏差値、即ち顕熱負荷に基づいて制御
し、室外ファン8の回転数も最大回転数で制御し、顕熱
能力が大きくなるように制御して、室内温度が早く設定
温度になるようにする。
【0051】なお、この時、顕熱負荷が大きければ潜熱
負荷も大きいという前提で顕熱負荷に基づいて制御して
いるために、潜熱負荷が小さい時は、室温が早く低下し
て設定温度の下限値をオーバシュートしてしまう恐れが
ある。これを防止するために、室温が設定温度に近づい
てきた時は、PID制御やファジー制御によって室外フ
ァン8又は圧縮機1の回転数を低下させ、冷却能力を抑
制するようにすると、室内温度を早く設定温度にできる
だけでなく、オーバシュートによるエネルギーロスも少
なくできるため、更に、経済的で、安定した運転状態が
得られる。
【0052】次に、マップ上で現在の室内温度が(設定
温度+2.5℃)よりも低く、かつ、(設定温度−2.
5℃)よりも高い領域(B〜Fゾーン)、言い換えれ
ば、使用者がさほど暑さを感じない領域の時は、現在温
度が設定温度に対してやや近づいているので、この領域
では潜熱能力を多く発揮して除湿を行うようにする。即
ち、第1室内熱交換器5を凝縮器と機能させ、顕熱能力
に対する潜熱能力を充分引き出しながら室内温度をスピ
ーディに快適な温度にするように各ゾーン毎に各機器の
動作制御を実施する。
【0053】即ち、例えば、マップ上で現在の室温が第
1の所定温である(設定温度+1℃)よりも若干高く、
第2の所定温である(設定温度+2.5℃)よりも低い
領域(Bゾーン)にある時は、室内温度をやや下げる必
要があるために、やや顕熱能力を大きくして除湿運転す
る必要があるので、室外ファン8の回転数を現在の回転
数よりも所定量増速させ、顕熱能力が大きくなるように
制御すると共に、圧縮機1の周波数を設定温度と現在の
室内温度との偏差に基づいて制御し、室内温度が早く安
定的に設定温度になるようにする。
【0054】なお、このBゾーンにおいては、第1室内
熱交換器5の機能を凝縮器としたり、蒸発器としたりす
る。即ち、AゾーンからBゾーンに移っても蒸発器の機
能を継続させ、逆に、CゾーンからBゾーンに移った時
は、凝縮器として機能させる。これは、室内の温・湿度
を低下させながらAゾーンからBゾーンへ移った場合、
室内の壁や床等がまだ充分に冷却されていないので、扉
の開閉等によって負荷が変動すると、Aゾーンに戻りや
すいので、これを防止するため、第1室内熱交換器5を
蒸発器として機能させ、室内負荷の変動によって室内温
・湿度が上昇してもスピーデイに対応するようにするた
めであり、また逆に、CゾーンからBゾーンへ移る時は、
室内の壁や床等が充分に冷却されているため、負荷が変
動しても、温度上昇が押えられるので、湿度の変化を重
視し、湿度の変化を抑えた方が良いからである。
【0055】なお、このBゾーンにおいても、前述と同
様に、室温が設定温度下限値をオーバシュートしないよ
うにPID制御やファジー制御によって圧縮機1また室
外ファン8の回転数を低下させると、温度変動が少ない
運転となり、室内温度を安定的に設定温度にするだけで
なく、オーバシュートによるエネルギーロスも少なくで
きるため、更に、経済的で、安定した空調運転をする空
調装置が得られる。
【0056】次に、マップ上で現在の室温が(設定温度
−1℃)以上で、設定温度+1℃よりも低く、かつ、現
在の室内相対湿度が(設定湿度+5%)よりも高い領域
(Cゾーン)にある場合、即ち、現在の室温が設定温度
に対して所定温度範囲内にあり、現在の室温が設定温度
とほぼ同一で、現在の温度を維持しながら潜熱能力を発
揮することが求められている場合は、図2に示すように
同一顕熱能力に対して潜熱能力が大きくなる運転、言い
換えれば、室内湿度を設定湿度との差の拡大に伴って室
外ファン8の回転数を現在のファン回転数よりも減速さ
せ、室内湿度を速く設定湿度にすると共に、圧縮機1の
周波数を冷房運転時と同じように設定温度と現在の室内
温度との偏差に基づいて制御し、室内扉の開閉による室
内負荷の急激な変化にも対応できるようにして、室内快
適な空調を実現する。
【0057】次に、マップ上で現在の室温が(設定温度
−1℃)以上で、(設定温度+1℃)よりも低く、か
つ、現在の室内湿度が(設定湿度+5%)以下で、(設
定湿度−5%)よりも高い領域(Dゾーン)の場合、即
ち、現在の室内温度および湿度がほぼ設定温度および湿
度になっているために、顕熱能力、潜熱能力ともほぼ現
在の能力を発揮することが求められる場合は、室外ファ
ン8の回転数を変更せず維持する一方で、圧縮機1の周
波数をBゾーンと同様に設定温度と現在の室内温度との
偏差に基づいて制御し、快適な空調を実現する。
【0058】言い換えれば、このように圧縮機1の周波
数を室内負荷に対応させて制御する場合、一般的に、空
調運転中の負荷変動は扉等の開閉によって増大する方向
に変化し、減じて行く方向には変化しないので、負荷の
増大(室内温度の上昇)に対応してスピーディに対応で
きるようになるため、特に、負荷変動にスピーディに対
応して快適な空調を実現できる。
【0059】次に、マップ上で現在の室温が(設定温度
−1℃)よりも高く、(設定温度+1℃)以下で、か
つ、現在の室内湿度が(設定湿度−5%)よりも低い領
域(Eゾーン)にある場合、即ち、現在の室温が設定温
度とほぼ同じで、湿度が設定湿度よりも低くなっている
ために、現在の温度(顕熱能力)を維持しながら現在の
潜熱能力ほどの大きな潜熱能力が不要な場合は、ほぼ同
じ顕熱能力で、潜熱能力を減少させるように、検出湿度
と設定湿度との差の拡大に伴って、即ち、検出湿度が設
定湿度より低下するにしたがって室外ファン8の回転数
を現在のファン回転数よりも増大させ、圧縮機1の周波
数を温度差に基づいて低くして快適な空調を実現する。
【0060】なお、このようにすると、圧縮機1の運転
周波数が低くなり、消費電力を低減できるため、快適な
空調を実現する経済的な空調装置が得られる。
【0061】次に、マップ上で現在の室温が(設定温度
