JP4221819B2 - 感光性樹脂前駆体組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、半導体素子の表面保護膜、層間絶縁膜などに適した紫外線で露光した部分がアルカリ水溶液に溶解するポジ型の感光性ポリイミド前駆体組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
露光した部分が現像により溶解するポジ型の耐熱性樹脂前駆体組成物としては、ポリアミド酸にナフトキノンジアジドを添加したもの(特開昭52−13315号公報)、水酸基を有した可溶性ポリイミドにナフトキノンジアジドを添加したもの(特開昭64−60630号公報)、水酸基を有したポリアミドにナフトキノンジアジドを添加したもの(特開昭56−27140号公報)などが知られていた。
【0003】
しかしながら、通常のポリアミド酸にナフトキノンジアジドを添加したものではナフトキノンジアジドのアルカリに対する溶解阻害効果よりポリアミド酸のカルボキシル基の溶解性が高いために、ほとんどの場合希望するパターンを得ることが出来ないという問題点があった。また、水酸基を有した可溶性ポリイミド樹脂を添加したものでは、今述べたような問題点は少なくなったものの、可溶性にするために構造が限定されること、得られるポリイミド樹脂の耐溶剤性が悪い点などが問題であった。
【0004】
以上の欠点を考慮し、本発明はポリイミド前駆体に特定の構造を有した新規ナフトキノンジアジド化合物を添加することで、得られる樹脂組成物が、露光前はアルカリ現像液にほとんど溶解せず、露光すると容易にアルカリ現像液に溶解するために、現像による膜減りが少なく、かつ短時間に現像できることを見いだし、発明に至ったものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、特定の構造を有したポリイミド前駆体に特定のナフトキノンジアジド化合物を加えることで、現像による未露光部の膜減りが少なく、かつ短時間で現像できるポジ型の耐熱性樹脂組成物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は(a)前記一般式(1)で表され、一般式(1)中のR 1 (COOR 3 )m(OH)pが前記一般式(4)で表される構造単位または一般式(1)中のR 2 (OH)qが前記一般式(6)または(7)で表される構造単位を主成分とするポリマーと、(b)ダイポールモーメントが0.1デバイ以上1.6デバイ以下であり前記一般式(3)で表される少なくとも1つのフェノール化合物とナフトキノンジアジドスルホン酸をエステル化した化合物を含有することを特徴とする感光性樹脂前駆体組成物である。
【0007】
【化8】
【0008】
(一般式(1)のR1は少なくとも2個以上の炭素原子を有する2価から8価の有機基を示し、R2は、少なくとも2個以上の炭素原子を有する2価から6価の有機基を示し、R3は水素、または炭素数1から10までの有機基を示す。nは10から100000までの整数、mは0から2までの整数、p、qは0から4までの整数を示す。pとqは同時に0になることはない。)
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明における一般式(1)で表される構造単位を主成分とするポリマーとは、加熱あるいは適当な触媒により、イミド環、オキサゾール環、その他の環状構造を有するポリマーとなり得るものである。環構造となることで、耐熱性、耐溶剤性が飛躍的に向上する。
【0010】
上記一般式(1)は、水酸基を有したポリアミド酸、ポリヒドロキシアミドを表しており、この水酸基の存在のために、アルカリ水溶液に対する溶解性が水酸基を有さないポリアミド酸よりも良好になる。特に、水酸基の中でもフェノール性の水酸基がアルカリ水溶液に対する溶解性より好ましい。また、フッ素原子を一般式(1)中に10重量%以上有することで、アルカリ水溶液で現像する際に、膜の界面に撥水性が適度に出るために、界面のしみこみなどが抑えられる。しかしながら、フッ素原子含有量が20重量%を越えると、アルカリ水溶液に対する溶解性が低下すること、熱処理により環状構造にしたポリマーの耐有機溶媒性が低下すること、発煙硝酸に対する溶解性が低下するために好ましくない。このように、フッ素原子は10重量%以上20重量%以下含まれることが好ましい。
【0011】
また、mが0の場合、ヒドロキシフタール酸、ビス(ヒドロキシカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、オキシジ(ヒドロキシカルボキシベンゼン)などを使用することが出来る。
【0012】
上記一般式(1)中、R1(OH)p(COOR3)mは酸の構造成分を表しており、この基は芳香族環を含有し、かつ、水酸基を1個から4個有した、炭素数2以上の2価から8価の基が好ましい。
【0013】
