JP4221690B2 - 内燃機関 - Google Patents

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Description

本発明は、往復ピストン式の内燃機関に関し、また、1つのピストンまたはそれ以上のピストンそれぞれが各シリンダ内で往復運動するように搭載され、クランクシャフト上の各クランクに接続した接続ロッドに枢動可能に接続された1つ以上のピストンを有する往復ピストン式内燃機関に関する。接続ロッドは、両端間の中間点で関連クランクに枢動可能に接続した延長リンク部材の一端に枢動可能に接続される。延長リンク部材の他端は、クランクシャフトの軸と平行な枢動軸を中心に枢動可能な搭載具によって規制される1つのロッドを構成する。本発明は、限定的ではないが、特に、EP-A-0591153に開示された一般形式のエンジンにも関する。
前記先行文献では、1つのピストンあるいは複数のピストンのそれぞれが少なくともサイクルの一部で移動するようにされたエンジンを開示している。このときの時間に対するピストン変位のグラフは正弦波形とは異なる。各ピストンが各接続ロッドによってクランクシャフト上の各クランクに接続される従来のエンジンでは、その性質上、時間に対するピストン変位のグラフは正弦波形になる。こうした従来のエンジンでは、燃料空気混合気の燃焼をピストンの動きに適合させようとするが、前記先行文献の構成の基礎をなす原理は、燃焼が最適な方法で進行することを許され、ピストンを燃焼に「追従」するように移動して、燃焼過程の性質と進行とに関連づけるということである。
より具体的には、前記先行文献の開示するエンジンでは、ピストンは、減速して、サイクル内で燃料空気混合気の点火の発生する時点あるいはその付近において従来のエンジンよりも低速で移動し、その後上死点位置(TDC)に到着する前に再び速度を増すように構成される。これは、従来のエンジンでは、ピストンが実質的に最高速度で点火の起こる時点を移動するので、燃料空気混合気内への火炎面の伝播速度を妨げ、燃焼過程の本質と完全性を阻害することになるという認識に基づく。しかしながら、点火時点付近においてピストンの速度を落とすことは、火炎面の伝播開始時における燃料空気混合気圧の上昇速度が通常よりも実質的に低下して、その結果、火炎面は通常よりもずっと急速に燃料空気混合気内を伝播することになるということを意味する。
前記先行文献は、また、ピストンは、従来のエンジンにおけるようなTDC後90°ではなくてTDC後0から40°の間のいずこかにおいて最高加速度および最高速度に達し、その後下死点位置(BDC)に達する前にその作動行程の後半で従来のエンジンにおけるよりも低速で移動するように構成されている。この結果、排気ガスの温度が低下するので、NOxの排出は減り、排気口および排気バルブの腐食も減少する。
EP-A-0591153によって構成されたエンジンに対して広範囲にわたるテストが行われてきた。これらのテストは、このエンジンは従来のエンジンに比較して確かに効率が実質的に上昇しており、また、未燃焼炭化水素COおよびNOxの排出も劇的に減少していることを示している。それどころか、これらのテストは、前記先行文献によるエンジンにおける燃焼過程が従来のエンジンのそれとは基本的に異なっていることを示している。それは、例えば、燃焼中のシリンダの圧力上昇速度が、従来のエンジンでは出力軸の回転度当たり約2.5バールであったのに対して約6.5バールであり、また、従来のエンジンではTDC後出力軸がほぼ60°回転するうちに燃焼が完了したのに対してほぼ22°以内に完了する。
しかしながら、前記先行文献に開示されたエンジンには、ピストンと協働する形状のカムを組み込んでいるが従来のクランクシャフトは組み込んでいない。これらのカムは全く機能面でも技術面でも申し分のないものではあるが、一般的な従来形式のクランクシャフトをエンジンに組み込む方が好ましい。それは、クランクシャフトに対する大量生産の便宜は既に利用可能であり、また、クランクシャフト型エンジンの生産技術はカム型エンジンのそれよりもずっと熟知、試行、試験されているからである。
