JP4230623B2 - 厚膜二酸化ケイ素の被覆方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、、特に厚膜(例えば膜厚0.2μm以上)でも耐クラック性に優れ、且つ強靱な二酸化ケイ素膜を基体面に被覆する方法に関する。これにより得られた該被覆基体は、広範囲に用途展開(太陽電池用基板、液晶用基板、各種光導波路用基板等)が計れる。
【0002】
【従来の技術】
フイルム等の基体面に酸化ケイ素膜を被覆して耐摩耗性、耐食(薬品)性、各種気体に対するバリヤ−性、耐熱性、光学性等を付与することについては良く知られたことである。その被覆方法については、例えばPVD法、CVD法、ゾル−ゲル法又はポリシラザン法がある。
これらの方法は、基体の種類、目的等によっていずれかの方法が採られるが、中でも高純度の二酸化ケイ素膜(Si0)が、簡単なコ−テング技術によって被覆できる点から見るとポリシラザン法が有効である。
【0003】
ポリシラザン法は、一般に−(SiR2NH)−(R2はH2又はHの1つ又は2つがメチル、エチル等のアルキル基等の有機基)で示されるように、SiNを基本ユニットとしてなる無機又は有機のシラザンポリマ(以下PSと呼ぶ)の有機溶媒溶液を、基体に塗布して後、化学的手段によりSi0膜を被覆する方法である。この化学的手段の具体的方法については、例えば特開平7−223867号公報、特開平9−31333号公報、特開平9−157544号公報等で公開されている。
【0004】
まず特開平7−223867号公報では、PSを室温乾燥又は熱処理した後、水蒸気雰囲気にさらす又は/及び触媒含有蒸留水に浸漬することにより、150℃以下という低温でプラスチックフイルムにSiO系セラミックスを被覆する方法が開示されている。
特開平9−31333号公報では、アミン類又は/及び酸類の添加されてなるPSを水蒸気と接触させる方法、及びPSをアミン類又は/及び酸類を含む水溶液中に浸漬するか、又は該水溶液から発する蒸気と接触させる方法とが開示されている。
特開平9−157544号公報では、▲1▼アミン類又は/アミン類と有機酸類の添加されたPS溶液を塗布後、水蒸気雰囲気中で硬化焼成するか、▲2▼PS溶液を塗布後、アミン類の蒸気と水蒸気に接触させるか、▲3▼PS溶液を塗布後、無機酸水溶液の蒸気に接触させて硬化焼成するか、▲4▼PS溶液を塗布後、アミン類水溶液に浸漬して硬化焼成するか、▲5▼PS溶液を塗布後、無機酸水溶液に浸漬して硬化焼成するかの5つの方法が開示されている。
又これら各号公報では、反応の促進(より低温度で迅速変化の触媒)のために、PS原液にNi、Pt、Pd等のいずれかを含むアセチルアセト錯体とか、Ni、Ti、Co、Pd等の脂肪酸塩等の金属系の触媒を添加することが好ましい旨も記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前記各号公報記載の方法は、より低温で、且つ迅速に硬化焼成してSiO膜を形成する方法として有効である。ところが本発明者らが行った検討の中で、次のような問題のあることも判った。それは形成しようとするSiOの膜厚についての事であるが、いずれの方法を採ってみても、より厚くしようとすればする程、クラックが入り易い傾向があること。又この傾向は、前記各号報で好ましく開示されている金属系触媒の添加系で、より強くなるということである。
より厚くしてもクラックが入らず、しかもこれが金属系触媒を添加しないPS溶液からでも可能になれば、形成されるその厚膜SiOの純度は、より一層高く且つより硬質で強靱なものとして得られるようになる。これは従来にない、又は使用できなかった用途分野、例えば、太陽電池用(プラスチック)基板、液晶用(プラスチック)基板、フレキシブル(プラスチック)光導波路用基板(光コネクタ−、光集積回路、センサ−等)等への使用が計れるようになり、より一層有効なものとして利用できるようになる。
【0006】
本発明は、前記のより厚い膜厚でもクラックの入らない、より純度、硬度の高い強靱なSiO膜が基体面に容易に形成されることを課題として、これを解決するために見出されたものである。それは次のような手段によって容易に達成することができる。
【0007】
【課題を解決するための手段】
即ち本発明は、請求項1に記載するものであり、それは基体にポリシラザン溶液を塗布し、化学的処理して二酸化ケイ素膜を被覆する方法において、次の(A)〜(D)の各工程が順次行なわれることを特徴とした厚膜二酸化ケイ素の被覆方法である。