具体的には、一般式(4)に示されるような構造のものが好ましく、この場合、R10、R12は炭素数2から20より選ばれる3価から4価の有機基を表している。特に得られるポリマーの耐熱性より芳香族環を含んだものが好ましく、その中でも特に好ましい構造としてトリメリット酸残基、トリメシン酸残基、ナフタレントリカルボン酸残基のようなものを挙げることができる。またR11 は炭素数3から20の3価から6価の有機基が好ましい。さらに、水酸基はアミド結合と隣り合った位置にあることが好ましい。このようなR 11 (OH) b の例として、フッ素原子を含んだ、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン残基、ビス(3−ヒドロキシ−4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン残基、フッ素原子を含まない、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン残基、ビス(3−ヒドロキシ−4−アミノフェニル)プロパン残基、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシビフェニル残基、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシビフェニル残基、2,4−ジアミノ−フェノール残基、2,5−ジアミノフェノール残基、1,4−ジアミノ−2,5−ジヒドロキシベンゼン残基のアミノ基が結合したものなどを挙げることができる。
【0014】
また、一般式(4)のR13、R14は水素、あるいは炭素数1から10の有機基が良い。炭素数10以上になるとアルカリ現像液に対する溶解性が低下する。R13、R14はそれぞれ同じでも異なっていてもよい。a、cは1または2をあらわしており、bは1から4までの整数を表している。bが5以上になると、得られる耐熱性樹脂膜の特性が低下したり、吸水率が大きくなる。
【0015】
一般式(4)で表される構造の中で、好ましい構造を例示すると下記に示したような構造のものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0016】
【化9】
【0017】
一般式(1)のR2(OH)q成分のqが1以上のものを使用する場合、水酸基を有していないジカルボン酸残基、テトラカルボン酸残基、トリカルボン酸残基も使用することもできる。このようなものの例としては、イソフタール酸残基、テレフタール酸残基、ジカルボキシジフェニルエーテル残基、ジカルボキシジフェニルスルホン残基、ビス(カルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン残基、ナフタレンジカルボン酸残基、ピロメリット酸残基、ベンゾフェノンテトラカルボン酸残基、ビフェニルテトラカルボン酸残基、ジフェニルエーテルテトラカルボン酸残基、ジフェニルスルホンテトラカルボン酸残基などの芳香族テトラカルボン酸残基やそのカルボキシル基2個をメチル基やエチル基にしたジエステル化合物、ブタンテトラカルボン酸残基、シクロペンタンテトラカルボン酸残基などの脂肪族のテトラカルボン酸残基やそのカルボキシル基2個をメチル基やエチル基にしたジエステル化合物、トリメリット酸残基、トリメシン酸残基などの芳香族トリカルボン酸残基などを挙げることができる。
【0018】
上記一般式(1)中、R2(OH)qはジアミンの構造成分を表している。この中で、R2(OH)qの好ましい例としては、得られるポリマーの耐熱性より芳香族を有し、かつ水酸基を有するものが好ましく、具体的な例としてはフッ素原子を有した、ビス(アミノ−ヒドロキシ−フェニル)ヘキサフルオロプロパン残基、フッ素原子を有さない、ジアミノジヒドロキシピリミジン残基、ジアミノジヒドロキシピリジン残基、ヒドロキシ−ジアミノ−ピリミジン残基、ジアミノフェノール残基、ジヒドロキシベンチジン残基などの化合物や一般式(6)、(7)に示す構造のものをあげることができる。
【0019】
一般式(5)において、R15、R17は炭素数2から20の3価から4価の有機基を示しており、得られるポリマーの耐熱性より芳香族環を有したものが好ましい。R 15 (OH) d およびR 17 (OH) e の例として具体的には下記に示されたものを挙げることができる。
【0020】
【化10】
【0021】
iは1から4の整数、j、kは0から4の整数を示し、j+kは1以上である。また、ヒドロキシシクロヘキシル基、ジヒドロキシシクロヘキシル基などの脂肪族の基も使用することができる。
【0022】
一般式(5)のR16は炭素数2から30の2価の有機基を表している。得られるポリマーの耐熱性よりは芳香族を有した2価の基がよく、このような例を下記に示す。
【0023】
【化11】
【0024】
一般式(6)において、R18、R20は炭素数2から30の2価の有機基を表している。得られるポリマーの耐熱性よりは芳香族を有した2価の基がよく、このようなものとしては上記一般式(5)のR 16 の具体例に例示したものと同様のものを挙げることができる。R 19 は、炭素数2から20より選ばれる3価から6価の有機基を示しており、得られるポリマーの耐熱性より芳香族環を有したものが好ましい。このようなR 19 (OH) f としては上記一般式(5)のR 15 (OH) d およびR 17 (OH) e の具体例に例示したものと同様のものを挙げることができる。
【0025】