したがって、本発明の目的は、1つのピストンあるいは複数のピストンそれぞれの変位グラフが、従来のクランクシャフト型エンジンの正弦波形とは異なり、例えば、EP-A-0591153に開示されたものと類似しており、エンジンの動作中にも変更可能であるにも関わらず、一般的な従来形式のクランクシャフトを有するような往復ピストン形式の内燃機関を提供することである。
本発明に係わるエンジンの具体的な形式は、US-A-2506088に開示されている。この先行文献に開示されたエンジンでは、延長リンク部材の他端、即ち、ピストンから最も離れた末端が短アームの一端に枢動可能に接続されており、短アームの他端は固定ピボット上にそれを中心に回転できるように搭載されている。ピストンが往復運動して関連クランクがクランクシャフトの軸を中心に回転すると、短アームによってリンク部材の他端はクランクシャフトの回転速度に等しい速度で固定ピボットを中心に回転させられる。
このエンジンにおけるピストンの運動パターンは、真に正弦波形のパターンとは違っているが、その違いは所定のかつ変更不可能な方法による。しかし、効率を最大化し、かつ、排気を最小化する目的で空気燃料混合気の燃焼を最適化するためには、速度や負荷やその他のパラメータに応じてピストンの運動パターンを変更する手段を設けることが望ましい。
それゆえ本発明のさらなる目的は、好適にはEP-A-0591153の教示によって動作するエンジンにおいて、エンジン動作パラメータに応じて、好適には自動的に、エンジンの運動パターンが変更可能なエンジンを提供することである。
本発明によれば、上述形式の内燃機関は、搭載具が第1可動搭載部材を有し、第1搭載部材は第2可動搭載部材に対して枢動軸を中心に枢動可能に第2可動搭載部材に接続されるとともに、ロッド方向への相対摺動のみを許す接続によってロッドに接続されていることと、作動手段が搭載具に接続され、クランクシャフトの軸に垂直な第1方向とそれを横切る第2方向とに搭載具を選択的に移動するように構成されていることを特徴とする。
こうして本発明のエンジンでは、接続ロッドは各クランクに対して枢動可能に直接接続されるのではなく、クランクと接続ロッドの双方に枢動可能に接続したリンク部材の一端を経由して間接的に接続されている。リンク部材の他端は、他の2つの枢動軸と平行な第3枢動軸を中心に枢動可能で、その長さ方向に平行に直線移動可能に搭載される。この結果、ピストン運動は、正弦波形とは異なり、一般的には単一平面上にないリンク部材の3つの枢動軸の間隔および相対位置を変更することによって、任意に変更可能となる。しかしながら、3つの枢動軸は、ピストンの運動がEP-A-0591153に開示のエンジンのピストン運動を厳密に模擬するように位置決めされることが好ましい。特にピストンが着火点付近では従来のエンジンよりも極めてゆるやかに運動させられるのが望ましい。
本発明は、火花点火形式およびディーゼル形式双方の2行程エンジンにも4行程エンジンにも適用可能である。作動手段が第3枢動軸、即ち、搭載具に対してロッドが回転する軸を任意に移動させてピストン運動を変更できることは分かるであろう。このことは、任意に、エンジンが異なる速度および/または負荷で最適走行できるようにし、しかも、1つのピストンあるいは複数のシリンダそれぞれの行程容積とエンジンの圧縮比を変更するのに使用しても良い。このことは以下に詳述する。エンジンが4行程形式の場合、圧縮行程と排気行程の間で、また、恐らく導入行程と作動行程の間でも、ピストン運動が異なることが望ましいかも知れない。このことは、種々の方法で達成可能である。例えば、搭載具を関連ピストンに同期して直線往復運動させることによって達成しても良い。作動手段は、ピストン移動の正弦波形からの異なり方を変更するのに使用されるだけでなく、少なくとも部分的に、変化を起こしてピストンの1行程中、例えば、点火点においてピストンに任意の減速を招来するように点火点においてあるいは点火点付近において作動させても良い。延長リンクと搭載具の大きさおよび構成は、エンジン動作中、接続ロッドが延長リンク部材のまわりに枢動する枢動軸が、シリンダの軸に概して平行に延伸する楕円長軸を有する概して卵形あるいは楕円形の経路を描くようにされる。