(A)基体にポリシラザン溶液を塗布し、蒸発乾燥する工程、
(B)空気中で加熱処理する工程、
(C)加熱水蒸気で処理する工程、
(D)水蒸気を含むガス状のアミン系化合物で処理する工程。
【0008】
そして前記ポリシラザン溶液が、特に金属系触媒を含まないペルヒドロポリシラザン溶液である場合により効果的であり(請求項2)、又前記二酸化ケイ素の厚膜を0.2μm以上の、より厚い膜厚の形成にとって、より効果的な被覆方法(請求項3)でもある。本発明を以下の実施形態でより詳細に説明する。
【0009】
【発明の実施の形態】
まずポリシラザンは、基本的には前記略称PSで示す構造を有し、その分子量は前記各号公報にも記載されているように、数平均分子量で100以上50000程度の無機又は有機のポリマである。ここでまず有機よりも無機、つまり前記一般式で示す−(SiR2NH)−のR2がH2であるペルヒドロポリシラザン(以下H−PSと呼ぶ)にとって好ましく、更には前記金属系触媒無添加反応系でより好ましく達成される。これは有機、つまりR2がメチル、エチル基等の有機基であるペルオルガノポリシラザンでは、前記従来法でも比較的厚い膜厚(例えば0.5μm)でもクラックが入り難い。これに対して、該H−PSでは、前記従来法では0.15μm程度からでもクラックが入り始める。これが本法を採用すれば、例えばこれが10倍の膜厚になってもクラックが入らない、より高品質のSiO膜が強固な密着でもって被覆されるからである。
尚、ここで言うPSは、前記の通り基本的には直鎖状に連結されているポリマであるが、これが部分的に環状をもって連結された前駆的ポリマ状態であってもよい。
【0010】
前記PSは、まずその溶液、つまり該PSの溶媒であるベンゼン、キシレン、トルエン等の芳香族炭化水素とか、ジクロルメタン等のハロゲン化炭化水素、テトラヒドロフラン等のエ−テル化合物に、該PSを5〜25重量%程度溶解した溶液となす。そして該PS溶液を使って前記(A)〜(D)に記載する工程を順次忠実に実行する。その工程を順次説明する。
【0011】
まず第一工程(A)は、まず基体に塗布し、該溶媒を蒸発乾燥する。ここで該基体は、厚さ0.05〜2mm程度の不透明ないし透明のプラスチック成形体(シ−ト状から管状)、ガラス成形体、必要あれば金属製とか木製の成形体等でもよく、その材質とか、形状、大きさには拘らず対象になる。但し特に(B)の空気中での加熱処理工程の際に、基体自身が熱変形するような材質であってはならないので、この点を注意して適宜選択することになる。
塗布の手段にも制限はなく、各々の該基体に合う最適な方法(スピン、ロ−ル、スプレ−、浸漬、印刷等による方法)が採られる。塗布は基本的には、所定厚さになるように1回の塗布で終了するようにするのが良いが、なお所定厚さにならない場合には本工程を繰り返してもよい。
又塗布後の蒸発乾燥は、含まれる該溶媒の蒸発除去であり、従って使用する溶媒の種類、使用量等によって単に空気中に放置する場合もあれば、加熱する場合もある。しかし特に加熱する場合には、PS自身、若干の変化は許容されるにしても、この段階でSiOに変化するような温度であってはならない。これはこの段階でSiOに変化すると、クラックの発生に繋がり易いからである。これはせいぜい120°Cを上限として熱風で乾燥することで防ぐ事ができる。
尚、塗布するに先だってより接着性を上げるために、塗布する基体面を予め電気的、物理化学的、化学的手法等によって前処理をしておいてもよい。
【0012】
前記(A)工程が終了すると、次に(B)の空気中での加熱処理工程に移る。まずここでの加熱処理は、前記塗布・乾燥してコ−テングされたPSを、SiO膜に変えるための操作であるが、しかしこの段階で該PSの全てがSiO膜に変化してはならない。これは更に行う(C)から(D)の工程を経ても、本発明が課題とする、より厚膜でクラックの入らない強靱なSiO膜と言うレベルで被覆されないからである。この理由は定かでないが、(B)の段階で全てがSiO膜になった場合のSiO膜は、十分な高分子量をもって多次元化されたものにはなっていなく、従って脆い状態のSiO膜が形成されてしまうためではないかと考えられる。
従ってここでの加熱温度は、完全にSiO膜に変化しない温度と言うことになるが、具体的には約140〜200°C程度が例示できる。これを変化率で例示すると約80〜90%程度と言える。