−2.5℃)より高く、(設定温度−1℃)より低い領
域(Fゾーン)にあり、現在の室温が設定温度に対して
若干低い所にあるため、温度が下がりすぎないように顕
熱能力を小さくする必要がある場合、この場合は圧縮機
1の周波数を最低にして蒸発温度が上昇するように、即
ち潜熱能力に対して顕熱能力が増大するように制御し、
室外ファン8の回転数も現在の回転数よりも減速せ、更
に顕熱能力が小さくなるように制御して快適な室内空調
を実現する。
【0062】なお、この領域での圧縮機の周波数は、前
述したように、Bゾーンと同様に、現在の室内温度と設
定温度との偏差に基づいて制御しているので、制御が簡
便になる。
【0063】また、以上説明したBゾーンからFゾーン
までにおける室外ファン8の回転数は、図5に示す通
り、各ステップ毎の回転数制御となり、段階的に制御す
る。即ち、例えば、室外ファン8の回転数を増速する場
合は、大ステップの方に移動させ、減速する場合は小ス
テップの方に移動させるものであり、その移動量(制御
量)は、現在の室内温度と設定温度との偏差、又は現在
の室内湿度と設定湿度との偏差の少なくともいずれか一
方の値の大きさをもとに制御する。なお、両方の偏差値
から室外ファン8の回転数を決定するようにすると、よ
り正確になる。
【0064】次に、マップ上での現在の室温が(設定温
度−2.5℃)よりも低い領域(Gゾーン)にある場
合、即ち、空調装置能力が大きすぎて、室温が下がりす
ぎ、現在の室温が設定温度に対してかなり低い状態とな
っている場合は、これ以上室温が低下しないように空調
装置の運転を停止する。
【0065】また、上記各運転での室外電子膨張弁4の
開度については、冷・暖房・除湿運転時には、温度セン
サ10、11、12、13等の吐出ガス温、室外熱交換
器3の冷媒飽和温度、第1及び第2室内熱交換器の冷媒
飽和温度等の検出値、或いはその値から推定される室内
・外熱交換器の出口過熱度(出口乾き度)、出口過冷却
度等検出値が予め設定された目標値になるように制御す
る。
【0066】なお、上記除湿運転時においては、室外電
子膨張弁4の開度を冷房運転時よりも大きい開度で固定
したり、或いは、全開にしたりする。即ち、室内電子膨
張弁6の開度は、冷・暖房運転時には全開にするもの
の、除湿運転時には、予め定められた固定開度に設定し
ておいたり、あるいは、室外電子膨張弁4が全開の時
は、その室外電子膨張弁4の機能を代役するように、凝
縮器としての第1室内熱交換器の凝縮温度や出口過冷却
度、蒸発器としての第2室内熱交換器の蒸発温度や出口
過熱度等が予め設定された目標値になるように制御した
りする。
【0067】従って、例えば、室内電子膨張弁6の代わ
りにキャピラリーチューブや、オリフィス弁等の流動抵
抗体を用いて図6のような構成にしても良い。また、こ
のような構成にした時は、これらの絞り機構21と並列
に電磁弁20を有するバイパス回路を設け、この電磁弁
20を冷房、暖房運転時には開とし、この流動抵抗を小
さい電磁弁20を介して第1室内熱交換器5から第2室
内熱交換器7へ冷媒を流すようにし、また、除湿運転時
には電磁弁20を閉とし、キャピラリーチューブや、オ
リフィス弁等の絞り機構21を介して第1室内熱交換器
5から第2室内熱交換器7へ冷媒を流すようにしても、
ほぼ同等の作用・効果が得る。
【0068】また、この実施の形態1では湿度として相
対湿度を用いる場合について説明したが、相対湿度の換
わりに絶対湿度を用いてもよい。また更に、この実施の
形態1では室外熱交換器3を、空気式熱交換器とし、室
外ファン8の回転数で熱交換能力を制御するとして説明
したが、室外熱交換器3が空冷方式ではなく、水と熱交
換されるチラー等の水冷方式の場合でも、高圧側の凝縮
温度等を制御すれば良いのであるから、室外熱交換器3
へ供給される水量や水温等を制御して凝縮温度を制御す
るようにしても、ほぼ同様の作用・効果が得られる。
【0069】また、以上の説明では、制御手段が室内設
定温度を基準として、室内温度に基づいて第1の室内熱
交換器5を凝縮器としたり、蒸発器としたりするように
したが、この室内設定温度が予め設定された温度(例え
ば25℃)以下に設定された時、言い換えれば、外気温
度が低いのにも関わらず、蒸し暑い(湿度が高い)た
め、健康冷房の快適温度以下にセットされた時のみ、第
1の室内熱交換器5を凝縮器としたり、蒸発器としたり
するようにすると、肌寒さを感じること無く、健康な空
調冷房を行なうようになる。
【0070】以上説明したように、現在の室内温・湿度
が設定温湿度を中心(原点)とした温湿度マップ上のど
の地点にあるかを判断し、その判断結果に基づいて圧縮
機と室外ファンの回転数(能力)を制御し、現在の室内
空気が欲する顕熱量と潜熱量に応じて各熱量を供給する
ようにしたので、室内空気の必要顕熱量と潜熱量に応じ
て木目の細かい、室内空調ができるようになるため、温
度変動が少なく、エネルギー効率の良い室内空調をす
る、経済的で、信頼性の高い空調装置が得られる。
【0071】また、冷房運転及び除湿運転共に同じ制御
機構で制御をするようにしたので、簡単な構成で、室内
を快適な空調状態にする空調装置が得られる。
【0072】実施の形態2.本発明の実施の形態2を図
1、及び図7から14を用いて説明する。なお、この実
施の形態2における空調装置の構成は制御手段が後述す
るように相違するだけで、その他の構成はほぼ図1の通
りであり、その構成説明は省略する。
【0073】次に、この実施の形態2の除湿運転におけ
る構成と動作を図1、図7に基づいて説明する。なお、
この図7は除湿運転時のPH線図であり、この図のOT
は室外熱交換器3の冷媒飽和温度(凝縮温度)、CTは
第1室内熱交換器5の冷媒温度(凝縮温度)であり、E
Tは第2室内熱交換器7での冷媒温度(蒸発温度)であ
る。また、Toは外気温度であり、Tiは室内温度であ
る。
【0074】まず、この除湿運転の動作においては、圧
縮機1から吐出された高温高圧のガス冷媒(状態A)は
四方弁2を経由して、室外熱交換器3で外気へ熱を放熱