搭載具の移動可能な第1方向は、好適には、シリンダの軸と実質的に平行であり、第2方向は、好適には、シリンダの軸と実質的に垂直である。
作動手段は、好ましくは、搭載具に接続されて搭載具を2方向のうちの1方向に移動するように構成した第1作動器と、第1作動器に接続されて第1作動器と搭載具を2方向のうちの他方向に移動するように構成した第2作動器とを有する。2つの作動器は、種々の異なる公知な形式であって良いが、油圧形式のものが好ましい。
作動器は、好適には、作動器を選択的に動作させるように構成した制御手段の制御下にある。制御手段は、典型的には、最新自動車エンジンに既に設けられているエンジン管理システムである。
搭載具は、2つの作動器によってクランクシャフトの軸に垂直な任意の方向に移動できるので、ピストンの運動パターンを任意に変更、特に、エンジン性能を常時最適にするようにエンジン動作パラメータに応じて変更できるようになる。搭載具の第1方向への移動、即ち、シリンダの軸と実質的に平行な移動によって、まず、ピストンの上死点位置の移動が生じ、その結果、エンジンの圧縮比に変化が生じることが分かる。また、こうした移動の結果、より小さい程度ではあるが、ピストンの行程に変化が生じて行程容積に変化が生じる。搭載具の第2方向への移動、即ち、シリンダの軸と実質的に垂直な移動によって、まず、ピストンの下死点位置の移動が生じ、その結果、行程に変化が生じてピストンの行程容積に変化が生じることが分かる。本発明は、このように、構成部品の配置によって設定される限界内で任意にエンジンの圧縮比と行程容積を変化させる可能性を開拓し、エンジンを即時動作パラメータに合致させる。
エンジンは、エンジンのノッキングが始ったこと、あるいは、始まりそうなことを表示する信号を発生するように構成した第1センサを有することが好ましく、この制御手段は、作動手段を動作して搭載具を第1方向に移動し圧縮比を減少させてノッキングを抑えるように構成される。こうしたノックセンサは、周知のものであり、シリンダブロック内あるいはその上に位置する音響あるいは振動センサからなり、ノッキングが生じた場合に効率を最大化するようにエンジンの圧縮比を暫定的に減少させることができる。
また、エンジンは、エンジンに掛かる負荷を示す信号を発生するように構成した第2センサを有することが好ましい。制御手段は、搭載具を第1方向に移動してエンジンの圧縮比を負荷の変化に応じて変化させ、例えば、負荷が増えれば圧縮比を減少させるように構成される。こうした負荷センサもまたそれ自体は周知のものであり、例えば、エンジンに掛かる負荷が増加すれば上昇するエンジン吸気マニホルド内で圧力に暴露させても良く、あるいは、エンジンスロットルに機械的に連結しても良い。
搭載具の第1方向への移動によって、エンジンの圧縮比が変化し、また、ピストンの行程容積と行程もわずかに変化する。これによって点火タイミングが変わるが、それは望ましいことではなく、例えばレース用エンジンの場合、行程容積が変化することも容認しがたいことである。これらの変化はどちらも、搭載具を第2方向に移動してピストンの下死点位置を変更し、搭載具の第1方向への移動による変化を補償するように制御手段を構成すれば、補償可能となる。
エンジンの最適圧縮比は、エンジンが受ける負荷に応じて変化し、この最適圧縮比は負荷が減少するに従って増加する。それゆえ、本発明によって、圧縮比が常に最適値である一方、エンジンのノッキングが生じないことを補償することが可能になる。このように、例えば、エンジンが低速、低負荷で動作しているときに負荷が急増したならば、瞬間的にノッキングあるいは過早点火が生じる傾向がある。これに対しては、搭載具を第1方向に移動させて圧縮比を一時的に減少することによって、また、任意に、搭載具を第2方向にも移動してこれを補償することによって対処可能である。エンジンスピードが上昇するに従って、制御手段は、任意に、ノッキングが発生してしまう直前の最適値に圧縮比を連続的に増加させるようにプログラムされる。