一般式(7)においてR21は炭素数2から20より選ばれる2価の有機基を表している。得られるポリマーの耐熱性よりは芳香族を有した2価の基がよく、このようなものとしては上記一般式(5)のR 16 の具体例に例示したものと同様のものを挙げることができる。一般式(7)のR22 は炭素数2から20より選ばれる3価から6価の有機基を示しており、得られるポリマーの耐熱性より芳香族環を有したものが好ましい。このようなR 22 (OH) g としては上記一般式(5)のR 15 (OH) d およびR 17 (OH) e の具体例に例示したものと同様のものを挙げることができる。
【0026】
一般式(4)で表されるものの具体的な例を下記に示す。
【0027】
【化12】
【0028】
一般式(5)で表されるものの具体的な例を下記に示す。
【0029】
【化13】
【0030】
一般式(6)で表されるものの具体的な例を下記に示す。
【0031】
【化14】
【0032】
一般式(7)で表されるものの具体的な例を下記に示す。
【0033】
【化15】
【0034】
また、一般式(1)のR1(OH)p(COOR3)mのpが1から4である時は、水酸基の無いジアミン成分を使用することもできる。この例を下記に示す。
【0035】
【化16】
【0036】
一般式(1)のR3は水素、あるいは炭素数1から10の有機基を表している。得られる感光性樹脂前駆体溶液の安定性からは、R3は有機基が好ましいが、アルカリ水溶液の溶解性より見ると水素が好ましい。本発明においては、水素原子とアルキル基を混在させることができる。このR3の水素と有機基の量を制御することで、アルカリ水溶液に対する溶解速度が変化するので、この調整により適度な溶解速度を有した感光性樹脂前駆体組成物を得ることが出来る。R3は全てが水素原子、全て有機基でも良いが、より好ましい範囲は、R3の10%から90%が水素原子であることである。R3の炭素数が10を越えるとアルカリ水溶液に溶解しなくなる。
【0037】
さらに、基板との接着性を向上させるために、耐熱性を低下させない範囲で 一般式(1)のR1(OH)p(COOR3)m、R2(OH)qにシロキサン構造を有する脂肪族の基を共重合してもよい。具体的には、R1(OH)p(COOR3)mとして、下記に示したものを1から20モル%共重合したものを挙げることができる。
【0038】
【化17】
【0039】
(Rは水素原子、炭素数1から10までの1価の有機基のいずれかを表している)
一般式(1)のR2(OH)q成分として、ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン残基、ビス(4−アミノフェニル)オクタメチルペンタシロキサン残基、α、ω−ビス(3−アミノプロピル)パーメチルポリシロキサン残基などを1〜20モル%共重合したものなどがあげられる。
【0040】
本発明のポリマーは一般式(1)で表される構造単位のみからなるものであっても良いし、他の構造単位との共重合体あるいはブレンド体であっても良い。その際、一般式(1)で表される構造単位を90モル%以上含有していることが好ましい。共重合あるいはブレンドに用いられる構造単位の種類および量は最終加熱処理によって得られるポリイミド系ポリマの耐熱性を損なわない範囲で選択することが好ましい。
【0041】
本発明の感光性樹脂前駆体組成物の合成例としては、低温中でテトラカルボン酸2無水物とジアミン化合物を反応させる方法(C.E.Sroogら、Journal Polymer Science誌、PartA−3、1373(1965))、テトラカルボン酸2無水物とアルコールとによりジエステルを得、その後アミンと縮合剤の存在下で反応させる方法(特開昭61−72022号公報)、テトラカルボン酸2無水物とアルコールとによりジエステルを得、その後残りのジカルボン酸を酸クロリド化し、アミンと反応させる方法(特開昭55−30207号公報)などで合成することができる。
【0042】
本発明において、添加されるナフトキノンジアジド化合物としては、ダイポールモーメントが0.1デバイ以上1.6デバイ以下のフェノール化合物にナフトキノンジアジドスルホン酸を反応させたものである。本発明において、フェノール化合物のダイポールモーメントは分子軌道計算により求めることが出来る。本発明ではデル社のノート型パーソナルコンピューターLatitudeCPにメモリーを64Mバイト搭載したものを使用し、ケンブリッジ社製の分子モデリングソフトウェアーである ”Chem3D”にて分子構造を入力し、同ソフトに付随しているMM2パラメーターによる分子力場計算により構造の安定化を行った後に、同ソフトに付随しているMOPAC−97を用いてパラメーターAM−1法により最適構造を算出し、このときのダイポールモーメントを使用した。
【0043】
このようなダイポールモーメントの小さなフェノール化合物を使用することで、得られるナフトキノンジアジドスルホン酸エステルの疎水性が大きくなる。このために、未露光部はアルカリ水溶液にほとんど溶解しなくなる。また、露光部はナフトキノンジアジド基の光分解によりインデンカルボン酸残基が生成するために、アルカリ水溶液に対する溶解性が大きくなる。このようなことから、現像での未露光部の膜減りの少ない良好なパターンを得ることが出来る。
【0044】
このダイポールモーメントが1.6デバイより大きいと未露光部の保護効果が小さくなり、0.1デバイより小さいと、この化合物を用いたナフトキノンジアジドスルホン酸エステルが一般式(1)のポリマーとうまく相溶しないために、良好な像を得ることが出来なくなる。このようなことより、好ましくは0.1デバイ以上1.6デバイ以下、より好ましくは0.15デバイ以上1.3デバイ以下、さらに好ましくは0.2デバイ以上1デバイ以下の範囲になるのが良い。