又加熱雰囲気は、空気中つまり酸素存在下ということにもなるが、これはPSのSi−N結合がSi−Oに変化するのにより有効に作用するからである。
尚、加熱時間は3〜15分間程度でよい。
【0013】
次に前記(B)工程が終了すると、次の(C)の加熱水蒸気で処理する工程に移る。
ここでの処理は、前記(B)工程で得られた未変化PS部分を約60〜100°C程度に加熱された水から発せられる蒸気(RHで60〜95%程度)に曝して、更にSiO膜への変化を促進しつつ、より高分子量でもって多次元化されたSiO膜へと変化させるためのものである。従って前記(B)工程で未変化のPS部分の大部分はSiO膜へ繋がって変化するが、なおも若干は(例えば1〜3%程度)残存している。つまり逆に若干残してこの工程を終わることが必要である。これもこの段階で全てのPSを完全にSiO膜に変化させてしまうと、最終的に形成されるより一層厚膜のSiO膜を、クラックなしに得ることが困難になるからである。
尚、ここでの処理時間は3〜20分間程度でよい。
【0014】
次に前記(C)工程が終了すると、最後の(D)の水蒸気を含むガス状のアミン系化合物での処理工程に移る。
ここでの処理は、前記(C)工程のように、単なる水蒸気に曝すのではなくて、水にアミン系化合物が溶解して含まれ、且つその水溶液が気化状態にあって、それに前記(C)工程処理済み体を接触し処理するものである。従って、単にアミン系化合物が溶解した水溶液と接触させるだけでは、本発明にいう効果は得られない。この気体雰囲気下での処理によって、前記(C)工程で、なおも残るPSをより強靱なSiO膜へと、より迅速に変化させることができる。この工程を終え、目的とするクラックのない、より高純度、高硬質の強靱な厚膜SiOが基体に被覆され、各々の用途に合う製品として得ることができる。
ここで気化水の中のアミン系化合物は、微量に残るPSでもより低温度で、迅速に、且つ完全にSiO膜へと変化させる作用をするが、例えばこれを有機酸又は無機酸に変えてもSiO膜への変化は同様に促進する。しかし理由はよく判らないが、基体との密着力の点で弱く、これがクラックの発生のし易さに繋がって行くと言う点で望ましくなく、使用できない。但しこれの微量を、該アミン系化合物に混合することは場合によっては許されることである。
【0015】
前記アミン系化合物は、水溶性でアルカリ性を示す一般に知られる有機アミンを言う。具体的には、例えばC1〜5のアルキル基が1〜3個置換された第1〜第3級の直鎖状脂肪族アミン、フエニル基が1〜3個置換された第1〜第3級の芳香族アミン、ピリジン又はこれにメチル、エチル基等のアルキル基が核置換された環状脂肪族アミン等を挙げることができる。これらは塩基性度、沸点等がかなりの範囲で異なっているので使い易さとか、前記効果の点で多少の差があるのは避けられない。より使い易く、より効果的なものを選ぶことが望まれるが、それは沸点は常温以上、好ましくは50〜120°C程度で、塩基性度は高いよりも低い脂肪族アミンの中により好ましいものがある。これは例えばジエチルアミン、トリエチルアミン、モノブチルアミン、モノプロピルアミン、ジプロピルアミン等である。
【0016】
前記アミン系化合物の添加量は、無変化のPSの場合に、該PSの重量に対して好ましく添加される100ppm〜100%を基準にして、前記(C)工程の終了時点で残存するPSに比例して、少なくともそれに足りる量ということである。従って、必要以上に過剰でもよいが、それが水蒸気に溶解しない状態になるような過剰量であっては好ましくない。
尚、塩基性度の高い該化合物を使用する場合には、低い該化合物よりも少ない添加量でよい。
【0017】
アミン系化合物を含む水溶液の気化手段は、例えば予め水に所定量の該アミン化合物を添加した水溶液を気化するに十分な温度に加熱してガス状(蒸気状)雰囲気をつくる方法。又前記方法において、より低い温度で気化を促進するために、該水溶液中に常温又は加熱した空気、Nガス等を吹き込みバブリングして同様雰囲気をつくる方法。更には水(加熱又は常温)と該アミン化合物(加熱又は常温)の各々に空気、Nガス等(加熱又は常温)を吹き込み気化させて、これを1つに合流して同様雰囲気をつくる方法等がある。
前記手段による接触時間は、ほぼ10秒〜5分程度といったところである。しかし、これよりも長くなったからといって、前記効果に悪影響があると言うものではない。