あるいは、制御手段は、エンジンに掛かる負荷が急増するならば搭載具を第2方向に移動してピストンの行程容積を有意に増加させることを保証するように構成しても良い。こうして、エンジン出力の急増が必要な場合、エンジンの能力を例えば10%増加させて出力の瞬間的な有意増加を生じさせることも可能である。本発明は、それゆえ、ターボチャージャやスーパーチャージャによって生じる効果と同様な出力増加効果を生成するのに使用でき、従来の高価なスーパーチャージャに取って代わって、あるいは、単純に異なる能力を持つように変更できる能力を持つエンジンを実現するために使用しても良い。
リンク部材が枢動可能に接続するクランクの両側のリンク部材の2つの部分は共直線であっても良いが、実際には、互いに幾らか、例えば5°から45°傾斜させることが好ましいことが分かる。
火炎伝播速度の増加とシリンダにおける燃焼効率の増加の結果、エンジンの効率、即ち、燃料の単位質量当たりの出力は相当増加することになる。この効率は、さらに、ピストンが上死点位置(TDC)にあるとき接続ロッドが本来的にシリンダの方に傾斜していることによって増加する。シリンダ内の最大圧力は、TDCにおいてあるいはTDC付近において発生するが、従来のエンジンでは、接続ロッドとクランクはTDCにおいてシリンダ軸と平行な直線をなす。これは、その時点においてクランクシャフトへはトルクが伝達されず、シリンダ内部の高圧が「浪費」され、その結果、単に付加的に熱を発生するだけとなることを意味する。しかしながら、本発明によるエンジンでは、接続ロッドがTDCにおいてシリンダ軸の方に傾斜するということは、TDCにおいてクランクシャフトにトルクが伝達されて、その結果TDCにおいて優勢な高圧を有効出力に変換され、浪費はされないということを意味する。
本発明のさらなる特徴と詳細は、付属の非常に概略的な図面を参照して一例として挙げられた以下の具体的な実施例の説明から明らかとなるであろう。付属図面は、多シリンダ4行程エンジンの一部の部分断面断片図であり、1つのシリンダとその関連ピストンとピストン接続機構のみが図示されている。
本実施例では、エンジンは4つのシリンダを有するが、シリンダ数はもっと多くても少なくても、あるいは、1つだけであってもよく、図面では、1つのシリンダ2のみが示されている。シリンダに往復運動可能に搭載されているのはピストン4である。ピストンは、通常方法で軸5を中心に枢動可能に接続ロッド6に接続されている。シリンダ2の下から延びているのはクランクシャフト7である。クランクシャフト7は、図1では概略的に示されているだけであるが、軸8を中心に回転するように搭載されている。クランクシャフトは、それぞれのクランクあるいはクランクスロー10を各ピストン用に担持する。しかしながら、接続ロッド6は、関連クランク10に直接接続しないで、軸12を中心に枢動可能にそれぞれの延長リンク14の一端11に接続されている。このリンクもまた、その両端の中間において軸16を中心に枢動可能に適当な軸承15を介して関連クランク10に接続されている。中空バーの形であるリンク14の他端18は搭載具内に縦方向摺動可能に収容されている。
搭載具は、第1可動搭載部材20を含む。第1可動搭載部材20は、ボールあるいはシリンダによって構成され、バー18を通して摺動可能に保持する穴を提供する。第1可動搭載部材20は、その円形部外面が第2可動搭載部材26の提供する対向相補面と係合することによって搭載部材26内の穴あるいは凹部に保持されている。その結果、搭載部材20はその中心軸21を中心に搭載部材26に対して回転可能となるが、それに対して直線移動はできない。その結果、ロッド18は回転移動および搭載具26に対して平行な直線移動のみ可能となる。搭載具20、26は、互いに垂直で、かつ、共にクランクシャフトの軸8に垂直な2方向に搭載具20、26を移動するように構成した2つの油圧作動器30、32に接続されている。第1作動器30は搭載具を担持し、シリンダの軸に実質的に平行に搭載具を移動するように構成されるとともに、第2作動器32によって担持されている。第2作動器32は、クランクシャフト7とシリンダ2双方の軸に実質的に垂直に第1作動器30と搭載具を移動するように構成されている。第2作動器32は、エンジンの何らかの固定構成部品31に剛性取付して固定されている。