【0045】
また、ダイポールモーメントが0.1デバイ以上1.6デバイ以下のフェノール化合物としては、ベンゼン環を2個以上有するものがよい。ベンゼン環が1個のものでは、アルカリ水溶液に対する溶解抑止効果が小さいため、所定の性能が得られない恐れがある。また、逆にベンゼン環が10個以上のものとなると、ポリマーとの相溶性が悪くなる、パターンを得た後の熱処理で、完全に分解せず、膜特性が悪くなるなどの問題がある。このような点から見ると、本発明で好ましいフェノール化合物はベンゼン環1個から10個、さらに好ましくは3個から6個で形成されるものが良い。
【0046】
具体的には、一般式(3)に示されるフェノール化合物にナフトキノンジアジドスルホン酸を反応させたものが好ましい。
【0047】
一般式(2)において、R 6 、R 7 、R 8 、R 9 は水素原子、炭素数1から10までの1価の有機基のいずれかを表している。炭素数が2以下である基を使用することが、熱処理後の膜の耐熱性を良好にするという点で好ましい。このような点で見ると、水素原子を用いることがさらに好ましい。t、u、v、wは0から4までの整数を表している。熱処理後の着色から見ると、2以下であることが好ましい。Xとしては、酸素原子、硫黄原子を表しているが、酸素原子がダイポールモーメントを小さくするという点、耐熱性が良好であるという点で好ましい。
【0049】
このような構造の化合物を添加することで、現像後の未露光部の膜減りが大幅に低下し、良好なパターンを短い現像時間で得ることが出来る。一般式(2)で示される1つのキノンジアジド化合物において、Qの水素原子が増加すると一般式(2)で表される感光剤の、アルカリ現像液に対する溶解性が高まるために、一般式(1)で表されるポリマーを保護する効果が低下する。このような点から見ると、水素原子である割合は1/3以下が好ましく、さらに好ましくは1/5以下である。また、水素原子以外のものとしては、下記のような4−ナフトキノンジアジドスルホニル基、5−ナフトキノンジアジドスルホニル基を挙げることが出来る。
【0050】
【化18】
【0051】
4−ナフトキノンジアジドスルホニル基は水銀灯のi線領域に吸収を持っており、i線露光に適しており、5−ナフトキノンジアジドスルホニル基は水銀灯のg線領域まで吸収が伸びており、g線露光に適している。本発明においては、4−ナフトキノンジアジドスルホニル基、5−ナフトキノンジアジドスルホニル基のどちらも好ましく使用することが出来るが、露光する波長によって4−ナフトキノンジアジドスルホニル基、5−ナフトキノンジアジドスルホニル基を選択することが好ましい。また、同一分子中に4−ナフトキノンジアジドスルホニル基、5−ナフトキノンジアジドスルホニル基を併用して導入することもできるし、4−ナフトキノンジアジドスルホニル基を感光基として導入した感光剤と5−ナフトキノンジアジドスルホニル基を感光基として導入した感光剤を混合して使用することもできる。
【0052】
本発明における一般式(3)で表される感光剤としては、1種類の構造のものを使用してもよいし、異なった複数の構造のものを混合して使用してもよい。複数のものを使用する場合、使用する感光剤のフェノール化合物の平均したダイポールモーメントが1.5デバイ以下であることが好ましい。
【0053】
また、必要に応じて上記、感光性樹脂前駆体組成物と基板との塗れ性を向上させる目的で界面活性剤、乳酸エチルやプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル類、エタノールなどのアルコール類、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類を混合しても良い。また、2酸化ケイ素、2酸化チタンなどの無機粒子、あるいはポリイミドの粉末などを添加することもできる。
【0054】
さらにシリコンウエハなどの下地基板との接着性を高めるために、シランカップリング剤、チタンキレート剤などを感光性樹脂前駆体組成物のワニスに0.5から10重量%添加したり、下地基板をこのような薬液で前処理したりすることもできる。
【0055】
ワニスに添加する場合、メチルメタクリロキシジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、などのシランカップリング剤、チタンキレート剤、アルミキレート剤をワニス中のポリマーに対して0.5から10重量%添加する。
【0056】
基板を処理する場合、上記で述べたカップリング剤をイソプロパノール、エタノール、メタノール、水、テトラヒドロフラン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、乳酸エチル、アジピン酸ジエチルなどの溶媒に0.5から20重量%溶解させた溶液をスピンコート、浸漬、スプレー塗布、蒸気処理などで表面処理をする。場合によっては、その後50℃から300℃までの温度をかけることで、基板と上記カップリング剤との反応を進行させる。
【0057】
次に、本発明の感光性樹脂前駆体組成物を用いて耐熱性樹脂パターンを形成する方法について説明する。