すると共に、冷媒自身は冷却されて凝縮し(状態B)、
冷房運転時よりも開度が大きく制御された室外電子膨張
弁4で断熱膨張され、中圧の二相冷媒(状態C)とな
り、第1室内熱交換器5で再び室内空気へ熱を放熱し、
冷媒自身は更に凝縮して中圧の二相冷媒(状態D)とな
る。
【0075】次に、この中圧二相冷媒(状態D)は、あ
る所定の開度に設定された室内電子膨張弁6で再び断熱
膨張され、低圧二相冷媒(状態E)となり、第2室内熱
交換器7へ流入し、室内の空気を冷却・除湿し、冷媒自
身は蒸発してガス化(状態F)した後、再び四方弁2を
経由して圧縮機1へ帰る。なお、この時、第1室内熱交
換器5を通過して加熱された空気と、第2室内熱交換器
7を通過して冷却・除湿された空気とはユニツト風路内
で混合された後、室内に吹き出される。
【0076】次に、この吹出された室内空気の状態変化
を図8の湿り空気線図を用いて説明する。なお、この図
の横軸は乾球温度TDB[℃]であり、縦軸は絶対湿度
X[kg/kg’]であり、Lは飽和空気線である。
【0077】まず、この室内吸込空気(室内空気)をi
(温度Ti、相対湿度φi)とすると、図8のi点で示
される次に、この室内吸込空気iの一部は第1室内熱交
換器5を通過するので、図7に示した凝縮温度がCTの
冷媒によって加熱され、図8のi→Qへと変化する。ま
た、この室内吸込空気iの他方の一部は第2室内熱交換
器7を通過するので、蒸発温度がETの冷媒によって冷
却・除湿されて、図8のi→Pへ変化する。その後、こ
の空気PとQは風路内で混合されるので、結局、図8に
示すように、(i→Q)+(i→P)=i→Rへと変化
してRとなり、このR状態の空気が室内に吹出される。
従って、その運転状態の顕熱比であるSHF=顕熱能力
/(顕熱能力+潜熱能力)は、iR方向の勾配として求
まる。
【0078】また、除湿運転でのSHFは、前述したよ
うに、第1室内熱交換器5が凝縮器として働き、第2室
内熱交換器7のみが蒸発器と働くため、蒸発器容量の低
下によって蒸発温度が下がり、冷たい空気が吹出されて
も、その後、第1室内熱交換器5で加熱された空気と混
合されるので、結局、温度を下げることなく、湿度を下
げることが可能となり、冷房運転時のSHFよりも低い
値となる。従って、室外ファンの回転数や室外電子膨張
弁の開度を制御して積極的に加熱量を大きくし、i→Q
方向へ、つまり、SHF<0となるようにすれば、暖め
ながら除湿することも可能となる。言い換えれば、室外
ファンの回転数や室外電子膨張弁の開度を制御して凝縮
温度CTを制御することで、SHFを所望の値に近づけ
るがことが可能となる。
【0079】次に、このSHFを所望の値に近づけるた
めの除湿運転時における室外ファンの回転数制御につい
て図9、10を用いて説明する。なお、この図9は室外
ファンの回転数No[rpm]に対する室外熱交換器3
の凝縮冷媒温度OTと第1室内熱交換器5内の再凝縮冷
媒温度CTと、並びに第2室内熱交換器7内の蒸発冷媒
温度ETとの変化の相関関係の一例を示したものであ
る。
【0080】まず、この図9に示すように、室外ファン
の回転数Noを小さくすると、熱交換能力が小さくなる
ため、図7の凝縮温度OTが上昇するので、第1室内熱交
換器5内の凝縮温度CTが上昇し、その結果、第2室内
熱交換器7内の冷媒蒸発温度ETも上昇することにな
る。即ち、室外ファン回転数をN1からN2に低下させ
ると、図9に示すように、第1室内熱交換器5の凝縮温
度はCT1からCT2へ、また、第2室内熱交換器7の
蒸発温度はET1からET2へ上昇する。
【0081】従って、この時の空気の状態変化は図10
の通りとなる。即ち、室外ファンの回転数を減少させて
凝縮温度をCT1からCT2へ上昇させると、この上昇
によって第1室内熱交換器5の加熱能力もQ1からQ2
まで増加し、また、蒸発温度もET1からET2へ上昇
するので、蒸発温度と室内空気温度Tiとの温度差が小
さくなり、第2室内熱交換器7の冷却性能が低下するた
め、冷却・除湿能力もP1からP2へ低下するものの、
このP2と前述のQ2のベクトルから求められる吹出し
空気はR1からSHFの小さいR2となる。
【0082】その結果、吸込み空気iからR1に変化し
た時と比べて温度が余り下がらず、湿度低下の割合が大
きくなったSHFの小さい空気(R2)が吹出され、所
謂除湿運転が行なわれる。なお、この逆の動作、即ち、
この時点で室外ファンの回転数を大きくすれば、吹出し
空気はR2からR1となり、SHFの大きい空気が吹出
される。
【0083】次に、以上の技術思想を使った具体的な制
御アルゴリズムについて図11を用いて説明する。ま
ず、この図に示すように、ステップ1ではリモコン19
で設定した温度設定値Tsと相対湿度設定値φsとを読
み込み、このTs、φsから絶対湿度の設定湿度値Xs
を演算する。次に、ステップ2では温度センサー14,
湿度センサー15が検知した室内温度Tiと相対湿度φ
iから室内の検出絶対湿度Xiを演算する。
【0084】次のステップ3では、第1室内熱交換器5
の凝縮温度CTを凝縮温度センサー12で、第2室内熱
交換器7の蒸発温度ETを蒸発温度センサー13で検知
する。次のステップ4では、前述した現在の室内温湿度
i(Ti、Xi)と設定温湿度s(Ts、Xs)から目
標値SHF*を下式(1)によって求める。
【0085】なお、求めるは下記のとおりである。 SHF=Cp(Ti−Ts)/{Cp(Ti−Ts)+Cv(Xi−Xs)} ・・・(1) ここでCp[kcal/kgK]は空気の温度変化に対
する比熱であり、Cv[kcal/kg]は空気の絶対
湿度変化に対する比熱であり、Cp(Ti−Ts)は必
要顕熱能力、Cv(Xi−Xs)は必要潜熱能力を表
す。
【0086】次のステップ5では、現状のSHFを、現
在の空気温湿度i(Ti,φi)と凝縮温度CTと蒸発
温度ETより図8を用いて前述した方法で求める。次の
ステップ6では目標とするSHF*と運転中のSHFを
比較し、現状のSHFが目標SHF*より高い時には、