第1作動器のシリンダ36に収容されたピストン34が第2搭載部材26に剛性接続されている。また、延長案内部材38も第2搭載部材26に接続されている。延長案内部材38は、第1作動器のガス抜き穴40にピストンのように摺動可能に収容され、搭載具が第1作動器に対して円滑に直線移動するのを保証する。同様に、第2作動器32のシリンダ44に収容されたピストン42が第1作動器30に剛性接続されている。また、延長案内部材46も第2作動器に接続されている。延長案内部材46は、第2作動器のガス抜き穴48にピストンのように摺動可能に収容され、第1作動器が第2作動器に対して円滑に直線移動するのを保証する。
使用中、加圧作動油は、搭載具の所望の移動を果たすために、電子制御器によって、典型的には、エンジンが収容されている車両のエンジン管理システムによって、順次制御されるソレノイド弁などの制御の下で、加圧油圧リザーバからピストン34、42の一方あるいは他方側のシリンダ36および44内に入ることを選択的に許可される。
使用中、搭載具20、26および枢動軸21は、固定されたままでも良く、クランクシャフト10が回転してピストン4がシリンダ2内を往復運動すると、クランク10の軸16が円形経路29を描き、ロッド18が第1搭載部材20内外を摺動するので、第1搭載部材20はその軸21を中心に前後に揺れる。搭載部材20は、ロッド18がその長さ方向に横断して直線移動しないように制限する。枢動軸12は、システムの運動学によって、幾らか不規則な経路50を移動させられる。経路50は、図示のように、幾らか変形した卵形あるいは実質的に楕円形をしている。クランクシャフトの1回転中に枢動軸12の占める4つの具体的な位置をそれぞれ12、12′、12″、12″′とし、軸5の対応位置をそれぞれ5、5′、5″、5″′とする。この機構によって、ピストンの位置/時間グラフは、従来の正弦波形とは異なるものとなるが、正確なグラフ変化の様式は、軸12、16および21の相対位置によって決まる。これらの相対位置は、必要なピストンの運動パターン、例えば、EP-A-0591153に開示されたエンジンのそれに近いものを作るように予め決定される。
ピストンの運動パターンは、搭載具20、26および枢動軸21の位置を変更することによって変えることができる。これは、作動器30および/または作動器32を選択的に作動して軸21を所望の位置に移動することによって実施できる。軸21の位置移動は、例えば圧縮行程と排気行程において異なる移動パターンを作るために、各サイクル中1つ以上のピストン行程の最後に実施できる。あるいは、燃焼を異なる速度および/または負荷条件に最適化するために実施しても良い。さらにまた、1つ以上のピストン行程の最中に軸21を移動してピストンの運動パターンを正弦波形から任意に変化させても良い。いずれにしても、搭載具の移動は、例えば、最新自動車エンジンに既に設けられているエンジン管理システムの制御下で、極めて迅速に実施できる。
制御手段による搭載具の移動は、例えば使用者がエンジンの行程容積を増加しようという決定に従って制御手段を手動操作するのに応じて実施してもよい。しかしながら、制御手段は、エンジンの動作パラメータを表示する信号を発生するよう構成した1つ以上のセンサに応じて自動的に作動するのが好ましい。従ってこの好適な実施例では、エンジンはシリンダに隣接して、公知の方法で動作してエンジンのノッキングあるいは過早点火が始まったとき、あるいは、始まりそうなときに指示するノックセンサを有する。センサがこうした信号を発生すると、制御手段は、エンジンの圧縮比を減少させてノッキングが生じるのを防止する方向に搭載具を移動するように作動器30を作動するように構成されている。エンジンは、また、負荷センサ、例えば、負荷の上昇にしたがって圧縮比を減じるように作動器30を作動するように構成されている、吸気マニホルド圧力あるいはスロットル位置に応答するセンサを有する。上述のように、ピストンの上死点位置を変更することによってエンジンの圧縮比を変化させる一方、作動器32を作動して搭載具をシリンダ軸と垂直な方向に移動することによって点火タイミングおよび/またはピストンの行程容積の変化を補償する。