感光性樹脂前駆体組成物を基板上に塗布する。基板としてはシリコンウエハ、セラミックス類、ガリウムヒ素などが用いられるが、これらに限定されない。塗布方法としてはスピンナを用いた回転塗布、スプレー塗布、ロールコーティングなどの方法がある。また、塗布膜厚は、塗布手法、組成物の固形分濃度、粘度などによって異なるが通常、乾燥後の膜厚が、0.1から150μmになるように塗布される。
【0058】
次に感光性樹脂前駆体組成物を塗布した基板を乾燥して、感光性樹脂前駆体組成物皮膜を得る。乾燥はオーブン、ホットプレート、赤外線などを使用し、50度から150度の範囲で1分から数時間行うのが好ましい。
【0059】
次に、この感光性樹脂前駆体組成物皮膜上に所望のパターンを有するマスクを通して化学線を照射し、露光する。露光に用いられる化学線としては紫外線、可視光線、電子線、X線などがあるが、本発明では水銀灯のi線(365nm)、h線(405nm)、g線(436nm)を用いるのが好ましい。
【0060】
耐熱性樹脂のパターンを形成するには、露光後、現像液を用いて露光部を除去することによって達成される。現像液としては、テトラメチルアンモニウムの水溶液、ジエタノールアミン、ジエチルアミノエタノール、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、トリエチルアミン、ジエチルアミン、メチルアミン、ジメチルアミン、酢酸ジメチルアミノエチル、ジメチルアミノエタノール、ジメチルアミノエチルメタクリレート、シクロヘキシルアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどのアルカリ性を示す化合物の水溶液が好ましい。また場合によっては、これらのアルカリ水溶液にN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクロン、ジメチルアクリルアミドなどの極性溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル類、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、イソブチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類などを単独あるいは数種を組み合わせたものを添加してもよい。現像後は水にてリンス処理をする。ここでもエタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル類などを水に加えてリンス処理をしても良い。
【0061】
現像後、200度から500度の温度を加えて耐熱性樹脂皮膜に変換する。この加熱処理は温度を選び、段階的に昇温するか、ある温度範囲を選び連続的に昇温しながら5分から5時間実施する。一例としては、130℃、200℃、350℃で各30分ずつ熱処理する。あるいは室温より400℃まで2時間かけて直線的に昇温するなどの方法が挙げられる。
【0062】
本発明による感光性樹脂前駆体組成物により形成した耐熱性樹脂皮膜は、半導体のパッシベーション膜、半導体素子の保護膜、高密度実装用多層配線の層間絶縁膜などの用途に用いられる。
【0063】
【実施例】
以下発明をより詳細に説明するために、実施例で説明するが、本発明はこれに限定されない。
特性の測定方法
膜厚の測定
大日本スクリーン製造社製ラムダエースSTM−602を使用し、前駆体としての測定時の屈折率は1.64、350℃の熱処理後の測定での屈折率は1.73で測定を行った。
【0064】
合成例1 ナフトキノンジアジド化合物(1)の合成
乾燥窒素気流下、4、4−ジヒドロキシジフェニルエーテル10.1g((MOPAC−97によるダイポールモーメントの計算結果0.73デバイ)0.05モル)と4−ナフトキノンジアジドスルホニル酸クロリド47.0g(0.175モル)を1,4−ジオキサン500gに溶解させ、40℃に加熱した。ここに、1,4−ジオキサン50gと混合させたトリエチルアミン17.7g(0.175モル)を系内の温度が45度以上にならないように滴下した。滴下後40度で2時間攪拌した。副生したトリエチルアミンの塩酸塩を濾過し、ろ液を1%塩酸3lに投入させた。その後、析出した沈殿をろ過で集めた。さらに、水10lで洗浄を2度繰り返し、50℃の真空乾燥機で20時間乾燥させ、ナフトキノンジアジド化合物(1)を得た。(Qの平均して1.75個が4−ナフトキノンジアジドスルホニル基、0.25個が水素原子)。
【0065】
【化19】
【0066】
合成例2 ナフトキノンジアジド化合物(2)の合成
乾燥窒素気流下、ビス(4−ヒドロキシフェニル)2,2−ジシクロヘキシルプロパン17.4g((MOPAC−97によるダイポールモーメントの計算結果0.23デバイ)0.05モル)と5−ナフトキノンジアジドスルホニル酸クロリド34.9g(0.13モル)を1,4−ジオキサン400gに溶解させ、40℃に加熱した。ここに、1,4−ジオキサン40gと混合させたトリエチルアミン13.1g(0.13モル)を用い、合成例1と同様にしてナフトキノンジアジド化合物(2)を得た。(Qのうち平均して2.6個が5−ナフトキノンジアジドスルホニル基、残りは水素原子)。
【0067】
【化20】
【0068】
合成例3 ナフトキノンジアジド化合物(3)の合成