顕熱量に対して潜熱量が小さ過ぎると判断してステップ
7に進み、、室外ファン8の回転数Noを下げて凝縮温
度CTを上げる。また、逆の場合はステップ8に進み、
顕熱量に対して潜熱量を下げて顕熱量を多くするため
に、室外ファン8の回転数Noを上げてCTを下げる。
【0087】なお、このように、室内温・湿度を設定目
標値にするためにSHFを用いて制御すると、現在室内
温・湿度を目標設定温・湿度に直線的に近づけることが
可能となるため、室内空気の状態変化に対応してスピー
デイに設定温・湿度に近づけることができるようになる
ので、快適な空調をスピーデイに実現する空調装置を得
ることができる。
【0088】また、この実施の形態2の変形例として
は、例えば、図12に示すように、ある一定時間ΔTの
間、室内空気の状態が目標SHF*(i1→R)を目指
して運転しているにもかかわらず、i1→i2のように
違った変化をした場合、これは外部からの熱侵入等の影
響を受けたものであると判断して、目標値SHF*を以
下のように修正する。しかし、初期の空気状態(i1)
と設定目標空気状態(R)から求めた目標SHF*線上
に乗りながら空気状態が変化している時は、その運転状
態を修正せずにそのまま運転を継続する。
【0089】次に、この修正動作について説明する。ま
ず、修正目標SHF*を下式から求める。 修正SHF*=現在の空気状態(i2)から式(1)で計算されたSHF +ΔT時間前の空気状態(i1)から式(1)で計算されたSHF −室内空気の状態変化i1→i2から求められたSHF・・・(2) 次に、この修正目標SHF*に基づいて前述したよう
に、CT、ETを制御する。
【0090】なお、上記式においては、所定時間毎に運
転中のSHFを求めて計算したが、室内空気の状態が目
標SHF*線上のある範囲以内か、否かを判断し、その
判断結果で、線上にある時は、修正せずに制御し、線上
にない時は、修正するようにしても良い。
【0091】また、外部からの侵入熱等が継続的侵入す
る場合は、この継続される顕熱負荷と潜熱負荷との変化
割合を加味して図12のi2からR2へ変化するように
し、侵入熱が継続されない場合は、単に、i2からRへ
変化するようにSHFを修正して制御する。なお、この
ような制御をすると、外部からの侵入熱等があり、室内
空気が変化しても、更に確実に快適な空調をスピーディ
に実現する信頼性の高い空調装置が得られる。
【0092】また、このようなSHFを用いて制御する
場合、冷房及び除湿運転時における室外ファン8の回転
数をパラメータとして、圧縮機1の周波数に対するSH
Fの値を、例えば、図13に示すように、予め求めて置
き、SHFに対する圧縮機1の周波数、室外ファン8の
回転数をそれぞれ求めれらるようにしておけば、冷房運
転でも、除湿運転でも、SHFを用いて制御できるよう
になる。
【0093】即ち、この図13の如く、SHFは冷房運
転では高く、除湿運転になると低くなるものの、目標S
HFや修正SHFが決まれば、これらのSHFの値から
冷房及び除湿運転時における室外ファン8の回転数と圧
縮機1の周波数が適宜決まり、これらの回転数(能力)
で制御することにより、現在のSHFを目標SHF*に
一致させ、快適な空調を実現するができる。
【0094】実施の形態3.この実施の形態3を図1と
図14とで説明する。なお、この実施の形態3における
空調装置の構成は制御手段が後述するように相違するだ
けであり、その他の構成はほぼ図1の通りであるので、
その構成説明は省略する。なお、図14は室内空気の動
作状態を空気線図上に示したものであり、この図におい
て、sはリモコン19によって設定された温・湿度であ
り、このs点のTsは設定温度、φsは設定相対湿度を
示す。また、Xsはこれら設定温・湿度の設定絶対湿度
であり、iは室内温度センサー、室内湿度センサーによ
って検知された温・湿度であり、このi点のTiは室内
温度、φiは室内の相対湿度であり、また、Xiはこれ
ら室内温・湿度の絶対湿度である。なお、この絶対湿度
Xiは現在の室内空気の温・湿度(Ti、Xi)をもと
に空気線図から求めることができる。
【0095】次に、この制御動作、即ち冷房、除湿運転
時の空調負荷に応じた圧縮機1の能力制御について説明
する。まず、一般に、空調負荷Q[kcal/h]は次
式(3)で表され、空調負荷Qはエンタルピ差Ii−I
sと比例した関係になる。 Q=Ga(Ii−Is)・・・・・(3) なお、ここで、Ga[kg/h]は第1、第2室内熱交
換器5、7の風量 Ii[kcal/kg]は室内空気のエンタルピ、Is
[kcal/kg]はリモコン設定空気のエンタルピ を表す。
【0096】また、冷房、除湿運転時は、図14に示す
ように、室内空気をリモコン等で設定した空気状態にす
るために必要な顕熱負荷QHと潜熱負荷QLがそれぞれ
存在し、それらを除去する必要があるのであるから、こ
れら必要顕熱・潜熱負荷に対応した顕熱能力と潜熱能力
を空調装置から供給する必要がある。しかし、これらの
負荷のうち顕熱負荷QHについては、設定温度Tsと室
温Tiとの温度差から、また、潜熱負荷QLについては
設定絶対湿度Xsと室内絶対湿度Xiとの湿度差から直
接検知(算出)して供給することができるものの、全負
荷Qについては温度差又は湿度差のみから直接検知する
ことはできない。
【0097】従って、顕熱負荷QHと潜熱負荷QLをそ
れぞれ出し、それらを加算して全負荷Q求め、この全負
荷Qであるエンタルピ差(Ii−Is)に基づいて、圧
縮機1又は及び室外熱交換器の周波数(能力)を制御
し、室内空気を図14に示したように変化させて、室内
空気を快適な空調状態にする。なお、このような制御を
するものと、顕熱負荷が大きければ潜熱負荷も大きいと
いう前提で顕熱負荷のみに基づいて制御しているものと
較べて見ると、例えば、顕熱負荷に対して潜熱負荷が大
きい時は、このエンタルピ差制御の方が室内空気をスピ
ーディに快適な空調状態にでき、また、顕熱負荷に対し
て潜熱負荷が小さい時でも、過大な冷房能力で冷却しな
くなるため、室温が早く低下して設定温度の下限値をオ