具体的な実施例のエンジンが4つのシリンダを有し、各シリンダをそれ自身の第1および第2可動搭載部材と作動器に関連づけできるようにされているが、このことは必要なことではない。本実施例では、したがって、すべてのシリンダに共通な第2搭載部材26が1つだけ存在する。また、好適には、4つのバー18を収容するために形成された4つの穴を有する延長シリンダの形で第1搭載部材20が1つだけ存在する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例を示す多シリンダ4行程エンジンの部分断面図。

Claims (9)

  1. 1つ以上のピストン(4)を備えた内燃機関であって、そのピストンあるいはピストンのそれぞれが各シリンダ(2)内で往復運動するように搭載されると共に、クランクシャフト(7)上の各クランク(10)に接続された接続ロッド(6)に枢動可能に接続され、該接続ロッド(6)は延長リンク部材(14)の一端(11)に枢動可能に接続され、該延長リンク部材(14)はその両端の中間で関連クランク(10)に枢動可能に接続され、また該延長リンク部材(14)の他端がロッド(18)を構成し、該ロッド(18)が前記クランクシャフト(7)の軸(8)に平行な枢動軸(21)を中心に枢動する搭載具(20、26)によって規制されるよう構成した内燃機関において、
    前記搭載具は第1可動搭載具(20)を含み、該第1搭載具(20)は、前記枢動軸(21)を中心に枢動可能に第2可動搭載具(26)に接続されるとともに、前記ロッド(8)の方向への相対摺動移動のみを許す接続によって該ロッド(18)に接続されていること、および、
    第1の作動器(30)が前記搭載具(20、26)に接続されて前記搭載具を前記クランクシャフト(7)の前記軸(8)に垂直な第1方向に選択的に移動させるように構成され、また第2の作動器(32)が前記第1の作動器(30)に接続されて該第1の作動器および前記搭載具(20、26)を前記第1方向を横切る第2方向に移動させるように構成されたことを特徴とする前記内燃機関。
  2. 前記第1方向は前記シリンダ(2)の軸に実質的に平行であり、前記第2方向は前記シリンダ(2)の軸に実質的に垂直である、請求項1に記載の機関。
  3. 前記作動器(30、32)が油圧形式である、請求項1または2に記載の機関。
  4. 前記第1および第2作動器(30、32)を選択的に動作させるように構成した制御手段を有する、請求項1から3のいずれかにに記載の機関。
  5. 機関のノッキングが開始しつつあることを指示する信号を生成するように構成した第1センサを有し、前記制御手段は、前記作動手段(30、32)を動作させて前記搭載具(20、26)を前記第1方向に移動して機関の圧縮比を減少させることによってノッキングを抑えるように構成されている、請求項4に記載の機関。
  6. 機関に掛かる負荷を表示する信号を生成するように構成した第2センサを有し、前記制御手段は、前記搭載具(20、26)を前記第1方向に移動して負荷の変化に応じて機関の圧縮比を変更するように構成されている、請求項4または5に記載の機関。
  7. 前記制御手段は、前記搭載具(20、26)を前記第2方向に移動して前記第1方向への搭載具の移動によって生じる行程の変化を補償するように構成されている、請求項5または6に記載の機関。
  8. 機関に掛かる負荷を表示する信号を生成するように構成した第2センサを有し、前記制御手段は、前記搭載具(20、26)を前記第2方向に移動して負荷の増加に応じてピストンの行程容積を増加するように構成されている、請求項4に記載の機関。
  9. 前記接続ロッドは、前記ピストンが上死点位置にあるときに前記シリンダの軸の方に傾斜する、上記請求項のうちのいずれか1つに記載の機関。
JP2000511990A 1997-09-12 1998-09-03 内燃機関 Expired - Fee Related JP4221690B2 (ja)

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