乾燥窒素気流下、3,3’−ジメチル−4,4’−ジヒドロキシフェニルチオエーテル 13.2g((MOPAC−97によるダイポールモーメントの計算結果1.59デバイ)0.05モル)と5−ナフトキノンジアジドスルホニル酸クロリド34.9g(0.13モル)を1,4−ジオキサン400gに溶解させ、40℃に加熱した。ここに、1,4−ジオキサン40gと混合させたトリエチルアミン13.1g(0.13モル)を用い、合成例1と同様にしてナフトキノンジアジド化合物(3)を得た。(Qの平均1.3個は5−ナフトキノンジアジドスルホニル基、0.7個は水素原子)。
【0069】
【化21】
【0070】
合成例4 ナフトキノンジアジド化合物(4)の合成
乾燥窒素気流下、ビスフェノールA 11.4g((MOPAC−97によるダイポールモーメントの計算結果2.1デバイ)0.05モル)と5−ナフトキノンジアジドスルホニル酸クロリド34.9g(0.13モル)を1,4−ジオキサン400gに溶解させ、40℃に加熱した。ここに、1,4−ジオキサン40gと混合させたトリエチルアミン13.1g(0.13モル)を用い、合成例1と同様にしてナフトキノンジアジド化合物(4)を得た。(Qの平均1.3個は5−ナフトキノンジアジドスルホニル基、0.7個は水素原子)。
【0071】
【化22】
【0072】
合成例5 ヒドロキシル基含有酸無水物の合成
乾燥窒素気流下、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(BAHF)18.3g(0.05モル)とアリルグリシジルエーテル34.2g(0.3モル)をガンマブチロラクトン(GBL)100gに溶解させ、−15℃に冷却した。ここにGBL50gに溶解させた無水トリメリット酸クロリド22.1g(0.11モル)を反応液の温度が0℃を越えないように滴下した。滴下終了後、0℃で4時間反応させた。
【0073】
この溶液をロータリーエバポレーターで濃縮して、トルエン1lに投入して酸無水物(1)を得た。得られた物質は350℃までに明確な融点が見られなかった。
【0074】
【化23】
【0075】
合成例6 ヒドロキシル基含有ジアミン化合物(1)の合成
BAHF18.3g(0.05モル)をアセトン100ml、プロピレンオキシド17.4g(0.3モル)に溶解させ、−15℃に冷却した。ここに3−ニトロベンゾイルクロリド20.4g(0.11モル)をアセトン100mlに溶解させた溶液を滴下した。滴下終了後、−15℃で4時間反応させ、その後室温に戻した。溶液をロータリーエバポレーターで濃縮し、得られた固体を水とアセトンで洗浄し、80℃の真空乾燥機で乾燥した。
【0076】
乾燥させた固体を25gと5%パラジウム−炭素2gを1000mlの3つ口フラスコにメチルセロソルブ600mlとともに加え、内部の温度を60℃にした。ここに飽水ヒドラジン3.5gを徐々に滴下した。滴下終了後、1時間攪拌し、その後、溶液をろ過し、ろ液をロータリーエバポレーターで200mlに濃縮した後、この溶液を水1lに投入して、目的物の沈殿を得た。これを50℃の真空乾燥機で20時間乾燥させた。
【0077】
【化24】
【0078】
合成例7 ヒドロキシル基含有ジアミン(2)の合成
2−アミノ−4−ニトロフェノール30.8g(0.2モル)をアセトン200ml、プロピレンオキシド60g(0.68モル)に溶解させ、−15℃に冷却した。ここにイソフタル酸クロリド22.4g(0.11モル)をアセトン200mlに溶解させた溶液を徐々に滴下した。滴下終了後、−15℃で4時間反応させた。その後、室温に戻して生成している沈殿をろ過で集めた。
【0079】
乾燥させた沈殿30gと5%パラジウム−炭素3gを1000mlの3つ口フラスコにメチルセロソルブ800mlとともに加え、内温を60℃に加熱した。ここに、飽水ヒドラジン7gを徐々に滴下した。滴下終了後、60℃で1時間攪拌した。攪拌終了後、溶液をろ過し、ろ液をロータリーエバポレーターで200mlにまで濃縮し、この溶液を水1.5lに投入し、得られた沈殿を集め、50℃で20時間真空乾燥し、目的の化合物を得た。
【0080】
【化25】
【0081】
合成例8 ヒドロキシル基含有ジアミン(3)の合成
2−アミノ−4−ニトロフェノール15.4g(0.1モル)をアセトン80ml、プロピレンオキシド30g(0.34モル)に溶解させ、−15℃に冷却した。ここに3−ニトロベンゾイルクロリド19.5g(0.105モル)をアセトン80mlに溶解させた溶液を徐々に滴下した。滴下終了後、−15℃で4時間反応させた。その後、室温に戻して生成している沈殿をろ過で集めた。
【0082】
乾燥させた沈殿30gと5%パラジウム−炭素3gを1000mlの3つ口フラスコにメチルセロソルブ600mlとともに加え、内温を60℃に加熱した。ここに、飽水ヒドラジン8.5gを徐々に滴下した。滴下終了後、60℃で1時間攪拌した。攪拌終了後、溶液をろ過し、ろ液をロータリーエバポレーターで200mlにまで濃縮し、この溶液を水1lに投入し、得られた沈殿を集め、50℃で20時間真空乾燥し、目的の化合物を得た。
【0083】
【化26】
【0084】
参考例1