ーバシュートしてしまう恐れが無くなり、経済的な装置
となる。
【0098】次に、上記エンタルピ差(Ii−Is)に
基づいて制御する一例について説明する。まず、空気の
エンタルピは図14に示したように湿球温度Twbと相
関性があり、エンタルピ差と湿球温度差は概ね比例して
いるので、リモコン19で設定された室内温度・相対湿
度に対応した設定湿球温度Tswbと、現在の室内空気
の湿球温度Tiwbとの差である(Tiwb−Tsw
b)に応じて圧縮機の周波数(能力)を制御するように
する。言い換えれば、エンタルピ差(Ii−Is)に応
じて圧縮機1の周波数を制御する。
【0099】即ち、室内温度・相対湿度に対応した設定
湿球温度Tswbに対して室内空気の湿球温度Tiwb
が高く、その湿球温度偏差値ΔTwbが予め設定された
湿球温度偏差値範囲(例えば、ΔTwb>1.5℃)よ
りも高い時には、図15、16に示すように、室内空気
状態を設定空気状態へ早急に近づけるため、圧縮機の周
波数を予め設定された最大周波数で運転し、湿球温度偏
差値ΔTwbが予め設定された湿球温度偏差値範囲以内
(例えば、−0.5℃≦ΔTwb≦1.5℃)の時は、
室内空気状態が設定空気状態に近づいているので、図1
5に示すように、圧縮機の周波数を湿球温度偏差値ΔT
wbに基づいて圧縮機の周波数を制御し、湿度偏差値が
予め設定された湿球温度偏差値範囲よりも低い(例え
ば、ΔTwb≦−0.5℃)時は、室内空気状態が設定
空気状態よりも低くなり過ぎているので、圧縮機の運転
を停止する。
【0100】なお、この時、設定湿球温度Tswbと室
内空気の湿球温度Tiwbとの湿球温度偏差値ΔTwb
を所定時間毎に検出したり、また、圧縮機の運転周波数
を図16のように比例制御したり、或いは、室内空気の
湿球温度Tiwbが設定湿球温度Tswbに近づくにし
たがって、PID制御又はファジー制御をするようにし
ても良い。
【0101】このように室内湿球温度と設定湿球温度と
の温度差、即ち、乾球温度差だけに基づいて圧縮機の能
力を制御するようにすると、簡便な構成で、全負荷に対
応できるようになるため、快適な空調を実現する経済的
で、信頼性の高い空調装置が得られる。
【0102】また、この時、室外ファンの回転数も設定
湿球温度Tswbと現在の室内空気の湿球温度Tiwb
との差ΔTwbに応じて、図17に示すように、制御す
るようする。即ち、湿球温度偏差値ΔTwbが予め設定
された湿球温度偏差値範囲よりも高い(例えば、ΔTw
b>1.5℃)の時は、室内空気状態を設定空気状態へ
早急に近づけるため、室外ファンの回転数を予め設定さ
れた最大回転数で運転し、湿球温度偏差値ΔTwbが予
め設定された湿球温度偏差値範囲以内(例えば、−0.
5℃≦ΔTwb≦1.5℃)の時は、室内空気状態が設
定空気状態に近づいているので、室外ファンの回転数を
湿球温度偏差値ΔTwbに基づいて制御し、湿球温度偏
差値ΔTwbが予め設定された湿球温度偏差値範囲より
も低い(例えば、ΔTwb≦−0.5℃)時は、室内空
気状態が設定空気状態よりも低くない過ぎているので、
室外ファンの運転を停止するようにすると、冷凍サイク
ルの凝縮温度や、蒸発温度も室内空調負荷に対して適性
に保たれ、効率良く運転できるようになるため、快適な
空調を実現する経済的で信頼性の高い空調装置が得られ
る。
【0103】
【発明の効果】以上説明したように、この発明に係る空
調装置においては、制御手段が、前記室内温度と前記室
内設定温度よりも高い所定温度とを比較し、この比較結
果で前記第1室内熱交換器を蒸発器として機能させた
り、凝縮器として機能させたりして前記空調装置の冷房
又は除湿運転モードを制御するので、室内温度が所定温
度になれば、冷房運転から除湿運転に自動的に切換わる
ため、使い勝ってが良く、室内を快適な空調に維持する
空調装置が得られる。
【0104】また、前記制御手段が、前記室内温度の降
下時における該室内温度が前記所定温度以下になるまで
は、前記第1室内熱交換器を蒸発器として機能させ、そ
の所定温度よりも低くなった時は、凝縮器として機能さ
せるので、特に、室内の壁や床等が充分に冷却されてお
らず、保有熱マスが大きく、温度上昇がしやすい時は、
蒸発器として機能させるため、負荷が変動しても、室内
スピーディに快適的な空調状態する空調装置が得られ
る。
【0105】また、前記制御手段が、前記所定温度より
も降下した前記室内温度の上昇時における該室内温度が
前記所定温度よりも高い第2の所定温度以上になるまで
は、前記第1室内熱交換器を凝縮器として機能させ、そ
の第2の所定温度を越えた時は、蒸発器として機能させ
るので、特に、室内の壁や床等が充分に冷却され、温度
上昇が押えられる時には、湿度の変化を重視しながら圧
縮機の能力がほぼ半分程度になる凝縮器として機能させ
るため、経済的な快適的空調を維持する空調装置が得ら
れる。
【0106】また、前記制御手段が、前記室内設定温度
が予め設定された温度以下か以上かを判断し、この判断
結果で前記室内設定温度が予め設定された温度以下にな
った時、前記第1室内熱交換器の機能を制御するので、
利用者が室内設定温度を誤って設定しても、室内温度が
所定温度になれば、冷房運転から除湿運転に自動的に切
換わり、快適な空調を維持するため、特に、肌寒さを感
じることがなく、健康的な空調に維持する使い勝っての
良い空調装置が得られる。
【0107】また、制御手段が、前記第1室内熱交換器
が凝縮器として機能する除湿運転モード、又は蒸発器と
して機能する冷房運転モードに関わらず、前記室内温度
と前記室内設定温度との温度差に基づいて前記圧縮機の
能力を制御するので、圧縮機の能力を冷房運転及び除湿
運転共に同じ制御機構となるため、簡単な構成で、室内
を快適な空調状態にする経済的な空調装置が得られる。
【0108】また、前記制御手段が、前記温度差が同じ
温度差において、前記冷房運転モードの圧縮機の能力に
対する前記除湿運転モードの圧縮機の能力をほぼ半分程
度の能力で制御するので、快適な除湿運転を維持しなが