【0018】
尚本発明は、前記(A)〜(D)の工程を順次行って終了するが、(D)の終了後に更に完結を期すために、又は熟成(アニ−リング)等の意味から常温の空気中に放置するか、前記(C)で行ったような温度条件で加熱処理してもよい。
【0019】
本発明はPS溶液、好ましくは前記金属系触媒無添加反応系でのH−PS溶液から、より厚膜(例えば0.2μm以上)でクラックが入らず、しかもより高純度で高硬質、強靱なSiO膜を形成させる特有の方法である。従って前記従来のいずれ方法によっても、又本法の(A)〜(D)の処理順序を変えても、この効果は発現しない。各工程で行う処理条件と処理順序とが、不可避的に結合されて相乗的効果でもって達成されたものと言える。このことは以下の比較例と共に詳述する実施例によって一層明白にされる。
【0020】
【実施例】
【0021】
(実施例1)
PS溶液として、H−PS(平均分子量700)の20重量%のキシレン溶液を(以下HPS原液と呼ぶ)を用いて、次の各工程条件で順次処理した。
(A)工程
厚さ75μm、300×300mmのポリエチレンナフタレ−トフイルム(PENフイルム)を基体として、この上に、該HPS原液を更にキシレンを添加して18重量%に希釈した溶液を調製した。そしてこれの10gを採取して、スピンコ−テング法によってスピンコ−テング(1800rpm/10秒)した後、100°Cの熱風で該キシレンを蒸発乾燥してまずH−PS膜を設けた(A処理フイルム)。
(B)工程
次に前記A処理フイルムを、160℃に制御された空気を含む加熱室に10分間放置した(B処理フイルム)。
(C)工程
次に前記B処理フイルムを、95℃−RH75%に制御された水蒸気中に7分間放置した(C処理フイルム)。
(D)工程
最後に、予め1対1(重量比)で溶解して調製したトリエチルアミン水溶液を上部開口の容器中に入れて、これを50°Cに加熱し上部に蒸発雰囲気をつくり、そしてこの雰囲気下に前記C処理フイルムを、5分間曝して全工程を終了した(D処理フイルム)。
【0022】
前記得られた乾燥D処理フイルムについて、まず被覆面を拡大顕微鏡で観察した。クラック等の表面傷は全く見られなかった。そして膜厚は1.2μmであり、そして湾曲状態で180°に10回折曲げてテストした。剥離等の現象は全く見られなかった。更にIRスペクトル分析によりH−PSからSiOへの変化を確認した(Si−Nの吸収は実質的に見られず、全んどSi−0に基づく吸収であった)。
【0023】
(実施例2)
PS溶液として、H−PS(平均分子量700)の20重量%ジブチルエ−テル溶液を(以下HPS−D原液と呼ぶ)を用いて、次の各工程条件で順次処理した。
(A)工程
ここでは、基体として厚さ0.3mm、300×300mmの非晶性環状ポリオレフィンシ−ト(JSR株式会社・商品名ア−トン)の片面を、予めシランカップリング剤(γ−アミノプロピルトリエトキシシランのジブチルエ−テル溶液を使用)にて化学的前処理を行ってプライマ層を設けたものを使用した(PC基板)。そして該PC基板の上に、該HPS−D原液を、更にジブチルエ−テルを添加して10重量%に希釈した溶液の10gを採取して、スピンコ−テング法によってスピンコ−テング(1800rpm/10秒)した後、120°Cの熱風で該ジブチルエ−テルを蒸発乾燥して、相当するH−PS膜を設けた(A処理板)。
(B)工程
次に前記A処理板を、160℃に制御された空気を含む加熱室に、15分間放置した(B処理板)。
(C)工程
次に前記B処理板を、95℃−RH75%に制御された水蒸気中に7分間放置した(C処理板)。
(D)工程
最後に、水とジプロピルアミンとを各々別個に加熱(水60°C、ジプロピルアミン85°C)しておいた中に、常温のN2ガスを吹き込み、両者から発生する各蒸気を合流して混合気体となし、これを前記C処理板に10分間曝して全工程を終了した(D処理板)。
尚D処理板には、若干の水滴が付着していたので、120°Cの熱風をあてて乾燥除去して製品とした。
【0024】
前記得られた乾燥D処理フイルムについて、まず被覆面を拡大顕微鏡で観察した。クラック等の表面傷は全く見られなかった。そして膜厚は0.9μmであり、極めて強固に密着してもいた。更にIRスペクトル分析によりH−PSからSiOへの変化を確認した(実施例1と同様に、全んどがSi−0に基づく吸収であった)。
【0025】