乾燥窒素気流下、4,4’−ジアミノフェニルエーテル5.01g(0.025モル)、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン1.24g(0.005モル)をN−メチル−2−ピロリドン(NMP)50gに溶解させた。ここに合成例5で得られたヒドロキシ基含有酸無水物21.4g(0.03モル)をNMP14gとともに加えて、20℃で1時間反応させ、次いで50℃で4時間反応させた。その後、N,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール7.14g(0.06モル)をNMP5gで希釈した溶液を10分かけて滴下した。滴下後、50℃で3時間攪拌した。得られた溶液40.0gに合成例1で得られたナフトキノンジアジド化合物(1)1.5gを加えて、感光性ポリイミド前駆体組成物のワニスAを得た。
【0085】
6インチシリコンウエハ上に、感光性ポリイミド前駆体のワニスAをプリベ−ク後の膜厚が5μmとなるように塗布し、ついでホットプレート(大日本スクリーン社製SCW−636)を用いて、120℃で3分プリベ−クすることにより、感光性ポリイミド前駆体膜を得た。ついで、露光機(ニコン社製g線ステッパーNSR−1505−G6E)に、パターンの切られたレチクルをセットし、露光量500mJ/cm2(436nmの強度)でg線露光を行った。
【0086】
現像は、大日本スクリーン製造社製SCW−636の現像装置を用い、50回転で水酸化テトラメチルアンモニウムの2.38%水溶液を10秒間噴霧した。この後、0回転で50秒間静置し、400回転で水にてリンス処理、3000回転で10秒振り切り乾燥した。現像後の未露光部の膜厚は4.6μmであり、現像により膜の減少は0.4μmと少なく良好であった。現像後のパターンを観察した結果、半導体用バッファーコートとして要求される3μmのパターンが解像しており、パターン形状も問題なかった。
【0087】
実施例1
乾燥窒素気流下、合成例6で得られたヒドロキシル基含有ジアミン(1)15.1g(0.025モル)をN−メチル−2−ピロリドン(NMP)50gに溶解させた。ここに合成例5で得られたヒドロキシ基含有酸無水物17.5g(0.025モル)をピリジン30gとともに加えて、60℃で6時間反応させた。反応終了後、溶液を水2lに投入して、ポリマー固体の沈殿をろ過で集めた。ポリマー固体を80℃の真空乾燥機で20時間乾燥した。このようにして得たポリマーの固体10gを計り、ナフトキノンジアジド化合物(2)2g、ビニルトリメトキシシラン1gをGBL30gに溶解させて感光性ポリイミド前駆体組成物のワニスBを得た。
【0088】
4インチシリコンウエハ上に、ワニスBを用いて参考例1と同様に感光性ポリイミド前駆体膜を得た。ついで、露光機(キャノン社製コンタクトアライナーPLA−501F)に、パターンの切られたマスクをセットし、露光量400mJ/cm2(365nmの強度)で露光を行った。
【0089】
現像は、現像液として0.6%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用い、0回転で90秒静置した以外は参考例1と同様に現像した。現像後の未露光部の膜厚は4.7μmであり、現像により膜の減少は0.3μmと少なく良好であった。現像後のパタ−ンを光学顕微鏡で目視した結果、10μmのラインが解像しており、パターン形状も問題なかった。
【0090】
参考例2
乾燥窒素気流下、合成例7で得られたヒドロキシル基含有ジアミン化合物(2)17.0g(0.045モル)、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン1.24g(0.005モル)をNMP50gに溶解させた。ここに3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸無水物12.4g(0.04モル)をNMP21gとともに加えて、20℃で1時間反応させ、次いで50℃で2時間反応させた。ここに無水マレイン酸0.98g(0.01モル)を加え、50℃で2時間攪拌後、N,N−ジメチルホルムアミドジエチルアセタール14.7g(0.1モル)をNMP5gで希釈した溶液を10分かけて滴下した。滴下後、50℃で3時間攪拌した。得られた溶液30gに合成例2で得られたナフトキノンジアジド化合物(2)1.6gを溶解させて感光性ポリイミド前駆体組成物のワニスCを得た。
【0091】
ワニスCを用いて参考例1と同様に感光性ポリイミド前駆体膜を得た。ついで、露光量400mJ/cm2(365nmの強度)でi線露光を行った以外は参考例1と同様に露光した。現像は、0回転で40秒間静置した以外は参考例1と同様に現像した。現像後の未露光部の膜厚は4.6μmであり、現像により膜の減少は0.4μmと少なく良好であった。
【0092】
現像後のパターンを観察した結果、半導体用バッファーコートとして要求される3μmのパターンが解像しており、パターン形状も問題なかった。
【0093】
参考例3
乾燥窒素気流下、合成例8で得られたヒドロキシル基含有ジアミン化合物(3)6.08g(0.025モル)と4,4’−ジアミノジフェニルエーテル4.51g(0.0225モル)と1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン0.62g(0.0025モル)をNMP70gに溶解させた。合成例5で得られたヒドロキシル基含有酸無水物24.99g(0.035モル)、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸2無水物4.41g(0.015モル)を室温でNMP25gとともに加え、そのまま室温で1時間、その後50℃で2時間攪拌した。ついで、グリシジルメチルエーテル17.6g(0.2モル)をNMP10gで希釈した溶液を加え、70℃で6時間攪拌した。