ら消費電力が低下するため、室内を快適な空調状態にす
る経済的な空調装置が得られる。
【0109】また、前記制御手段が、前記除湿運転モー
ドにおける前記室内温度が前記室内設定温度の所定温度
範囲以内の時、前記室内湿度と前記室内設定湿度との湿
度差に基づいて、前記室内湿度が前記室内設定湿度より
も上昇してその湿度差が拡大するにしたがって前記室外
熱交換器の能力をダウンするように制御するので、顕熱
負荷よりも潜熱負荷を多く除去するようになるため、室
内をスピーディに快適な湿度状態にする空調装置が得ら
れる。
【0110】また、前記制御手段が、前記除湿運転モー
ドにおける前記室内温度が前記室内設定温度の所定温度
範囲以内の時、前記室内湿度と前記室内設定湿度との湿
度差に基づいて、前記室内湿度が前記室内設定湿度より
も降下してその湿度差が拡大するしたがって前記室外熱
交換器の能力をアップするように制御するので、潜熱負
荷を過度な乾燥状態にしないようになるため、室内を適
度な乾燥状態で維持する空調装置が得られる。
【0111】また、前記制御手段が、前記除湿運転モー
ドにおける前記室内温度が前記室内設定温度の所定温度
範囲外の時、前記室内温度と前記室内設定温度との温度
差に基づいて、前記室内温度が前記室内設定温度よりも
上昇してその温度差が拡大するにしたがって前記室外熱
交換器の能力をアップするように制御するので、顕熱負
荷の上昇に伴って顕熱負荷を除去するようになるため、
室内を快適な状態にする経済的な空調装置が得られる。
【0112】また、前記制御手段が、前記除湿運転モー
ドにおける前記室内温度が前記室内設定温度の所定温度
範囲外の時、前記室内温度と前記室内設定温度との温度
差に基づいて、前記室内温度が前記室内設定温度よりも
降下してその温度差が拡大するにしたがって前記室外熱
交換器の能力をダウンするように制御するので、顕熱負
荷の降下に伴って潜熱負荷を主に除去するようになるた
め、室内を快適な空調状態にする経済的な空調装置が得
られる。
【0113】また、前記制御手段が、前記室内温度が前
記室内設定温度に近づくにしたがって該設定温度をオー
バシュートしないようにPID手段等で前記圧縮機の能
力を制御するので、オーバシュートによるエネルギーロ
スも少なくできるため、経済的で、安定した運転状態で
室内を快適な空調状態にする経済的な空調装置が得られ
る。
【0114】また、前記制御手段が、前記室内温度が前
記室内設定温度よりも低い所定温度以下になった時、前
記圧縮機能力の出力を停止するので、無駄なエネルギを
使わず、肌寒さを感じさせずに室内を快適な空調状態に
する経済的な空調装置が得られる。
【0115】また、制御手段が、前記室内設定温・湿度
に対する前記室内空気の顕熱負荷と潜熱負荷の割合であ
る顕熱比線を求め、この求めた結果に基づいて前記圧縮
機又は、及び前記室外熱交換器の能力を制御するので、
設定温度に対する室内空気の顕熱負荷と潜熱負荷の割合
に応じた顕熱能力と潜熱能力を供給できるようになるた
め、直線的にスピーデイに快適な空調を実現する空調装
置が得られる。
【0116】また、前記制御手段が、前記室内空気のそ
の後の顕熱負荷と潜熱負荷の割合が前記求めた顕熱比の
所定範囲内にあるかないかを判断し、前記顕熱負荷と潜
熱負荷の割合が前記所定範囲内にない時、前記室内設定
温・湿度に対する前記室内空気のその後の顕熱負荷と潜
熱負荷との変化割合から前記求めた顕熱比線を修正し、
この修正した顕熱比線によって前記求めた顕熱比線上に
戻るようにしたので、外部からの侵入熱等によって室内
空気の状態が変化しても、確実に快適な空調をスピーデ
ィに実現する信頼性の高い空調装置が得られる。
【0117】また、前記制御手段が、前記修正顕熱比線
で前記求めた顕熱比線上に戻るようにする時、前記室内
空気のその後の顕熱負荷と潜熱負荷との変化割合が継続
されるものであるかないかを判断し、継続されないと判
断した時は、前記修正顕熱比線を前記室内設定温・湿度
に対する前記室内空気のその後の顕熱負荷と潜熱負荷と
の割合から求めて制御するので、継続されない外部侵入
熱等によって室内空気の状態が変化しても、これに確実
に対応するようになるため、更に確実に快適な空調をス
ピーディに実現する信頼性の高い空調装置が得られる。
【0118】また、前記制御手段が、前記修正顕熱比線
で前記求めた顕熱比線上に戻るようにする時、前記室内
空気のその後の顕熱負荷と潜熱負荷との変化割合が継続
されるものであるかないかを判断し、継続されると判断
した時は、この継続される顕熱負荷と潜熱負荷との変化
割合を加味して前記室内設定温・湿度に対する前記修正
顕熱比線を求めて制御するので、継続される外部侵入熱
等によって室内空気の状態が変化しても、これに確実に
対応するようになるため、更に確実に快適な空調をスピ
ーディに実現する信頼性の高い空調装置が得られる。
【0119】また、制御手段が、前記第1室内熱交換器
が凝縮器として機能する除湿運転モード、又は蒸発器と
して機能する冷房運転モードに関わらず、前記室内空気
のエンタルピと前記室内設定空気のエンタルピとのエン
タルピ差に基づいて前記圧縮機又は、及び前記室外熱交
換器の能力を制御するので、特に、顕熱負荷に対して潜
熱負荷が大きい時は、このエンタルピ差制御の方が室内
空気をスピーディに快適な空調状態にできる。また、顕
熱負荷に対して潜熱負荷が小さい時でも、過大な冷房能
力で冷却しなくなるため、室温の急速低下による設定温
度を越えるオーバシュートの恐れも無くなり、経済的な
空調装置が得られる。
【0120】また、制御手段が、前記第1室内熱交換器
が凝縮器として機能する除湿運転モード、又は蒸発器と
して機能する冷房運転モードに関わらず、前記室内空気
の湿球温度と前記室内空気の設定湿球温度との差に基づ
いて前記圧縮機又は、及び前記室外熱交換器の能力を制
御するので、簡便な構成で、全負荷に対応できるように
なるため、快適な空調を実現する経済的で、信頼性の高
い空調装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1から3の空調装置の冷