(比較例1)(実施例1との対比例)
まず実施例1のHPS原液を用いて、これに更にキシレンを添加して、10重量%に希釈した溶液を調製した。これを65g採取して、厚さ75μm、600×900mmのPENフイルムに、スピンコ−テング法によってコ−テング(1800rpm/15秒)した後、100°Cの熱風で該キシレンを蒸発乾燥してH−PS膜を設けた。これを300×300mmに6枚にカットした。
【0026】
そして前記6枚の中の3枚を用いて、各々に付き実施例1の各工程での処理条件とは同一であるが、処理順序を次の3つに変えてSiO膜を形成した。
▲1▼、(D)⇒(C)⇒(B)
▲2▼、(C)⇒(B)⇒(D)
▲3▼、(B)⇒(D)⇒(C)
【0027】
前記結果は次の通りであった。
まずIRスペクトル分析にて、H−PSからSiOへの変化を確認したところ実施例1と実質的に差はなくSiOに変化していた。しかしながら拡大顕微鏡で各表面を観察すると、各工程で若干の差はあるものの微細ではあるが、ほぼ全面に一様にクラックが見られた。
又形成されたSiO膜の厚さは、各工程で0.6〜0.7μmの中にあった。
SiO膜の厚さが実施例1の約半分と薄くても、本発明の各工程条件で、且つ(B)⇒(C)⇒(D)の順序で処理しない限り、本発明の目的は達成されないことが顕著に現れていることが判る。
【0028】
(比較例2)(実施例1との対比例)
比較例2で得た残る2枚中1枚を用いて、実施例1におけ工程中(B)⇒(D)の2工程を順次行った。但しH−PSからSiOへの変化をより完全に行うことを意図として、(B)工程における加熱時間は60分間、(D)工程における放置時間は30分間とした。
【0029】
まずIRスペクトル分析にて、H−PSからSiOへの変化を確認したところ実施例1と実質的に差はなくSiOに変化していた。しかしながら拡大顕微鏡で表面を観察すると、比較例2よりも大きなクラックが見られた。
尚形成されたSiO膜の厚さは、0.7μmであった。
【0030】
(比較例3)
まず実施例1と同じH−PS原液を同様にキシレンで希釈した15重量%の溶液100gに、トリエチルアミン0.5gを添加して、該アミンを含むH−PSコ−テング液を調製した。
そして、これの10gを採取して、実施例1と同じPENフイルムに同様にスピンコ−テングした後、100°Cの熱風にて該キシレンを乾燥除去した。そしてこれを95℃−RH85%に制御された水蒸気中に60分間放置し、最後に160℃に制御された空気を含む加熱室に60分間放置した。
【0031】
前記得られた被覆フイルムに付き、まずIRスペクトル分析にて、H−PSからSiOへの変化を確認したところ、実施例1と実質的に差はなくSiOに変化していた。しかしながら拡大顕微鏡で表面を観察すると、比較例2よりも小さく少ないがクラックの発生が観察された。又実施例1と同様に180°に湾曲屈折すると、クラックの発生部分で部分的にSiO膜の剥離がみられた。
尚形成されたSiO膜の厚さは、0.8μmであった。
【0032】
【発明の効果】
本発明は前記の通り構成されているので、次のような効果を奏する。
【0033】
基体面へのポリシラザンによるSiO膜の塗膜に関し、より厚膜にしてもクラックが入らず、より硬質で強靱なSiO膜が被覆できるようになった。
【0034】
例えば1μm以上といった厚い高質のSiO膜が、種々の基体に被覆できるようになったことで、例えば太陽電池用基板、各種光導波路用基板、液晶用基板等への利用がより容易になり、より一層の用途拡大が計れるようになった。

Claims (3)

  1. 基体にポリシラザン溶液を塗布し、化学的処理して二酸化ケイ素膜を被覆する方法において、次の(A)〜(D)の各工程が順次行なわれることを特徴とする厚膜二酸化ケイ素の被覆方法。
    (A)基体にポリシラザン溶液を塗布し、蒸発乾燥する工程、
    (B)空気中で加熱処理する工程、
    (C)加熱水蒸気で処理する工程、
    (D)水蒸気を含むガス状のアミン系化合物で処理する工程。
  2. 前記ポリシラザン溶液が、金属系触媒を含有しないペルヒドロポリシラザンの溶液である請求項1に記載の厚膜二酸化ケイ素の被覆方法。
  3. 前記厚膜二酸化ケイ素の膜厚が0.2μm以上である請求項1又は2に記載の厚膜二酸化ケイ素の被覆方法。
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