【0094】
このポリマー溶液40gに合成例3で得られたナフトキノンジアジド化合物(3)2.5gを溶解させて感光性ポリイミド前駆体組成物のワニスDを得た。
【0095】
ワニスDを用いて参考例1と同様に感光性ポリイミド前駆体膜を得た。ついで、露光量800mJ/cm2(365nmの強度)で露光を行った以外は参考例1と同様に露光した。現像は、1.2%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用い、0回転で30秒静置した以外は参考例1と同様に行った。現像後の未露光部の膜厚は4.2μmであり、現像により膜の減少は0.6μmであり、露光量は800mJ/cm2と感度が少し低かった。現像後のパタ−ンを光学顕微鏡で目視した結果、15μmのラインが解像していた。
【0096】
参考例4
ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン36.6g(0.1モル)をN、N−ジメチルアセトアミド150mlに溶解させ、溶液の温度を−10℃に冷却した。ここにプロピレンオキシド58g(1モル)を加えた。イソフタール酸ジクロリド10.2g(0.05モル)と4、4’−ジカルボキシジフェニルエーテルジクロリド14.8g(0.05モル)をアセトン100mlに溶解させた溶液を、内温が10℃を越えないように滴下した。滴下終了後、−10℃で2時間攪拌し、その後溶液を1時間かけて20℃にした。20℃で2時間攪拌した。攪拌終了後、この溶液を水3lとメタノール2lの混合溶液中に投入し、ポリヒドロキシアミドの固体を得た。この固体をろ過で集め、30%メタノール水2lで2回洗浄した。洗浄後、80℃の真空乾燥機で20時間乾燥した。
【0097】
乾燥終了後、得られたポリマーの固体10gを計り取り、ここに合成例2で合成したナフトキノンジアジド化合物(2)を1.6g加えた。これらをガンマブチロラクトン25g、ビニルトリメトキシシラン0.5gに溶解し、感光性ポリベンゾオキサゾール前駆体ワニスEを得た。
【0098】
ワニスEを用いて参考例1と同様に感光性前駆体膜を得た。ついで、露光量400mJ/cm2(365nmの強度)でi線露光を行った以外は参考例1と同様に露光した。現像は、0回転で90秒間静置した以外は参考例1と同様に現像した。現像後の未露光部の膜厚は4.6μmであり、現像による膜の減少は0.4μmと少なく良好であった。
【0099】
比較例1
参考例1と同様に合成したポリイミド前駆体溶液40gに合成例4で合成したナフトキノンジアジド化合物(4)1.8gを溶解させて感光性ポリイミド前駆体組成物のワニスFを得た。参考例1と同様にパターン加工性の評価したところ、現像による膜の減少が1.4μmあり、かつ現像時間が100秒と実施例1に比較して2倍に長くなっている。このように膜減りが大きく、現像時間が長く問題があった。
【0100】
比較例2
参考例2と同様に合成したポリイミド前駆体溶液30gに、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノンの4−ナフトキノンジアジドスルホン酸を平均3個導入したナフトキノンジアジド化合物(東洋合成社製4NT(4)−300:このフェノール化合物のダイポールモーメントは3.1デバイ)1.6gを溶解させて感光性ポリイミド前駆体組成物のワニスGを得た。参考例2と同様にパターン加工性の評価したところ、現像による膜の減少が2μmあり、かつ現像時間が120秒と参考例2に較べると3倍に長くなった。このように膜減りが大きく現像時間が長く、問題があった。
【0101】
比較例3
参考例4で合成したポリヒドロキシアミド10gと比較例2のナフトキノンジアジド化合物(4NT−300)1.8gをガンマブチロラクトン25g、ビニルトリメトキシシラン0.5gに溶解し、感光性耐熱性樹脂前駆体のワニスHを得た。これを参考例4と同様にしてパターン加工性の評価をしたところ、現像による膜の減少が2.4μmあり、かつ現像時間が300秒と参考例4と較べると3倍以上に現像時間が延びた。このように膜減りが大きく現像時間が長く、問題があった。
【0102】
【発明の効果】
本発明によれば、特定の構造を有したポリイミド前駆体に特定のナフトキノンジアジド化合物を加えることで、現像による未露光部の膜減りが少なく、かつ短時間で現像できるポジ型の耐熱性樹脂組成物を得ることができる。
Claims (2)
- (a)下記一般式(1)で表される構造単位を主成分とするポリマーと、(b)ダイポールモーメントが0.1デバイ以上1.6デバイ以下であり下記一般式(3)で表されるフェノール化合物とナフトキノンジアジドスルホン酸をエステル化した化合物を含有することを特徴とする感光性樹脂前駆体組成物。
- (a)下記一般式(1)で表される構造単位を主成分とするポリマーと、(b)ダイポールモーメントが0.1デバイ以上1.6デバイ以下であり下記一般式(3)で表されるフェノール化合物とナフトキノンジアジドスルホン酸をエステル化した化合物を含有することを特徴とする感光性樹脂前駆体組成物。
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