媒回路図である。
【図2】 本発明の実施の形態1に係わる空調装置の圧
縮機、室外ファンの能力変化に対する潜熱と顕熱負荷の
変化状況図である。
【図3】 本発明の実施の形態1に係わる温湿度マップ
を示す図である。
【図4】 本発明の実施の形態1に係わる空調装置の制
御フローを示す図である。
【図5】 本発明の実施の形態1に係わる室外ファンの
ステップ毎の回転数を示す図である。
【図6】 本発明の実施の形態1を示す空調装置の他の
冷媒回路図である。
【図7】 本発明の実施の形態2に係わる空調装置の除
湿運転時の運転状況をPH線図上に示した図である。
【図8】 本発明の実施の形態2に係わる空調装置の能
力を空気線図上に示した図である。
【図9】 本発明の実施の形態2に係わる室外ファン変
化時の空調装置の冷媒温度変化を示した図である。
【図10】 本発明の実施の形態2に係わる空調装置の
冷媒温度が変化した場合の空気変化を空気線図上に示し
た図である。
【図11】 本発明の実施の形態2に係わる空調装置の
制御フローを示す図である。
【図12】 本発明の実施の形態2に係わる空調装置の
空気状態変化を空気線図上に示した図である。
【図13】 本発明の実施の形態2、3に係わる圧縮機
と室外熱交換器の能力変化に対するSHF、エンタルピ
差、及び湿球温度差を示した図である。
【図14】 本発明の実施の形態3に係わる空調装置の
空調負荷を空気線図上に示した図である。
【図15】 本発明の実施の形態3に係わる圧縮機の周
波数と湿度差との関係を示した図である。
【図16】 本発明の実施の形態3に係わる圧縮機の周
波数を制御するフロー図である。
【図17】 本発明の実施の形態3に係わる室外ファン
の回転数と湿度差との関係を示した図である。
【符号の説明】
1 圧縮機、 2 四方弁、 3 室外熱交換器、 4
第1の冷媒流量調整装置(室外電子膨張弁)、 5
第1室内熱交換器、 6 第1の冷媒流量調整装置(室
内電子膨張弁)、 7 第2室内熱交換器、 8 室外
熱交換器ファン、 9 室内熱交換器ファン、 10、
11、12、13、14、 温度センサ、 15 湿度
センサ、 16 計測制御装置、 17 室外ユニッ
ト、 18室内ユニット、 19 リモコン、 20
電磁弁、 21 流動抵抗体。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉川 利彰 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 (72)発明者 田邊 義浩 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 (72)発明者 関 辰夫 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 (72)発明者 松岡 文雄 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 (72)発明者 大西 茂樹 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 Fターム(参考) 3L060 AA07 CC02 CC07 CC19 DD02 DD07 3L092 AA03 BA14 BA26 BA27 BA28 DA03 DA04 EA15 EA20 FA03 FA22 FA23 FA24

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 圧縮機、室外熱交換器、第1の冷媒流量
    調整装置、第1室内熱交換器、第2の冷媒流量調整装
    置、第2室内熱交換器が順次配管で接続され、室内を空
    調する空調装置において、制御手段が、前記室内温度と
    前記室内設定温度よりも高い所定温度とを比較し、この
    比較結果で前記第1室内熱交換器を蒸発器として機能さ
    せたり、凝縮器として機能させたりして前記空調装置の
    冷房又は除湿運転モードを制御することを特徴とする空
    調装置。
  2. 【請求項2】 前記制御手段が、前記室内温度の降下時
    における該室内温度が前記所定温度以下になるまでは、
    前記第1室内熱交換器を蒸発器として機能させ、その所
    定温度よりも低くなった時は、凝縮器として機能させる
    ことを特徴とする請求項1に記載の空調装置。
  3. 【請求項3】 前記制御手段が、前記所定温度よりも降
    下した前記室内温度の上昇時における該室内温度が前記
    所定温度よりも高い第2の所定温度以上になるまでは、
    前記第1室内熱交換器を凝縮器として機能させ、その第
    2の所定温度を越えた時は、蒸発器として機能させるこ
    とを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の空調
    装置。
  4. 【請求項4】 前記制御手段が、前記室内設定温度が予
    め設定された温度以下か以上かを判断し、この判断結果
    で前記室内設定温度が予め設定された温度以下になった
    時、前記第1室内熱交換器の機能を制御することを特徴
    とする請求項1から4までのいずれかに記載の空調装
    置。
  5. 【請求項5】 圧縮機、室外熱交換器、第1の冷媒流量
    調整装置、第1室内熱交換器、第2の冷媒流量調整装
    置、第2室内熱交換器が順次配管で接続され、室内を空
    調する空調装置において、制御手段が、前記第1室内熱
    交換器が凝縮器として機能する除湿運転モード、又は蒸
    発器として機能する冷房運転モードに関わらず、前記室
    内温度と前記室内設定温度との温度差に基づいて前記圧
    縮機の能力を制御することを特徴とする空調装置。
  6. 【請求項6】 前記制御手段が、前記温度差が同じ温度
    差において、前記冷房運転モードの圧縮機の能力に対す
    る前記除湿運転モードの圧縮機の能力をほぼ半分程度の
    能力で制御することを特徴とする請求項5に記載の空調
    装置。
  7. 【請求項7】 前記制御手段が、前記除湿運転モードに
    おける前記室内温度が前記室内設定温度の所定温度範囲
    以内の時、前記室内湿度と前記室内設定湿度との湿度差
    に基づいて、前記室内湿度が前記室内設定湿度よりも上
    昇してその湿度差が拡大するにしたがって前記室外熱交
    換器の能力をダウンするように制御することを特徴とす
    る請求項5又は6のいずかに記載の空調装置。
  8. 【請求項8】 前記制御手段が、前記除湿運転モードに
    おける前記室内温度が前記室内設定温度の所定温度範囲
    以内の時、前記室内湿度と前記室内設定湿度との湿度差
    に基づいて、前記室内湿度が前記室内設定湿度よりも降
    下してその湿度差が拡大するしたがって前記室外熱交換
    器の能力をアップするように制御することを特徴とする
    請求項5又は6のいずかに記載の空調装置。
  9. 【請求項9】 前記制御手段が、前記除湿運転モードに
    おける前記室内温度が前記室内設定温度の所定温度範囲
    外の時、前記室内温度と前記室内設定温度との温度差に
    基づいて、前記室内温度が前記室内設定温度よりも上昇
    してその温度差が拡大するにしたがって前記室外熱交換
    器の能力をアップするように制御することを特徴とする
    請求項5又は6のいずかに記載の空調装置。
  10. 【請求項10】 前記制御手段が、前記除湿運転モード
    における前記室内温度が前記室内設定温度の所定温度範
    囲外の時、前記室内温度と前記室内設定温度との温度差
    に基づいて、前記室内温度が前記室内設定温度よりも降
    下してその温度差が拡大するにしたがって前記室外熱交
    換器の能力をダウンするように制御することを特徴とす
    る請求項5又は6のいずかに記載の空調装置。
  11. 【請求項11】 前記制御手段が、前記室内温度が前記
    室内設定温度に近づくにしたがって該設定温度をオーバ
    シュートしないようにPID手段等で前記圧縮機の能力
    を制御することを特徴とする請求項5に記載の空調装
    置。
  12. 【請求項12】 前記制御手段が、前記室内温度が前記
    室内設定温度よりも低い所定温度以下になった時、前記
    圧縮機能力の出力を停止することを特徴とする請求項5
    に記載の空調装置。
  13. 【請求項13】 圧縮機、室外熱交換器、第1の冷媒流
    量調整装置、第1室内熱交換器、第2の冷媒流量調整装
    置、第2室内熱交換器が順次配管で接続され、室内を空
    調する空調装置において、制御手段が、前記室内設定温
    ・湿度に対する前記室内空気の顕熱負荷と潜熱負荷の割
    合である顕熱比線を求め、この求めた結果に基づいて前
    記圧縮機又は、及び前記室外熱交換器の能力を制御する
    ことを特徴とする空調装置。
  14. 【請求項14】 前記制御手段が、前記室内空気のその
    後の顕熱負荷と潜熱負荷の割合が前記求めた顕熱比の所
    定範囲内にあるかないかを判断し、前記顕熱負荷と潜熱
    負荷の割合が前記所定範囲内にない時、前記室内設定温
    ・湿度に対する前記室内空気のその後の顕熱負荷と潜熱
    負荷との変化割合から前記求めた顕熱比線を修正し、こ
    の修正した顕熱比線によって前記求めた顕熱比線上に戻
    るようにしたことを特徴とする請求項13に記載の空調
    装置。
  15. 【請求項15】 前記制御手段が、前記修正顕熱比線で
    前記求めた顕熱比線上に戻るようにする時、前記室内空
    気のその後の顕熱負荷と潜熱負荷との変化割合が継続さ
    れるものであるかないかを判断し、継続されないと判断
    した時は、前記修正顕熱比線を前記室内設定温・湿度に
    対する前記室内空気のその後の顕熱負荷と潜熱負荷との
    割合から求めて制御することを特徴とする請求項14に
    記載の空調装置。
  16. 【請求項16】 前記制御手段が、前記修正顕熱比線で
    前記求めた顕熱比線上に戻るようにする時、前記室内空
    気のその後の顕熱負荷と潜熱負荷との変化割合が継続さ
    れるものであるかないかを判断し、継続されると判断し
    た時は、この継続される顕熱負荷と潜熱負荷との変化割
    合を加味して前記室内設定温・湿度に対する前記修正顕
    熱比線を求めて制御することを特徴とする請求項14に
    記載の空調装置。
  17. 【請求項17】 圧縮機、室外熱交換器、第1の冷媒流
    量調整装置、第1室内熱交換器、第2の冷媒流量調整装
    置、第2室内熱交換器が順次配管で接続され、室内を空
    調する空調装置において、制御手段が、前記第1室内熱
    交換器が凝縮器として機能する除湿運転モード、又は蒸
    発器として機能する冷房運転モードに関わらず、前記室
    内空気のエンタルピと前記室内設定空気のエンタルピと
    のエンタルピ差に基づいて前記圧縮機又は、及び前記室
    外熱交換器の能力を制御することを特徴とする空調装
    置。
  18. 【請求項18】 圧縮機、室外熱交換器、第1の冷媒流
    量調整装置、第1室内熱交換器、第2の冷媒流量調整装
    置、第2室内熱交換器が順次配管で接続され、室内を空
    調する空調装置において、制御手段が、前記第1室内熱
    交換器が凝縮器として機能する除湿運転モード、又は蒸
    発器として機能する冷房運転モードに関わらず、前記室
    内空気の湿球温度と前記室内空気の設定湿球温度との差
    に基づいて前記圧縮機又は、及び前記室外熱交換器の能
    力を制御することを特徴とする空調装置。
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